【解決手段】本空気調和機は、室外機のガス側閉鎖弁と室内機の室内熱交換器との間のガス管の温度を検出するガス管温度センサを有する。本空気調和機は、冷房運転開始の操作が行われたときに「初回運転なし」の場合は冷房検査運転開始の指令を出力し、「初回運転あり」の場合は通常冷房運転の開始指令を出力する制御装置を有している。冷房検査運転は、ガス管温度センサにより検出されるガス管温度に関し、現状と運転開始直後とのガス管温度差(ΔTg)が第1所定時間(t1)経過した時に所定値未満である場合にはガス側閉鎖弁が閉であると判断し、ガス管温度差(ΔTg)が第1所定時間(t1)経過する前に所定値以上になった場合にガス側閉鎖弁が開であると判断するように構成されている。
圧縮機(11)、室外熱交換器(14)、冷媒回路における液側を開閉する液側閉鎖弁(15)、冷媒回路におけるガス側を開閉するガス側閉鎖弁(18)を備えた室外機(10)と、
液側及びガス側の連絡配管(L1、L2)により前記室外機(10)に接続される、室内熱交換器(21)を備えた室内機(20)と、
前記ガス側閉鎖弁(18)と前記室内熱交換器(21)との間のガス管の温度を検出するガス管温度センサ(34)と、
冷房運転開始の操作が行われたときに「初回運転なし」の場合は冷房検査運転開始の指令を出力し、「初回運転あり」の場合は通常冷房運転開始の指令を出力する制御装置(40)と、
を有し、
前記冷房検査運転は、前記ガス管温度センサ(34)により検出される現状のガス管温度と運転開始直後のガス管温度とのガス管温度差(ΔTg)が第1所定時間(t1)経過した時に所定値未満である場合には前記ガス側閉鎖弁(18)が閉であると判断し、前記第1所定時間(t1)経過する前に前記ガス管温度差(ΔTg)が前記所定値以上になった場合に前記ガス側閉鎖弁(18)が開であると判断するように構成されている
空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の、閉鎖弁の開き忘れを検査する検査運転は、概ね冷房運転が立ち上がってからでないと判断できないため、結果が出るまでに時間が長くかかっていた。そこで誤検知の恐れをなくすために、ガードタイムの設定が必要となっていた。また、マルチ式空気調和機のように連絡配管の本数や連絡配管の長さが設置条件により大きく異なる場合には、ガードタイムの時間設定が難しいという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、冷房運転開始時に閉鎖弁の開閉状態を短時間で判断できるようにした空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点に係る空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、冷媒回路における液側を開閉する液側閉鎖弁、冷媒回路におけるガス側を開閉するガス側閉鎖弁を備えた室外機と、液側及びガス側の連絡配管により前記室外機に接続される、室内熱交換器を備えた室内機と、前記ガス側閉鎖弁と前記室内熱交換器との間のガス管の温度を検出するガス管温度センサと、冷房運転開始の操作が行われたときに「初回運転なし」の場合は冷房検査運転開始の指令を出力し、「初回運転あり」の場合は通常冷房運転開始の指令を出力する制御装置と、を有し、前記冷房検査運転は、前記ガス管温度センサにより検出される現状のガス管温度と運転開始直後のガス管温度とのガス管温度差が第1所定時間経過した時に所定値未満である場合には前記ガス側閉鎖弁が閉であると判断し、前記第1所定時間経過する前に前記ガス管温度差が前記所定値以上になった場合に前記ガス側閉鎖弁が開であると判断するように構成されている。
【0008】
ここで、「冷房検査運転」とは、冷房運転開始の操作が行われたときに、通常冷房運転に入る前に、冷媒回路を冷房サイクルとした状態で圧縮機を運転して閉鎖弁の開閉を確認する運転をいう。
【0009】
また、ガス側閉鎖弁を開として冷房検査運転を開始したとすると、ガス側閉鎖弁と室内熱交換器との間のガス管内は圧縮機の吸入側となり、冷媒の圧力及び温度が急速に低下する。従って、運転後の現状のガス管温度は運転開始直後のガス管温度に比して低下する。ここでは、冷房検査運転後の現状のガス管温度と冷房検査運転開始直後のガス管温度との温度差のことを「ガス管温度差」と称している。また、ガス管温度差を明確に認識できる程度の温度差のことを、ここではガス管温度差についての「所定値」と称している。そして、ガス側閉鎖弁を開として冷房検査運転をした場合に、ガス管温度差が所定値に当然達しているであろうと予測される冷房検査運転の運転時間を「第1所定時間」と称している。
【0010】
この空気調和機によれば、冷房運転開始の操作が行われた場合、「初回運転あり」の場合は速やかに通常の冷房運転が行われる。また、「初回運転なし」の場合は、冷房時検査運転が行われ、短時間でガス側閉鎖弁の開閉状態を判断することができる。
【0011】
第2の観点に係る空気調和機によれば、前記冷房検査運転は、前記ガス側閉鎖弁が閉であると判断した場合は、前記圧縮機を停止し、前記ガス側閉鎖弁が閉であることを表示するように構成されている。
【0012】
