共役ジエン系単量体に由来する構造単位30〜80質量%、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位20〜50質量%、その他の構造単位0〜20質量%からなり、下記条件(1)及び(2)を満足することを特徴とする化粧パフ用共重合ラテックス。
共役ジエン系単量体に由来する構造単位30〜80質量%、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位20〜50質量%、その他の構造単位0〜20質量%からなり、下記条件(1)及び(2)を満足することを特徴とする発泡成型用共重合ラテックス。
(1)粒子径が0.5μm以上の粒子の体積平均粒子径が0.7〜2.0μm。
(2)粒子径が0.5μm以上の体積比率が10%以上。
共役ジエン系単量体に由来する構造単位30〜80質量%、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位20〜50質量%、その他の構造単位0〜20質量%からなる第1の共重合体ラテックスと、
前記第1の共重合体ラテックスが肥大化した第2の共重合体ラテックスと
を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡成形用共重合体ラテックス。
共役ジエン系単量体に由来する構造単位30〜80質量%、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位20〜50質量%、その他の構造単位0〜20質量%からなる第1の共重合体ラテックスを、乳化重合により得る重合工程と、
前記第1の共重合体ラテックスの粒子径を肥大化させて、前記第1の共重合体ラテックスよりも大きな粒子径を有する第2の共重合体ラテックスを得る肥大化工程と、
前記第1の共重合体ラテックスと前記第2の共重合体ラテックスとを、粒子径が0.5μm以上の粒子の体積平均粒子径が0.7〜2.0μmとなり、粒子径が0.5μm以上の体積比率が10%以上となるように混合して、発泡成形用共重合体ラテックスを得る混合工程と
を含むことを特徴とする、発泡成形用共重合体ラテックスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の発泡成型用共重合体ラテックスは、共役ジエン系単量体に由来する構造単位、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位、その他の構造単位を含むものである。
【0011】
共役ジエン系単量体に由来する構造単位とは、共役ジエン系単量体が重合して形成される構造単位である。共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
【0012】
シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位とは、シアン化ビニル系単量体が重合して形成される構造単位である。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどの単量体が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリル又はメタクリロニトリルの使用が好ましい。
【0013】
その他の構造単位に対応する単量体としては、アルケニル芳香族系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体、不飽和二重結合を2つ以上含有する多官能エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
【0014】
アルケニル芳香族系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。特にスチレンの使用が好ましい。
【0015】
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタクリレートの使用が好ましい。
【0016】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの1塩基酸または2塩基酸(無水物)を挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
【0017】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。
【0018】
不飽和カルボン酸アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。
【0019】
不飽和二重結合を2つ以上含有する多官能エチレン性不飽和単量体としては、アリルメタクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、等が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。
【0020】
上記単量体の他にも、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等、通常の乳化重合において使用される単量体は何れも使用可能である。
【0021】
本発明の発泡成型用共重合体ラテックスを構成する構造単位は、共役ジエン系単量体に由来する構造単位30〜80質量%、シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位20〜50質量%、その他の構造単位0〜20質量%からなるものである。
