特開2019-18625(P2019-18625A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-18625(P2019-18625A)
(43)【公開日】2019年2月7日
(54)【発明の名称】ステアリング支持構造体
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20190111BHJP
【FI】
   B62D25/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-136554(P2017-136554)
(22)【出願日】2017年7月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
【住所又は居所】東京都港区西新橋1丁目14番1号
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【住所又は居所】大阪府大阪市西区北堀江1丁目12番19号
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 成志
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】岡氏 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】笠嶋 憲男
(72)【発明者】
【氏名】北川 武
(72)【発明者】
【氏名】梶本 芳靖
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB37
3D203CA08
3D203CA23
3D203CA56
3D203CA57
3D203CA79
3D203CB09
3D203CB24
3D203CB39
(57)【要約】
【課題】より良好な衝突性能を有し、かつステアリング振動性能に、より優れたステアリング支持構造体を提供すること。
【解決手段】軸方向に延びるクロスカービーム1;および前記クロスカービームに支持されつつ、ステアリング装置を支持するステアリング支持部材2を含むステアリング支持構造体10であって、前記ステアリング支持部材2は上側部材2aおよび下側部材2bを含み、前記上側部材2aの前端部21aまたは前記下側部材2bの前端部21bのうち、一方の前端部は、他方の前端部を覆い、カウルに固定されるための屈曲延出部211を構成している、ステアリング支持構造体10。
【選択図】図6E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるクロスカービーム;および
前記クロスカービームに支持されつつ、ステアリング装置を支持するステアリング支持部材
を含むステアリング支持構造体であって、
前記ステアリング支持部材は上側部材および下側部材を含み、
前記上側部材の前端部または前記下側部材の前端部のうち、一方の前端部は、他方の前端部を覆い、カウルに固定されるための屈曲延出部を構成している、ステアリング支持構造体。
【請求項2】
前記屈曲延出部を構成する前記前端部は、後方方向に向けて膨出する膨出部を有し、
他方の前端部は前記膨出部の側面を覆う凹部を有している、請求項1に記載のステアリング支持構造体。
【請求項3】
前記膨出部と前記凹部とは互いに嵌合し、
前記屈曲延出部を構成する前記前端部の後面と、前記他方の前記前端部の前面とは相互に面接触している、請求項2に記載のステアリング支持構造体。
【請求項4】
前記上側部材または前記下側部材のうち、前記屈曲延出部を構成する前記前端部を有する部材とは異なる他方の部材は、前記屈曲延出部の前記膨出部の後面を支える縦リブを有し、
前記縦リブは前後方向に沿って延在するリブである、請求項2または3に記載のステアリング支持構造体。
【請求項5】
前記ステアリング支持部材は、前記クロスカービームの軸方向に対する垂直断面において、前記上側部材と前記下側部材との分割位置を、前記クロスカービームの前面および後面に有する、請求項1〜4のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項6】
前記上側部材および前記下側部材は、相互に面接触し、かつ前記クロスカービームとも面接触しつつ、それらの間でクロスカービームを挟持している、請求項1〜5のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項7】
前記上側部材および前記下側部材は、
相互に接触する部分および前記クロスカービームと接触する部分が面材部から構成され、かつ前記面材部の外縁に立設される外縁リブおよび該外縁リブの内側で前記面材部上に立設される内側リブを有するリブ構造
を有している、請求項1〜6のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項8】
前記内側リブは、前記面材部上、前記クロスカービームの軸方向に対して垂直方向に沿って延在する縦リブ、および前記面材部上、前記クロスカービームの軸方向に対して平行方向に沿って延在する横リブを含む、請求項7に記載のステアリング支持構造体。
【請求項9】
前記横リブは、締結用開口部および/または締結用切り欠き部を有する、請求項8に記載のステアリング支持構造体。
【請求項10】
前記ステアリング支持部材は、前後方向において、後端部から前端部に向けて、車幅方向について先細り形状を有している、請求項1〜9のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項11】
前記上側部材および前記下側部材はポリマー材料から構成されている、請求項1〜10のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項12】
前記ステアリング支持部材は前記前端部でカウルに固定されている、請求項1〜11のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項13】
前記クロスカービームは角柱形状を有する、請求項1〜12のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項14】
前記クロスカービームは繊維強化樹脂中空体である、請求項1〜13のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【請求項15】
前記クロスカービームは引抜成形体である、請求項1〜14のいずれかに記載のステアリング支持構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリング支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等においてステアリング装置を支持するためのステアリング支持構造体として、車幅方向に延びるクロスカービーム(CCB)、およびクロスカービームに支持されつつ、ステアリング装置を支持するステアリング支持部材を含む構造体が知られている。
【0003】
このようなステアリング支持構造体においては、軽量化および剛性等の向上を目的とした種々の技術が開示されている。例えば、特許文献1は、ステアリングメンバと車体とを連結するステアリング支持ブラケットにおいて、鈍角に屈曲された屈曲部を有する形状とし、該屈曲部に切り欠けを形成するようにしたステアリング支持ブラケットを開示する。このようなステアリング支持ブラケットはアルミニウムの鋳物で構成されている。カウルから入力される力は1つの部品としての当該ステアリング支持ブラケットで受けるようになっている。
【0004】
一方、特許文献2は、クロスメンバに接続するための装置であって、延在する金属構造物と前記金属構造物を支持するベース体とを備えた装置を開示する。このような装置においてベース体はプラスチック体である。カウルから入力される力は1つの部品としての当該ベース体で受けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−213356号公報
【特許文献2】特開2016−521659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者等は、従来の技術では、衝突により、カウルからステアリング支持構造体に力が入力されたとき、ステアリング支持構造体(特にステアリング支持部材)が比較的容易に破壊され、ステアリング支持構造体(特にステアリング支持部材)の機械強度(特に剛性)が新たな問題となることを見い出した。このような問題は、ステアリング支持部材が軽量化のためにポリマー材料から構成されたとき、特に顕著であった。また、従来のステアリング支持構造体においては、走行時の走行振動およびエンジン駆動時のエンジン振動等のような振動がステアリング支持構造体に入力されると、振動がステアリング装置に伝導され易く、運転者に不快感を与えた。伝導された振動は、ステアリング装置自体の「震え」となるだけでなく、音としても伝播し、同乗者にも不快感を与えた。
【0007】
本発明は、より良好な衝突性能を有し、かつステアリング振動性能に、より優れたステアリング支持構造体を提供することを目的とする。
【0008】
本発明はまた、より一層の軽量化を達成しながらも、より良好な衝突性能を有し、かつステアリング振動性能に、より優れたステアリング支持構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
軸方向に延びるクロスカービーム;および
前記クロスカービームに支持されつつ、ステアリング装置を支持するステアリング支持部材
を含むステアリング支持構造体であって、
前記ステアリング支持部材は上側部材および下側部材を含み、
前記上側部材の前端部または前記下側部材の前端部のうち、一方の前端部は、他方の前端部を覆い、カウルに固定されるための屈曲延出部を構成する、ステアリング支持構造体に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のステアリング支持構造体は、より良好な衝突性能を有するとともに、ステアリング振動性能に、より優れている。