この空気調和機によれば、冷房検査運転において、ガス側閉鎖弁が閉であると判断された場合は、圧縮機が停止されるので、圧縮機の保護が図れる。また、このとき、ガス側閉鎖弁が閉であることが表示されるので、ガス側閉鎖弁は勿論のこと液側閉鎖弁についてもその開閉を確認し、これら閉鎖弁を開放することができる。
【0013】
第3の観点に係る空気調和機によれば、前記液側閉鎖弁に対する前記液側の連絡配管側に接続された電動膨張弁と、前記室外熱交換器の室外熱交換器温度を検出する室外熱交換器温度センサと、前記液側閉鎖弁に対し前記電動膨張弁側に接続される配管の配管温度を検出する配管温度センサとを、さらに有し、前記冷房検査運転は、前記ガス側閉鎖弁が開であると判断した場合には、前記室外熱交換器温度センサにより検出される前記室外熱交換器温度と前記配管温度センサにより検出される前記配管温度との温度差が第2所定時間経過する前に所定値を超えた場合に前記液側閉鎖弁が閉であると判断し、前記温度差を液側閉鎖弁前後の温度差とし、この液側閉鎖弁前後の温度差が前記第2所定時間経過した時に前記所定値未満の場合に前記液側閉鎖弁が開であると判断するように構成されている。
【0014】
仮に、ガス側閉鎖弁が開であり、液側閉鎖弁が閉の状態で冷房検査運転が行われたとすると、冷媒が室内機側へ流れないので液側閉鎖弁の入口側(室外熱交換器側)の冷媒の圧力及び温度が上昇する。これに対し、液側閉鎖弁の出口側(電動膨張弁側)の冷媒の圧力及び温度は遅れて低下の方向に変化する。従って、この影響が室外熱交換器温度センサにより検出される室外熱交換器温度と配管温度センサにより検出される配管温度との温度差になって現れてくる。この場合、室外熱交換器温度と液側閉鎖弁の入口側温度とは一定の関係を有する近似温度となる。そこで、室外熱交換器温度センサにより検出される室外熱交換器温度と配管温度センサにより検出される配管温度との温度差を液側閉鎖弁前後の温度差として取り扱っている。また、この液側閉鎖弁前後の温度差の存在を明確に認識できる程度の温度差のことを、ここでは液側閉鎖弁前後の温度差についての「所定値」と称している。そして、仮に、ガス側閉鎖弁を開と判断した後に液側閉鎖弁を閉として冷房検査運転を継続した場合に、液側閉鎖弁前後の温度差が所定値に当然達しているであろうと予測される冷房検査運転の運転時間を「第2所定時間」という。
【0015】
この空気調和機によれば、冷房検査運転において、ガス側閉鎖弁が開であると判断された場合、液側閉鎖弁の開き忘れがないか判断される。この液側閉鎖弁の開き忘れがないかの判断は、ガス側閉鎖弁が開の場合に行われるので、従来のものより短時間で行われる。
【0016】
第4の観点に係る空気調和機によれば、前記冷房検査運転は、前記液側閉鎖弁が閉であると判断した場合は、前記圧縮機を停止し、前記液側閉鎖弁が閉であることを表示するように構成されている。
【0017】
この空気調和機によれば、冷房検査運転において、液側閉鎖弁が閉であると判断された場合は、圧縮機が停止されるので、圧縮機の保護が図れる。また、液側閉鎖弁が閉であると判断された場合は、液側閉鎖弁が閉であることが表示されるので、液側閉鎖弁の開き忘れを確認し、液側閉鎖弁を開放することができる。
【0018】
第5の観点に係る空気調和機によれば、前記冷房検査運転は、前記液側閉鎖弁が開であると判断した場合は、通常冷房運転開始の指令を出力するように構成されている。
この空気調和機によれば、「初回冷房運転なし」の場合であっても、ガス側閉鎖弁及び液側閉鎖弁が開放されている場合は、速やかに通常の冷房運転に移行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態に係る空気調和機について説明する。なお、本開示は、以下に記載する例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0021】
本実施の形態に係る空気調和機は、
図1に示すように、室外に設置される1台の室外機10に対し、室内に設置される3台の室内機20がそれぞれ3本の液側の連絡配管L1と 3本のガス側の連絡配管L2とによって並列接続されたマルチ型の空気調和機である。
【0022】
このマルチ型の空気調和機の概略構成を説明する。
室外機10は、インバータにより回転数可変に形成された圧縮機11、圧縮機11の吐出管と吸入管とに接続される四路切換弁12とを備え、圧縮機11と四路切換弁12とを接続する吸入管の中間にアキュムレータ13が接続されている。そして、室外機10は、四路切換弁12の一方の切換えポートに対して室外熱交換器14、冷媒回路における液側を開閉する液側閉鎖弁15、並列接続される3個の電動膨張弁16、3個の液側連絡配管接続部17が順次接続されている。また、室外機10は、四路切換弁12の他方の切換えポートに対して、冷媒回路におけるガス側を開閉するガス側閉鎖弁18、並列接続される3個のガス側連絡配管接続部19が順次接続されている。なお、室外機10には、室外熱交換器14へ外気を循環させるための室外ファン14aが設けられている。
【0023】
一方、各室内機20には、室内熱交換器21と、室内熱交換器21へ室内空気を循環させるための室内ファン22とが搭載されている。
