【解決手段】遊技者の操作によって変位可能なレバー50と、駆動力をレバー50に作用するモータ53と、レバー50の変位位置及び駆動力のうちの少なくともいずれか一方を制御する役物制御部と、を備える演出装置であるレバー役物5において、モータ53は、駆動力がレバー50に作用している場合に、遊技者がレバー50に作用した操作力に応じたレバー50の静止、あるいは逆向きのレバー50の変位を許容できるように制御される。
前記駆動力を前記操作受付部材に伝達する経路中に、該操作受付部材に対する該駆動力の伝達を遮断するクラッチ機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の演出装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技者が操作可能な操作受付部材の一例をなすレバー役物5を備えるパチンコ遊技機1に関する例である。この内容について、
図1〜
図13を参照して説明する。
【0011】
図1に例示するパチンコ遊技機1は、玉を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、始動口への入賞に応じて大当たり抽選が実行され、大当たりに当選したときに大当たり図柄が表示されて大当たり状態が発生するセブン機である。パチンコ遊技機1は、遊技者が操作可能な操作受付部材の一例であるレバー50を備え、特図判定(大当たり抽選)の結果を報知するための演出表示に連動して制御されるレバー役物5を備えている。以下、パチンコ遊技機1の構成、及びレバー役物5の構成を説明した後、レバー役物5を備えるパチンコ遊技機1の動作の内容を説明する。
【0012】
(パチンコ遊技機)
図1に例示のパチンコ遊技機1は、所定の始動条件が成立したときに大当たり抽選を実行するとともに、大当たり抽選の結果を示す演出表示を実行可能な遊技機である。このパチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13の内側に略円形状の遊技領域130を有している。開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側のヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139が設けられている。透明窓139の上部両側には装飾ランプ部136が配置され、遊技領域130の下部両側には一対のスピーカ131が配置されている。
【0013】
遊技領域130の下方には、上皿150を設けた張出部150D、及び下皿137を設けた張出部137Dが、上下2段で設けられている。上皿150は、入賞に応じて払い出された玉(賞球)や貸玉等を受け入れる受け皿である。下皿137は、上皿150の玉が一杯になったときに賞球の玉を払い出したり、遊技者の操作に応じて上皿150の玉を回収するための受け皿である。
【0014】
遊技者側から向かって下皿137の張出部137Dの右側には、操作ハンドル135が立設されている。操作ハンドル135は、遊技領域130に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作するハンドルである。
【0015】
遊技者側から向かって左側に当たる張出部150Dの端部には、レバー役物5の収容部5Dが下方に延設されている。縦長のボックス状を呈する収容部5Dの側面の下部には、下皿137の張出部137Dが連なっている。収容部5Dの遊技者側の前面には、略U字状のレバー50が貫通配置されている。遊技者は、遊技者の操作によって変位可能な操作受付部材の一例であるこのレバー50を左手で把持できる。なお、レバー役物5の構成や動作等については後述する。
【0016】
遊技領域130は、玉が流下する領域である。遊技領域130には、液晶表示部190を含む表示装置19を中心として、第1及び第2始動口11、12、通過ゲート14、開閉式の大入賞口160等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。遊技領域130の左側の外周部には、7セグメントの表示器である第1特図表示部181、第2特図表示部182、及び普図表示部183が外縁に沿って配置されている。
【0017】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートであり、遊技者側から見て表示装置19の左側の領域に配置されている。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14が通過玉を検知すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。この普図判定の当否は、上記の普図表示部183により表示される。
【0018】
