【解決手段】ポータブルオーディオシステム1の出力音データ生成部1107は、オーディオソース1105が出力したオーディオデータから、低域をカットした主オーディオデータと、中高域をカットした副オーディオデータとの2系統のオーディオデータを生成し、主オーディオデータが表すサウンドを、アンプ1103を介して内蔵スピーカ1104から出力すると共に、無線伝送装置1102を介してポータブルスピーカ12に無線伝送し、ポータブルスピーカ12から出力する。また、出力音データ生成部1107は、副オーディオデータを近距離無線通信装置1101を介して、カーオーディオシステム2の本体装置21に送信する。カーオーディオシステム2は、受信した副オーディオデータが表すサウンドを車載スピーカ22から出力する。
車載通信装置と車載スピーカとを備えると共に前記車載通信装置で受信したオーディオデータのサウンドを前記車載スピーカから出力可能なカーオーディオシステムが搭載された自動車に持ち込み可能なポータブルオーディオシステムであって、
前記車載通信装置に通信接続可能なポータブル通信手段と、
ポータブルスピーカと、
前記ポータブル通信手段と前記車載通信装置とが通信接続しているときに、オーディオデータから、当該オーディオデータが表すサウンドの低域の周波数成分をカットしたサウンドを表す主オーディオデータと、当該オーディオデータが表すサウンドの中高域の周波数成分をカットしたサウンドを表す副オーディオデータを生成し、主オーディオデータが表すサウンドを前記ポータブルスピーカから出力し、前記副オーディオデータを前記通信接続を介して前記車載通信装置に送信する出力制御手段とを有することを特徴とするポータブルオーディオシステム。
車載通信装置と車載スピーカとを備えると共に前記車載通信装置で受信したオーディオデータのサウンドを前記車載スピーカから出力可能なカーオーディオシステムが搭載された自動車に持ち込み可能なポータブルオーディオシステムであって、
前記車載通信装置に通信接続可能なポータブル通信手段と、
ポータブルスピーカと、
前記ポータブル通信手段と前記車載通信装置とが通信接続しているときに、オーディオデータから、当該オーディオデータが表すサウンドの所定周波数以下の周波数成分を減衰したサウンドを表す主オーディオデータと、当該オーディオデータが表すサウンドの前記所定周波数超の周波数成分を減衰したサウンドを表す副オーディオデータを生成し、主オーディオデータが表すサウンドを前記ポータブルスピーカから出力し、前記副オーディオデータを前記通信接続を介して前記車載通信装置に送信する出力制御手段とを有することを特徴とするポータブルオーディオシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような、自動車に搭載され、無線通信を介してポータブル装置から転送された音楽をスピーカから出力するオーディオシステムによれば、ユーザは、ポータブル装置に保存してある楽曲を自動車のスピーカを利用して聴取することができるようになる。
【0005】
しかし、この場合、ユーザが聴取できる楽曲の音質は、自動車に搭載されたオーディオシステムの音質に制限されることとなるため、低音質のオーディオシステムが搭載された自動車では、ユーザは、低音質で楽曲を聴取することを甘受しなければならなくなる。なお、特に、レンタカーやシェアカーなどでに搭載されるオーディオシステムは、比較的安価な、中高域の出力性能の低いオーディオシステムであることが多い。
【0006】
また、一方、自動車に搭載されたオーディオシステムを利用せずに、ポータブル装置のスピーカから音楽を出力するようにした場合には、ポータブル装置のスピーカはポータブルであることによるサイズ上の制限から低域の出力性能が低いため、やはり、充分に高音質な楽曲を聴取することができない。
【0007】
そこで、本発明は、自動車に搭載されたオーディオシステムを利用して、ポータブルな装置を音源とする楽曲を、より高音質に聴取可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、車載通信装置と車載スピーカとを備えると共に前記車載通信装置で受信したオーディオデータのサウンドを前記車載スピーカから出力可能なカーオーディオシステムが搭載された自動車に持ち込み可能なポータブルオーディオシステムに、前記車載通信装置に通信接続可能なポータブル通信手段と、ポータブルスピーカと、前記ポータブル通信手段と前記車載通信装置とが通信接続しているときに、オーディオデータから、当該オーディオデータが表すサウンドの低域の周波数成分をカットしたサウンドを表す主オーディオデータと、当該オーディオデータが表すサウンドの中高域の周波数成分をカットしたサウンドを表す副オーディオデータを生成し、主オーディオデータが表すサウンドを前記ポータブルスピーカから出力し、前記副オーディオデータを前記通信接続を介して前記車載通信装置に送信する出力制御手段とを備えたものである。