特開2019-184002(P2019-184002A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-184002ボール弁、ボール弁を含む飲料供給システム及びボール弁に接続された管路の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-184002(P2019-184002A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】ボール弁、ボール弁を含む飲料供給システム及びボール弁に接続された管路の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/06 20060101AFI20190927BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20190927BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   F16K5/06 L
   B67D1/07
   F16K5/06 Z
   F16K51/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-77622(P2018-77622)
(22)【出願日】2018年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉原 慶太
【テーマコード(参考)】
3E082
3H054
3H066
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082BB03
3E082EE02
3E082FF01
3H054AA03
3H054BB02
3H054BB30
3H054CB09
3H054CC03
3H054CD02
3H054CD03
3H054GG14
3H066AA06
3H066BA38
3H066CA04
(57)【要約】
【課題】弁座等の不良による閉弁時の下流側への流体の流出を防止するとともに、弁座等の不良の検知を容易にするボール弁を提供することを目的とする。
【解決手段】ボール弁であって、貫通流路を有する球状の弁体と、開弁時に弁体の貫通流路に整列される流入口及び流出口を有するとともに、弁体を収容する内部空間を画成する弁箱と、流入口を取り囲む入口弁座と、流出口を取り囲む出口弁座とを具備し、弁箱が、内部空間に連通するとともに入口弁座と出口弁座との間に配置されたドレン孔を更に有する、ボール弁。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール弁であって、
貫通流路を有する球状の弁体と、
開弁時に前記弁体の前記貫通流路に整列される流入口及び流出口を有するとともに、前記弁体を収容する内部空間を画成する弁箱と、
前記流入口を取り囲む入口弁座と、前記流出口を取り囲む出口弁座と、
を具備し、
前記弁箱が、前記内部空間に連通するとともに前記入口弁座と前記出口弁座との間に配置されたドレン孔を更に有することを特徴とするボール弁。
【請求項2】
前記ドレン孔は、閉弁時に前記弁体の貫通流路の一端に整列されるように前記弁箱に形成されている、請求項1に記載のボール弁。
【請求項3】
前記弁箱が、前記流出口の下流側に更に第2の流入口を有する、請求項2に記載のボール弁。
【請求項4】
請求項3に記載のボール弁と、
前記ボール弁の前記流入口の上流側に流体接続される洗浄液供給源と、
発泡性飲料の貯蔵容器と、
前記発泡性飲料の前記貯蔵容器に装着されるディスペンスヘッドであって、前記ボール弁の前記第2の流入口に連結される前記発泡性飲料の吐出端を有するディスペンスヘッドと、
前記ボール弁及び前記ディスペンスヘッドの下流側に延びる飲料供給管路と、
前記飲料供給管路の末端出口を開閉する弁を有する飲料ディスペンサと、
を具備する発泡性飲料供給システム。
【請求項5】
前記飲料供給管路を洗浄する際に前記飲料供給管路に挿入される洗浄スポンジを付属品として更に具備しており、
前記ボール弁の前記弁箱の前記ドレン孔及び前記弁体の前記貫通流路は、前記洗浄スポンジの挿入を可能にする内径を有する、請求項4に記載の発泡性飲料供給システム。
【請求項6】
ボール弁の流出口の下流側に接続される管路を洗浄する方法であって、
前記ボール弁を閉弁する段階と、
洗浄スポンジを閉弁状態の前記ボール弁の弁体の貫通流路に挿入する段階と、
前記ボール弁を開弁する段階と、
前記ボール弁の流入口に洗浄液を供給する段階と、を含んでおり、
