【実施例】
【0026】
図1(a)及び
図1(b)は本発明のボルダリングユニットの外観の一例を示した図であり、
図2は
図1(b)に示したロック機構の拡大図である。また、
図3は
図1(a)に示したボルダリングユニットの内部構造を説明するための図であり、
図1(a)に示したボルダリングユニットにおいてフレームからパネルを取り外した状態を表している。
なお、
図1(b)は
図1(a)において一方の扉を開くとともに、レバーハンドルを扉に取り付けた状態を表している。また、
図1(b)及び
図3では、ホールドの図示を省略している。また、
図1及び
図3では、図が煩雑になるのを避けるため、ホールド5とボルト挿通孔7a,7bとホールド固定用ナット7cについて、その一部にのみ符号を付している。
【0027】
図4(a)は
図1(b)及び
図3に示したフレームの正面図であり、
図4(b)は
図4(a)におけるB部の拡大図である。なお、
図4(a)及び
図4(b)ではロック機構9の爪板14やハンドル軸8aを破線で示している。
また、
図5(a)及び
図5(b)はそれぞれ
図4(a)におけるC−C線矢視断面図及びD−D線矢視断面図である。
図6(a)は
図3におけるA部の拡大図であり、
図6(b)は
図1(b)及び
図3乃至
図5に示した高さ調整具の拡大図である。
図7(a)はホールド5が取り付けられた筐体3の前板20aや側板20c又は扉4の内部構造を示す断面図であり、
図7(b)は2つのボルダリングユニット1a,1aの側板20c,20c同士がパネル連結用ボルト21bによって連結された状態を示す断面図であり、いずれもそれらのパネルに直交する鉛直平面で切断した状態を表している。
【0028】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ボルダリングユニット1aは、直方体状をなす金属製のフレーム2に矩形状の複数枚の木製パネルがネジ止めされるようにして形成される筐体3と、同じく矩形状の木製パネルによって形成される一対の扉4,4と、ボルダリングをする際に掴み手となるホールド5を備えている。
このように、ボルダリングユニット1aは、ホールド5を掴んだり、足を掛けたりすることにより、筐体3や扉4の外面をよじ登ることが可能な構造となっている。すなわち、ボルダリングユニット1aでは、筐体3や扉4がボルダリングウォールとして機能する。そして、ボルダリングユニット1aは、筐体3の接地面積が広く、自立可能な構造であることから、壁面や床面に筐体3を固定するための加工を施すことなく、安定した状態で屋内施設等に設置できるという効果を有している。
また、ボルダリングユニット1aでは、筐体3が金属製のフレーム2と木製パネルによって構成され、扉4も木製パネルによって構成されていることから、材料費が安く、組み立てや分解も容易である。したがって、ボルダリングユニット1aは、安価に製造できるだけでなく、設置や撤去の際の作業コストを削減できるという効果も有している。
【0029】
また、ボルダリングユニット1aの筐体3の前面には開口部3aが設けられており、この開口部3aの両側端部に蝶番6を介して一対の扉4,4の端部4aがそれぞれ枢着されている。さらに、筐体3と扉4を構成する木製パネルには、ホールド5を取り付けるために
図7(a)を用いて後述するホールド固定用ボルト21aのボルト挿通孔7aが設けられており、筐体3の一部の木製パネルには、
図7(b)を用いて後述するパネル連結用ボルト21bのボルト挿通孔7bが設けられている。
なお、ボルト挿通孔7aは、必ずしも筐体3と扉4の双方に設けられていなくとも良い。すなわち、筐体3と扉4の少なくともいずれか一方にのみボルト挿通孔7aが設けられていても良い。
そして、それらの木製パネルの内面には、ホールド固定用ナット7cがボルト挿通孔7aに対して互いの中心軸が一致するように固設されている。さらに、一対の扉4,4には、内面にロック機構9がそれぞれ設置されるとともに、そのロック機構9を操作するためのレバーハンドル8,8が外面にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0030】
このような構造のボルダリングユニット1aにおいては、開口部3aが筐体3の内部への出入り口又は荷物の出し入れ口としての機能を有する。
