(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-182456(P2019-182456A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】土木工事用袋体
(51)【国際特許分類】
B65D 88/22 20060101AFI20190927BHJP
E02B 3/04 20060101ALI20190927BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20190927BHJP
D04B 21/10 20060101ALI20190927BHJP
D04B 21/00 20060101ALI20190927BHJP
D04B 21/14 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
B65D88/22 A
E02B3/04 301
E02D17/20 102A
D04B21/10
D04B21/00 A
D04B21/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-73057(P2018-73057)
(22)【出願日】2018年4月5日
(11)【特許番号】特許第6401415号(P6401415)
(45)【特許公報発行日】2018年10月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 義則
(72)【発明者】
【氏名】井坂 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】川端 聡史
【テーマコード(参考)】
2D044
2D118
3E070
4L002
【Fターム(参考)】
2D044DA01
2D118AA06
2D118AA07
2D118BA07
2D118BA14
2D118CA01
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2D118GA42
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2D118GA46
3E070AA31
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3E070VA30
3E070WK04
4L002AA02
4L002AA05
4L002AA06
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4L002CA00
4L002CB01
4L002CB02
4L002EA00
4L002FA06
(57)【要約】
【課題】低廉性、適度の可撓性、および耐久性に優れた土木工事用袋体を提供すること。
【解決手段】中詰材30を収容する有底構造の収容部21と、収容部21の上方に隣接して一体に形成された吊り部25とを具備していて、収容部21を構成する編地の目合いと単位体積あたりの目付を吊り部25と比べて小さくして、収容部21に中詰材30の拘束作用を持たせた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の編地からなり、筒状の編地の下端を絞り込んで底網が形成され、内部に中詰材を収容可能な土木工事用袋体であって、
中詰材を収容する有底構造の収容部と、
前記収容部の上方に隣接して一体に形成された吊り部とを具備し、
前記収容部を構成する編地の目合いと単位体積あたりの目付が吊り部を構成する編地と比べて異なることを特徴とする、
土木工事用袋体。
【請求項2】
前記収容部を構成する編地の目合いが吊り部位と比べて小さく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
【請求項3】
前記収容部が筒状の拘束網と、拘束網の下端を閉鎖する底網とを有し、前記拘束網の全域またはその一部の目合いが吊り部と比べて小さく形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の土木工事用袋体。
【請求項4】
前記収容部の底網と吊り部を構成する編地の目合いが拘束網と比べて大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【請求項5】
前記吊り部を構成する編地の目合いが開口部へ向けて段階的に大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【請求項6】
前記拘束網の周囲に別体の単数又は複数の拘束帯が付設されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の土木工事用袋体。
【請求項7】
