【実施例1】
【0034】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の構造について、
図1から
図6を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように、トンネル掘削機1には、円筒形状を成すスキンプレート(掘削機本体)11が設けられており、このスキンプレート11の前方部(
図1においては、左方側)には、円盤形状のカッタヘッド12が回転自在に支持されると共に、このカッタヘッド12の後方に位置してバルクヘッド13が取り付けられている。
【0036】
ここで、カッタヘッド12は、中間ビーム21およびリングギヤ22を介して、カッタ駆動モータ23と連結されており、このカッタ駆動モータ23の駆動によって、リングギヤ22および中間ビーム21と共に回転駆動されるようになっている。なお、これらカッタヘッド12、中間ビーム21、リングギヤ22およびカッタ駆動モータ23は、バルクヘッド13を介して、スキンプレート11に支持されている。
【0037】
よって、トンネル掘削機1は、カッタヘッド12を回転駆動することによって前方の地山を掘削し、その掘削土砂をカッタヘッド12に設けられた図示しない土砂取り込み口から当該カッタヘッド12とバルクヘッド13との間に画成される空間(チャンバ)S
13内へ取り込むようになっている。
【0038】
また、トンネル掘削機1には、掘削土砂を搬送可能なスクリューコンベア14が設けられている。スクリューコンベア14は、前端部がバルクヘッド13を貫通してチャンバS
13内に臨むと共に、後端部が図示しないベルトコンベア上に位置するように配設されている。よって、チャンバS
13内に取り込まれた掘削土砂は、スクリューコンベア14および図示しないベルトコンベア等を介して外部へ排出されるようになっている。
【0039】
上述したように概略構成されるトンネル掘削機1においては、巨礫や岩盤等を掘削するためのディスクカッタ31と、このディスクカッタ31をトンネル掘削機1の機内空間(カッタヘッド11の内部空間)S
12で交換するためのカッタ交換装置32とが設けられている。
【0040】
図2Aに示すように、カッタ交換装置32には、カッタヘッド12の前方空間(地山側の空間であって、
図2Aにおいては左方側の空間)S
100と後方空間(チャンバであって、
図2Aにおいては右方側の空間)S
13とを連通すると共に、ディスクカッタ31をその内周側に保持する筒状部材41が設けられている。つまり、筒状部材41の内部空間S
32は、掘削土砂が流通される土砂取り込む流路(土砂取り込み流路)として機能し、前方空間S
100における掘削土砂は、内部空間S
32を介してディスクカッタ31の後方に流れ、チャンバS
13内に取り込まれるようになっている。
【0041】
筒状部材41は、内周側にディスクカッタ31を回転可能に保持する筒状のサドル51と、軸方向(前後方向であって、
図2Aにおいては左右方向)に伸縮可能な蛇腹部を有する筒状の伸縮管52とが連結されて成る。
【0042】
サドル51は、カッタヘッド12を構成する前壁部12aに(カッタヘッド12の前面に臨んで)設けられた筒状の前方側取付台42の内周側において前後方向に摺動可能かつ液密に嵌合されており、伸縮管52は、その一端部(前端部であって、
図2Aにおいては左方側端部)がサドル51と着脱可能かつ液密に接続されており、その他端部(後端部であって、
図2Aにおいては右方側端部)がカッタヘッド12を構成する後壁部12bに(カッタヘッド12の後面に臨んで)設けられた筒状の後方側取付台43に液密に固定されている。
【0043】
よって、伸縮管52(蛇腹部)が伸縮されると、当該伸縮管52と接続されたサドル51が前方側取付台42に対して前後方向に摺動(移動)される。つまり、筒状部材41は、当該筒状部材41(伸縮管52)の伸縮動作によって、その全長(軸方向長さであって、
図2Aにおいては左右方向における長さ)を可変とするものである。なお、筒状部材41(伸縮管52)の伸縮動作において、サドル51が前方側取付台42の内周側に収められている(前方側取付台42から抜け出ない)限り、サドル51と前方側取付台42との液密な嵌合は維持されるものとし、サドル51が伸縮管52と接続されている(伸縮管52から取り外されない)限り、サドル51と伸縮管52との液密な接続は維持されるものとする。
【0044】