上記のように構成された本空気調和機は、四路切換弁12の切換えにより冷媒回路を可逆に切換え、冷房サイクルにより冷房運転が行われ、暖房サイクルにより暖房運転が行われる。
【0024】
すなわち、本空気調和機は、冷房運転時には、四路切換弁12を実線矢印の接続位置とする。そして、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器14、液側閉鎖弁15、電動膨張弁16、液側連絡配管接続部17、液側の連絡配管L1、室内熱交換器21、ガス側の連絡配管L2、ガス側連絡配管接続部19、ガス側閉鎖弁18、四路切換弁12、アキュムレータ13、圧縮機11の順に冷媒を循環させる冷房サイクルを成す冷媒回路が形成される。また、暖房運転時には、四路切換弁12を破線矢印の接続位置とする。そして、圧縮機11、四路切換弁12、ガス側閉鎖弁18、ガス側連絡配管接続部19、ガス側の連絡配管L2、室内熱交換器21、液側の連絡配管L1、液側連絡配管接続部17、電動膨張弁16、液側閉鎖弁15、室外熱交換器14、四路切換弁12、アキュムレータ13、圧縮機11の順に冷媒を循環させる暖房サイクルを成す冷媒回路が形成される。
【0025】
本空気調和機は、このように冷媒回路を切り換えることにより、冷房サイクルにおいては、室外熱交換器14が凝縮器として作用し、室内熱交換器21が蒸発器として作用することにより、室内ファン22により循環される室内空気が冷却除湿され、室内が冷房される。また、本空気調和機は、暖房サイクルにおいては、室内熱交換器21が凝縮器として作用し、室外熱交換器14が蒸発器として作用することにより、室内ファン22により循環される室内空気が加熱され、室内が暖房される。
【0026】
このような冷媒回路を備えた空気調和機は、据え付けを行う際には、室外機10の液側連絡配管接続部17及びガス側連絡配管接続部19に対し、液側の連絡配管L1及びガス側の連絡配管L2を使って室内機20を接続する。このときは、室外機10は、液側閉鎖弁15とガス側閉鎖弁18とが閉とされており、冷媒回路内には予め冷媒が充填されている。そして、室内機20が接続された後に、室内熱交換器21を含む室内機20の冷媒回路内、液側の連絡配管L1及びガス側の連絡配管L2内の真空引きが行われる。そして、真空引きが完了すると、室外機10の液側閉鎖弁15及びガス側閉鎖弁18を開放することにより、室外機10内に充填されている冷媒が室内機20の室内熱交換器21を含む冷媒回路内、液側の連絡配管L1及びガス側の連絡配管L2内に放出される。室外機10と室内機20との接続は、このように行われている。しかしながら、液側閉鎖弁15及びガス側閉鎖弁18は、手動式であるため、何らかの手違いによりこれら閉鎖弁を閉じた状態としたまま、据え付け作業が終了されることが起こり得る。
【0027】
また、本空気調和機には、次のように各種の温度センサが設けられている。
すなわち、室外機10の室外熱交換器14に室外熱交換器温度センサ31が設けられている。なお、室外熱交換器温度センサ31は、冷房運転時の凝縮温度を検出するために室外熱交換器14に設けられている従来のセンサと同一であるが、液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側の配管15aの温度を検出するセンサとして兼用される。また、液側閉鎖弁15の電動膨張弁16側に接続される配管15bには、この配管15bの温度を検出する配管温度センサ32が設けられている。また、配管15bが分岐されて液側連絡配管接続部17に接続される3本の分岐配管15cが形成され、分岐配管15cそれぞれに電動膨張弁16が設けられているが、電動膨張弁16の液側連絡配管接続部17側には、暖房運転時の室内熱交換器21の出口の液冷媒の過冷却度を検出するための3個の液管温度センサ33が設けられている。
【0028】
また、室外機10の、ガス側閉鎖弁18が接続されるガス管18a側には、ガス管18aが分岐されてガス側連絡配管接続部19に連通される3本の分岐ガス管18bが形成され、分岐ガス管18bそれぞれにガス管温度センサ34が設けられている。
【0029】
そして、室内機20には、室内熱交換器21へ送られる室内空気の温度を検出する室温センサ35が設けられ、室内熱交換器21には、冷房運転時の蒸発温度を検出するための室内熱交換器温度センサ36が設けられている。
【0030】
以上の如く各種の温度センサが設けられることにより、冷房運転においては、ガス管温度センサ34によりガス側閉鎖弁18とガス側連絡配管接続部19とを接続するガス管18a及び分岐ガス管18bからなるガス管のガス管温度を検出することができる。
【0031】
本空気調和機においては、冷房運転スタート時にガス側閉鎖弁18の開き忘れを検査するために、このガス管温度の検出を行っている。
また、本空気調和機においては、冷房運転において、ガス管温度センサ34により検出されるガス管温度と室内熱交換器温度センサ36により検出される温度(蒸発温度に相当)との温度差から冷房運転時の各室内熱交換器21出口の冷媒の過熱度が検出され、この検出された過熱度に基づき各電動膨張弁16が制御されている。
【0032】