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、車載通信装置と車載スピーカとを備えると共に前記車載通信装置で受信したオーディオデータのサウンドを前記車載スピーカから出力可能なカーオーディオシステムが搭載された自動車に持ち込み可能なポータブルオーディオシステムに、前記車載通信装置に通信接続可能なポータブル通信手段と、ポータブルスピーカと、前記ポータブル通信手段と前記車載通信装置とが通信接続しているときに、オーディオデータから、当該オーディオデータが表すサウンドの所定周波数以下の周波数成分を減衰したサウンドを表す主オーディオデータと、当該オーディオデータが表すサウンドの所定周波数超の周波数成分を減衰したサウンドを表す副オーディオデータを生成し、主オーディオデータが表すサウンドを前記ポータブルスピーカから出力し、前記副オーディオデータを前記通信接続を介して前記カーオーディオシステムの前記通信装置に送信する出力制御手段とを備えたものである。
【0010】
ここで、このようなポータブルオーディオシステムに、マイクロフォンと、前記通信接続を介して所定のテスト用オーディオデータを送信すると共に、前記車載スピーカから出力されるテスト用オーディオデータが表すサウンドをマイクロフォンでピックアップして、前記テスト用オーディオデータと当該ピックアップしたサウンドとに基づいて前記カーオーディオシステムの再生周波数特性を検出し、検出した再生周波数特性に応じて、当該ポータブルオーディオシステムにおいて前記ポータブルスピーカから出力した場合よりも、良好に前記カーオーディオシステムが出力できる低域成分のみが前記所定周波数以下の可聴周波数領域に含まれるように前記所定周波数を設定する設定手段とを備えるようにしてもよい。
【0011】
また、以上のポータブルオーディオシステムは、前記出力制御手段において、前記通信手段と前記ポータブルオーディオシステムの通信装置とが通信接続していないときには、前記オーディオデータが表すサウンドの全域を前記スピーカから出力するように構成することが好ましい。
【0012】
また、以上のポータブルオーディオシステムは、当該ポータブルオーディオシステムに、マイクロフォンと、前記マイクロフォンでピックアップしたサウンドに基づいて、前記車載スピーカから出力されるサウンドの、前記ポータブルスピーカから出力されるサウンドに対する遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを備えると共に、前記出力制御手段において、主オーディオデータが表すサウンドを、前記遅延時間算出手段が算出した前記遅延時間分、遅延させて前記スピーカから出力するように構成してもよい。
【0013】
また、以上のポータブルオーディオシステムに、前記オーディオデータを出力するオーディオソースを備えたり、外部機器から前記オーディオデータを受信する第2通信手段を備えるようにしてもよい。
【0014】
また、併せて、本発明は、以上のポータブルオーディオシステムと前記カーオーディオシステムを備えた複合オーディオシステムも提供する。
以上のようなポータブルオーディオシステムによれば、ポータブルであることのサイズ上の制限から出力音域が小さくなってしまう低域成分を、自身のスピーカに代えて、一般的に比較的低域の出力性能の高いカーオーディオシステムの車載スピーカから出力することができるようになる。また、一方で、カーオーディオシステムの中高域の出力性能が低い場合でも、当該出力性能に依存せずに、ポータブルオーディオシステムの出力性能で中高域の出力を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、ユーザは、自動車に搭載されたオーディオシステムを利用して、ポータブルな装置を音源とする楽曲を、より高音質に聴取することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るポータブルオーディオシステム1の構成を示す。
本実施形態に係るポータブルオーディオシステム1は、ユーザによって、カーオーディオシステム2が搭載されている自動車の車内に持ち込まれ使用されるシステムである。
ここで、自動車に搭載されているカーオーディオシステム2は、本体装置21と複数の車載スピーカ22を備えており、
図2a、bに示すように、本体装置21は自動車のダッシュボード内に設置されており、車載スピーカ22は自動車の左右のドア等に設置されている。
【0018】