本発明のステアリング支持構造体はまた、より一層の軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施態様に係るステアリング支持構造体の模式的斜視図である。
図2A図1のステアリング支持構造体の運転席側の拡大斜視図の一例である。
図2B図2Aのステアリング支持構造体をP−P断面で切断したときのステアリング支持構造体の拡大斜視図の一例である。
図2C図1のステアリング支持構造体の運転席側の拡大斜視図の一例である。
図2D図1のステアリング支持構造体の運転席側の拡大斜視図の一例である。
図3図1のステアリング支持構造体の運転席側を車両後方側から見たときの拡大正面図である。
図4図1のステアリング支持構造体の運転席側を車両前方側から見たときの拡大背面図である。
図5A図3におけるA−A断面を矢印方向で見たときのステアリング支持構造体の模式的見取り図である。
図5B図3におけるB−B断面を矢印方向で見たときのステアリング支持構造体の模式的見取り図である。
図6A図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における上側部材の斜視図の一例である。
図6B図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における上側部材の斜視図の一例である。
図6C図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における下側部材の斜視図の一例である。
図6D図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における下側部材の斜視図の一例である。
図6E図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材の一部拡大斜視図である。
図6F図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における下側部材の一部拡大斜視図である。
図6G図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における上側部材の一部拡大斜視図である。
図7A図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタステイの拡大斜視図である。
図7B図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタステイを運転席側から見たときの左側面図である。
図7C図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタステイを助手席側から見たときの右側面図である。
図8図1のステアリング支持構造体のセンタ側補強部材近傍の拡大斜視図である。
図9図1のステアリング支持構造体のセンタ側補強部材近傍を車両後方側から見たときの拡大正面図である。
図10A図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタ側補強部材の拡大斜視図の一例である。
図10B図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタ側補強部材の拡大斜視図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[ステアリング支持構造体]
本発明のステアリング支持構造体は、車両のステアリング装置を支持するための構造体である。本明細書中、車両は、自動車、バス、トラック、電車(鉄道車両)等の車両だけでなく、ステアリング装置を備えたあらゆる乗り物(運搬装置)を含む概念で用いるものとし、例えば、上記した車両だけでなく、航空機、および船舶等を包含する。
【0013】
本明細書中、「衝突性能」は、主としてステアリング支持部材の機械強度(特に剛性)に基づく性能であって、車両前方からの衝突によってもステアリング支持部材の破壊に至り難い性能(耐衝突性能)のことである。
「ステアリング振動性能」とは、ステアリング支持構造体に入力された振動が車両内のステアリング装置に伝導されるのを防止し、振動に基づく運転者および同乗者等の乗員への不快感を軽減する性能のことである。ステアリング装置は操舵装置であって、例えば、自動車におけるハンドルのことである。振動とは、例えば、走行時に地面から入力される走行振動、エンジン駆動時にエンジンルームから入力されるエンジン振動、駆動・制動系から入力される振動等のことである。
【0014】
以下、本発明のステアリング支持構造体を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施態様に係るステアリング支持構造体の模式的斜視図である。図2Aは、図1のステアリング支持構造体の運転席側の拡大斜視図の一例である。図2Bは、図2Aのステアリング支持構造体をP−P断面で切断したときのステアリング支持構造体の拡大斜視図の一例である。図2Cおよび図2Dは、図1のステアリング支持構造体の運転席側の拡大斜視図の一例である。図3および図4はそれぞれ、図1のステアリング支持構造体の運転席側を車両後方側および車両前方側から見たときの拡大正面図および拡大背面図である。図5Aおよび図5Bはそれぞれ、図3におけるA−A断面およびB−B断面を矢印方向で見たときのステアリング支持構造体の模式的見取り図である。図6Aおよび図6Bは、図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における上側部材の斜視図の一例である。図6Cおよび図6Dは、図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における下側部材の斜視図の一例である。図6Eは、図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材の一部拡大斜視図である。図6Fおよび図6Gはそれぞれ、図1のステアリング支持構造体に使用されたステアリング支持部材における下側部材および上側部材の一部拡大斜視図である。図7Aは、図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタステイの拡大斜視図である。図7Bおよび図7Cはそれぞれ、図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタステイを運転席側および助手席側から見たときの左側面図および右側面図である。図8は、図1のステアリング支持構造体のセンタ側補強部材近傍の拡大斜視図である。図9は、図1のステアリング支持構造体のセンタ側補強部材近傍を車両後方側から見たときの拡大正面図である。図10Aおよび図10Bは、図1のステアリング支持構造体に使用されたセンタ側補強部材の拡大斜視図の一例である。
【0015】
図中において矢印Fは車両前方、矢印Rは車両後方を示している。矢印Wは車幅方向を示し、矢印Wdは車幅方向Wにおけるステアリング支持部材が配置された運転席側を示し、矢印Wpは車幅方向Wにおける助手席側を示している。矢印Hrは車両高さのルーフ方向、矢印Hfは車両高さのフロア方向を示している。図面に示す各種の要素は、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比および外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。尚、本明細書で直接的または間接的に用いる「上下方向」は、特記しない限り、ステアリング支持構造体を車両に適用したときに対応する上下方向に相当する。これらの図において、共通する符号は、特記しない限り、同じ部材、部位、寸法または領域を示すものとする。
【0016】
本発明のステアリング支持構造体10は、クロスカービーム1およびステアリング支持部材2を含み、センタステイ3、サイドブラケット4および/または補強部材5をさらに含んでもよい。
【0017】
(クロスカービーム)
クロスカービーム1は軸方向にて延びる部材である。クロスカービーム1は好ましくは軸方向にわたって延びる平面部を有する。これにより、ステアリング支持構造体の衝突性能がさらに向上する。クロスカービーム1の軸方向に対して垂直な断面視形状は特に限定されず、例えば、円形状、半円形状または扇形形状であってもよいし、または矩形状等を含む多角形状であってもよい。クロスカービーム1の断面視形状は、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、矩形状であることが好ましい。矩形状は正方形状および長方形状を含む概念で用いるものとし、上記の観点から、正方形状が好ましい。クロスカービーム1の断面視形状が矩形状のとき、当該クロスカービーム1は全体として角柱形状を有する。なお角柱形状は、クロスカービーム1がその断面視形状として矩形状を有し、かつ後述の中空体である場合も包含する。
【0018】
クロスカービーム1が断面視形状として矩形状を有するとき、クロスカービーム1は前面、後面、上面および下面を有する。クロスカービーム1の前面、後面、上面および下面とはそれぞれ、クロスカービーム1において車両の前方(F)、後方(R)、ルーフ方向(Hr)およびフロア方向(Hf)を向いている面という意味であり、例えば図5A等においてそれぞれ1a、1b、1cおよび1dで示される。クロスカービーム1は通常、その軸方向が車両の車幅方向に平行になるように配置される。
【0019】
クロスカービーム1は中空体であることが好ましい。これにより、ステアリング支持構造体の軽量化を達成することができる。中空体を構成する材料は特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、鉄鋼およびこれらの合金等の金属であってもよいし、ポリマー等の樹脂であってもよいし、または繊維強化樹脂であってもよい。中空体を構成する材料は、さらなる軽量化と、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、繊維強化樹脂であることが好ましい。本発明において軽量化は、主として、クロスカービーム1が繊維強化樹脂中空体であること、およびステアリング支持部材2がポリマー材料から構成されることにより達成される。
【0020】
