特開2019-183319(P2019-183319A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デュプロ精工株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2019183319-製紙装置 図000003
  • 特開2019183319-製紙装置 図000004
  • 特開2019183319-製紙装置 図000005
  • 特開2019183319-製紙装置 図000006
  • 特開2019183319-製紙装置 図000007
  • 特開2019183319-製紙装置 図000008
  • 特開2019183319-製紙装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-183319(P2019-183319A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】製紙装置
(51)【国際特許分類】
   D21G 1/00 20060101AFI20190927BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20190927BHJP
   D21G 9/00 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   D21G1/00
   B65H20/02 A
   D21G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-75258(P2018-75258)
(22)【出願日】2018年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】長田 優輔
(72)【発明者】
【氏名】奥野 将人
【テーマコード(参考)】
3F103
4L055
【Fターム(参考)】
3F103AA01
3F103BA25
4L055CF41
4L055CH02
4L055EA26
4L055FA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な機構を用いた紙の品質向上が可能な製紙装置の提供。
【解決手段】紙原料を用いて繊維の層を形成する繊維層形成部と、前記繊維層形成部で形成された繊維層を含む紙材料を所定圧力で押圧するプレスローラ75が設けられたカレンダー部72とを備え、前記カレンダー部72には、前記紙材料に水分を付与する水分付与部94が設けられ、水分付与部94は、プレスローラ75を介して紙材料に水分を供給するための水分付与部材96を備え、水分付与部材96は、プレスローラ75へ供給する水を貯留する貯留部90を備える、製紙装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙原料を用いて繊維の層を形成する繊維層形成部と、
前記繊維層形成部で形成された繊維層を含む紙材料を所定圧力で押圧するプレスローラが設けられたカレンダー部とを備え、
前記カレンダー部には、前記紙材料に水分を付与する水分付与部が設けられた製紙装置。
【請求項2】
水分付与部は、プレスローラを介して紙材料に水分を供給するための水分付与部材を備える請求項1に記載の製紙装置。
【請求項3】
水分付与部材は、プレスローラへ供給する水を貯留する貯留部を備える請求項2に記載の製紙装置。
【請求項4】
水分付与部材は、繊維製品または多孔質体により構成される請求項2または請求項3に記載の製紙装置。
【請求項5】
プレスローラは、紙材料の搬送路を挟んで一対設置され、紙材料のニップ部が所定量離間している請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の製紙装置。
【請求項6】
カレンダー部は、プレスローラが紙材料を挟持したときプレスローラを押圧方向に付勢する付勢部を備えた請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の製紙装置。
【請求項7】
紙材料を加熱する加熱部を備え、
前記カレンダー部は、前記加熱部より紙材料の搬送方向下流側に設置される請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の製紙装置。