【0022】
共役ジエン系単量体に由来する構造単位は、30〜80質量%であり、35〜80質量%が好ましく、40〜75質量%がより好ましい。上記範囲であることで、発泡成型体の風合いが良く、濃縮工程でのラテックスの安定性を保つことができる。
【0023】
シアン化ビニル系単量体に由来する構造単位は、20〜50質量であり、20〜45質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。上記範囲であることで、耐油性を十分に発揮し、発泡成型体の風合いを損なうことがない。
【0024】
その他の構造単位は、0〜20質量%であり、0〜15質量%がより好ましい。上記範囲であることで、風合い、耐油性のバランスをとることができる。
【0025】
本発明の共重合体ラテックスは、特に制限されないが、例えば乳化重合法により得ることができる。
【0026】
乳化重合を行う際には、上記単量体の他、乳化剤(界面活性剤)、重合開始剤、更に必要に応じて、連鎖移動剤、還元剤等を配合することができる。
【0027】
乳化剤(界面活性剤)としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性乳化剤を1種または2種以上使用することができる。特に、ロジン酸塩、脂肪酸石鹸やナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩の使用が好ましい。乳化剤の使用量は特に制限されないが、通常、全単量体100質量部に対して、1〜5質量部の範囲である。
【0028】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤;クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどの油溶性重合開始剤が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。特に、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、及びt−ブチルハイドロパーオキサイドから選択することが好ましい。重合開始剤の使用量は特に制限されないが、通常、全単量体100質量部に対して、0.05〜2質量部の範囲である。
【0029】
連鎖移動剤としては、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、及びn−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、及びジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、及びテトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、及びスチレン化フェノールなどのフェノール系化合物;アリルアルコールなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、及び四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、及びα−ベンジルオキシアクリルアミドなどのビニルエーテル;トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノレン、及びα−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤が挙げられる。これらは1種または2種以上使用することができる。連鎖移動剤の使用量は特に制限されないが、通常、全単量体100質量部に対して、0〜5質量部の範囲である。
【0030】
還元剤としては、例えば、デキストロース、及びサッカロースなどの還元糖類;ジメチルアニリン、及びトリエタノールアミンなどのアミン類;L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、酒石酸、及びクエン酸などのカルボン酸類及びその塩;亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、及びベンズアルデヒドスルホン酸塩などが挙げられる。特に、L−アスコルビン酸、及びエリソルビン酸から選択することが好ましい。還元剤の使用量は、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整することができる。
【0031】
また、上記乳化重合には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素;ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用することができる。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが好ましい。
【0032】
さらには、必要に応じて酸素補足剤、キレート剤、分散剤等の公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらは種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。更には消泡剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらも種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。