第1始動口11は、第1の特別図柄の当否判定(以下、第1特図判定という。)の契機となる始動口である。第2始動口12は、第2の特別図柄の当否判定(以下、第2特図判定という。)の契機となる始動口である。なお、第1特図判定及び第2特図判定の当否は、第1特図表示部181あるいは第2特図表示部182により表示される。
【0019】
第1始動口11は、表示装置19の直下に配置され、入賞率が変動しない、いわゆるへそタイプの始動口である。
第2始動口12は、第1始動口11の直下に配置された電チュータイプの始動口である。第2始動口12の開口部120には、一対の可動羽根が回動して第2始動口12への入賞確率を高める電動チューリップ121が取り付けられている。この電動チューリップ121は、普図判定の当選(普図当選)に応じて動作し、第2始動口12を開放する。電動チューリップ121の開放時間は、通常状態において0.2秒×1回、時短状態(確変時短状態を含む)において3秒×1回となっている。
【0020】
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、第2始動口12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長矩形状の大入賞口160と、下開きで回動してこの大入賞口160を開閉する蓋部材161と、を有している。アタッカー16では、通常、蓋部材161が遊技領域130をなす盤面と略面一をなしており、大入賞口160が閉鎖されている。蓋部材161が手前に回動したときに大入賞口160が開放状態となる。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15個となっている。
【0021】
アタッカー16は、第1特図判定または第2特図判定により大当たり(16R大当たり、2R大当たり)又は小当たりが発生すると開放状態になる。大当たりを契機とする大当たり状態では、30秒経過あるいは10個入賞するまでアタッカー16が開放されるラウンド処理が繰り返し実行される。16R大当たりを契機として発生する16R大当たり状態では、上記のラウンド処理が16回繰り返され、2R大当たりを契機とする2R大当たり状態では、上記のラウンド処理が2回繰り返される。小当たりを契機とする小当たり状態では、1回当たり0.2秒間のアタッカー16の開放状態が2回繰り返される。
【0022】
表示装置19は、
図1のごとく、略中央に液晶表示部(演出表示部)190が配置された装置である。液晶表示部190は、遊技を演出するための各種の画面を表示したり、遊技に関する情報を表示する。上記の第1特図判定及び第2特図判定(適宜、特図判定という。)の当否は、第1特図表示部181あるいは第2特図表示部182で表示されるほか、液晶表示部190による演出用の図柄変動表示によって遊技者に解り易く表示される。なお、パチンコ遊技機1の遊技では、液晶表示部190による図柄変動表示の実行回数が、図柄変動回数あるいはスタート回数として取扱いされる。
【0023】
図2は、図柄変動による停止図柄を表示する液晶表示部190の表示画面を例示する図である。この表示画面では、特図判定の当否の報知領域である特図報知エリア191が略中央に配置され、右下の隅部に、第1及び第2特図判定用の抽選用乱数の保留数を表示する特図保留表示エリア195が配置されている。
【0024】
特図保留表示エリア195では、第1特図判定の保留数と第2特図判定の保留数とが2桁の数字のように並べて表示される。上位桁の数字195Lが第1特図判定の保留数を表し、下位桁の数字195Rが第2特図判定の保留数を表している。なお、第1及び第2特図判定の保留数の上限は、いずれも4個となっている。
【0025】
特図報知エリア191では、3桁の演出用の数字図柄が変動表示され、停止表示された数字図柄の組み合わせに応じて特図判定の当否が報知される。3桁のゾロ目が大当たりを報知する大当たり図柄である。また「123」、「345」、「567」、「789」など、麻雀でいう順子(シュンツ)の組み合わせが小当たりを報知する小当たり図柄となっている。
【0026】
さらに、大当たり図柄のうち、「333」、「777」など奇数図柄の組み合わせが16R大当たりの報知図柄となっており、「222」、「444」など偶数図柄の組み合わせが2R大当たりの報知図柄となっている。なお、本例のパチンコ遊技機1では、大当たりが発生した際の確変大当たりの振分率が50%となっている。したがって、大当たりの2回に1回が確変大当たりということになる。
【0027】
なお、液晶表示部190による報知演出では、左と右で同じ数字図柄が停止し、中央の図柄の変動表示が継続しているリーチ状態を含むリーチ演出が実行される場合がある。さらに、このリーチ演出の中には、レバー役物5を利用する期待度の高い特定リーチ演出が含まれている。この特定リーチ演出の内容については後で説明する。
