特開2019-183956(P2019-183956A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社板野紙工の特許一覧

<>
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000003
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000004
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000005
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000006
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000007
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000008
  • 特開2019183956-板状部材の接続構造 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-183956(P2019-183956A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】板状部材の接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20190927BHJP
   A47F 8/00 20060101ALI20190927BHJP
   A47F 5/11 20060101ALI20190927BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   F16B5/02 U
   A47F8/00
   A47F5/11
   F16B5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-75286(P2018-75286)
(22)【出願日】2018年4月10日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】504270426
【氏名又は名称】株式会社板野紙工
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 一志
【テーマコード(参考)】
3B118
3J001
【Fターム(参考)】
3B118GA02
3B118GA08
3J001FA02
3J001GA05
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA08
3J001JA10
3J001JD18
3J001KA19
3J001KA21
(57)【要約】
【課題】接続状態では意に反して接続が解除されることを抑制する一方、接続を解除する際には解除作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】上腕パーツ36に、軸部48を軸部48の軸方向と直交する方向に通過させて上腕パーツ36の外側へ案内する先端側案内通過部72aを設け、固定具45は、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とが螺合した状態で、フランジ部49と押さえ部51とが上腕パーツ36及び前腕パーツを圧縮して挟持することにより上腕パーツ36と上腕パーツ36とを接続する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する板状の部材からなり第1孔部を備える第1板状部材と、可撓性を有する板状の部材からなり第2孔部を備える第2板状部材と、上記第1板状部材と上記第2板状部材とを接続する固定具とを備える板状部材の接続構造であって、
上記固定具は、
上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち一方と当接するフランジ部と、該フランジ部から延びかつねじ山が形成され上記第1孔部及び上記第2孔部に挿通される軸部とを有する雄ネジ部材と、
上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち他方と当接する押さえ部と、上記軸部と螺合するねじ孔とを有する雌ネジ部材とからなり、
上記第1板状部材には、上記軸部を該軸部の軸方向と直交する方向に通過させて該第1板状部材の外側へ案内する第1案内通過部が形成され、
上記固定具は、上記雄ネジ部材と上記雌ネジ部材とが螺合した状態で、上記フランジ部と上記押さえ部とが上記第1板状部材及び上記第2板状部材を圧縮して挟持することにより該第1板状部材と該第2板状部材とを接続することを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の板状部材の接続構造において、
上記第1案内通過部は、上記第1板状部材の外周縁と上記第1孔部との間にスリット状に設けられ、
上記第1案内通過部の上記軸部が通過する方向に直交する方向の幅は、該軸部の軸径よりも小さく設定されていることを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の板状部材の接続構造において、
上記第2板状部材には、上記軸部を該軸部の軸方向と直交する方向に通過させて該第2板状部材の外側へ案内する第2案内通過部が形成されていることを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状部材の接続構造において、