前記編地が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋または陸上における各種土木工事(例えば根固め工、護床保護工、のり覆い工、水制工等)に使用可能な土木工事用袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事用の袋体の内部に石等の中詰材を充填して構成される土木工事用構造体は1〜4トンもの大重量を有しているため、クレーン等の重機での吊り降ろしを行っている(特許文献1,2)。
従来の袋体は、編地目付(密度、糸量)が均一の編地で形成されていて、編地の目合いは中詰材が漏れ出ないように目の細かい均一な寸法に形成されている。
【0003】
袋体に中詰材を投入する際には、筒状の型枠が用いられ、袋体の開口部を広げて型枠の内側にセットした後、バックホー等を用いて袋体に所定量の中詰材を投入している。袋体の開口部をロープ等で閉じた後に型枠から取り出している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−131447号公報
【特許文献2】特開2008−274698号公報
【特許文献3】特開2012−131532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の土木工事用の袋体には次の問題点を内包している。
<1>従来の袋体は容積の4〜5割程度が未充填空間となるため、土木工事用構造体の吊り上げ、吊り降ろしを伴う転置時に、袋体の形状変化に追従して中詰材がずれ動く。
袋体の内部で中詰材がずれ動くことで袋体が擦れて破れ易い。
<2>袋体を構成する編地は中詰材が漏れ出ないように編地全体が小さな網目で形成されている。
そのため、袋体が柔軟性に乏しいために、袋体を広げて型枠にセットする際に広がり難く、しかも重量も重たいために袋体の持ち運びや取り扱いに多くの労力を要していた。
<3>袋体の耐久性を増す方法として、編地全体の目付(密度、糸量)を大きくする方法が考えられるが、編地全体の目付を大きくすると袋体の製造コストが嵩むだけでなく、前記した<2>の問題が深刻化する。
<4>このように袋体には耐久性、低廉性および取扱容易性等が求められるが、これら複数の特性を満足する袋体は未だ提案されていない。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは低廉性、適度の可撓性、および耐久性に優れた土木工事用袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筒状の編地からなり、筒状の編地の下端を絞り込んで底網が形成され、内部に中詰材を収容可能な土木工事用袋体であり、土木工事用袋体は中詰材を収容する有底構造の収容部と、前記収容部の上方に隣接して一体に形成された吊り部とを具備していて、前記収容部を構成する編地の目合いと単位体積あたりの目付が吊り部を構成する編地と比べて異なるように構成している。
中詰材の側圧が最も負荷する袋体の部位の編地の目合いを他の部位と比べて小さくして幅方向の伸びを小さくする一方で、他の部位の目合いを大きくして幅方向の伸びを大きくした。
本発明の他の形態において、前記収容部を構成する編地の目合いが吊り部位と比べて小さく形成されている。
本発明の他の形態において、前記収容部が筒状の拘束網と、拘束網の下端を閉鎖する底網とを有し、前記拘束網の全域またはその一部の目合いが吊り部と比べて小さく形成されている。
本発明の他の形態において、前記収容部の底網と吊り部を構成する編地の目合いが拘束網と比べて大きく形成されている。
本発明の他の形態において、前記吊り部を構成する編地の目合いが開口部へ向けて段階的に大きく形成されていてもよい。
本発明の他の形態において、前記拘束網の周囲に別体の単数又は複数の拘束帯が付設してあってもよい。
本発明の他の形態において、前記編地が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>中詰材の側圧が最も負荷する袋体の収容部の編地の目合いと単位体積当たりの目付を他の部位と比べて相違させることで、収容部に中詰材の拘束作用を付与しつつ、編地の耐久性を高めることが可能となる。
そのため、転置時における中詰材の動きを抑制して袋体の破れを効果的に抑制することができる。
<2>収容部以外の部位は編地の目合いを大きくして編地全体における編糸の使用量を減らせるので、袋体を低コストに製造できるうえに、持ち運びや取扱いが便利となる。
<3>袋体の吊り部の編地の目合いを大きくできるので、袋体の口開きがし易くなって型枠内へのセット作業を簡単に行うことができる。
<4>拘束網の周囲に拘束帯を付設することで収容部における中詰材の拘束作用が格段に高くなって袋体の破れ防止効果が高まるうえに、拘束網の部位に対応した編地の目付を削減しても強度的な弱点にならないので、袋体を経済的に製作できる
<5>吊り部の目合いを大きくしても吊り時に網目形状が縦長に変形するので、吊り部を通じて中詰材が漏出する心配がない。
<6>底網の目合いを大きくしても、筒状の編地の下端部を絞り込むことで網目が縦長に変形するので、底網を通じて中詰材が漏出する心配はない。
