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特開2019-185966押しボタン装置、キーボード装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-185966(P2019-185966A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】押しボタン装置、キーボード装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20190927BHJP
   H01H 13/7065 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   H01H13/14 A
   H01H13/7065
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-73632(P2018-73632)
(22)【出願日】2018年4月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り レノボ コンパル フーチャセンター リミテッド(中国、安徽省、合肥市) 販売日 平成30年1月16日 レノボ新製品発表会(中国、北京、798芸術区) 展示日 平成30年1月19日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】堀内 光雄
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS17J
5G206AS17Z
5G206AS55J
5G206AS55Z
5G206CS04J
5G206FS32J
5G206FU03
5G206GS05
5G206HS16
5G206HW05
5G206KS14
5G206KS56
(57)【要約】
【課題】ガイド機構の動作を安定させ、製品品質を高めることができる押しボタン装置、該押しボタン装置を備えるキーボード装置及び該キーボード装置を備える電子機器を提供する。
【解決手段】押しボタン装置であるキースイッチ14は、押しボタンであるキーキャップ30と、ベースプレート34と、ガイド機構32とを備える。ガイド機構32は、外枠部材46と、内側部材48とを有する。外枠部材46は、内側部材48が配設される内側の開口部46aを挟んで対向する一対の内側面46d,46dのそれぞれに第1嵌合部となる軸受穴56が設けられ、内側部材48は、外枠部材46の一対の内側面46d,46dに対面配置される一対の外側面48d,48dのそれぞれに第2嵌合部となる回転シャフト58が設けられ、回転シャフト58の外周面には、軸受穴56への挿入方向に向かって外径が収縮したテーパ部58aが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタン装置であって、
ベース部と、該ベース部の上面に設けられたガイド機構と、該ガイド機構によって上下動可能にガイドされる押しボタンと、を備え、
前記ガイド機構は、一端部が前記ベース部に対して回転可能に支持され、他端部が前記押しボタンに対して回転可能に支持された外枠部材と、
前記外枠部材の内側で該外枠部材に対して筋交い状に連結され、一端部が前記押しボタンに対して回転可能に支持され、他端部が前記ベース部に対して回転可能に支持された内側部材と、を有し、
前記外枠部材は、前記内側部材が配設される内側の開口部を挟んで対向する一対の内側面のそれぞれに、軸受穴及び回転シャフトの一方である第1嵌合部が設けられ、
前記内側部材は、前記外枠部材の前記一対の内側面に対面配置される一対の外側面のそれぞれに、前記第1嵌合部に回転可能に嵌合される軸受穴及び回転シャフトの他方である第2嵌合部が設けられ、
前記回転シャフトの外周面には、前記軸受穴への挿入方向に向かって外径が収縮したテーパ部が設けられていることを特徴とする押しボタン装置。
【請求項2】
請求項1に記載の押しボタン装置であって、
前記回転シャフトは、根本部分に前記テーパ部が設けられ、先端部分に円柱状の軸部が設けられており、
前記回転シャフトは、前記軸部が前記軸受穴に挿入され、前記テーパ部の一部が前記軸受穴に挿入されていることを特徴とする押しボタン装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の押しボタン装置であって、
前記回転シャフトは、前記テーパ部の外周面が前記軸受穴の開口縁部に対して当接していることを特徴とする押しボタン装置。
【請求項4】
