【解決手段】印刷装置3は、筐体32内に自装置の複数の構成要素を収納している。筐体32は、それぞれにアクセス難易度が設定された、ユーザおよびサービスマンが筐体内へアクセスするための複数のアクセス箇所を有し、筐体32内に収納された構成要素の少なくとも一部が、各アクセス箇所の位置およびアクセス難易度と、各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度とに基づき配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0016】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置を備えた印刷システムの概略構成図である。
図2は、本実施の形態における印刷装置の前側からの斜視図である。
図3は、本実施の形態における印刷装置の後側からの斜視図である。
図4は、本実施の形態における印刷装置の前扉を開いた状態の斜視図である。
図5は、本実施の形態における印刷装置の後扉を開いた状態の斜視図である。
図6は、本実施の形態における印刷装置の電装筐体を開き、電装筐体の左側面の側面カバーを取り外した状態の斜視図である。
図6は、本実施の形態における印刷装置の本体筐体と電装筐体との間を開き、電装筐体の左側面の下部の側面カバーを取り外した状態の斜視図である。
図7は、本実施の形態における印刷装置の電装筐体の右側面の下部の側面カバーを取り外した状態の斜視図である。
図8は、本実施の形態における印刷装置の電装筐体内の下部における各部の配置を説明するための模式図である。本実施の形態の説明において、
図1の紙面に直交する方向を印刷装置の前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を印刷装置の上下左右方向とする。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る印刷システム1は、巻出装置2と、印刷装置3と、巻取装置4とを備える。
【0019】
巻出装置2は、フィルム、紙等からなる長尺状の印刷媒体であるウェブWを印刷装置3へ巻き出す。巻出装置2は、ウェブロール支持軸11と、ブレーキ12と、巻出装置コントローラ13とを備える。
【0020】
ウェブロール支持軸11は、ウェブロール16を回転可能に支持する。ウェブロール支持軸11は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。ウェブロール16は、ウェブWがロールされたものである。
【0021】
ブレーキ12は、ウェブロール支持軸11にブレーキをかける。これにより、ウェブロール16と後述する印刷装置3の搬送ローラ54との間のウェブWに張力が付与される。
【0022】
巻出装置コントローラ13は、ウェブWの張力を調整するためにブレーキ12のブレーキ力を制御する。巻出装置コントローラ13は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0023】
印刷装置3は、巻出装置2から巻き出されたウェブWを搬送しつつ、ウェブWに画像を印刷する。印刷装置3は、搬送部21と、第1印刷部22と、第2印刷部23と、インク循環部24と、廃液貯留部25と、搬送コントローラ26と、蛇行修正コントローラ27と、ヘッドコントローラ28と、インク循環コントローラ29と、電源ユニット30と、ブレーカ31と、筐体32とを備える。
【0024】
搬送部21は、巻出装置2から巻き出されたウェブWを搬送する。搬送部21は、ガイドローラ41〜50と、20本のヘッド下支持部材51と、蛇行修正部52と、エンコーダ53と、一対の搬送ローラ54と、搬送モータ55とを備える。
【0025】
ガイドローラ41〜50は、印刷装置3において搬送されるウェブWをガイドする。ガイドローラ41〜50は、搬送されるウェブWに従動回転する。ガイドローラ41〜50は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。
【0026】
ガイドローラ41,42は、巻出装置2と蛇行修正部52との間でウェブWをガイドする。ガイドローラ41は、印刷装置3の下部において、筐体32の左側面近傍に配置されている。ガイドローラ42は、ガイドローラ41と後述する蛇行修正部52の蛇行修正ローラ56Aとの間に配置されている。
【0027】
ガイドローラ43〜49は、蛇行修正部52と搬送ローラ54との間でウェブWをガイドする。ガイドローラ43は、後述する蛇行修正部52の蛇行修正ローラ56Bの左方に配置されている。ガイドローラ44は、ガイドローラ43の上方に配置されている。ガイドローラ45は、ガイドローラ44と同じ高さで、ガイドローラ44の右方に配置されている。ガイドローラ46は、ガイドローラ45の下方であって、ガイドローラ43より高い位置に配置されている。ガイドローラ47は、ガイドローラ46の左方であって、ガイドローラ43,44間のウェブWの右側近傍であり、ガイドローラ46とほぼ同じ高さである位置に配置されている。ガイドローラ48は、ガイドローラ47の右下方に配置されている。ガイドローラ49は、ガイドローラ48のやや右側の下方に配置されている。