<7>以上のように、これまで実現が困難とされてきた低廉性、適度の可撓性、および耐久性に優れた土木工事用袋体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1の説明図で、土木工事用袋体を用いた土木工事用構造体の説明図
【
図4】拘束網の目合いを変えた他の編地の部分拡大図
【
図5】土木工事用構造体の製作方法の説明図であって、(a)は型枠内に土木工事用袋体をセットする工程の説明図、(b)は土木工事用袋体内に中詰材を投入する工程の説明図、(c)は土木工事用構造体の吊上げ工程の説明図製作途中の土木工事用構造体を開口部側から見た平面図
【
図6】転置時における特性を説明するための土木工事用袋体のモデル図
【
図7】本発明の実施例2の説明図で、土木工事用袋体を用いた土木工事用構造体の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながら本発明について説明する。
【0011】
[実施例1]
<1>土木工事用構造体
図1〜3を参照して説明すると、土木工事用構造体10は、土木工事用袋体20(以下「袋体20」)と、袋体20の内部に充填した玉石等の自然骨材、コンクリートガラ等の中詰材30とからなる。
本発明は袋体20を構成する編地に改良をくわえたものである。
【0012】
<2>袋体
袋体20は編地からなり、中詰材30を収容する有底構造の収容部21と、収容部21の上方に隣接して一体に形成された吊り部25とを具備する。
例えば一枚または複数枚の編地を用いて筒体を形成し、筒体の上部は開放したまま、筒体の底部を絞り込んで閉じることで袋体20を形成することができる。
袋体20の容積は使途に応じて適宜選択するが、実用上は1m
3〜4m
3の範囲が好適である。
【0013】
<2.1>編地素材
袋体20は六角形または菱形形の網目を有する編地で形成されている。
編地素材としては、例えば編糸を一重又は二重以上に編成した無結節編地(例えばラッセル網、無結節網等)を使用できる。
編地の編糸としては、例えばポリエステル繊維糸、ポリアミド繊維糸、ポリアクリル繊維糸等の合繊繊維糸、又は綿糸、麻糸等の天然繊維糸等を単独又は混繊して使用できる。
実用上はポリエステル(1500d/10本)等の合成繊維糸を二重に編成したラッセル網を使用できる。
【0014】
<2.2>編地の目合い
袋体20を構成する編地はその部位によって編地の目合いが多段的に異なっていて、袋体20の部位に応じて横幅方向の伸びが部分的に調整してある。
すなわち、袋体20のうち中詰材30を収容する部位の収容部21の目合いが他の部位である吊り部25と比べて小さく形成してある。
本発明における「目合い」とは、編地を編成する際の網目の大きさ(網目寸法)であって、袋状に加工した後の網目形状を指すものではない。
多段的に目合いが変化した編地は公知の編機を使用して製作できる。
【0015】
<3>収容部
収容部21は中詰材30を収容する袋体20の下半の部位であって、筒状の拘束網21aと、拘束網21aの下端を閉鎖する底網21bとを有する。
【0016】
本例では拘束網21aの上端に境界網27を介して吊り部25が位置し、拘束網21aの下端に境界網28を介して底網21bが位置する形態について説明するが、境界網27,28は必須ではない。
【0017】
<3.1>収容部の拘束網
図2には拘束網21aの全域を小さな目合いで形成した形態を示しているが、
図4に示すように拘束網21aの一部を小さな目合いで多段的に形成してもよい。
拘束網21aの目合いは中詰材30が抜け出ない寸法であればよく、実用的な拘束網21aの目合いとしては、例えば19〜27mmの範囲が好適である。
【0018】
<3.2>収容部の底網
本例では底網21bの目合いが拘束網21aと比べて大きい形態について説明するが、底網21bの目合いを拘束網21aと同じにしてもよい。
底網21bの目合いを拘束網21aより大きくした場合、底網21bの全体を均一の目合いに形成してもよいし、その周縁部から中心部へ向けて編地の目合いを徐々に大きく形成してもよい。
実用的な底網21bの目合いとしては、例えば32〜40mmの範囲が好適である。
【0019】
<3.3>境界網
拘束網21aと吊り部25の間に介装された境界網27の目合いは、拘束網21aより大きく、吊り部25よりも小さい寸法関係にある。
拘束網21aと底網21bの間に介装された境界網28の目合いは、拘束網21aより大きく、底網21bよりも小さい寸法関係にある。
実用的な境界網27,28の目合いとしては、例えば27〜32mmの範囲が好適である。
【0020】
<4>吊り部
吊り部25は中詰材30が収容されない袋体20の上半の部位であって、その上部に開口部26が形成されている。
開口部26の近くには無端構造の吊りロープ23が編地に挿通して周回して取り付けられ、開口部26により近い位置には編地に挿通して口縛りロープ24が取り付けられている。
【0021】
図2では吊り部25の目合いを全体として均一に形成した形態を示しているが、その下位から上位へ向けて多段的に編地の目合いを徐々に大きく形成してもよい。
実用的な吊り部25の目合いとしては、例えば32〜47mmの範囲が好適である。
【0022】