【請求項8】
プレスローラは紙材料を0.1m/分〜100m/分の速度で搬送する請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の製紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙に印刷処理を施す印刷機において、印刷後の用紙に加湿ローラーを用いて加湿する技術が下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-7785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の印刷機では、各用紙の印字率の違いによって、用紙がカールする量が異なる。このため、全ての用紙を適正にカール矯正するための複雑な機構及び制御が必要となる。一方、製紙装置においても印刷機と同様に、製造される紙のカール等の対策が必要となる場合がある。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、簡単な機構を用いて紙の品質向上が可能な製紙装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる製紙装置は、紙原料を用いて繊維の層を形成する繊維層形成部と、前記繊維層形成部で形成された繊維層を含む紙材料を所定圧力で押圧するプレスローラが設けられたカレンダー部とを備え、前記カレンダー部には、前記紙材料に水分を付与する水分付与部が設けられた。
【0007】
また、前記構成において、水分付与部は、プレスローラを介して紙材料に水分を供給するための水分付与部材を備える。
【0008】
そして、前記各構成において、水分付与部材は、プレスローラへ供給する水を貯留する貯留部を備える。
【0009】
更に、前記各構成において、水分付与部材は、繊維製品または多孔質体により構成される。
【0010】
更に、前記各構成において、プレスローラは、紙材料の搬送路を挟んで一対設置され、紙材料のニップ部が所定量離間している。
【0011】
更に、前記各構成において、カレンダー部は、プレスローラが紙材料を挟持したときプレスローラを押圧方向に付勢する付勢部を備えた。
【0012】
更に、前記各構成において、紙材料を加熱する加熱部を備え、カレンダー部は、前記加熱部より紙材料の搬送方向下流側に設置される。
【0013】
更に、前記各構成において、プレスローラは紙材料を0.1m/分〜100m/分の速度で搬送する。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる製紙装置によれば、カレンダー部には、紙材料に水分を付与する水分付与部が設けられたので、紙材料にカレンダー処理しつつ水分を付与することによって紙の品質向上が可能である。
【0015】
また、水分付与部は、プレスローラを介して紙材料に水分を供給するための水分付与部材を備える場合は、水分付与部材を用いて紙材料に容易に水分を付与することができる。
【0016】
そして、水分付与部材は、プレスローラへ供給する水を貯留する貯留部を備える場合は、貯留部に貯留する水を、プレスローラを介して紙材料に容易に付与することができる。
【0017】
更に、水分付与部材は、繊維製品または多孔質体により構成される場合は、繊維製品または多孔質体に水分を浸透させることによってプレスローラに容易に水分を供給することができる。
【0018】
更に、プレスローラは、紙材料の搬送路を挟んで一対設置され、紙材料のニップ部が所定量離間している場合は、ニップ部に紙材料を挟持していない間に、ニップ部に水分が溜まり、後続の紙材料の先端部分に過剰に水分が供給されるのを防止することができる。
【0019】
更に、カレンダー部は、プレスローラが紙材料を挟持したときプレスローラを押圧方向に付勢する付勢部を備えた場合は、付勢部によりプレスローラによる紙材料の押圧力を高くすることができ、紙材料の表面の平滑性を向上可能である。
【0020】
更に、紙材料を加熱する加熱部を備え、カレンダー部は、前記加熱部より紙材料の搬送方向下流側に設置される場合は、加熱部において加熱した紙材料をカレンダー部で水分を付与しつつカレンダー処理することで、紙の品質を向上可能である。
