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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-186242(P2019-186242A)
(43)【公開日】2019年10月24日
(54)【発明の名称】窒化物半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20190927BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20190927BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20190927BHJP
【FI】
   H01L29/91 C
   H01L29/91 A
   H01L29/91 F
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 652C
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 652P
   H01L29/06 301G
   H01L29/06 301V
   H01L29/91 D
   H01L29/78 658A
   H01L21/265 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-70733(P2018-70733)
(22)【出願日】2018年4月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高島 信也
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
(72)【発明者】
【氏名】福島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】寺西 秀明
(57)【要約】
【課題】イオン注入によりP型領域が設けられた窒化物半導体装置を提供する。
【解決手段】エピタキシャル層と、エピタキシャル層上において、深さ方向に100nm以上連続して設けられ、1×1017cm−3以上であるP型のドーピング濃度を有するイオン注入層とを備え、イオン注入層は、エピタキシャル層とイオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域を有する窒化物半導体装置を提供する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層上において、深さ方向に100nm以上連続して設けられ、1×1017cm−3以上であるP型のドーピング濃度を有するイオン注入層と
を備え、
前記イオン注入層は、前記エピタキシャル層と前記イオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域を有する
窒化物半導体装置。
【請求項2】
前記イオン注入層は、1×1018cm−3以上であるP型のドーピング濃度を有する
請求項1に記載の窒化物半導体装置。
【請求項3】
前記イオン注入層は、前記エピタキシャル層と前記イオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1015cm−3以下である領域を有する
請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
【請求項4】
前記イオン注入層は、深さ方向にP型のドーパントのドーピング濃度が均一な領域を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項5】
前記エピタキシャル層がN型を有し、
前記エピタキシャル層をN型領域とし、前記イオン注入層をP型領域とするPN接合を備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項6】
前記PN接合の耐圧が600V以上である
請求項5に記載の窒化物半導体装置。
【請求項7】
前記イオン注入層をダイオードのP型領域とするPNダイオードである
請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項8】
前記イオン注入層をP型のウェル領域とする縦型GaNMOSFETである
請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項9】
前記イオン注入層を周辺耐圧構造のP型領域とした縦型GaNパワーデバイスである
請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
【請求項10】
エピタキシャル層を形成する段階と、
前記エピタキシャル層上において、深さ方向に100nm以上連続して設けられ、1×1017cm−3以上のドーピング濃度を有するP型のイオン注入層を形成する段階と、
を備え、
前記イオン注入層は、前記エピタキシャル層と前記イオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域を有する
窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記イオン注入層を形成する段階は、V族元素をイオン注入する段階を含む
請求項10に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記イオン注入層を形成する段階は、
P型ドーパントを多段でイオン注入する段階と、
V族元素を多段でイオン注入する段階と
を含む
請求項10又は11に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記イオン注入層を形成する段階は、Mg、Ca、ZnおよびBeの少なくとも1つをイオン注入する段階を含む
請求項10から12のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン注入によりP型領域が設けられた窒化物半導体装置が知られている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。
特許文献1 特開2003−124515号公報
非特許文献1 Takuya Oikawa, Yusuke Saijo, Shigeki Kato, Tomoyoshi Mishima, and Tohru Nakamura, "Formation of definite GaN p−n junction by Mg−ion implantation to n−−GaN epitaxial layers grown on a high−quality free−standing GaN substrate," Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms, 15 December 2015, Volume 365, Part A, Pages 168−170.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
窒化物半導体装置では、イオン注入により形成されたP型領域の結晶欠陥密度を低減することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、エピタキシャル層と、エピタキシャル層上において、深さ方向に100nm以上連続して設けられ、1×1017cm−3以上であるP型のドーピング濃度を有するイオン注入層とを備え、イオン注入層は、エピタキシャル層とイオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域を有する窒化物半導体装置を提供する。
【0005】
イオン注入層は、1×1018cm−3以上であるP型のドーピング濃度を有してよい。
【0006】
イオン注入層は、エピタキシャル層とイオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1015cm−3以下である領域を有してよい。
【0007】
イオン注入層は、深さ方向にP型のドーパントのドーピング濃度が均一な領域を有してよい。
【0008】
エピタキシャル層がN型を有してよい。窒化物半導体装置は、エピタキシャル層をN型領域とし、イオン注入層をP型領域とするPN接合を備えてよい。
【0009】
PN接合の耐圧が600V以上であってよい。
【0010】
窒化物半導体装置は、イオン注入層をダイオードのP型領域とするPNダイオードであってよい。
【0011】
窒化物半導体装置は、イオン注入層をP型のウェル領域とする縦型GaNMOSFETであってよい。
【0012】
窒化物半導体装置は、イオン注入層を周辺耐圧構造のP型領域とした縦型GaNパワーデバイスであってよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、エピタキシャル層を形成する段階と、エピタキシャル層上において、深さ方向に100nm以上連続して設けられ、1×1017cm−3以上のドーピング濃度を有するP型のイオン注入層を形成する段階と、を備え、イオン注入層は、エピタキシャル層とイオン注入層との界面から上面側に100nm以内の範囲に結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域を有する窒化物半導体装置の製造方法を提供する。
【0014】
イオン注入層を形成する段階は、V族元素をイオン注入する段階を含んでよい。
【0015】
イオン注入層を形成する段階は、P型ドーパントを多段でイオン注入する段階と、
V族元素を多段でイオン注入する段階とを含んでよい。
【0016】
イオン注入層を形成する段階は、Mg、Ca、ZnおよびBeの少なくとも1つをイオン注入する段階を含んでよい。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。
図2】実施例1に係る窒化物半導体装置100の製造方法の一例を示す。
図3】比較例に係る窒化物半導体装置500のPN接合リークの一例を示す。
