【課題】電圧計測装置の計測値に基づいて動作する電気機器用安全装置において、絶縁抵抗試験のように電気機器に大きい電圧が印加された場合でも、前記電気機器内の電圧に応じて動作可能な電気機器用安全装置を提供する。
【解決手段】電気機器用安全装置1は、供試体3に供給されるP相の電位と接地電位との間の電圧を分圧するP相分圧回路32と、P相分圧回路32で得られる分圧を計測するP相電圧計測装置33と、ロック部を有する安全機構10と、P相電圧計測装置33によって計測された電圧が所定値未満の場合に、安全機構10に対してロック解除信号を出力する安全機構制御部20と、を備える。P相分圧回路32は、供試体3に最大電圧が印加された際に得られる分圧がP相電圧計測装置33の耐電圧以下になるように、直列に接続された複数の抵抗32aを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1のように、電力が供給される電気機器に対し、安全柵等を含む安全装置を設けることにより、電力が供給された状態の前記電気機器に作業者等が近づくことを防止できる。
【0006】
前記電気機器の停止時には、内部の電荷を放電したことを確認してから前記安全装置のロックを解除することが好ましい。前記電気機器内の電荷が放電されていることを確認する方法として、前記電気機器内の残電圧を電圧計測装置によって計測する方法が考えられる。
【0007】
一方、上述のような電気機器では、機器毎に所定の絶縁抵抗が要求されている。この絶縁抵抗が仕様値を満たしているかどうかを確認するために、前記電気機器の絶縁抵抗試験が行われる場合がある。この絶縁抵抗試験では、前記電気機器に対し、運転時の電圧に比べて大きい電圧が印加される場合がある。
【0008】
上述のように前記電気機器内の残電圧を電圧計測装置で計測する構成の場合、前記電気機器に対する絶縁抵抗試験時に前記電圧計測装置に印加される電圧が、前記電圧計測装置の耐電圧を超える可能性がある。そのため、前記電気機器の絶縁抵抗試験時には、前記電圧計測装置を前記電気機器に対して電気的に切り離す必要がある。
【0009】
このように、絶縁抵抗試験時に、前記電圧計測装置を前記電気機器から電気的に切り離すと、その間、前記電気機器の残電圧を計測できないため、上述のように前記電圧計測装置の計測値に基づいて前記安全装置のロックを解除する構成の場合、前記安全装置を正常に動作させることができない。
【0010】
本発明の目的は、電圧計測装置の計測値に基づいて動作する電気機器用安全装置において、絶縁抵抗試験のように電気機器に大きい電圧が印加された場合でも、前記電気機器内の電圧に応じて動作可能な電気機器用安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る電気機器用安全装置は、少なくとも一つの相の電力が供給される電気機器に対する安全装置である。この安全装置は、前記少なくとも一つの相のうち所定の相の電位と接地電位との間の電圧を分圧する分圧回路と、前記分圧回路で得られる分圧を計測する電圧計測装置と、解除信号に応じて解除されるロック部を有し、前記電気機器を囲むように設けられた安全機構と、前記電圧計測装置によって計測された電圧が所定値未満の場合に、前記安全機構に対して前記解除信号を出力する安全機構制御部と、を備える。前記分圧回路は、前記電気機器に最大電圧が印加された際に得られる分圧が前記電圧計測装置の耐電圧以下になるように、直列に接続された複数の抵抗要素を有する(第1の構成)。
【0012】
このように、分圧回路で得られる電圧を電圧計測装置によって計測することにより、電気機器に供給される電圧が、最大電圧であっても、前記電圧計測装置が損傷を受けることを防止できる。すなわち、前記分圧回路は、直列に接続された複数の抵抗要素によって、前記電気機器に供給される電圧を前記電圧計測装置の耐電圧以下に分圧するため、前記電圧計測装置に耐電圧よりも大きい電圧が印加されることを防止できる。これにより、前記電気機器に最大電圧が印加される場合に、前記電気機器に電力を供給する主回路から前記電圧計測装置を電気的に分離する必要がなくなる。
【0013】
