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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-187813(P2019-187813A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】ボルダリングユニット
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20191004BHJP
【FI】
   A63B69/00 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-84488(P2018-84488)
(22)【出願日】2018年4月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年1月14日に「第1回0次産業アカデミー」にて公開 平成30年3月16日〜平成30年3月18日に「健康ボルダリング&スラックライン」にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】517146079
【氏名又は名称】JAPPAAAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】三由 野
(72)【発明者】
【氏名】住中 清之
(57)【要約】
【課題】壁面や床面等に加工を施さなくとも安定した状態で容易に設置できるとともに、内部の空間を有効に活用できるボルダリングユニットを提供する。
【解決手段】ボルダリングユニット1aは、直方体状をなし、矩形状の複数枚の木製パネルが金属製のフレーム2にネジ止めされた筐体3と、木製パネルからなる一対の扉4,4を備え、筐体3の前面に設けられた開口部3aの両側端部に、扉4の端部4aが蝶番6を介してそれぞれ枢着されるとともに、ボルダリングをする際に掴み手となるホールド5が筐体3と扉4の外面に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
この筐体に前記開口部を閉塞可能に蝶着された扉と、
この扉の内側に設置されてその開閉を抑止するロック機構と、
前記筐体及び前記扉の少なくともいずれか一方の外面に取り付けられた複数のホールドと、
を備えていることを特徴とするボルダリングユニット。
【請求項2】
前記筐体は、ホールド固定用ボルトが挿通されるボルト挿通孔が複数設けられるとともに、このボルト挿通孔に対して互いの中心軸が一致するようにホールド固定用ナットが内面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のボルダリングユニット。
【請求項3】
前記扉の開放側の端部近傍に設けられた軸挿通孔に対して回動自在に挿設されたハンドル軸と、
前記扉の外側に設置され前記ハンドル軸の一端に基端側が連結されたレバーハンドルと、を備え、
前記ロック機構は、
前記ハンドル軸の他端に基端側が連結されるとともに、回動した際に前記筐体と係合するように前記扉の内側に設置された爪板と、からなり、
前記扉は、前記爪板が前記筐体と係合することによって開閉が抑止されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボルダリングユニット。
【請求項4】
前記扉の開放側の端部近傍に設けられた軸挿通孔に対して回動自在に挿設されたハンドル軸と、
前記扉の外側に設置され前記ハンドル軸の一端に基端側が連結されたレバーハンドルと、を備え、
前記ロック機構は、
前記扉の内側に設置され前記ハンドル軸の他端に中央部分が連結されたクランクアームと、
このクランクアームの両端に基端側がそれぞれ枢着されるとともに、互いに離れる方向へ移動した際に先端が前記筐体と係合するように前記扉の内側に設置された一対のロッドと、
前記扉の内面に対し、上端と下端の近傍にそれぞれ設置されて一対の前記ロッドを上下方向へスライド可能にそれぞれ支持する一対の支持金具と、からなり、
一対の前記ロッドは、前記クランクアームの回動に伴って互いに離れる方向又は互いに近づく方向へ移動し、
前記扉は、一対の前記ロッドが前記筐体に対して同時に係合することによって開閉が抑止されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボルダリングユニット。
【請求項5】
前記レバーハンドルは、前記ハンドル軸に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のボルダリングユニット。
【請求項6】
外周面に雄ネジが形成された円柱状の支持部と、
この支持部が立設される板状の台座部と、からなり、
