(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-182512(P2019-182512A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20190927BHJP
【FI】
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-77497(P2018-77497)
(22)【出願日】2018年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】鴻上 景一郎
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA12
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN13
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開封を容易に行なうことが可能で、開封後に袋の開口を手で広げる操作性に優れた包装袋の提供。
【解決手段】表裏フィルム2からなる袋本体の周縁をシールしてなる包装袋であって、袋本体の左右両側端のシール部に形成された開封開始部9,9と、表裏フィルムのうち一側フィルムに、左右の開封開始部間にわたって形成された第一開封誘導部と、表裏フィルムのうち他側フィルムに、左右の開封開始部間にわたって形成された第二開封誘導部11とを備え、第一開封誘導部は、直線状の第一開封誘導線を有し、第二開封誘導部は、並列形成された複数の第二開封誘導線11aを有し、複数の第二開封誘導線は、袋本体の中間部において第一開封誘導線と上下方向に重ならない位置に形成され、複数の第二開封誘導線のうち少なくとも1本が左右の開封開始部に接続された構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表フィルム及び裏フィルムからなる袋本体の周縁をシールしてなる包装袋であって、前記袋本体の周縁に形成されたシール部のうち袋本体の左右両側端のシール部にそれぞれ形成された開封開始部と、前記表裏フィルムのうち一側のフィルムにおいて、前記左右の開封開始部間にわたって形成された第一開封誘導部と、前記表裏フィルムのうち他側のフィルムにおいて、左右の開封開始部間にわたって形成された第二開封誘導部とを備え、前記第一開封誘導部は、直線状に形成された第一開封誘導線を有し、前記第二開封誘導部は、並列形成された複数の第二開封誘導線を有し、前記複数の第二開封誘導線は、前記袋本体の中間部において前記第一開封誘導線と上下方向に重ならない位置に形成され、前記複数の第二開封誘導線のうち少なくとも1本が前記左右の開封開始部に接続されたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記第二開封誘導部は、少なくとも3本の第二開封誘導線を備え、前記3本の第二開封誘導線のうち、中間の第二開封誘導線が前記左右の開封開始部の先端部に接続されたことを特徴とする請求項1に包装袋。
【請求項3】
前記第二開封誘導線は、袋本体の上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第一開封誘導部は、前記第一開封誘導線に加えて、さらに前記第一開封誘導線の両端部から分岐して前記左右両側端のシール部のうちそれぞれ近い側のシール部に向かう少なくとも1本の開封補助線を有し、前記開封補助線は、前記第一開封誘導線よりも袋本体の上下方向上側を通過するように形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記開封補助線は、前記第一開封誘導線の両端部のそれぞれ特定の1点から分岐するように複数本が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封された袋本体を開封するための開封開始部及び開封誘導部が設けられた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表フィルム及び裏フィルムからなる袋本体の左右両測端のシール部に切欠部などの開封開始部を設け、表裏面のフィルムのそれぞれにおいて、左右の開封開始部間にわたって開封誘導線として直線状のハーフカット線を形成した包装袋が知られている。上記構成の包装袋においては、開封開始部をきっかけにして開封誘導線に沿って包装袋を容易に開封することができる。