よって、前記電圧試験装置を前記主回路に電気的に接続した状態で、前記電気機器に対する絶縁抵抗試験などを行うことができるため、安全機構制御部は、前記電圧試験装置の計測値に応じて安全機構の駆動を制御することができる。したがって、絶縁抵抗試験のように電気機器に大きい電圧が印加された場合でも、安全装置を、前記電気機器内の電圧に応じて動作させることができる。
【0014】
なお、前記電気機器に印加される最大電圧は、前記電気機器の運転時及び試験時を含めて前記電気機器に対して印加される最大の電圧であり、例えば絶縁抵抗試験時に印加される電圧などを含む。
【0015】
前記第1の構成において、前記電圧計測装置は、前記分圧回路で得られる複数の分圧のうち、高い側の電位と前記接地電位との電位差が最も小さい分圧を計測する(第2の構成)。
【0016】
これにより、電気機器に最大電圧が印加された場合でも、電圧計測装置に印加される電圧をより小さくすることができる。よって、前記電圧計測装置の損傷をより確実に防止できる。したがって、電気機器に最大電圧が印加された場合でも、電圧計測機器を主回路に対して電気的に分離させる必要がないため、前記安全装置を前記電気機器内の電圧に応じて動作させることができる。
【0017】
前記第1または第2の構成において、前記最大電圧は、前記電気機器に対する絶縁抵抗試験時の電圧である(第3の構成)。
【0018】
分圧回路に絶縁抵抗試験時の大きい電圧が印加された場合でも、上述の各構成により、電圧計測装置に印加される電圧を前記電圧計測装置の耐電圧以下にすることができる。よって、前記絶縁抵抗試験時でも、前記電圧計測装置を主回路から切り離す必要がないため、前記絶縁抵抗試験時でも安全装置を電気機器内の電圧に応じて動作させることができる。
【0019】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記電気機器は、電力変換装置を含む。前記電力は、前記電力変換装置に供給される直流電力である(第4の構成)。
【0020】
これにより、電力変換装置に供給される直流電力を、単純な構成を有する分圧回路によって容易に分圧することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態に係る電気機器用安全装置は、電気機器に供給される少なくとも一つの相のうち所定の相の電位と接地電位との間の電圧を分圧する分圧回路と、前記分圧回路で得られる分圧を計測する電圧計測装置と、解除信号に応じて解除されるロック部を有し、前記電気機器を囲むように設けられた安全機構と、前記電圧計測装置によって計測された電圧が所定値未満の場合に、前記安全機構に対して前記解除信号を出力する安全機構制御部と、を備える。そして、前記分圧回路は、前記電気機器に最大電圧が印加された際に得られる分圧が前記電圧計測装置の耐電圧以下になるように、直列に接続された複数の抵抗要素を有する。
【0022】
これにより、前記電気機器に最大電圧を印加した場合でも、前記電圧計測装置に印加される電圧を前記電圧計測装置の耐電圧以下にすることができる。よって、前記電気機器に電力を供給する主回路から前記電圧計測装置を切り離す必要がないため、前記電気機器に最大電圧を印加した場合でも、前記電圧計測装置の計測値を用いて安全機構の駆動を制御することができる。したがって、前記電気機器に大きい電圧が印加された場合でも、前記電気機器内の電圧に応じて動作可能な安全装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る電気機器用安全装置1の概略構成を示す図である。この電気機器用安全装置1は、例えば、電力供給部2と、電力供給部2から主回路4を介して電力が供給される供試体3とを含む装置に対して設けられる安全装置である。すなわち、電気機器用安全装置1は、供試体3に電圧が印加された状態で、作業者等が電力供給部2及び供試体3に接触しないように作業者等を保護するための装置である。
【0026】
電力供給部2は、所定の電力を出力する。本実施形態では、電力供給部2は、交流電力を直流電力に変換して出力する。すなわち、電力供給部2は、供試体3に対してバッテリを模擬するように動作する。
【0027】
供試体3は、例えば、自動車部品用試験装置などの試験装置に用いられる電力変換装置である。ここで、供試体3は、本発明の電気機器に含まれる。前記電気機器は、電力によって動作する機器であれば、電力変換装置だけでなく、モータ等の電動機など、電力によって動作する機器を含んでもよいし、電力変換装置以外の機器であってもよい。