【0028】
ガイドローラ50は、搬送ローラ54と巻取装置4との間でウェブWをガイドする。ガイドローラ50は、印刷装置3の下部において、筐体32の右側面近傍に配置されている。
【0029】
ヘッド下支持部材51は、第1印刷部22の直下および第2印刷部23の直下においてウェブWを支持する。ヘッド下支持部材51は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。第1印刷部22の直下であるガイドローラ44,45間、および、第2印刷部23の直下であるガイドローラ46,47間に、それぞれ10本ずつのヘッド下支持部材51が配置されている。
【0030】
ガイドローラ44,45間およびガイドローラ46,47間のそれぞれにおいて、10本のヘッド下支持部材51は、上に凸のアーチを描くように配置されている。これにより、ガイドローラ44,45間およびガイドローラ46,47間において、ウェブWが張った状態となり安定した姿勢に保たれる。
【0031】
蛇行修正部52は、ウェブWの蛇行を修正するものである。蛇行修正部52は、蛇行修正ローラ56A,56Bと、蛇行修正モータ57と、ウェブセンサ58とを備える。
【0032】
蛇行修正ローラ56A,56Bは、ウェブWをガイドするとともに、ウェブWの蛇行を修正するためのローラである。蛇行修正ローラ56A,56Bは、前後方向に延びる長尺状に形成されている。蛇行修正ローラ56A,56Bは、水平面上における前後方向に対する軸方向の角度を調整可能に構成されている。蛇行修正ローラ56Aは、ガイドローラ42の右方に配置されている。蛇行修正ローラ56Bは、蛇行修正ローラ56Aの上方に配置されている。
【0033】
蛇行修正モータ57は、蛇行修正ローラ56A,56Bの軸方向の水平面上における前後方向に対する角度を調整するために、水平面に直交する軸を中心に蛇行修正ローラ56A,56Bを回動させる。
【0034】
ウェブセンサ58は、蛇行修正のために、前後方向におけるウェブWの端辺の位置を検出する。ウェブセンサ58は、蛇行修正ローラ56Bの近傍に配置されている。
【0035】
エンコーダ53は、ガイドローラ44に接続され、ガイドローラ44の所定の回転角度ごとにパルス信号を出力する。エンコーダ53の出力パルス信号は、ウェブWの搬送速度制御に用いられる。
【0036】
一対の搬送ローラ54は、ウェブWをニップしつつ、巻取装置4へ向けてウェブWを搬送する。一対の搬送ローラ54は、ガイドローラ49,50間に配置されている。
【0037】
搬送モータ55は、搬送ローラ54を回転駆動させる。
【0038】
第1印刷部22は、ウェブWのおもて面に画像を印刷する。第1印刷部22は、ガイドローラ44,45間のウェブWの上方に配置されている。第1印刷部22は、5つのヘッドユニット61を備える。
【0039】
ヘッドユニット61は、インクジェットヘッド(図示せず)を有し、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出する。第1印刷部22の5つのヘッドユニット61は、相互に異なる色のインクを吐出する。
【0040】
第2印刷部23は、ウェブWのうら面に画像を印刷する。第2印刷部23は、ガイドローラ46,47間のウェブWの上方に配置されている。第2印刷部23は、第1印刷部22と同様に、相互に異なる色のインクを吐出する5つのヘッドユニット61を備える。
【0041】
インク循環部24は、インク循環経路に沿ってインクを循環させつつ、ヘッドユニット61のインクジェットヘッドにインクを供給するものである。インク循環部24は、ヘッドユニット61ごとに、インク循環経路、インク循環経路にインクを補給するインクカートリッジ等を有する。インク循環経路には、補給されたインクを貯留するインクタンク、インクを循環させるためにインクの送液を行うインクポンプ等が設けられている。インク循環部24は、インクポンプ等を駆動させるドライブ基板も有する。
【0042】
廃液貯留部25は、ヘッドユニット61におけるインクジェットヘッドのクリーニング時に排出されるインクを廃液として貯留する。
図5に示すように、印刷装置3には、第1および第2印刷部22,23における各色のインクに対応する複数の廃液タンク66が設けられている。
【0043】
搬送コントローラ26は、搬送モータ55の駆動を制御する。搬送コントローラ26は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0044】
