【課題】建築物の免震構造に用いられ、柱であるH形鋼とH形鋼との間の結合部、または、筋交いと柱であるH形鋼の結合部に用いられ、地震などの揺れによる衝撃を吸収するための免震ダンパーの試験用固定治具、および、免震ダンパーの試験用固定治具を用いた試験装置を提供する。
【解決手段】 固定部材36には、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112に形成された取り付けボルト穴114に対応するように、締結ボルト穴46が形成され、締結ボルト穴46の内径の寸法X1が、締結ボルト52の外形の寸法X2よりも大きく構成され、加圧ナット20の内径の寸法Y1が、加圧ナット20を介して装着された治具支柱26の外形の寸法Y2よりも大きく構成されている。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、このような免震ダンパーは、
図7に示したような構造を有している。
【0003】
すなわち、
図7の斜視図に示したように、免震ダンパー100は、例えば、鋼板からなる矩形状の内側板状体102を備えており、この内側板状体102の両面に、例えば、粘弾性を有する免震ゴムから構成される矩形状の一対のゴム部材104が設けられている。
【0004】
さらに、これらのゴム部材104の外側に、一対の外側板状体106が設けられている。さらに、
図7に示したように、内側板状体102の一方の端部108aが、ゴム部材104の一方の端部104a、外側板状体106の一方の端部106aよりも、長手方向に突出した構造となっている。そして、この内側板状体102の一方の固定用突出部108には、複数の取り付けボルト穴110が設けられている。
【0005】
一方、外側板状体106の他方の端部106bが、内側板状体102の他方の端部102b、ゴム部材104の他方の端部104bよりも、長手方向に突出した構造となっている。そして、この外側板状体106の他方の固定用突出部112には、複数の取り付けボルト穴114が設けられている。
【0006】
このような構造の免震ダンパー100を、例えば、特許文献1(特開2005−3379号公報)、特許文献2(特開2003―207430号公報)などに開示されるような、試験装置を用いて、内側板状体102の突出部108の複数の取り付けボルト穴110に取り付けボルトを装着して、試験装置の一方のつかみ部に固定するとともに、外側板状体106の固定用突出部112の複数の取り付けボルト穴114に取り付けボルトを装着して、試験装置の他方のつかみ部に固定して、振動試験などの試験が行われるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような構造の免震ダンパー100では、加工精度のバラツキによって、ゴム部材104の厚さが均一ではなくバラツキがあるため、一対の外側板状体106の間は平行でないことがある。
【0009】
このため、このような構造の免震ダンパー100では、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれが生じることがある。例えば、図示しないが、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になったりする。
【0010】
また、このような構造の免震ダンパー100では、
図7のねじれ方向(矢印B方向)のずれ、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれが生じることがある。
【0011】
このため、このようなずれを生じた免震ダンパー100に対して、取り付け治具で挟持して固定しようとする場合、免震ダンパー100のこれらのずれが矯正されてしまう場合がある。
【0012】
このように取り付け治具で免震ダンパー100のこれらのずれが矯正(修正)された状態で試験を行えば、実際の免震ダンパー100の試験結果とかけ離れた試験データーになってしまい、正確な試験を行うことができない。
【0013】
このため、従来の試験装置では、特許文献1のように、取り付け治具の間に、シム材、隙間ゲージなどの補正部材を挟んで、このような免震ダンパー100のずれが矯正されるのを防止するようになっている。
【0014】
しかしながら、このような免震ダンパー100のこれらのずれの大きさ、種類によって、複数の寸法、形状のシム材を準備して、これらを単独で、または、組み合わせて使用しなければならず、煩雑な作業が必要で、手間と時間がかかり、試験コストも上昇することになる。
【0015】
本発明は、このような現状に鑑み、免震ダンパーのずれが矯正されず、免震ダンパーのずれが生じた状態のままで、免震ダンパーを試験用固定治具に固定可能で、実際の免震ダンパーの試験結果とかけ離れた試験データーになることなく、正確な試験を行うことが可能な免震ダンパーの試験用固定治具、および、免震ダンパーの試験用固定治具を用いた試験装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、従来のようなシム材、隙間ゲージなどの補正部材が不要で、コストと手間を低減でき、しかも、免震ダンパーの試験用固定治具への取り付けも容易で、取り付け精度のバラツキがなく、ガタつきによる非線形な要因が試験結果に影響を及ぼさない免震ダンパーの試験用固定治具、および、免震ダンパーの試験用固定治具を用いた試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具は、
