(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-184582(P2019-184582A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】電圧検出回路、電圧監視回路、冷凍装置、およびコンテナ用冷凍装置
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20190927BHJP
G01R 15/04 20060101ALI20190927BHJP
G01R 19/165 20060101ALI20190927BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
G01R19/00 A
G01R15/04
G01R19/165 Q
F25D11/00 101D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-40134(P2019-40134)
(22)【出願日】2019年3月6日
(31)【優先権主張番号】特願2018-68857(P2018-68857)
(32)【優先日】2018年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 高章
(72)【発明者】
【氏名】松井 進
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
3L045
【Fターム(参考)】
2G025AA05
2G025AB08
2G025AC01
2G035AC15
2G035AD04
2G035AD08
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD14
2G035AD28
2G035AD55
2G035AD57
2G035AD58
2G035AD65
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA17
3L045MA00
3L045PA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型化された高圧の電圧を検出する電圧検出回路を提供する。
【解決手段】電圧検出回路において、交流電源40に接続され、この交流電源40の交流電圧を分圧する分圧抵抗R1,R2,R3,R4を有した交流分圧回路11を設ける。また交流分圧回路11によって分圧された交流電圧を整流する整流部12を設け、その出力はV/F変換器14に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源(40)に接続され、この交流電源(40)の交流電圧を分圧する分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)を有した交流分圧回路(11)と、
前記交流分圧回路(11)によって分圧された交流電圧を整流する整流部(12)と、
を備えたことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記整流部(12)が出力した直流電圧を分圧する分圧抵抗(R5,R6)を有した直流分圧回路(13)を備えたことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の電圧検出回路(10)と、
前記電圧検出回路(10)の検出結果に応じて、前記交流電源(40)の電圧が異常か否かを判定する判定部(30)と、
を備えたことを特徴とする電圧監視回路。
【請求項4】
請求項3の電圧監視回路と、
冷媒回路と、
を備えたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項5】
請求項4の冷凍装置と、
貨物を輸送するコンテナと、
を備えたことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧検出回路、電圧監視回路、冷凍装置、およびコンテナ用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器では、種々の場面で電圧の検出が求められる場合がある。検出すべき電圧が比較的高圧の場合には、検出対象の電圧を予め降圧するのが一般的である。例えば、交流電圧を降下させるには、トランスを用いることができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−2357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電圧検出回路においてトランスで電圧降下を行うとすれば、検出すべき電圧(トランスに入力される電圧)が高くなるほど大型のトランスが必要になる。トランスの大型化は、コストの増大とともに、装置の大きさも増大しがちである。
【0005】
本開示の目的は、電圧検出回路の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、交流電源(40)に接続され、この交流電源(40)の交流電圧を分圧する分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)を有した交流分圧回路(11)と、前記交流分圧回路(11)によって分圧された交流電圧を整流する整流部(12)と、を備えたことを特徴とする電圧検出回路である。
【0007】