ボルトの締緩に用いられる工具の先端に係合可能な「+」型又は「−」型の凹溝が前記支持部の上端に設けられた高さ調整具を備え、
前記筐体は、前記高さ調整具が螺入されるネジ孔が底面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のボルダリングユニット。
【請求項7】
前記筐体は、金属製のフレームと、このフレームに固定された複数枚の木製パネルと、からなり、
前記扉は、前記木製パネルからなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のボルダリングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保育所などの屋内施設においてボルダリングを行う場合に用いられるボルダリングユニットに係り、特に、壁面や床面等に加工を施さなくとも安定した状態で容易に設置することが可能なボルダリングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルダリングは、安全確保のための最小限の用具のみを用いて岩壁を登攀するフリークライミングと呼ばれるスポーツの一種である。ロープを用いずに5m以下の高さの壁を自分の手と足だけを使って登攀するボルダリングは、特殊な用具を必要としないことから、誰でも比較的手軽に行うことが可能である。最近では、室内でもボルダリングを楽しむことができるように、自然の岩壁を模したボルダリングウォールと呼ばれる人工壁が設置された施設も作られている。
【0003】
屋内でボルダリングを行う設備には様々なものがあり、それらについて、幾つかの発明や考案が開示されている。
例えば、特許文献1には、「運動用パネルの取付構造及び運動装置」という名称で、表面にホールドが取り付けられた運動用パネルを屋内又は屋外の壁面に固定する技術に関する発明が開示されている。
この発明に係る「運動装置」は、下側に開口する溝部を有するとともに壁面に固定される上レールと、その溝部に上端側が送り込まれるパネル本体と、このパネル本体の表面側に配置されるホールドと、を有する運動パネルを備えている。そして、パネル本体は、ポリエステル化粧合板からなる裏面層と、ポリウレタン製の発泡フォームからなる中間層と、ベニヤ板層と、スチール鋼板からなる表面層を有している。
このような構造によれば、壁面に対する運動用パネルの取り付けやその取り外しが容易である。また、運動用パネルを使用している時でも、その壁面に対する取り付け状態が安定して維持されるという効果が発揮される。
【0004】
また、特許文献2には、「ボルダリングウォール」という名称で、屋内施設の壁にストッパーとアジャスターを用いて固定される構造を備えた考案が開示されている。
この考案は、ホルダーを固定するためのボルト穴が表面に多数穿孔された硬質樹脂製の外部壁材が発泡合成樹脂製の内部壁材の表面全体に接着されて一体化された構造ベニヤ板からなるパネルが任意の方向に湾曲した曲面を有し、その表面に複数のホールドが設置されたことを特徴としている。
このような構造によれば、既存の住宅や施設に設置することが可能である。また、設置作業や撤去作業を容易に行うことができるという効果も期待できる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「組み立て式ロッククライミング装置」という名称で、壁や支持フレームなどの既設の構造物を用いずに設置できるロッククライミング用の装置に関する考案が開示されている。
この考案は、少なくとも一つの表面と、この表面に連接する少なくとも一つの接続面を有し、この表面に把持部が取り付けられた複数の組み立てブロックを備え、この組み立てブロックが接続面同士を組み合わせるようにして構成されたことを特徴とする。
このような構造によれば、壁や支持フレーム等の既設の構造物を必要としないため、設置場所に対する制限がない。そして、本考案は、結合や分離が容易なため、広い保管スペースを必要とせず、また、運搬も容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−87193号公報
【特許文献2】実用新案登録第3212092号公報
【特許文献3】実用新案登録第3157513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術である特許文献1に開示された発明や特許文献2に開示された考案では、運動用パネルやボルダリングウォールを壁面に取り付ける際に、壁面の一部を加工しなければならないため、取り付けた後にそれらの位置を変更することが容易でないという課題があった。
【0008】