また、本発明の共重合体ラテックスは、その使用目的に応じて他のラテックスと適宜適量ブレンドすることもできる。
【0033】
乳化重合時の温度は、安全性に配慮した槽内圧力及び生産性の観点から、5〜100℃の範囲に設定することが好ましく、10〜85℃の範囲に設定することがより好ましい。
【0034】
乳化重合時の単量体成分ならびにその他の成分を添加する方法としては、例えば、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法、及びパワーフィード方法が挙げられる。中でも、連続添加方法(以下、「連添」という場合もある)を採用することが好ましい。さらに、連添を複数回行ってもよい。
【0035】
乳化重合の反応時間については、例えば、生産性の観点から、5〜60時間とすることが好ましく、10〜50時間とすることがより好ましい。
【0036】
また、乳化重合は、ポリマー転化率が90%を超えたことを確認して反応を終了させることが好ましい。こうして、共重体ラテックスが得られる。
【0037】
得られた共重合体ラテックスは、分散安定性の観点から、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどにより、pHが8〜13に調整されることが好ましく、9〜12に調整されることがより好ましい。
【0038】
また、得られた共重合体ラテックスは、水蒸気蒸留等の方法により、未反応単量体及び他の低沸点化合物が除去されていることが好ましい。
【0039】
本発明の共重合体ラテックスの固形分濃度は、50重量%以上とすることが好ましい。
【0040】
本発明の共重合体ラテックスは、粒子径分布の規定として下記(1)及び(2)を満たす必要がある。
(1)粒子径が0.5μm以上の粒子の体積平均粒子径が0.7〜2.0μm。
(2)粒子径が0.5μm以上の体積比率が10%以上。
【0041】
本発明の共重合体ラテックスは、(1)粒子径が0.5μm以上の粒子の体積平均粒子径が0.7〜2.0μmであり、0.7〜1.5μmが好ましい。
【0042】
本発明の共重合体ラテックスは、(2)粒子径が0.5μm以上の体積比率が10%以上であり、10%以上30%以下が好ましい。(1)が上記下限値未満であると、きめ細やかな発泡成形体を得るために適した共重合体ラテックスの固形分濃度に上げると粘度が高く取り扱いが困難になり、粘度を考慮した低い固形分濃度で発泡成形を行うと成形不良が多発するという不具合がある。(1)が上記上限値を超えると、発泡成形は可能だが、発泡成形時にひび割れが発生し、発泡成形体中心部と外層部の気泡が不均一になるという不具合がある。(2)が上記下限値未満であると、成形時に細かな気泡を発生させることが難しく、発泡成形できたとしてもひび割れ、気泡の不均一を抑制することができないという不具合がある。(1)及び(2)が上記範囲になることで、発泡成型時のひび割れが発生せず、発泡成型体中心部と外層部の気泡が均一になるため気泡の偏在を抑制できる。
【0043】
上記、粒子径分布(1)〜(2)の調整方法としては、例えば、重合時の乳化剤量の増減や重合温度・単量体添加方法などの重合条件、下記に示す粒径肥大化処理における粒子肥大化剤の量、膨潤の程度と撹拌条件、乳化剤量や固形分の増減、さらには肥大化前の粒子と肥大化粒子との割合など種々の方法で調整することができる。
【0044】
共重合体ラテックスの粒径肥大化方法としては特に制限されないが、例えば、カルボキシル基含有共重合体粒子等の粒子径肥大化剤を添加して強制的に撹拌する方法(一般にケミカルアグロメ法と称されている)、重合途中で反応を停止させて粒子が単量体で膨潤し、相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、重合終了後の共重合体ラテックスにスチレン等の単量体やトルエン、シクロヘキセン等の溶剤を添加して、粒子がそれらで膨潤し相互に融着し易い状態で強制的に撹拌する方法、加温した共重合体ラテックスを、マントン−ゴーリンホモジナイザーを用いて、一定の圧力でノズルから噴射させるなどして高剪断を与えて肥大化させる方法(以下、加温加圧肥大化法と称する)等が挙げられる。
共重合体ラテックスの粒径肥大化方法としては、好ましくは、加温加圧肥大化法が採用される。加温加圧肥大化法では、好ましくは、乳化重合により得られた共重合体ラテックスに、不飽和脂肪酸塩(オレイン酸カリウムなど)などの乳化剤もしくは粒子径調整剤を添加した後、高剪断を与える。
乳化剤もしくは粒子径調整剤の添加量は、肥大化処理前の共重合体ラテックスの粒子径、既に含有している乳化剤量、固形分などから調整し、所望の粒子径を得る。
また、加温加圧肥大化法における圧力は、機器の選定、処理量の許容幅や粒子径、肥大化の成否に影響し、例えば、2.5×10
7Pa以上、好ましくは、4.0×10
7Pa以上であり、例えば、6.0×10
7Pa以下である。
また、発泡成形用共重合体ラテックスは、乳化重合により得られた共重合体ラテックス(第1の共重合体ラテックス)と、上記した粒径肥大化方法によって粒子径が肥大化された共重合体ラテックス(第2の共重合体ラテックス)とを含んでもよい。第2の共重合体ラテックスは、第1の共重合体ラテックスを原料として、上記した粒径肥大化方法によって得られてもよい。言い換えると、第1の共重合体ラテックスと第2の共重合体ラテックスとは、同一の構造単位からなり、かつ、各構造単位の質量割合も同一であってもよい。