繊維強化樹脂中空体は、全体形状として、長尺形状を有する硬化性樹脂の含浸体である。繊維強化樹脂中空体は、強化繊維を含む繊維層および当該繊維層に含浸され硬化された硬化性樹脂を含む中空体であれば特に限定されない。繊維層における繊維は硬化性樹脂中に均一に分散されていてもよいが、衝突性能のさらなる向上の観点から、繊維層は軸方向繊維層を含むことが好ましい。軸方向繊維層とは、クロスカービームの軸方向(長手方向)に対して平行に配向する強化繊維を主として含む繊維層のことであり、本発明においては衝突性能のさらなる向上の観点から強化繊維のみからなる繊維層が好ましい。
【0021】
強化繊維は、従来から繊維強化プラスチックの分野で使用されているあらゆる繊維が使用可能であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維が挙げられる。好ましい強化繊維はガラス繊維である。
【0022】
硬化性樹脂としては、従来から繊維強化樹脂中空体に使用される、あらゆる硬化性樹脂が使用可能である。硬化性樹脂の具体例として、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0023】
硬化性樹脂は、いわゆる触媒、離形剤、顔料、低収縮剤、シランカップリング剤等の添加剤を含有してもよい。
【0024】
クロスカービーム1が中空体である場合、クロスカービーム1はいかなる厚みを有していてもよく、用途に応じて適宜、決定されればよい。ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、クロスカービーム1は、ステアリング支持構造体のさらなる軽量化および衝突性能のさらなる向上の観点から、通常は1〜20mm、特に1〜10mm、好ましくは1〜3mmの厚みを有する。厚みとは肉厚のことである。
【0025】
クロスカービーム1はいかなる外周長を有していてよく、用途に応じて適宜、決定されればよい。ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、クロスカービーム1は、例えば、125〜300mmの外周長を有する。クロスカービーム1の外周長とは、軸方向に対する垂直断面におけるクロスカービーム1の外周長のことである。クロスカービーム1が矩形状の断面視形状を有する場合、クロスカービーム1の垂直断面形状における一辺の長さは特に限定されず、例えば45〜75mmである。
【0026】
クロスカービーム1は引抜成形体であることが好ましい。引抜成形体の断面視形状は通常、その軸方向において一定である。クロスカービーム1が特に繊維強化樹脂中空体である場合、当該繊維強化樹脂中空体は、以下の引抜成形法により製造することができる。引抜成形法においては、例えば、軸方向繊維層を構成する強化繊維に硬化性樹脂を含浸させ、硬化性樹脂が含浸した強化繊維を、中空体の断面視形状を有する金型の一端側から引き込み、金型内で加熱により硬化性樹脂を十分に硬化させる。得られた繊維強化樹脂中空体は、金型から連続的に引き取り、切断機によって所定長さに切断する等、後加工する。
【0027】
クロスカービーム1は複数の締結用ホールを有し、その形成位置により、クロスカービーム1と、ステアリング支持部材2、センタステイ3、サイドブラケット4および/または補強部材5との締結が達成され得る。
【0028】
(ステアリング支持部材)
ステアリング支持部材2は、クロスカービーム1に支持されつつ、ステアリング装置を支持する機能を有する。ステアリング支持部材2は通常、その前端部21で、いわゆるカウル(車体前部)(図示せず)からの前方−後方方向(F−R方向)の力を受けるようになっている。このため、衝突時においてクロスカービームの前進が防止される。ステアリング支持部材2は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、その前端部21がカウルまたは当該カウルと接続されたカウルブラケットに固定されていることが好ましい。ステアリング支持部材2の前端部21は、ステアリング支持部材2において車両前方方向F側の端部のことである。カウルは通常、車幅方向に延在する衝突性能向上のための部材であり、例えば自動車においては、ボンネットの最後方部分に配置されている。カウルとステアリング支持部材との固定は、直接的に達成されてもよいし、または棒状のカウルブラケットを介して間接的に達成されてもよい。
【0029】
ステアリング支持部材2は以下に示す上下2分割型のものを用いる。以下に示す上下2分割型のステアリング支持部材2の使用により、衝突性能が向上するだけでなく、これに伴い、カウルからの力の入力方向および当該入力方向に対する垂直方向についての機械強度(特に剛性)が向上する。この結果、当該入力方向および垂直方向への振動の伝導が防止されるため、ステアリング振動性能が向上する。このような上下2分割型のステアリング支持部材2に基づくステアリング振動性能の向上メカニズムは、後述の補強部材5による捻れ応力の撓み応力への変換に基づくステアリング振動性能の向上メカニズムと相違する。
【0030】
ステアリング支持部材2は、図2B図5Aおよび図5B等に示すように、上側部材2aおよび下側部材2bを含み、これらの部材間でクロスカービーム1を挟持するように配置される。ステアリング支持部材2が上側部材2aと下側部材2bとの間でクロスカービーム1を挟持したとき、ステアリング支持部材2は、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、クロスカービームの軸方向に対する垂直断面において、上側部材2aと下側部材2bとの分割位置(境界)200を、図5Aに示すようにクロスカービーム1の前面(1a)および後面(1b)に有することが好ましい。詳しくは、当該垂直断面において、上側部材2aと下側部材2bとの分割境界線が前面(1a)および後面(1b)のそれぞれに突き当たることが好ましい。例えば、上側部材2aおよび下側部材2bのそれぞれが、クロスカービーム1の前後面(1a、1b)の両方の一部と接触するように、分割位置(境界)200が設けられている。より好ましい実施態様においては、上側部材2aおよび下側部材2bのそれぞれが、「クロスカービーム1の前面1a」の20%以上(好ましくは30%以上)と「クロスカービーム1の後面1b」の20%以上(好ましくは30%以上)と面接触するように、分割位置(境界)200が設けられている。このような面積割合の算出において、「クロスカービーム1の前面1a」とは、クロスカービーム1の前面1aにおける上側部材2aおよび下側部材2bとの接触領域の面積(合計面積)のことである。「クロスカービーム1の後面1b」とは、クロスカービーム1の後面1bにおける上側部材2aおよび下側部材2bとの接触領域の面積(合計面積)のことである。本明細書中、面接触は、2つの面の接触だけでなく、それらの間に接着剤が介在する接触も包含する。接着剤は、2つの面を強固に固着することで振動による面の位置ずれやがたつきを抑制する効果がある。接着剤としては、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シアノアクリレート系等の材料を用いることができる。また、2つの面の空隙を隙間なく接着剤で埋め込むことが望ましいことから、常温でペースト状の材料を用いるのが好適である。なお、接着剤硬化物の25℃でのヤング率が10〜30MPaであることが好ましい。この範囲で当該硬化物が強靭でかつ被着体同士のずれを防止できる。
【0031】
上側部材2aおよび下側部材2bは、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図6Bおよび図6Cに示すように、相互に面接触しつつ、クロスカービーム1とも面接触するように構成されていることが好ましい。上側部材2aおよび下側部材2bは、さらなる軽量化、ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図6A図6Dに示すように、以下のステアリング支持部材リブ構造を有することが好ましい:
上側部材2aおよび下側部材2bそれぞれにおいて、相互に接触する部分(22a〜24aおよび22b〜24b)およびクロスカービーム1と接触する部分(25a〜27aおよび25b〜27b)が面材部から構成され、かつ当該面材部の外縁に立設される外縁リブ(201aおよび201b)および当該外縁リブの内側で面材部上に立設される内側リブ(202a、203a、202b、203b)を有するステアリング支持部材リブ構造(図6Aおよび図6D等)。
外縁リブおよび内側リブの立設方向は、これらの図に示すように、上側部材2aにおいてはルーフ方向Hrであり、下側部材2bにおいてはフロア方向Hfである。本明細書中、面材とは特記しない限り平面材のことである。
【0032】
ステアリング支持部材リブ構造において、リブにより規定される各空間の平面視形状は四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよい。従って、このようなリブ構造は、各空間の平面視形状が六角形状であるハニカム構造を包含する。本明細書中、リブ構造について平面視形状とは、面材部を底面に静置して上方から見たときの形状という意味である。
【0033】
上側部材2aおよび下側部材2bそれぞれにおいて、内側リブは、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、面材部上、少なくとも縦リブ(202a、202b)を含むことが好ましく、より好ましくは当該縦リブおよび横リブ(203a、203b)を含む。縦リブは、面材部上、クロスカービーム1の軸方向に対して垂直方向に沿って延在するリブである。横リブは、面材部上、クロスカービーム1の軸方向に対して平行方向に沿って延在するリブである。横リブは、部材製造時における縦リブの横倒を防止する機能も有する。縦リブおよび横リブの高さは、図6Aおよび図6D等において、クロスカービーム1の軸方向について均等であるが、これに限定されず、横リブの高さは縦リブの高さよりも低くてもよい。
【0034】
上側部材2aおよび下側部材2bそれぞれにおいて、縦リブおよび横リブは、それぞれ独立して、ステアリング支持部材とクロスカービームとの締結のための締結用開口部および/または締結用切り欠き部を有していてもよい。特に横リブは通常、図6Aおよび図6Dに示すように、締結用開口部(204a、204b)および/または締結用切り欠き部(205b)を有している。本発明において、締結は、2つ以上の部材をまとめて固定する概念で用いるものとし、接着剤を併用した締結も包含する。