このように、ガス管温度センサ34は、ガス側閉鎖弁18の開き忘れを検査するための温度センサと各電動膨張弁16の制御のための温度センサとを兼用させるために各分岐ガス管18bに設けられている。なお、ガス側閉鎖弁18の開き忘れを検査するための温度センサとしては、ガス側閉鎖弁18から室内熱交換器21までの間のガス管の温度であればどこを測定してもよく、ガス管18aに1個設けるだけでもよい。なお、本明細書において単に「ガス管温度」というときは、ガス側閉鎖弁18から室内熱交換器21までの間のガス管の温度のことをいう。
【0033】
また、本空気調和機における冷房運転及び暖房運転においては、室外熱交換器温度センサ31と配管温度センサ32とにより液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)を検出するようにしている。すなわち、室外熱交換器14の温度と液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側の配管15aの温度とは一定の関係を有する近似温度となるので、室外熱交換器温度センサ31により検出される温度と配管温度センサ32により検出される配管15bの温度との温度差を液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)としている。
【0034】
ここで、室外熱交換器14の温度と液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側の配管15aの温度との関係について敷衍する。
すなわち、液側閉鎖弁15が開かれている通常冷房運転時の場合、室外熱交換器14は凝縮器として作用し、液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側(冷房運転時の入口側)の配管15aに過冷却液冷媒が流通している。従って、この場合、室外熱交換器14の温度は、冷媒の凝縮温度となり、液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側の配管15aの温度は過冷却状態の液冷媒の温度となる。このため、この両温度間には過冷却度分の温度差が生ずるが近似する温度となっている。なお、この場合、配管15aの温度と配管15bの温度は同一となる。
【0035】
また、冷房運転時においてガス側閉鎖弁18が開かれて液側閉鎖弁15が開き忘れとなっている場合、室外機10にポンプダウンする状態となるので、室外熱交換器14及び配管15aは双方とも圧力が上昇しながら液冷媒により満たされる。従って、室外熱交換器14の温度と配管15aの温度とはほぼ同一の温度となる。なお、配管15bの温度は、配管15b内が電動膨張弁16を介して低圧側に接続された状態となるので低下する。
【0036】
また、液側閉鎖弁15が開かれている通常暖房運転時の場合は、室外熱交換器14は蒸発器として作用し、液側閉鎖弁15の室外熱交換器14側(暖房運転時の出口側)となる配管15aには、電動膨張弁16通過後の低圧冷媒が流通している。従って、両温度はほぼ同一の低圧の冷媒温度となる。従って、この場合、室外熱交換器14の温度、配管15aの温度、及び配管15bの温度は略同一となる。
【0037】
また、暖房運転時においてガス側閉鎖弁18が開かれて液側閉鎖弁15が開き忘れされている場合、室内機20にポンプダウンする状態となるので、室外熱交換器14及び配管15aは、上流側(室内機21側)が液側閉鎖弁15により閉鎖され、圧縮機11の吸入側に接続される状態となる。従って、この場合、室外熱交換器14と配管15aとは、圧縮機11の運転とともに冷媒圧力および冷媒温度が低下し、両者同一の冷媒温度となる。一方、配管15bは室内機20から流出した液冷媒に満たされた状態となるので、配管15bの温度は外気温度に近似した温度となる。
【0038】
本空気調和機において、室外熱交換器温度センサ31と配管温度センサ32とは、上記のような温度関係を利用して、冷房運転開始の操作が行われたとき、及び、暖房運転開始の操作が行われたときに、液側閉鎖弁15の開き忘れを検査するために用いられている。
【0039】
また、本空気調和機では、暖房運転において、室内熱交換器温度センサ36と液管温度センサ33とにより室内熱交換器21出口の液冷媒の過冷却度が検出され、検出された過冷却度に基づき各電動膨張弁16が制御されている。
【0040】
次に、本空気調和機は、
図2に示すような、各種動作を制御する制御装置40を搭載している。
制御装置40は、実際には室内機20に搭載される制御部と室外機10に搭載される制御部とにより形成されるが、機能的には一体のものとして動作するので、ここでは一つの要素として表現し説明する。
【0041】
図2に示すように、制御装置40には、圧縮機11、四路切換弁12、電動膨張弁16、室外ファン14a、室内ファン22が接続されている。より詳細には、これら機器の駆動部が制御装置40に接続されている。また、制御装置40には、室外熱交換器温度センサ31、配管温度センサ32、液管温度センサ33、ガス管温度センサ34、室温センサ35、室内熱交換器温度センサ36が接続されている。さらに、制御装置40には、リモコン50が無線接続されている。