【0028】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図3を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主制御部20を中心として構成されている。主制御部20に対しては、上記の構成のほか、玉の払出を制御する払出制御部33、玉の打込を制御する発射制御部34、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ311〜314、第2始動口12を開放する電チューソレノイド322、アタッカー16を開放させる大入賞口ソレノイド324、遊技演出を制御する演出制御部35等が電気的に接続されている。さらに、主制御部20には、電力を供給するための電源回路部328が接続されている。
【0029】
払出制御部33は、入賞が発生したとき、主制御部20からの指示を受けて払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御部34は、操作ハンドル135の操作量に応じて発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0030】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、
図3のごとく、第1始動口11(
図1)への入賞玉を検出する第1特図入賞センサ311、第2始動口12への入賞玉を検出する第2特図入賞センサ312、通過ゲート14の通過玉を検出する普図始動センサ313、及び大入賞口160への入賞玉を検出する大入賞センサ314がある。
【0031】
演出制御部35は、遊技演出動作を制御するための副制御部としての機能を有し、主制御部20と同様、図示しないCPU、ROM、RAM等を含んで構成されている。演出制御部35には、スピーカ131を駆動するアンプ351や装飾ランプ部136が電気的に接続されているほか、レバー役物5を制御する役物制御部38、液晶表示部190の表示画面を制御する表示制御部36が通信可能に接続されている。
【0032】
演出制御部35のROMは、CPUに実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、特図判定の当否を報知するための報知演出の種類を決定するための演出抽選テーブルを記憶している。演出抽選テーブルは、上記の特定リーチ演出を含む各種の演出の当選乱数が規定された抽選テーブルである。
【0033】
役物制御部38は、液晶表示部190による演出表示の実行に伴って、レバー(操作受付部材)50の変位位置、及びレバー50に作用する駆動力のうちの少なくともいずれか一方を制御する制御手段である。
【0034】
主制御部20は、
図3に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0035】
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、第1特図判定及び第2特図判定に共用される抽選テーブル(以下、特図判定用の抽選テーブルという。)と、普図判定用の抽選テーブルと、を記憶している。
【0036】
普図判定用の抽選テーブルは、普図判定の当選乱数が規定された抽選テーブルである。普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態下の普図判定に適用する抽選テーブルと、時短状態(確変時短状態を含む)下の普図判定に適用する抽選テーブルと、の2種類が用意されている。
【0037】
特図判定用の抽選テーブルは、大当たり抽選である特図判定の当選乱数として大当たりと小当たりの当選乱数が規定された抽選テーブルである。特図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態(時短状態を含む)下の特図判定用の抽選テーブルと、確変時短状態下の特図判定用の抽選テーブルと、が用意されている。第1特図判定あるいは第2特図判定時には、遊技状態の種類に応じていずれかの抽選テーブルが選択される。
【0038】
RAM24は、
図3のごとく、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、各4データ分の第1及び第2特図保留エリア241A・B及び普図保留エリア243に加えて、特図読出エリア245、普図読出エリア246が割り当てられている。
【0039】