上記第1板状部材は、長尺状に形成されかつ、上記第1孔部を長手方向一端部に備え、上記第1案内通過部を長手方向一端縁と上記第1孔部との間に長手方向に延びるように備えることを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の板状部材の接続構造において、
上記固定具は、透明であることを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の板状部材の接続構造において、
上記第1板状部材及び上記第2板状部材は、ダンボール紙からなることを特徴とする板状部材の接続構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の板状部材の接続構造において、
上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち、上記フランジ部および上記押さえ部で挟持される部分には、該フランジ部及び該押さえ部に対応する形状の切込みが形成されていることを特徴とする板状部材の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の板状部材の接続構造として、従来、例えば特許文献1には、厚紙等のシート材からなる衝立部と支持フレームとが接続された接続構造が開示されている。この接続構造では、衝立部は、長孔スリット状の掛止め部を備え、支持フレームにはビスの軸部が挿通されている。そして、この長孔スリット状の掛止め部を軸部に掛止めすることで衝立部と支持フレームとを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−252156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、長孔スリット状の掛止め部は単に軸部に掛止めされているだけなので、接続の強度が弱く、外力によって長孔スリット状の掛止め部が軸部から外れてしまい、衝立部と支持フレームとの接続が解除されてしまうおそれがあった。このため、長孔スリット状の切欠き状の掛止め部の代わりに孔部を設けて孔部にビス等の固定具の軸部を挿通することが考えられる。
【0005】
ところで、例えば、このような板状部材により構成された構造物を廃棄する場合や持ち運びする場合等においては、各々の接続を解除する必要がある。この場合、衝立部と支持フレームとの接続を解除するときには、固定具を支持フレーム等から取り外す必要があり、接続の解除の作業に手間がかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板材の接続構造において、接続状態では意に反して接続が解除されることを抑制する一方、板状部材の接続を解除する際には解除作業を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、可撓性を有する板状の部材からなり第1孔部を備える第1板状部材と、可撓性を有する板状の部材からなり第2孔部を備える第2板状部材と、上記第1板状部材と上記第2板状部材とを接続する固定具とを備える板状部材の接続構造であって、上記固定具は、上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち一方と当接するフランジ部と、該フランジ部から延びかつねじ山が形成され上記第1孔部及び上記第2孔部に挿通される軸部とを有する雄ネジ部材と、上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち他方と当接する押さえ部と、上記軸部と螺合するねじ孔とを有する雌ネジ部材とからなり、上記第1板状部材には、上記軸部を該軸部の軸方向と直交する方向に通過させて該第1板状部材の外側へ案内する第1案内通過部が形成され、上記固定具は、上記雄ネジ部材と上記雌ネジ部材とが螺合した状態で、上記フランジ部と上記押さえ部とが上記第1板状部材及び上記第2板状部材を圧縮して挟持することにより該第1板状部材と該第2板状部材とを接続することを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1案内通過部は、上記第1板状部材の外周縁と上記第1孔部との間にスリット状に設けられ、上記第1案内通過部の上記軸部が通過する方向に直交する方向の幅は、該軸部の軸径よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記第2板状部材には、上記軸部を該軸部の軸方向と直交する方向に通過させて該第2板状部材の外側へ案内する第2案内通過部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記第1板状部材は、長尺状に形成されかつ、上記第1孔部を長手方向一端部に備え、上記第1案内通過部を長手方向一端縁と上記第1孔部との間に長手方向に延びるように備えることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、上記固定具は、透明であることを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、上記第1板状部材及び上記第2板状部材は、ダンボール紙からなることを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれか1つにおいて、上記第1板状部材及び上記第2板状部材のうち、上記フランジ部および上記押さえ部で挟持される部分には、該フランジ部及び該押さえ部に対応する形状の切込みが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、雄ネジ部材と雌ネジ部材とを螺合により締め込むことで、第1板状部材及び第2板状部材を圧縮させて強く挟持して接続することができる。