図4図1に係る窒化物半導体装置100のPN接合リークの一例を示す。
図5A】実施例に係る窒化物半導体装置100のHAADF像の一例を示す。
図5B】実施例に係る窒化物半導体装置100のABF像の一例を示す。
図6】比較例に係るイオン注入層530の結晶欠陥密度を示す断面TEM画像の一例である。
図7】イオン注入層30の結晶欠陥密度を示す断面TEM画像の一例である。
図8】イオン注入層30におけるMgのSIMS分析結果を示す。
図9】実施例2に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。
図10A】実施例3に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。
図10B】実施例3に係る窒化物半導体装置100の他の例である。
図11A】実施例4に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。
図11B】実施例4に係る窒化物半導体装置100の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」、「おもて」、「裏」の方向は重力方向、または、半導体装置の実装時における基板等への取り付け方向に限定されない。
【0021】
本明細書では、NまたはPを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、NやPに付す+および−は、それぞれ、それが付されていない層や領域よりも高ドーピング濃度および低ドーピング濃度であることを意味する。
【0022】
図1は、実施例1に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。本例の窒化物半導体装置100は、縦型のPNダイオード構造を有する。窒化物半導体装置100は、基板10と、エピタキシャル層20と、イオン注入層30と、絶縁層40と、下面側電極50と、上面側電極52とを備える。
【0023】
基板10は、N+型の自立型のGaN基板である。基板10は、HVPE等の気相成長法や、液相成長法等の任意の方法を用いて用意されてよい。基板10は、エピタキシャル成長されたGaN層を切り出したものであってもよい。
【0024】
エピタキシャル層20は、基板10上にエピタキシャル成長されることにより設けられる。例えば、エピタキシャル層20は、GaN等の基板10上にエピタキシャル成長可能な材料である。エピタキシャル層20は、N型であっても、I型であってもよい。I型とは、ドーパントが注入されていない真正半導体を指す。本例のエピタキシャル層20は、N型である。例えば、エピタキシャル層20のドーピング濃度は、1.5×1016cm−3である。エピタキシャル層20の厚みは、特に限定されないが、一例として10μmである。
【0025】
イオン注入層30は、エピタキシャル層20上に設けられる。イオン注入層30は、エピタキシャル層20にドーパントをイオン注入することにより設けられる。本例のイオン注入層30の導電型は、P型である。例えば、P型ドーパントは、Mg、Ca、ZnおよびBeの少なくとも1つである。本例のエピタキシャル層20およびイオン注入層30は、エピタキシャル層20をN型領域とし、イオン注入層30をP型領域とするPN接合となる。
【0026】
本例のイオン注入層30は、エピタキシャル層20において、選択的に設けられる。選択的に設けられるとは、エピタキシャル層20の上面の全面に設けられず、上面の一部に設けられることを指す。例えば、P型ドーパントは、予め定められたパターンのマスクを用いて、エピタキシャル層20上にイオン注入される。
【0027】
イオン注入層30は、深さ方向に100nm以上連続して設けられる。即ち、イオン注入層30の厚みが100nm以上となる。一方、イオン注入層30の横方向の大きさは、イオン注入層30が選択的に設けられるのであれば、特に限定されない。横方向とは、基板10の主平面と平行な方向を指す。イオン注入層30を選択的に設けることにより、パターンに制限されることなく、窒化物半導体装置100のP型領域に適用できる。
【0028】
本例のイオン注入層30は、P型ドーパントおよびV族元素の両方をドーパントとしてイオン注入し、アニールすることにより設けられる。例えば、V族元素は、窒素、リンおよびヒ素の少なくとも1つである。本例のイオン注入層30の結晶欠陥密度は、P型ドーパントに加えて、V族元素のドーパントをイオン注入することにより低減される。また、イオン注入層30のP型特性が向上する。
【0029】
イオン注入層30におけるP型ドーパントのドーピング濃度は、1×1019cm−3以下であってよい。イオン注入層30におけるP型ドーパントのドーピング濃度は、1×1016cm−3以上であってよく、1×1017cm−3以上であってよく、1×1018cm−3以上であってよい。
【0030】