【0003】
しかしながら表フィルム及び裏フィルムの開口端部をそれぞれ手で摘んで開口を広げようとした場合、両方のフィルムの切断面が同じ位置であると、なかなか開口端部を手で摘みにくいという問題があった。特に、開口の下方位置にファスナー等の再封止部が形成された包装袋においては、両フィルムの開口端部間の隙間がほとんどない状態となるため、開口端部がより摘みにくくなっていた。
【0004】
上記問題を解決する包装袋として、たとえば、特許文献1には、易開封手段として、左右サイドシール部外縁に設けた易開封加工部と、表面積層体に設けた上に凸の形状を有する表面ハーフカット線aと、表面積層体に設けた下に凸の形状を有する表面ハーフカット線bと、裏面積層体に設けた直線状の裏面ハーフカット線と備えた包装袋が開示されている。
【0005】
上記構成においては、表面積層体に2本のハーフカット線が形成されており、表面積層体における切断経路は、2本のハーフカット線のうちいずれかに沿った軌跡を描き、裏面積層体における切断経路は直線状のハーフカット線に沿った軌跡を描くことで、表裏面のフィルムの開口端の間で袋本体の上下方向に段差が生じ、各フィルムの開口端部を容易に手で摘むことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−51310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構成においては、表面積層体のハーフカット線は、上に凸の形状及び下に凸の形状の非直線形状の2本であり、直線形状のハーフカット線に比べて切断経路がハーフカット線から逸脱しやすい。そして、いったん切断経路がハーフカット線から逸脱した場合には、切断経路の軌跡をコントロールすることが困難で、包装袋の開封が不十分となったり、逆に包装袋を予定以上に大きく開封してしまうなど、所定のハーフカット線に沿った形状に開封するのが困難であるという問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明においては、所定の形状となるように開封を容易に行なうことが可能で(易開封性)、開封後に袋の開口を手で広げる操作性(開口操作性)に優れた包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様としての包装袋は、表フィルム及び裏フィルムからなる袋本体の周縁をシールしてなる包装袋であって、前記袋本体の周縁に形成されたシール部のうち袋本体の左右両側端のシール部にそれぞれ形成された開封開始部と、前記表裏フィルムのうち一側のフィルムにおいて、前記左右の開封開始部間にわたって形成された第一開封誘導部と、前記表裏フィルムのうち他側のフィルムにおいて、左右の開封開始部間にわたって形成された第二開封誘導部とを備え、前記第一開封誘導部は、直線状に形成された第一開封誘導線を有し、前記第二開封誘導部は、並列形成された複数の第二開封誘導線を有し、前記複数の第二開封誘導線は、前記袋本体の中間部において前記第一開封誘導線と上下方向に重ならない位置に形成され、前記複数の第二開封誘導線のうち少なくとも1本が前記左右の開封開始部に接続されたことを特徴とする。
【0010】
前記第二開封誘導部は、少なくとも3本の第二開封誘導線を備え、前記3本の第二開封誘導線のうち、中間の第二開封誘導線が前記左右の開封開始部の先端部に接続された構成としてもよい。また、第二開封誘導線は、袋本体の上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線としてもよい。
【0011】
前記第一開封誘導部は、前記第一開封誘導線に加えて、さらに前記第一開封誘導線の両端部から分岐して前記左右両側端のシール部のうちそれぞれ近い側のシール部に向かう少なくとも1本の開封補助線を有し、前記開封補助線は、前記第一開封誘導線よりも袋本体の上下方向上側を通過するように形成された構成としてもよい。
【0012】
また、前記開封補助線は、前記第一開封誘導線の両端部のそれぞれ特定の1点から分岐するように複数本が形成された構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記態様によれば、一側のフィルムに直線状の第一開封誘導線を形成し、他側のフィルムに複数の非直線状の第二開封誘導線を並列形成したため、他側のフィルムにおいて、たとえ、1本の第二開封誘導線から切断経路が逸脱した場合でも、他の第二開封誘導線に沿うように切断経路の軌跡をコントロールすることができる。すなわち、複数の第二開封誘導線で囲まれた領域内に切断経路の軌跡を収めつつ、容易に開封することが可能となる。これにより、一対のフィルムの切断面の間で袋本体の上下方向に段差を形成することが可能となり、開口操作性に優れた包装袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の包装袋を示す正面模式図