【0035】
ステアリング支持部材2における面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、それぞれ独立して、例えば、0.5〜10mmであり、好ましくは0.5〜3mmである。
【0036】
ステアリング支持部材2の前端部21は、上側部材2aの前端部21aおよび下側部材2bの前端部21bから構成されている。そして、上側部材2aの前端部21aまたは下側部材2bの前端部21bのうちの一方の前端部は、他方の前端部を覆い、カウルに固定されるための屈曲延出部211を構成する。一方の前端部が他方の前端部を覆うとは、一方の前端部が他方の前端部よりも前方Fに配置されつつ、当該他方の前端部と相互に接触しているという意味である。屈曲延出部211の形状は、一方の前端部が他方の前端部を覆うための形状であり、例えば当該一方の前端部を構成する面材が、前方方向Fを基準に、下方かつ前方に屈曲しつつ延出している形状、または上方かつ前方に屈曲しつつ延出している形状である。屈曲延出部211は、カウルに固定される場合、ステアリング支持部材2全体においてカウルからの力が初めて入力される部分である。ステアリング支持部材の前端部が上側部材の前端部または下側部材の前端部の一方のみから構成される場合、衝突性能およびステアリング振動性能が低下する。仮に、ステアリング支持部材の前端部が、上側部材の前端部および下側部材の前端部から構成されていたとしても、一方の前端部が他方の前端部を覆っていない場合には、衝突性能およびステアリング振動性能が低下する。
【0037】
屈曲延出部211を構成する前端部は、図6E図6Fおよび図6Gに示すように上側部材2aの前端部21aであってもよいし、または下側部材2bの前端部21bであってもよいが、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、上側部材2aの前端部21aであることがさらに好ましい。以下、上側部材2aおよび下側部材2bのうち、屈曲延出部211を構成する前端部を有する部材(例えば、図中、2a)を部材Xと呼び、他方の部材(例えば、図中、2b)を部材Yと呼ぶ。ステアリング支持部材2の前端部21は、ステアリング支持部材2における前方方向Fの端部近傍のことであり、狭義には、ステアリング支持部材2の前方においてカウルからの力が初めて入力される部分である。上側部材2aの前端部21aは、上側部材2aにおける前方方向Fの端部近傍のことであり、狭義には、上側部材2aの前方部分においてカウルからの力が初めて入力される面材部分である。下側部材2bの前端部21bは、下側部材2bにおける前方方向Fの端部近傍のことであり、狭義には、下側部材2bの前方部分においてカウルからの力が初めて入力される面材部分である。
【0038】
図6E図6Fおよび図6Gに示すように、屈曲延出部211を構成する前端部(例えば、図中、21a)は、後方方向に向けて膨出する膨出部2111を有し、他方の前端部(例えば、図中、21b)は当該膨出部2111の側面を覆う凹部2112を有することが好ましい。膨出部2111は厚みが局所的に厚くなっている部分であり、通常は車幅方向における中央部に位置付けられる。凹部2112は自身の側面(内側面)で膨出部2111の側面を覆う、いわゆる切り欠き部である。膨出部2111および凹部2112の形状は、図6Fおよび図6Gにおいて四角形状を有しているが、互いに相補的な形状である限り特に限定されず、例えば円形状、半円形状等であってもよい。膨出部2111と凹部2112とは互いに嵌合している。これらの結果、屈曲延出部211を構成する前端部(例えば、図中、21a)の後面(後方方向の表面または裏面)と、他方の前端部(例えば、図中、21b)の前面(前方方向の表面)とが、互いに面接触する。これにより、上側部材2aおよび下側部材2bの両方がより一層、有効に機能するようになる。詳しくは、カウルから入力された力を、一方の前端部(屈曲延出部211を構成する前端部(例えば、図中、21a))だけでなく、他方の前端部(例えば、図中、21b)でも受けることができる。このため、衝突性能のさらなる向上が達成される。これに伴い、カウルから入力された力の入力方向および当該入力方向に対する垂直方向の機械強度(特に剛性)が向上し、ステアリング振動性能のさらなる向上が達成される。屈曲延出部211を構成する前端部(例えば、図中、21a)の後面(後方方向の表面または裏面)と、他方の前端部(例えば、図中、21b)の後面(後方方向の表面または裏面)とは通常、図6Eに示すように、面一を構成していてもよい。
【0039】
上側部材2aまたは下側部材2bのうち、部材Xの屈曲延出部211における膨出部2111の膨出高さm1は通常、図6Eに示すように、部材Yの前端部の厚みに相当する。当該膨出高さm1は特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該膨出高さm1は、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、例えば、0.5〜10mmであり、好ましくは0.5〜3mmである。部材Xの前端部における非膨出部の厚みm2は特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該厚みm2は、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、例えば、1〜10mmであり、好ましくは1〜5mmである。なお、膨出部2111は、図示する形態から明らかなように、「隆起部」等とも称することができる。
【0040】
上側部材2aと下側部材2bとの接続は、クロスカービーム1を挟持する前または後のいずれの時に行ってもよい。当該接続は締結により達成されてもよい。本明細書中、締結は、リベット、ボルト、ネジ、ピン、ステープル、ストラップ、ステッチ、接着剤等のあらゆる締結具からなる群から選択される1種以上の締結具によって達成されてもよい。好ましい締結具はリベット、ボルト、ネジまたはピンであり、接着剤が併用されていてもよい。より好ましい締結具はリベットまたはボルトであり、接着剤が併用されていてもよい。上側部材2aと下側部材2bとの接続がボルトによる締結により達成される場合、当該締結は通常、上側部材2aと下側部材2bとの2部品共締めにより達成される。
【0041】
上側部材2aまたは下側部材2bのうち、部材Y(例えば、図中、2b)は、図6Eに示すように、前端部において、屈曲延出部211の膨出部2111の後面(後方方向の表面または裏面)を支える縦リブ(例えば、図中、2020b)を有することが好ましい。当該縦リブは、前記した縦リブ(202a、202b)の1種であり、クロスカービーム1の軸方向に対して垂直方向(前後方向)に沿って延在するリブのことである。これにより、カウルから入力された力を、上側部材2aおよび下側部材2bの両方でより一層、有効に受けることができ、衝突性能およびステアリング振動性能がより一層、向上する。縦リブ(例えば、図中、2020b)は、ボルト配置用切り欠き部2021bを有していてもよい。
【0042】
ステアリング支持部材2の前端部21におけるカウルとの固定は、前記したあらゆる締結具によって達成されてよく、好ましくはボルトまたはリベット、より好ましくは調整ボルトおよび/または調整ナットによって達成される。屈曲延出部211は通常、ステアリング支持部材2とカウルとの固定のための締結用ホール2114を有している。締結用ホール2114にはナットがインサート成形により設置されていてもよい。屈曲延出部211の前面には、六角状にリブ立ちされたナット収容部2113を有していてもよい。このとき、ボルトはカウルに向けて延在するように配置される。
【0043】
ステアリング支持部材2は複数の締結用ホールを有し、その形成位置により、上側部材と下側部材との締結、ステアリング支持部材2とクロスカービーム1および/または補強部材5との締結、ステアリング支持部材2とカウルとの締結が達成され得る。特にステアリング支持部材2とクロスカービーム1との締結は通常、これらの2部品共締めにより達成される。ステアリング支持部材2とクロスカービーム1との締結には通常、上側部材2aおよび下側部材2bにおけるクロスカービーム1の上面および下面と接触する部分(面材部)(26aおよび26b)に位置付けられる締結用ホール(図6Bおよび図6C)が使用される。
【0044】
ステアリング支持部材2を構成する上側部材2aおよび下側部材2bは通常、クロスカービーム1が配置される位置よりも、前方方向Fに位置付けられる前方部および後方方向Rに位置付けられる後方部において相互に締結されている。特にステアリング支持構造体10が後述の補強部材5を含む場合、ステアリング支持部材2は、図2Dに示すように、前方−後方方向(F−R方向)において、このような前方部の相互締結部Kと後方部の相互締結部Lとの間で、補強部材5(サイド側補強部材5aおよび/またはセンタ側補強部材5b)との締結が達成されていることが好ましい。これにより、ステアリング支持構造体10の衝突性能およびステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0045】
ステアリング支持部材2は、さらなる軽量化の観点から、図2A図2Dに示すように、後端部29から前端部21に向けて、車幅方向Wについて先細り形状を有していることが好ましい。詳しくは、ステアリング支持部材2は、車幅方向Wの長さが、後端部29から前端部21の近傍まで略一定であり、前端部21の近傍においては前端部21に向けて連続的に漸次減少する、先細り形状を有していることが好ましい。前端部21の近傍とは、前方−後方方向(F−R方向)について、ステアリング支持部材2の全長をL(mm)としたとき、前端部21から約0.1×L〜0.5×Lまでの部分、特に前端部21から約0.2×L〜0.4×Lまでの部分のことである。ステアリング支持部材2の後端部29は、ステアリング支持部材2において車両後方方向R側の端部のことである。本明細書中、ステアリング支持部材の先細り形状は、車両の高さ方向において、ルーフ側から見たときの形状である。