第1の態様では、交流電源(40)の電圧が、分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)によって降圧される。換言すると、この態様では、電圧検出回路の小型化を図ることが可能になる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記整流部(12)が出力した直流電圧を分圧する分圧抵抗(R5,R6)を有した直流分圧回路(13)を備えたことを特徴とする電圧検出回路である。
【0009】
第2の態様では、直流分圧回路(13)によって、直流電圧が降圧される。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様の電圧検出回路(10)と、前記電圧検出回路(10)の検出結果に応じて、前記交流電源(40)の電圧が異常か否かを判定する判定部(30)と、を備えたことを特徴とする電圧監視回路である。
【0011】
第3の態様では、電圧監視回路において、前記電圧検出回路(10)で得られる作用、効果を得ることが可能になる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様の電圧監視回路と、冷媒回路と、を備えたことを特徴とする冷凍装置である。
【0013】
本開示の第5の態様は、第4の態様の冷凍装置と、貨物を輸送するコンテナと、を備えたことを特徴とするコンテナ用冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電圧監視回路のブロック図である。
【
図2】
図2は、他の実施形態に係る電圧監視回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《実施形態》
この実施形態では、コンテナ用冷凍装置に組み込まれる電圧検出回路の例を説明する。
【0016】
例えば、船舶やトラックなどで貨物を輸送する際に用いるコンテナ(図示を省略)には、冷媒回路を有した冷凍装置(コンテナ用冷凍装置)を備えるものがある。そのようなコンテナでは、港などにコンテナが置かれている間に、冷凍装置を動作させるために、商用電源によって電力が供給されることがある。
【0017】
例えば、コンテナ用冷凍装置では、商用交流電源から供給された交流は、電力変換装置(図示を省略)によって、所望周波数、且つ所望電圧の交流に変換される。コンテナ用冷凍装置の冷媒回路に設けられた圧縮機などは、前記電力変換装置が出力した交流電力によって駆動される。
【0018】
しかしながら、地域(コンテナを積載した船舶の寄港地、コンテナを輸送するトラックの目的地)によっては、商用電源の電圧が不安定な場合がある。そのため、このような地域の商用電源から電力供給を受ける機器では、電源電圧の変動(例えば、急な電圧上昇)に備えておく必要がある。具体的な手段としては、商用電源の電圧の監視を行う電圧監視回路の設置が有用である。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電圧監視回路(1)のブロック図である。
図1に示すように、電圧監視回路(1)は、単相の交流電源(40)に接続されている。電圧監視回路(1)は、交流電源(40)の電圧を監視している。交流電源(40)の電圧は、地域によっては、通常時に440Vの交流電圧が、異常時には850V程度に上昇する場合がある。電圧監視回路(1)は、このような電圧異常を監視する回路である。
【0020】
本実施形態の電圧監視回路(1)は、電圧検出回路(10)、及び判定部(30)を備えている。
【0021】
〈電圧検出回路(10)〉
この例では、電圧検出回路(10)は、
図1に示すように、交流分圧回路(11)、整流部(12)、直流分圧回路(13)、及びV/F変換回路(14)を備えている。電圧検出回路(10)は、交流電源(40)の電圧が異常に高電圧の場合にも、その交流電圧を検出できるように、電圧検出回路(10)を構成するこれらの回路における仕様(耐圧等)が設定されている。
【0022】
交流分圧回路(11)は、交流電源(40)の交流電圧を分圧する分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)を備えている。詳しくは、交流分圧回路(11)は、交流電源(40)の一方の相に接続された直列の抵抗(R1,R2)と、もう一方の相に接続された直列の抵抗(R3,R4)とを備えている。交流分圧回路(11)からは、分圧抵抗(R2)の端子間にかかる電圧、及び分圧抵抗(R4)の端子間にかかる電圧(交流電圧)が、整流部(12)に出力されている。
【0023】
整流部(12)は、ダイオード(D1)、ダイオード(D2)、及びコンデンサ(C1)を備えている。これらの2つのダイオード(D1,D2)で整流回路を構成している。コンデンサ(C1)は、平滑化用のコンデンサである。整流部(12)は、整流して得た直流を直流分圧回路(13)に出力している。
【0024】
直流分圧回路(13)は、互いに直列接続された分圧抵抗(R5)と分圧抵抗(R6)とを備えている。直流分圧回路(13)は、整流部(12)のコンデンサ(C1)に並列接続されている。直流分圧回路(13)では、これらの分圧抵抗(R5,R6)によって、整流部(12)が出力した直流電圧(コンデンサ(C1)の端子間の電圧)を分圧している。直流分圧回路(13)が出力する直流電圧は、分圧抵抗(R6)の端子間にかかる電圧である。
【0025】
直流分圧回路(13)が出力した直流電圧は、ツェナーダイオード(D3)とコンデンサ(C2)とによって構成されたクランプ回路によって、所定の電圧にクランプされる。このクランプ回路(D3,C2)の出力(直流電圧)は、抵抗(R7)とコンデンサ(C3)によって構成されたCRフィルタを介してV/F変換回路(14)に入力されている。
