前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル及びアルキルベンゼン鉱油からなる群より選択される1種以上である、請求項6に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の組成物は、フルオロアミン化合物及び含フッ素オレフィンを含むことを特徴とする。
【0010】
フルオロアミン化合物
フルオロアミン化合物は、下記一般式(I)により表わされる。尚、本開示の組成物は、下記一般式(I)により表わされる化合物を1種以上含んでいてよい。
【0011】
【化3】
〔但し、上記一般式(I)中、R
1、R
2及びR
3はそれぞれ独立に、炭素数1若しくは2のアルキル基、炭素数1若しくは2のハロゲン化アルキル基、H又はFを示し、且つ、R
1、R
2及びR
3の何れか1以上がFである。〕
【0012】
一般式(I)で表わされる化合物の中でも、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、炭素数1若しくは2のアルキル基、又は、炭素数1若しくは2のハロゲン化アルキル基であり、R
3はH又はFであることが好ましい。
【0013】
またさらに、かかる化合物の中でも、CF
3NF
2、CF
2HNF
2、CFH
2NF
2、CH
3NF
2、CF
3CF
2NF
2、CH
3CF
2NF
2、CH
2FCF
2NF
2、CHF
2CF
2NF
2、CF
3CH
2NF
2、CF
3CHFNF
2、CF
3NHF、CF
2HNHF、CFH
2NHF、CH
3NHF、CF
3CF
2NHF、CH
3CF
2NHF、CH
2FCF
2NHF及びCHF
2CF
2NHF、CF
3CH
2NHF、CF
3CHFNHFから成る群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0014】
含フッ素オレフィン
含フッ素オレフィンは、下記一般式(II)により表わされる化合物である。
【0015】
【化4】
但し、上記一般式(II)中、a、b及びcは整数であって、2≦a≦4、0≦b≦7、b+c≦2aである。また、c個のXは少なくとも1個のFを有し、Fのみ、或いはF及びClより構成される。〕
【0016】
含フッ素オレフィンは、上記した一般式(II)で表わされる化合物であれば特に限定はない。具体的には、フルオロエチレン(HFO−1141)、トランス−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132E)、シス−1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132Z)、1,1−ジフルオロエチレン(HFO−1132a)、トリフルオロエチレン(HFO−1123)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ye)、1,1,2,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yc)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)、HFO−1216、HCFO−1233zd(E/Z)、HCFO−1233xf等を挙げることができる。これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合等することにより併用してもよい。
【0017】
尚、上記した含フッ素オレフィンの具体的な構造及び化学名は、下記表1の通りである。
【0019】
組成物
本開示の組成物は、後述する種々の実施態様にあるように、好ましくは、所定のフルオロアミン化合物及び含フッ素オレフィンを、それぞれ所定の配合で含有する。
【0020】
かかる組成物に求められる性質として、熱サイクルシステムにおける良好なエネルギー効率が得られることが挙げられる。かかるエネルギー効率を示す指標としてCoefficient Of Performance(以下、単にCOPという。)があり、高いCOPを有する上記化合物や組成物が求められる。
【0021】
さらには、これらの化合物は構造式中にフッ素を含有することから、燃焼することによりフッ化水素(HF)やフッ化カルボニル(COF2)等の有毒ガスが発生する。したがってこれらの化合物、或いはそれを含む組成物には、燃焼性が抑制されていることも求められる。
【0022】
本開示の組成物は、所定のフルオロアミン化合物及び含フッ素オレフィンを所定の配合で含有することにより、該組成物のCOPを高値なものとしたり、該組成物の燃焼性を抑制したり、該組成物を冷媒と使用した際の冷凍能力を向上させたりすることがより顕著なものとなる。
【0023】
組成物中に含まれるフルオロアミン化合物と含フッ素オレフィンとの存在比は、共沸又は共沸様とすることが好ましい。かかる構成とすることにより、組成物の気相及び液相の組成変化が抑制され、単一物として扱うことができる。また、冷媒と使用した際に、冷媒性能の指標である冷凍能力及びガス密度を高めることが可能となる。
【0024】
本明細書において共沸様とは、フルオロアミン化合物と含フッ素オレフィンとを含有する混合物を蒸留し、濃縮するサイクルを繰り返しても、前記混合物の組成変動が±2質量%の範囲内に抑えられることを意味する。
【0025】
以上にしてなる本開示の組成物は、例えば、空調や冷蔵装置、冷凍装置において使用される冷媒、R410A、R404A、R407H、R513A、R513B、R32、R22、R134a、HFO-1234yf、又はHFO-1234ze等の用途に使用することが可能であり、COPが高値を示し、燃焼性が抑制されており、また、冷媒として使用した際の、低燃焼性並びに冷凍能力に優れるといった特性を有する。
【0026】