前記洗浄液を供給する前記段階において、前記洗浄スポンジが前記管路内を洗浄液とともに移動することによって前記管路を洗浄する、管路を洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流路の開閉に適したボール弁、ボール弁を含む飲料供給システム及びボール弁に接続された管路の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1で示されるような、流路の開閉に用いられるボール弁が知られている。ボール弁は、主要構成要素として、内部に貫通流路を有する球状の弁体、弁体を収容する弁箱、弁体と弁箱との間のシールのためのリング状弁座、及び弁体を回転させるためのステムやハンドル等を具備する。弁体には、流路を構成する、直線状、L字状、又はT字状の貫通穴が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−141701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボール弁のリング状弁座が摩耗あるいは破損したりして、弁体と弁箱との間のシールが不完全になると、流路が閉鎖されるべきときにも、流体がボール弁の上流側から下流側に漏れ出てしまう。流れるべきでないときに流体がボール弁の下流側の管路に流れると、当然、様々な問題が引き起こされる。例えば、下流側の管路に他の種類の流体用の管路が合流するような場合、漏出した流体が他の種類の流体に混入するという問題が起こる。また、流体の漏れ量が少ない場合には、漏出および混入の発見が遅れるという問題も抱えている。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、弁座等の不良による閉弁時の下流側への流体の流出を防止するとともに、弁座等の不良の検知を容易にするボール弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、ボール弁であって、貫通流路を有する球状の弁体と、開弁時に弁体の貫通流路に整列される流入口及び流出口を有するとともに、弁体を収容する内部空間を画成する弁箱と、流入口を取り囲む入口弁座と、流出口を取り囲む出口弁座と、を具備し、弁箱が、内部空間に連通するとともに入口弁座と出口弁座との間に配置されたドレン孔を更に有するボール弁が提供される。
【0007】
更に、本発明の第2の態様によれば、弁箱が流出口の下流側に更に第2の流入口を有する第1の態様によるボール弁と、ボール弁の流入口の上流側に流体接続される洗浄液供給源と、発泡性飲料の貯蔵容器と、発泡性飲料の貯蔵容器に装着されるディスペンスヘッドであって、ボール弁の第2の流入口に連結される発泡性飲料の吐出端を有するディスペンスヘッドと、ボール弁及びディスペンスヘッドの下流側に延びる飲料供給管路と、飲料供給管路の末端出口を開閉する弁を有する飲料ディスペンサとを具備する発泡性飲料供給システムが提供される。
【0008】
更に、本発明の第3の態様によれば、ボール弁の流出口の下流側に接続される管路を洗浄する方法であって、ボール弁を閉弁する段階と、洗浄スポンジを閉弁状態のボール弁の弁体の貫通流路に挿入する段階と、ボール弁を開弁する段階と、ボール弁の流入口に洗浄液を供給する段階と、を含んでおり、洗浄液を供給する段階において、洗浄スポンジが管路内を洗浄液とともに移動することによって管路を洗浄する、管路を洗浄する方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様によると、ドレン孔を介して、入口弁座及び/又は出口弁座の摩耗あるいは破損等によって弁箱の内部空間に侵入した流体の外部への排出が促進される。そして、流体が液体である場合には、ドレン孔から排出される液体は、人が視認可能であるので、それによりボール弁の異常を察知することが可能になる。
【0010】
また、入口弁座と出口弁座の両方に摩耗や破損等の問題が生じていた場合でも、上流側の流体が、閉弁時に、流出口から下流側に流出することは、回避されるかあるいは従来タイプのボール弁に比較して少なくとも低減される。それは、通常は大気圧より高い圧力を有するボール弁の上流側及び下流側に存在する流体はドレン孔から低圧の外部へ流出するからである。
【0011】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様による効果に加えて、洗浄のためにディスペンスヘッドやボール弁を管路から取り外すことなく、換言すると、ディスペンスヘッドやボール弁の操作レバーを切り替えるだけで、飲料供給管路の水等による洗浄及びスポンジ洗浄が可能になるという効果が得られる。
【0012】