【0021】
更に、プレスローラは紙材料を0.1m/分〜100m/分の速度で搬送する場合は、紙材料をより高速で搬送するときに比較して簡易な機構であっても適正に紙材料に水分を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る製紙装置の構成概略図である。
図2】前記製紙装置の抄紙部の概略構成を示す縦断面図である。
図3】前記製紙装置のカレンダー部の拡大断面図である。
図4】前記製紙装置の使用態様図である。
図5】前記製紙装置の使用態様図である。
図6】前記製紙装置の使用態様図である。
図7】前記製紙装置の使用態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態にかかる製紙装置の構成概略図である。図1に示す製紙装置は、古紙を製紙原料とする古紙再生処理装置100である場合を示している。図1において、古紙再生処理装置100は、繊維製造部1、脱墨部2、抄紙部3、仕上部4及び各部を制御する制御部8を備えてなる。尚、本実施形態では、本発明にかかる製紙装置が、古紙10を紙の原料とし、再生紙7を製造する古紙再生処理装置100の抄紙部3に用いられる場合について記載するが、必ずしもこれに限定されず、木材等の他のパルプ原料を製紙原料とする製紙装置や、水分をあまりまたはほとんど使用せず紙を製造する製紙装置に用いても構わない。
【0024】
繊維製造部1は、古紙10を離解して繊維を含む繊維含有物を製造する。脱墨部2は、繊維製造部1で製造された繊維を含む繊維含有物を脱墨する。抄紙部3は、脱墨部2において得られた脱墨後の繊維含有物を抄紙して繊維の層を形成し、得られた繊維層を含むウエブWを脱水し、加熱し、乾燥する。仕上部4は、抄紙部3において得られたウエブWを裁断等することにより仕上げを行って定型サイズの再生紙7を得る。制御部8は古紙再生処理装置100全体の動作を制御する。繊維製造部1及び脱墨部2は、それぞれ公知の再生繊維製造装置及び脱墨装置を利用可能である。
【0025】
図2は、抄紙部3及び仕上げ部4の概略構成を示す図である。抄紙部3は、繊維層形成部11、脱水部14及び加熱部15が図示しない筐体内に収容されてなる。繊維層形成部11では、繊維含有物からなる紙原料を用いて、繊維の層であるウエブWが形成される。繊維層形成部11は、ヘッドボックス12と、ワイヤー部13とを備える。ヘッドボックス12は、脱墨後の繊維含有物を繊維層形成ベルト23上に均一に供給するためのものである。ヘッドボックス12は、繊維含有物を貯留する貯留部18と、貯留部18に貯留する繊維含有物を繊維層形成ベルト23上に供給する供給部19と、貯留部18の底部に形成された貯留部18へ繊維含有物を流入させる流入部20とを備える。流入部20は、脱墨部2から脱墨後の繊維含有物を取出し、貯留部18へ送るための図示しない輸送ポンプが接続されている。
【0026】
ワイヤー部13は、繊維層形成ベルト23と、繊維層形成ベルト23を走行させる図示しないベルト駆動部とを備える。繊維層形成ベルト23は複数のベルトローラ24に掛け渡され、展張され、無端状に形成される。繊維層形成ベルト23は上側を走行する往路軌道の下流側端部近傍に設けられた湾曲部21において、上方へ向けて水平面に対し約5°乃至85°程度湾曲して走行する。
【0027】
繊維層形成ベルト23は、ヘッドボックス12から供給される繊維含有物を保持しつつ搬送する。ヘッドボックス12の供給部19から繊維層形成ベルト23の上面に供給された繊維含有物は、繊維層形成ベルト23により濾過されてウエブWに形成される。ウエブWは、所定量の水を含み、繊維の層をなす湿紙である。
【0028】
繊維層形成ベルト23の動作速度は、製紙装置が小型である場合は、製紙工場に設置される大型の製紙装置に比較して遅く設定される。例えば、繊維層形成ベルト23の走行速度が0.1m/分〜100m/分程度、好ましくは0.5m/分〜50m/分程度に設定される。
【0029】
上側を走行する往路軌道の繊維層形成ベルト23の下方には、複数の水切り板26が所定間隔で配置されている。水切り板26は繊維含有物を水切りする。各水切り板26は繊維層形成ベルト23の走行方向と交差する左右幅方向に向けて延在し、繊維層形成ベルト23の下面に摺接される。これにより、水切り板26が繊維層形成ベルト23の網目から流下する液体分である白水を下方へと導くようになっている。