一方、雄ネジ部材と雌ネジ部材との螺合が緩められると、軸部は、雄ネジ部材と雌ネジ部材とが結合した状態で、第1案内通過部を通過することができる。このため、板材の接続の解除の作業の際に、雄ネジ部材を雌ネジ部材から外すことなく第1板状部材と第2板状部材との接続を解除することができる。したがって、板材の接続構造において、接続状態では意に反して接続が解除されることを抑制する一方、板状部材の接続を解除する際には解除作業を容易に行えるようにすることができる。
【0015】
第2の発明によれば、軸部が第1案内通過部を通過するには、第1案内通過部の縁部を変形させる必要がある。このため、軸部が第1案内通過部を通過し難くなる。したがって、意に反して接続が解除されることを確実に抑制することができる。
【0016】
第3の発明によれば、軸部を第1案内通過部及び第2案内通過部を通過させることで、雄ネジ部材と雌ネジ部材とが螺合した状態で固定具を第1板状部材及び第2板状部材から外すことができる。このため、固定具と各板状部材とを容易に分解することができる。
【0017】
第4の発明によれば、第1板状部材を長手方向に引っ張ることで第1板状部材から固定具を外すことができる。また、第1案内通過部の長手方向の寸法を短くすることができる。このため、板材の接続の解除の作業をさらに容易にすることができる。
【0018】
第5の発明によれば、第1板状部材及び第2板状部材が固定具で接続された状態であっても、固定具が透明であれば固定具と対向する第1案内通過部を透けて目視することができる。このため、軸部を案内する方向が確認でき、板材の接続の解除の作業を容易にすることができる。
【0019】
第6の発明によれば、第1板状部材及び第2板状部材がダンボール紙であれば、ダンボール紙の潰れ変形により、各板状部材を圧縮させ易くなる。このため、第1板状部材及び第2板状部材を強く挟持して、意に反して接続が解除されることをさらに抑制することができる。
【0020】
第7の発明によれば、切込みにより、挟持される部分が厚み方向に変形し易くなる。このため、フランジ部と押さえ部との圧縮挟持がより効果的になり、第1板状部材及び第2板状部材を強く挟持して、意に反して接続が解除されることをさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態1に係るダンボール製マネキンの全体構成を示す正面図である。
図2】上腕パーツ及び前腕パーツの構成を示す図である。
図3】上腕パーツと前腕パーツとが接続された状態示す図である。
図4】上腕パーツと前腕パーツとが接続された状態示す断面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る陳列台の構成を示す図である。
図6】台部及び側壁部の構成を示す図である。
図7】台部と側壁部とが接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0023】
(実施形態1)
実施形態1について説明する。本実施形態では、図1に示すように、複数の接続構造70を備えたダンボール製マネキン10を例示する。
【0024】
−全体構成−
図1に示すように、ダンボール製マネキン10は、ダンボール紙で構成された人体を模した複数の板状のパーツが接続構造70により組み合わされ、支柱15によって立設姿勢となるように支持されている。
【0025】
ダンボール製マネキン10は、主に、胴体部分を構成する胴体パーツ20と、頭部分を構成する頭パーツ30と、上肢部分を構成する上肢パーツ35と、下肢部分を構成する下肢パーツ40とを有する。
【0026】
胴体パーツ20の肩部21の前側(図1における手前側)には、上肢パーツ35が取り付けられている。胴体パーツ20の腰部25の前側には、下肢パーツ40が取り付けられている。支柱15の上端部は、胴体パーツ20の背面側で腰部25よりも上方位置に取り付けられている。支柱15の下端部は、土台60に保持されている。
【0027】
上肢パーツ35は、上腕部分を構成する上腕パーツ36と、前腕部分を構成する前腕パーツ37と、手部分を構成する手パーツ38とを有する。上腕パーツ36の基端部は、接続構造70の一部を構成する固定具45を介して胴体パーツ20の肩部21の前側に回動可能に支持されている。前腕パーツ37の基端部は、固定具45を介して上腕パーツ36の先端部の前側に回動可能に支持されている。手パーツ38の基端部は、固定具45を介して前腕パーツ37の先端部の前側に回動可能に支持されている。
【0028】
下肢パーツ40は、大腿部分を構成する大腿パーツ41と、下腿部分を構成する下腿パーツ42と、足部分を構成する足パーツ43とを有する。大腿パーツ41の基端部は、固定具45を介して胴体パーツ20の腰部25の前側に回動可能に支持されている。下腿パーツ42の基端部は、固定具45を介して大腿パーツ41の先端部の前側に回動可能に支持されている。足パーツ43の基端部は、固定具45を介して下腿パーツ42の先端部の前側に回動可能に支持されている。
【0029】