また、特許文献3に開示された考案は、自立する構造であるため、屋内施設に設置する場合でも壁面等に特別な加工を施す必要はないものの、特許文献1に開示された発明や特許文献2に開示された考案に比べて、広い設置スペースを必要とする。さらに、組み立てブロックは内部の空間を利用できる構造となっていないため、特許文献3に開示された考案には、一般の保育所などのように、あまり広くない屋内施設には設置できないという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、壁面や床面等に加工を施さなくとも安定した状態で容易に設置できるとともに、内部の空間を有効に活用できるボルダリングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の発明であるボルダリングユニットは、開口部を有する筐体と、この筐体に開口部を閉塞可能に蝶着された扉と、この扉の内側に設置されてその開閉を抑止するロック機構と、筐体及び扉の少なくともいずれか一方の外面に取り付けられた複数のホールドと、を備えていることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、筐体や扉がボルダリングウォールとして機能するとともに、開口部が筐体内への出入り口又は荷物の出し入れ口として機能する。また、開口部から筐体内への人の出入りや荷物の出し入れが扉によって制限されるという作用を有する。さらに、ボルダリング中に不用意に開くことがないように扉が筐体に対してロック機構によって確実に固定されるという作用を有する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、筐体は、ホールド固定用ボルトが挿通されるボルト挿通孔が複数設けられるとともに、このボルト挿通孔に対して互いの中心軸が一致するようにホールド固定用ナットが内面に設置されていることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、第1の発明の作用に加え、ホールド固定用ナットが外面に突出していないため、ホールドが取り付けられていない箇所についても美観が損なわれず、しかも、ボルダリングを行う際にホールド固定用ナットが邪魔にならないという作用を有する。
【0012】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明において、扉の開放側の端部近傍に設けられた軸挿通孔に対して回動自在に挿設されたハンドル軸と、扉の外側に設置されハンドル軸の一端に基端側が連結されたレバーハンドルと、を備え、ロック機構は、ハンドル軸の他端に基端側が連結されるとともに、回動した際に筐体と係合するように扉の内側に設置された爪板と、からなり、扉は、爪板が筐体と係合することによって開閉が抑止されることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、第1の発明又は第2の発明の作用に加え、レバーハンドルを回動させるという簡単な操作によって、扉が施錠され、又は開錠されるという作用を有する。
【0013】
第4の発明は、第1の発明又は第2の発明において、扉の開放側の端部近傍に設けられた軸挿通孔に対して回動自在に挿設されたハンドル軸と、扉の外側に設置されハンドル軸の一端に基端側が連結されたレバーハンドルと、を備え、ロック機構は、扉の内側に設置されハンドル軸の他端に中央部分が連結されたクランクアームと、このクランクアームの両端に基端側がそれぞれ枢着されるとともに、互いに離れる方向へ移動した際に先端が筐体と係合するように扉の内側に設置された一対のロッドと、扉の内面に対し、上端と下端の近傍にそれぞれ設置されて一対のロッドを上下方向へスライド可能にそれぞれ支持する一対の支持金具と、からなり、一対のロッドは、クランクアームの回動に伴って互いに離れる方向又は互いに近づく方向へ移動し、扉は、一対のロッドが筐体に対して同時に係合することによって開閉が抑止されることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットでは、第1の発明又は第2の発明の作用に加え、レバーハンドルを回動して扉を施錠した場合に、ロック機構を介して扉の開放側の端部の上端と下端が筐体に対して同時に固定されることで、扉の開放側の端部の曲げに対する剛性が高められるという作用を有する。
【0014】
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明において、レバーハンドルは、ハンドル軸に対して着脱可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、第3の発明又は第4の発明の作用に加えて、扉の開閉操作を行う必要がないときには、レバーハンドルを取り外すことができるため、美観を損なうおそれがなく、また、レバーハンドルがボルダリングの邪魔にならないという作用を有する。
【0015】