【0042】
リモコン50は、空気調和機に対し運転操作部として機能する。リモコン50は、空気調和機の運転をオンオフする運転スイッチ、冷房、暖房などの運転モードを選択する運転モードの選択部、室内ファン22の風量を設定する風量設定部、室内空気の設定温度、現在の室内温度、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開閉状態等を表示する表示部などを備えている。リモコン50は、制御装置40との間で選択または設定された運転操作情報を交換するなどを、無線で送受信できるように構成されている。
【0043】
制御装置40は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置、及び制御プログラムや各種の制御処理に用いられる情報等が記憶される記憶部を含んだものであって、機能ブロックとして検査運転要否判定部41、検査運転制御部42、通常運転制御部43、異常運転検知部44を備えている。
【0044】
検査運転要否判定部41は、冷房運転或いは暖房運転が操作されて運転開始されるときに、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開閉状態を検査する検査運転の要否を判断する。検査運転要否判定部41には、初回運転情報を記憶する初回運転記憶部41aが付設されている。初回運転記憶部41aは、例えば不揮発メモリーにより構成されるものであって、空気調和機の出荷時には、冷房運転も暖房運転も行われていない状態を示す「初回運転なし」が記憶されている。そして、空気調和機が据え付けられて検査運転を経て冷房運転或いは暖房運転が行われた場合は、「初回運転あり」に変更され、これを記憶するように構成されている。
【0045】
検査運転制御部42は、検査運転要否判定部41における検査運転の開始指令に基づき、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開閉状態を検査する検査運転を行うように制御する。検査運転は、「初回運転なし」の場合に行われるので、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開き忘れがあった場合でも冷媒回路の設計圧力を短時間で超えないように設定するのが好ましく、たとえば、圧縮機11は通常運転時の運転周波数の約1/2程度となるように設定することが考えられる。
【0046】
通常運転制御部43は、検査運転においてガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開き忘れがないと判断された場合に行われる通常の冷房運転或いは暖房運転を行うように空気調和機を制御するものである。この通常の冷房運転或いは暖房運転においては、制御装置40は、記憶している室内目標温度と室温センサ35で検出された室温との差に基づいて、そのときに必要な圧縮機能力を発揮せしめるように圧縮機11の運転周波数を設定して、通常の冷房或いは暖房運転を行うように制御する。
【0047】
異常運転検知部44は、空気調和機の異常運転を検知する。異常運転検知部44は、例えば、圧縮機出力過電流検出や圧縮機ロータ位置検出不良に基づいて冷媒回路の異常を検出する。本実施の形態では、異常運転検知部44で異常運転を検知することにより、圧縮機のモータコイルが温度限界に至る前に圧縮機11を停止させることができる。
【0048】
以下、本実施の形態に係る空気調和機における検査運転要否判定部による検査運転要否判定動作、及び、この判定動作に続く検査運転制御部42による検査運転動作について、
図3〜
図6に基づき説明する。
【0049】
先ず、リモコン50により冷房運転開始の操作が行われた場合について説明する。この場合は、
図3に示すフローに基づき検査運転要否の判定が行われる。
リモコン50により冷房運転開始の操作が行われた場合は(ステップS1)、「初回運転なし」かについて初回運転記憶部41aの記録がチェックされる(ステップS2)。この結果がYESの場合、すなわち、これまでに初回運転(すなわち、初回冷房運転或いは初回暖房運転)が行われていない場合は(ステップS2でYESの場合)、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開き忘れについて検査されていないことを意味するので、冷房検査運転の開始指令が出力される(ステップS3)。また、ステップS2でNOの場合、すなわち初回運転が行われたことを意味するので、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開き忘れがないことを意味する。従って、この場合は、通常冷房運転指令が出力される(ステップS4)。以上により、検査運転要否判定が終了する。
【0050】
上記冷房検査運転の要否判定において冷房検査運転の開始指令が出力された場合、この指令に基づき
図4に示す冷房検査運転が行われる。冷房検査運転が開始されると、冷房検査運転中であることを示す表示が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS11)。冷房検査運転は、冷媒回路を冷房サイクルの状態にするとともに、圧縮機11の運転周波数を検査に適した運転周波数として運転が行われる。
