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特開2019-182854フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法
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  • 特開2019182854-フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-182854(P2019-182854A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20190927BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20190927BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20190927BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20190927BHJP
   A23L 3/349 20060101ALI20190927BHJP
   A23L 3/3517 20060101ALI20190927BHJP
   A23L 3/358 20060101ALI20190927BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20190927BHJP
   A01N 25/16 20060101ALI20190927BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20190927BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20190927BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 3/06 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20190927BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/02
   A61Q19/10
   A61K8/37
   A61K8/36
   A61K8/39
   A61K8/55
   A61K8/63
   A61K8/60
   A23L3/349 501
   A23L3/3517
   A23L3/358
   A01P1/00
   A01N25/16
   A01N25/30
   A01N31/02
   A01P3/00
   C11D3/20
   C11D1/68
   C11D3/10
   C11D3/06
   C11D1/52
   C11D3/382
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-71424(P2019-71424)
(22)【出願日】2019年4月3日
(11)【特許番号】特許第6562587号(P6562587)
(45)【特許公報発行日】2019年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-73151(P2018-73151)
(32)【優先日】2018年4月5日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴弘
【テーマコード(参考)】
4B021
4C083
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021MC01
4B021MK08
4B021MK18
4B021MK20
4B021MK21
4B021MK23
4B021MK28
4B021MP03
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB311
4C083AB312
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC251
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD211
4C083AD271
4C083AD301
4C083AD351
4C083AD371
4C083AD491
4C083AD571
4C083CC24
4C083DD08
4C083EE03
4C083EE09
4H003AB09
4H003AB10
4H003AB11
4H003EA04
4H003EA16
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB09
4H003EB39
4H003EB41
4H003EB42
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA17
4H003FA28
4H011AA02
4H011AA04
4H011BA05
4H011BB03
4H011BC06
4H011BC18
4H011DA18
4H011DA21
4H011DE16
4H011DF04
4H011DG05
(57)【要約】
【課題】 泡状にしやすく、充分な殺菌効果及びウイルス不活性化効果を有する安全なフォーマー用組成物を提供する。
【解決手段】 20〜45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜45重量%のエタノールと、
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、
アルカリ剤とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の濃度は、0.10〜5.00重量%である請求項1に記載のフォーマー用組成物。
【請求項3】
前記グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のフォーマー用組成物。
【請求項4】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項6】
前記アルカリ剤の濃度は、0.10〜10.00重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項7】
前記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項8】
前記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である請求項7に記載のフォーマー用組成物。
【請求項9】
さらにアミノ酸を含む請求項1〜8のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項10】
前記アミノ酸の濃度は、0.05〜5.00重量%である請求項9に記載のフォーマー用組成物。
【請求項11】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項9又は10に記載のフォーマー用組成物。
【請求項12】
前記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9〜11のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項13】