【
図2】本発明の第1実施形態の包装袋を示す背面模式図
【
図5】本発明の第2実施形態の包装袋を示す正面模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面をもとに説明する。
図1は本実施形態における包装袋を示す正面模式図を、
図2は包装袋の背面模式図を、
図3は
図1の部分拡大図を、
図4は
図2の部分拡大図を、それぞれ示す。なお、
図1において、矢印Xは包装袋の左右方向を示し、矢印Yは包装袋の上下方向を示す。なお、左右方向X及び上下方向Yは、包装袋における各部の相対的位置関係を明らかにするためのものであり、使用時における方向とは必ずしも一致しない。
【0016】
本実施形態の包装袋は矩形状であり、表(一側の)フィルム1と、裏(他側の)フィルム2とを互いに対向させて重ね合せた状態で周縁をシールしてなる。これにより、表裏フィルム1、2からなる袋本体3の左右両端に右シール部4及び左シール部5が形成され、袋本体の上下両端に上シール部6及び下シール部7が形成される。なお、袋本体3は、表裏2枚のフィルムを互いに対向させて重ね合わせた状態で周縁をシールした構成でもよいし、1枚のフィルムを折り返して周縁をシールした構成でもよい。
【0017】
包装袋に用いられる表フィルム及び裏フィルム1、2は、少なくとも熱融着可能な樹脂層を備えたものであることが好ましい。これにより、接着剤を用いることなく、シール部4〜7を熱融着により形成することが可能となる。なお、フィルムの構成は、被収容物の性質によって適宜選択することができる。本実施形態では、袋の外側から基材層、ガスバリア層及びシーラント層が順次積層された積層フィルムが使用される。
【0018】
基材層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム等を使用することができる。ガスバリア層としては、基材層の表面にアルミニウム等の金属蒸着層を形成したものを使用することができるほか、基材層の表面にアルミニウム箔等の金属箔層を接着積層したものを用いたり、ガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることができる。シーラント層としては、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。
【0019】
袋本体3の上部には、左右シール部4、5にわたって再封止部8が形成される。再封止部8は、表フィルム1および裏フィルム2のいずれか一方に形成された帯状の突起部と、他方に形成された帯状の溝部とを備えたファスナーで構成されるが、これに限らず、開封及び密封が可能な公知の構造、たとえば、粘着シール等を適宜用いることができる。
【0020】
再封止部8と、上シール部6との間には、開封開始部9及び開封誘導部10、11が形成される。これにより、開封開始部9及び開封誘導部10、11に沿って包装袋を袋本体の上端部で開封することが可能となる。開封後の包装袋は、再封止部8によって再封止、再開封が可能となる。
【0021】
開封開始部9は、包装袋の開封の起点となる部分であり、本実施形態ではU字型の切欠部が形成されているが、これに限らず、V字型の切欠部や、直線状の切込部や、シール部を貫通する傷痕群等を採用することができる。開封開始部9は、左右方向に沿うように左右シール部4、5外縁から内縁に至る途中まで形成される。
【0022】
開封誘導部は、表フィルム1において、左右の開封開始部9、9間にわたって形成された第一開封誘導部10と、裏フィルム2において、左右の開封開始部9、9間にわたって形成された第二開封誘導部11とを備える。第一開封誘導部10は、直線状に形成された第一開封誘導線10aを有し、前記第二開封誘導部11は、並列形成された複数の第二開封誘導線11aを有する。複数の第二開封誘導線11aは、袋本体3の中間部において第一開封誘導線10aと上下方向Yに重ならない位置に形成される。複数の第二開封誘導線11aのうち少なくとも1本は左右の開封開始部9、9に接続される。
【0023】