内側板状体と、内側板状体の両面に設けた一対のゴム部材と、ゴム部材の外側に設けられた一対の外側板状体とから構成される免震ダンパーの試験用固定治具であって、
ベースプレート上に立設されて、相互に離間した状態で配置され、前記免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部を挟着固定するように構成した一対の固定治具部材を備え、
前記固定治具部材がそれぞれ、
前記ベースプレート上に固着された固定ナットと、
前記固定ナットに、加圧ナットを介して装着された治具支柱と、
前記治具支柱の上部に固定された治具本体部と、
前記治具本体部に回動軸を介して回動可能に装着された固定部材とを備え、
前記固定部材には、前記免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部に形成された取り付けボルト穴に対応するように、締結ボルト穴が形成され、
前記締結ボルト穴の内径の寸法X1が、締結ボルトの外形の寸法X2よりも大きく構成され、
前記加圧ナットの内径の寸法Y1が、前記加圧ナットを介して装着された治具支柱の外形の寸法Y2よりも大きく構成されていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することによって、固定部材が、治具本体部に回動軸を介して回動可能に装着されているので、固定部材が、回動軸を中心に回動する。
【0019】
これにより、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれが生じた場合、例えば、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になった状態を吸収することができる。
【0020】
また、固定部材には、免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部に形成された取り付けボルト穴に対応するように、締結ボルト穴が形成されている。
【0021】
そして、締結ボルト穴の内径の寸法X1が、締結ボルトの外形の寸法X2よりも大きく構成されており、クリアランスを有しているので、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれを吸収することができる。
【0022】
さらに、加圧ナットの内径の寸法Y1が、加圧ナットを介して装着された治具支柱の外形の寸法Y2よりも大きく構成されており、クリアランスを有しているので、
図7のねじれ方向(矢印B方向と矢印A方向)のずれを吸収することができる。
【0023】
従って、免震ダンパー100のずれが矯正されず、免震ダンパー100のずれが生じた状態のままで、免震ダンパー100を試験用固定治具に固定可能で、実際の免震ダンパー100の試験結果とかけ離れた試験データーになることなく、正確な試験を行うことが可能である。
【0024】
また、従来のようなシム材、隙間ゲージなどの補正部材が不要で、コストと手間を低減でき、しかも、免震ダンパー100の試験用固定治具への取り付けも容易で、取り付け精度のバラツキがなく、ガタつきによる非線形な要因が試験結果に影響を及ぼさない。
【0025】
また、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具は、
前記固定治具部材がそれぞれ、
前記免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部に形成された取り付けボルト穴に対応するように、締結ナット穴が形成された締結ナットを介して、
前記締結ボルトにより、免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部を締結するように構成されていることを特徴とする。
【0026】
このように構成することによって、締結ナット穴が形成された締結ナットを介して、締結ボルトにより、免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部を締結することができるので、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれを吸収した状態で、免震ダンパー100の取り付け作業が容易で、しっかりと固定できる。
【0027】
また、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具は、
前記固定治具部材がそれぞれ、
前記固定部材の回動軸の回動を固定する回動固定部を備えることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、固定治具部材がそれぞれ、固定部材の回動軸の回動を固定する回動固定部を備えるので、固定部材が、回動軸を中心に回動するのを防止した状態で、固定することができる。
【0029】
これにより、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれが生じた場合、例えば、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になった状態を吸収した状態で、免震ダンパー100を取り付けることができる。
【0030】
また、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具は、
前記回動固定部が、
前記治具本体部に立設されたフランジ部と、
前記フランジ部に形成され、前記固定部材の回動軸を挿着する軸穴と、