請求項3に記載の押しボタン装置であって、
前記内側部材は、内側に開口部を設けた枠状部材であることを特徴とする押しボタン装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の押しボタン装置を複数備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項6】
請求項5に記載のキーボード装置であって、
隣接する前記押しボタン間を区画するフレームを備えることを特徴とするキーボード装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のキーボード装置が装着された筐体と、
前記キーボード装置の各押しボタン装置に対する入力操作に応じた表示を行うディスプレイを有し、前記筐体に対して回動可能に連結されたディスプレイ筐体と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン装置、該押しボタン装置を備えるキーボード装置及び該キーボード装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の電子機器に用いられるキーボード装置は、押しボタン装置(キースイッチ)を複数並べた構成である。キーボード装置は、ベースプレート上でキーキャップを上下動可能に配設した構成が一般的である。この種のキーボード装置では、ベースプレートとキーキャップとの間にパンタグラフ構造のガイド機構を設け、キーキャップの上下動をガイドする構成がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−141868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなパンタグラフ型のガイド機構は、外枠部材と、その内側に筋交い状に連結された内枠部材とを備える。このため、外枠部材と内枠部材との間を連結する回転シャフト及び軸受穴は、互いにある程度のがたつきを持って連結されていないとガイド機構が円滑に上下動せず、逆にがたつきが大き過ぎるとキーキャップの動作が不安定となって製品品質を低下させると共に、騒音等の原因となる。特に、上記特許文献1のように、各キーキャップ同士をフレームで区画したアイソレーション型のキーボード装置の場合、キーキャップのがたつきが大きいとキーキャップがフレームと干渉し、正常な動作が行われなくなる懸念もある。そして、このようなガイド機構のがたつきによる問題は、キーボード装置以外の押しボタン装置でも同様に起こり得る。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ガイド機構の動作を安定させ、製品品質を高めることができる押しボタン装置、該押しボタン装置を備えるキーボード装置及び該キーボード装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る押しボタン装置は、ベース部と、該ベース部の上面に設けられたガイド機構と、該ガイド機構によって上下動可能にガイドされる押しボタンと、を備え、前記ガイド機構は、一端部が前記ベース部に対して回転可能に支持され、他端部が前記押しボタンに対して回転可能に支持された外枠部材と、前記外枠部材の内側で該外枠部材に対して筋交い状に連結され、一端部が前記押しボタンに対して回転可能に支持され、他端部が前記ベース部に対して回転可能に支持された内側部材と、を有し、前記外枠部材は、前記内側部材が配設される内側の開口部を挟んで対向する一対の内側面のそれぞれに、軸受穴及び回転シャフトの一方である第1嵌合部が設けられ、前記内側部材は、前記外枠部材の前記一対の内側面に対面配置される一対の外側面のそれぞれに、前記第1嵌合部に回転可能に嵌合される軸受穴及び回転シャフトの他方である第2嵌合部が設けられ、前記回転シャフトの外周面には、前記軸受穴への挿入方向に向かって外径が収縮したテーパ部が設けられている。
【0007】
このような構成によれば、ガイド機構を構成する外枠部材と内側部材とは、各回転シャフトのテーパ部が各軸受穴に食い込んだ状態で互いに回転可能に連結される。このため、回転シャフトと軸受穴との間のがたつきが、テーパ部によって前後左右上下方向で吸収され、最小限となる。その結果、ガイド機構の上下動作が安定し、騒音も抑制できるため、当該押しボタン装置の製品品質が向上する。
【0008】
前記回転シャフトは、根本部分に前記テーパ部が設けられ、先端部分に円柱状の軸部が設けられており、前記回転シャフトは、前記軸部が前記軸受穴に挿入され、前記テーパ部の一部が前記軸受穴に挿入された構成としてもよい。そうすると、仮に外枠部材や内側部材の撓み等によってテーパ部が軸受穴から脱落した場合であっても、先端側の軸部が抜け止めとして機能し、円滑な上下動が維持される。