【0051】
この冷房検査運転は、ガス管温度センサ34により検出される現状のガス管温度と冷房検査運転開始直後のガス管温度とのガス管温度差(ΔTg)が所定値以上になったかどうか見て判断される。ガス側閉鎖弁18が開放されている場合は、圧縮機11の運転により分岐ガス管18b内の冷媒圧力が迅速に低下するので、ガス管温度差(ΔTg)が所定値以上になる。ところが、ガス側閉鎖弁18が開き忘れの場合は分岐ガス管18b内の冷媒圧力が低下しないので、ガス管温度差(ΔTg)が所定値未満のままとなる。
【0052】
そこで、冷房検査運転が開始されると、冷房検査運転を行っていることが表示される(ステップS11)。次いで、ガス管温度センサ34により検出される現状のガス管温度と冷房検査運転開始直後のガス管温度とのガス管温度差(ΔTg)が所定値以上かどうか判断される(ステップS12)。ガス管温度差(ΔTg)が所定値未満の場合(ステップS12がNOの場合)、第1所定時間(t1)を経過してもガス管温度差(ΔTg)が所定値未満の場合(ステップS13がYESの場合)、ガス側閉鎖弁18閉と判断される(ステップS14)。併せて、ガス側閉鎖弁18閉の表示が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS14)。そして、圧縮機11の運転が停止され(ステップS20)、冷房検査運転の表示が停止される(ステップS21)。ここで、第1所定時間(t1)は、冷房検査運転開始時点からカウント開始される時間である。
【0053】
一方、前記ガス管温度差(ΔTg)が所定値以上の場合(ステップS12がYESの場合)、或いは、第4所定時間経過する前にガス管温度差(ΔTg)が所定値以上になった場合(ステップS13NO→ステップS12がYESとなった場合)ガス側閉鎖弁18が開と判断される(ステップS15)。
【0054】
続いて、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)の変化を見て、液側閉鎖弁15の開き忘れがないか判断される(ステップS16)。すなわち、液側閉鎖弁15が開かれている場合は、液側閉鎖弁15前後の冷媒の状態が同一と言える。また、この場合、室外熱交換器温度と、配管15a及び配管15bの配管温度とが近似する。従って、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)に大きな変化が生じない。
【0055】
しかし、液側閉鎖弁15が開き忘れの場合は、液側閉鎖弁15の入口側(室外側熱交換器14側)の冷媒圧力が急速に上昇し、冷媒温度が上昇する。これに対し、液側閉鎖弁15の出口側(電動膨張膨張弁16側)は、冷媒圧力が低下し、冷媒温度が低下気味となる。すなわち、室外熱交換器温度及び配管15aの配管温度は上昇し、配管15bの配管温度は下降する。従って、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値を超えて上昇する。
【0056】
このように液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が変化するので、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値以下の場合(ステップS16でYESの場合)、第2所定時間(t2)を経過してもなお所定値以下を維持している場合は(ステップS17でYESの場合)、液側閉鎖弁15開と判断される(ステップS18)。併せて、通常冷房運転の開始指令を出力するとともに、初回運転記憶部41aの記録を「初回運転あり」に変更する(ステップS18)、そして、冷房検査運転の表示が停止される(ステップS21)。ここで、第2所定時間(t2)は、ガス側閉鎖弁18開と判断され時点からカウント開始される。
【0057】
一方、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値を超えている場合(ステップS16でNOの場合)、液側閉鎖弁15閉と判断されるとともに、液側閉鎖弁15閉の表示が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS19)。そして、圧縮機11の運転が停止され(ステップS20)、冷房検査運転の表示が停止される(ステップS21)。以上の如く冷房検査運転は制御され、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15の開き忘れがないか判断される。
【0058】
次に、リモコン50により暖房運転開始の操作が行われた場合について説明する。この場合は、
図5に示す動作により検査運転要否の判定が行われる。