【0028】
図2に、主回路4の概略構成を示す。主回路4は、電力供給部2から供試体3に対して直流電力を供給する。具体的には、主回路4は、電力供給部2と供試体3とを電気的に接続するP相及びN相の2相の配線41,42を有する。P相及びN相の配線41,42は、それぞれ、コンデンサ44,45及び後述する電気機器用安全装置1の電圧計測部30を介して、接地線43に電気的に接続されている。すなわち、コンデンサ44及び後述のP相電圧計測部31には、P相の電位と接地電位との電位差による電圧が印加される。また、コンデンサ45及び後述のN相電圧計測部36には、N相の電位と接地電位との電位差による電圧が印加される。
【0029】
(電気機器用安全装置)
電気機器用安全装置1は、例えば、電力供給部2及び供試体3を囲む安全柵等の安全機構10を含む。電気機器用安全装置1は、供試体3の残電圧が所定値以上の場合には、安全機構10の後述のロック部12にロック動作させる一方、供試体3の残電圧が所定値未満の場合には、安全機構10の後述のロック部12にロック解除動作をさせる。なお、供試体3の残電圧は、供試体3の内部の電圧であり、例えば、供試体3の内部に蓄えられた電荷によって生じる電圧である。
【0030】
詳しくは、電気機器用安全装置1は、安全機構10と、安全機構制御部20と、電圧計測部30とを備える。
【0031】
安全機構10は、電力供給部2及び供試体3を囲んで設けられた安全柵等の防護部11と、防護部11のロック及びロック解除を行うロック部12とを含む。
【0032】
ロック部12は、安全機構制御部20から出力される信号に応じて、防護部11のロック及びロック解除を行う。具体的には、ロック部12は、供試体3の電圧が所定値以上の場合に安全機構制御部20から出力されるロック信号に応じて、防護部11をロックする。一方、ロック部12は、供試体3の電圧が所定値未満の場合に安全機構制御部20から出力されるロック解除信号(解除信号)に応じて、防護部11のロック解除を行う。
【0033】
なお、防護部11の構成は、安全柵等の一般的な安全機構と同様の構成を有するため、詳しい説明を省略する。
【0034】
安全機構制御部20は、供試体3の残電圧に応じて、安全機構10のロック部12の駆動を制御する。具体的には、安全機構制御部20は、後述の電圧計測部30によって計測された供試体3の残電圧が所定値以上の場合には、安全機構10のロック部12に対してロック信号を出力する。このロック信号を受信したロック部12は、安全機構10の防護部11をロックする。一方、安全機構制御部20は、電圧計測部30によって計測された前記電気機器の残電圧が所定値未満の場合には、安全機構10のロック部12に対してロック解除信号を出力する。このロック解除信号を受信したロック部12は、安全機構10の防護部11をロック解除する。
【0035】
図3は、安全機構10のロック部12の制御を示すフローチャートである。
図3に示すように、安全機構制御部20は、後述の電圧計測部30によって残電圧が計測された後(ステップS1)、その計測値が所定値未満かどうかを判定する(ステップS2)。後述するように、電圧計測部30において、供試体3の残電圧は、P相電圧計測部31のP相電圧計測装置33及びN相電圧計測部36のN相電圧計測装置38によって計測される。安全機構制御部20は、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38の両方の計測値が所定値未満かどうかを判定する。
【0036】
安全機構制御部20は、前記計測値が所定値未満の場合(ステップS2においてYESの場合)には、安全機構10のロック部12にロック解除動作をさせる(ステップS3)一方、前記計測値が所定値以上の場合(ステップS2においてNOの場合)には、安全機構10のロック部12にロック動作をさせる(ステップS4)。
【0037】
なお、安全機構制御部20は、
図3に示すフローを繰り返し行う。すなわち、安全機構制御部20は、電圧計測部30による残電圧の計測値を用いて、常時、安全機構10のロック部12の駆動を制御する。