ここで、カッタ交換装置32は、図示しないジャッキやモータ等の駆動源を動力として、または、図示しない機構を介して作業者の手動により、伸縮管52(蛇腹部)を伸縮させることができる(筒状部材41の全長を可変とする)ものであり、その構成について特に限定されない。
【0045】
また、カッタ交換装置32には、伸縮管52の伸縮動作(伸縮方向)を案内するガイド棒44が設けられている。ガイド棒44は、カッタヘッド12の構造部(例えば、前壁部12aおよび後壁部12b)に固定されると共に、伸縮管52の一端部と摺動可能に係合されている。よって、伸縮管52は、ガイド棒44に沿って前後方向に伸縮され、サドル51は、ガイド棒44に沿う伸縮管52の伸縮動作によって前後方向に移動される。
【0046】
ここで、伸縮管52(蛇腹部)の伸縮動作によって筒状部材41が長尺状態または短尺状態に変態されると、サドル51に保持されるディスクカッタ31が前方の地山に対して進退されて掘削位置または交換位置に位置される。具体的には、筒状部材41が伸縮管52の伸長された長尺状態(
図2Aに示す状態)となると、ディスクカッタ31は、トンネル掘削機1(カッタヘッド12の回転駆動)によって前方の地山を掘削するための掘削位置(
図2Aに示す位置)に位置される。一方、筒状部材41が伸縮管52の縮長された短尺状態(
図2Cに示す状態)となると、ディスクカッタ31は、トンネル掘削機1による掘削(カッタヘッド12の回転駆動)を停止してディスクカッタ31の交換作業を行うための交換位置(
図2Cに示す位置)に位置される。
【0047】
なお、カッタ交換装置32は、図示しないロック機構を備え、このロック機構によってサドル51を掘削位置に位置決め(固定)することができるものとする。また、カッタ交換装置32は、図示しない状態維持機構を備え、この状態維持機構によってディスクカッタ31の交換時に伸縮管52を短尺状態に維持することができるものとする(
図2D参照)。
【0048】
もちろん、本発明に係るトンネル掘削機は、上述した構成のカッタ交換装置32を備えたものに限定されない。例えば、サドル51の移動動作(移動方向)を案内するサドルガイド(不図示)を追設、または、このサドルガイドをガイド棒44に替えて設けるようにしても良い。また、サドル51を掘削位置に位置決め(固定)するロック機構(不図示)に替えて、伸縮管52を長尺状態に維持することができる状態維持機構(不図示)を備えても良い。
【0049】
図2Aに示すように、カッタ交換装置32には、筒状部材41(内部空間S
32)を介した前方空間S
100と後方空間S
13との連通を遮断可能な遮断機構45が設けられている。遮断機構45は、平板状の弁体61を開閉ジャッキ62(
図3A参照)によって内部空間S
32に突出させて当該内部空間S
32を閉塞することにより、当該内部空間S
32における掘削土砂の流通を遮断するものである(
図2B参照)。
【0050】
遮断機構45は、例えば、前方側取付台42と後方側取付台43とにそれぞれ設けられている。この構成によれば、前方側取付台42に設けられた前方側の遮断機構(前方側遮断機構)45Fの遮断動作により、内部空間S
32と前方空間S
100との連通が遮断され、後方側取付台43に設けられた後方側の遮断機構(後方側遮断機構)45Bの遮断動作により、内部空間S
32と後方空間S
13との連通が遮断される。
【0051】
ここで、
図6に示すように、カッタヘッド11においては、多数のディスクカッタ31を径方向の位置を違えて配置しており、これらのディスクカッタ31およびカッタ交換装置32の配置の自由度を向上させるために、構成を異にする複数の遮断機構45(45−1,45−2,45−3)を採用している。
【0052】
まず、
図3Aおよび
図3Bに示すように、第一の遮断機構45−1(45)は、二つの弁体61−1(61)を互いに対向するように一直線上(内部空間S
32を中心として点対称)に配置し、これら二つの弁体61−1を一対の開閉ジャッキ62−1(62)によって開閉する(当該直線に沿って互いに近接離反する方向に移動する)ことにより、内部空間S
32を閉塞可能とするものである(第一の構成)。
【0053】
第一の遮断機構45−1は、遮断機構45として基本的な構成のものであり、カッタヘッド11において、周辺に十分な設置スペースを確保することができるディスクカッタ31およびカッタ交換装置32に対して設けられる(
図6参照)。
【0054】
次に、
図4Aおよび