リモコン50により暖房運転開始の操作が行われた場合(ステップS31)、冷媒回路を暖房サイクルの状態にするとともに、例えば、検査運転に適した運転周波数により圧縮機11を始動する。ところで、ガス側閉鎖弁18が開き忘れの場合は、圧縮機11から吐出された吐出ガスは行き場がないために、極短時間経過したに後に、吐出圧力が異常上昇し、異常運転検知部44がこれを検知し停止される。そこで、予め定められた短い第3所定時間(t3)経過後に(ステップS32)、圧縮機11が停止されたか判断する(ステップS33)。第3所定時間は、暖房運転開始の操作が行われた時からカウント開始されるものであって、ガス側閉鎖弁18が開き忘れの場合は異常運転検知部44が当然に作動済みとなっている時間が設定される。
【0059】
この時点で圧縮機11が停止されている場合は(ステップS33でYESの場合)、ガス側閉鎖弁18閉の疑いがあり、異常運転の警告が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS34)。この表示が出された場合は、取扱い作業者はガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15双方について開き忘れがないかをチェックするものとする。
【0060】
そして、ステップS33で圧縮機11が停止されない場合は(ステップS33でNOの場合)は、ガス側閉鎖弁18が開と判断される(ステップS35)。この場合は、続いて液側閉鎖弁15の開き忘れの検査運転が必要ないか判断される。具体的には、「初回運転なし」か、どうかについて判断される(ステップS36)。ステップS36でNOの場合は、初回運転ありと判断してよいので、液側閉鎖弁15の開き忘れもないと判断される。従って、この場合は通常暖房運転の開始指令が出力される(ステップS37)。しかし、ステップS36でYESの場合は、初回運転なしであるので、液側閉鎖弁15の開き忘れのチェックが必要となる。このため暖房時の検査運転(本明細書における「暖房検査運転」はこれを略称するものである)の開始指令が出力される(ステップS38)。以上により、暖房運転の開始指令が出力された場合の検査運転要否判定に至る動作が完了する。
【0061】
上記暖房検査運転の要否判定において暖房検査運転の開始指令が出力された場合、この指令に基づき
図6に示す暖房検査運転が行われる。また、暖房検査運転が開始されると、暖房検査運転中であることを示す表示が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS41)。暖房検査運転は、冷媒回路を暖房サイクルの状態にするとともに、圧縮機11の運転周波数を検査に適した運転周波数として運転が行われる。
【0062】
暖房検査運転は、冷房検査運転の場合と同様に、室外熱交換器温度センサ31により検出される室外熱交換器温度と配管温度センサ32により検出される配管温度との温度差、つまり、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)の変化を見て判断される。すなわち、液側閉鎖弁15が開かれている場合は、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が実質的に変化しない。ところが、液側閉鎖弁15が開き忘れの場合は、ガス側閉鎖弁18が開かれているため室内機20側へポンプダウンする状態となる。そして、圧縮機11から吐出されて室内熱交換器21へ送られた冷媒は、室内空気で冷却されて液化し室内機20側に貯留される。この結果、液側閉鎖弁15の暖房検査運転時の入口側(電動膨張弁13側)の冷媒圧力は上昇するが、冷媒温度は暖房検査運転開始前とあまり変わらない状態、すなわち外気温度に近い状態となる。しかし、液側閉鎖弁15の出口側(室外側熱交換器14側)では、冷媒が圧縮機11に吸入され、時間の経過とともに冷媒の圧力及び温度が低下する。これにより、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値を超えて大きくなる。
【0063】
従って、暖房検査運転が開始されると、暖房検査運転を行っていることが表示される(ステップS41)。次いで、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値以下かどうか判断される(ステップS42)。液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値以下の場合(ステップS42でYESの場合)、第4所定時間(t4)経過してもなお液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値以下の場合には(ステップS42でYESの場合)、液側閉鎖弁15開と判断される(ステップS46)。そして、通常暖房運転の開始指令を出力するとともに、初回運転記憶部41aの記録を「初回運転あり」に変更され(ステップS46)、暖房検査運転の表示が停止される(ステップS47)。ここで、第4所定時間は、暖房検査運転の開始指令が出された時からカウント開始される時間である。
【0064】