イオン注入層30におけるV族元素のドーピング濃度は、イオン注入層30におけるP型ドーパントのドーピング濃度と同じであってよい。また、イオン注入層30におけるV族元素のドーピング濃度は、イオン注入層30におけるP型ドーパントのドーピング濃度よりも大きくてよい。例えば、イオン注入層30におけるV族元素のドーピング濃度は、イオン注入層30におけるP型ドーパントのドーピング濃度の1.1倍であってよく、1.5倍であってよく、2倍であってよく、3倍であってよい。イオン注入層30におけるV族元素のドーピング濃度を適切に設定することにより、イオン注入層30の結晶欠陥密度を低減しつつ、P型特性を向上させることができる。なお、V族元素のドーピング濃度が小さすぎると、V族元素をイオン注入する効果が得られない場合があり、V族元素のドーピング濃度が大きすぎると電気的特性が悪化する場合がある。
【0031】
イオン注入層30の結晶欠陥密度は、1×1016cm−3以下であってよく、1×1015cm−3以下であってよい。イオン注入層30の結晶欠陥密度を低減することにより、PN接合のリーク電流が低減され、PN接合耐圧が向上する。窒化物半導体装置100のPN接合の耐圧は、600V以上であってよく、800V以上であってよく、1000V以上であってよい。
【0032】
このように、イオン注入層30の結晶欠陥が少ない領域は、エピタキシャル層20とイオン注入層30との界面近傍にも設けられる。例えば、界面近傍とは、エピタキシャル層20とイオン注入層30との界面から上面側に50nm以内の範囲であってよく、100nm以内の範囲であってよく、150nm以内の範囲であってよく、200nmの範囲であってよい。また、結晶欠陥が少ない領域とは、結晶欠陥が1×1016cm−3以下である領域であってよく、1×1015cm−3以下である領域であってよい。
【0033】
絶縁層40は、エピタキシャル層20の上面に設けられる。絶縁層40は、エピタキシャル層20の上方に設けられた上面側電極52とエピタキシャル層20との電気的な短絡を防止する。絶縁層40は、イオン注入層30の上方に開口を有する。例えば、絶縁層40は、SiO膜等の酸化膜である。
【0034】
上面側電極52は、エピタキシャル層20の上方に設けられる。上面側電極52は、絶縁層40の上面に設けられる。上面側電極52は、絶縁層40の開口を通じて、イオン注入層30の上面と接続されている。上面側電極52は、イオン注入層30と電気的に接続されてよい。例えば、上面側電極52は、Ni/Au電極である。本例の上面側電極52は、PNダイオードのアノード電極として機能する。
【0035】
下面側電極50は、基板10の下面に設けられる。本例の下面側電極50は、基板10の下面の全面に設けられる。例えば、下面側電極50は、Ti/Al電極である。本例の下面側電極50は、PNダイオードのカソード電極として機能する。
【0036】
本例の窒化物半導体装置100は、P型のイオン注入層30を選択的に形成することができる。これにより、イオン注入層30は、MOSFETなどのデバイス活性領域や、耐圧維持のための周辺領域を形成するために用いることができる。一方、このようなP型選択領域をエピ成長で形成することは難しい。本例では、優れた特性のPN接合をイオン注入で選択的に形成することができる。
【0037】
また、窒化物半導体装置100は、V族元素をイオン注入することにより、イオン注入層30のホール伝導性を向上することができる。これにより、窒化物半導体装置100のスイッチングデバイスとしての動的性能が向上する。
【0038】
図2は、実施例1に係る窒化物半導体装置100の製造方法の一例を示す。本例では、窒化物半導体装置100の製造方法の一例を示しており、これに限定されない。
【0039】
基板10上にエピタキシャル層20を形成する(S100)。本例のエピタキシャル層20は、MOCVD法等の任意の方法を用いて基板10上にエピタキシャル成長される。本例のエピタキシャル層20は、膜厚10μm、ドーピング濃度1.5×1016cm−3のN型のGaN層である。但し、エピタキシャル層20の膜厚やドーピング濃度は本例に限られない。
【0040】
エピタキシャル層20上には、マスク110が形成される(S102)。マスク110は、エピタキシャル層20へのイオン注入を制限する。マスク110は、イオン注入層30を形成する領域に対応したパターンを有する。マスク110を用いることにより、イオン注入層30を形成する領域にP型ドーパントを選択的に注入する(S104)。P型ドーパントをイオン注入する段階は、多段でイオン注入する段階を含んでよい。多段でイオン注入することにより、深さごとにイオン注入層30のドーピング濃度を調整しやすくなる。本明細書において、多段とは、加速電圧等の注入条件を変えてドーパントをイオン注入することを指す。
【0041】
多段でイオン注入する場合、P型ドーパントをイオン注入するための加速電圧をそれぞれ変更してもよい。イオン注入の加速電圧を大きくすることにより、P型ドーパントを深く注入することができる。また、ドーズ量は、イオン注入層30のドーピング濃度が深さ方向に均一となるように設定されてよい。例えば、Mgを5段でイオン注入する場合、加速電圧およびドーズ量を(240keV、2.60×1013cm−2)、(120keV、7.50×1012cm−2)、(60keV、4.00×1012cm−2)、(25keV、1.60×1012cm−2)、(10keV、4.50×1013cm−2)とする。