図4Bに示すように、第二の遮断機構45−2(45)は、一つの弁体61−2(61)を一対の開閉ジャッキ62−2(62)によって開閉(移動)することにより、内部空間S
32を閉塞可能とするものである(第二の構成)。
【0055】
第二の遮断機構45−2は、第一の遮断機構45−1と構成を異にする変形例であり、カッタヘッド11において、ディスクカッタ31の両側に十分なスペースを確保することができず、ディスクカッタ31の片側のみに十分なスペースを確保することができる場合に、このディスクカッタ31およびカッタ交換装置32に対して設けられる(
図6参照)。
【0056】
次に、
図5Aおよび
図5Bに示すように、第三の遮断機構45−3(45)は、二つの弁体61−3(61)を折れ線上(内部空間S
32の中心を通る直線C
Lに対して線対称)に配置し、これら二つの弁体61−3(61)をそれぞれ一対(計二対)の開閉ジャッキ62−3によって開閉する(当該折れ線に沿って互いに近接離反する方向に移動する)ことにより、内部空間S
32を閉塞可能とするものである(第三の構成)。
【0057】
第三の遮断機構45−3は、第一の遮断機構45−1および第二の遮断機構45−2と構成を異にする変形例であり、カッタヘッド11において、一直線上の配置では十分な設置スペースを確保することができない(例えば、径方向外側に位置して周辺に十分な設置スペースを確保することができない)場合に、このディスクカッタ31およびカッタ交換装置32に対して設けられる(
図6参照)。
【0058】
このように弁体61(61−1,61−2,61−3)および開閉ジャッキ62(62−1,62−2,62−3)の構成を異にする複数の遮断機構45(45−1,45−2,45−3)を備えることにより、カッタヘッド12におけるディスクカッタ31およびカッタ交換装置32の配置の自由度を向上させることができる。
【0059】
なお、
図1に示すように、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32においては、図示しないロータリージョイント等を考慮して、筒状部材41の内部空間(第一の土砂取り込み流路)S
32の後方に径方向外側へ向けて傾斜した第二の土砂取り込み流路(内部空間S
32とチャンバS
13とを連通する空間)S
32aを設けると共に、この空間に後方側の遮断機構45B(例えば、第一の遮断機構45−1)を設けている。
【0060】
ここで、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32における筒状部材41(サドル51)は、複数のディスクカッタ31を同時に(一括で)保持するように長丸の筒状に形成されており(一つのディスクカッタ31を保持するものであっても良い)、この筒状部材41の内部空間S
32は、長丸形状の前方側開口部(第一の開口部)32aを介して前方空間S
100と連通され、前方側開口部32aと形状を異にする円形状の後方側開口部(第二の開口部)32bを介して後方空間S
13と連通されるようになっている。つまり、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32においては、掘削土砂の取り込み流路の形状を異にする内部空間(第一の土砂取り込み流路)S
32と第二の土砂取り込み流路S
32aとが前後方向に連設されている。
【0061】
そして、このカッタ交換装置32における前方側遮断機構45Fおよび後方側遮断機構45Bは、上述した掘削土砂の取り込み流路の形状を異にする内部空間(第一の土砂取り込み流路)S
32と第二の土砂取り込み流路S
32aとにそれぞれ対応して設けられている。つまり、前方側遮断機構45Fは、前方側開口部32aを開閉するものであり、後方側遮断機構45Bは、後方側開口部32bを開閉するものであり、両者は、遮断断面の形状を異にするものである。
【0062】
もちろん、トンネル掘削機1の径方向中央以外に配置されるカッタ交換装置32の筒状部材41であって、一つまたは複数のディスクカッタを保持する筒状部材41において、その内部空間S
32と前方空間S
100とを連通可能とする第一の開口部の形状と、その内部空間S
32と後方空間S
13とを連通可能とする第二の開口部の形状とを異にするようにしても良い。
【0063】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の動作について、
図1から
図2Dを参照して説明する。
【0064】