さらに酸剤を含む請求項1〜12のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項14】
前記フォーマー用組成物中の前記酸剤の濃度は、0.001〜2.00重量%である請求項13に記載のフォーマー用組成物。
【請求項15】
前記酸剤は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項13又は14に記載のフォーマー用組成物。
【請求項16】
さらに、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、タマリンド及びアルギン酸からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含む請求項1〜15のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項17】
食品又は食品添加物として認められている化合物からなる請求項1〜16のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項18】
ウイルス不活性化用である請求項1〜17のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項19】
ノロウイルス不活性化用である請求項1〜18のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載のフォーマー用組成物を収容することを特徴とするフォーマー。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エタノール消毒剤組成物は、手先等の生体部位を消毒する目的や、機器や設備等を消毒する目的で使用される。
このようなエタノール消毒剤組成物を使用する方法として、エタノール消毒剤組成物をスプレー等により霧状に噴霧し、消毒対象にエタノール消毒剤組成物を付着させる方法が知られている。
【0003】
エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧する場合、空気も大きく移動することになるので、消毒対象に付着していた細菌やウイルス等が、エタノール消毒剤組成物に触れる前に飛散してしまうことがあった。
また、エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧すると、エタノール消毒剤組成物が広範囲に拡散するので、その一部が無駄になることがあった。また、拡散したエタノール消毒剤組成物が、周囲の人に吸引され健康被害につながる恐れもある。さらに、着火源が近くにあると、火災の原因にもなる。
【0004】
このような問題を解消するために、エタノール消毒剤組成物をフォーマー等により泡状にして、消毒対象に噴射する方法も検討されていた。
【0005】
エタノール消毒剤組成物は、エタノールの濃度が高い程、殺菌効果やウイルス不活性化効果が強いとされている。
しかし、エタノールは、表面張力が低く消泡効果を有する。そのため、強い殺菌効果及びウイルス不活性化効果を得るためにエタノール消毒剤組成物中のエタノール濃度を高くすると、泡状になりにくいという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するための手段として、特許文献1では、シリコーン・ベースの界面活性剤を用いることが記載されている。
すなわち、特許文献1には、炭素数1〜3のアルコールを55質量%以上含有するアルコール消毒剤組成物において、(A)ポリエチレン変性シリコーン、(B)揮発性シリコーン、および(C)エステル油を含有していることを特徴とするアルコール消毒剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−199505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物には、高濃度のアルコールが含まれているので、高い消毒効果が期待でき、また、シリコーン・ベースの界面活性剤が含まれているので、泡状にしやすいという効果があった。
【0009】
その一方で、例えば、食品製造時に使用する機器や設備等の消毒に特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物を使用すると、食品にアルコール消毒剤組成物が混入してしまう可能性がある。
特許文献1のアルコール消毒剤組成物に含まれるシリコーン・ベースの界面活性剤の人体への安全性は充分に確認されておらず、特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物が、人体に摂取されると、悪影響を及ぼす可能性がある。
そのため、特許文献1に記載のアルコール消毒剤組成物は、食品製造時に使用する機器や設備を消毒するのに適していないという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、泡状にしやすく、充分な殺菌効果及びウイルス不活性化効果を有する安全なフォーマー用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、20〜45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のフォーマー用組成物は、20〜45重量%のエタノールを含む。
エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。
また、充分な殺菌効果を示す。さらに、後述するアルカリ剤の効果により充分なウイルス不活性化効果も示す。
エタノールの濃度が20重量%未満であると、充分な殺菌効果及びウイルス不活性化効果が得られにくくなる。
エタノールの濃度が45重量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。
【0013】
本発明のフォーマー用組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。
【0014】
本発明のフォーマー用組成物は、アルカリ剤を含む。
本発明のフォーマー用組成物をウイルスに使用した際に、アルカリ剤は、ウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。そのため、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルス不活性化効果が向上すると考えられる。
【0015】
本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10〜5.00重量%であることが望ましい。
界面活性剤の濃度が0.10重量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。
界面活性剤の濃度が5.00重量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0016】
本発明のフォーマー用組成物では、上記グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらの界面活性剤は、エタノールの殺菌効果を向上させる効果、及び、フォーマー用組成物を泡状にする効果に優れる。
【0017】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカリ剤の濃度は、0.10〜10.00重量%であることが望ましい。