【0042】
マスク110を用いて、イオン注入層30を形成する領域にV族元素をドーパントとしてイオン注入する(S106)。例えば、V族元素は、窒素、リンおよびヒ素の少なくとも1つである。V族元素をイオン注入する段階は、多段でイオン注入する段階を含んでよい。V族元素を多段でイオン注入することにより、P型ドーパントのドーピング濃度のプロファイルに応じて、深さ方向のV族元素のドーピング濃度を調整することができる。V族元素のイオン注入の段数は、P型ドーパントのイオン注入の段数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
多段でイオン注入する場合、V族元素をイオン注入するための加速電圧をそれぞれ変更してもよい。イオン注入の加速電圧を大きくすることにより、V族元素を深く注入することができる。例えば、窒素を6段でイオン注入する場合、深い側から、(180keV、5.50E×1013cm−2)、(110keV、2.10×1013cm−2)、(70keV、1.10×1013cm−2)、(50keV、9.00×1012cm−2)、(30keV、7.00×1012cm−2)、(15keV、4.00×1012cm−2)でイオン注入する。
【0044】
窒素のドーピング濃度は、Mgのドーピング濃度と同程度であることが好ましい。特に、エピタキシャル層20とイオン注入層30との界面の近傍においても窒素とMgのドーピング濃度が同程度であることが好ましい。なお、P型ドーパントをイオン注入する段階(S104)と、窒素をイオン注入する段階(S106)との順番は、入れ替えられてもよい。即ち、V族元素をイオン注入した後に、P型ドーパントをイオン注入してよい。
【0045】
次に、マスク110を除去して、エピタキシャル層20上に保護膜120を形成する。そして、窒化物半導体装置100をアニールする(S108)。本例の保護膜120は、AlN等の窒化膜である。窒化物半導体装置100は、結晶欠陥が予め定められた密度以下に低減されるように高温で熱処理されることが好ましい。窒化物半導体装置100のアニール温度を高温にすることにより、P型ドーパントをイオン注入することにより生じた結晶欠陥密度を低減しやすくなる。
【0046】
一例において、窒化物半導体装置100は、1300℃で5分間加熱される。窒化物半導体装置100のアニール温度は、1200℃以上であってよく、1300℃以上であってよく、1400℃以上であってよく、1500℃以上であってよい。窒化物半導体装置100のアニールの温度、時間、圧力等は、窒化物半導体装置100が有する保護膜等の材料等に応じて適宜変更されてよい。なお、窒化物半導体装置100は、高圧の窒素雰囲気でアニールすることにより、窒素の離脱を抑制しやすくなる。
【0047】
そして、保護膜120を除去する。保護膜120を除去した面において、絶縁層40と、下面側電極50と、上面側電極52とを形成する(S110)。
【0048】
例えば、絶縁層40は、膜厚400nmのシリコン酸化膜(SiO)である。上面側電極52は、NiとAuの積層膜であってよく、それぞれの膜厚は、50nmと150nmであってよい。絶縁層40および上面側電極52は、パターニングされている。下面側電極50は、TiとAlの積層膜であってよく、それぞれの膜厚は、20nmと200nmであってよい。下面側電極50は、基板10の下面側の全面に設けられてよい。
【0049】
本例のイオン注入層30は、多段のイオン注入により形成される。これにより、イオン注入層30の深さ方向のドーピング濃度を調整しやすくなり、深さ方向に均一なドーピング濃度を設けることができる。よって、P型ドーパントおよびV族元素の両方のドーピング濃度が深さ方向に均一に設定される。これにより、イオン注入層30において、均一なP型特性と結晶欠陥密度が得られる。本例のイオン注入層30では、エピタキシャル層20との接合境界付近においても、優れたP型特性を実現しつつ、結晶欠陥密度を低減することができる。
【0050】
なお、V族元素をイオン注入する領域は、P型ドーパントをイオン注入する領域と同一であってもよく、異なっていてもよい。同一の領域にV族元素およびP型ドーパントをイオン注入することにより、P型ドーパントのイオン注入により生じた結晶欠陥密度を低減しやすくなる。但し、V族元素がP型ドーパントの近傍に注入されていれば、必ずしも同一の領域にイオン注入される場合に限られるものではない。
【0051】
図3は、比較例に係る窒化物半導体装置500のPN接合リークの一例を示す。縦軸はリーク電流I[A/cm]を示し、横軸は電圧Vr[V]を示す。電圧Vrは、窒化物半導体装置500のPN接合に与えられた逆電圧を示す。
【0052】
窒化物半導体装置500は、イオン注入により形成されたP型領域をPN接合としている。但し、当該P型領域は、P型ドーパントがイオン注入されているが、V族元素がイオン注入されていない。ここで、イオン注入によりP型領域を形成する場合、窒素原子が格子間に弾き飛ばされる場合がある。この場合、イオン注入した領域には、結晶欠陥が生じる。結晶欠陥が生じると、PN接合のリーク電流が増大し、耐圧が低下する原因となる。