特図保留エリア241A・Bは、特図判定用の抽選用乱数である保留乱数の記憶領域である。第1特図保留エリア241Aは第1始動口11への入賞に対応し、第2特図保留エリア241Bは第2始動口12への入賞に対応している。普図保留エリア243は、普図判定の保留乱数の記憶領域である。特図読出エリア245は、特図保留エリア241A・Bから読み出された各保留乱数の格納領域である。普図読出エリア246は、普図保留エリア243から読み出された保留乱数の格納領域である。
【0040】
主制御部20は、
図3のごとく、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、以下の(1)〜(4)の各手段としての機能を実現する。また、演出制御部35は、同様に、以下の(5)の手段としての機能を実現する。
【0041】
(1)抽選手段:大当たり抽選である特図判定を実行する手段。
(2)保留手段:特図判定用及び普図判定用の抽選用乱数を特図保留エリア241A・Bあるいは普図保留エリア243に保留する手段。
(3)読出手段:特図判定用の抽選用乱数を特図保留エリア241A・Bから読み出す手段。読出手段は、第2特図保留エリア241Bからの読出しを第1特図保留エリア241Aからの読出しに優先して実行する。
(4)当たり状態発生手段:特図判定の当否に応じて、大当たり状態(16R、2R)あるいは小当たり状態を発生させる手段。
(5)演出抽選手段:特図判定結果の報知演出の種類を決定するための演出抽選を実行する手段。
【0042】
(レバー役物)
レバー役物5は、
図4〜
図6のごとく、遊技者が手綱のように把持して操作できる略U字状のレバー50を備える演出装置(演出用役物)である。レバー役物5は、遊技者側から向かって上皿150の張出部150Dの左側の端部から下方に延設された縦長のボックス状の収容部5Dに収容され、収容部5Dの前面から略U字状のレバー50が突き出す状態となっている。
【0043】
レバー役物5は、モータ53を備え、モータ53が発生する駆動力によってレバー50を変位させる。さらに、このレバー役物5では、モータ53の駆動力をレバー50に伝達する経路中に、レバー50に対する駆動力の伝達を遮断するクラッチ機構である電磁クラッチユニット57(
図6)が組み込みされている。この電磁クラッチユニット57によれば、モータ53からレバー50に伝達される駆動力の遮断が可能である。
【0044】
レバー役物5では、パチンコ遊技機1本体に対する取付ブラケットをなす基台59に、略U字状のレバー50が進退可能に保持されている。基台59には、底付きによりレバー50の下死点(遊技者から見て奥側の限界位置)を規定するための底付きブロック591と、レバー50のモータ53を保持するモータブロック530を支持するための支持ブロック593と、が設けられている。以下、レバー役物5の各部の構成について
図4〜
図6を参照して説明する。
【0045】
レバー50は、操作する者である遊技者が作用する操作力によって変位可能な操作受付部材の一例である。略U字状を呈するレバー50は、U字の縦棒の部分に相当するレバーシャフト部51と、U字の底の部分に相当し遊技者が手で把持可能な把持部の一例である持ち手55と、により形成されている。レバーシャフト部51及び持ち手55は、略一定の断面円形状を呈している。
【0046】
持ち手55には、手や指の近接を検出するタッチセンサ553(
図7参照。)が設けられていると共に、遊技者の手に振動を伝えるための加振ユニット551(
図6、
図7参照。)が内蔵されている。タッチセンサ553は、例えば静電容量式のセンサであり、持ち手55に近接する遊技者の手や指を検出する。加振ユニット551は、図示しない小型モータを内蔵するユニットである。小型モータの回転軸には、図示しない偏芯ウェイトが固定されており、偏芯ウェイトの回転に応じて振動が発生する。なお、略U字状のレバー50の開口端には、レバーシャフト部51の端部を連結する横バー54が固定されている。この横バー54をレバー50の開口部に取り付けたとき、全体として略矩形環状を呈する。
【0047】
レバーシャフト部51の外周側面のうち、他方のレバーシャフト部51に対面する部分には、レバーシャフト部51の軸方向に沿って細長いラックギア511が取り付けられている。このラックギア511は、モータ53により回転駆動される後述のギアが螺合するギア部材である。このラックギア511は、モータ53の回転力をレバー50の進退方向の駆動力に変換する。
【0048】
モータブロック530は、長方形状の鉄製の2枚の平板531を対面させ、等長の4本の支柱棒537によって結合した筐体である。各平板531には、長方形状の左右2か所に同じ大きさの孔533(
図5参照。)が穿設されている。この孔533は、レバー50がなすU字の縦棒の部分に相当するレバーシャフト部51を貫通させるための孔である。レバー役物5では、各平板531の孔533を利用し、レバーシャフト部51がモータブロック530を貫通する状態になっている。
【0049】