蛇行修正コントローラ27は、蛇行修正モータ57の駆動を制御する。蛇行修正コントローラ27は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0045】
ヘッドコントローラ28は、
図5に示すように、複数のヘッドコントロールユニット67を有する。ヘッドコントロールユニット67は、ヘッドユニット61のインクジェットヘッドの駆動を制御する。ヘッドコントロールユニット67は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0046】
インク循環コントローラ29は、
図7に示すように、複数のインク循環コントロールユニット68を有する。インク循環コントロールユニット68は、インク循環部24のポンプ等の駆動を制御する。インク循環コントロールユニット68は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0047】
電源ユニット30は、商用電源から供給される電力を印刷装置3の各部に供給するものである。
【0048】
ブレーカ31は、許容電流を超える電流が流れた場合に印刷装置3への電力供給を遮断するものである。
【0049】
筐体32は、筐体32以外の印刷装置3の複数の構成要素を収納している。具体的には、筐体32は、搬送部21、第1印刷部22、第2印刷部23、インク循環部24、廃液貯留部25、搬送コントローラ26、蛇行修正コントローラ27、ヘッドコントローラ28、インク循環コントローラ29、電源ユニット30、およびブレーカ31を収納している。また、筐体32は、各部の間を接続するための配線等も収納している。
【0050】
筐体32は、
図2〜
図7に示すように、本体筐体71と電装筐体72とに、前後方向に分割されている。本体筐体71と電装筐体72とは連結され、かつ、本体筐体71と電装筐体72との間の境界部である中央開閉部(請求項の開閉部に相当)73において水平方向に開閉可能になっている。なお、本体筐体71および電装筐体72は請求項の分割筐体に相当する。
【0051】
本体筐体71は、
図4に示すように、搬送部21、第1印刷部22、および第2印刷部23を収納している。本体筐体71は、中空状の直方体形状に形成されている。本体筐体71の前面76は、前扉76a,76bにより開閉可能に構成されている。本体筐体71の左側面77は、ネジにより着脱可能な側面カバー77a,77bにより構成されている。本体筐体71の右側面78は、ネジにより着脱可能な側面カバー78a,78bにより構成されている。本体筐体71の後側は開口されており、開口部79が形成されている。
【0052】
電装筐体72は、
図5〜
図7に示すように、インク循環部24、廃液貯留部25、搬送コントローラ26、蛇行修正コントローラ27、ヘッドコントローラ28、インク循環コントローラ29、電源ユニット30、およびブレーカ31を収納している。電装筐体72は、本体筐体71の後側に配置されている。電装筐体72は、高さおよび幅が本体筐体71と同じである中空状の直方体形状に形成されている。電装筐体72の前側は開口されており、開口部80が形成されている。電装筐体72の左側面81は、ネジにより着脱可能な側面カバー81a,81bにより構成されている。電装筐体72の右側面82は、ネジにより着脱可能な側面カバー82a,82bにより構成されている。電装筐体72の後面83は、後扉83a,83bにより開閉可能に構成されている。
【0053】
筐体32において、本体筐体71の前面76、本体筐体71の左側面77、本体筐体71の右側面78、電装筐体72の左側面81、電装筐体72の右側面82、電装筐体72の後面83、および中央開閉部73が、ユーザおよびサービスマンが筐体32内へアクセスするためのアクセス箇所になっている。なお、本体筐体71の前面76は、筐体32の前面に相当する。本体筐体71の左側面77、本体筐体71の右側面78、電装筐体72の左側面81、および電装筐体72の右側面82は、筐体32の側面に相当する。電装筐体72の後面83は、筐体32の後面に相当する。
【0054】
巻取装置4は、印刷装置3で印刷されたウェブWを巻き取る。巻取装置4は、巻取軸91と、巻取モータ92と、巻取装置コントローラ93とを備える。
【0055】
巻取軸91は、ウェブWを巻き取って保持する。巻取軸91は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。
【0056】
巻取モータ92は、巻取軸91を
図1における時計回りに回転させる。巻取軸91の回転により、ウェブWが巻取軸91に巻き取られる。
【0057】
巻取装置コントローラ93は、巻取モータ92の駆動を制御する。巻取装置コントローラ93は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0058】