また、カーオーディオシステム2の本体装置21は、ラジオやディスクプレイヤなどのオーディオデータを出力する車載音源装置211、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行う近距離無線通信装置212(車載通信装置)、セレクタ213、再生処理部214、オーディオアンプ215、制御部216、表示装置217、入力装置218を備えている。
【0019】
そして、制御部216は、入力装置218に対するユーザ操作に応じて、車載音源装置211と近距離無線通信装置212のうちの一つを現用音源として設定する。そして、現用音源としていずれかの車載音源装置211が設定されているときには、当該車載音源装置211が出力するオーディオデータをセレクタ213に再生処理部214に出力させ、再生処理部214はセレクタ213から出力されたオーディオデータを再生してオーディオアンプ215を介して車載スピーカ22に出力する。また、制御部216は、現用音源として近距離無線通信装置212は設定されているときには、近距離無線通信装置212で受信したオーディオデータをセレクタ213に再生処理部214に出力させ、再生処理部214はセレクタ213から出力されたオーディオデータを再生してオーディオアンプ215を介して車載スピーカ22に出力する。
【0020】
次に、ポータブルオーディオシステム1は、メインユニット11と、各々内蔵アンプを備えた複数のポータブルスピーカ12を備えており、
図2a、bに示すように、メインユニット11は自動車のセンタコンソールのカップホルダ等に載置されて使用され、ポータブルスピーカ12は、簡易に取り外し可能なように吸盤による吸着等によって自動車のダッシュボードのトップ面やフロントウインドシールドに固定させた状態で使用される。
【0021】
また、ポータブルオーディオシステム1のメインユニット11は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う近距離無線通信装置1101(ポータブル通信手段)、ポータブルスピーカ12にオーディオ信号を無線伝送する無線伝送装置1102、アンプ1103、内蔵スピーカ1104、デジタルオーディオプレイヤやディスクプレイヤ等の楽曲のオーディオデータを出力するオーディオソース1105、所定のオーディオデータをテストデータとして記憶しているテストデータ記憶部1106、出力音データ生成部1107、解析部1108、マイクロフォン1109、コントローラ1110、操作部1111を備えている。
【0022】
ポータブルオーディオシステム1は、動作モードとして単体でオーディオソース1105のオーディオデータの再生出力を行う単独楽曲再生モードと、カーオーディオシステム2を利用しながらオーディオソース1105のオーディオデータの再生出力を行う車内楽曲再生モードと、出力特性設定モードとを備えている。
【0023】
また、ポータブルオーディオシステム1のメインユニット11の近距離無線通信装置1101は、自動車の車内に持ち込まれると、自動的にまたはユーザ操作に応じて、カーオーディオシステム2の本体装置21の近距離無線通信装置212との間の通信接続を確立する。
【0024】
さて、メインユニット11のコントローラ1110は、起動すると、動作モードとして単独楽曲再生モードを設定する。そして、メインユニット11のコントローラ1110は、メインユニット11の近距離無線通信装置1101と本体装置21の近距離無線通信装置212との間の通信接続が確立すると動作モードとして車内楽曲再生モードを設定し、その後、操作部1111に対するユーザの出力特性設定指示操作が発生すると、動作モードを出力特性設定モードに切り替えて、後述する出力特性設定処理を行い、出力特性設定処理が終了したならば、動作モードを車内楽曲再生モードに切り替える。また、メインユニット11のコントローラ1110は、メインユニット11の近距離無線通信装置1101と本体装置21の近距離無線通信装置212との間の通信接続が切断されたときには、動作モードを単独楽曲再生モードに切り替える。
【0025】
ここで、動作モードが単独楽曲再生モードである期間中、メインユニット11のコントローラ1110は、操作部1111に対するユーザ操作に応じて、オーディオソース1105にユーザによって選定された楽曲のオーディオデータを出力させる制御を行う。
【0026】
また、動作モードが単独楽曲再生モードである期間中、出力音データ生成部1107は、オーディオソース1105が出力したオーディオデータを予めユーザによってイコライザ設定として設定されているゲイン特性で調整したオーディオデータが表すサウンドを、アンプ1103を介して内蔵スピーカ1104から出力すると共に、無線伝送装置1102を介してポータブルスピーカ12に無線伝送しポータブルスピーカ12から出力する。