【0046】
ステアリング支持部材2を構成する材料は特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、鉄鋼およびこれらの合金等の金属であってもよいし、ポリマー等の樹脂であってもよいし、または繊維強化樹脂であってもよい。ステアリング支持部材2を構成する材料は、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、ポリマー材料であることが好ましい。ステアリング支持部材を構成するポリマー材料は特に限定されず、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)、FRTP(ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック)等であってもよい。好ましくはFRTPである。ステアリング支持部材2がポリマー材料から構成される場合、例えば、射出成形により製造することができる。
【0047】
(センタステイ)
ステアリング支持構造体は通常、センタステイ3を有する。センタステイ3はフロアパネル(図示せず)からクロスカービーム1をその中央部で支持する機能を有する部材である。中央部とは、クロスカービーム1における両端の間という意味であり、通常はクロスカービーム1の軸方向における運転席と助手席との間である。センタステイ3は通常、クロスカービーム1を覆いつつ固定する固定部30および当該固定部30を支持する本体部300を有する。
【0048】
センタステイ3の一例を以下に示すが、センタステイ3は上記した機能を有する限り、以下のセンタステイ3に限定されないことは明らかである。
【0049】
センタステイ3の固定部30は通常、クロスカービーム1の少なくとも平面部を包囲する面材部分から構成され、好ましくはクロスカービーム1の3つの面、特に後面、上面および下面の3面(図5A中、1b、1cおよび1d)をコの字状に包囲する面材部分である。固定部30は、図5A図7A図7Bおよび図7Cに示すように、上面1cおよび下面1dの前後方向の全長を包囲するが、必ずしも全長を包囲しなければならないというわけではなく、それぞれ独立してそれらの少なくとも一部を包囲すればよい。衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、固定部30は上面1cおよび下面1dの前後方向の全長を包囲することが好ましい。前後方向とは、車両の前方−後方方向(F−R方向)のことである。固定部30は通常、その内面側においてクロスカービームと面接触する。これにより、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上が達成される。
【0050】
センタステイ3における固定部30を含む全体厚みCd(図9)は通常、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、0.2×D以上であり、好ましくは0.2×D〜3×Dであり、より好ましくは0.4×D〜2.5×Dである。
【0051】
センタステイ3の本体部300は、中実板状構造を有していてもよいが、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図7A図7Bおよび図7Cに示すように、以下のセンタステイリブ構造を有することが好ましい:
面材部31、当該面材部の外縁に立設される外縁リブ301および当該外縁リブの内側で面材部上に立設される内側リブ302を有するセンタステイリブ構造。
【0052】
センタステイリブ構造において、リブにより規定される各空間の平面視形状は四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよい。従って、このようなリブ構造は、各空間の平面視形状が六角形状であるハニカム構造を包含する。
【0053】
内側リブ302は、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、面材部31上、互いに直行する2つの方向に沿って延在するリブを含むことが好ましい。内側リブは、同様の観点から縦リブ(302a)および横リブ(302b)を含むことがより好ましい。縦リブは、面材部31上、ルーフ−フロア方向に沿って延在するリブである。横リブは、面材部31上、ルーフ−フロア方向(Hr−Hf方向)に対して垂直方向に沿って延在するリブである。縦リブおよび横リブの高さは、図7A図7Bおよび図7Cにおいて、通常、均等であるが、これに限定されず、横リブの高さは縦リブの高さよりも低くてもよい。
【0054】
センタステイ3における外縁リブおよび内側リブのリブ高さは通常、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、それぞれ独立して、0.1×D以上であり、好ましくは0.1×D〜1×Dであり、より好ましくは0.2×D〜0.5×Dであってもよい。
【0055】
センタステイ3における面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、それぞれ独立して、例えば、0.5〜10mmであり、好ましくは0.5〜3mmである。
【0056】
図1A等において、外縁リブおよび内側リブは運転席側に位置付けられる面材部31から助手席側に向けて立設されているが、これに限定されず、助手席側に位置付けられる面材部から運転席側に向けて立設されていてもよい。衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、外縁リブおよび内側リブは運転席側に位置付けられる面材部31から助手席側に向けて立設されていることが好ましい。
【0057】
センタステイ3とクロスカービーム1との締結は通常、これらの2部品共締めおよび/またはこれらの2部品と後述の補強部材5との3部品共締めにより達成される。センタステイ3が、図7Aおよび図9に示すように、締結用延出部32および当該締結用演出部32に形成された締結用ホールC1,C2を有し、当該締結用延出部32および締結用ホールC1,C2を利用することにより、センタステイ3とクロスカービーム1との締結を達成してもよい。
【0058】
センタステイ3は複数の締結用ホールを有し、その形成位置により、センタステイ3とクロスカービーム1および/または補強部材5との締結が達成され得る。
例えば、図7B図7C図8および図9に示すように、センタステイ3は面材部31における後述の突出部35間に締結用ホールR1を有し、当該締結用ホールR1において、センタ側補強部材5bとセンタステイ3との締結を、
センタ側補強部材5bとセンタステイ3との2部品共締め(2B')
により達成してもよい。
【0059】
センタステイ3は、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図7A図7C図8および図9に示すように、固定部30において、車両の後方方向(R方向)およびクロスカービーム1の軸方向(特に車幅方向(W方向)、特に運転席側方向(Wd方向))へ延びる突出部35を有することが好ましい。突出部35は、固定部30と本体部300との間において設けられたリブ(rib)またはプリート(pleat)である。突出部35は2つの主面(側面)および1つ以上の端面を有している。主面(側面)とは突出部の厚み方向に対して垂直な面のことである。端面とは突出部の厚み方向に対して平行な面のことである。突出部35が後述のセンタ側補強部材5bの凹壁部55に嵌入することにより、補強部材5に基づいて変換された撓み応力による変位を低減することができ、結果として、伝導される振動がより一層、十分に低減される。このため、嵌入により、振動の乗員への伝導がより一層、十分に防止され、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0060】
突出部35の数は特に限定されず、自動車用途において通常は、1つのセンタ側補強部材5bに対して、1つ以上であり、好ましくは2つ〜6つであり、より好ましくは3つ〜5つである。隣接する2つの突出部35は、縦リブによって、連結されていてもよい。
【0061】
突出部35のR方向長さhp(図7B)は特に限定されず、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、通常は0.1×D〜1×Dであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは0.2×D〜0.6×Dであり、より好ましくは0.3×D〜0.5×Dである。
【0062】
突出部35のW方向長さCp(図9)は特に限定されず、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、通常は0.1×D〜1×Dであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは0.2×D〜0.5×Dであり、より好ましくは0.2×D〜0.4×Dである。
【0063】
突出部35の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該突出部35の厚みは、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、通常は0.5〜5mmであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは1〜4mmである。
【0064】
センタステイ3を構成する材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成する材料と同じ材料を例示することができる。センタステイ3を構成する材料は、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、ポリマー材料であることが好ましい。センタステイ3を構成するポリマー材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成するポリマー材料と同じ材料を例示することができる。好ましくはFRTPである。センタステイ3がポリマー材料から構成される場合、例えば、射出成形により製造することができる。