【0009】
前記回転シャフトは、前記テーパ部の外周面が前記前記軸受穴の開口縁部に対して当接した構成としてもよい。そうすると、外枠部材と内側部材との間のがたつきを一層抑制できる。
【0010】
前記内側部材は、内側に開口部を設けた枠状部材で構成してもよい。そうすると、外枠部材と共に内側部材も弾性変形可能となるため、テーパ部を軸受穴の開口縁部により適正に干渉させた状態で外枠部材と内側部材とを連結できる。その結果、ガイド機構は、外枠部材と内側部材との間のがたつきを一層抑制できると共に、製造公差や製造誤差をより確実に吸収できる。
【0011】
本発明の第2態様に係るキーボード装置は、上記構成の押しボタン装置を複数備える。
【0012】
隣接する前記押しボタン間を区画するフレームを備える構成としてもよい。そうすると、フレームを備えたキーボード装置であっても、上記のガイド機構によって各押しボタン装置(キースイッチ)のがたつきが抑制されることにより、各押しボタンのフレームへの干渉が防止され、キーボード装置の動作不良を抑制できる。しかも、押しボタン装置は、がたつきが抑制されるため、各押しボタンとフレームとの間の隙間を最小限に設定でき、その製品品質が一層向上する。
【0013】
本発明の第3態様に係る電子機器は、上記構成のキーボード装置が装着された筐体と、前記キーボード装置の各押しボタン装置に対する入力操作に応じた表示を行うディスプレイを有し、前記筐体に対して回動可能に連結されたディスプレイ筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、ガイド機構の動作を安定させ、製品品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るキーボード装置を備える電子機器の斜視図である。
図2図2は、キーボード装置の構成を模式的に示す一部断面側面図である。
図3図3は、ガイド機構の構成を模式的に示す平面図である。
図4図4は、回転シャフトと軸受穴との連結構造を模式的に示す要部拡大分解斜視図である。
図5図5は、回転シャフトと軸受穴との連結状態を模式的に示す要部拡大平面断面図である。
図6図6は、変形例に係る回転シャフトと軸受穴との連結状態を模式的に示す要部拡大平面断面図である。
図7図7は、変形例に係る軸受穴と回転シャフトとの連結状態を模式的に示す要部拡大平面断面図である。
図8図8は、別の変形例に係る軸受穴と回転シャフトとの連結状態を模式的に示す要部拡大平面断面図である。
図9図9は、外枠部材に回転シャフトを設け、内側部材に軸受穴を設けたガイド機構の構成を模式的に示す要部拡大平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る押しボタン装置について、この装置を備えたキーボード装置及び電子機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るキーボード装置10を備える電子機器12の斜視図である。以下では、キーボード装置10及びこれを構成する各キースイッチ(押しボタン装置)14について、図1に示す電子機器12に搭載した状態での使用形態を基準とし、手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0018】
図1に示すように、電子機器12は、キーボード装置10を有する本体筐体16と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置20aを有するディスプレイ筐体20とを備えたノート型PCである。ディスプレイ筐体20は、左右一対のヒンジ22,22により本体筐体16に対して開閉可能に連結されている。
【0019】
本体筐体16の内部には、図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置、メモリ等の各種電子部品が収納されている。本体筐体16の上面には、後から前に向かって順に、キーボード装置10、クリックボタン23,24,25、クリックパッド26が並んでいる。キーボード装置10の略中央にはポインティングスティック27が設けられている。
【0020】