【0030】
また、水切り板26の下方には、該水切り板26より、または繊維層形成ベルト23の網目から直接流下する白水を受ける受水部27を設けている。白水は、繊維含有物が繊維層形成ベルト23により濾過されて生じる液体であり、微細なパルプ繊維と水を含む。受水部27は図示しない配管、ガイド等により下方に設置された白水タンク29に接続されている。白水タンク29は、内部に収容する白水を繊維製造部1及び脱墨部2に送るための図示しない配管及び白水循環用ポンプを備え、受水部27において回収した白水を再利用可能に構成している。
【0031】
また、繊維層形成部11には、繊維層形成ベルト23を介して繊維含有物を吸引する吸引部35が設けられる。吸引部35は、供給部19の下方に設置される。吸引部35は、供給部19から繊維層形成ベルト23上へ繊維含有物が供給される供給領域のうち、繊維層形成ベルト23の走行方向下流側位置に設置される。吸引部35は、供給部19からメッシュベルト上へ繊維含有物が供給される供給端部19aより、該繊維層形成ベルト23の走行方向所定量下流側位置に設けられる。吸引部35は、周回走行するメッシュベルトの内方位置に設置される。
【0032】
脱水部14は、脱水ローラ45を備えた脱水ローラ部43により構成される。脱水ローラ45は、繊維層形成ベルト23の上方へ向けて湾曲した湾曲部21に設置される。脱水ローラ45は、繊維層形成ベルト23を掛け渡すベルトローラ24を兼ねて構成される。
【0033】
脱水ローラ45は、ベルト駆動部に連結機構を介して連結される。脱水ローラ45は、繊維層形成ベルト23が掛け渡される他のローラ24と同期して回転駆動される。しかし、これに替えて、脱水ローラ45が連結機構によりベルト駆動部に連結されない構成としてもよい。脱水ローラ45がベルト駆動部に連結されない場合、繊維層形成ベルト23の走行に伴って従動回転される。
【0034】
図2に示す加熱部15は、挟持用ベルト48、加熱ドラム50、温度センサ66及びスクレーパ55を備えている。挟持用ベルト48は、繊維層形成ベルト23から受け渡されたウエブWを加熱ドラム50との間で挟持して走行する。挟持用ベルト48は、無端状に形成され、加熱ドラム50及び複数のベルトローラ49に掛け渡されている。
【0035】
挟持用ベルト48は、加熱ドラム50の外周の略4分の3の範囲に巻回される。挟持用ベルト48は、上方に向けて突出して走行する繊維層形成ベルト23に対向するよう上方に向けて突出して走行する。繊維層形成ベルト23と挟持用ベルト48とは、対向位置において接触することなく所定量離間して配置される。挟持用ベルト48は、図示しない挟持用ベルト駆動部によって走行駆動される。
【0036】
挟持用ベルト48は、加熱ドラム50に巻回された範囲で、湿潤状態にあるウエブWを加熱ドラム50との間で挟持して搬送する。挟持用ベルト48の材質は特に限定されず、例えば、金属、ポリエステルやポリフェニレンサルファィド等の合成繊維、麻や木綿等の天然繊維が用いられる。挟持用ベルト48は、経糸と緯糸を織り込んだ織物によって形成されることがウエブWの加熱効率が高い点で好ましい。
【0037】
加熱ドラム50は、中空円筒状に形成された筒体58を備え、該筒体58の筒心に直交する左右の側面は、円盤形状の蓋体59により閉塞されている。また、筒体58は、複数の支持ローラ61により回転自在に支持されている。筒体58の内周面には、加熱手段62を備えている。加熱手段62は、柔軟で可撓性を有し、シート状に形成されたシリコンラバーヒータ等の加熱体により構成され、該加熱体が、加熱ドラム50の内周面に全周に亘って貼着されている。筒体58は、挟持用ベルト48が挟持用ベルト駆動部によって走行駆動されることにより、従動して回転する。
【0038】
加熱ドラム50及び挟持用ベルト48による紙材料の搬送速度は、繊維層形成ベルト23と程同様とされ、0.1m/分〜100m/分程度、好ましくは0.5m/分〜50m/分程度に設定される。
【0039】
温度センサ66は、図2に示すように、加熱ドラム50の上部後方に設置される。温度センサ66は、筒体58の表面温度を検出する。本実施形態では、温度センサ66が、筒体58の表面に摺動接触し、筒体58の温度を検出する構成としたが、筒体58に非接触のセンサを用いてもよい。スクレーパ55は、加熱ドラム50の上部後方であって温度センサ66より加熱ドラム50の回転方向上流側に設置される。スクレーパ55は加熱ドラム50から加熱後のウエブWを剥がし、ウエブWを仕上部4へと案内する。