なお、モータブロック530に対してレバー50を組み付ける際には、横バー54を取り付ける前のレバー50をモータブロック530に組み合わせた後、横バー54を組み付けると良い。横バー54は、モータブロック530からのレバー50の抜け止めとして機能する。横バー54がモータブロック530を構成する平板531に当接することで、レバー50の遊技者側の限界位置である上死点が規定される。
【0050】
2本のレバーシャフト部51に対面するモータブロック530の一方の側面には、モータ53を支持するモータ支持板535が取り付けられている。このモータ支持板535には、モータ53が2個取り付けられている。2個のモータ53は、出力軸がモータ支持板535を貫通する状態で、長方形状のモータ支持板535の左右に1個ずつ取り付けられている。各モータ53の出力軸は、モータブロック530の内部に配置された電磁クラッチユニット57にそれぞれ入力される。
【0051】
モータ53は、レバー(操作受付部材)50を変位させるための駆動力をレバー50に作用する駆動手段の一例である。本例で採用したモータ53は、コイルとマグネットとを備える直流のインダクタ型のモータ(DCモータ)である。このモータ53では、安全に使用できる定格電流及び定格電圧の仕様が定められている。本例では、定格電圧が12Vで、定格電流が1.0Aのモータ53を採用している。
【0052】
モータ53には、図示しない減速ギアを含む減速機構が組み込まれており、ロータの回転を減速して出力する。減速機構を介して出力軸が外部に取り出されているこのモータ53では、出力軸の回転抵抗が適度に大きくなっている。それ故、モータ53が非通電の状態のときでも、レバー50を操作しようとする遊技者の手に、出力軸の回転抵抗に由来する適度な反力を作用できる。なお、減速ギア等が組み込まれたモータ53に代えて、減速機構を持たないモータを採用し、減速ギアを含む減速ユニットを組み合わせることも良い。
【0053】
電磁クラッチユニット57(
図6)は、内部構造の図示は省略するが、モータ53の出力軸に連結されて一体回転するアーマチュア、駆動ギア575が外挿配置された回転ロータ、及びコイルなどを備えるユニットである。駆動ギア575は、レバーシャフト部51に取り付けられたラックギア511に螺合するピニオンギアである。この駆動ギア575とラックギア511との組合せによるラックアンドピニオンのギア機構により、モータ53の回転動作がレバー50の進退動作に変換される。コイルは、回転ロータに対してアーマチュアを磁気的に吸着するための磁力の発生源である。
【0054】
電磁クラッチユニット57のコイルに通電すると、回転ロータに対してアーマチュアが磁気的に吸着されて一体回転する。回転ロータとアーマチュアとが一体回転する状態では、上記のラックアンドピニオンのギア機構を介して、モータ53の回転がレバー50側に伝達される連結状態(接続状態)となる。一方、コイルに非通電の状態では、アーマチュアが回転ロータに対して空転する状態となる。この状態では、モータ53の回転がレバー50側に伝達されない遮断状態となる。
【0055】
レバー役物5では、レバー50の変位を検出するためのセンサとして、
図6のごとく、ロータリーエンコーダ56、フォトセンサ58が組み込まれている。ロータリーエンコーダ56は、入力軸の回転方向、及び回転角を検出するセンサである。本例の構成では、レバーシャフト部51に取り付けられたラックギア511に螺合するピニオンギアであるピックアップギア565の回転が、ロータリーエンコーダ56の入力軸に入力されている。
【0056】
フォトセンサ58は、レバー50の開口端に取り付けられた上記の横バー54を検出するセンサである。フォトセンサ58は、レバー50が進退する際に横バー54が横切るように取り付けられている。フォトセンサ58は、レバー50の上死点(遊技者側の限界位置)、レバー50の下死点(遊技者から見て奥側の限界位置)、及び中間的な位置の各位置に対応して、58A、58B、58Cの3つが設けられている。なお、この中間的な位置は、レバー50の初期位置に相当している。
【0057】
レバー役物5を制御する役物制御部38には、
図7のごとく、持ち手55に設けられたタッチセンサ553及び加振ユニット551、レバー50に駆動力を作用するモータ53、レバー50の変位位置を検出する上記のフォトセンサ58A〜C、上記のロータリーエンコーダ56、電磁クラッチユニット57などが接続されている。役物制御部38は、レバー役物5側からタッチセンサ553、フォトセンサ58、ロータリーエンコーダ56のセンサ信号を取得する一方、モータ53、電磁クラッチユニット57、加振ユニット551に対して制御信号を入力する。
【0058】