アルカリ剤の濃度が、0.10重量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アルカリ剤の濃度が、10.00重量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
【0018】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。また、上記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
【0019】
本発明のフォーマー用組成物は、さらにアミノ酸を含むことが望ましい。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
そのため、エタノールがよりウイルスに接触しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
【0020】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスを不活性化するのに適している。
【0021】
また、本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより望ましい。
これらのアミノ酸は塩基性アミノ酸である。塩基性アミノ酸は、分子内に複数の窒素原子を有する。そのため、アルカリ剤との相乗効果によるウイルスの膜構造の変化を、より効果的に起こすことができる。
【0022】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸の濃度は、0.05〜5.00重量%であることが望ましい。
アミノ酸の濃度が、0.05重量%未満であると、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アミノ酸の濃度が、5.00重量%を超えると、保管中にアミノ酸が析出しやすくなる。また、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果の向上が上限に近づき経済的でない。
【0023】
本発明のフォーマー用組成物は、さらに酸剤を含むことが望ましい。また、上記酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
フォーマー用組成物が酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果がさらに向上する。また、酸剤を用いることにより、フォーマー用組成物のpHを調整することができる。
【0024】
本発明のフォーマー用組成物では、酸剤の濃度は、0.001〜2.00重量%であることが望ましい。
酸剤の濃度が、0.001重量%未満であると、酸剤の濃度が低すぎ、エタノールのウイルス不活性化効果を充分に増強させにくい。
酸剤の濃度が、2.00重量%を超えると、酸剤の濃度が高すぎ、フォーマー用組成物を噴霧等した際に、べとつきやすくなり、また、酸剤の析出が生じやすくなる。また、pHが低くなりやすく身体に使用した際、又は、身体に付着した際に刺激性が現れる。
【0025】
本発明のフォーマー用組成物は、さらに、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、タマリンド及びアルギン酸からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含むことが望ましい。
フォーマー用組成物が増粘剤を含むことにより、フォーマー用組成物の粘度を調整しやすくなる。
【0026】
本発明のフォーマー用組成物は、食品又は食品添加物として認められている化合物からなることが望ましい。
本発明のフォーマー用組成物がこのような化合物からなると、本発明のフォーマー用組成物が人体に摂取されたとしても安全である。
【0027】
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化用であってもよく、ノロウイルス不活性化用であってもよい。
本発明のフォーマー用組成物は、殺菌効果のみならず、ウイルス不活性化効果も有する。
特に、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルス不活性化効果に優れる。
【0028】
本発明のフォーマーは、上記本発明のフォーマー用組成物を収容することを特徴とする。
本発明のフォーマーを用いることにより、本発明のフォーマー用組成物を泡状に噴射することができる。
【0029】
本発明の消毒方法は、上記フォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の洗浄方法は、上記フォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。
そのため、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のフォーマー用組成物は、泡状になりやすく、充分な殺菌効果及びウイルス不活性化効果も示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1(a)は、実施例3のフォーマー用組成物を用いた油汚れに対する洗浄力の評価の写真である。図1(b)は、実施例3のフォーマー用組成物を用いた手垢汚れに対する洗浄力の評価の写真である。図1(c)は、比較例1のフォーマー用組成物を用いた油汚れに対する洗浄力の評価の写真である。図1(d)は、比較例1のフォーマー用組成物を用いた手垢汚れに対する洗浄力の評価の写真である。
図2図2(a)〜(d)は、実施例5のフォーマー用組成物を用いた水平面への噴射後の泡の状態を示す写真である。
図3図3は、実施例2及び比較例3のフォーマー用組成物を用いた垂直面への噴射後の泡の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明のフォーマー用組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0033】
本発明のフォーマー用組成物は、20〜45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
以下の本発明のフォーマー用組成物の各構成材料について説明する。
【0034】
(エタノール)
本発明のフォーマー用組成物は、20〜45重量%のエタノールを含む。エタノールの濃度は、25〜45重量%であることが望ましく、30〜40重量%であることがより望ましい。
エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。
また、充分な殺菌効果も示す。さらに、後述するアルカリ剤の効果により、充分なウイルス不活性化効果も示す。
エタノールの濃度が20重量%未満であると、充分な殺菌効果及びウイルス不活性化効果が得られにくくなる。
エタノールの濃度が45重量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。
【0035】
(界面活性剤)
本発明のフォーマー用組成物は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。
【0036】
本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10〜5.00重量%であることが望ましく、0.20〜2.00重量%であることがより望ましい。
界面活性剤の濃度が0.10重量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。