すなわち、ボルダリングユニット1aでは、設置や撤去の際に、作業者が開口部3aから筐体3の中に入って筐体3の組み立てや分解等の作業を行うことができるため、作業効率が良い。
また、ボルダリングユニット1aでは、筐体3が荷物の収納庫を兼ねるため、収納庫の設置スペースを節約することができる。
したがって、ボルダリングユニット1aは、一般の保育所などのように、あまり広くない屋内施設に対しても設置することが可能である。
【0031】
さらに、ボルダリングユニット1aにおいては、開口部3aから筐体3の内部への人の出入りや荷物の出し入れが扉4によって制限されており、扉4はロック機構9によって筐体3に対して確実に固定されている。すなわち、ボルダリングユニット1aは、ボルダリング中に扉が不用意に開いてしまうおそれがないため、安全性に優れている。
また、扉4に対してレバーハンドル8が着脱可能に取り付けられていることから、扉4の開閉操作を行う必要がないときには、レバーハンドル8を取り外すことで、ボルダリングの邪魔にならず、しかも、ボルダリング中に体の一部がレバーハンドル8に接触して誤って扉4が開いてしまうという事態も防ぐことができる。また、ボルダリングをしていないときでも、レバーハンドル8を取り外しておけば、美観を損なうおそれがない。
【0032】
図2に示すように、ロック機構9は、扉4の内面に対し、開放側の端部4b(
図1(b)参照)の上端と下端の近傍にそれぞれ設置される支持金具10,10(
図1(b)参照)と、先端に直方体状のラッチ12,12がそれぞれ取り付けられるとともに支持金具10,10によって上下方向へスライド可能に支持される一対のロッド11,11と、ケース13の内部に設置されたクランクアーム(図示せず)と、側面に設けられた開口部13aから先端14aを突出させた状態で基端側がケース13の内部に設置される爪板14によって構成されている。
また、クランクアームと爪板14は、ハンドル8を回動した際に、それと連動して回動するように、扉4の開放側の端部4bに設けられた軸挿通孔(図示せず)に対して回動自在に挿設されたレバーハンドル8の回動軸(
図4(a)又は
図4(b)を用いて後述するハンドル軸8a)に連結されており、ロッド11,11は、クランクアームの回動に伴って互いに離れる方向又は互いに近づく方向へ移動可能に、基端がクランクアームの両端にそれぞれ枢着されている。
【0033】
図3乃至
図5に示すように、フレーム2は、縦枠材15a,15bと横枠材16a,16bによってそれぞれ「ロ」字状をなすように形成され、所定の間隔をあけて平行に配置される一対の側枠部2a,2aと、縦枠材15a,15aの上端同士及び下端同士をそれぞれ連結する横桟17a,17bと、縦枠材15b,15bの上端同士及び下端同士をそれぞれ連結する横桟17c,17dと、縦枠材15a,15aを連結して筐体3の開口部3aの下縁を形成する横桟17eと、横桟17a,17eの中央部同士及び横桟17b,17eの中央部同士をそれぞれ連結する縦桟18a,18bと、横桟17c,17dの中央部同士を連結する縦桟18cと、側枠部2a,2aにおいて縦枠材15a,15bの中央部同士をそれぞれ連結する横桟17f,17fによって構成されている。
また、横桟17b,17dの両端近傍に設けられたネジ孔(図示せず)に高さ調整具19,19がそれぞれ設置されている。
【0034】
横桟17aの下面と横桟17eの上面には、
図6(a)を用いて後述するラッチ12の受け具22aを取り付けるための凹部17g(
図3及び
図5(b)参照)が縦桟18bの近傍にそれぞれ設けられている。また、縦桟18aの両側面には、爪板14の先端14aが係合する受け具22bを取り付けるための凹部18d(
図3及び
図5(a)参照)がそれぞれ設けられている。
【0035】
筐体3の木製パネルは、フレーム2の前面に対し、開口部3aの下方に取り付けられる前板20aと、フレーム2の背面に取り付けられる背板20bと、フレーム2の側面に取り付けられる一対の側板20c,20cと、フレーム2の天面に取り付けられる天板20dからなる。
そして、前板20aと側板20c,20cと扉4,4には、後述するホールド固定用ボルト21a(
図7(a)参照)のボルト挿通孔7aが複数個所に穿設されるとともに、それらの内面には、各ボルト挿通孔7aに対してそれぞれ挿通されたホールド固定用ボルト21aを挿通可能な箇所にホールド固定用ナット7cが設置されている。また、側板20c,20cの4隅には、後述するパネル連結用ボルト21b(