【0065】
(サイドブラケット)
ステアリング支持構造体10は通常、サイドブラケット4を有する。サイドブラケット4は、クロスカービーム1をその両端部分で支持しつつ、筐体に固定するための固定部材である。サイドブラケット4は、図2A図2B図2Cおよび図2Dに示すように、クロスカービーム1の端部外周を包囲してクロスカービーム1とサイドブラケット4との締結を達成するための取り付け部41、およびサイドブラケット4を筐体に固定するためのフランジ部42を含む。
【0066】
サイドブラケット4とクロスカービーム1との締結は通常、これらの2部品共締めおよび/またはこれらの2部品と後述の補強部材5との3部品共締めにより達成される。サイドブラケット4が締結用延出部を有することにより、当該締結用延出部を利用して、サイドブラケット4とクロスカービーム1との締結を達成してもよい。
【0067】
サイドブラケット4は複数の締結用ホールを有し、その形成位置により、サイドブラケット4とクロスカービーム1および/または補強部材5との締結が達成され得る。
【0068】
サイドブラケット4を構成する材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成する材料と同じ材料を例示することができる。サイドブラケット4を構成する材料は、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、ポリマー材料であることが好ましい。サイドブラケット4を構成するポリマー材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成するポリマー材料と同じ材料を例示することができる。好ましくはFRTPである。サイドブラケット4がポリマー材料から構成される場合、例えば、射出成形により製造することができる。
【0069】
(補強部材)
ステアリング支持構造体10は補強部材5を有していてもよいし、有していなくてもよい。ステアリング支持構造体10が補強部材5を有していなくても、「ステアリング支持部材の特有の構造」に基づく衝突性能およびステアリング振動性能の向上効果は得られるが、ステアリング支持構造体10が補強部材5を有することにより、「補強部材による捻れ応力の撓み応力への変換」に基づくステアリング振動性能の向上効果が得られる。
【0070】
補強部材5は、クロスカービーム1の平面部を覆いつつ、ステアリング支持部材2と締結されている部材である。補強部材5によるステアリング振動性能の向上効果について、補強部材5は、ステアリング支持構造体10に入力された力に起因するクロスカービーム1の変形について変形モードを変える機能を有する。詳しくは、補強部材5は、ステアリング支持構造体10に入力された力に起因するクロスカービームの変形モードを「捻れ変形モード」から「撓み変形モード」に変える変形モード変換部材であり、結果として、ステアリング支持構造体10に入力された捻れ応力を撓み応力に変換する。より詳しくは、補強部材5を用いると、ステアリング支持構造体10は、振動等に基づいて入力された力によっても捻れ変形し難くなり、ステアリング支持構造体10(特に補強部材5で補強された部分)が全体として撓み変形するようになる。このため、ステアリング支持構造体10に入力された走行時の走行振動およびエンジン駆動時のエンジン振動等のような振動の乗員への伝導が防止され、ステアリング振動性能が向上する。
【0071】
補強部材5が覆うクロスカービーム1の平面部の配置は、特に限定されず、例えば、クロスカービーム1が断面視形状として矩形状を有する場合、図5Aに示すような前面1a、後面1b、上面1cおよび下面1dからなる群から選択される1つ以上の面であってもよい。補強部材5が覆うクロスカービーム1の平面部の配置は、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図1等に示すように、少なくともクロスカービーム1の後面1bであることが好ましく、当該観点とさらなる軽量化の観点から後面1bのみであることがより好ましい。
【0072】
補強部材5は、図1等において、クロスカービーム1におけるセンタステイ3よりもステアリング支持部材5側(運転席側Wd)に位置する平面部を覆っているが、これに限定されず、当該平面部の代わりに、または当該平面部に加えて、助手席側Wpに位置する平面部を覆っていてもよい。補強部材5は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、センタステイ3よりも少なくとも運転席側Wdに位置する平面部を覆っていることが好ましく、当該観点とさらなる軽量化の観点から、センタステイ3よりも運転席側Wdに位置する平面部のみを覆っていることが好ましい。
【0073】
補強部材5は、中実板状構造を有していてもよく、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図2A図2B図2C図2D図3および図10Aに示すように、以下の補強部材リブ構造を有することが好ましい:
面材部50、当該面材部の外縁に立設される外縁リブ501および当該外縁リブの内側で面材部上に立設される内側リブ502を有する補強部材リブ構造。
なお、補強部材5は面材部50を必ずしも有さなくてもよいが、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、面材部50を有することが好ましい。
【0074】
補強部材リブ構造において、リブにより規定される各空間の平面視形状は四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよい。従って、このようなリブ構造は、各空間の平面視形状が六角形状であるハニカム構造を包含する。
【0075】
内側リブ502は少なくとも縦リブ(502a)を含み、衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、縦リブ(502a)および横リブ(502b)を含むことがより好ましい。
【0076】
縦リブ(502a)は、面材部50上、クロスカービーム1の軸方向に対して垂直方向に沿って延在するリブである。縦リブにより、捻れ応力から変換された撓み応力に対する耐性がステアリング支持構造体10に付与される。特にステアリング支持構造体10が補強部材5をクロスカービームの後面の平面部に有する場合、縦リブは、撓み応力による上下方向(ルーフ−フロア方向(Hr−Hf方向))および前後方向(前方−後方方向(F−R方向))の変位を低減することができる。このため、縦リブの存在によりステアリング振動性能が著しく向上し、例えば、補強部材5が中実板状構造を有する場合と比較しても、著しく優れたステアリング振動性能が得られる。
【0077】
横リブは(502b)、面材部50上、クロスカービーム1の軸方向に対して平行方向に沿って延在するリブである。横リブによっても、捻れ応力から変換された撓み応力に対する耐性がステアリング支持構造体10に付与される。特にステアリング支持構造体10が補強部材5をクロスカービームの後面の平面部に有する場合、横リブは、撓み応力による前後方向(前方−後方方向(F−R方向))の変位を低減することができる。このため、横リブの存在によりステアリング振動性能がより一層、向上する。
【0078】
縦リブおよび横リブの高さは、図2A図2B図2C図2Dおよび図3において、通常、均等であるが、これに限定されず、横リブの高さは縦リブの高さよりも低くてもよい。
【0079】
補強部材5における外縁リブおよび内側リブのリブ高さh1(図10A)は通常、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、それぞれ独立して、0.1×D以上であり、好ましくは0.1×D〜1×Dであり、より好ましくは0.2×D〜0.5×Dであってもよい。
【0080】
補強部材5における面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該面材部、外縁リブおよび内側リブの厚みは、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、それぞれ独立して、例えば、0.5〜10mmであり、好ましくは0.5〜3mmである。
【0081】
補強部材5が補強部材リブ構造を有する場合、補強部材5は通常、面材部50(特にその裏面)をクロスカービーム1の平面部に面接触させて配置されている。
【0082】
補強部材5は、少なくともステアリング支持部材2と締結されていればよく、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、好ましくはサイドブラケット4またはセンタステイ3の少なくとも一方、およびステアリング支持部材2と締結されている。補強部材5がサイドブラケット4およびステアリング支持部材2と締結されることにより、サイドブラケット4とステアリング支持部材2との連結が達成される。補強部材5がセンタステイ3およびステアリング支持部材2と締結されることにより、センタステイ3とステアリング支持部材2との連結が達成される。サイドブラケット4とステアリング支持部材2との補強部材による連結、および/またはセンタステイ3とステアリング支持部材2との補強部材による連結により、捻れ応力の撓み応力へのより十分な変換が達成され、ステアリング支持構造体10がより一層、捻れ変形し難くなり、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。本発明において、連結は、2つ以上の部材を結合して連動させる概念で用いるものとする。
【0083】
補強部材5は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、より好ましくはサイドブラケット4またはセンタステイ3の少なくとも一方、およびクロスカービーム1ならびにステアリング支持部材2と締結されている。補強部材5は、同様の観点から、さらに好ましくはサイドブラケット4、センタステイ3、クロスカービーム1およびステアリング支持部材2と締結されている。
【0084】