【0053】
本例の窒化物半導体装置500は、V族元素をイオン注入していないので、P型領域の結晶欠陥密度を十分に低減することができない。そのため窒化物半導体装置500では、PN接合においてリーク電流を低減することが困難であり、耐圧の低下を抑制することができない。本例の窒化物半導体装置500は、500V以下の電圧Vrでリーク電流が増大している。即ち、窒化物半導体装置500の耐圧は、500V以下である。
【0054】
図4は、図1に係る窒化物半導体装置100のPN接合リークの一例を示す。縦軸はリーク電流I[A/cm]を示し、横軸は電圧Vr[V]を示す。本例の窒化物半導体装置100は、1000V以上の耐圧を有する。電圧Vrは、窒化物半導体装置100のPN接合に与えられた逆電圧を示す。
【0055】
窒化物半導体装置100は、P型ドーパントに加えてV族元素をイオン注入し、アニールすることにより、P型ドーパントのイオン注入により生じた結晶欠陥を消滅させる。これにより、イオン注入層30をP型領域としたPN接合の耐圧を向上させることができる。
【0056】
本例の窒化物半導体装置100は、イオン注入により形成されたイオン注入層30をP型領域に用いた場合であっても、PN接合の耐圧を向上することができる。また、イオン注入によりP型領域を形成する場合、P型領域のパターンを自由に選択できる。そのため、イオン注入層30は、P型領域に耐圧が要求される場合や、所定のパターンで形成される必要がある場合にも用いることができる。よって、本例の窒化物半導体装置100は、ダイオード、MOSFET、周辺耐圧構造等の様々な構造に適用することができる。
【0057】
なお、イオン注入ではなく、エピタキシャル成長時にP型ドーパントを注入することにより、結晶欠陥密度を低減し、耐圧を向上させることも考えられる。しかしながら、エピタキシャル成長によりP型領域を形成する方法では、P型領域を選択的に形成することが困難である。そのため、エピタキシャル成長により形成されたP型領域は、ダイオード、MOSFET、周辺耐圧構造等の様々な構造に適用することが困難である。
【0058】
図5Aは、実施例に係る窒化物半導体装置100のHAADF像の一例を示す。同図は、イオン注入層30において、観察される結晶欠陥の観察例を示す。HAADF(High−angle Annular Dark Field)像は、電子線を試料に走査させながら照射し、試料を透過した電子のうち、高角で散乱した電子を環状検出器で検出したものである。
【0059】
図5Bは、実施例に係る窒化物半導体装置100のABF像の一例を示す。環状明視野(ABF:Annular Bright−Field)像は、電子線を試料に走査させながら照射し、試料を透過した電子のうち、低角で散乱した電子を環状検出器で検出したものである。
【0060】
図5Aおよび図5Bは、イオン注入層30の断面STEM像を示す。観察条件は、加速電圧60kV、観察倍率20M倍であり、観察方向が <11−20>である。窒化物半導体装置100の結晶欠陥とは、基板10から表面に向けて貫通した結晶欠陥である貫通転位ではなく、イオン注入層30において局所的に結晶の並びのずれが発生した箇所を指す。本例では、目立った結晶欠陥のない良好なGaN結晶画像が観察されている。
【0061】
図6は、比較例に係るイオン注入層530の結晶欠陥密度を示す断面TEM画像の一例である。本例では、エピタキシャル層520上に設けられたイオン注入層530の表面付近の断面TEM像を示す。一例において、TEM画像の観察条件は、加速電圧200kV、観察倍率5万倍、観察方向が <11−20>である。領域A〜領域Cは、窒化物半導体装置500の断面における200nm角の領域をそれぞれ示している。領域A〜領域Cは、同一の深さに設けられた異なる領域である。
【0062】
イオン注入層530では、Mgのみがイオン注入されており、窒素がイオン注入されていない。そのため、アニールによりイオン注入層530の結晶欠陥密度が十分に低減されない。イオン注入層530上には、Ni層54と、Au層56とが積層されている。PtPd層58はTEM観察用に導電性を確保するために設けられた層である。
【0063】
領域Aは、200nm角の領域に結晶欠陥が18個存在する。領域Bは、200nm角の領域に結晶欠陥が15個存在する。領域Cは、200nm角の領域に結晶欠陥が16個存在する。このように、本例では、200nm角の領域に結晶欠陥が15個〜20個程度存在している。この場合、窒化物半導体装置500は、1×1016cm−3よりも大きな結晶欠陥密度を有する。
【0064】
図7は、イオン注入層30の結晶欠陥密度を示す断面TEM画像の一例である。本例では、イオン注入層30の表面付近の断面TEM像を示す。一例において、TEM画像の観察条件は、加速電圧200kV、観察倍率5万倍、観察方向が <11−20>である。領域D〜領域Fは、窒化物半導体装置500の断面における200nm角の領域をそれぞれ示している。領域D〜領域Fは、同一の深さに設けられた異なる領域である。
【0065】