次に、印刷装置3における構成要素の筐体32内での配置について説明する。
【0059】
印刷装置3では、ユーザおよびサービスマンの少なくともいずれかがアクセスすることがある構成要素が、筐体32の各アクセス箇所の位置およびアクセス難易度と、各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度とに基づき配置されている。ここで、ユーザは日常的に印刷装置3を使用する者であり、サービスマンは印刷装置3のメンテナンス等を適宜行う業者である。
【0060】
筐体32の各アクセス箇所のアクセス難易度は、当該アクセス箇所から筐体32内へアクセスするための作業の難易度に基づき、予め設定されているものである。筐体32の各アクセス箇所のアクセス難易度は、難しい方からA〜Dの順に4段階で設定されている。
【0061】
最も筐体32内へのアクセスが最も容易なアクセス難易度Dのアクセス箇所は、本体筐体71の前面76である。本体筐体71の前面76からは、前扉76a,76bを開けるだけで筐体32内へアクセスできるため、最もアクセス難易度が低い。
【0062】
アクセス難易度Cのアクセス箇所は、電装筐体72の後面83である。電装筐体72の後面83から筐体32内へアクセスするには、印刷装置3の後ろに回って後扉83a,83bを開ける必要があるので、電装筐体72の後面83は本体筐体71の前面76よりアクセス難易度が高く設定されている。
【0063】
アクセス難易度Bのアクセス箇所は、本体筐体71の左側面77、本体筐体71の右側面78、電装筐体72の左側面81、および電装筐体72の右側面82である。これらの側面から筐体32内へアクセスするには、ネジ止めされている側面カバー77a,77b,78a,78b,81a,81b,82a,82bを取り外す必要がある。このため、これらの側面は、本体筐体71の前面76および電装筐体72の後面83よりもアクセス難易度が高く設定されている。
【0064】
アクセス難易度Aのアクセス箇所は、中央開閉部73である。中央開閉部73から筐体32内へアクセスするには、ロックを解除して本体筐体71と電装筐体72との間を開く必要があるため、他のアクセス箇所よりもアクセス難易度が高く設定されている。
【0065】
上記のように各アクセス箇所にアクセス難易度が設定された印刷装置3において、ユーザがアクセスする必要があり、そのアクセス頻度が高い構成要素は、サービスマンのアクセス頻度がどの程度であっても、アクセス難易度Dである本体筐体71の前面76からのアクセスに適した位置に配置されている。
【0066】
具体的には、
図4に示すように、搬送部21、第1印刷部22、および第2印刷部23は、本体筐体71の前扉76a,76bを開けてアクセスすることが適した位置である、本体筐体71内に配置されている。
【0067】
搬送部21、第1印刷部22、および第2印刷部23へは、例えば、ユーザがウェブWをセットする際にアクセスする。具体的には、ユーザは、第1および第2印刷部22,23の各ヘッドユニット61を後方へ押し込む。そして、ユーザは、ガイドローラ41〜50、蛇行修正ローラ56A,56B、ヘッド下支持部材51、および搬送ローラ54によって形成される搬送経路に沿ってウェブWを引き回す。また、ユーザは、セットしたウェブWの幅に応じてウェブセンサ58の位置を調整する。
【0068】
ユーザがアクセスする必要があるがそのアクセス頻度は低い構成要素は、サービスマンのアクセス頻度がどの程度であっても、アクセス難易度Cである電装筐体72の後面83からのアクセスに適した位置に配置されている。また、ユーザのアクセス対象ではないためユーザはアクセスしないがサービスマンのアクセス頻度が高い構成要素も、アクセス難易度Cである電装筐体72の後面83からのアクセスに適した位置に配置されている。
【0069】
具体的には、
図5に示すように、廃液貯留部25、搬送コントローラ26、蛇行修正コントローラ27、ヘッドコントローラ28、およびブレーカ31は、電装筐体72の後扉83a,83bを開けてアクセスすることが適した位置に配置されている。すなわち、廃液貯留部25、搬送コントローラ26、蛇行修正コントローラ27、ヘッドコントローラ28、およびブレーカ31は、電装筐体72内の後部に配置されている。
【0070】
廃液貯留部25へのアクセスは、廃液タンク66が満杯になった時に、廃液を捨てるために行われる。搬送コントローラ26へのアクセスは、ユーザが搬送ローラ54によるウェブWの搬送速度を変更するために行われる。蛇行修正コントローラ27へのアクセスは、ユーザが蛇行修正部52における応答速度、調整量等のパラメータを調整するために行われる。ブレーカ31へのアクセスは、ブレーカ31がオフになったときに、オンにするために行われる。廃液貯留部25、搬送コントローラ26、蛇行修正コントローラ27、およびブレーカ31へのアクセスは、ユーザが行う必要があるものである。