尚、本明細書において燃焼性が抑制されていることは、不燃性又は低燃焼性であることを、意味する。可燃性、不燃性は、米国ASHRAE34-2013規格に従って評価することができる。燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置を用いて測定でき、着火点を中心に90度以上火炎が広がった場合を“燃焼”とし、同実験を3回行い、2回以上“不燃”だった場合、その組成は不燃であると判定される。本願で特に“不燃”と記載する場合はASHRAE34-2013規格にのっとった“不燃”をさす。
【0027】
また、燃焼性の指標としては、相対的に該化合物および該組成物の燃焼熱から導くことも可能である。例えば、ASHRAE34-2013規格では、19MJ/kg以上の燃焼熱を持つ化合物、もしくは組成物は燃焼性が高いクラス3に分類される。微燃性(クラス2L)に分類されるものとしては、燃焼熱が約12.5MJ/kgであるHFO-1234yf、約12.2MJ/kgであるHFO-1234ze(E)、約10MJ/kgであるR32がある。また、不燃(クラス1)に分類されるものとして燃焼熱が約8.7MJ/kgであるHFO-1225ye(Z)がある。
【0028】
また、本明細書において、低燃焼性であることはASHRAE34-2013規格で分類されるクラス3よりも燃焼性が低いことを指し、具体的にはクラス2L、クラス2およびクラス1のいずれかに分類され得る燃焼熱、燃焼速度を有することを意味し、特にクラス1については、燃焼範囲をもたないことを、意味する。したがって、上記に記載の通り、微燃性(クラス2L)に分類されるHFO−1234yf、HFO−1234ze(E)の燃焼熱と同等以下の燃焼熱を持つ組成物は微燃性以下の燃焼性であると考えられ、不燃(クラス1)に分類されるHFO−1225ye(Z)の燃焼熱以下の燃焼熱を持つ組成物は不燃となりうる。
【0029】
添加剤
本開示の組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、安定剤、冷凍機油(オイル)、防錆剤、腐食防止剤、潤滑剤、重合禁止剤、溶剤、水分等を挙げることができる。安定剤としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、1,4−ジオキサン等のエーテル類、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等のアミン類、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。安定剤は、1種を使用、または2種以上を組み合わせて使用することができる。冷凍機油(オイル)としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、アルキルベンゼン鉱油等が利用できるが、これらに限定されない。また、重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0030】
組成物に添加する添加剤の量は、各添加剤の種類に応じて適宜調整すればよく、特に限定はない。例えば、本開示の組成物は、冷凍機油(オイル)を添加することにより、冷凍機の作動流体として好適に使用することができるが、かかる場合、組成物全体100質量%中に、冷凍機油を15〜60質量%添加するのが好ましく、20〜40質量%添加することが好ましい。但し、冷凍機のオイルタンクの仕様によっては、特に上記数値範囲に限定されない。また、重合禁止剤を添加する場合には、組成物全体100質量%中に、0.01〜5.0質量%添加するのが好ましく、〜0.5〜4質量%添加するのがより好ましい。もちろん、本開示の組成物は、冷媒以外の添加剤を含まなくてもよい。
【0031】
システム
本開示の組成物は、各種のシステムに好適に使用することができる。かかるシステムとしては、特に限定はなく、例えば、熱サイクルシステムを例示することができる。熱サイクルシステムは、本開示の組成物を備えることで、冷却能力の高い熱サイクルシステムとなり得る。また、本開示の組成物は、例えば冷媒用途に使用する場合、燃焼性が抑制されていることから、燃焼性の高い従来の冷媒と置き換えた場合、高い安全性を熱サイクルシステムに付与することができる。しかも、本開示の組成物は、温度クライドも低いので、安定性の高い熱サイクルシステムを提供することができる。
【0032】
熱サイクルシステムの種類は特に限定されない。熱サイクルシステムの例としては、ルームエアコン、店舗用パッケージエアコン、ビル用パッケージエアコン、設備用パッケージエアコン、一以上の室内機及び室外機を冷媒配管で接続したセパレート型エアコン、ウインドウ型エアコン、ポータブル型エアコン、ダクトで冷温風を搬送するルーフトップ型又はセントラル型エアコン、ガスエンジンヒートポンプ、列車用空調装置、自動車用空調装置、内蔵型ショーケース、別置型ショーケース、業務用冷凍冷蔵庫、製氷機、一体型冷凍機、自動販売機、カーエアコン、海上輸送等のコンテナ又は冷蔵庫を冷却するための冷凍機、チラーユニット、ターボ冷凍機、もしくは、暖房サイクル専用機を挙げることができる。前記暖房サイクル専用機とは、例えば、給湯装置、床暖房装置、融雪装置等が挙げられる。
【0033】
上記例示列挙した熱サイクルシステムは、本開示の組成物を備える限り、その他の構成については、特に限定されないが、例えば、R410A、R404A、R407H、R513A、R513B、R32、R22、R134a、HFO-1234yf又はHFO-1234zeのような既存の冷媒を用いた熱サイクルシステムの構成とすることができる。
【0034】
代替冷媒
本開示の組成物は、COPが高値を示し、燃焼性が抑制されているという性質を有することから、従来より使用されてきた、R410A、R404A、R407H、R513A、R513B、R32、R22、R134a、HFO-1234yf又はHFO-1234zeといった冷媒の代替冷媒として好適に使用することが可能である。