【0038】
電圧計測部30は、供試体3の残電圧を計測する。具体的には、電圧計測部30は、主回路4において、P相の電圧を計測するP相電圧計測部31と、N相の電圧を計測するN相電圧計測部36とを有する。
【0039】
P相電圧計測部31は、P相の配線41の電位(P相の電位)と接地線43の電位(接地電位)との電位差を計測する。具体的には、P相電圧計測部31は、P相の配線41と接地線43との間に位置するP相分圧回路32(分圧回路)と、P相分圧回路32で得られる分圧を計測するP相電圧計測装置33(電圧計測装置)とを有する。
【0040】
P相分圧回路32は、直列に接続された複数の抵抗32a(抵抗要素)を有する。P相分圧回路32は、P相(所定の相)の配線41の電位と接地線43の電位との間の電圧を分圧する。P相電圧計測装置33は、P相分圧回路32で得られる分圧のうち、高い側の電位と接地線43の電位との電位差が最も小さい分圧を計測する。具体的には、P相電圧計測装置33は、P相分圧回路32の複数の抵抗32aのうち、接地線43に対して電気的に最も近い位置に接続されている抵抗32aで生じる電位差を計測する。
【0041】
なお、P相分圧回路32は、P相電圧計測装置33によって計測される分圧がP相電圧計測装置33の耐電圧を超えないように、複数の抵抗32aによって構成されている。
【0042】
N相電圧計測部36は、N相の配線42の電位(N相の電位)と接地線43の電位(接地電位)との電位差を計測する。具体的には、N相電圧計測部36は、N相の配線42と接地線43との間に位置するN相分圧回路37(分圧回路)と、N相分圧回路37で得られる分圧を計測するN相電圧計測装置38(電圧計測装置)とを有する。
【0043】
N相分圧回路37は、直列に接続された複数の抵抗37a(抵抗要素)を有する。N相分圧回路37は、N相(所定の相)の配線42の電位と接地線43の電位との間の電圧を分圧する。N相電圧計測装置38は、N相分圧回路37で得られる分圧のうち、高い側の電位と接地線43の電位との電位差が最も小さい分圧を計測する。具体的には、N相電圧計測装置38は、N相分圧回路37の複数の抵抗37aのうち、接地線43に対して電気的に最も近い位置に接続されている抵抗37aで生じる電位差を計測する。
【0044】
なお、N相分圧回路37は、N相電圧計測装置38によって計測される分圧がN相電圧計測装置38の耐電圧を超えないように、複数の抵抗37aによって構成されている。
【0045】
図1に示すように、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38の計測値は、安全機構制御部20に入力される。安全機構制御部20は、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38から出力された計測値に基づいて、既述のように安全機構10のロック部12を制御する。
【0046】
上述のように、P相電圧計測装置33によってP相の配線41の電位と接地線43の電位との電位差の分圧を計測することにより、P相の配線41の電位を直接計測する場合に比べて、P相電圧計測装置33に印加される電圧を小さくすることができる。P相分圧回路32はP相電圧計測装置33に耐電圧よりも大きい電圧が印加されないように分圧を生じるため、主回路4のP相の配線41に、供試体3に供給される最大電圧が印加された場合でも、P相電圧計測装置33に耐電圧よりも大きい電圧が印加されることを防止できる。
【0047】
同様に、N相電圧計測装置38によってN相の配線42と接地線43の電位との電位差の分圧を計測することにより、N相の配線42の電位を直接計測する場合に比べて、N相電圧計測装置38に印加される電圧を小さくすることができる。N相分圧回路37はN相電圧計測装置38に耐電圧よりも大きい電圧が印加されないように分圧を生じるため、主回路4のN相の配線42に、供試体3に供給される最大電圧が印加された場合でも、N相電圧計測装置38に耐電圧よりも大きい電圧が印加されることを防止できる。
【0048】