ここで、固定具45は、各パーツを厚み方向の両側から挟持する一対の部材で構成されている。固定具45は、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを備えている。各パーツの接続構造70については後述する。
【0030】
ダンボール製マネキン10には、シャツ1を着せたり、ズボン2や靴3を履かせることで、商品の展示を行うことができる。また、頭パーツ30の顔部31の耳周辺に孔をあけておけば、眼鏡やサングラスを着用することもできる。また、頭パーツ30の頭部に帽子を被せてもよい。このように、シャツ1やズボン2以外にも様々なアイテムをダンボール製マネキン10に装着することで、ディスプレイの表現の幅を広げることができる。
【0031】
−接続構造−
次に、固定具45によって各パーツ同士が接続された接続構造70を説明する。なお、以下の説明では、第1板状部材として上腕パーツ36を例示し、第2板状部材として前腕パーツ37を例示して、上腕パーツ36と前腕パーツ37との接続構造70について説明する。本実施形態の接続構造70は、図3及び図4に示すように、上腕パーツ36と、前腕パーツ37と、固定具45とを備えている。接続構造70では、上腕パーツ36の先端部と前腕パーツ37の基端部とが重ね合わされた状態で、固定具45によって挟持されている。
【0032】
〈上腕パーツ〉
図2に示すように、第1板状部材としての上腕パーツ36は、ダンボール紙の板材により構成されている。上腕パーツ36は長尺状に形成されている。上腕パーツ36は、第1孔部としての先端側孔部71aと、第1案内通過部としての先端側案内通過部72aと、基端側孔部74aと、基端側案内通過部75aとを備えている。
【0033】
先端側孔部71aは、上腕パーツ36の長手方向先端部に形成された貫通孔である。上腕パーツ36の前面における先端側孔部71aの外周側には、先端側孔部71aと同心円状の切込み73aが形成されている。
【0034】
先端側案内通過部72aは、上腕パーツ36の先端縁と先端側孔部71aとの間に切欠かれたスリット状に設けられている。すなわち、先端側孔部71aは、先端側案内通過部72aによって先端側に開放されている。先端側案内通過部72aは、上腕パーツ36の長手方向に沿って延びている。先端側案内通過部72aは、先端側孔部71aの直径よりも幅寸法が小さくなるように形成されている。先端側案内通過部72aは、上腕パーツ36が変形することで、後述する雄ネジ部材46の軸部48を上腕パーツ36の長手方向に通過させて軸部48を上腕パーツ36の外側へ案内可能に構成されている。
【0035】
基端側孔部74aは、上腕パーツ36の長手方向基端部に形成された貫通孔である。上腕パーツ36の前面における基端側孔部74aの外周側には、基端側孔部74aと同心円状の切込み76aが形成されている。
【0036】
基端側案内通過部75aは、上腕パーツ36の基端縁と基端側孔部74aとの間に切欠かれたスリット状に設けられている。すなわち、基端側孔部74aは、基端側案内通過部75aによって基端側に開放されている。基端側案内通過部75aは、上腕パーツ36の長手方向に沿って延びている。基端側案内通過部75aは、基端側孔部74aの直径よりも幅寸法が小さくなるように形成されている。基端側案内通過部75aは、上腕パーツ36が変形することで、後述する雄ネジ部材46の軸部48を上腕パーツ36の長手方向に通過させて軸部48を上腕パーツ36の外側へ案内可能に構成されている。
【0037】
〈前腕パーツ〉
図2に示すように、第2板状部材としての前腕パーツ37は、ダンボール紙の板材により構成されている。前腕パーツ37は、長尺状に形成されている。上述したように、前腕パーツ37は、上腕パーツ36の前側に位置して上腕パーツ36と接続されている。前腕パーツ37は、先端側孔部71bと、先端側案内通過部72bと、第2孔部としての基端側孔部74bと、第2案内通過部としての基端側案内通過部75bとを備えている。
【0038】
先端側孔部71bは、前腕パーツ37の長手方向先端部に形成された貫通孔である。前腕パーツ37の前面における先端側孔部71bの外周側には、先端側孔部71bと同心円状の切込み73bが形成されている。
【0039】
先端側案内通過部72bは、前腕パーツ37の先端縁と先端側孔部71bとの間に切欠かれたスリット状に設けられている。すなわち、先端側孔部71bは、先端側案内通過部72bによって先端側に開放されている。先端側案内通過部72bは、前腕パーツ37の長手方向に沿って延びている。先端側案内通過部72bは、先端側孔部71bの直径よりも幅寸法が小さくなるように形成されている。先端側案内通過部72bは、前腕パーツ37が変形することで、後述する雄ネジ部材46の軸部48を前腕パーツ37の長手方向に通過させて軸部48を前腕パーツ37の外側へ案内可能に構成されている。
【0040】
基端側孔部74bは、前腕パーツ37の長手方向基端部に形成された貫通孔である。前腕パーツ37の基端側孔部74bは、上腕パーツ36の先端側孔部71aと同じ大きさである。図4に示すように、前腕パーツ37は、前腕パーツ37の基端側孔部74bが上腕パーツ36の先端側孔部71aと一致するように上腕パーツ36と重ね合わされている。前腕パーツ37の前面における基端側孔部74bの外周側には、基端側孔部74bと同心円状の切込み76bが形成されている。
【0041】