<5>拘束網の目合いを小さくした理由
収容部21の拘束網21aの目合いを他の部位と比べて小さくしたのは、収容部21の拘束網21aに中詰材30の拘束作用を発揮させるためと、拘束網21aの耐久性(耐創性、耐摩耗性)を高めるためである。
編地の目合いと編地の横幅方向の伸びには相関があって、編地の目合いを小さくするほど編地の横幅方向の伸びが小さくなることから、拘束網21aの目合いを小さくすことで中詰材30の拘束作用を付与できる。
さらに編地の目合い小さくすると編地の目付(密度、糸量)が大きくなるので、拘束網21aの耐久性が増すことになる。
【0023】
<6>吊り部等の目合いを大きくした理由
吊り部25と底網21bの編地の目合いを、拘束網21aと比べて大きくしたのは、編糸の使用量を減らして袋体20の製造コストの削減と軽量化を図るためである。
編地の目付(密度、糸量)が同一であれば、目合いが大きくなるほど単位体積あたりの編糸の使用量が少なくて済む。
したがって、袋体20を低コストに製造できるうえに、持ち運びや取扱いが便利となる。
【0024】
吊り部25は中詰材30の収容に機能しない部位であることと、吊り時に吊り部25の網目形状が縦長に変形するので、吊り部25の目合いを大きくしても吊り部25を通じて中詰材30が漏出するする心配はない。
【0025】
また底網21bについては、筒状に形成した編地の下端部を絞り込んで平面略円形に形成することで、底網21bの網目形状が周縁部から中心部へ向けて縦長に変形するので、底網21bの目合いを大きくしても底網21bを通じて中詰材30が漏出する心配はない(
図3)。
【0026】
[土木工事用構造体の製作方法]
図5を参照しながら土木工事用構造体10の製作方法について説明する。
【0027】
<1>袋体のセット(
図5(a))
上下を開放し、逆円錐台形(すり鉢形)を呈する型枠40を準備する。
型枠40の内部に袋体20を収容し、口開きした吊り部25を外方へ折り返して型枠40の上口へ被せる。
吊り部25は編地の目合いが大きく形成されているので、開口部26の口開きがし易く型枠40内へのセット作業を簡単に行える。
【0028】
<2>中詰材の投入(
図5(b))
バックホー等の重機を用いて袋体20の収容部21内に所定量の中詰材30を投入する。
収容部21を構成する拘束網21aの目合いは中詰材30の抜け出ない寸法にしてあり、収容部21を構成する底網21bの網目は縦長に変形しているので、中詰材30が収容部21の網目を通じて外部へ抜け出ることはない。
【0029】
<3>脱型(
図5(c))
袋体20の複数箇所から吊りロープ30の一部を引出し、ループ状に引き出した吊りロープ30をクレーン等のフックに掛止する。
袋体20の底部が地上から僅かに浮上する程度まで吊りロープ30を僅かに吊り上げて袋体20の編地の弛みをなくした状態で、吊り部25の開口部26を解けないように口縛りロープ23で閉じて、土木工事用構造体10を製作する。
吊りロープ30を吊上げて型枠40から取出した土木工事用構造体10を所定の位置へ搬送して敷設する。
【0030】
<4>転置時における袋体の特性
図6を参照して転置時における袋体20の特性について説明する。
袋体20の収容部21に収容された中詰材30は自重で横向きに広がろうとし、その拡張力が収容部21の拘束網21aに作用する。
既述したように、袋体20の全体の中で、大きな負荷に耐え得るように収容部21の拘束網21aの編地の目合いと目付を調整して伸びが小さく抑えられていると共に、耐久性が高めてある。
拘束網21aに対して中詰材30の拡張力が作用すると、拘束網21aがわずかに拡径方向へ広がるものの、拘束網21aの伸びが限界に達すると中詰材30が拘束網21aに拘束されて自由なずれ動きが規制される。
拘束網21aによる中詰材30の拘束力を
図6の矢印で示している。
【0031】
したがって、土木工事用構造体10を繰り返し転置しても、中詰材30の自由なずれ動きに起因した収容部21の破れを効果的に抑制できる。
特に拘束網21aは中詰材30の拘束作用だけでなく、編地そのものの耐久性が増しているので、土木工事用構造体10の転置を繰り返し行っても、袋体20は容易に破れない。
【0032】
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0033】
<1>袋体
図7を参照して説明すると、本実施例の袋体20は編地からなり、中詰材30を収容する有底構造の収容部21と、収容部21の上方に隣接して一体に形成された筒状の吊り部25とを具備し、収容部21が拘束網21aと底網21bとを具備することは先の実施例1と同様である。
袋体20を構成する編地は実施例1と同様に目合いを多段的に変えた形態でもよいし、編地全体が均一の目合いであってもよい。
【0034】
<2>拘束帯
本例では拘束網21aの周囲に袋体20と別体の単数又は複数の拘束帯29を付設した形態について説明する。
拘束帯29は拘束網21aの横方向へ向けた広がりを一定範囲に規制する非伸縮性のベルトまたはロープであり、少なくとも拘束網21aの周長以上の全長を有する。