キーボード装置10は、複数のキースイッチ14を有し、各キースイッチ14の周囲がフレーム28で仕切られたアイソレーション型である。フレーム28には、各キースイッチ14のキーキャップ(押しボタン)30が上下動可能に挿入される複数の孔部28aが設けられている。本実施形態の場合、キーキャップ30及び孔部28aは、平面視略矩形状に形成されている。クリックパッド26及びポインティングスティック27は、ディスプレイ装置20aに表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するためのものであり、マウスの代わりとして操作可能な入力手段である。クリックパッド26は、押下操作も可能なボタン構造も有し、例えば押下操作時のタッチ領域に応じた信号を出力可能である。クリックボタン23〜25は、クリックパッド26又はポインティングスティック27によるカーソル操作と連係して機能する。例えばクリックボタン23〜25は、それぞれ一般的なマウスでの左ボタン、中央ボタン、右ボタンに対応する。
【0021】
次に、本実施形態に係るキーボード装置10の具体的な構成について説明する。図2は、キーボード装置10の構成を模式的に示す一部断面側面図であり、所定のキースイッチ14及びその周辺部を拡大した図である。
【0022】
図2に示すように、キーボード装置10は、キーキャップ30をガイド機構32で上下動可能に支持したキースイッチ14と、ベースプレート(ベース部)34と、メンブレンシート36と、バックライトシート38とを備える。
【0023】
ベースプレート34は、各キースイッチ14の取付板である。ベースプレート34は、例えば板厚0.3mmのステンレス板やアルミニウム板等、金属製の板状部材に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものである。ベースプレート34の上面34aには、ガイド機構32を取り付けるための係止片40,42がそれぞれ左右一対で前後に設けられている。前側の係止片40は前方を向いたフック形状であり、後側の係止片42は後方を向いたフック形状である。フレーム28は、メンブレンシート36の各所に形成された貫通孔を利用した係合構造やねじ構造により、ベースプレート34の上面34aと固定される。
【0024】
メンブレンシート36は、ベースプレート34の上面34aに積層されている。メンブレンシート36は、例えば押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートであり、固定接点及び可動接点が重なる位置が押圧された場合に固定接点と可動接点とが密着し、これにより接点を閉じる。メンブレンシート36は、接点が閉じた際に各キースイッチ14に応じた信号を出力し、その結果、ディスプレイ装置20aに所定の文字や画像、映像等が表示される。メンブレンシート36は、ベースプレート34の下面34b側に積層されてもよい。
【0025】
メンブレンシート36とキーキャップ30との間には、ラバードーム44が配設されている。ラバードーム44は、例えばシリコーンゴム等の可撓性を有する弾性材料で形成されたドーム形状部材である。ラバードーム44は、キーキャップ30が押下された場合にメンブレンシート36を押圧し、キーキャップ30の押下操作が解除された際にキーキャップ30を元の位置に復帰させる。
【0026】
バックライトシート38は、ベースプレート34の下面34bに積層されている。バックライトシート38は、例えばPETやポリカーボネート、アクリル等の透光性を有する樹脂製の光ガイドプレート等を含み、その左右中央或いは左右端部にLED素子等の光源を有する。バックライトシート38は、光源から発せられた光を左右方向に導き、光反射面で反射して各キーキャップ30を裏面から照射する。バックライトシート38に代えて、ゴム製や樹脂製の防水シートを設けてもよい。
【0027】
図3は、ガイド機構32の構成を模式的に示す平面図である。
【0028】
図2及び図3に示すように、ガイド機構32は、キーキャップ30を上下動可能に支持するパンタグラフ構造(はさみ構造)を有し、ベースプレート34とキーキャップ30との間に折り畳み可能に取り付けられている。ガイド機構32は、外枠部材46と内側部材(内枠部材)48とを筋交い状に連結したものである。
【0029】