ところで、一般的に、電気機器の電気絶縁性を確認するために、前記電気機器に対して絶縁抵抗試験が行われる場合がある。この絶縁抵抗試験では、前記電気機器に対して通常運転時に比べて大きい電圧が印加される。そのため、主回路の各相の電圧を電圧計測装置によって計測する場合には、前記電圧計測装置に耐電圧以上の電圧が印加されないように、絶縁抵抗試験時に主回路から前記電圧計測装置を電気的に切り離す必要がある。
【0049】
これに対し、上述のように、P相電圧計測装置33によって、P相の配線41と接地線43との電位差の分圧を計測するとともに、N相電圧計測装置38によって、N相の配線42と接地線43との電位差の分圧を計測することにより、上述の絶縁抵抗試験のように供試体3に対して大きい電圧が印加される場合でも、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38にそれぞれ耐電圧よりも大きい電圧が印加されることを防止できる。
【0050】
よって、上述の絶縁抵抗試験のように供試体3に対して大きい電圧が印加される場合に、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38を主回路4から切り離す必要がない。これにより、上述の絶縁抵抗試験のように供試体3に対して大きい電圧が印加される場合でも、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38から出力された計測値に基づいて、安全機構10のロック部12を駆動制御することができる。
【0051】
したがって、上述の絶縁抵抗試験のように供試体3に対して大きい電圧が印加される場合でも、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38から出力された計測値(供試体3の残電圧)に基づいて、電気機器用安全装置1を動作させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、上述のように、絶縁抵抗試験時でも、P相電圧計測装置33によってP相分圧回路32の分圧を計測するとともに、N相電圧計測装置38によってN相分圧回路37の分圧を常時計測する。これにより、P相及びN相で必要な絶縁抵抗をP相分圧回路32及びN相分圧回路37の抵抗32a,37aによって確保できない場合でも、P相電圧計測装置33及びN相電圧計測装置38の内部の絶縁抵抗によって、必要な絶縁抵抗を容易に得ることができる。
【0053】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0054】
前記実施形態では、電力供給部2から供試体3に対して2相の電力を供給する。しかしながら、電力供給部から供試体に供給される電力は、交流電力であってもよい。また、電力供給部から供試体に対して3相以上の電力を供給してもよい。
【0055】
なお、電力供給部から供試体に供給される電力が3相以上の電力の場合、電圧計測装置は、多相の交流電力の周波数を検知可能な構成を有する。この場合、前記電圧計測部は、各相において、エイリアシングによる誤検知を防止するように、所定周波数成分をカットして計測する。
【0056】
前記実施形態では、P相電圧計測装置33は、P相分圧回路32で得られる分圧のうち、高い側の電位と接地線43の電位との電位差が最も小さい分圧を計測する。N相電圧計測装置38は、N相分圧回路37で得られる分圧のうち、高い側の電位と接地線43の電位との電位差が最も小さい分圧を計測する。しかしながら、P相電圧計測装置及びN相電圧計測装置は、耐電圧以下の分圧であれば、P相分圧回路32及びN相分圧回路37のいずれの分圧を計測してもよい。
【0057】
前記実施形態では、P相分圧回路32及びN相分圧回路37は、それぞれ、直列に接続された複数の抵抗によって構成されている。しかしながら、P相分圧回路及びN相分圧回路の少なくとも一方が、抵抗成分を有する半導体素子など、抵抗以外の素子によって構成されていてもよい。
【0058】
前記実施形態では、供試体3に最大電圧が印加される場合として、供試体3の絶縁抵抗試験時を挙げている。しかしながら、前記実施形態の構成は、絶縁抵抗試験時以外に、供試体に最大電圧が印加される場合にも適用可能である。
【0059】
前記実施形態では、電力供給部2及び供試体3が、安全柵等の防護部11によって囲まれている。しかしながら、供試体のみが安全柵等によって囲まれていてもよい。