【0035】
冷凍機
また既述の如く、本開示の組成物は、冷凍機における作動流体として利用することも可能である。
【0036】
好適な実施態様
本開示の組成物は、上述したフルオロアミン化合物及び含フッ素オレフィンを含む組成物であれば特に限定はない。具体的には、以下のような実施態様が好適である。
【0037】
たとえば、フルオロアミン化合物としてCF
2HNF
2を、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234yfを使用した組成物とするのが好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
2HNF
2:HFO-1234yf=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても同等レベルのCOPを有しつつも、GWPの低い組成物とすることができる。特に大型空調用の冷媒として使用した場合には、優れた冷凍能力を得られることから、好適である。
【0038】
フルオロアミン化合物とHFO類の組成物としては、CF
2HNF
2及びHFO−1234yfを含む組成物では、該組成物100質量%中、CF
2HNF
2が10質量%以上で燃焼熱が約11.8MJ/kg以下となり、さらにCF
2HNF
2が55質量%以上で燃焼熱が約8.5MJ/kg以下となる。CF
2HNF
2及びHFO−1234ze(E)を含む組成物では、該組成物100質量%中、CF
2HNF
2が10質量%以上で燃焼熱が約11.5MJ/kg以下となり、さらにCF
2HNF
2が45質量%以上で燃焼熱が約8.5MJ/kg以下となる。CF
2HNF
2及びHFO−1225ye(Z)を含む組成物では、CF
2HNF
2がいずれの組成でも燃焼熱が約8.7MJ/kg以下となる。したがって、CF
2HNF
2とHFO類の組成物は、HFO類単独の場合よりも燃焼熱は低下し結果燃焼性を低減することができる。一方、組成物中のCF
2HNF
2の上限値としては特に限定はなく、例えば、99.9質量%とすることができる。
【0039】
(CF
3)
2HNF及びHFO−1234yfを含む組成物では、該組成物100質量%中、(CF
3)
2HNFのが10質量%以上で燃焼熱が約11.5MJ/kg以下となり、(CF
3)
2HNFが40質量%以上で燃焼熱が約8.5MJ/kg以下となる。(CF
3)
2HNF及びHFO−1234ze(E)を含む組成物では、該組成物100質量%中、(CF
3)
2HNFが10質量%以上で燃焼熱が約11.5MJ/kg以下となり、(CF
3)
2HNFが40質量%以上で燃焼熱が約8.3MJ/kg以下となる。(CF
3)
2HNF及びHFO−1225ye(Z)を含む組成物では、(CF
3)
2HNFがいずれの組成でも燃焼熱が約8.7MJ/kg以下となる。したがって、(CF
3)
2HNF及びHFO類を含む組成物は、HFO類単独の場合よりも燃焼熱は低下し結果燃焼性を低減することができる。一方、組成物中の(CF
3)
2HNFの上限値としては特に限定はなく、例えば、99.9質量%とすることができる。
【0040】
CF
3HNHF及びHFO−1234yfを含む組成物では、該組成物100質量%中、CF
3HNHFが10質量%以上で燃焼熱が約11.6MJ/kg以下となり、CF
3HNHFが45質量%以上で燃焼熱が約8.5MJ/kg以下となる。CF
3HNHF及びHFO−1234ze(E)を含む組成物では、該組成物100質量%中、CF
3HNHFが10質量%以上で燃焼熱が約11.3MJ/kg以下となり、CF
3HNHFが40質量%以上で燃焼熱が約8.6MJ/kg以下となる。CF
3HNHF及びHFO−1225ye(Z)を含む組成物では、CF
3HNHFがいずれの組成でも燃焼熱が約8.7MJ/kg以下となる。したがって、CF
3HNHF及びHFO類を含む組成物は、HFO類単独の場合よりも燃焼熱は低下し結果燃焼性を低減することができる。一方、組成物中のCF
3HNHFの上限値としては特に限定はなく、例えば、99.9質量%とすることができる。
【0041】
また、フルオロアミン化合物としてCF
2HNF
2を、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234zeを使用した組成物とするのが好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
2HNF
2:HFO-1234ze=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても同等レベルのCOPを有しつつも、GWPの低い組成物とすることができる。特に大型空調の冷媒として使用した場合には、優れた冷凍能力を得られることから、好ましい。また、冷凍装置の冷媒と使用する際にも、とりわけ質量比CF
2HNF
2:HFO-1234ze=15:85〜45:55の配合とした場合に、高いCOP値を得ることができ、好ましい。
【0042】
フルオロアミン化合物としてCF
3NHFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234yfを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
3NHF:HFO-1234yf=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても高値のCOPを有する組成物とすることができる。特に大型空調用の冷媒として使用した場合に、優れた冷凍能力を得ることができる。
【0043】
フルオロアミン化合物としてCF
3NHFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234zeを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
3NHF:HFO-1234ze=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても高値のCOPを有する組成物とすることができる。
【0044】
また、フルオロアミン化合物としてCF
2HNF
2を、含フッ素オレフィンとしてHFO-1225yeを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
2HNF
2:HFO-1225ye=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても同等レベルのCOPを有しつつも、GWPの低い組成物とすることができる。
【0045】
また、フルオロアミン化合物としてCF
3NHFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1225yeを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比でCF
3NHF:HFO-1225ye=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても同等レベルのCOPを有しつつも、GWPの低い組成物とすることができる。
【0046】
また、フルオロアミン化合物として(CF
3)
2NFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234yfを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒として使用する場合には、質量比で(CF
3)
2NF:HFO-1234yf=15:85〜55:45の配合で混合することにより、従来品と比べても高値のCOPを有する組成物とすることができる。また、これを大型空調装置の冷媒として使用すると、優れた冷凍能力を得ることができる。
【0047】
また、フルオロアミン化合物として(CF
3)
2NFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1234zeを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や冷凍装置の冷媒として使用すれば、質量比で(CF
3)
2NF:HFO-1234ze=15:85〜65:35の配合で混合することにより、従来品と比べても高値のCOPを有する組成物とすることができる。また、大型空調装置の冷媒として使用する場合には、質量比で(CF
3)
2NF:HFO-1234ze=15:85〜85:15の配合で混合することにより、従来品と比べても同等以上のCOPと冷凍能力を得ることができる。
【0048】
また、フルオロアミン化合物として(CF
3)
2NFを、含フッ素オレフィンとしてHFO-1225yeを使用した組成物とするのも好ましい。また、これを家庭用空調装置の冷媒や大型空調装置の冷媒、或いは、冷凍装置の冷媒として使用する場合には、質量比で(CF
3)
2NF:HFO-1225ye=15:85〜15:85の配合で混合することにより、従来品と比べても高値のCOPを有する組成物とすることができる。とりわけ、かかる組成物を大型空調装置の冷媒として使用すれば、質量比で(CF
3)
2NF:HFO-1225ye=25:75〜85:15で配合された場合に、冷媒による優れた冷凍能力を得ることができる。
【0049】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示はこうした例に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【実施例】
【0050】
以下、実施例に基づき、本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示がこれらに限定されるものではない。
【0051】
下記表2に示した組成及び組成比で、各実施例及び比較例の組成物を準備した。
【0052】
【表2】
【0053】
得られた作動媒体組成物を使用し、ヒートポンプを用いてCOP、冷凍能力(kJ/m
3)、温度グライド(K)の評価をした。冷凍能力の測定は、それぞれ下記のヒートポンプ運転条件で行った。
【0054】
家庭用空調装置用途評価試験
条件1:RA、直膨用途(R410A、R32等代替)
サイクル条件:冷房
蒸発温度:0℃、凝縮温度:45℃、過加熱温度:0℃、過冷却温度:0℃
【0055】
大型空調装置用途評価試験
条件2:大型空調(R134a、R1234ze等代替)
サイクル条件:大型空調(R134a)
代替
蒸発温度:0℃、凝縮温度:40℃、過加熱温度:0℃、過冷却温度:0℃
【0056】
冷蔵冷凍装置用途評価試験
条件3:冷凍・冷蔵条件(R404A、R22等代替)
サイクル条件:冷凍冷蔵条件
蒸発温度:−40℃、凝縮温度:40℃、加熱温度:0℃、過冷却温度:0℃
【0057】
各評価試験結果
下記表3〜5に各実施例の試験結果を示す。尚、表3、4及び5は、それぞれ順に、家庭用空調装置用途評価試験、大型空調装置用途評価試験及び冷蔵冷凍装置用途評価試験を示す。試験結果から、各実施例の冷媒は、COPや冷凍能力の観点から優れた性質を有することが示された。尚、各表における冷凍能力比及びCOP比は、表3の場合は比較例1を、表4の場合は比較例3を、表5の場合は比較例9の冷凍能力及びCOP比を100とした場合の各実施例及び各比較例の相対値を示す。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】