第1の共重合体ラテックスと第2の共重合体ラテックスとは、発泡成形用共重合体ラテックスの粒子径分布が、粒子径が0.5μm以上の粒子の体積平均粒子径が0.7〜2.0μmになり、粒子径が0.5μm以上の体積比率が10%以上になるように、混合される。
例えば、第1の共重合体ラテックスと第2の共重合体ラテックスとの混合割合(第1の共重合体ラテックス/第2の共重合体ラテックス)は、20/80である。
【0045】
本発明の共重合体ラテックスを用いた発泡成型体の製造方法には特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。通常、加硫剤や助剤を添加する工程、発泡工程、ゲル化工程、加硫工程、水洗工程、乾燥工程の順からなる。加硫剤や助剤を添加する工程では、加硫剤、加硫促進剤、必要により老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤が適宜添加される。加硫剤は特に限定されないが、例えば硫黄やそれを乳化分散したコロイド硫黄などが使用される。加硫助剤や加硫促進剤も特に限定されないが、加硫助剤としては亜鉛華などが、加硫促進剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバメート系促進剤、2−メルカプトベンゾチアゾール及びその亜鉛塩、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤等が挙げられる。
【0046】
発泡成型体を製造する際の、共重合体ラテックスの固形分換算100質量部に対する前述の各添加剤の添加量に特に制限はないが、例えば、硫黄0.3〜10重量部、亜鉛華0.5〜10重量部、加硫促進剤0.2〜5重量部の範囲で使用することが一般的である。また、その他の助剤として各種の老化防止剤、増粘剤、保水剤、着色剤などの助剤についても本発明の効果を妨げない範囲にて添加してもよい。
【0047】
上記発泡工程における発泡方法は公知の方法が使用でき、特に制限はない。発泡方法としては、空気もしくはガス発生物質を単独又は併用し、種々の方法で混入させる強制発泡方法が挙げられる。強制発泡装置としては、例えば、オークス発泡機、超音波発泡機等を使用できる。
【0048】
上記ゲル化工程におけるゲル化方法も公知の方法が使用でき、特に制限はない。ゲル化方法としては、オルガノポリシロキサンを使用した感熱凝固法や急激に温度低下させる冷凍凝固法等が例示できるが、ゲル化剤として珪フッ化ソーダや珪フッ化カリ、チタン珪フッ化ソーダ等のフッ化珪素化合物を発泡した共重合体ラテックスに添加する常温凝固法(ダンロップ法)が最も効果的と考えられる。
【0049】
ゲル化後の加硫工程での諸条件も特に制限はなく、100〜150℃程度の温度で10〜100分程度加硫させることにより良質の発泡成型体が得られる。また、水洗工程や乾燥工程の諸条件も特に制限はないが、25〜60℃の水又はお湯で5〜20分間程度、攪拌しながら洗浄し、その後遠心分離法などの方法で水を切り、発泡成型体の風合いを保てるように40〜120℃程度で乾燥することが好ましい。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部及び%は特に断りのない限り重量基準によるものである。
【0051】
共重合体ラテックスの0.5μm以上の粒子の数平均粒子径、体積平均粒子径、体積比率の測定方法
共重合体ラテックスの0.5μm以上の粒子の数平均粒子径、体積平均粒子径、体積比率の測定はParticleSizingSystems製の個数カウント式粒度分布測定器「Accusizer780APS」を使用した。キャリアとして、フィルターで0.5μm以上の粒子を取り除いた0.1%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を用い、同キャリアでサンプルを1000倍に希釈して測定を行った。
【0052】
共重合体ラテックスaの作製(重合工程)
耐圧性の重合反応機に、ブタジエン65部、アクリロニトリル35部、t−ドデシルメルカプタン0.6部、オレイン酸カリウム0.5部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩0.5部、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩0.01部、硫酸第一鉄0.001部、純水110部を仕込み、クメンハイドロパーオキサイド0.1部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.2部を添加し、槽内温度10℃で反応を開始した。次に、重合転化率が25%に達したところでオレイン酸カリウム0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.03部、純水5部を添加した。次に、重合転化率50%に達したところでオレイン酸カリウム0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.03部、純水5部を添加した。次に、重合転化率75%に達したところでホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.03部、純水5部を添加した。重合転化率が95%以上になった時点で重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加した後、オレイン酸カリウム0.5部、純水5部を添加して重合を終了した。次に水蒸気蒸留によって残留するブタジエンを除去することで共重合体ラテックスaを得た。