拘束帯29は拘束網21aの網目に挿通して横向きに取り付けるか、別途の結束材を用いて取り付けられている。
拘束帯29の設置数は収容部21の容積等を考慮して適宜選択する。
【0035】
<3>本実施例の効果
中詰材30の拘束作用を発揮する拘束帯29を拘束網21aの周囲に付設することで、転置時に中詰材30の自由なずれ動きを抑制して収容部21の破れを抑制することができる。
実施例1の編地と拘束帯29とを組み合せることで、収容部21における中詰材30の拘束作用が格段に高くなるので、拘束網21aの部位に対応した編地の目付(密度、糸量)を削減しても強度的な弱点にならないので、袋体20を経済的に製作できる。
本実施例は中詰材30の収容量が大きい場合により効果を発揮する。
【符号の説明】
【0036】
10・・・・・土木工事用構造体
20・・・・・土木工事用袋体(袋体)
21・・・・・袋体の収容部
21a・・・・収容部の拘束網
21b・・・・収容部の底網
23・・・・・吊りロープ
24・・・・・口縛りロープ
25・・・・・袋体の吊り部
26・・・・・袋体の開口部
27・・・・・境界網
28・・・・・境界網
30・・・・・中詰材
40・・・・・型枠
【手続補正書】
【提出日】2018年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の編地からなり、筒状の編地の下端を絞り込んで底網が形成され、内部に中詰材を収容可能な土木工事用袋体であって、
中詰材を収容する有底構造の収容部と、
前記収容部の上方に隣接して一体に形成された吊り部とを具備し、
前記収容部が筒状の拘束網と、拘束網の下端を閉鎖する底網とを有し、
前記拘束網の横幅方向の伸びが他の部位より小さくなるように、前記拘束網を構成する編地の目合いと単位体積あたりの目付が吊り部および底網を構成する編地と比べて異なることを特徴とする、
土木工事用袋体。
【請求項2】
前記拘束網を構成する編地の目合いが吊り部位および底網と比べて小さく形成されていると共に、前記拘束網を構成する編地の単位体積あたりの目付が吊り部および底網を構成する編地と比べて大きく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
【請求項3】
前記拘束網の全域またはその一部の目合いが吊り部と比べて小さく形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の土木工事用袋体。
【請求項4】
前記収容部の底網と吊り部を構成する編地の目合いが拘束網と比べて大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【請求項5】
前記吊り部を構成する編地の目合いが開口部へ向けて段階的に大きく形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【請求項6】
前記拘束網の周囲に別体の単数又は複数の拘束帯が付設されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の土木工事用袋体。
【請求項7】
前記編地が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されていることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載の土木工事用袋体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、筒状の編地からなり、筒状の編地の下端を絞り込んで底網が形成され、内部に中詰材を収容可能な土木工事用袋体であり、土木工事用袋体は中詰材を収容する有底構造の収容部と、前記収容部の上方に隣接して一体に形成された吊り部とを具備していて、
前記収容部が筒状の拘束網と、拘束網の下端を閉鎖する底網とを有し、前記拘束網の横幅方向の伸びが他の部位より小さくなるように、前記
拘束網を構成する編地の目合いと単位体積あたりの目付が吊り部
および底網を構成する編地と比べて異なるように構成
されている。
具体的には、拘束網を構成する編地の目合いが吊り部位および底網と比べて小さく形成されていると共に、前記拘束網を構成する編地の単位体積あたりの目付が吊り部および底網を構成する編地と比べて大きく形成されている。
中詰材の側圧が最も負荷する袋体の部位の編地の目合いを他の部位と比べて小さくして幅方向の伸びを小さくする一方で、
中詰材の側圧が最も負荷する袋体の部位の編地の目付を他の部位と比べて大きくして
耐久性が高めた。
本発明の他の形態において
、前記拘束網の全域またはその一部の目合いが吊り部
および底網と比べて小さく形成されている
。
本発明の他の形態において、前記吊り部を構成する編地の目合いが開口部へ向けて段階的に大きく形成されていてもよい。
本発明の他の形態において、前記拘束網の周囲に別体の単数又は複数の拘束帯が付設してあってもよい。
本発明の他の形態において、前記編地が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されている。