役物制御部38は、ロータリーエンコーダ56のセンサ信号に演算処理を施すことで、ピックアップギア565の回転角、回転方向などを検出する。ここで、ピックアップギア565を利用して検出される回転角は、ラックギア511が取り付けられたレバー50の変位量に対応している。また、ピックアップギア565を利用して検出される回転方向は、レバー50が変位する方向に対応している。
【0059】
役物制御部38では、フォトセンサ58のセンサ信号と、ロータリーエンコーダ56のセンサ信号と、を適宜処理することで、レバー50の変位位置が特定される。例えば、レバー50の上死点と下死点との中間的な位置に配置されたフォトセンサ58Bによれば、レバー50の初期位置を特定可能である。さらに例えば、この初期位置を基準としてレバー50が変位する際のロータリーエンコーダ56のセンサ信号の履歴によれば、初期位置を基準としたレバー50の変位位置を特定可能である。例えば、初期位置と上死点との中間の所定の位置や、初期位置と下死点との中間の所定の位置などにレバー50が変位したことの特定も可能となっている。これにより、役物制御部38によれば、例えば上死点から下死点に至るストロークの半分に当たる半ストロークをレバー50に進退させる制御等が可能になっている。
【0060】
ここで、役物制御部38によるレバー役物5の制御について説明する。
レバー役物5におけるモータ(駆動手段)53は、レバー50を所定の方向に変位させようとする駆動力を作用している場合に、遊技者がレバー50に作用した操作力に応じたレバー50の静止(モータ53の強制的な停止を伴う。)、あるいは前記所定の方向とは逆向きのレバー50の変位(モータ53の強制的な逆回転を伴う。)を許容できるように制御される。このようなモータ53の制御を実現するために本例の構成では、制御手段である役物制御部38が、モータ53の回転が強制的に停止されたときのコイルの通電電流が所定値を超えないようにモータ53の定格電圧よりも低い電圧でモータ53を駆動する。本例では、モータ53の定格電流を基準として定められた電流値を上記の所定値として設定している。
【0061】
モータ53の駆動電圧の設定方法について
図8を参照して説明する。上記の通り、本例で採用したモータ53は、定格電圧12V、定格電流1.0Aのモータである。このモータ53を定格電圧である12Vで駆動した場合の(回転数−トルク)、(電流−トルク)の関係は、同図中の実線で示す関係となっている。また、同図には、定格電圧を下回る10Vでモータ53を駆動した場合の(回転数−トルク)、(電流−トルク)の関係を1点鎖線で示し、同8Vでモータ53を駆動した場合の(回転数−トルク)、(電流−トルク)の関係を2点鎖線で示している。
【0062】
本例では、モータ53の回転を強制的に停止させたときの電流値が定格電流(所定値の一例。)以下となる駆動電圧を設定している。例えば、本例のモータ53の場合(
図8参照。)では、駆動電圧が8Vのとき、回転を強制的に停止したときのトルク値が同図中のA点となっている。そして、トルク値がA点となるときの電流値は同図中のB点であり、定格電流である1.0A以下になっている。本例では、このように回転を強制的に停止したときの電流値を定格電流(1.0A)以下に抑えることができる電圧8Vを、モータ53の駆動電圧として設定している。
【0063】
このような設定方法により、定格電圧よりも低い駆動電圧をモータ53に設定すれば、モータ53の回転を強制的に停止させた場合であっても、コイルの通電電流が定格電流を超える状況を未然に回避できる。過大電流を回避できれば、過熱等によるモータ53の損傷を未然に回避できる。このように本例では、モータ53の駆動電圧を抑えることで、安全性を確保しながらモータ53の強制停止等を含むモータ制御を可能としている。なお、上記の設定方法では、駆動電圧を設定する際の所定値として定格電流を採用しているが、定格電流の80%の電流値や、定格電流の50%の電流値などを所定値として採用すれば、モータ53を制御する際の安全マージンを拡大できる。
【0064】
(パチンコ遊技機の動作)
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の動作について、遊技の流れに沿って説明する。
パチンコ遊技機1は、操作ハンドル135が右回転方向に操作されたとき、その操作量に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、通過ゲート14などが配置された遊技領域130を流下する。入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0065】
玉が流下する間に通過ゲート14を通過した場合には、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定用の抽選用乱数を抽出する抽選が実行される。抽選用乱数は、普図判定用の抽選テーブルと照合され、普図判定の当否が決定される。普図判定に当選すると、電動チューリップ121が解放状態となり、第2始動口12の入賞確率が格段に高くなる。なお、上記の通り、電動チューリップ121の開放時間は、通常状態で0.2秒、時短状態及び確変時短状態で3秒である。