第6の発明は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかにおいて、外周面に雄ネジが形成された円柱状の支持部と、この支持部が立設される板状の台座部と、からなり、ボルトの締緩に用いられる工具の先端に係合可能な「+」型又は「−」型の凹溝が支持部の上端に設けられた高さ調整具を備え、筐体は、高さ調整具が螺入されるネジ孔が底面に設けられていることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの作用に加え、筐体の底面に設けられたネジ孔に螺入された高さ調整具を回動させると、高さ調整具が取り付けられている箇所の高さが変化するという作用を有する。
【0016】
第7の発明は、第1の発明乃至第6の発明のいずれかにおいて、筐体は、金属製のフレームと、このフレームに固定された複数枚の木製パネルと、からなり、扉は、木製パネルからなることを特徴とするものである。
このような構造のボルダリングユニットにおいては、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの作用に加え、材料費が安く、組み立てや分解も容易であるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、第1の発明によれば、設置や撤去の際に、扉を開けると、作業者が開口部から筐体の中に入ることができるため、筐体の組み立てや分解等の作業を効率よく行うことができる。また、本発明では、従来、利用価値のなかった筐体内の空間を収納庫として利用できるため、収納庫の設置スペースを別個に設ける必要がない。したがって、本発明のボルダリングユニットは、一般の保育所などのように、あまり広くない屋内施設に対しても設置することが可能である。
さらに、本発明のボルダリングユニットは、ボルダリング中に扉が不用意に開いてしまうおそれがないため、安全性に優れている。加えて、本発明のボルダリングユニットは、筐体の接地面積が広く、自立可能な構造であるため、安定した状態で設置することが可能となっている。このように、本発明によれば、屋内施設に設置する際に、ボルダリングユニットを固定するための加工を壁面や床面等に施す必要がないため、設置後に、その配置を容易に変更することができる。したがって、本発明のボルダリングユニットは、イベント等で一時的にボルダリングウォールを構築する必要がある場合などに特に有効である。
【0018】
第2の発明によれば、第1の発明の効果を奏することに加え、筐体や扉に対して、外側からホールドを簡単に取り付けることが可能である。また、本発明によれば、ホールド固定用ナットがボルダリングの支障とならないため、安全にボルダリングを楽しむことができる。
【0019】
第3の発明によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、ボルダリング時の安全性に優れるという効果を奏する。
【0020】
第4の発明によれば、第1の発明又は第2の発明の効果に加え、ボルダリング中に力が加わっても扉が変形したり、勝手に開錠されて開いたりし難いため、ボルダリングを安全に楽しむことができるという効果を奏する。
【0021】
第5の発明では、第3の発明又は第4の発明の効果を奏することに加え、レバーハンドルを取り外すことで、ボルダリング中に体の一部がレバーハンドルに接触して誤って扉が開いてしまうという事態を防止することが可能である。したがって、本発明によれば、ボルダリング時の安全性に優れるという第3の発明又は第4の発明の効果がより一層発揮される。
【0022】
第6の発明によれば、プラスドライバーやマイナスドライバーなどの工具を上端の凹溝に係合させることで、筐体の底面のネジ孔に螺入された状態の高さ調整具に対しても、上方からその回動操作を行うことができるため、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの効果に加え、筐体の姿勢を調整する等の作業が容易であるという効果を奏する。
【0023】
第7の発明によれば、第1の発明乃至第6の発明のいずれかの効果に加え、製造する際のコストだけでなく、設置や撤去などの作業に要するコストを削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)及び(b)は本発明の実施の形態に係るボルダリングユニットの実施例の外観斜視図である。
図2図1(b)に示したロック機構の拡大図である。
図3図1(a)に示したボルダリングユニットの内部構造を示す図である。
図4】(a)は図1(b)及び図3に示したフレームの正面図であり、(b)は同図(a)におけるB部の拡大図である。
図5】(a)及び(b)はそれぞれ図4(a)におけるC−C線矢視断面図及びD−D線矢視断面図である。