本発明の第3の態様によると、本発明の第1の態様による効果に加えて、スポンジ洗浄のためにボール弁を管路から取り外すことなく、換言すると、ボール弁の操作レバーを切り替えるだけで、ボール弁に接続された管路のスポンジ洗浄が可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態によるボール弁の模式的な縦断面図であって、(a)が閉弁状態及び(b)が開弁状態をそれぞれ示す模式的な縦断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態による飲料供給システムの構成を示す図である。
図3A】前記飲料供給システムで用いられるボール弁、ディスペンスヘッド、及びスピアバルブの模式的縦断面図であって、飲料供給時の模式的縦断面図である。
図3B】前記飲料供給システムで用いられるボール弁、ディスペンスヘッド、及びスピアバルブの模式的縦断面図であって、洗浄時の模式的縦断面図である。
図4】前記飲料供給システムで用いられるボール弁のスポンジ洗浄の際の模式的縦断面図であって、(a)が閉弁時における洗浄スポンジ挿入及び(b)が開弁時における洗浄スポンジ装填完了を示す模式的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態によるボール弁10について、図1を参照して以下に説明する。図1の(a)はボール弁10の閉弁状態を示し、図1の(b)は、閉弁状態から弁体12が90度回動した開弁状態を示している。
【0015】
ボール弁10は、真っ直ぐに伸びる貫通流路11を有する球状の弁体12と、流入口13及び流出口14を有すると共に弁体12を収容する内部空間15を画成する弁箱16と、流入口13を取り囲むリング状の入口弁座17と、流出口14を取り囲むリング状の出口弁座18と、図示しないハンドルとを有する。弁体12は、図1の紙面に垂直な方向に延びる回転軸線Axを中心に90度の範囲で回動可能に弁箱16によって支持されて、その回動はハンドルの操作によって行われる。
【0016】
弁箱16の流入口13及び流出口14は、それぞれ入口弁座17及び出口弁座18に隣接する部分を指している。流入口13よりも上流側に弁箱16の入口端部21が、及び流出口14よりも下流側に弁箱16の出口端部22が設けられている。入口端部21及び出口端部22は、他の管路やホースの継手との接続が可能な継手として形成されている。
【0017】
本実施形態によるボール弁10の弁箱16は更に、弁箱16の内部空間15を外部に連通させるドレン孔19を、入口弁座17と出口弁座18との間の上面に有する。ドレン孔19は、閉弁時の弁体12の貫通流路11に整列するように配置されている。また、ドレン孔19と弁体12との間にはリング状の弁座やパッキンが配置されることはなく、したがって隙間が生じている。
【0018】
このようなドレン孔19が設けられているので、第1の実施形態によるボール弁においては、入口弁座17及び/又は出口弁座18の摩耗あるいは破損等が生じた場合には、流入口あるいは流出口から弁箱16の内部空間15に侵入した流体がドレン孔19を介して外部へ速やかに排出される。そして、流体が液体である場合には、ドレン孔19から排出される液体を人が視認できるので、それによりボール弁10の異常を察知することが可能になる。
【0019】
また、入口弁座17と出口弁座18の両方に摩耗や破損等の問題が生じていた場合でも、上流側の流体が、閉弁時に、流出口14から下流側に流出することは、回避されるか、あるいは従来タイプのボール弁に比較して少なくとも低減される。それは、通常は大気圧より高い圧力を有するボール弁10の上流側及び下流側に存在する流体はドレン孔19から低圧の外部へ流出するからである。
【0020】
次に、第1の実施形態によるボール弁10に類似のボール弁110を構成要素として含む、第2の実施形態による飲料供給システム100について図2図3A図3B、及び図4を参照して以下に説明する。この飲料供給システム100は、ガスの圧力を利用して飲料貯蔵容器30内の飲料を注出するように、及び飲料供給管路の洗浄を可能とするように構成されている。そのため、飲料供給システム100は、ボール弁110と、飲料貯蔵容器30と、飲料貯蔵容器30の口部の内部に固定されたスピアバルブ40(図3A図3Bでその一部が示される)と、スピアバルブ40に外部から連結されたディスペンスヘッド50と、飲料貯蔵容器30にガスを供給するガスボンベ60と、飲料貯蔵容器30からの飲料をグラス等に注出する飲料ディスペンサ70と、ボール弁110の上流側に流体接続される洗浄液供給源80と、ボール弁110及びディスペンスヘッド50の下流側に接続される飲料供給管路90とを主要構成要素として具備する。洗浄液供給源80はこの例では水道の給水栓80であり、したがって後述する洗浄時には水道水が洗浄液として供給される。