前記軸穴に形成されたスリットと、
前記スリットを締め付ける締め付けボルトと、
を備えることを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、締め付けボルトを締め付けて、スリットを締め付けるだけで、回動軸を中心に固定部材が回動するのを防止した状態で、固定部材36を固定することができる。
【0032】
これにより、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれが生じた場合、例えば、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になった状態を吸収した状態で、免震ダンパー100を取り付けることができる。
【0033】
また、本発明の試験装置は、前述のいずれかに記載の免震ダンパーの試験用固定治具を用いて試験を行うように構成したこと特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、固定部材が、治具本体部に回動軸を介して回動可能に装着されているので、固定部材が、回動軸を中心に回動する。
【0035】
これにより、
図7の厚さ方向(矢印A方向)のずれが生じた場合、例えば、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になった状態を吸収することができる。
【0036】
また、固定部材には、免震ダンパーの外側板状体の固定用突出部に形成された取り付けボルト穴に対応するように、締結ボルト穴が形成されている。
【0037】
そして、締結ボルト穴の内径の寸法X1が、締結ボルトの外形の寸法X2よりも大きく構成されており、クリアランスを有しているので、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれを吸収することができる。
【0038】
さらに、加圧ナットの内径の寸法Y1が、前記加圧ナットを介して装着された治具支柱の外形の寸法Y2よりも大きく構成されており、クリアランスを有しているので、
図7のねじれ方向(矢印B方向と矢印A方向)のずれを吸収することができる。
【0039】
従って、免震ダンパー100のずれが矯正されず、免震ダンパー100のずれが生じた状態のままで、免震ダンパー100を試験用固定治具に固定可能で、実際の免震ダンパー100の試験結果とかけ離れた試験データーになることなく、正確な試験を行うことが可能である。
【0040】
また、従来のようなシム材、隙間ゲージなどの補正部材が不要で、コストと手間を低減でき、しかも、免震ダンパー100の試験用固定治具への取り付けも容易で、取り付け精度のバラツキがなく、ガタつきによる非線形な要因が試験結果に影響を及ぼさない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0043】
図1は、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具の斜視図、
図2は、本発明の免震ダンパーの試験用固定治具を用いて免震ダンパーを固定した状態を説明する斜視図、
図3は、
図3のI―I線での断面図、
図4は、
図3の部分拡大断面図である。
【0044】
図1〜
図4において、符号10は、全体で本発明の免震ダンパーの試験用固定治具(以下、単に、「試験用固定治具」と言う)を示している。
【0045】
図2、
図3に示したように、本発明の試験用固定治具10は、
図7に示した構造の免震ダンパー100の外側板状体106の他方の固定用突出部112側を固定するように構成されている。
【0046】
図1〜
図3に示したように、本発明の試験用固定治具10は、ベースプレート12を備えている。このベースプレート12上に立設されて、相互に離間した状態で配置され、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112を挟着固定するように構成した一対の固定治具部材14を備えている。
【0047】
また、固定治具部材14が、ベースプレート12上に固着された固定ナット16を備えている。この実施例では、
図3に示したように、左右の固定治具部材14に共通な1個の固定ナット16が固定されている。なお、符号11は、ベースプレートを試験装置のつかみ部に固定するための固定ボルト穴を示している。
【0048】
さらに、この固定ナット16には、
図3、
図4に示したように、左右の固定治具部材14に対応するように、2個の固定用穴部18が形成されている。そして、この固定用穴部18の内周には、雌ネジ21が、それぞれ形成されている。
【0049】
また、本発明の試験用固定治具10は、左右の固定治具部材14に対応するように、2個の加圧ナット20が、備えられている。そして、この加圧ナット20の外周には、雄ネジ22が形成されており、固定ナット16の固定用穴部18の内周に形成された雌ネジ21と螺着されるように構成されている。
【0050】
また、加圧ナット20には、固定ナット16の固定用穴部18に対応するように、挿通穴24が形成されている。
【0051】
さらに、固定ナット16の固定用穴部18に、治具支柱26の支柱部28が挿通されるとともに、治具支柱26の下端の拡径部29が、ベースプレート12上に着座するように立設されている。
【0052】
そして、
図3、
図4に示したように、加圧ナット20を締め付けることによって、加圧ナット20を介して、固定ナット16に、治具支柱26が固定されるようになっている。