図7(b)参照)のボルト挿通孔7bがそれぞれ設けられている。
【0036】
図6(a)に示すように、横桟17eの凹部17g,17g(
図3及び
図5(b)参照)には、ラッチ12の受け具22a,22aが設置されており、縦桟18aの凹部18d(
図3及び
図5(a)参照)には、爪板14の先端14aが係合する受け具22bが設置されている。なお、
図6(a)には示していないが、受け具22a,22aは横桟17aの下面に設けられた凹部17g,17gにも設置されている。また、受け具22bは、縦桟18bに対し、
図6(a)に示されていない側に設けられている凹部18dにも設置されている。
【0037】
このような構造のボルダリングユニット1aにおいては、レバーハンドル8を回動させると、それに連動して爪板14とクランクアームが回動する。そして、爪板14の回動に伴って先端14aが縦桟18aに設置された受け具22bに係合すると、扉4が開閉不能となる。一方、爪板14が逆方向に回動することで先端14aと受け具22bの係合状態が解消されると、扉4が開閉可能となる。
また、クランクアームの回動に伴ってロッド11,11が互いに離れる方向へ移動し、それらの先端に取り付けられたラッチ12,12が横桟17a,17eにそれぞれ設置された受け具22a,22aに対して係合すると、扉4が開閉不能となる。一方、ロッド11,11が互いに近づく方向へ移動することでラッチ12,12と受け具22a,22aの係合状態が解消されると、扉4が開閉可能となる。
ただし、ロック機構9は、爪板14の先端14aが受け具22bに係合する際に、ラッチ12,12も受け具22a,22aに対して同時に係合し、爪板14の先端14aと受け具22bの係合状態が解消される際に、ラッチ12,12と受け具22a,22aの係合状態も同時に解消される構造となっている。
【0038】
すなわち、ロック機構9が爪板14とラッチ12という2つの手段によって扉4を筐体3に対して同時に固定するように構成されていることから、ボルダリングユニット1aによれば、レバーハンドル8を回動させるという簡単な操作によって、扉4を確実に施錠することができる。したがって、ボルダリングユニット1aは、ボルダリング時の安全性に優れている。
また、扉4が施錠されている時には、扉4の開放側の端部4bの近傍の上端と下端がラッチ12,12と受け具22a,22aを介して横桟17a,17eに対して同時に固定されており、扉4の端部4bの曲げに対する剛性が高い状態となっている。この場合、ボルダリング中に扉4に力が加わったとしても、それによって扉4が変形したり、勝手に開錠されて扉4が開いたりするおそれがない。したがって、ボルダリングユニット1aでは、ボルダリングを安全に楽しむことができる。
【0039】
図6(b)に示すように、高さ調整具19は、雄ネジ19cが外周面に形成された円柱状の支持部19aと、この支持部19aが立設された円板状の台座部19bからなり、支持部19aの上端には、プラスドライバーの先端に係合可能な「+」型の凹溝19dが形成されている。ただし、高さ調整具19の雄ネジ19cは、前述の横桟17b,17dのネジ孔に螺合可能に形成されている。
なお、凹溝19dの形状は「+」型に限らず、例えば、マイナスドライバーの先端に係合可能な「−」型に形成されていても良い。あるいは、支持部19aの先端をボルトやナットの締緩に用いられる、ドライバー以外の工具の先端に係合可能な形状とすることもできる。また、台座部19bは必ずしも円板でなくとも良く、矩形板であっても良い。
【0040】
既に述べたように、ボルダリングユニット1aでは、筐体4の底面の4か所に設けられたネジ孔にそれぞれ高さ調整具19が螺入されていることから、水平方向に対して筐体3が傾いている場合でも、所望の高さ調整具19を回動させて、各部分の高さを変化させることで、筐体3の傾きを治すことができる。そして、上述のとおり、高さ調整具19はプラスドライバーの先端を凹溝19dに係合させるようにして上方から回動させることが可能となっている。したがって、ボルダリングユニット1aは、筐体3の姿勢を調整する等の作業を容易に行うことができるという効果を有している。
【0041】