イオン注入層30上には、Ni層54と、Au層56とが積層されている。PtPd層58はTEM観察用に導電性を確保するために設けられた層である。
【0066】
領域Dは、200nm角の領域に結晶欠陥が4個存在する。領域Eは、200nm角の領域に結晶欠陥が7個存在する。領域Fは、200nm角の領域に結晶欠陥が6個存在する。このように、本例では、200nm角の領域に結晶欠陥が4個〜7個程度存在している。この場合、窒化物半導体装置100は、1×1016cm−3以下の結晶欠陥密度を有する。
【0067】
図8は、イオン注入層30におけるMgのSIMS分析結果を示す。二次イオン質量分析法(SIMS :Secondary Ion Mass Spectrometry)は、スパッタリングに伴い生じた二次イオンを検出することで、試料中に存在する元素とその濃度を分析する手法である。本例では、SIMSにより、イオン注入層30の表面におけるMgのドーピング濃度を検出する。
【0068】
本例のイオン注入層30は、Mgをドーパントとした多段のイオン注入により形成される。そのため、イオン注入層30は、ドーピング濃度が深さ方向に均一な領域を有する。本明細書において、ドーピング濃度が深さ方向に均一な領域とは、深さ方向に100nm離れた2つの位置で、ドーピング濃度の差が10倍以内である場合を指す。このように、ドーピング濃度が深さ方向に均一な領域を設けることにより、P型特性に優れ、結晶欠陥の少ないイオン注入層30を提供することができる。
【0069】
一方、単発のイオン注入によりイオン注入層が形成される場合、ドーピング濃度を深さ方向に均一とすることが困難である。例えば、P型ドーパントを単発でイオン注入する場合、P型ドーパントのドーピング濃度のピークが一箇所に生じるので、P型ドーパントを均一にイオン注入することができない。同様に、V族元素を単発でイオン注入する場合、V族元素のドーピング濃度のピークが一箇所に生じるので、V族元素を均一にイオン注入することができない。そのため、PN接合界面において、P型特性を向上し、結晶欠陥密度を低減することが困難である。特に、P型ドーパントのピーク位置をPN接合界面とすることは単発のイオン注入では難しい。
【0070】
図9は、実施例2に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。本例の窒化物半導体装置100は、縦型GaNMOSFETである。特に、本例の窒化物半導体装置100は、二重拡散MOSFET(VDMOSFET)の一例である。
【0071】
上面側電極52は、ソース電極Sおよびゲート電極Gを含む。ゲート絶縁膜42は、エピタキシャル層20の上方のチャネル領域と、ゲート電極Gとの間に設けられる。下面側電極50は、ドレイン電極Dである。
【0072】
イオン注入層30は、P型のウェル領域である。即ち、本例の窒化物半導体装置100は、P型のウェル領域を図1のイオン注入層30と同様の方法で形成する。即ち、イオン注入層30は、P型ドーパントおよびV族元素をイオン注入し、アニールすることにより設けられてよい。これにより、P型のウェル領域の結晶欠陥密度が低減される。また、P型ドーパントおよびV族元素は、多段でイオン注入されてよい。このように、縦型GaNMOSFETのP型ウェル領域をイオン注入層30とすることにより、高耐圧のデバイスが得られる。
【0073】
イオン注入層32は、ソース電極Sの下方に設けられたP+ウェル領域である。イオン注入層32は、イオン注入層30と同様のプロセスにより設けられてよい。即ち、イオン注入層32は、P型ドーパントおよびV族元素をイオン注入し、アニールすることにより設けられてよい。これにより、イオン注入層32を高ドーピング濃度として、ソース電極Sとのコンタクトを改善することができる。また、イオン注入層32の結晶欠陥密度が低減されるので、信頼性が向上する。
【0074】
ソース領域60は、N+ソース領域である。ソース領域60は、エピタキシャル層20の上面において、ゲート電極GとソースSとの間に設けられる。ソース領域60は、N型ドーパントのイオン注入により設けられてよい。例えば、N型ドーパントは、シリコンおよびゲルマニウムの少なくとも1つである。
【0075】
このように、窒化物半導体装置100が縦型GaNMOSFETである場合、P型ウェル領域をイオン注入層30およびイオン注入層32とすることにより、高耐圧のデバイスを提供することができる。また、窒化物半導体装置100の電気的特性が向上する。
【0076】
図10Aは、実施例3に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。本例の窒化物半導体装置100は、縦型GaNMOSFETである。本例の窒化物半導体装置100は、ゲートトレンチ80を有する。
【0077】
ゲートトレンチ80は、エピタキシャル層20の上面に設けられる。ゲートトレンチ80の内壁には、ゲート絶縁膜42が設けられる。また、ゲート絶縁膜42上には、上面側電極52のゲート電極Gが設けられる。エピタキシャル層20の上面には、イオン注入層30とソース領域60が設けられている。
【0078】