図6】(a)は図3におけるA部の拡大図であり、(b)は図1(b)及び図3乃至図5に示した高さ調整具の拡大図である。
図7】(a)はホールドが取り付けられた状態を示す筐体の前板や側板又は扉の断面図であり、(b)は2つのボルダリングユニットの側板同士がパネル連結用ボルトによって連結された状態を示す断面図である。
図8】(a)及び(b)は図1に示したボルダリングユニットの変形例を示した外観斜視図である。
図9】本発明のボルダリングユニットが使用される状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のボルダリングユニットの構造と、その作用及び効果について、図1乃至図9を用いて説明する。なお、これらの図において、ホールドとボルト挿通孔とホールド固定用ナット等については、図が煩雑になるのを避けるため、代表的なものについてのみ符号を付し、それ以外のものについては符号の図示を省略している。
【実施例】
【0026】
図1(a)及び図1(b)は本発明のボルダリングユニットの外観の一例を示した図であり、図2図1(b)に示したロック機構の拡大図である。また、図3図1(a)に示したボルダリングユニットの内部構造を説明するための図であり、図1(a)に示したボルダリングユニットにおいてフレームからパネルを取り外した状態を表している。
なお、図1(b)は図1(a)において一方の扉を開くとともに、レバーハンドルを扉に取り付けた状態を表している。また、図1(b)及び図3では、ホールドの図示を省略している。また、図1及び図3では、図が煩雑になるのを避けるため、ホールド5とボルト挿通孔7a,7bとホールド固定用ナット7cについて、その一部にのみ符号を付している。
【0027】
図4(a)は図1(b)及び図3に示したフレームの正面図であり、図4(b)は図4(a)におけるB部の拡大図である。なお、図4(a)及び図4(b)ではロック機構9の爪板14やハンドル軸8aを破線で示している。
また、図5(a)及び図5(b)はそれぞれ図4(a)におけるC−C線矢視断面図及びD−D線矢視断面図である。図6(a)は図3におけるA部の拡大図であり、図6(b)は図1(b)及び図3乃至図5に示した高さ調整具の拡大図である。図7(a)はホールド5が取り付けられた筐体3の前板20aや側板20c又は扉4の内部構造を示す断面図であり、図7(b)は2つのボルダリングユニット1a,1aの側板20c,20c同士がパネル連結用ボルト21bによって連結された状態を示す断面図であり、いずれもそれらのパネルに直交する鉛直平面で切断した状態を表している。
【0028】
図1(a)及び図1(b)に示すように、ボルダリングユニット1aは、直方体状をなす金属製のフレーム2に矩形状の複数枚の木製パネルがネジ止めされるようにして形成される筐体3と、同じく矩形状の木製パネルによって形成される一対の扉4,4と、ボルダリングをする際に掴み手となるホールド5を備えている。
このように、ボルダリングユニット1aは、ホールド5を掴んだり、足を掛けたりすることにより、筐体3や扉4の外面をよじ登ることが可能な構造となっている。すなわち、ボルダリングユニット1aでは、筐体3や扉4がボルダリングウォールとして機能する。そして、ボルダリングユニット1aは、筐体3の接地面積が広く、自立可能な構造であることから、壁面や床面に筐体3を固定するための加工を施すことなく、安定した状態で屋内施設等に設置できるという効果を有している。
また、ボルダリングユニット1aでは、筐体3が金属製のフレーム2と木製パネルによって構成され、扉4も木製パネルによって構成されていることから、材料費が安く、組み立てや分解も容易である。したがって、ボルダリングユニット1aは、安価に製造できるだけでなく、設置や撤去の際の作業コストを削減できるという効果も有している。
【0029】
また、ボルダリングユニット1aの筐体3の前面には開口部3aが設けられており、この開口部3aの両側端部に蝶番6を介して一対の扉4,4の端部4aがそれぞれ枢着されている。さらに、筐体3と扉4を構成する木製パネルには、ホールド5を取り付けるために図7(a)を用いて後述するホールド固定用ボルト21aのボルト挿通孔7aが設けられており、筐体3の一部の木製パネルには、図7(b)を用いて後述するパネル連結用ボルト21bのボルト挿通孔7bが設けられている。
なお、ボルト挿通孔7aは、必ずしも筐体3と扉4の双方に設けられていなくとも良い。すなわち、筐体3と扉4の少なくともいずれか一方にのみボルト挿通孔7aが設けられていても良い。
そして、それらの木製パネルの内面には、ホールド固定用ナット7cがボルト挿通孔7aに対して互いの中心軸が一致するように固設されている。さらに、一対の扉4,4には、内面にロック機構9がそれぞれ設置されるとともに、そのロック機構9を操作するためのレバーハンドル8,8が外面にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0030】