【0040】
(仕上部)
仕上部4は、ウエブWを所定のシートサイズにカットする裁断刃71及びカレンダー部72を備えている。裁断刃71は、カッター73と左右一対のスリッター74とを備える。カッター73は、幅方向に沿って延在する上下一対のギロチン式刃により構成される。スリッター74は、丸刃により構成される。スリッター74の下方には、裁断により生じた端材を回収する図示しない端材回収箱が設置されている。
【0041】
カレンダー部72は、カッター73とスリッター74との間に設置される。図3はカレンダー部72の拡大断面図である。カレンダー部72は紙材料IとしてのウエブWを所定圧力で押圧するプレスローラ75を備える。プレスローラ75は、紙材料Iの搬送路を挟んで上下に対向して一対設置される。一方のプレスローラ75は、紙材料Iの搬送路の上側に位置する上プレスローラ77である。上プレスローラ77の回転軸771は、側板76に回動自在に軸支される。上プレスローラ77は図示しない駆動部の駆動により回転される。
【0042】
他方のプレスローラ75は紙材料Iの搬送路の下側に位置し、上プレスローラ77に対向配置される下プレスローラ78である。下プレスローラ78は、紙材料Iを挟持しない状態では上プレスローラ77に対し所定量離間して設置される。これより、一対のプレスローラ75は、紙材料Iのニップ部Nが所定量離間している。ニップ部Nにおける一対のプレスローラ75の間の長さCは、例えば、0.01mm〜0.5mm、好ましくは、0.02〜0.2mm程度に設定可能である。一対のプレスローラ75の間の長さCは、再生紙7の仕上がりの厚さ0.1mmから0.3mm程度より短く設定される。一対のプレスローラ75の間の長さCを0.03mmに設定するとき、再生紙の仕上がりの厚さは、例えば0.1mmから0.3mm程度の範囲となる場合、再生紙の仕上がりの厚さは一対のプレスローラ75の間の長さCの3倍から10倍程度となる。
【0043】
下プレスローラ78は、図示しない駆動部の駆動により回転される。下プレスローラ78は上プレスローラ77に対し近接離間自在に配置される。下プレスローラ78の回転軸781は側板76に設けられた保持部80に保持されている。保持部80の下部には付勢部81が設けられる。付勢部81は、上下のプレスローラ77,78によって紙材料Iを挟持した際、下プレスローラ78を上プレスローラ77に向けて付勢する。付勢部81は、皿バネ811と押圧ボルト812を備える。押圧ボルト812は、皿バネ811の付勢力を調整可能である。
【0044】
カレンダー部72は紙材料Iの搬送方向でプレスローラ75の上流側にガイド部83が設けられる。ガイド部83は紙材料Iを一対のプレスローラ75の間に案内する。ガイド部83は上ガイド85及び下ガイド86を備える。上ガイド85は紙材料Iの搬送方向の下流側に向けて下り勾配に設置される。上ガイド85と下ガイドとの間隙Dは紙材料Iの搬送方向の下流側ほど狭い。下ガイド86の下流側縁は、上ガイド85の下流側縁よりも紙材料Iの搬送方向で下流側に位置する。
【0045】
カレンダー部72には水分付与部94が設置される。 水分付与部94は、紙材料Iに水分Lを付与する。水分付与部94は、水分付与部材96、貯留部90を備える。水分付与部材96と上プレスローラ77とは互いに接触する。上プレスローラ77が図3において時計回りに回転することにより挟持する紙材料Iを搬送しつつ紙材料Iの上面に均等に水分Lを供給する。
【0046】
水分付与部材96は例えば、合成樹脂発泡材、スポンジや海綿等の合成または天然の多孔質体、合成繊維、天然繊維、多孔質体、不織布、フェルト、布地、編地や織物等の繊維製品、合成ゴム、またはこれらの複数種類を組み合わせたもの等が使用される。これらのうち含水率、耐久性等の点で、水分付与部材96は繊維製品または多孔質体により構成されることが好ましい。
【0047】