界面活性剤の濃度が5.00重量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0037】
本発明のフォーマー用組成物では、グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンに脂肪酸が1つ結合したエステルであるモノグリセリド、グリセリンに脂肪酸が2つ結合したエステルであるジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したエステルであるトリグリセリドであってもよい。
また、グリセリン有機酸脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステルであってもよい。
【0038】
モノグリセリドとしては、グリセリンカプリル酸エステル、グリセリンカプリン酸エステル、グリセリンラウリン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリン12−ヒドロキシステアリン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル等が挙げられる。また、ジグリセリド、トリグリセリドとしては、上記モノグリセリドの脂肪酸が2つ又は3つ結合したジグリセリド、トリグリセリドが挙げられ、モノ・ジグリセリド混合物としては上記モノグリセリドとジグリセリドの混合物が挙げられる。
【0039】
グリセリン有機酸脂肪酸エステルとしては、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0040】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルが挙げられる。
【0041】
これらのグリセリン脂肪酸エステルの中では、ポリグリセリンカプリル酸エステル及び/又はポリグリセリンラウリン酸エステルが望ましい。
【0042】
本発明のフォーマー用組成物では、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖べヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステルであってもよい
これらの中では、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0043】
本発明のフォーマー用組成物では、ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンラウリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル等のソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル等のソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタントリべへン酸エステル等のソルビタントリ脂肪酸エステルであってもよい。
【0044】
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、脂肪酸とプロピレングリコールのエステル又は油脂とプロピレングリコールのエステル交換物が挙げられる。
具体的には、プロピレングリコールラウリン酸エステル、プロピレングリコールパルミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル、プロピレングリコールベヘン酸エステル等が挙げられる。
【0045】
本発明のフォーマー用組成物では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルであってもよい。
これらの中では、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステルであることが望ましい。
【0046】
これらの界面活性剤は、エタノールの殺菌効果を高める効果を有する。また、界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。
【0047】
(アルカリ剤)
本発明のフォーマー用組成物は、アルカリ剤を含む。
アルカリ剤は、ウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
そのため、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
また、アルカリ剤は、油汚れに対する洗浄力を向上させることができる。
【0048】
また、アルカリ剤により、フォーマー用組成物のpHを調整することができる。
【0049】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカリ剤の濃度は、0.10〜10.00重量%であることが望ましく、0.10〜5.00重量%であることがより望ましく、0.10〜3.00重量%であることがさらに望ましく、0.20〜2.00重量%であることがよりさらに望ましい。
アルカリ剤の濃度が、0.10重量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アルカリ剤の濃度が、10.00重量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
【0050】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、リン酸三塩、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。これらの中では、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、リン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。
より具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、これらの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及びリン酸三カリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることがより望ましい。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
【0051】
(アミノ酸)
本発明のフォーマー用組成物は、さらにアミノ酸を含むことが望ましい。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、上記アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
このような作用により、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
【0052】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸の濃度は、0.05〜5.00重量%であることが望ましく、0.05〜3.00重量%であることがより望ましく、0.10〜2.00重量%であることがさらに望ましい。