このような構造のボルダリングユニット1aにおいては、開口部3aが筐体3の内部への出入り口又は荷物の出し入れ口としての機能を有する。
すなわち、ボルダリングユニット1aでは、設置や撤去の際に、作業者が開口部3aから筐体3の中に入って筐体3の組み立てや分解等の作業を行うことができるため、作業効率が良い。
また、ボルダリングユニット1aでは、筐体3が荷物の収納庫を兼ねるため、収納庫の設置スペースを節約することができる。
したがって、ボルダリングユニット1aは、一般の保育所などのように、あまり広くない屋内施設に対しても設置することが可能である。
【0031】
さらに、ボルダリングユニット1aにおいては、開口部3aから筐体3の内部への人の出入りや荷物の出し入れが扉4によって制限されており、扉4はロック機構9によって筐体3に対して確実に固定されている。すなわち、ボルダリングユニット1aは、ボルダリング中に扉が不用意に開いてしまうおそれがないため、安全性に優れている。
また、扉4に対してレバーハンドル8が着脱可能に取り付けられていることから、扉4の開閉操作を行う必要がないときには、レバーハンドル8を取り外すことで、ボルダリングの邪魔にならず、しかも、ボルダリング中に体の一部がレバーハンドル8に接触して誤って扉4が開いてしまうという事態も防ぐことができる。また、ボルダリングをしていないときでも、レバーハンドル8を取り外しておけば、美観を損なうおそれがない。
【0032】
図2に示すように、ロック機構9は、扉4の内面に対し、開放側の端部4b(図1(b)参照)の上端と下端の近傍にそれぞれ設置される支持金具10,10(図1(b)参照)と、先端に直方体状のラッチ12,12がそれぞれ取り付けられるとともに支持金具10,10によって上下方向へスライド可能に支持される一対のロッド11,11と、ケース13の内部に設置されたクランクアーム(図示せず)と、側面に設けられた開口部13aから先端14aを突出させた状態で基端側がケース13の内部に設置される爪板14によって構成されている。
また、クランクアームと爪板14は、ハンドル8を回動した際に、それと連動して回動するように、扉4の開放側の端部4bに設けられた軸挿通孔(図示せず)に対して回動自在に挿設されたレバーハンドル8の回動軸(図4(a)又は図4(b)を用いて後述するハンドル軸8a)に連結されており、ロッド11,11は、クランクアームの回動に伴って互いに離れる方向又は互いに近づく方向へ移動可能に、基端がクランクアームの両端にそれぞれ枢着されている。
【0033】
図3乃至図5に示すように、フレーム2は、縦枠材15a,15bと横枠材16a,16bによってそれぞれ「ロ」字状をなすように形成され、所定の間隔をあけて平行に配置される一対の側枠部2a,2aと、縦枠材15a,15aの上端同士及び下端同士をそれぞれ連結する横桟17a,17bと、縦枠材15b,15bの上端同士及び下端同士をそれぞれ連結する横桟17c,17dと、縦枠材15a,15aを連結して筐体3の開口部3aの下縁を形成する横桟17eと、横桟17a,17eの中央部同士及び横桟17b,17eの中央部同士をそれぞれ連結する縦桟18a,18bと、横桟17c,17dの中央部同士を連結する縦桟18cと、側枠部2a,2aにおいて縦枠材15a,15bの中央部同士をそれぞれ連結する横桟17f,17fによって構成されている。
また、横桟17b,17dの両端近傍に設けられたネジ孔(図示せず)に高さ調整具19,19がそれぞれ設置されている。
【0034】
横桟17aの下面と横桟17eの上面には、図6(a)を用いて後述するラッチ12の受け具22aを取り付けるための凹部17g(図3及び図5(b)参照)が縦桟18bの近傍にそれぞれ設けられている。また、縦桟18aの両側面には、爪板14の先端14aが係合する受け具22bを取り付けるための凹部18d(図3及び図5(a)参照)がそれぞれ設けられている。
【0035】
筐体3の木製パネルは、フレーム2の前面に対し、開口部3aの下方に取り付けられる前板20aと、フレーム2の背面に取り付けられる背板20bと、フレーム2の側面に取り付けられる一対の側板20c,20cと、フレーム2の天面に取り付けられる天板20dからなる。
そして、前板20aと側板20c,20cと扉4,4には、後述するホールド固定用ボルト21a(図7(a)参照)のボルト挿通孔7aが複数個所に穿設されるとともに、それらの内面には、各ボルト挿通孔7aに対してそれぞれ挿通されたホールド固定用ボルト21aを挿通可能な箇所にホールド固定用ナット7cが設置されている。また、側板20c,20cの4隅には、後述するパネル連結用ボルト21b(図7(b)参照)のボルト挿通孔7bがそれぞれ設けられている。
【0036】