水分付与部材96の下部は、貯留部90に収容されている水Mに浸漬されている。水分付与部材96が繊維製品または多孔質体により構成される場合、水分付与部材96に付着した水Mは、毛細管現象により水分付与部材96の内部に浸透する。水分付与部材96の上部は、上プレスローラ77の図3における右側方に接触している。これより、水分付与部材96に含まれた貯留部90に貯留する水Mが、上プレスローラ77の表面に付着し、水分Lが付与される。
【0048】
水分付与部材96が繊維製品または多孔質体以外の材質である場合、貯留部90を上プレスローラ77の上方位置に設置する。これより高低差を使用して貯留部90に貯留する水を上プレスローラ77に供給することができる。その際、例えば、貯溜部90から水分付与部材96の表面を伝わせた水Mを上プレスローラ77に供給してもよく、貯留部90から水分付与部材96を使用せずに自重で滴下させた水Mを、上プレスローラ77に供給してもよい。
【0049】
貯留部90へは、手動または自動で水Mが供給される。貯留部90には、水分付与部材96の含水率を調整するため調整部を設けてもよい。調整部は、例えば、貯留部90内の液位を検出する液位検出部や貯留部90に所定量の水を自動で供給する供給部等により構成される。
【0050】
(制御部)
制御部8は、RAM及びROM等により構成される記憶部、CPU等を備えている。記憶部にはCPUが動作するための各種プログラムが記憶されている。制御部8は、この記憶部に記憶された各種プログラムに従って、各部の動作を制御し、古紙再生処理装置100全体の動作を制御する。
【0051】
以下、上記構成の作用を説明する。製紙装置の運転を開始すると、繊維製造部1では、紙の原料としての古紙10が離解処理され繊維含有物が製造される。得られた繊維含有物は脱墨部2で脱墨処理される。脱墨後の繊維含有物は、流入部20よりヘッドボックス12へ流入される。貯留部18に流入した繊維含有物は該貯留部18から溢流され、走行する繊維層形成ベルト23上面へ供給部19から供給される。繊維含有物が繊維層形成ベルト23で濾過されることで、均一な繊維の層であるウエブWが形成される。繊維含有物が繊維層形成ベルト23で濾過されることで生じた白水は、受水部27に受け止められた後、白水タンク29へ送られ、該白水タンク29内に収容される。濾過によって繊維層形成ベルト23上に形成された繊維層を含む紙材料IとしてのウエブWは、繊維層形成ベルト23の走行に伴って下流側へ搬送される。
【0052】
制御部8は、繊維層形成ベルト23上で形成される紙材料IとしてのウエブWの先端領域の紙厚を、先端領域に続く領域より厚く形成することができる。制御部8は、ウエブWの先端領域を形成するときの繊維層形成ベルト23の走行速度を、後続の領域を形成するときより遅くするようベルト駆動部を制御する。また、これに替えて、制御部8は、ヘッドボックス12から繊維層形成ベルト23上へ繊維含有物の供給を開始し、ウエブWの先端領域を形成するときに繊維層形成ベルト23の走行を所定時間停止するよう制御してもよい。更に、制御部8は、輸送ポンプの駆動量をウエブWの先端領域を形成するときの方が、後続の領域を形成するときより多くするよう制御し、流入部19へ流入させる繊維含有物の量を多くすることで、ウエブWの先端領域を厚くしてもよい。
【0053】
ウエブWの先端領域が形成された後、この先端領域が脱水部14に至ると、ウエブWは、脱水ローラ45の外周面に沿って上方へ向けて湾曲して走行する繊維層形成ベルト23と脱水ローラ45との間で挟持され、脱水される。図2において水平方向へ走行する繊維層形成ベルト23上のウエブWは、脱水ローラ45によって上から押圧され、繊維層形成ベルト23との間で挟持されることで、ウエブWに含まれる液体分が繊維層形成ベルト23の下方へ導かれる。そして、脱水ローラ45の外周面に沿って湾曲して走行する繊維層形成ベルト23との間で徐々に脱水される。ウエブWは、繊維層形成ベルト23の張力によって押圧される。
【0054】
繊維層形成ベルト23上のウエブWは、脱水ローラ45との間で挟持され、押圧された後、繊維層形成ベルト23の走行に伴って搬送される。ウエブWの先端領域が、ベルトローラ24が最も高い位置に設置された位置に至ったときに、繊維層形成ベルト23から剥離され、繊維層形成ベルト23に対向する挟持用ベルト48に受け渡され、支持される。ウエブWの先端領域は挟持用ベルト48と加熱ドラム50の間に入り込み、これらの当接部分において挟持用ベルト48と加熱ドラム50との間で挟持され搬送される。
【0055】