アミノ酸の濃度が、0.05重量%未満であると、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アミノ酸の濃度が、5.00重量%を超えると、保管中にアミノ酸が析出しやすくなる。また、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果の向上が上限に近づき経済的でない。
【0053】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスを不活性化するのに適している。
【0054】
また、本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びこれらのアミノ酸は塩基性アミノ酸である。リシンからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
塩基性アミノ酸は、分子内に複数の窒素原子を有する。そのため、アルカリ剤との相乗効果によるウイルスの膜構造の変化を、より効果的に起こすことができる。
【0055】
なお、本発明のフォーマー用組成物を製造する際に、アミノ酸は、アミノ酸塩の態様で使用してもよい。特に、アミノ酸塩を構成するアミノ酸が塩基性アミノ酸である場合、アミノ酸塩は塩酸塩であることが望ましい。
【0056】
(酸剤)
本発明のフォーマー用組成物は、さらに酸剤を含むことが望ましい。また、上記酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
フォーマー用組成物が酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果がさらに向上する。また、酸剤を用いることにより、フォーマー用組成物のpHを調整することができる。
【0057】
本発明のフォーマー用組成物では、上記酸剤の濃度は、0.001〜2.00重量%であることが望ましく、0.01〜1.00重量%であることがより望ましい。
酸剤の濃度が、0.001重量%未満であると、酸剤の濃度が低すぎ、エタノールのウイルス不活性化効果を充分に増強させにくい。
酸剤の濃度が、2.00重量%を超えると、酸剤の濃度が高すぎ、フォーマー用組成物を噴霧等した際に、べとつきやすくなり、また、酸剤の析出が生じやすくなる。また、pHが低くなりやすく身体に使用した際、又は、身体に付着した際に刺激性が現れる。
【0058】
また、本発明のフォーマー用組成物は、上記酸剤の塩を含んでいてもよい。
【0059】
(その他の添加物)
本発明のフォーマー用組成物は、さらに、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、タマリンド及びアルギン酸からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含むことが望ましい。
フォーマー用組成物が増粘剤を含むことにより、フォーマー用組成物の粘度を調整しやすくなる。
【0060】
本発明のフォーマー用組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、ヨウ化ナトリウム等の無機塩を含んでいてもよい。
【0061】
本発明のフォーマー用組成物は、さらに、グリセリン、酢酸トコフェロール等の化合物や、粘度調整剤等の添加物を含んでいてもよい。
【0062】
(フォーマー用組成物のpH)
本発明のフォーマー用組成物のpHは、特に限定されない。
例えば、本発明のフォーマー用組成物がアミノ酸を含まない場合には、本発明のフォーマー用組成物のpHは、7〜14であることが望ましく、8〜13であることがより望ましい。
このような範囲であると、フォーマー用組成物のウイルス不活性化効果が向上する。
【0063】
また、本発明のフォーマー用組成物が、アミノ酸を含む場合には、本発明のフォーマー用組成物のpHは、3〜12であることが望ましく、6〜11であることがより望ましい。
上記の通り、本発明のフォーマー用組成物がアミノ酸を含む場合、アルカリ剤及びアミノ酸の相乗効果により、本発明のフォーマー用組成物は、充分なウイルス不活性化効果を示す。
特にpHが6〜11であると、作業者の手等に本発明のフォーマー用組成物が付着したとしても安全である。さらに、中性であればより安全である。
【0064】
なお、本発明のフォーマー用組成物のpHは、アルカリ剤、酸剤及び無機塩の配合比率を変えることにより調整することができる。
【0065】
本発明のフォーマー用組成物は、食品又は食品添加物として認められている化合物からなることが望ましい。
本発明のフォーマー用組成物がこのような化合物からなると、本発明のフォーマー用組成物が人体に摂取されたとしても安全である。
さらに、食品又は食品添加物として認められた化合物のみで構成されたフォーマー用組成物の場合、食品を製造する設備や機器に使用した時、手指の消毒に使用した時に、設備、機器、手指に残留した成分が食品に接触したとしても安全である。
また、本発明のフォーマー用組成物には、食品又は食品添加物として認められていない化合物を含まないことが望ましい。
なお、本明細書において「食品添加物として認められている化合物」とは、食品衛生法施行規則(平成二七年九月一八日厚生労働省令第一四三号による改正)の別表1に記載された指定添加物、既存添加物、天然香料及び一般飲食添加物を意味する。
【0066】
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルスに対し使用されることが望ましい。すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化用のフォーマー用組成物であってもよい。
本発明のフォーマー用組成物は、殺菌効果のみならず、ウイルス不活性化効果も有する。
【0067】
また、使用対象であるウイルスの種類としては、特に限定されず、ノンエンベロープウイルスであってもよく、エンベロープウイルスであってもよい。
ノンエンベロープウイルスとしては、ノロウイルス等が挙げられる、
エンベロープウイルスとしては、インフルエンザウイルス等が挙げられる。
【0068】
また、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルスに対し使用されることがより望ましい。すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルス不活性化用のフォーマー用組成物であってもよい。
本発明のフォーマー用組成物は、特に、ノロウイルス不活性化効果に優れる。
【0069】
また、本明細書において、「ノロウイルス用のフォーマー用組成物」とは、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス及びヒトノロウイルスからなる群から選択される少なくとも1種のウイルスに対してウイルス不活性化効果を有するフォーマー用組成物の事を意味する。
なお、ヒトノロウイルスは、培養細胞を用いて増殖させる方法は確立されていない。
そのため、ヒトノロウイルスの不活性化に対するウイルス不活性化効果の検証には、代替ウイルスとしてネコカリシウイルス(FCV)やマウスノロウイルス(MNV)が広く用いられている。FCV及びMNVは、形態的特徴やゲノムの構造から、ヒトノロウイルスに近縁なウイルスであることが明らかにされている。
【0070】
本発明のフォーマー用組成物は、ネコカリシウイルスを試験ウイルスとした下記タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上減少していることが望ましく、4.0以上減少していることがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
【0071】