図6(a)に示すように、横桟17eの凹部17g,17g(図3及び図5(b)参照)には、ラッチ12の受け具22a,22aが設置されており、縦桟18aの凹部18d(図3及び図5(a)参照)には、爪板14の先端14aが係合する受け具22bが設置されている。なお、図6(a)には示していないが、受け具22a,22aは横桟17aの下面に設けられた凹部17g,17gにも設置されている。また、受け具22bは、縦桟18bに対し、図6(a)に示されていない側に設けられている凹部18dにも設置されている。
【0037】
このような構造のボルダリングユニット1aにおいては、レバーハンドル8を回動させると、それに連動して爪板14とクランクアームが回動する。そして、爪板14の回動に伴って先端14aが縦桟18aに設置された受け具22bに係合すると、扉4が開閉不能となる。一方、爪板14が逆方向に回動することで先端14aと受け具22bの係合状態が解消されると、扉4が開閉可能となる。
また、クランクアームの回動に伴ってロッド11,11が互いに離れる方向へ移動し、それらの先端に取り付けられたラッチ12,12が横桟17a,17eにそれぞれ設置された受け具22a,22aに対して係合すると、扉4が開閉不能となる。一方、ロッド11,11が互いに近づく方向へ移動することでラッチ12,12と受け具22a,22aの係合状態が解消されると、扉4が開閉可能となる。
ただし、ロック機構9は、爪板14の先端14aが受け具22bに係合する際に、ラッチ12,12も受け具22a,22aに対して同時に係合し、爪板14の先端14aと受け具22bの係合状態が解消される際に、ラッチ12,12と受け具22a,22aの係合状態も同時に解消される構造となっている。
【0038】
すなわち、ロック機構9が爪板14とラッチ12という2つの手段によって扉4を筐体3に対して同時に固定するように構成されていることから、ボルダリングユニット1aによれば、レバーハンドル8を回動させるという簡単な操作によって、扉4を確実に施錠することができる。したがって、ボルダリングユニット1aは、ボルダリング時の安全性に優れている。
また、扉4が施錠されている時には、扉4の開放側の端部4bの近傍の上端と下端がラッチ12,12と受け具22a,22aを介して横桟17a,17eに対して同時に固定されており、扉4の端部4bの曲げに対する剛性が高い状態となっている。この場合、ボルダリング中に扉4に力が加わったとしても、それによって扉4が変形したり、勝手に開錠されて扉4が開いたりするおそれがない。したがって、ボルダリングユニット1aでは、ボルダリングを安全に楽しむことができる。
【0039】
図6(b)に示すように、高さ調整具19は、雄ネジ19cが外周面に形成された円柱状の支持部19aと、この支持部19aが立設された円板状の台座部19bからなり、支持部19aの上端には、プラスドライバーの先端に係合可能な「+」型の凹溝19dが形成されている。ただし、高さ調整具19の雄ネジ19cは、前述の横桟17b,17dのネジ孔に螺合可能に形成されている。
なお、凹溝19dの形状は「+」型に限らず、例えば、マイナスドライバーの先端に係合可能な「−」型に形成されていても良い。あるいは、支持部19aの先端をボルトやナットの締緩に用いられる、ドライバー以外の工具の先端に係合可能な形状とすることもできる。また、台座部19bは必ずしも円板でなくとも良く、矩形板であっても良い。
【0040】
既に述べたように、ボルダリングユニット1aでは、筐体4の底面の4か所に設けられたネジ孔にそれぞれ高さ調整具19が螺入されていることから、水平方向に対して筐体3が傾いている場合でも、所望の高さ調整具19を回動させて、各部分の高さを変化させることで、筐体3の傾きを治すことができる。そして、上述のとおり、高さ調整具19はプラスドライバーの先端を凹溝19dに係合させるようにして上方から回動させることが可能となっている。したがって、ボルダリングユニット1aは、筐体3の姿勢を調整する等の作業を容易に行うことができるという効果を有している。
【0041】
図7(a)に示すように、ボルト孔5aを有するホールド5は、ホールド固定用ナット7cの雌ネジ部に螺合するホールド固定用ボルト21aをボルト孔5aとボルト挿通孔7aに連通させた状態でホールド固定用ナット7cに螺入するようにして、筐体3の側板20cや扉4の外面に固定される構造となっている。
このように、ボルダリングユニット1aにおいては、ホールド固定用ナット7cが外面に突出していないため、ホールド5が取り付けられていない箇所についても美観が損なわれず、しかも、ボルダリングを行う際にホールド固定用ナット7cが邪魔にならない。したがって、ボルダリングユニット1aによれば、安全にボルダリングを楽しむことができる。また、ボルダリングユニット1aは、筐体3や扉4に対して、外側からホールド5を簡単に取り付けることができるという効果を有している。