図7(a)に示すように、ボルト孔5aを有するホールド5は、ホールド固定用ナット7cの雌ネジ部に螺合するホールド固定用ボルト21aをボルト孔5aとボルト挿通孔7aに連通させた状態でホールド固定用ナット7cに螺入するようにして、筐体3の側板20cや扉4の外面に固定される構造となっている。
このように、ボルダリングユニット1aにおいては、ホールド固定用ナット7cが外面に突出していないため、ホールド5が取り付けられていない箇所についても美観が損なわれず、しかも、ボルダリングを行う際にホールド固定用ナット7cが邪魔にならない。したがって、ボルダリングユニット1aによれば、安全にボルダリングを楽しむことができる。また、ボルダリングユニット1aは、筐体3や扉4に対して、外側からホールド5を簡単に取り付けることができるという効果を有している。
【0042】
2つのボルダリングユニット1a,1aが互いのボルト挿通孔7b,7bの中心軸が一致するように側板20c,20cの外面同士を接触させた状態で設置されている場合、
図7(b)に示すように、パネル連結用ナット7dの雌ネジ部に螺合するパネル連結用ボルト21bをボルト挿通孔7b,7bに連通させた状態でパネル連結用ナット7dを締め付けると、ボルダリングユニット1a,1aは筐体3の一方の側板20cを互いに接触させた状態で連結される。
【0043】
次に、ボルダリングユニット1aの変形例について
図8を用いて説明する。
図8(a)及び
図8(b)は
図1に示したボルダリングユニット1aの変形例を示した外観斜視図である。なお、
図1及び
図3乃至
図5に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)に示すように、ボルダリングユニット1bは、ボルダリングユニット1aにおいて、扉4の代わりに、前板20eが筐体3の前面に取り付けられたことを特徴とする。
また、
図8(b)に示すように、ボルダリングユニット1cは、ボルダリングユニット1bにおいて、筐体3を直方体状とする代わりに、底面の面積よりも天面の面積が狭くなるように、前面を傾斜させるとともに、前面や背面の横幅を側面の横幅よりも短くして、側板20c,20cの代わりに平面視台形をなす側板20f,20fと平面視矩形状をなす側板20g,20gを用いた構造となっている。
【0044】
図9は本発明のボルダリングユニットが使用される状態を示した斜視図である。
図9に示すように、ボルダリングユニット1d,1eはボルダリングユニット1a,1bにおいて前面を傾斜させたものに相当し、ボルダリングユニット1fはボルダリングユニット1bにおいて天面と底面を5角形にしたものに相当する。また、ボルダリングユニット1gは、ボルダリングユニット1aを横に倒した状態で側面に開口部を設けるとともに滑り台23を取り付けたものである。なお、ボルダリングユニット1a〜1gは、
図7(b)を用いて説明したようにパネル連結用ボルト21bとパネル連結用ナット7dを用いて側面同士が互いに連結されている。
このように、側面同士が互いに連結されたボルダリングユニット1a〜1gにおいては、それぞれを単独で設置する場合に比べて、設置状態の安定性が格段に向上する。この場合、屋内施設24において、壁面25や床面26に対して、ボルダリングユニット1a〜1gを固定するための加工を施す必要がないため、設置後においてもそれらの配置を容易に変更することが可能である。
したがって、本発明のボルダリングユニットは、イベント等で屋内施設内に一時的にボルダリングウォールを構築する必要がある場合などに特に有効である。
【0045】
なお、本発明のボルダリングユニットは、本実施例において示した構造に限定されるものではない。例えば、フレーム2は金属製に限らず、例えば、木製やプラスチック製であっても良い。また、筐体3や扉4を構成するパネルも木製に限らず、例えば、金属製やプラスチック製とすることもできる。
さらに、ボルダリングユニット1aでは、筐体3の底面を構成する横桟17b,17dの両端にそれぞれ設けられたネジ孔に高さ調整具19が螺入された構造となっているが、ネジ孔を設ける箇所やネジ孔の数は本実施例に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、ホールド5が筐体3と扉4のいずれか一方に対して取り付けられる構造とすることもできる。