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL−94)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをOPTI−MEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とする。
(4)フォーマー用組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、フォーマー用組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液を1分作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI−MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI−MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を0分作用ウイルス溶液とする。
(6)0分作用ウイルス溶液、1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI−MEM培地により10倍段階希釈する。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加える。
(7)0分作用ウイルス溶液及び1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
【0072】
本発明のフォーマー用組成物は、マウスノロウイルスを試験ウイルスとした下記タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上減少していることが望ましく、4.0以上減少していることがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
【0073】
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
(1)マウスノロウイルスを、マウスのマクロファージ由来細胞株であるRAW 264.7細胞(ATCC TIB−71)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、マウスノロウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)牛肉エキス(ナカライテスク社製)0.1gをDMEM培地で溶解して10%肉エキス液を作製し、遠心分離後の培養細胞破砕液の上清と、10%肉エキスとを1:1の割合(容量)で混合し、ウイルス溶液とする。
(4)フォーマー用組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、フォーマー用組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液を1分作用ウイルス溶液とする。
(5)10%牛胎児血清含有DMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、10%牛胎児血清含有DMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を0分作用ウイルス溶液とする。
(6)0分作用ウイルス溶液及び1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、10%牛胎児血清含有DMEM培地により、10倍段階希釈する。1ウェルにRAW 264.7細胞を50μLずつ分注した96wellマイクロプレートに、各段階希釈液を50μLずつ加える。
(7)0分作用ウイルス溶液及び1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたRAW 264.7細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したRAW 264.7細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
【0074】
本発明のフォーマー用組成物は、インフルエンザウイルスを試験ウイルスとした下記インフルエンザウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上小さいことが望ましく、4.0以上小さいことがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、インフルエンザウイルスの感染を防止することができる。
【0075】
(インフルエンザウイルス感染力価測定)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)フォーマー用組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、フォーマー用組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液を1分作用ウイルス溶液とする。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を0分作用ウイルス溶液とする。
(6)0分作用ウイルス溶液、1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)0分作用ウイルス溶液及び1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養する。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)〜(8)の工程を3回独立に行い、0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
【0076】
次に、本発明のフォーマー用組成物の使用方法、すなわち、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法について説明する。
本発明の消毒方法は、上記本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の洗浄方法は、上記本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
【0077】
上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。
そのため、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。
【0078】
本発明のフォーマー用組成物を、泡状に噴射する手段として、ハンドガンタイプのフォーマー、泡ポンプタイプのフォーマー等、通常のフォーマーを用いることができる。
このようなフォーマーは、キャニヨン株式会社、株式会社吉野工業所、株式会社ライフプラテック、竹本容器株式会社、AFA Dispensing社等から購入することができる。
【0079】
また、本発明のフォーマー用組成物を収容するフォーマーは本発明のフォーマーでもある。
【0080】
本発明の消毒方法において、消毒の対象物としては、手先等の生体部位や、テーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器や設備等が挙げられ、特に限定されるものではない。
また、本発明の消毒方法では、フォーマー用組成物を食品に噴射して消毒を行ってもよい。