トンネル掘削機1は、カッタ駆動モータ23を駆動し、リングギヤ22および中間ビーム21を介してカッタヘッド12を回転駆動することにより、前方の地山を掘削する(
図1参照)。そして、カッタヘッド12によって掘削した掘削土砂を、内部空間S
32(および第二の土砂取り込み流路S
32a)ならびに図示しない土砂取り込み口を介してチャンバS
13内に取り込むと共に、スクリューコンベア14によって後方に搬送した後、図示しないベルトコンベア等によって外部へ排出する。
【0065】
ここで、掘進時(掘削時)において、筒状部材41は伸縮管52が伸長された長尺状態である(
図1および
図2A参照)。よって、ディスクカッタ31による巨礫や岩盤の掘削がなされると共に、ディスクカッタ31によって掘削した掘削土砂が当該ディスクカッタ31の後方に形成された内部空間(第一の土砂取り込み流路)S
32(および第二の土砂取り込み流路S
32a)を介して直接的にチャンバS
13へ取り込まれる。
【0066】
つまり、ディスクカッタ31の後方に掘削土砂が滞留することはなく、当該ディスクカッタ31周りの掘削土砂の流通性が向上される。よって、ディスクカッタ31の目詰まり等による影響を受けず、掘削時の抵抗を低減することができるので、トンネル掘削機1による掘進作業(掘削作業)を良好に行うことができる。
【0067】
なお、ディスクカッタ31すなわちサドル51は、図示しないロック機構によって掘削位置に位置決め(固定)されているため、掘進時(掘削時)において、サドル51が前方側取付台42から抜け出ることはない。
【0068】
そして、トンネル掘削機1による掘削作業(掘進作業)が続けられ、ディスクカッタ31が摩耗した際には、カッタ駆動モータ14の駆動(カッタヘッド12の回転駆動)を停止し、以下の手順でディスクカッタ31の交換を行う。
【0069】
まず、サドル51の図示しないロック機構を解除し、伸縮管52(蛇腹部)の縮長動作によってサドル51を前方側取付台42に対して後方に摺動(移動)させ(ディスクカッタ31を後退させ)、所定のタイミングで前後両側の弁体61を閉扉させる(
図2B参照)。
【0070】
ここで、所定のタイミングは、ディスクカッタ31の先端部が前方側の遮断機構45Fの遮断位置(弁体61が開閉する位置)よりも後方に位置し、かつ、サドル51の先端部が前方側取付台42の後端部よりも前方に位置する(サドル51が前方側取付台42から抜け出ない)ときである。もちろん、この所定のタイミングにおいて、サドル51は、その前端部が前方側取付台42と前後方向に摺動可能かつ液密に嵌合された状態であり、サドル51(筒状部材41)と前方側取付台42との液密な嵌合は維持されている。
【0071】
これにより、内部空間S
32と前方空間S
100との連通および内部空間S
32と後方空間S
13との連通が確実に遮断され、内部空間S
32および機内空間S
12が前方空間S
100およびチャンバS
13と確実に隔離される。
【0072】
そして、伸縮管52(蛇腹部)のさらなる縮長動作によってサドル51をさらに後方に移動させ(ディスクカッタ31をさらに後退させ)、ディスクカッタ31を交換位置に位置させる(
図2C参照)。このとき、図示しない状態維持機構によって伸縮管52を縮長状態に維持することにより、後述するサドル51の伸縮管52に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0073】
続いて、サドル51を伸縮管52から取り外し、当該サドル51に保持されたディスクカッタ31を交換する(
図2D参照)。
【0074】
このとき、サドル51と伸縮管52とを着脱可能に接続することによって筒状部材41を構成しているので、ディスクカッタ31を保持しているサドル51のみを取り外すことにより、ディスクカッタ31の交換を行うことができる。つまり、ディスクカッタ31の交換時に、筒状部材41の全部を取り扱うことなく、その一部であるサドル51(筒状部材41全体と比較して小さい部分)のみを取り扱うこととなるので、ディスクカッタ31の作業性を向上させることができる。
【0075】
次に、新たなディスクカッタ31が保持されたサドル51を、伸縮管52と連結する(
図2C参照)。
【0076】
そして、伸縮管52(蛇腹部)の伸長動作によってサドル51を前方に移動させ(ディスクカッタ31を前進させ)、当該サドル51を前方側取付台42の内周に嵌合させる(
図2B参照)。
【0077】
続いて、弁体61を開扉させ(