【0071】
ヘッドコントローラ28へのアクセスは、ヘッドユニット61のインクジェットヘッドのインク吐出テスト等のために行われる。ヘッドコントローラ28へのアクセスは、サービスマンが行うものであり、ユーザは行わない。
【0072】
サービスマンのアクセス頻度が中程度で、ユーザのアクセス対象ではないためユーザはアクセスしない構成要素は、アクセス難易度Bである本体筐体71の左側面77、本体筐体71の右側面78、電装筐体72の左側面81、および電装筐体72の右側面82のいずれかからのアクセスに適した位置に配置されている。
【0073】
具体的には、
図7に示すように、インク循環コントローラ29は、電装筐体72の右側面82の下部の側面カバー82bを取り外してアクセスすることが適した位置に配置されている。すなわち、インク循環コントローラ29は、電装筐体72内の下部の右端部に配置されている。インク循環コントローラ29へのアクセスは、例えば、インク循環部24によるインクジェットヘッドへのインク供給の不具合が生じた場合の修復のために、サービスマンにより行われる。
【0074】
また、電源ユニット30の配線(図示せず)が、電装筐体72の左側面81の下部の側面カバー81bを取り外してアクセスすることが適した位置に配置されている。すなわち、電源ユニット30の配線は、電装筐体72内の下部の左端部に配置されている。電源ユニット30の配線へのアクセスは、電源ユニット30の脱着時の再配線のために、サービスマンにより行われる。
【0075】
サービスマンのアクセス頻度が低く、ユーザのアクセス対象ではないためユーザはアクセスしない構成要素は、アクセス難易度Aである中央開閉部73からのアクセスに適した位置に配置されている。ここで、中央開閉部73からのアクセスは、中央開閉部73で本体筐体71と電装筐体72との間を開いたときに、本体筐体71の後側の開口部79、または電装筐体72の前側の開口部80から行われるものである。また、本体筐体71と電装筐体72との間を開いたときの両筐体間の空間におけるアクセスも、中央開閉部73からのアクセスに含まれる。
【0076】
具体的には、
図8に示すように、電源ユニット30は、電装筐体72の前側の開口部80からのアクセスに適した位置に配置されている。すなわち、電源ユニット30は、電装筐体72内の前部に配置されている。電源ユニット30へのアクセスは、電源ユニット30の脱着のために、サービスマンにより行われる。
【0077】
また、電装筐体72の前側の開口部80からのアクセスに適した位置にある、
図8に示す領域Sに、インク循環部24のインクポンプおよびドライブ基板が配置されている。すなわち、インク循環部24のインクポンプおよびドライブ基板は、電装筐体72内の前部に配置されている。インクポンプへのアクセスは、例えば、インクポンプが故障したときに、修理等のために、サービスマンにより行われる。ドライブ基板へのアクセスは、例えば、ドライブ基板がショートしたときに、修理等のために、サービスマンにより行われる。
【0078】
また、本体筐体71と電装筐体72との間の配線86は、
図6に示すように、本体筐体71の後側の開口部79からのアクセス、電装筐体72の前側の開口部80からのアクセス、および本体筐体71と電装筐体72との間の空間におけるアクセスに適した位置に引き回されている。配線86は、印刷装置3の本体筐体71内の構成要素と電装筐体72内の構成要素とを電気的に接続するための配線と、インク循環部24のインク循環経路を形成する配管とを含むものである。配線86へのアクセスは、例えば、印刷装置3の筐体32内の構成要素の交換時の再配線のために、サービスマンにより行われる。
【0079】
次に、印刷システム1の印刷時の動作について説明する。
【0080】
印刷システム1で印刷を行う際、まず、巻出装置2、印刷装置3、および巻取装置4は、ウェブWの搬送を開始させる。具体的には、巻出装置コントローラ13はブレーキ12を起動させ、印刷装置3の搬送コントローラ26は搬送モータ55の駆動を開始させ、巻取装置コントローラ93は巻取モータ92の駆動を開始させる。これにより、巻出装置2から巻取装置4へ向かってウェブWが搬送される。巻出装置2のブレーキ12によりウェブロール支持軸11にブレーキがかけられることで、ウェブロール16と搬送ローラ54との間においてウェブWに張力が付与されつつ、ウェブWが搬送される。
【0081】
また、印刷装置3のインク循環コントローラ29は、インク循環部24によるインク循環動作を開始させる。
【0082】
ウェブWの搬送およびインク循環動作を開始した後、印刷装置3のヘッドコントローラ28は、第1および第2印刷部22,23の各ヘッドユニット61のインクジェットヘッドを制御してウェブWに画像を印刷させる。