【0027】
次に、動作モードが車内楽曲再生モードである期間中、メインユニット11のコントローラ1110は、操作部1111に対するユーザ操作に応じて、オーディオソース1105にユーザによって選定された楽曲のオーディオデータを出力させる制御を行う。
【0028】
また、動作モードが車内楽曲再生モードである期間中、出力音データ生成部1107は、オーディオソース1105が出力したオーディオデータから、設定されている出力特性に従った、主オーディオデータと副オーディオデータとの2系統のオーディオデータを生成する。
【0029】
出力特性は、遅延特性とゲイン特性を表すものであり、当該出力特性は、主オーディオデータと副オーディオデータとのそれぞれについて設定されている。そして、出力音データ生成部1107は、オーディオソース1105が出力したオーディオデータに、主オーディオデータに対して設定されている出力特性の遅延特性が表す遅延を与えると共に、主オーディオデータに対して設定されている出力特性のゲイン特性に従ったゲインで周波数特性を変更して、主オーディオデータを生成する。また、同様に、出力音データ生成部1107は、オーディオソース1105が出力したオーディオデータに、副オーディオデータに対して設定されている出力特性の遅延特性が表す遅延を与えると共に、副オーディオデータに対して設定されている出力特性のゲイン特性に従ったゲインで周波数特性を変更して、副オーディオデータを生成する。
【0030】
そして、出力音データ生成部1107は、生成した主オーディオデータが表すサウンドを、アンプ1103を介して内蔵スピーカ1104から出力すると共に、無線伝送装置1102を介してポータブルスピーカ12に無線伝送し、ポータブルスピーカ12から出力する。
【0031】
また、出力音データ生成部1107は、生成した副オーディオデータを近距離無線通信装置1101を介して、カーオーディオシステム2の本体装置21に送信する。
ここで、ユーザは、ポータブルオーディオシステム1を自動車の車内で利用する場合、カーオーディオシステム2の入力装置218を操作して、近距離無線通信装置212を現用音源として本体装置21に設定する。そして、上述のように、近距離無線通信装置212が現用音源として設定されている場合、ポータブルオーディオシステム1のメインユニット11から送信された副オーディオデータが表すサウンドは本体装置21によって車載スピーカ22に出力される。
【0032】
次に、上述のようにポータブルオーディオシステム1のメインユニット11のコントローラ1110が、動作モードが出力特性設定モードに切り替えられたときに行う出力特性設定処理について説明する。
【0033】
なお、ユーザは、カーオーディオシステム2の入力装置218を操作して、近距離無線通信装置212を現用音源として本体装置21に設定した上で、動作モードを出力特性設定モードに切り替える。
【0034】
さて、出力特性設定処理において、コントローラ1110は、出力音データ生成部1107の、主オーディオデータの出力特性と副オーディオデータの出力特性とを予め定めておいた基本の出力特性に設定する。
【0035】
ここで、主オーディオデータの基本の出力特性は、遅延特性が遅延無しを表す特性であり、ゲイン特性が所定周波数fth以下の周波数成分をおおよそカットする特性である。
ここで、イコライザ設定としてフラットなゲイン特性を設定して単独楽曲再生モードでポータブルオーディオシステム1を用いたときの、ポータブルオーディオシステム1の再生周波数特性を基準再生周波数特性として、所定周波数fthは、基準再生周波数特性において、それより低周波数の領域で、音圧レベル(SPL)がフラットとならずに低周波数側に向かって小さくなっていく周波数を設定する。
【0036】
すなわち、たとえば、基準再生周波数特性が
図3aに示すものであった場合には、
図3bに示すように所定周波数fthと、主オーディオデータの基本の出力特性のゲイン特性を設定する。
【0037】
なお、一般的には、ポータブルオーディオシステム1の内蔵スピーカ1104やポータブルスピーカ12は、中高域については良好なゲインを実現できるが、サイズ上の制限から、低域のゲインが小さくならざるを得ないので、所定周波数fthは、中域と低域の境界周辺の周波数(たとえば、200Hzから300Hzの間の周波数)となる。
【0038】
次に、副オーディオデータの基本の出力特性は、遅延特性が遅延無しを表す特性であり、ゲイン特性が
図3cに示すように、fth以上の周波数成分をおおよそカットする特性である。
【0039】