【0021】
図2の飲料供給システム100においては、供給される飲料がビールであり、そのためガスボンベ60に充填されるガスは炭酸ガスであり、飲料貯蔵容器30はビール樽として例示され、また飲料ディスペンサ70はビールディスペンサとして例示されている。ただし、本発明の実施形態による飲料供給システム100は、ビール以外の任意の炭酸飲料、例えば発泡酒、麦芽以外の原料から作成されていて別のアルコール飲料が混入されたビール風味の発泡アルコール飲料(第三のビール)、ノンアルコールビール、チューハイ、ハイボール、あるいは非アルコール系炭酸飲料を供給するものであってもよい。また、飲料供給システム100により供給される飲料が、炭酸ガス以外の例えば窒素ガスや圧縮空気を利用して供給される飲料であってもよく、その場合、ガスボンベ60内には窒素ガスあるいは圧縮空気が充填される。
【0022】
ところで、特に供給すべき飲料がビールである場合、飲料供給システム100はその飲料供給管路90を比較的頻繁に、例えば毎日1回、洗浄することが求められる。そのため、第2の実施形態による飲料供給システム100は、飲料供給管路90の水洗浄、及び指先程の大きさの円錐台状のスポンジ片である洗浄スポンジ105(図4)を併用した水・スポンジ洗浄(以下、「スポンジ洗浄」という)が可能であるように構成されている。詳しくは後述するが、第2の実施形態におけるボール弁110は、飲料供給管路90の水洗浄及びスポンジ洗浄を容易にするように配置構成されている。
【0023】
第2の実施形態におけるボール弁110は、図3A、Bに示されるように、その弁箱116が、流出口14から下流側に延びる下流側管路116aを一体的に有していることにおいて第1の実施形態によるボール弁10と異なっているが、その他の構成については第1の実施形態によるボール弁10と同様である。即ち、第2の実施形態におけるボール弁110は、第1の実施形態によるボール弁10と同様の弁体12、入口弁座17,出口弁座18,流入口13,流出口14、ドレン孔19を具備する。下流側管路116aの図の右端部に出口端部22が形成される。下流側管路116aには第2の流入口123が設けられている。第2の流入口123にはディスペンスヘッド50の吐出端51が接続される。
【0024】
ただし、第2の実施形態による飲料供給システム100に第1の実施形態によるボール弁10を用いることも可能である。その場合、下流側管路116aに替えて、別個のT字継手が用いられ、それにより図3A等と同様の流路が構成可能である。
【0025】
飲料ディスペンサ70は、公知の一般的なものであって、飲料供給管路90の末端出口を開閉するコック式の飲料注出弁(以下「コック弁」という)71を有する。飲料注出時にはコック弁71の吐出口の下方にグラス等(不図示)が、あるいは洗浄時にはバケツ108が準備される。飲料供給管路90は、飲料ディスペンサ70内での冷却のために円筒コイル状に成形された螺旋巻回部90aを有する。螺旋巻回部90aは、飲料ディスペンサ70の冷却装置72を使って冷却される。
【0026】
ディスペンスヘッド50及びスピアバルブ40も、公知の一般的なものであるので、その作用のみを簡単に説明するに留める。なお、スピアバルブ40は、その上端部のみが図3A及び図3Bに示されている。ディスペンスヘッド50は開放位置と閉鎖位置を取ることができる操作レバー52を有している。ディスペンスヘッド50は、操作レバー52が開放位置に配置されたとき、スピアバルブ40と協働して炭酸ガスボンベ60から炭酸ガスを飲料貯蔵容器30内に導入すると共に、飲料(ビール)の吐出流路を開放する。したがって、その状態のとき飲料ディスペンサ70のコック弁71が開弁されると、飲料が、炭酸ガスの圧力に押されて飲料貯蔵容器30からディスペンスヘッド50の吐出端51及び飲料供給管路90をとおって飲料ディスペンサ70に供給される(図3A)。またこのときには、給水栓80からの水道水が飲料供給管路90に流入することがないように、ボール弁110は閉弁されている。
【0027】
ディスペンスヘッド50は、操作レバー52が閉鎖位置に配置されたとき、スピアバルブ40と協働して飲料貯蔵容器30内に通じるガス流路を閉鎖すると共に、飲料(ビール)の吐出流路も閉鎖する。飲料供給管路90を水洗浄するときには、ディスペンスヘッド50の操作レバー52を閉鎖位置に配置してからボール弁110及び飲料ディスペンサ70のコック弁71を開弁する。そうすると、給水栓80からの水がボール弁110を経由して飲料供給管路90に流入してそれが洗浄される(図3B参照)。洗浄水は、ディスペンスヘッド50の操作レバー52が閉鎖位置に配置されているので飲料貯蔵容器30内へ流入することはない。なお、本実施形態では、ディスペンスヘッド50は逆流防止用の弁体53も備えているので洗浄水の飲料貯蔵容器30内への流入は二重に阻止される。