図2B参照)、伸縮管52(蛇腹部)のさらなる伸長動作によってサドル51(ディスクカッタ31)を掘削位置に位置させると共に図示しないロック機構によって位置決め(固定)する(
図2A参照)。
【0078】
以上の手順により、ディスクカッタ31の交換作業が完了し、トンネル掘削機1による掘削作業(掘進作業)を再開する。
【0079】
本実施例に係るトンネル掘削機によれば、カッタ交換装置32によってディスクカッタ31を機内空間S
12において安全に交換することができると共に、前方空間S
100とチャンバS
13とを連通する内部空間S
32によってディスクカッタ31の後方における掘削土砂の流通性(チャンバS
13への取り込み性能)をより向上させることができる。
【0080】
そして、筒状部材41を、蛇腹部を有する伸縮管52で構成することにより、高い伸縮率を確保する(短尺状態と長尺状態との比率を大きくする)ことができるので、部品点数の増加を抑制すると共に、簡易な構成とすることができる。
【0081】
本発明に係るトンネル掘削機における筒状部材は、本実施例のように、ディスクカッタ31を回転可能に保持するサドル51と蛇腹部を有する伸縮管52とを連結して成る筒状部材41に限定されない。例えば、サドルと伸縮管とを一体的に形成したもの(単一部材)であっても良く、また、伸縮管(または筒状部材)を摺動可能な多重管で構成したものであっても良く、さらに、筒状部材の一部(後端部)がカッタヘッドの後壁部から後方側(チャンバ側)へ突出可能なように筒状部材全体をカッタヘッド12に対して摺動可能に構成したものであっても良い。
【0082】
ここで、筒状部材(伸縮管)を摺動可能な多重管で構成した例を
図7Aおよび
図7Bに示す。
図7Aおよび
図7Bに示した構成例は、蛇腹を有する伸縮管52を備えた筒状部材41に替えて、摺動可能な多重管で構成された伸縮管152を備えた筒状部材141を採用したものであり、筒状部材141における伸縮管152の構成を除いて上述した実施例と同様の構成を有する。よって、
図7Aおよび
図7Bにおいては、上述した実施例と同様の構成には、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
図7Aおよび
図7Bに示すように、筒状部材141は、サドル51と伸縮管152とが連結されて成り、この伸縮管152は、一端がサドル51と着脱可能かつ液密に接続された外筒152aと、この外筒152aの内周側において摺動可能に嵌合される内筒152bと、これら外筒152aと内筒152bとの摺動を液密に保持するシール部材152cとによって構成されている。
【0084】
そして、伸縮管152における外筒152aと内筒152bとの摺動動作により、筒状部材141が伸縮管152の伸長された長尺状態となると、ディスクカッタ31は、カッタヘッド12の回転駆動によって前方の地山を掘削するための掘削位置に位置され(
図7A参照)、一方、筒状部材141が伸縮管152の縮長された短尺状態となると、ディスクカッタ31は、カッタヘッド12の回転駆動を停止してディスクカッタ31の交換作業を行うための交換位置に位置される(
図7B参照)。
【0085】
このように、伸縮管152を外筒152aおよび内筒152bから成る多重管で構成した筒状部材141を採用することにより、上述した実施例における蛇腹を有する伸縮管52を備えた筒状部材41(
図2Aから
図2D参照)と比較して、筒状部材141(伸縮管152)の剛性を高め、前方空間S
100と後方空間S
13との連通状態時における耐圧性能を向上させることができる。
【0086】
また、筒状部材(伸縮管)を、蛇腹を有する多重管で構成することにより(不図示)、多重管で構成された伸縮管152を備える筒状部材141(
図7Aおよび
図7B参照)のように高剛性および高耐圧性能を確保しつつ、蛇腹を有する伸縮管52を備える筒状部材41(
図2Aから
図2D参照)のように高い伸縮率を確保して部品点数の増加を抑制することができ、合理的な構造で信頼性の高い機能を実現することができる。
【0087】
次に、筒状部材の一部(後端部)がカッタヘッドの後壁部から後方側(チャンバ側)へ突出可能なように筒状部材全体をカッタヘッドに対して摺動可能に構成した例を
図8Aおよび
図8Bに示す。
図8Aおよび
図8Bに示した構成例は、蛇腹を有する伸縮管52を備えた筒状部材41に替えて、カッタヘッド12の後壁部12bに対して摺動可能な摺動筒252を備えた筒状部材241を採用したものであり、筒状部材241における摺動筒252の構成を除いて上述した実施例と同様の構成を有する。よって、