一方、液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値を超えている場合(ステップS42でNOの場合)、或いは、第4所定時間(t4)を経過する前に液側閉鎖弁15前後の温度差(ΔTh)が所定値を超えた場合(ステップS43でNO→ステップS42でNOとなった場合)は、液側閉鎖弁15閉と判断される(ステップS44)。また、液側閉鎖弁15閉の表示が例えばリモコン50の表示部に表示される(ステップS44)。そして、圧縮機11の運転が停止され(ステップS45)、暖房検査運転の表示が停止される(ステップS47)。以上の如く暖房検査運転は制御され、液側閉鎖弁15の開き忘れがないか判断される。
【0065】
(実施形態の効果)
本実施の形態に係る空気調和機は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
【0066】
(1)本空気調和機によれば、冷房運転開始の操作が行われた場合、「初回運転あり」の場合は速やかに通常の冷房運転が行われる。また、「初回運転なし」の場合は、冷房検査運転が行われ、短時間でガス側閉鎖弁18の開閉状態が判断される。
【0067】
(2)ガードタイムを用いる従来の検査方法では、ガードタイムの設定が長すぎる場合圧縮機11の焼損をまねく恐れがある。本空気調和機では、ガス管温度センサ34の検出結果を用いて判定するため、閉鎖弁開き忘れの反応が早くなる。このため、ガードタイムの設定時間が短縮化され、圧縮機の損傷のおそれも低下する。
【0068】
(3)冷房検査運転において、ガス側閉鎖弁18が閉であると判断された場合は、圧縮機11が停止されるので、圧縮機11の保護が図れる。また、ガス側閉鎖弁18が閉であると判断された場合は、ガス側閉鎖弁18が閉であることが表示されるので、ガス側閉鎖弁18は勿論のこと液側閉鎖弁15についてもその開閉を確認し、これら閉鎖弁を開放することができる。
【0069】
(4)冷房検査運転において、ガス側閉鎖弁18が開であると判断された場合、液側閉鎖弁15の開き忘れがないか判断される。液側閉鎖弁15の開き忘れがないかの判断は、ガス側閉鎖弁18が開の場合に行われるので、従来のものより短時間で行われる。
【0070】
(5)冷房検査運転において、液側閉鎖弁15が閉であると判断された場合は、圧縮機11が停止されるので、圧縮機11の保護が図れる。また、液側閉鎖弁15が閉であると判断された場合は、液側閉鎖弁15が閉であることが表示されるので、液側閉鎖弁15の開閉を確認し、液側閉鎖弁15を開放することができる。
【0071】
(6)冷房検査運転において、「初回冷房運転なし」の場合であっても、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁15が開放されている場合は、速やかに通常の冷房運転に移行することができる。
【0072】
(7)本空気調和機は、室外機10と室内機20とを接続する連絡配管の長さが長くなる場合に効果がある。従って、連絡配管の長さが長くなる場合が多いマルチ型の空気調和機において特に効果がある。
【0073】
(8)本空気調和機では、暖房運転開始の操作が行われた場合、異常運転検知部44により異常が判断されない場合は、ガス側閉鎖弁18は開であると判断し、この場合に液側閉鎖弁15の開き忘れがないかを短時間で判断することができる。
【0074】
(変形例)
上記の各実施の形態に関する説明は、本開示に従う空気調和機が取り得る形態の例示であり、その形態に制限されるものではない。本開示に従う空気調和機は、上記実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0075】
・前記実施の形態においては、暖房運転開始の操作が行われた場合、ガス側閉鎖弁18の開を確認した後に液側閉鎖弁15の開き忘れがないか検査する暖房検査運転の要否判断が行われるとともに、及びこの判断で要の場合には暖房検査運転が行われている。しかしながら、従来の空気調和機のように、このような暖房運転開始の操作が行われた場合の検査運転の要否判断や暖房検査運転を省略した空気調和機としてもよい。
【0076】
・前記実施の形態においては、冷房検査運転及び暖房検査運転において、圧縮機11の運転周波数を検査用の特別の運転周波数で運転するようにしていたが、通常冷房運転及び通常暖房運転に使用される運転周波数で検査運転を行うことも可能である。
【0077】
・前記実施の形態においては、液側閉鎖弁15の開き忘れを検査する場合の第2所定時間は、ガス側閉鎖弁18開の判断後を計測スタートの基準としていたが、適切なタイミングを計るものであればよく、計測スタートの基準を冷房運転開始の操作が行われた時とすることも可能である。
【0078】
・前記実施の形態においては、1台の室外機10に対し複数台の室内機20を接続するマルチタイプの空気調和機としていたが、このような空気調和機に限らず、1台の室外機10に対し1台の室内機20を接続するタイプの空気調和機であってもよい。
【0079】
・前記実施の形態においては、液側閉鎖弁15の開閉検査結果の表示、ガス側閉鎖弁18の開閉検査結果の表示、検査運転の場合の運転表示等をリモコン50の表示部に表示させるようにしていたが、リモコン50以外の個所、例えば室外機10や室内機20にこれらの表示部を設けるようにしてもよい。
【0080】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。