【0042】
2つのボルダリングユニット1a,1aが互いのボルト挿通孔7b,7bの中心軸が一致するように側板20c,20cの外面同士を接触させた状態で設置されている場合、図7(b)に示すように、パネル連結用ナット7dの雌ネジ部に螺合するパネル連結用ボルト21bをボルト挿通孔7b,7bに連通させた状態でパネル連結用ナット7dを締め付けると、ボルダリングユニット1a,1aは筐体3の一方の側板20cを互いに接触させた状態で連結される。
【0043】
次に、ボルダリングユニット1aの変形例について図8を用いて説明する。
図8(a)及び図8(b)は図1に示したボルダリングユニット1aの変形例を示した外観斜視図である。なお、図1及び図3乃至図5に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)に示すように、ボルダリングユニット1bは、ボルダリングユニット1aにおいて、扉4の代わりに、前板20eが筐体3の前面に取り付けられたことを特徴とする。
また、図8(b)に示すように、ボルダリングユニット1cは、ボルダリングユニット1bにおいて、筐体3を直方体状とする代わりに、底面の面積よりも天面の面積が狭くなるように、前面を傾斜させるとともに、前面や背面の横幅を側面の横幅よりも短くして、側板20c,20cの代わりに平面視台形をなす側板20f,20fと平面視矩形状をなす側板20g,20gを用いた構造となっている。
【0044】
図9は本発明のボルダリングユニットが使用される状態を示した斜視図である。
図9に示すように、ボルダリングユニット1d,1eはボルダリングユニット1a,1bにおいて前面を傾斜させたものに相当し、ボルダリングユニット1fはボルダリングユニット1bにおいて天面と底面を5角形にしたものに相当する。また、ボルダリングユニット1gは、ボルダリングユニット1aを横に倒した状態で側面に開口部を設けるとともに滑り台23を取り付けたものである。なお、ボルダリングユニット1a〜1gは、図7(b)を用いて説明したようにパネル連結用ボルト21bとパネル連結用ナット7dを用いて側面同士が互いに連結されている。
このように、側面同士が互いに連結されたボルダリングユニット1a〜1gにおいては、それぞれを単独で設置する場合に比べて、設置状態の安定性が格段に向上する。この場合、屋内施設24において、壁面25や床面26に対して、ボルダリングユニット1a〜1gを固定するための加工を施す必要がないため、設置後においてもそれらの配置を容易に変更することが可能である。
したがって、本発明のボルダリングユニットは、イベント等で屋内施設内に一時的にボルダリングウォールを構築する必要がある場合などに特に有効である。
【0045】
なお、本発明のボルダリングユニットは、本実施例において示した構造に限定されるものではない。例えば、フレーム2は金属製に限らず、例えば、木製やプラスチック製であっても良い。また、筐体3や扉4を構成するパネルも木製に限らず、例えば、金属製やプラスチック製とすることもできる。
さらに、ボルダリングユニット1aでは、筐体3の底面を構成する横桟17b,17dの両端にそれぞれ設けられたネジ孔に高さ調整具19が螺入された構造となっているが、ネジ孔を設ける箇所やネジ孔の数は本実施例に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、ホールド5が筐体3と扉4のいずれか一方に対して取り付けられる構造とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のボルダリングユニットは、屋内施設に限らず、屋外にボルダリングウォールを構築する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1a〜1g…ボルダリングユニット 2…フレーム 2a…側枠部 3…筐体 3a…開口部 4…扉 4a,4b…端部 5…ホールド 5a…ボルト孔 6…蝶番 7a,7b…ボルト挿通孔 7c…ホールド固定用ナット 7d…パネル連結用ナット 8…レバーハンドル 8a…ハンドル軸 9…ロック機構 10…支持金具 11…ロッド 12…ラッチ 13…ケース 13a…開口部 14…爪板 14a…先端 15a,15b…縦枠材 16a,16b…横枠材 17a〜17f…横桟 17g…凹部 18a〜18c…縦桟 18d…凹部 19…高さ調整具 19a…支持部 19b…台座部 19c…雄ネジ 19d…凹溝 20a…前板 20b…背板 20c…側板 20d…天板 20e…前板 21a…ホールド固定用ボルト 21b…パネル連結用ボルト 22a,22b…受け具 23…滑り台 24…屋内施設 25…壁面 26…床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9