外枠部材46は、内側の開口部46aに内側部材48が配設される枠状部材であり、外形及び内形が平面視略矩形状に形成されている。外枠部材46は、前端側に設けられた左右一対の支持軸46b,46bと、後端側に設けられた左右一対の支持軸46c,46cとを有する。キーキャップ30の下面側には、前端側に左右一対の係止部50,50が設けられ、後端側に左右一対の軸受部52,52が設けられている。外枠部材46は、例えば前側(他端部)の各支持軸46bがキーキャップ30の各係止部50に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能に支持され、後側(一端部)の各支持軸46c,46cがベースプレート34の各係止片42に回転可能に且つ前後方向に移動不能に支持される。図2に示すように、ベースプレート34は、係止片42の後方で起立したストッパ片54を有し、支持軸46cは係止片42とストッパ片54との間で保持されている。外枠部材46は、支持軸46bが係止部50に対して回転可能に且つ前後方向に移動不能に支持され、支持軸46cが係止片42に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能に支持されてもよい。
【0030】
内側部材48は、内側にラバードーム44が挿入される開口部48aが形成された枠状部材であって、外形が平面視略矩形状、内形が平面視略円形状に形成されている。内側部材48は、前端側に設けられた左右一対の支持軸48b,48bと、後端側に設けられた左右一対の支持軸48c,48cとを有する。内側部材48は、例えば前側(他端部)の各支持軸48bがベースプレート34の各係止片40に回転可能に且つ前後方向に移動可能に支持され、後側(一端部)の各支持軸48c,48cがキーキャップ30の各軸受部52に対して回転可能に且つ前後方向に移動不能に支持される。内側部材48は、支持軸48bが係止片40に対して回転可能に且つ前後方向に移動不能に支持され、支持軸48cが軸受部52に対して回転可能に且つ前後方向に移動可能に支持されてもよい。
【0031】
外枠部材46及び内側部材48は、前後方向略中央で互いに回転可能に連結されている。外枠部材46は、開口部46aを挟んで対向する左右一対の内側面46d,46dのそれぞれに軸受穴56を有する。各軸受穴56は、開口部46aに臨んで開口した断面円形状の穴であり、開口部46a及びここに配設される内側部材48を挟んで互いに対向している。本実施形態の場合、軸受穴56は貫通孔ではないが(図3参照)、軸受穴56は開口部46aから外枠部材46の枠外側へと貫通した貫通孔でもよい。内側部材48は、外枠部材46の一対の内側面46d,46dに対面配置される一対の外側面48d,48dのそれぞれに回転シャフト58を有する。各回転シャフト58は、各外側面48dから外側(枠外側)に向かって突出しており、外枠部材46の各軸受穴56にそれぞれ挿入されている。
【0032】
図4は、回転シャフト58と軸受穴56との連結構造を模式的に示す要部拡大分解斜視図である。図5は、回転シャフト58と軸受穴56との連結状態を模式的に示す要部拡大平面断面図である。図4及び図5では、図3中で右側の回転シャフト58及び軸受穴56を代表的に図示しているが、図3中で左側の回転シャフト58及び軸受穴56は右側のものと左右対称構造であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
図4及び図5に示すように、回転シャフト58は、テーパ部58aと、軸部58bとを有する。テーパ部58aは、外側面48dと回転シャフト58との根元部分に設けられ、軸受穴56への挿入方向に向かって外径が収縮した先細りの環状傾斜面である。軸部58bは、回転シャフト58の先端部分に設けられ、円柱状を成している。
【0034】
図5に示すように、テーパ部58aは、基端の外径D1が軸受穴56の内径D0よりも大きく、先端の外径D2が軸受穴56の内径D0よりも小さい。なお、軸部58bは、テーパ部58aの先端の外径D2と同一の外径に設定されている。これにより、回転シャフト58は、先端側の軸部58bの全長が軸受穴56に挿入され、テーパ部58aの一部が軸受穴56に挿入される。
【0035】
従って、本実施形態のガイド機構32は、テーパ部58aの外周面が軸受穴56の開口縁部56aに対して摺動可能に当接した状態で、内側部材48と外枠部材46とが回転可能に連結される(図3及び図5参照)。つまりガイド機構32は、回転シャフト58にテーパ部58aを有するため、内側部材48と外枠部材46とは、左右の回転シャフト58のテーパ部58aの一部がそれぞれ左右の軸受穴56に食い込んだ状態で互いに回転可能に連結される。このため、回転シャフト58と軸受穴56との間のがたつきが、テーパ部58aによって前後左右上下方向で吸収され、最小限となる。その結果、内側部材48と外枠部材46との間の前後左右上下方向のがたつきを可及的に抑制することができ、ガイド機構32の上下動作が安定し、騒音も抑制できるため、キースイッチ14(キーボード装置10)の製品品質が向上する。
【0036】