【0081】
また、本発明のフォーマー用組成物を対象物に噴射した後、カウンタークロス等の布により、本発明のフォーマー用組成物を拭き取ってもよい。
【実施例】
【0082】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0083】
(実施例1〜14)及び(比較例1〜3)
表1に示す配合で、実施例1〜14及び比較例1〜3のフォーマー用組成物を作製した。
なお、表1中、化合物の製造元等は以下の通りである。
エタノール:発酵アルコール95度1級(第一アルコール株式会社製)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル:ウィルサーフTF−20(日油株式会社製)
ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルL−1695(三菱化学フーズ株式会社製)
ポリグリセリン脂肪酸エステル:SYグリスターML−500(阪本薬品工業株式会社製)
炭酸水素ナトリウム:重炭酸ナトリウム(食添)(東ソー株式会社製)
炭酸ナトリウム:ソーダ灰(ライト)(食添)(株式会社トクヤマ製)
炭酸カリウム:炭酸カリウム(食添)(旭硝子株式会社製)
アルギニン:L−アルギニン(株式会社サンクト製)
ヒスチジン:L−ヒスチジン(株式会社サンクト製)
リシン塩酸塩:L−リシン塩酸塩(株式会社サンクト製)
グリシン:ユーキのグリシン(有機合成薬品工業株式会社製)
バリン:L−バリン(協和発酵バイオ株式会社製)
ロイシン:L−ロイシン(株式会社サンクト製)
イソロイシン:L−イソロイシン(協和発酵バイオ株式会社製)
セリン:L−セリン(協和発酵バイオ株式会社製)
フェニルアラニン:L−フェニルアラニン(株式会社サンクト製)
トレオニン:L−トレオニン(協和発酵バイオ株式会社製)
クエン酸:精製クエン酸(無水)(扶桑化学工業株式会社製)
乳酸:ムサシノ乳酸50(株式会社武蔵野化学研究所製)
リン酸:85%リン酸食添(コープケミカル株式会社製)
【0084】
【表1】
【0085】
(大腸菌に対する殺菌効果の評価)
(1)大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)を普通ブイヨン培地に接種し、35℃で24時間培養し菌液とした。
【0086】
(2)各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物と菌液とを99:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、SCD培地に1白金耳移植し、35℃で48時間培養後、菌の生死を判定した。
【0087】
(3)SCD培地に濁りが見られた場合、菌が死滅しなかったと判断し、濁りが見られない場合菌が死滅したと判断した。
結果を表1に示す。評価基準は以下の通りである。
A:大腸菌が死滅した。
B:大腸菌が死滅しなかった。
【0088】
(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係るフォーマー用組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0089】
(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係るフォーマー用組成物を用い、上記(タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0090】
(インフルエンザウイルス感染力価測定)
各実施例及び各比較例に係るフォーマー用組成物を用い、上記(インフルエンザウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0091】
(洗浄力の評価)
黒色のポリプロピレン製ダンボール(10cm×10cm)に油汚れを想定した大豆白絞油0.3gと、手垢汚れを想定した人口皮脂(トリオレイン30%、トリパルミチン30%、オレイン酸15%、パルミチン酸15%、スクアレン10%)0.15gをそれぞれ塗布し、マグネチックスターラーの上に設置した。
それぞれの塗布した汚れの上に、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を0.5mL滴下した。円盤型撹拌子(直径4cm)をレーヨン100%不織布(10cm×10cm)で包み、上部をクリップで固定した。それを滴下した各実施例及び各比較例に係るフォーマー用組成物の上に置き、40rpmの回転数で30秒間回転させた。回転後、円盤型撹拌子を取り除き、目視でポリプロピレン製ダンボール表面に残った汚れの落ち度合いを評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:油汚れ、手垢汚れともに大部分の汚れが除去された。
B:油汚れ、手垢汚れの一部の汚れが除去された。
C:油汚れ、手垢汚れともに汚れがほとんど除去されなかった。
【0092】
実施例3及び比較例1のフォーマー用組成物を用いた「洗浄力の評価」の観察における写真を代表例として図1(a)〜(d)に示す。
図1(a)は、実施例3のフォーマー用組成物を用いた油汚れに対する洗浄力の評価の写真である。
図1(b)は、実施例3のフォーマー用組成物を用いた手垢汚れに対する洗浄力の評価の写真である。
図1(c)は、比較例1のフォーマー用組成物を用いた油汚れに対する洗浄力の評価の写真である。
図1(d)は、比較例1のフォーマー用組成物を用いた手垢汚れに対する洗浄力の評価の写真である。
【0093】
(水平面への噴射後の泡の状態の評価)
キャニヨン株式会社製フォーマー(型番:T−95 C7NFN)、株式会社吉野工業所製フォーマー、株式会社ライフプラテック製フォーマー、及び、竹本容器株式会社製フォーマー(型番:Z−305−101(F1))の4種のフォーマーを準備した。
【0094】
次に、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を、各フォーマーに入れ、水平面に対し、15cmの距離から噴射した。
5秒後のフォーマー用組成物の状態を目視で観察し、泡の状態を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:4種のフォーマー全てにおいて、泡状に吐出され、5秒後の目視確認時も泡の状態を維持した。
B:1〜3種のフォーマーにおいて、泡が吐出され、5秒後の目視確認時も泡の状態を維持した。
C:4種のフォーマー全てにおいて、泡状に吐出されなかった。
【0095】
実施例3のフォーマー用組成物を用いた「水平面への噴射後の泡の状態の評価」の観察における写真を代表例として図2に示す。
図2(a)〜(d)は、実施例5のフォーマー用組成物を用いた水平面への噴射後の泡の状態を示す写真である。
図2(a)は、キャニヨン株式会社製フォーマーを用いた結果である。
図2(b)は、株式会社吉野工業所製フォーマーを用いた結果である。
図2(c)は、株式会社ライフプラテック製フォーマーを用いた結果である。
図2(d)は、竹本容器株式会社製フォーマーを用いた結果である。
【0096】
また、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を用いた「水平面への噴射後の泡の状態の評価」の結果を表1に示す。
【0097】
(垂直面への噴射後の泡の状態の評価)
竹本容器株式会社製フォーマー(型番:Z−305−101(F1))を準備した。