第一開封誘導線10a及び第二開封誘導線11aは、フィルム表面から一定深さ(非貫通)の溝として形成される(いわゆるハーフカット線)。これにより、第一開封誘導線10a及び第二開封誘導線11aが形成された部分は他のフィルム部分に比べてフィルム強度が低下するため、開封開始部を起点として開封誘導線10a及び11aに沿って包装袋を開封することができる。開封誘導線10、11はレーザ加工によって形成することができるほか、トムソン刃等の機械的手段によって形成することも可能である。
【0024】
第二開封誘導線11aは、直線状に形成された第一開封誘導線10aと袋本体3の中間部において上下方向に重ならない位置に形成されるため、すなわち、非直線状に形成されるため、直線状の第一開封誘導線10aに比べて切断経路が第二開封誘導線11aから逸脱しやすくなる。
【0025】
そこで、本発明においては、複数の第二開封誘導線11aを並列形成することにより、1本の第二開封誘導線11aから切断経路が逸脱した場合でも、他の第二開封誘導線11aに沿わせるようにして切断経路の軌跡をコントロール可能としている。すなわち、複数の第二開封誘導線11aで囲まれた領域内に切断経路の軌跡が収まるようにしつつ、容易に開封することが可能となる。本実施形態の包装袋を開封すると、表フィルム1と裏フィルム2の開口端の間で上下方向Yに段差が形成され、各フィルム1、2の開口端部を容易に手で摘むことができる。特に、再封止部8によって包装袋を再封止した後に、再開封する際の開口操作性に優れた包装袋を得ることができる。
【0026】
第一開封誘導線10a及び第二開封誘導線11aについてより詳しく説明すると、
図3に示すように、第一開封誘導線10aは、左右両端がそれぞれ左右の開封開始部9の先端部、すなわち、U字型に形成された開封開始部9のうち、最もシール部4、5の内縁に近い部分に接続するように形成される。
【0027】
また、本実施形態では、第二開封誘導線11aは、上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線として3本が袋本体の上下方向に並列形成されている。第二開封誘導線11aは、上下方向上側に膨らむように湾曲する曲線として形成することも可能であるが、本実施形態のように、上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線として形成する方が、好ましい。
【0028】
その理由として、包装用袋を開封する際には、開封開始部9を挟んで上側のシール部と下側のシール部とを手で摘み、一方の手を表側に、他方の手を裏側にねじるようにして開封するが、開封開始部9の上側を持った手は、左右方向Xよりもやや下向きにねじる場合が多い。したがって、開封する力は開封開始部9から斜め下向きに加わりやすく、第二開封誘導線11aを上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線として形成すれば、容易に第二開封誘導線11aに沿って切断経路を形成することが可能となる。
【0029】
また、第二開封誘導線を上下方向の上側に膨らむように湾曲させる場合には、左右の開封開始部9、9を結ぶ仮想線と、上シール部6との間に、第二開封誘導線を形成するためのスペースを確保する必要が生じ、包装袋デザイン面での制約が多くなるということも上記理由に挙げられる。
【0030】
3本の第二開封誘導線11aは、左右両端がちょうど開封開始部9の先端部に達する長さに形成される。そして、3本の第二開封誘導線11aのうち、中間の第二開封誘導線11aの左右両端がそれぞれ左右の開封開始部9の先端部に接続するように形成される。3本の第二開封誘導線11aのうち、上端の第二開封誘導線11aは左右両端が開封開始部9よりも(上下方向Yで)上方位置になるように形成される。
【0031】
上記構成により、開封時における包装袋の切断経路は、開封開始部9から第一開封誘導線10a及び第二開封誘導線11aに伝わり、スムーズな開封が可能となる。ただ、基材層を構成する樹脂フィルムや、シーラント層を構成する樹脂フィルムには、樹脂フィルム製造時にフィルム送出方向に樹脂が配向したものが用いられる場合がある。そして、この場合には、表フィルム1及び裏フィルム2の左右方向Xと、樹脂フィルムのフィルム送出方向とを合わせることで、表フィルム1及び裏フィルム2を左右方向Xに開封しやすいようにしている。
【0032】