図8Aおよび
図8Bにおいては、上述した実施例と同様の構成には、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0088】
図8Aおよび
図8Bに示すように、筒状部材241は、サドル51と摺動筒252とが連結されて成り、この摺動筒252は、一端がサドル51と着脱可能かつ液密に接続され、他端が後方側取付台43に摺動可能かつ液密に嵌合されて成る。
【0089】
そして、筒状部材241全体(サドル51および摺動筒252)をカッタヘッド12(前方側取付台42および後方側取付台43)に対して摺動させることにより、ディスクカッタ31は、筒状部材241の摺動方向(例えば、トンネル前後方向)に移動され、カッタヘッド12の回転駆動によって前方の地山を掘削するための掘削位置(
図8A参照)およびカッタヘッド12の回転駆動を停止してディスクカッタ31の交換作業を行うための交換位置(
図8B参照)に位置される。
【0090】
ここで、摺動筒252は、カッタヘッド12に対する摺動動作において、後方側取付台43との液密な嵌合を維持している。具体的には、摺動筒252は、ディスクカッタ31が掘削位置に位置している場合には、その後端部が後方側取付台43に液密に嵌合された状態であり、ディスクカッタ31が交換位置に位置している場合には、その後端部が後方側取付台43に液密に嵌合されると共に、当該後方側取付台43(カッタヘッド12の後壁部12b)を貫通してトンネル後方側(チャンバ側)に突出した状態である。なお、摺動筒252は、ディスクカッタ31が掘削位置に位置している場合にも、その後端部が後方側取付台43(カッタヘッド12の後壁部12b)を貫通してトンネル後方側(チャンバ側)に突出した状態であっても良い。
【0091】
また、摺動筒252には、後方側の遮断機構(後方側遮断機構)45Bが取り付けられており、この後方側遮断機構45Bは、筒状部材241と共に、当該筒状部材241の摺動方向に移動する。このとき、後方側遮断機構45Bは、筒状部材241の摺動動作に伴う移動によってカッタヘッド12の後壁部12b等と干渉することがないように、摺動筒252の後方側部分ではなく前方側部分に配置されることが好ましい。つまり、後方側遮断機構45Bの取付位置を摺動筒252の前方側部分とし、後方側遮断機構45Bの移動範囲を機内空間S
12内とする。
【0092】
このように、筒状部材241の一部(摺動筒252の後端部)がカッタヘッド12の後壁部12bからトンネル後方側(チャンバS
13側)へ突出可能なように筒状部材241全体(サドル51および摺動筒252)をカッタヘッド12(前方側取付台42および後方側取付台43)に対して摺動可能に構成した筒状部材241を採用することにより、上述した実施例における蛇腹を有する伸縮管52を備えた筒状部材41(
図2Aから
図2D参照)と比較して、その構成を簡易なものとすると共に、筒状部材241(摺動筒252)の剛性を高め、前方空間S
100と後方空間S
13との連通状態時における耐圧性能を向上させることができる。
【0093】
なお、上述した実施例(
図2Aから
図2D参照)および変更例(
図7Aおよび
図7B、ならびに、
図8Aおよび
図8B参照)における前方取付台42は、カッタヘッド12と別途の構成として設けられるものに限定されず、ディスクカッタ31をカッタヘッド12内に取り込むことができるように、筒状部材41,141,142の前端部(サドル51)が液密かつ摺動可能に保持されるものであれば良く、例えば、カッタヘッド12の前壁部12aに一体的に形成されるもの、または、カッタヘッド12の前壁部12aに形成される貫通孔などであっても良い。
【0094】
また、上述した実施例(
図2Aから
図2D参照)および変更例(
図7Aおよび
図7B、ならびに、
図8Aおよび
図8B参照)における後方取付台43は、カッタヘッド12と別途の構成として設けられるものに限定されず、筒状部材41,141の後端部(伸縮管52および伸縮管152)が後方空間に臨んで液密に固定されるもの、または、筒状部材241の後端部(摺動筒252)がトンネル後方に突出して摺動可能かつ液密に嵌合されるものであれば良く、例えば、カッタヘッド12の後壁部12bに一体的に形成されるもの、または、カッタヘッド12の後壁部12bに形成される貫通孔などであっても良い。