次に、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を、竹本容器株式会社製フォーマーに入れ、垂直面に対し、30cmの距離から噴射した。
噴射直後、5秒後及び10秒後のフォーマー用組成物の状態を目視で観察し、泡の状態を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:噴射直後、5秒後及び10秒後の目視確認時に泡が観察され、液だれも殆どなかった。
B:5秒後及び/又は10秒後の目視確認時に泡が観察されず、液だれが生じていた。
C:噴射直後の目視確認時に泡が観察されず、液だれが生じていた。
【0098】
実施例2及び比較例3のフォーマー用組成物を用いた「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」の観察における写真を代表例として図3に示す。
図3は、実施例2及び比較例3のフォーマー用組成物を用いた垂直面への噴射後の泡の状態を示す写真である。
【0099】
また、各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を用いた「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」の結果を表1に示す。
【0100】
表1に示すように、実施例1〜6のフォーマー用組成物は、「大腸菌に対する殺菌効果の評価」、「タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定」、「タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定」、「インフルエンザウイルス感染力価測定」、「洗浄力の評価」、「水平面への噴射後の泡の状態の評価」及び「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」のいずれの評価も良好であった。
【0101】
表1に示すように、エタノールの濃度が低く、界面活性剤を含まない比較例1のフォーマー用組成物は、「大腸菌に対する殺菌効果の評価」、「タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定」、「タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定」及び「インフルエンザウイルス感染力価測定」が良好でなかった。
また、比較例1のフォーマー用組成物は、界面活性剤を含まないので、「水平面への噴射後の泡の状態の評価」及び「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」が良好でなく、泡が形成されなかった。
【0102】
アルカリ剤を含まない比較例2のフォーマー用組成物は、「タンパク質汚れ存在時ネコカリシウイルス感染力価測定」、「タンパク質汚れ存在時マウスノロウイルス感染力価測定」及び「インフルエンザウイルス感染力価測定」が良好でなかった。また、「洗浄力の評価」が良好でなかった。
【0103】
エタノールの濃度が高い比較例3のフォーマー用組成物は、「水平面への噴射後の泡の状態の評価」及び「垂直面への噴射後の泡の状態の評価」が良好でなく、泡が形成されなかった。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2019年5月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜45重量%のエタノールと、
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、
アルカリ剤と
アミノ酸とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の濃度は、0.10〜5.00重量%である請求項1に記載のフォーマー用組成物。
【請求項3】
前記グリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンカプリル酸エステル、ポリグリセリンカプリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル及びポリグリセリンミリスチン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のフォーマー用組成物。
【請求項4】
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項6】
前記アルカリ剤の濃度は、0.10〜10.00重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項7】
前記アルカリ剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項8】
前記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である請求項7に記載のフォーマー用組成物。
【請求項9】
前記アミノ酸の濃度は、0.05〜5.00重量%である請求項1〜8のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項10】
前記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜9のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項11】
前記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びリシンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜10のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項12】
さらに酸剤を含む請求項1〜11のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項13】
前記フォーマー用組成物中の前記酸剤の濃度は、0.001〜2.00重量%である請求項12に記載のフォーマー用組成物。
【請求項14】
前記酸剤は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項12又は13に記載のフォーマー用組成物。
【請求項15】
さらに、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、タマリンド及びアルギン酸からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含む請求項1〜14のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項16】
食品又は食品添加物として認められている化合物からなる請求項1〜15のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項17】
ウイルス不活性化用である請求項1〜16のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項18】
ノロウイルス不活性化用である請求項1〜17のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載のフォーマー用組成物を収容することを特徴とするフォーマー。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする洗浄方法。