共重合ラテックスaの固形分濃度は42%、平均粒子径は0.12μmであった。なお平均粒子径は、FRAR−1000(大塚電子製)にて測定した。
【0053】
粒子肥大化ラテックスA1の作製(肥大化工程)
共重合体ラテックスa100部(固形分換算)に対してオレイン酸カリウム0.40部を添加した後、マントン−ゴーリン(Manton−Gaulin)ホモジナイザーを用いて、温度40℃、圧力2.5×10
7Paの条件の加温加圧肥大化法により粒子径肥大化処理を行うことで、粒子肥大化ラテックスA1を得た。
【0054】
粒子肥大化ラテックスA2の作製(肥大化工程)
加温加圧肥大化法の圧力を4.0×10
7Paにする以外は、粒子肥大化ラテックスA1と同一条件で粒子径肥大化処理を行うことで、粒子肥大化ラテックスA2を得た。
【0055】
粒子肥大化ラテックスA3の作製(肥大化工程)
オレイン酸カリウムの添加量を0.55部にする以外は、粒子肥大化ラテックスA2と同一条件で粒子径肥大化処理を行うことで、粒子肥大化ラテックスA3を得た。
【0056】
粒子肥大化ラテックスA4の作製(肥大化工程)
オレイン酸カリウムの添加量を0.60部にする以外は、粒子肥大化ラテックスA2と同一条件で粒子径肥大化処理を行うことで、粒子肥大化ラテックスA4を得た。
【0057】
粒子肥大化ラテックスA5の作製(肥大化工程)
オレイン酸カリウムの添加量を0.65部にする以外は、粒子肥大化ラテックスA2と同一条件で粒子径肥大化処理を行うことで、粒子肥大化ラテックスA5を得た。
【0058】
共重合体ラテックスBの作製(混合工程)
共重合体ラテックスaと粒子肥大化ラテックスA1とを30:70(固形分換算)の割合で混合し、混合物100部(固形分換算)に対してオレイン酸カリウムを0.5部、ロジン酸カリウムを0.8部添加した後、濃縮することで共重合体ラテックスBを得た。固形分濃度は68%、0.5μm以上の粒子の数平均粒子径は1.3μm、体積平均粒子径は7.7μm、体積比率は62%であった。
【0059】
共重合体ラテックスCの作製(混合工程)
共重合体ラテックスaと共重合体ラテックスA2とを30:70(固形分換算)の割合で混合する以外は、共重合体ラテックスBと同一条件で濃縮することで共重合体ラテックスCを得た。固形分濃度は68%、0.5μm以上の粒子の数平均粒子径は1.0μm、体積平均粒子径は2.7μm、体積比率は44%であった。
【0060】
共重合体ラテックスDの作製(混合工程)
共重合体ラテックスaと共重合体ラテックスA3とを20:80(固形分換算)の割合で混合する以外は、共重合体ラテックスBと同一条件で濃縮することで共重合体ラテックスDを得た。固形分濃度は68%、0.5μm以上の粒子の数平均粒子径は0.8μm、体積平均粒子径は1.5μm、体積比率は27%であった。
【0061】
共重合体ラテックスEの作製(混合工程)
共重合体ラテックスaと共重合体ラテックスA4とを20:80(固形分換算)の割合で混合する以外は、共重合体ラテックスBと同一条件で濃縮することで共重合体ラテックスEを得た。固形分濃度は68%、0.5μm以上の粒子の数平均粒子径は0.7μm、体積平均粒子径は1.0μm、体積比率は14%であった。
【0062】
共重合体ラテックスFの作製(混合工程)
共重合体ラテックスaと共重合体ラテックスA5とを20:80(固形分換算)の割合で混合する以外は、共重合体ラテックスBと同一条件で濃縮することで共重合体ラテックスFを得た。固形分濃度は55%、0.5μm以上の粒子の数平均粒子径は0.6μm、体積平均粒子径は0.7μm、体積比率は7%であった。
【0063】
<実施例1〜2、比較例1〜3>
発泡成型体の作製
上記共重合体ラテックスB〜Fの各固形分換算100部に対して加硫剤としてコロイド硫黄1.2部、加硫促進剤として2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(大内新興化学工業(株)製ノクセラーMZ)0.8部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業(株)製ノクセラーEZ)0.2部、泡安定剤としてトリメンベース1.0部を添加し全体を均一に混合する。27℃の恒温室で2時間養生後、亜鉛華2.5部を添加し、二軸型ハンドミキサーを用いて強制撹拌して、体積で5倍発泡させる。その後、珪フッ化ソーダのスラリー2.5部を添加し、室温で30秒間撹拌を継続して成型用型枠(縦×横×高さが5cm×5cm×10cm)に流し入れ、ゲル化した後110℃の加圧スチームで30分間加硫させた。その後、型枠から取り出し発泡成型体を得た。得られた発泡成型体について下記の評価を行った。
【0064】
発泡成型体の評価
前述で得られた発泡成型体を高さ方向に厚み1cmにスライスし、評価サンプルとして5個切り出した。その後、それぞれのサンプルについてひび割れや気泡の均一性を検査し、サンプル5個の中で最も多い状態を下記の通り判定した。
×:成型物の中心部と外層部の間にひび割れが発生し、中心部と外層部の気泡が不均一。
○:成型物の中心部と外層部の間にひび割れはないが、中心部と外層部の気泡が若干不均一。
◎:成型物の中心部と外層部の間にひび割れがなく、中心部と外層部の気泡が均一。
【0065】
【表1】