ところが、Tダイ成形(二軸延伸)や、インフレーション成形等、フィルム送出方向のみならずフィルム送出方向に直交する方向にも樹脂層を延伸させながら樹脂フィルムを製造する場合、樹脂の配向方向が樹脂フィルムの送出方向に対して傾斜する可能性が生じる。しかも、樹脂フィルムの送出方向に対する樹脂の配向方向の傾斜度合は、樹脂フィルムの位置によって変化する。したがって、基材層やシーラント層の樹脂フィルムのフィルム送出方向を、表フィルム1及び裏フィルム2の左右方向Xに合わせた場合に、樹脂の配向方向が左右方向Xから傾斜した方向となる場合がある。
【0033】
表フィルム1で使用されている樹脂の配向方向が左右方向Xから傾斜している場合、第一開封誘導線10aは開封開始部9から左右方向Xに沿ってまっすぐに形成されているため、樹脂の配向方向と第一開封誘導線10aとの間の角度はあまり大きくならず、切断経路は第一開封誘導線10aから逸脱しにくい。
【0034】
一方、裏フィルム2で使用されている樹脂の配向方向が、たとえば、
図4の矢印Aで示す方向に傾斜しているような場合、第二開封誘導線11aがもともと下向きに傾斜していることから、樹脂の配向方向と第二開封誘導線11aとの間の角度は大きくなり、切断経路は樹脂の配向方向Aへと逸脱しやすくなる。
【0035】
本実施形態では、3本の第二開封誘導線11aのうち、上端の第二開封誘導線11aは左右両端が開封開始部9よりも(上下方向Yで)上方位置になるように形成されていることから、上記のような場合であっても、樹脂の配向方向Aに逸脱した切断経路は、3本のうちの上端の第二開封誘導線11aに接触し、以降は第二開封誘導線11aに沿った軌跡を描き、包装袋を容易に開封することができる。
【0036】
[第2実施形態]
本実施形態では、第一開封誘導部として、第一開封誘導線に加えて開封補助線を設けた点が特徴とされ、その他の構成は第1実施形態と同じとされる。
図5は、本実施形態における包装袋を示す正面模式図を、
図6は、
図5の一部拡大図を、それぞれ示す。
【0037】
図5に示すように、第一開封誘導部10は、第一開封誘導線10aに加えて、さらに第一開封誘導線10aの両端部(左右シール部4及び5よりも袋本体の内側)から分岐して左右シール部4及び5のうちそれぞれ近い側のシール部4又は5に向かう少なくとも1本の開封補助線10bを有する。開封補助線10bは、第一開封誘導線10aよりも上下方向Yの上側を通過するように形成される。
【0038】
より具体的に、開封補助線10bは、第一開封誘導線10aの両端部(左右シール部4及び5よりも袋本体の内側)のそれぞれ特定の1点から分岐するように直線状の4本が形成されている。開封補助線10bの他端は、シール部4又は5にかかるように形成するのが好ましく、シール部4又は5の外縁まで形成するのがより好ましい。開封補助線10bは第1実施形態で説明した第一開封誘導線10a及び第二開封誘導線11aと同様にハーフカット線として形成される。
【0039】
第1実施形態で述べたように、包装袋に使用される表裏フィルム1、2において使用される樹脂の配向方向が左右方向Xから傾斜した方向となる場合がある。このような場合でも、通常であれば、切断経路は第一開封誘導線10aから逸脱する可能性は低いが、開封の方法(包装袋の引裂き方など)によっては切断経路が第一開封誘導線10aから逸脱するおそれが生じ得る。
【0040】
そのような場合であっても、本実施形態のように開封補助線10bを形成しておけば、逸脱した切断経路は、開封補助線10bに接触した後、開封補助線10bに沿って第一開封誘導線10aに戻すことが可能となる。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。たとえば、第1実施形態では、第二開封誘導線は上下方向下側に膨らむように湾曲する曲線として形成されているが、これに限らず、直線を折曲した折曲線で形成することもできる。
【0042】
また、第2実施形態では、開封補助線は第一開封誘導線の特定の1点から分岐するように形成されているが、これに限らず、第一開封誘導線の異なる点から分岐するように形成してもよい。また、上記実施形態では表フィルム及び裏フィルムとして3層積層構造としているが、これに限らず、たとえば、基材の表面側に表面樹脂層や印刷層を形成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 表(一側)フィルム
2 裏(他側)フィルム
3 袋本体
4 右シール部
5 左シール部
6 上シール部
7 下シール部
8 再封止部
9 開封開始部
10 第一開封誘導部
10a 第一開封誘導線
10b 開封補助線
11 第二開封誘導部
11a 第二開封誘導線