ウエブWは、加熱手段62によって加熱された加熱ドラム50に当接される。これより、湿潤状態にあるウエブWは、加熱され、乾燥される。尚、加熱ドラム50は、温度センサ66によって温度が検出され、所定温度に維持されている。
【0056】
加熱部15で加熱された紙材料Iは、スクレーパ55によって加熱ドラム50から剥離され、仕上部4に送られる。仕上部4に送られた紙材料Iは、裁断刃71で所定のシートサイズに裁断されて再生紙7が完成する。その際、カッター73は、上刃が下刃に対し、上下動し、紙材料Iを幅方向に沿って裁断する。そして、カレンダー部72による紙材料Iの平滑化処理の後、スリッター74は、紙材料Iの幅方向両端部を長手方向に沿って裁断する。裁断刃71により裁断された紙材料Iの端材は、端材回収箱に回収される。端材回収箱内の端材は、図1に示すように繊維製造部1に戻され、再度紙原料として再生紙7の製造に利用される。
【0057】
カレンダー部72では、貯留部90に貯留する水Mが水分付与部材96に吸収され、水分付与部材96の上部と接触する上プレスローラ77の表面に水分Lが供給される。制御部8がプレスローラ75の駆動部を駆動すると、上プレスローラ77が回転し、図4に示すように、水分付与部材96からの水Mが上プレスローラ77の全周に渡り付与される。そして、紙材料Iが上下ガイド85,86に案内されつつ上下のプレスローラ77,78のニップ部Nに入る。
【0058】
図5に示すように、紙材料Iは、上下のプレスローラ77,78によって所定圧力で押圧され、厚さが薄く形成される。また、プレスローラ75の押圧により、紙材料Iの表面が平滑化される。そして、上プレスローラ77の表面に付着した水分Lが紙材料Iの表面に付与される。これより、紙材料Iの上プレスローラ77との接触面の方が、他方の面より含水率が上昇する。
【0059】
図2に示すように、紙材料Iの上プレスローラ77との接触面は、加熱部15において挟持用ベルト48に接触しており、加熱ドラム50に接触していた紙材料Iの他方の面と比較して表面の平滑性が劣る。そこで、水分付与部94により水分Lを付与しつつプレスローラ75で所定圧力で押圧することによって、紙材料Iの加熱ドラム50への非接触面の平滑性を向上することができ、得られる再生紙7の表裏面の状態の違いを抑制でき、品質を向上可能である。更に、紙材料Iの表裏面の平滑性などの状態が同等程度になるよう水分付与部94により付与する水分Lの量及びプレスローラ75の押圧力の少なくともいずれか調整することも可能である。
【0060】
大型または中型の製紙装置のように、加熱ドラム50が複数設置されている場合、紙材料Iの一方の面を乾燥ドラム50に接触させ加熱した後、他方の面を乾燥ドラム50に接触させ加熱することができる。よって、この場合紙材料Iのカールの問題は生じにくい。しかし、図2に示す製紙装置は、紙材料Iの搬送速度が0.1m/分〜100m/分程度の小型の製紙装置であり、製紙装置の占有面積を小さくするために加熱ドラム50を1個しか設置していない。紙材料Iの一方の面のみが、加熱ドラム50の湾曲面に沿って加熱され、乾燥されることで、得られる再生紙7は、加熱ドラム50の湾曲面と同様のカールを生じやすい。
【0061】
しかし、本実施形態では水分付与部94により紙材料Iの加熱ドラム50との非接触面に水分Lを付与し、紙材料Iの加熱ドラム50の非接触面を湿潤させることができる。その後、加熱部15の予熱によりまたは環境温度により乾燥されることで、紙材料Iの上面が僅かに収縮する。これより、紙材料Iに生じたカールを取り除くことができる。
【0062】
制御部8は、紙材料Iの厚さ、搬送速度、加熱部15の加熱温度や製紙装置が設置される場所の温度や湿度等の条件に基づき、紙材料Iに付与される水分Lの量を調整するよう制御することも可能である。紙材料Iに付与される水分Lの量の調整方法としては、例えば貯留部90へ送る水Mの量を加減し、水分付与部材96を介して上プレスローラ77に付与される水Mの量を増減することができる。また、水分付与部材96を上プレスローラ77に接触させる面積や接触時の圧力を加減することによっても紙材料Iへ付与する水分量を調整可能である。
【0063】