補強部材5は、後述のセンタ側補強部材5bの説明で詳述するように、クロスカービーム1の上面および下面に向けて延設部を有し、コの字状包囲部が形成されていてもよい。後述の補強部材5bで図10Bにおいて説明するように、補強部材5(5b)にクロスカービーム1の上面および下面に向けて延設部57が形成され、これにより、裏面側にコの字状包囲部が形成される。その断面視形状がコの字状となる。断面視形状はクロスカービーム1の軸方向に対して垂直な断面視における形状である。コの字状包囲部は通常、その内面側においてクロスカービーム1と面接触する。これにより、ステアリング支持構造体の捻れ変形がより一層、十分に防止され、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0085】
補強部材5は1つ以上の補強部材を含んでもよい。補強部材5は、例えば、図1等において、サイド側補強部材5aおよびセンタ側補強部材5bを含むが、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、サイド側補強部材5aまたはセンタ側補強部材5bの少なくとも一方を含む。サイド側補強部材5aとは、サイドブラケット4とステアリング支持部材2との間に位置するクロスカービーム1の平面部を覆う補強部材5のことである。センタ側補強部材5bとは、センタステイ3とステアリング支持部材2との間に位置するクロスカービーム1の平面部を覆う補強部材5のことである。
【0086】
補強部材5は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、少なくともサイド側補強部材5aを含むことが好ましく、より好ましくはサイド側補強部材5aおよびセンタ側補強部材5bの両方を含む。
【0087】
サイド側補強部材5aは、少なくともステアリング支持部材2と締結されており、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、好ましくは少なくともサイドブラケットおよびステアリング支持部材と締結されており、より好ましくはサイドブラケット、クロスカービームおよびステアリング支持部材と締結されている。
【0088】
サイド側補強部材5aは複数の締結用ホールを有し、当該複数の締結用ホールを介して、サイド側補強部材5aと各部材とが締結されてもよい。
【0089】
サイド側補強部材5aは図2A図2Dに示すようにステアリング支持部材2側に、当該ステアリング支持部材2の表面に沿って形成された締結用縁部51aを有し、当該締結用縁部51aに締結用ホールP1、P2を有していてもよい。
【0090】
サイド側補強部材5aは、後述のセンタ側補強部材5bの説明で詳述するように、クロスカービーム1の上面および下面に向けて延設部を有し、コの字状包囲部が形成されていてもよい。後述の補強部材5bで図10Bにおいて説明するように、補強部材5(5b)にクロスカービーム1の上面および下面に向けて延設部57が形成され、これにより、裏面側にコの字状包囲部が形成される。その断面視形状がコの字状となる。断面視形状はクロスカービーム1の軸方向に対して垂直な断面視における形状である。コの字状包囲部は通常、その内面側においてクロスカービーム1と面接触する。これにより、ステアリング支持構造体の捻れ変形がより一層、十分に防止され、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0091】
サイド側補強部材5aは、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図2A図2Dに示すように、延設部に締結用縁部52a、53aを有し、かつ当該締結用縁部52a、53aに締結用ホールM1〜M4を有してもよい。締結用ホールM1〜M4は、サイド側補強部材5aと各部材との締結に使用することができる。
【0092】
サイド側補強部材5aは図2A図2Dに示すように面材部50に締結用ホールP3〜P8を有し、当該締結用ホールP3〜P8を用いて、サイド側補強部材5aと各部材との締結に使用してもよい。
【0093】
サイド側補強部材5aは、複数の締結用ホールの形成位置により、各部材との締結が達成され得る。サイド側補強部材5aと各部材との間で達成される締結の数は1つ以上であり、サイド側補強部材5aの寸法に応じて2つ以上であることが好ましい。
【0094】
例えば、図2Aおよび図2Dに示すように、締結用ホールP1、P2においては、サイド側補強部材5aとステアリング支持部材2との締結を、
サイド側補強部材5aとステアリング支持部材2との2部品共締め(1A)
により達成する。このような締結用ホールP1、P2を用いた、締結用縁部51aと、上側部材2aおよび下側部材2bの双方との締結により、サイド側補強部材とステアリング支持部材との2部品共締め(1A)は達成されてもよい。サイド側補強部材5aとステアリング支持部材2との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは2つ〜4つである。
【0095】
また例えば、図2A図2C図2Dおよび図3に示すように、締結用ホールM1、M2、P3、P4においては、サイド側補強部材5aとサイドブラケット4との締結を、
サイド側補強部材5aとサイドブラケット4とクロスカービーム1との3部品共締め(1B)
により達成する。3部品共締め(1B)は、サイド側補強部材5aの面材部50におけるサイドブラケット側端部(締結用ホールP3、P4)およびその延設部57にある締結用縁部52a(締結用ホールM1、M2)と、サイドブラケット4の取り付け部41(当該取り付け部にある締結用ホール)と、クロスカービーム1との重複部分において達成される。サイド側補強部材5aとサイドブラケット4との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは4つ〜6つである。
【0096】
また例えば、図2Aおよび図3に示すように、締結用ホールM1〜M4、P3〜P8においては、サイド側補強部材5aとクロスカービーム1との締結を、
サイド側補強部材5aとサイドブラケット4とクロスカービーム1との3部品共締め(1B)(締結用ホールM1、M2、P3、P4);および
サイド側補強部材5aとクロスカービーム1との2部品共締め(1C)(締結用ホールM3、M4、P5〜P8)
により達成する。サイド側補強部材5aとクロスカービーム1との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは6つ〜12である。
【0097】
サイド側補強部材5aとクロスカービーム1との締結は、上記のように、必ずしも3部品共締め(1B)および2部品共締め(1C)の両方により達成されなければならないというわけではなく、これらの共締めのうちの少なくとも一方の共締めにより達成されればよい。サイド側補強部材5aとクロスカービーム1との締結は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、3部品共締め(1B)および2部品共締め(1C)の両方により達成されていることが好ましい。
【0098】
センタ側補強部材5bは、少なくともステアリング支持部材2と締結されており、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、好ましくは少なくともセンタステイおよびステアリング支持部材と締結されており、より好ましくはセンタステイ、クロスカービームおよびステアリング支持部材と締結されている。
【0099】
センタ側補強部材5bは複数の締結用ホールを有し、当該複数の締結用ホールを介して、センタ側補強部材5bと各部材とが締結されてもよい。
【0100】
センタ側補強部材5bは図2B図10Aおよび図10Bに示すようにステアリング支持部材2側に、当該ステアリング支持部材2の表面に沿って形成された締結用縁部51bを有し、当該締結用縁部51bに締結用ホールQ1、Q2を有していてもよい。
【0101】
センタ側補強部材5bは、図10Bに示すように、クロスカービーム1の上面および下面に向けて延設部57を有し、これにより、裏面側にコの字状包囲部を形成してもよい。コの字状包囲部は、クロスカービーム1の後面に相当する平面部だけでなく、クロスカービーム1の上面の一部および下面の一部も覆っている。コの字状包囲部は通常、その内面側においてクロスカービーム1と面接触する。これにより、ステアリング支持構造体の捻れ変形がより一層、十分に防止され、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0102】
センタ側補強部材5bは、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、図2A図2Dに示すように、延設部に締結用縁部52b、53bを有し、かつ当該締結用縁部52b、53bに締結用ホールN1〜N4を有してもよい。締結用ホールN1〜N4は、センタ側補強部材5bと各部材との締結に使用することができる。
【0103】
センタ側補強部材5bは図2Dおよび図10Aに示すようにセンタステイ3側に、当該センタステイ3の表面に沿って形成された締結用縁部54bを有し、当該締結用縁部54bに締結用ホールQ7を有していてもよい。
【0104】
センタ側補強部材5bは図10Bに示すように面材部50に締結用ホールQ3〜Q6を有し、当該締結用ホールQ3〜Q6を用いて、センタ側補強部材5bと各部材との締結に使用してもよい。
【0105】
センタ側補強部材5bは、複数の締結用ホールの形成位置により、各部材との締結が達成され得る。センタ側補強部材5bと各部材との間で達成される締結の数は1つ以上であり、センタ側補強部材5bの寸法に応じて2つ以上であることが好ましい。
【0106】
例えば、図2B図10Aおよび図10Bに示すように、締結用ホールQ1、Q2においては、センタ側補強部材5bとステアリング支持部材2との締結を、
センタ側補強部材5bとステアリング支持部材2との2部品共締め(2A)
により達成する。このような締結用ホールQ1、Q2を用いた、締結用縁部51bと、上側部材2aおよび下側部材2bの双方との締結により、センタ側補強部材とステアリング支持部材との2部品共締め(2A)は達成されてもよい。センタ側補強部材5bとステアリング支持部材2との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは2つ〜4つである。