【0083】
ウェブWの搬送中において、印刷装置3の搬送コントローラ26は、エンコーダ53の出力パルス信号に基づき、ウェブWの搬送速度を算出する。そして、搬送コントローラ26は、算出した搬送速度と印刷搬送速度(目標速度)との差がなくなるよう搬送モータ55への供給電流を制御する。これにより、ウェブWの搬送速度が一定となるよう制御される。
【0084】
また、搬送コントローラ26は、搬送モータ55への供給電流に応じた搬送モータ55の出力トルクを算出する。搬送モータ55の出力トルクは、搬送モータ55のモータ特性から、供給電流に応じた値が算出可能である。巻出装置コントローラ13は、搬送コントローラ26が算出した搬送モータ55の出力トルクとブレーキ12の出力トルクとの差が、ウェブWの目標張力に対応する目標トルク差となるようブレーキ12のブレーキ力(出力トルク)を調整する。これにより、ウェブWの張力が一定となるよう制御される。
【0085】
画像の印刷が終了すると、印刷装置3のインク循環コントローラ29は、インク循環部24によるインク循環動作を終了させる。また、巻出装置2、印刷装置3、および巻取装置4は、ウェブWの搬送を終了させる。具体的には、巻出装置コントローラ13はブレーキ12を停止させ、印刷装置3の搬送コントローラ26は搬送モータ55を停止させ、巻取装置コントローラ93は巻取モータ92を停止させる。これにより、一連の動作が終了となる。
【0086】
以上説明したように、印刷装置3では、ユーザおよびサービスマンの少なくともいずれかがアクセスすることがある構成要素が、筐体32の各アクセス箇所の位置およびアクセス難易度と、各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度とに基づき配置されている。これにより、ユーザおよびサービスマンがアクセスしようとする印刷装置3の構成要素がアクセスしにくい位置にある状況の発生を低減できる。この結果、ユーザおよびサービスマンが印刷装置3の筐体32内の構成要素へアクセスする際の利便性を向上できる。
【0087】
具体的には、印刷装置3では、ユーザがアクセスする必要がある構成要素が、アクセス難易度の低い本体筐体71の前面76または電装筐体72の後面83からのアクセスに適した位置に、これらのアクセス箇所のアクセス難易度、および当該構成要素に対するユーザのアクセス頻度に応じて配置されている。これにより、ユーザは必要な構成要素に容易にアクセスできるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0088】
また、サービスマンがアクセスする必要がある構成要素であって、ユーザのアクセス対象ではない構成要素が、アクセス難易度が最も低い本体筐体71の前面76以外のアクセス箇所からのアクセスに適した位置に、それらのアクセス箇所のアクセス難易度、および当該構成要素に対するサービスマンのアクセス頻度に応じて配置されている。このため、サービスマンにとっての利便性を向上させつつ、当該構成要素に対するユーザの不要なアクセスを低減できる。
【0089】
したがって、印刷装置3によれば、ユーザおよびサービスマンが印刷装置3の筐体32内の構成要素へアクセスする際の利便性を向上させつつ、構成要素への不要なアクセスを低減できる。
【0090】
なお、筐体32の各アクセス箇所の位置およびアクセス難易度と、各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度とに基づき配置されている構成要素が、ユーザおよびサービスマンの少なくともいずれかがアクセスすることがある構成要素のうちの一部であってもよい。筐体内に収納された自装置の複数の構成要素の少なくとも一部が、各アクセス箇所の位置およびアクセス難易度と、各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度とに基づき配置された印刷装置であればよい。
【0091】
上述した実施の形態では、印刷装置3の各構成要素に対するユーザおよびサービスマンの一般的なアクセス頻度から、アクセス難易度A〜Dの各アクセス箇所に対応して配置する印刷装置3の構成要素を決定した。しかし、例えば、印刷装置3の各構成要素に対するユーザおよびサービスマンのアクセス頻度を実験的に取得し、その取得したアクセス頻度に基づき、アクセス難易度A〜Dの各アクセス箇所に対応して配置する印刷装置3の構成要素を決定してもよい。
【0092】
また、上述した実施の形態では、インクジェット方式でウェブに印刷する印刷装置3について説明したが、これとは異なる印刷方式および印刷媒体を用いる印刷装置でもよい。
【0093】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。