【0028】
飲料供給管路90のスポンジ洗浄を実施するときには、やはりディスペンスヘッド50の操作レバー52を閉鎖位置に配置し、次いで洗浄スポンジ105を閉弁状態のボール弁110のドレン孔19から弁体12の貫通流路11に挿入して、ボール弁110を開弁する(図4の(a)、(b)参照)。最後に飲料ディスペンサ70のコック弁71を開弁する。すると、ボール弁110の流入口13に作用する水の圧力によって、洗浄スポンジ105がボール弁110から水と共に下流側に押し出され飲料供給管路90を通って最終的にはコック弁71から、その下に準備された洗浄用のバケツに排出される。洗浄スポンジ105は、飲料供給管路90の内壁に付着した汚れ等をこすり落とせるように、その外径が飲料供給管路90の内径よりも若干大きく作られている。また、ボール弁110のドレン孔19及び貫通流路11の内径は洗浄スポンジ105の挿入が可能な大きさで作られている。
【0029】
水洗浄あるいはスポンジ洗浄が終わった後にガスボンベ60からのガスを利用して飲料供給管路90の乾燥を行う実施形態も可能である。その場合のディスペンスヘッド50は、操作レバー52を開放位置と、閉鎖位置と、その間の中間位置とに選択的に配置することができるように構成される。操作レバー52が中間位置に配置されると、ガスボンベ60からのガスは、飲料貯蔵容器30内に導入されることなく、つまり飲料貯蔵容器30を迂回してディスペンスヘッド50から吐出される。
【0030】
ところで、従来公知の飲料供給システムでは、その飲料供給管路を水洗浄やスポンジ洗浄する場合には、ディスペンスヘッドを飲料貯蔵容器から外して洗浄用の加圧可能な水容器に付け替え、洗浄後に飲料貯蔵容器にまた付け替える必要があり、そのため洗浄実施者に大きな負担が生じていた。そのようなディスペンスヘッドの付け替えを不要にした飲料供給システムも従来知られているが、それは電気的なセンサーやコントローラを含んだ複雑なシステムであるため一般に普及しているとは言い難い。
【0031】
これに対して、第2の実施形態による飲料供給システム100によると、ボール弁110を利用した簡易な構成であるものの、ディスペンスヘッド50を飲料貯蔵容器30から取り外すことなく飲料供給管路90を水洗浄及びスポンジ洗浄をすることが可能になる。また、閉弁状態のボール弁110のドレン孔19を介して洗浄スポンジ105を装填可能であることも特筆される。これにより、飲料供給システム100では、ディスペンスヘッド50及びボール弁110の操作レバーを切り替えるだけで、飲料供給モードと洗浄モードとを切り替えることが可能になる。
【0032】
さらに、ボール弁110の入口弁座17及び/又は出口弁座18の摩耗や破損が生じた場合には、ディスペンスヘッド50に一体的に連結されたボール弁110のドレン孔19から水あるいは飲料が漏れ出るので、ディスペンスヘッド50の操作者はボール弁110の異常を容易に発見できるであろう。
【0033】
また、ボール弁110の入口弁座17及び/又は出口弁座18の摩耗や破損が生じた場合でも、ボール弁110の閉弁状態において、その上流側の流体である水が下流側の流体である飲料(ビール)に混入することはない。というのも、ガスボンベ60の炭酸ガスによって加圧された飲料は、上流側の水よりも通常は高い圧力を有するので、上流側の水は、ドレン孔19を介して相対的に低圧の周囲環境へ流れ出るからである。
【0034】
その他の実施形態
第1の実施形態によるボール弁110は二方弁であったが、ボール弁が三方弁からなる実施形態も本発明において可能である。その場合にも、ドレン孔19は一箇所設ければよい。
【0035】
本発明のボール弁の効果を、飲料供給システムを例にして説明した。しかし、本発明のボール弁は、飲料供給システムに限らず、従来のボール弁が適用される場面において活用することも可能であることは言うまでもない。例えば、飲料の生産設備において適用した場合においても、弁座等の不良による閉弁時の下流側への流体の流出を防止するとともに、弁座等の不良の検知を容易にする効果が発揮されるため、迅速なメンテナンスと設備トラブルの防止に繋がる。
【符号の説明】
【0036】
10 ボール弁
11 貫通流路
12 弁体
13 流入口
14 流出口
15 内部空間
16 弁箱
17 入口弁座
18 出口弁座
19 ドレン孔
21 入口端部
22 出口端部
図1
図2
図3A
図3B
図4