【0053】
また、
図1〜
図2に示したように、治具支柱26の支柱部28の上部に、略コ字形状の治具本体部30が固定されている。
【0054】
そして、治具本体部30は、治具本体底部32と、この治具本体底部32の両端部から上方に延設された2個のフランジ部34を備えている。これらのフランジ部34の間に、固定部材36が、
図2の矢印Dで示したように、回動軸38を介して回動可能に装着されている。また、固定部材36の回動軸の回動を固定する回動固定部40を備えている。
【0055】
具体的には、回動固定部40として、
図1〜
図2に示したように、これらのフランジ部34には、固定部材36の回動軸38を挿着する軸穴41が形成されている。また、軸穴41には、スリット42が形成されているとともに、スリット42を締め付ける締め付けボルト44を備えている。
【0056】
このように構成することによって、固定部材36が治具本体部30に回動軸38を介して回動可能に装着されているので、固定部材36が
図2の矢印Dで示したように、回動軸38を中心に回動するとともに、締め付けボルト44を締め付けて、スリット42を締め付けるだけで、回動軸38を中心に固定部材36が回動するのを防止した状態で、固定部材36を固定することができる。
【0057】
さらに、加圧ナット20の内径の寸法Y1が、加圧ナット20を介して装着された治具支柱26の支柱部28の外形の寸法Y2よりも大きく構成されており、クリアランスT2が形成されているので、
図4のX−Y平面に自由度がある。
【0058】
これにより、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれが生じた場合、例えば、断面視で、一対の外側板状体106が、八の字形状になったり、逆八の字形状になった状態を吸収した状態で、免震ダンパー100を取り付けることができる。
【0059】
従って、一対の外側板状体106の角度と、
図3と
図4において、X方向(矢印A方向)の離間距離の微調整が可能となる。
【0060】
また、本発明の試験用固定治具10では、
図3、
図4に示したように、固定部材36には、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112に形成された取り付けボルト穴114に対応するように、締結ボルト穴46が形成されている。
【0061】
締結ボルト穴46の内径の寸法X1が、締結ボルト52の外形の寸法X2よりも大きく構成され、クリアランスT1が形成されている。
【0062】
そして、締結ボルト穴46の内径の寸法X1が、締結ボルト52の外形の寸法X2よりも大きく構成され、クリアランスT1が形成されているので、
図4のY−Z平面に自由度がある。
【0063】
さらに、
図1、
図3、
図4に示したように、固定部材36の内側には、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112に形成された取り付けボルト穴114に対応するように、締結ナット穴48が形成された略板形状の締結ナット50を備えている。
【0064】
これにより、締結ナット穴48が形成された締結ナット50を介して、締結ボルト52により、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112を締結することができるように構成されている。
【0065】
このように構成することによって、締結ナット穴48が形成された締結ナット50を介して、締結ボルト52により、免震ダンパー100の外側板状体106の固定用突出部112を締結することができるので、
図2〜
図4、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれを吸収した状態で、免震ダンパー100の取り付け作業が容易で、しっかりと固定できる。
【0066】
これにより、
図2〜
図4、
図7の回転方向(矢印C方向)のずれを吸収することができる。
【0067】
また、
図3、
図4に示したように、加圧ナット20の内径の寸法Y1が、加圧ナット20を介して装着された治具支柱26の支柱部28の外形の寸法Y2よりも大きく構成され、クリアランスT2が形成されている。
【0068】
これにより、
図4のX−Y平面の自由度が得られ、
図2〜
図4、
図7のねじれ方向(矢印B方向)と、
図7の厚さ方向(矢印A方向、すなわち、離間距離方向)のずれを吸収することができる。
【0069】
従って、本発明の試験用固定治具10によれば、免震ダンパー100のずれが矯正されず、免震ダンパー100のずれが生じた状態のままで、免震ダンパー100を試験用固定治具10に固定可能で、実際の免震ダンパー100の試験結果とかけ離れた試験データーになることなく、正確な試験を行うことが可能である。
【0070】
また、従来のようなシム材、隙間ゲージなどの補正部材が不要で、コストと手間を低減でき、しかも、免震ダンパー100の試験用固定治具10への取り付けも容易で、取り付け精度のバラツキがなく、ガタつきによる非線形な要因が試験結果に影響を及ぼさない。
(実施例2)
【0071】
図5は、本発明の試験用固定治具10を、試験の一例として、振動試験を行う試験装置に適用した実施例を示す概略図、
図6は、
図5の試験装置本体の使用状態を説明する正面図である。
【0072】
図5において、符号10は、全体で本発明の試験装置を示している。
【0073】
図5〜
図6に示したように、本発明の試験装置200は、試験を行うための試験装置本体202を備えている。