ここで、一般的には、安価なカーオーディオシステム2では、車載スピーカ22として、低域の再生音圧を重視した設定のフルレンジスピーカのみが用いられることが多く、この場合、カーオーディオシステム2の単体での再生周波数特性は
図3dに示すように低域に比べ中高域で音圧レベル(SPL)が小さくなる。
【0040】
また、以上のように出力音データ生成部1107の、主オーディオデータの出力特性と副オーディオデータの出力特性とを基本の出力特性に設定した状態で、車内楽曲再生モードで、オーディオソース1105の楽曲のオーディオデータのサウンドを、ポータブルオーディオシステム1とカーオーディオシステム2とで上述のように内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12と車載スピーカ22から同音量で出力することにより、全体の再生周波数特性として、
図3eに示すように、低中高域に渡ってフラットな再生周波数特性を実現することができる。
【0041】
また、中高域に比べ低域において良質な出力を行うことのできるカーオーディオシステム2を低域の出力のみに用い、低域に比べ中高域に良質な出力を行うことのできるポータブルオーディオシステム1を中高域の出力のみに用いてオーディオを出力するので、全体として良質なオーディオ出力を行うことができる。
【0042】
さて、コントローラ1110は、出力特性設定処理において、出力音データ生成部1107の、主オーディオデータの出力特性と副オーディオデータの出力特性とを基本の出力特性に設定したならば、次に、出力音データ生成部1107に、テストデータ記憶部1106にテストデータとして記憶されているオーディオデータからの、設定されている主オーディオデータの出力特性に従った主オーディオデータの生成と、アンプ1103を介した内蔵スピーカ1104と無線伝送装置1102を介したポータブルスピーカ12への出力を行わせると共に、解析部1108に、マイクロフォン1109から入力する音声に基づいた、出力音データ生成部1107からの主オーディオデータの出力から、主オーディオデータが表すサウンドのマイクロフォン1109への入力までの時間を第1の遅延時間として算出させると共に、解析部1108に、マイクロフォン1109から入力する音声のfth以上の可聴領域の各周波数成分の平均音量を第1音量として算出させる。
【0043】
そして、次に、コントローラ1110は、出力音データ生成部1107に、テストデータ記憶部1106にテストデータとして記憶されているオーディオデータからの、設定されている副オーディオデータの出力特性に従った副オーディオデータの生成と、近距離無線通信装置1101を介したカーオーディオシステム2の本体装置21に送信を行わせると共に、解析部1108に、マイクロフォン1109から入力する音声に基づいた、出力音データ生成部1107からの副オーディオデータの出力から、副オーディオデータが表すサウンドのマイクロフォン1109への入力までの時間を第2の遅延時間として算出させると共に、解析部1108に、マイクロフォン1109から入力する音声のfth以下の可聴領域の各周波数成分の平均音量を第2音量として算出させる。
【0044】
そして、コントローラ1110は、第2の遅延時間から第1の遅延時間を差し引いた時間を遅延として表すように、主オーディオデータの出力特性の遅延特性を更新する。
また、コントローラ1110は、第1音量と第2音量から、マイクロフォン1109で検出される内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12のfth以上の可聴領域の各周波数成分の平均音量が、おおよそマイクロフォン1109で検出される車載スピーカ22のfth以下の可聴領域の各周波数成分の平均音量と等しくなるように、アンプ1103とポータブルスピーカ12の内蔵アンプのゲイン(ボリューム)を設定する。
【0045】
次に、コントローラ1110は、次に、出力音データ生成部1107に、テストデータ記憶部1106にテストデータとして記憶されているオーディオデータからの、設定されている主オーディオデータの出力特性に従った主オーディオデータの生成と、設定されている副オーディオデータの出力特性に従った副オーディオデータの生成と、主オーディオデータのアンプ1103を介した内蔵スピーカ1104と無線伝送装置1102を介したポータブルスピーカ12への出力と、副オーディオデータの近距離無線通信装置212を介したカーオーディオシステム2の本体装置21に送信を行わせると共に、解析部1108に、テストデータとマイクロフォン1109から入力する音声に基く再生周波数特性の解析を行わせる。
【0046】