基端側案内通過部75bは、前腕パーツ37の基端縁と基端側孔部74bとの間に切欠かれたスリット状に設けられている。すなわち、基端側孔部74bは、基端側案内通過部75bによって基端側に開放されている。基端側案内通過部75bは、前腕パーツ37の長手方向に沿って延びている。基端側案内通過部75bは、基端側孔部74bの直径よりも幅寸法が小さくなるように形成されている。基端側案内通過部75bは、前腕パーツ37が変形することで、後述する雄ネジ部材46の軸部48を前腕パーツ37の長手方向に通過させて軸部48を前腕パーツ37の外側へ案内可能に構成されている。
【0042】
〈固定具〉
図3及び図4に示すように、固定具45は、上腕パーツ36の先端部と前腕パーツ37の基端部とを圧縮挟持して接続している。固定具45は、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを備えている。固定具45は、透明樹脂により構成されている。
【0043】
雄ネジ部材46は、フランジ部49と軸部48とを備えている。フランジ部49は、円形の板状に形成されている。フランジ部49は、上腕パーツ36の先端側の切込み73aに対応する形状であり、上腕パーツ36に当接して食い込んでいる。
【0044】
フランジ部49は後方に湾曲状に突出する凸部50を備えている。凸部50は、フランジ部49の直径に沿うように延びている。軸部48は、フランジ部49の中心から前方に向かって延びている。軸部48にはねじ山が形成されている。軸部48は、上腕パーツ36の先端側孔部71aと前腕パーツ37の基端側孔部74bとに挿通されている。軸部48は、軸径が、各孔部71a,74bの直径と略同一でありかつ各案内通過部72a,75bの幅よりも大きくなるように構成されている。
【0045】
雌ネジ部材47は、雄ネジ部材46に螺合されている。雌ネジ部材47は、押さえ部51と凸部52とを備えている。押さえ部51は、円形の板状に形成され、直径がフランジ部49の直径と同じである。押さえ部51は、前腕パーツ37の基端側の切込み76bに対応する形状であり、前腕パーツ37に当接して食い込んでいる。
【0046】
凸部52は、押さえ部51の前面から前方に湾曲状に突出している。凸部52は、押さえ部51の直径に沿うように延びている。凸部52には、押さえ部51の中心線に沿うようにねじ孔53が形成されている。雄ネジ部材46の軸部48は、ねじ孔53に螺合している。
【0047】
このように、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とが螺合して締め込まれることで、上腕パーツ36の先端部と前腕パーツ37の基端部とは、フランジ部49と押さえ部51とによって圧縮挟持される。上腕パーツ36及び前腕パーツ37の切込み73a,76bは、フランジ部49及び押さえ部51に対応した形状になっている。上腕パーツ36及び前腕パーツ37のうち切込み73a,76bの内側の部分は、固定具45によって挟持される被挟持部79となる。
【0048】
また、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを締め込むときは、まず、雄ネジ部材46の軸部48を上腕パーツ36の先端側孔部71aと前腕パーツ37の基端側孔部74bとに挿通する。そして、基端側孔部74bから前方に突出する軸部48に対して雌ネジ部材47のねじ孔53を螺合させて、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを締め込む。雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを締め込む強さは、接続構造70が適用される部位によって変更してもよい。各パーツを所定の傾斜角度で保持できるようにしたい場合は、固定具45の締め付け量を強くすることができる。一方、各パーツの傾斜角度を可変にしたい場合は、固定具45の締め付け量を比較的弱くすることができる。
【0049】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、固定具45の雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とを螺合により締め込むことで、上腕パーツ36及び前腕パーツ37を圧縮させて強く挟持して接続することができる。一方、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47との螺合が緩められると、軸部48は、雄ネジ部材46と雌ネジ部材47とが結合した状態で、上腕パーツ36の先端側案内通過部72a及び前腕パーツ37の基端側案内通過部75bを通過することができる。このため、上腕パーツ36と前腕パーツ37との接続の解除の作業の際に、雄ネジ部材46を雌ネジ部材47から外すことなく接続を解除することができる。したがって、板材の接続構造70において、接続状態では意に反して接続が解除されることを抑制する一方、板状部材の接続を解除する際には解除作業を容易に行えるようにすることができる。また、固定具45と上腕パーツ36と前腕パーツ37とを容易に分解することができる。
【0050】
また、軸部48が各案内通過部72a,75bを通過するには、通過する案内通過部の縁部を変形させる必要がある。このため、軸部48が案内通過部72a,75bを通過し難くなる。したがって、意に反して接続が解除されることを確実に抑制することができる。
【0051】
さらに、上腕パーツ36及び前腕パーツ37の少なくとも一方を長手方向に引っ張ることで接続を解除することができる。また、各案内通過部72a,75bの長手方向の寸法を短くすることができる。このため、パーツ同士の接続の解除の作業をさらに容易にすることができる。