【0107】
また例えば、図2A図2C図2D図3図10Aおよび図10Bに示すように、締結用ホールN1、N2、Q5、Q6、Q7においては、センタ側補強部材5bとセンタステイ3との締結を、
センタ側補強部材5bとセンタステイ3とクロスカービーム1との3部品共締め(2B)(締結用ホールN1、N2、Q5、Q6);および
センタ側補強部材5bとセンタステイ3との2部品共締め(2B')(締結用ホールQ7)
により達成する。3部品共締め(2B)は、センタ側補強部材5bの面材部50におけるセンタステイ側端部(締結用ホールQ5、Q6)と、センタステイ3の固定部30(当該固定部にある締結用ホール)と、クロスカービーム1との重複部分において達成される。センタ側補強部材5bとセンタステイ3との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは4つ〜6つである。
【0108】
センタ側補強部材5bとセンタステイ3との締結は、上記のように、必ずしも3部品共締め(2B)および2部品共締め(2B')の両方により達成されなければならないというわけではなく、これらの共締めのうちの少なくとも一方の共締めにより達成されればよい。センタ側補強部材5bとセンタステイ3との締結は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、3部品共締め(2B)および2部品共締め(2B')の両方により達成されていることが好ましい。
【0109】
また例えば、図2A図2C図2D図3図10Aおよび図10Bに示すように、締結用ホールN1〜N4、Q3〜Q6においては、センタ側補強部材5bとクロスカービーム1との締結を、
センタ側補強部材5bとセンタステイ3とクロスカービーム1との3部品共締め(2B)(締結用ホールN1、N2、Q5、Q6);および
センタ側補強部材5bとクロスカービーム1との2部品共締め(2C)(締結用ホーN3、N4、Q3、Q4)
により達成する。センタ側補強部材5bとクロスカービーム1との間で達成される締結の数は通常は1つ以上、好ましくは2つ以上であり、特に自動車用途においてより好ましくは6つ〜12である。
【0110】
センタ側補強部材5bとクロスカービーム1との締結は、上記のように、必ずしも3部品共締め(2B)および2部品共締め(2C)の両方により達成されなければならないというわけではなく、これらの共締めのうちの少なくとも一方の共締めにより達成されればよい。センタ側補強部材5bとクロスカービーム1との締結は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、3部品共締め(2B)および2部品共締め(2C)の両方により達成されていることが好ましい。
【0111】
センタ側補強部材5bは、センタステイ3が突出部35を有する場合、センタステイ3側の端部に、当該突出部35の2つの主面(側面)を覆う凹壁部55を有することが好ましい。凹壁部55に、センタステイ3の突出部35が嵌入することにより、ステアリング支持構造体10がより一層、捻れ変形し難くなるだけでなく、撓み変形の変位が低減され、振動がより一層、伝導され難くなるため、ステアリング振動性能がより一層、十分に向上する。
【0112】
凹壁部55は、図10A等において、突出部35の2つの主面(側面)および1つの端面を覆うように設けられており、すなわち突出部35の2つの主面(側面)と対面する壁面部55a、55bおよび突出部35の端面と対面する壁面部55cからなっている。凹壁部55はこれに限定されず、壁面部55a、55bのみからなっていてもよい。ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、凹壁部55は壁面部55a、55bおよび55cからなっていることが好ましい。
【0113】
凹壁部55の壁面部55a、55bは通常、突出部35の2つの主面(側面)に対応して、クロスカービーム1の軸方向に対して平行方向に沿って延在している。このため、凹壁部55は、前記した補強部材5の横リブ(502b)のように、捻れ応力から変換された撓み応力に対する耐性をステアリング支持構造体10に付与することができる。特にステアリング支持構造体10が補強部材5をクロスカービームの後面の平面部に有する場合、凹壁部55は、撓み応力による前後方向(前方−後方方向(F−R方向))の変位を低減することができる。このため、凹壁部55の存在によりステアリング振動性能がより一層、向上する。
【0114】
凹壁部55と突出部35との隙間には接着剤が充填されてもよい。
【0115】
センタ側補強部材5bにおける凹壁部55の数は特に限定されず、自動車用途において通常は、上記した1つのセンタ側補強部材に対する突出部35の数に対応する数であってよい。
【0116】
凹壁部55のR方向高さhc(図10A)は、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、通常は0.01×D〜0.4×Dであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは0.02×D〜0.3×Dであり、より好ましくは0.05×D〜0.2×Dである。当該高さhcが高いほど、「センタステイと補強部材との嵌入による撓み変形変位の低減」に基づいてステアリング振動性能がより一層、向上する。
【0117】
凹壁部55のW方向長さCc(図10A)は特に限定されず、クロスカービーム1の後面1bの幅をD(mm)としたとき、通常は0.1×D〜1×Dであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは0.1×D〜0.5×Dであり、より好ましくは0.2×D〜0.4×Dである。
【0118】
凹壁部55を構成する壁面部の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜、決定されればよい。当該壁面部の厚みは、ステアリング支持構造体を車両、特に自動車の用途で用いる場合、通常は0.5〜5mmであり、軽量化とステアリング振動性能のさらなる向上とのバランスの観点から、好ましくは1〜4mmである。
【0119】
本実施態様においては、凹壁部55への突出部35の嵌入によっても、センタ側補強部材5bとセンタステイ3との締結が達成されている。しかし、本発明においては、必ずしも凹壁部55への突出部35の嵌入による締結が達成されていなければならないというわけではなく、当該嵌入による締結が達成されなくていなくても、本発明の効果が得られることは明らかである。
【0120】
本実施態様においては、サイド側補強部材5aとセンタ側補強部材5bとは相互に別部材として使用されているが、別の一実施態様においては、サイド側補強部材5aとセンタ側補強部材5bとは一体化された1つの部材として使用されてもよい。この場合、例えば、サイド側補強部材5aとセンタ側補強部材5bとを面材により結合し、一体化補助部材とすればよい。このような一体化補助部材を用いたステアリング支持構造体は、サイド側補強部材5aとセンタ側補強部材5bとの結合のための面材部がクロスカービーム1とステアリング支持部材2との間に配置されること以外、図1等のステアリング支持構造体と同様の配置および構造を有する。
【0121】
好ましい別の一実施態様においては、補強部材5(5a、5b)と各部材との締結をボルトにより達成する場合、当該締結は、ステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、ボルトの軸方向がクロスカービーム1の軸方向と平行になるように行うことが好ましい。このような観点から、本発明においては、以下の締結を達成することが好ましい:
・補強部材5aとステアリング支持部材2との締結を少なくとも締結用縁部51aの締結用ホールP1、P2でボルトにより達成する(図2A);かつ/または
・補強部材5bとステアリング支持部材2との締結を少なくとも締結用縁部51bの締結用ホールQ1、Q2でボルトにより達成する(図2B図10A)。
【0122】
ボルトの軸方向とクロスカービーム1の軸方向とは厳密には平行ではないが、以下の締結をさらに達成することが、同様の観点から、より好ましい:
・補強部材5bとセンタステイ3との締結を少なくとも締結用縁部54bの締結用ホールQ7でボルトにより達成する(図10A)。
【0123】
補強部材5を構成する材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成する材料と同じ材料を例示することができる。補強部材5を構成する材料は、さらなる軽量化ならびに衝突性能およびステアリング振動性能のさらなる向上の観点から、ポリマー材料であることが好ましい。補強部材5を構成するポリマー材料は特に限定されず、例えば、ステアリング支持部材2を構成するポリマー材料と同じ材料を例示することができる。好ましくはFRTPである。補強部材5がポリマー材料から構成される場合、例えば、射出成形により製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明のステアリング支持構造体は、車両のステアリング装置を支持するための構造体のことである。本明細書中、車両は、自動車、バス、トラック、電車(鉄道車両)等の車両だけでなく、ステアリング装置を備えたあらゆる乗り物(運搬装置)を含む概念で用いるものとし、例えば、上記車両、航空機、船舶等を包含する。
【符号の説明】
【0125】
1:クロスカービーム
1a:前面
1b:後面
1c:上面
1d:下面
2:ステアリング支持部材
2a:上側部材
2b:下側部材
3:センタステイ
4:サイドブラケット
5:補強部材
5a:サイド側補強部材
5b:センタ側補強部材
10:ステアリング支持構造体
21:ステアリング支持部材の前端部
29:ステアリング支持部材の後端部
30:センタステイの固定部
31:面材部
35:突出部
50:面材部
51a:51b:52a:52b:53a:53b:締結用縁部
57:延設部
55:凹壁部
55a:55b:55c:壁面部
300:センタステイの本体部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B