そして、コントローラ1110は、解析部1108が解析した再生周波数特性に基づいて、車内楽曲再生モードで、オーディオソース1105の楽曲のオーディオデータをポータブルオーディオシステム1とカーオーディオシステム2とで上述のように内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12と車載スピーカ22からオーディオを出力したときの全体の再生周波数特性ができるだけフラットな再生周波数特性となるように、または、当該全体の再生周波数特性が予めユーザによってイコライザ設定などとして設定されている再生周波数特性となるように、主オーディオデータの出力特性のゲイン特性と副オーディオデータの出力特性のゲイン特性とを調整し、出力特性設定処理を終了し、動作モードを車内楽曲再生モードに復帰する。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態では、ポータブルオーディオシステム1にポータブルスピーカ12と内蔵スピーカ1104とを設けたが、これは、ポータブルスピーカ12と内蔵スピーカ1104との一方のみをポータブルオーディオシステム1に設けるようにしてもよい。
【0048】
また、出力特性設定モードにおいてユーザがマイクロフォン1109を自身の耳の近くに配置して使用できるように、以上の実施形態におけるマイクロフォン1109はケーブルによりメインユニット11に接続されるものとすることも好ましい。
【0049】
また、以上の実施形態では、ポータブルスピーカ12と内蔵スピーカ1104に同じ主オーディオデータを出力するものとしたが、これは、出力音データ生成部1107において、主オーディオデータからポータブルスピーカ12に出力するオーディオデータと内蔵スピーカ1104に出力するオーディオデータとの2系統のオーディオデータを、各系統のオーディオデータが出力されるスピーカの周波数特性に適した系統毎に異なるゲイン特性のゲインを与えて生成し、それぞれ、ポータブルスピーカ12と内蔵スピーカ1104に出力するようにしてもよい。
【0050】
また、以上の実施形態では、ポータブルオーディオシステム1においてオーディオソース1105をメインユニット11が備えるものとして説明したが、ポータブルミュージックプレイヤ等の外部のモバイル端末を有線または無線によりメインユニット11に接続し、メインユニット11において接続されたモバイル端末をオーディオソース1105として使用するようにしてもよい。
【0051】
また、以上の実施形態は、主オーディオデータの基本の出力特性のゲイン特性と、副オーディオデータの基本の出力特性のゲイン特性として予め定めたゲイン特性を用いたが、これらのゲイン特性は上述した出力特性設定処理において算定し設定するようにしてもよい。
【0052】
すなわち、この場合には、コントローラ1110は、出力音データ生成部1107に、テストデータ記憶部1106にテストデータとして記憶されているオーディオデータをそのまま、近距離無線通信装置1101を介してカーオーディオシステム2の本体装置21に送信させると共に、解析部1108にテストデータとマイクロフォン1109から入力する音声に基づいた、カーオーディオシステム2の再生周波数特性の解析を行わせる。そして、カーオーディオシステム2の再生周波数特性に応じて周波数fthを設定する。ここで、周波数fthは、
図3fに示すように、ポータブルオーディオシステム1を単体で用いたときの再生周波数特性である基準再生周波数特性Pの音圧レベル(SPL)がおよそフラットとなる周波数領域FB未満の周波数であって、基準再生周波数特性の音圧レベル(SPL)とカーオーディオシステム2の単体での再生周波数特性Cの最大音圧レベル(SPL)を揃えたときに、音圧レベル(SPL)が等しくなる周波数を周波数fthとすること等により設定する。
【0053】
そして、主オーディオデータの基本の出力特性のゲイン特性を、おおよそ所定周波数fth以下の周波数成分をカットする特性に設定し、副オーディオデータの基本の出力特性のゲイン特性を、おおよそ所定周波数fth以上の周波数成分をカットする特性に設定する。
【0054】
また、以上の実施形態は、メインユニット11をモバイル端末を接続可能に構成すると共に、メインユニット11の上述した出力特性設定処理を行う機能をモバイル端末側に設けるようにしてもよい。
【0055】
すなわち、たとえば、
図4に示すように、ポータブルオーディオシステム1とモバイル端末3を構成してもよい。
図4に示したポータブルオーディオシステム1は、
図1に示したメインユニット11のオーディオソース1105とテストデータ記憶部1106と解析部1108とマイクロフォン1109を省略し、代わりに、モバイル端末3と無線通信を行う無線通信装置1112(第2通信手段)をメインユニット11に設けたものである。
【0056】
また、