【0052】
さらに、上腕パーツ36及び前腕パーツ37が固定具45で接続された状態であっても、固定具45が透明であるので、固定具45と対向する案内通過部を透けて目視することができる。このため、軸部48を案内する方向が確認でき、パーツ同士の接続の解除の作業を容易にすることができる。
【0053】
さらに、各パーツがダンボール紙であるので、ダンボール紙の潰れ変形により、各パーツを圧縮させ易くなる。このため、上腕パーツ36及び前腕パーツ37を強く挟持して、意に反して接続が解除されることをさらに抑制することができる。
【0054】
さらに、切込み73a,76bにより、被挟持部79が厚み方向に変形し易くなる。このため、フランジ部49と押さえ部51との圧縮挟持がより効果的になり、上腕パーツ36及び前腕パーツ37を強く挟持して、意に反して接続が解除されることをさらに抑制することができる。
【0055】
(実施形態2)
実施形態2について説明する。本実施形態の接続構造は、例えば図5に示すような商品を展示するダンボール製の陳列台11に適用したものである。ここでは、本実施形態の接続構造について、実施形態1の接続構造と異なる点を説明する。
【0056】
本実施形態では、固定具45によって各パーツ同士が接続された接続構造80を説明する。なお、以下の説明では、第1板状部材として水平に設けられた台部81を例示し、第2板状部材として陳列台11の側壁部82を例示して、台部81と側壁部82との接続構造80について説明する。また、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」及び「左」は、特に言及しない限り、図5に示す方向に従って説明する。
【0057】
図5に示すように、台部81は、水平に設けられ商品等を支持する本体部83と、本体部83の左右方向両端部に設けられ、側壁部82と重なるように上下方向に延びる接続端部84とを備えている。接続端部84は、台部81の左右方向両端部を折り曲げることによって形成されている。図6に示すように、接続端部84には、第1孔部85と、第1案内通過部86とが前端部と後端部とに並んで形成されている。第1案内通過部86は、第1孔部85と下端縁との間に設けられ、上下方向に延びている。すなわち、第1案内通過部86は、下方に開放するように切欠かれたスリット状に形成されている。なお、図6では、第1案内通過部86は、第1孔部85の直径よりも幅寸法が小さくなるように形成されているが、第1案内通過部86の幅寸法は、第1孔部85の直径と等しくしてもよい。第1孔部85の外周側には第1孔部85と同心円状の切込み89が形成されている。
【0058】
側壁部82は、陳列台11の左右方向両端部に、それぞれが対面するようにかつ上下方向に延びるように設けられている。
【0059】
側壁部82の上端部には、第2孔部88が前端部と後端部とに並んで形成されている。第2孔部88は、第1孔部85に対応する前後方向の位置に設けられている。なお、側壁部82には、第2案内通過部が設けられていない。
【0060】
図7に示すように、台部81の接続端部84と側壁部82の上端部とは、固定具45が螺合して締め込まれることで、フランジ部49と押さえ部51とによって圧縮挟持されて接続される。
【0061】
本実施形態によれば、第1案内通過部86は、下方に開放するスリット状であり、側壁部82は、案内通過部を有しておらず、第2孔部88は端縁に開放されていない。このため、固定具45が螺合した状態で、台部81と側壁部82との接続を解除するには、台部81を上方に引っ張る必要がある。言い換えると、台部81を重力の反対方向に変位させる必要がある。したがって、意に反して接続が解除されることを抑制することができる。
【0062】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、各案内通過部として、板状部材を切欠くようにスリット状に設けられた案内通過部を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、案内通過部としては、板状部材を切断して設けられたスリットにしてもよい。また、案内通過部は、軸部との相対移動により破断するミシン目にしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、可撓性を有する板状部材としてダンボール紙を例示したが、本発明はこれに限定されない。板状部材としては、例えば、発泡材やエラストマー等により構成された部材が挙げられる。すなわち、板状部材は、可撓性を有し、固定具によって圧縮されるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、板状部材の接続構造に有用である。
【符号の説明】
【0065】
36 上腕パーツ(第1板状部材)
37 前腕パーツ(第2板状部材)
45 固定具
46 雄ネジ部材
47 雌ネジ部材
48 軸部
49 フランジ部
51 押さえ部
53 ねじ孔
70 接続構造
71a 先端側孔部(第1孔部)
72a 先端側案内通過部(第1案内通過部)
73a 切込み
74b 基端側孔部(第2孔部)
75b 基端側案内通過部(第2案内通過部)
76b 切込み
80 接続構造
81 台部(第1板状部材)
82 側壁部(第2板状部材)
85 第1孔部
86 第1案内通過部
88 第2孔部
89 切込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7