【0026】
V/F変換回路(14)は、直流電圧を周波数に変換する回路である。具体的には、V/F変換回路(14)は、入力電圧に比例した、一定幅のパルス列を出力する。ここでは、V/F変換回路(14)には、CRフィルタ(C3,R7)を介して整流部(12)の出力(直流電圧)が入力されている。換言すると、V/F変換回路(14)は、整流部(12)の出力(直流電圧)に比例したパルス列を出力する。V/F変換回路(14)の出力は、電圧検出回路(10)の検出結果として、判定部(30)に入力されている。
【0027】
〈判定部(30)〉
判定部(30)は、電圧検出回路(10)の検出結果に応じて、交流電源(40)の電圧が異常か否かを判定する。それを実現するため、判定部(30)は、マイクロコンピュータと、それを動作させるためのプログラムが格納されたメモリディバイスとを備えている。判定部(30)は、電圧検出回路(10)の検出結果(換言すると、V/F変換回路(14)の出力)が、予め定めた閾値を超えた場合には、交流電源(40)の電圧が異常(例えば高電圧)である旨の信号(以下、異常信号という)を出力するように構成されている。
【0028】
既述の通り、この例では、電圧監視回路(1)は、前記コンテナの冷凍装置に用いられている。判定部(30)の出力(異常信号)は、冷凍装置が備える制御装置(例えば前記電力変換装置を制御する制御装置)に対して出力されている。冷凍装置の制御装置は、前記異常信号を受信した場合には、交流電源(40)と前記電力変換装置との接続を遮断する。それにより、電力変換装置やそれで駆動される圧縮機などの機器の故障が回避される。
【0029】
以上をまとめると、本開示は、交流電源(40)に接続され、この交流電源(40)の交流電圧を分圧する分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)を有した交流分圧回路(11)と、前記交流分圧回路(11)によって得た交流電圧を整流する整流部(12)と、を備えたことを特徴とする電圧検出回路である。
【0030】
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態では、電源の交流電圧を降下させるために、分圧抵抗(R1,R2,R3,R4)を用いている。そのため、本実施形態では、トランスで降圧を行うものと比べ、電圧検出回路(10)の小型化を図ることが可能になる。
【0031】
本実施形態では、交流電圧を交流分圧回路(11)で分圧した後に整流し、それを更に、分割直流分圧回路(13)で分圧するように構成されている。このように、分圧を2段階にすることで、例えば、整流部(12)のコンデンサ(C1)の耐圧を比較的低く抑えることが可能になる。この点においても電圧検出回路(10)の小型化が可能になる。整流部(12)等の構成部品のコストダウンも可能になる。
【0032】
電圧検出回路(10)では、トランスを用いていないので、トランスで起こりうる、断線やレアショートといった故障を回避することが可能になる。
【0033】
電圧検出回路(10)では、交流分圧回路(11)から整流部(12)までの回路(以下、前段という)における時定数は、分圧抵抗(R1)、分圧抵抗(R3)、コンデンサ(C1)で定まる。電圧監視回路(1)では、直流分圧回路(13)からV/F変換回路(14)の入力端子(コンデンサ(C3)が接続されている端子)までの回路(以下、後段という)における時定数は、分圧抵抗(R1)、分圧抵抗(R3)、分圧抵抗(R5)、抵抗(R7)、及びコンデンサ(C3)で定まる。
【0034】
換言すると、電圧検出回路(10)では、前段の時定数の方が、後段の時定数よりも小さくなる。これにより、電圧検出回路(10)では、急激な電圧変化を確実に捕らえることが可能になる。
【0035】
《その他の実施形態》
なお、交流分圧回路(11)や直流分圧回路(13)の構成は例示である。例えば、それぞれの分圧抵抗は、複数の抵抗を直列接続して構成してもよい。直列接続する抵抗の数を適宜選択することで、入手しやすい仕様(例えば耐圧)の抵抗によって、回路を実現することが可能になる。電圧監視回路(1)以外の回路(例えば冷凍装置の制御装置)で用いられる抵抗と共通化を図ることも可能になる。
【0036】
直流分圧回路(13)は、必須ではない。換言すると、交流分圧回路(11)のみで十分に降圧できる場合には、直流分圧回路(13)の省略が可能である。
【0037】
電圧検出回路(10)よりも後段の回路構成は例示である。例えば、V/F変換回路(14)に代えて、A/D変換回路を用いてもよい(
図2を参照)。例えば、V/F変換回路(14)(或いはA/D変換回路)と判定部(30)とをフォトカプラを介して接続するなど、種々の変形が可能である。
【0038】
電圧監視回路(1)(電圧検出回路(10))を用いた冷凍装置の用途は、輸送用のコンテナには限定されない。例えば、居室や倉庫等の移動しない対象の空気調和にも利用できる。
【0039】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本開示は、電圧検出回路、電圧監視回路、冷凍装置、およびコンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 電圧監視回路
10 電圧検出回路
11 交流分圧回路
12 整流部
13 直流分圧回路
30 判定部
40 交流電源
R1〜R6 分圧抵抗