図4に示したモバイル端末3は、スマートフォンやタブレットやポータブルミュージックプレイヤ等のユーザによって携帯される端末であり、マイクロフォン31、記憶装置32、無線通信装置33、入力デバイスや表示デバイスなどの各種の周辺デバイス34、モバイル端末3のオペレーディングシステムであるモバイルOS35を備えている。また、モバイルOS35上で稼働するアプリケーションとしてプレイヤアプリケーション36(プレイヤAPP36)と、解析アプリケーション37(解析APP37)と、その他のアプリケーション38(他APP38)を備えている。また、記憶装置32には、上述したテストデータと、楽曲の楽曲データが記憶されている。
【0057】
このような構成において、モバイル端末3の無線通信装置33とメインユニット11の無線通信装置1112との通信が確立しているときに、モバイル端末3のプレイヤアプリケーション36は、記憶装置32に記憶されている楽曲データを再生したオーディオデータを無線通信装置33を介してメインユニット11に送信する。
【0058】
一方、メインユニット11において、車内楽曲再生モードにあるとき、出力音データ生成部1107は、無線通信装置1112で受信したオーディオデータを、
図1に示した構成におけるオーディオソース1105が出力したオーディオデータに代えて用いて上述した動作を行う。
【0059】
また、モバイル端末3の無線通信装置33とメインユニット11の無線通信装置1112との通信が確立しているときに、モバイル端末3の解析アプリケーション37は、出力特性調整を指示する所定のユーザ操作に応じて、記憶装置32に記憶されているテストデータとモバイル端末3のマイクロフォン31を用いた出力特性設定処理を、メインユニット11のコントローラ1110と協調して行う。
【0060】
すなわち、出力特性調整を指示するユーザ操作が発生したならば、モバイル端末3の解析アプリケーション37は、メインユニット11のコントローラ1110に、出力音データ生成部1107の、主オーディオデータの出力特性と副オーディオデータの出力特性とを基本の出力特性に設定させる。そして、記憶装置32にテストデータとして記憶されているオーディオデータをメインユニット11に送信し、メインユニット11のコントローラ1110を介して、出力音データ生成部1107に、送信したオーディオデータからの主オーディオデータの出力特性に従った主オーディオデータの生成と、内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12への出力と、送信したオーディオデータからの副オーディオデータの出力特性に従った副オーディオデータの生成と、カーオーディオシステム2の車載スピーカ22への出力を、順次行わせ、マイクロフォン31で検出される各周波数成分の音量と、内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12への出力に対する車載スピーカ22の出力の遅延とを検出し、メインユニット11のコントローラ1110に、主オーディオデータの出力特性の遅延特性を検出した遅延を表すように更新させると共に、メインユニット11のコントローラ1110に、マイクロフォン31で検出される内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12のfth以上の可聴領域の各周波数成分の平均音量量と車載スピーカ22のfth以下の可聴領域の各周波数成分の平均音量とが等しくなるように、アンプ1103とポータブルスピーカ12の内蔵アンプのゲイン(ボリューム)を設定させる。
【0061】
また、次に、モバイル端末3の解析アプリケーション37は、記憶装置32にテストデータとして記憶されているオーディオデータをメインユニット11に送信し、メインユニット11のコントローラ1110を介して、出力音データ生成部1107に、送信したオーディオデータからの主オーディオデータの出力特性に従った主オーディオデータの生成と、内蔵スピーカ1104とポータブルスピーカ12への出力と、送信したオーディオデータからの副オーディオデータの出力特性に従った副オーディオデータの生成と、カーオーディオシステム2の車載スピーカ22への出力を行わせると共に、テストデータとモバイル端末3のマイクロフォン31から入力する音声に基く再生周波数特性の解析を行い、全体の再生周波数特性ができるだけフラットな再生周波数特性となるように、または、当該全体の再生周波数特性が予めユーザによってイコライザ設定などとして設定されている再生周波数特性となるように、メインユニット11のコントローラ1110を介して、出力音デルタ生成部の主オーディオデータの出力特性のゲイン特性と副オーディオデータの出力特性のゲイン特性とを調整する。