【0074】
この試験装置本体202は、この実施例では、試験の一例として、振動試験を行う試験装置から構成されている。
【0075】
図5に示したように、試験装置本体202は、架台フレーム204を備えており、この架台フレーム204の下方にシリンダーからなるアクチュエーター206を備えている。このアクチュエーター206には、本発明の試験用固定治具10で固定した免震ダンパー100からなるテストピースPを載置するためのピストン208と、変位を検出するための変位検出器210とを備えている。
【0076】
また、架台フレーム204の上方には、上方フレーム218が立設されており、この上方フレーム218には、上方フレーム218と架台フレーム204との間に、ガイドロッド212が設けられている。
【0077】
そして、ガイドロッド212の下方と上方フレーム218との間には、ボールネジ214が設けられており、ボールネジ214により、ピストン208に対して、上下動可能なクロスヘッド216が設けられている。また、このクロスヘッド216には、ピストン208と対峙するように、荷重検出器220が設けられている。
【0078】
また、
図5に示したように、本発明の試験装置200は、試験装置本体202に接続され、試験装置本体202に対して、試験条件などの設定、実施、試験データーの収集などを行うための試験制御装置として機能する制御装置222を備えている。
【0079】
この実施例では、制御装置222は、試験条件などの設定画面、試験データーなどの表示を行うためのCRT224と、制御装置本体226と、キーボード228と、マウス230を備えている。従って、この制御装置222には、例えば、ハードディスクから構成される内部メモリーが内蔵されている。なお、制御装置本体226に、操作用のパソコンが接続されている場合がある。
【0080】
そして、試験装置本体202のアクチュエーター206の変位検出器210と、制御装置本体226が接続されるとともに、試験装置本体202の荷重検出器220と、制御装置本体226が接続されている。
【0081】
また、
図5に示したように、この実施例の試験装置200では、制御装置222の制御装置本体226に、例えば、パソコンからなる外部解析装置232が、通信回線(例えば、LAN、GPIBなど)を介して接続されている。なお、外部解析装置232は、制御装置222と同様に、試験条件、試験データーなどの表示を行うためのCRT236と、外部解析装置本体238と、キーボード240と、マウス242を備えている。
【0082】
一方、本発明の試験装置200では、制御装置222の制御装置本体226に接続されるとともに、試験装置本体202のアクチュエーター206に接続されたアクチュエーター駆動源234が設けられている。
【0083】
このように構成される本発明の試験装置200では、以下のように試験が行われる。
【0084】
すなわち、
図6に示したように、ピストン208の上面にテストピースPを載置して、図示しない駆動機構によって、ボールネジ214により、ピストン208に対してクロスヘッド216を下降して、ピストン208の上面とクロスヘッド216の下面との間にテストピースPを挟持する。
【0085】
そして、制御装置222に予め記憶されたプログラムに基づいて、試験条件などの設定、実施、試験データーの収集が行われるようになっている。
【0086】
すなわち、
図5に示したように、制御装置222の制御によって、制御装置222に接続されたアクチュエーター駆動源234を所定の条件で駆動させる。これにより、アクチュエーター駆動源234に接続されたアクチュエーター206が所定の条件で駆動して、テストピースPに対して一定の振動を与えるようになっている。
【0087】
そして、アクチュエーター206に設けられた変位検出器210によって、テストピースPの変位が検出され、テストピースPの変位データーが、制御装置222の制御装置本体226に入力されるようになっている。一方、クロスヘッド216に設けられた荷重検出器220によって、テストピースPにかかる荷重が検出され、テストピースPにかかる荷重データーが、制御装置222の制御装置本体226に入力されるようになっている。
【0088】
また、これらの試験データーに基づいて、制御装置222の制御装置本体226のプログラムに基づいて、制御装置222からアクチュエーター駆動源234に、フィードバック指令信号が出力され、アクチュエーター駆動源234を所定の条件で駆動させるようになっている。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、
図3に示したように、左右の固定治具部材14に共通な1個の固定ナット16が固定され、固定ナット16には、左右の固定治具部材14に対応するように、2個の固定用穴部18が形成されているように構成した。
【0090】
しかしながら、左右の固定治具部材14に対して、それぞれ別体の2個の固定ナット16が固定され、固定ナット16には、左右の固定治具部材14に対応するように、それぞれ1個の固定用穴部18が形成されるようにしても良い。
【0091】
また、上記実施例では、本発明の試験用固定治具10を、試験の一例として、振動試験を行う試験装置に適用した実施例について説明したが、材料試験、振動試験、疲労試験、特性試験などを行うための材料試験装置、振動試験装置、疲労試験装置など各種の試験装置などにも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。