イオン注入層30は、均一な深さを有する。本例のイオン注入層30は、ゲートトレンチ80よりも浅い位置に設けられている。イオン注入層30がゲートトレンチ80よりも浅い位置に設けられるとは、ゲートトレンチ80の下端よりも上方に、イオン注入層30の下端が設けられる場合である。なお、本例の窒化物半導体装置100は、イオン注入層30の縦型GaNMOSFETへの適用例を示しており、イオン注入層30の配置は本例に限定されない。
【0079】
図10Bは、実施例3に係る窒化物半導体装置100の他の例である。本例の窒化物半導体装置100は、縦型GaNMOSFETである。本例では、図10Aの窒化物半導体装置100と相違する点について、特に説明する。
【0080】
イオン注入層30は、図10Aのイオン注入層30とイオン注入する領域が異なる。本例のイオン注入層30は、選択的にイオン注入されるので、領域ごとに深さを変更できる。例えば、イオン注入層30は、ゲートトレンチ80よりも浅い領域と、ゲートトレンチ80よりも深い領域を有する。このように、イオン注入層30は、領域ごとに深さの異なる領域を設けることにより、窒化物半導体装置100の特性を最適化できる。本例のイオン注入層30は、ゲート絶縁膜42を効果的に保護して、耐圧を向上させることができる。
【0081】
なお、本例の窒化物半導体装置100に設けるP型領域は、イオン注入層30の適用の一例であり、適用される窒化物半導体装置100の構造や特性に応じて、適宜変更されてよい。P型ドーパントおよびV族元素のイオン注入を組み合わせて、イオン注入層30を形成することにより、幅広い構造の窒化物半導体装置100に適用できる。特に、P型ドーパントとV族元素を多段で注入することにより、PN接合境界付近においても、優れたP型特性を実現しつつ、結晶欠陥密度を低減することができる。
【0082】
図11Aは、実施例4に係る窒化物半導体装置100の構成の一例を示す。実施例4に係る窒化物半導体装置100は、イオン注入層30の耐圧構造を有する。本例の窒化物半導体装置100は、イオン注入層30を周辺耐圧構造のP型領域とした縦型GaNパワーデバイスの一例である。周辺耐圧構造のP型領域とは、エピタキシャル層20の上面に設けられた活性部ARやガードリングGRを指す。
【0083】
イオン注入層30は、エピタキシャル層20の上面に形成される。イオン注入層30は、エピタキシャル層20の上面において、活性部ARおよび複数のガードリングGRを有する。活性部ARの端部は、活性部ARの中でも大きな電界が生じる。また、ガードリングGRは、活性部ARの端部に生じる電界を緩和する。そのため、活性部ARの端部やガードリングGRは、エピタキシャル層20の上面において、耐圧が要求される領域である。本例の窒化物半導体装置100は、イオン注入層30を活性部ARおよび複数のガードリングGRに適用することにより、周辺耐圧構造の耐圧を向上することができる。
【0084】
図11Bは、実施例4に係る窒化物半導体装置100の他の例である。本例のイオン注入層30は、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension )構造を有する。
【0085】
イオン注入層30は、エピタキシャル層20の上面に形成される。イオン注入層30は、エピタキシャル層20の上面において、活性部ARを構成する。本例の窒化物半導体装置100は、イオン注入層30を活性部ARに適用することにより、耐圧を向上することができる。
【0086】
イオン注入層70は、エピタキシャル層20の上面に設けられたP型ウェル領域の一例である。イオン注入層70は、図1のイオン注入層30と同様の方法で形成する。即ち、イオン注入層30は、P型ドーパントおよびV族元素をイオン注入し、アニールすることにより設けられてよい。これにより、P型のウェル領域の結晶欠陥密度が低減される。また、P型ドーパントおよびV族元素は、多段でイオン注入されてよい。本例では、イオン注入層70の耐圧が向上し、接合終端拡張構造の耐圧を向上させることができる。
【0087】
このように、窒化物半導体装置100は、イオン注入層30をダイオード、MOSFET、周辺耐圧構造等の様々な構造のP型領域に適用することができる。これにより、窒化物半導体装置100が有するPN接合の耐圧が向上する。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0089】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0090】
10・・・基板、20・・・エピタキシャル層、30・・・イオン注入層、32・・・イオン注入層、40・・・絶縁層、42・・・ゲート絶縁膜、50・・・下面側電極、52・・・上面側電極、54・・・Ni層、56・・・Au層、58・・・PtPd層、60・・・ソース領域、70・・・イオン注入層、80・・・ゲートトレンチ、100・・・窒化物半導体装置、110・・・マスク、120・・・保護膜、500・・・窒化物半導体装置、530・・・イオン注入層
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B