この際、回転シャフト58は、テーパ部58aの先端(及び軸部58b)が軸受穴56に対してある程度のがたつき(寸法公差)を持って挿入され、テーパ部58aの外周面と開口縁部56aとの干渉は線接触となる。このため、内側部材48と外枠部材46との間の回転動作は円滑であり、ガイド機構32の上下動作が損なわれることもない。本実施形態の場合、回転シャフト58及び軸受穴56は、例えばポリアセタール(POM)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような自己潤滑性を持った材料で形成されている。このため、ガイド機構32の動作が一層安定なものとなり、また回転シャフト58や軸受穴56の摩耗も少ない。
【0037】
当該キーボード装置10は、各キーキャップ30間を仕切るフレーム28を備える。このため、当該ガイド機構32によって各キーキャップ30のがたつきが抑制されることにより、各キーキャップ30のフレーム28への干渉が防止され、キーボード装置10の動作不良を一層抑制できる。しかも、キーキャップ30は、がたつきが抑制されるため、キーキャップ30とフレーム28の孔部28aとの間の隙間を最小限に設定できる。その結果、キーボード装置10は、その製品品質が一層向上する。
【0038】
本実施形態の場合、外枠部材46だけでなく、その内側に配設される内側部材である内側部材48についても開口部48aを設けた枠状部材としている。このため、テーパ部58aが軸受穴56の開口縁部56aに干渉した状態では、互いの押圧力によって外枠部材46が外側に膨らむように微小な弾性変形を生じると同時に、内側部材48が内側に凹むような微小な弾性変形を生じる。その結果、ガイド機構32は、内側部材48と外枠部材46との間のがたつきを一層抑制できると共に、製造公差や製造誤差をより確実に吸収できるため、上下動作が一層安定する。なお、内側部材48は、開口部46aを持たない平板状の部材で構成されてもよい。
【0039】
当該キースイッチ14の回転シャフト58は、テーパ部58aの先端側に軸部58bを設けている。このため、仮に内側面46d,46d間が離間する方向に外枠部材46が膨らんだ場合や、外側面48d,48d間が近接する方向に内側部材48が撓んだ場合に、テーパ部58aが軸受穴56から脱落した場合であっても、軸部58bが軸受穴56からの抜け止めとなる。勿論、ガイド機構32の用途や形状、材質等によっては、テーパ部58aの軸受穴56からの脱落を考慮する必要がない場合もある。そこで、このような仕様では、図6に示すように軸部58bを省略し、テーパ部58aのみで構成した回転シャフト60を用いてもよい。回転シャフト60の形状は、図6に示すような円錐台形状であってもよいし、先端が尖った円錐形状であってもよい。
【0040】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0041】
上記実施形態では、回転シャフト58(60)のテーパ部58aに当接する軸受穴56の開口縁部56aが直角形状に形成された構成を例示したが(図5参照)、開口縁部56aは、面取り形状62(図7参照)やR形状64(図8参照)で構成されてもよい。
【0042】
上記実施形態では、ガイド機構32は、内側部材48に回転シャフト58(60)を設け、外枠部材46に軸受穴56を設けた構成を例示したが、図9に示すように、ガイド機構32は、内側部材48に軸受穴56を設け、外枠部材46に回転シャフト58(60)を設けた構成としてもよい。つまりガイド機構32は、外枠部材46に設けた軸受穴又は回転シャフトの一方である第1嵌合部と、内側部材48に設けた軸受穴又は回転シャフトの他方である第2嵌合部とを回転可能に嵌合する構成において、回転シャフトにテーパ部58aを設けている。
【0043】
上記実施形態では、回転シャフト58(60)にテーパ部58aを設けたガイド機構32をキースイッチ14に適用した構成を例示したが、ガイド機構32は、キースイッチ14以外の押しボタン装置に適用してもよい。例えば当該電子機器12の場合、ガイド機構32は、クリックボタン23〜25やクリックパッド26に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 キーボード装置
12 電子機器
14 キースイッチ
28 フレーム
30 キーキャップ
32 ガイド機構
34 ベースプレート
36 メンブレンシート
46 外枠部材
46a,48a 開口部
46d 内側面
48 内側部材
48d 外側面
56 軸受穴
56a 開口縁部
58,60 回転シャフト
58a テーパ部
58b 軸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9