図示しないが、水分付与部72により紙材料Iに付与した水分Lを加熱し、蒸発させるための乾燥部を設けてもよい。乾燥部としては、プレスローラ75の内部、周辺または搬送路上に加熱手段を設けることとしてもよく、紙材料Iに冷風または温風を送るか、または吸気するための送風機を搬送路に設置してもよい。これより、紙材料Iに付着した水分Lを、自然乾燥を待たずに強制的に乾燥させることができ、表面に水滴が残存することを抑制し、下流側に設置された搬送ローラに紙材料Iが貼り付きにくくすることができる。
【0064】
以上より、本実施形態にかかる製紙装置によれば、カレンダー部72には、紙材料Iに水分を付与する水分付与部94が設けられたので、紙材料Iにカレンダー処理しつつ水分Lを付与することによって得られる再生紙7の品質を向上できる。
【0065】
また、水分付与部94は、プレスローラ75を介して紙材料Iに水分Lを供給するための水分付与部材96を備えたので、水分付与部材96を用いて紙材料Iに容易に水分を付与することができる。
【0066】
そして、水分付与部材96は、プレスローラ75へ供給する水Mを貯留する貯留部90を備えたので、貯留部90に貯留する水Mを、プレスローラ75を介して紙材料Iに容易に付与することができる。
【0067】
更に、水分付与部材96は、繊維製品または多孔質体により構成される場合は、繊維製品または多孔質体に水分Lを浸透させることによってプレスローラ75に容易に水分Lを供給することができる。
【0068】
更に、図7に示すように、一対のプレスローラ75が互いに接触している場合には、紙材料Iを挟持していない間に、ニップ部Nの上流側に水分Lが溜まり、後続の紙材料Iの先端部分に過剰に水分Lが供給されてしまう。しかし本実施形態では、紙材料Iのニップ部Nが所定量離間しているので、図6に示すように、先行して搬送される紙材料Ipを送りだし、且つ後続の紙材料Irを挟持する前のニップ部Nに紙材料Iを挟持していない状態であっても、水分Lが上プレスローラ77の表面に保持されたままニップ部Nより回転方向下流側へ移動する。よって、ニップ部Nに水分Lが溜まるといったことがないので、後続の紙材料I2の先端部分に過剰に水分Lが供給されることなく、適正量の水分を付与できる。
【0069】
更に、カレンダー部72は、プレスローラ75が紙材料Iを挟持したときプレスローラ75を押圧方向に付勢する付勢部81を備えたので、付勢部81によりプレスローラ75による紙材料Iの押圧力を高くすることができ、紙材料Iの表面の平滑性を向上可能である。
【0070】
更に、紙材料Iを加熱する加熱部15を備え、カレンダー部72は、加熱部15より紙材料Iの搬送方向下流側に設置されるので、加熱部15において加熱した紙材料Iをカレンダー部72で水分を付与しつつカレンダー処理することで、得られる再生紙7の品質を向上可能である。
【0071】
更に、プレスローラ75は紙材料を0.1m/分〜100m/分の速度で搬送するので、水分付与部94が簡易な機構であっても適正に紙材料に水分を付与することができる。
【0072】
尚、上記実施形態では、製紙装置において脱墨装置により脱墨処理を行ったが、脱墨処理を省略することも可能である。脱水部14は脱水ローラ部43により構成されたが、これに加え、脱水ベルトを備えてもよい。脱水用ベルトは、無端状に形成され、吸水性を有するフェルト又は毛布等を用いることができる。脱水ベルトはメッシュベルトと加熱ドラムの間に設置される。脱水ベルトはメッシュベルトから転移されたウエブを搬送し、加熱ドラムへ転移するよう構成される。
【0073】
水分付与部94は、プレスローラ75に接触する位置に1個のみ設けたが、複数設け、紙材料Iへの水分の付与動作を複数回行って、含水率を段階的に上昇させてもよい。また、水分付与部94は、紙材料Iの一方の面にのみ水分Lを付与したが、双方に付与できるよう構成し、双方の水分バランスを調整するよう制御してもよい
【0074】
また、製紙装置は、水を用いて古紙を再生処理したが、水を全くまたはほとんど用いることなく再生処理し、再生紙に調製してもよい。この場合、古紙を解繊し、必要な添加剤を添加し、加熱部により加熱することによって再生紙に調製することができる。
【符号の説明】
【0075】
L 水分、13 繊維層形成部、15 加熱部、72 カレンダー部、75 プレスローラ、81 付勢部、90 貯留部、94 水分付与部、96 水分付与部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7