【0066】
第1(第2)始動口11(12)へ玉が入賞という所定の始動条件が成立した場合には、主制御部20は、特図判定用の抽選用乱数を抽出することで大当たり抽選である特図判定を実行する。特図判定用の抽選用乱数は、第1(第2)特図保留エリア241A(B)に随時、格納(保留)される。ただし、第1(第2)特図保留エリア241A(B)の保留数が4個である場合には、第1(第2)特図保留エリア241A(B)に格納されることなく消去される。
【0067】
主制御部20は、特図報知エリア191での図柄変動が停止しており、かつ、大当たり状態及び小当たり状態の発生中ではないとき、第1及び第2特図保留エリア241A・Bの保留乱数(特図保留)を読み出して特図読出エリア245に格納する。このとき、主制御部20は、第1特図保留に対して第2特図保留を優先して、記憶タイミングが古いものから順番に1つずつ特図保留を読み出す。第2特図保留が優先的に読み出されるので、第1特図保留は、第2特図保留がゼロのときに読み出される。
【0068】
主制御部20は、発生中の遊技状態に対応する特図判定用の抽選テーブルを選択し、特図読出エリア245に読み出された特図判定用の抽選用乱数を照合することにより特図判定を実行する。この特図判定では、大当たり(16R大当たり、2R大当たり)か、小当たりか、ハズレか、の当否と共に、特図判定の当否を報知する際の図柄変動時間が決定される。主制御部20は、特図判定結果として当否及び図柄変動時間などを演出制御部35に入力する。
【0069】
演出制御部35は、特図判定結果を入力すると、特図判定の当否を報知するための報知演出の種類を決定するための演出抽選を実行する。演出抽選の実行に当たって演出制御部35は、上記の演出抽選テーブルを利用し、特図判定の当否及び図柄変動時間に応じて報知演出の種類を決定する。
【0070】
特図判定の当否は、第1特図表示部181または第2特図表示部182に表示されるほか、液晶表示部190の特図報知エリア191(
図2)において、上記の演出抽選によって決定された報知演出が実行されて報知される。特図報知エリア191では、演出用の3つの数字図柄の変動表示がスタートし、その後、演出抽選により決定された報知演出の実行を経て停止表示された3桁の数字図柄の組み合わせによって特図判定の当否が報知される。
【0071】
このとき、演出抽選によってリーチ演出の実行が決定していれば、左→右→中央の順番で数字図柄が停止する過程において、左と右で同じ数字図柄が停止し、中央の図柄が変動表示中というリーチ状態が発生する(
図9参照。)。その後、中央に同じ数字図柄が停止表示されると大当たりとなるため、リーチ演出では遊技者の期待感が高揚される。
【0072】
さらに、演出抽選により特定リーチ演出が決定していれば、リーチ状態に移行した後、図柄変動途中でのシーン切替等により、例えば人物や動物やロボットなどのキャラクターが現れ、キャラクターを主人公とするストーリー性のある動画による演出が開始される。特定リーチ演出としては、出現するキャラクターの種類や、ストーリー展開の種類などが異なる複数種類の演出が用意されている。さらに、特定リーチ演出の中には、レバー役物5を利用した演出が設けられている。なお、レバー役物5を利用する特定リーチ演出の内容については、後で詳しく説明する。
【0073】
特図報知エリア191において大当たり図柄が停止表示されて大当たりが報知されると、大当たり状態が発生する。この大当たり状態では、30秒経過あるいは10個入賞するまでアタッカー16が開放されるラウンド処理が16回または2回繰り返される。大当たりが確変大当たりであれば、大当たり状態が終了した後、特図判定の当選確率が高くなる確変時短状態が発生する。
【0074】
この確変時短状態下では、液晶表示部190の表示画面において、特図報知エリア191の上側に「CHANCE!」の文字が表示されると共に、下側に図柄変動の残り回数が表示される(
図10参照。)。100回を初期値として減算されるこの残り回数がゼロに到達するまでの間に、大当たりが再度、発生すれば、大当たり状態が連続的に発生して連荘となる。一方、残り回数がゼロに到達するまでの間に大当たりが発生しなければ、残り回数ゼロへの到達と共に確変時短状態が終了して通常状態となる。
【0075】
大当たりが通常大当たりであった場合には、大当たり状態が終了した後、図柄変動100回に亘る時短状態に移行する。そして、この時短状態中に大当たりが発生すれば連荘となり、大当たりが発生しなければ時短状態の終了に応じて通常状態となる。
【0076】
(レバー役物を利用する特定リーチ演出)
特定リーチ演出では、上記のごとく、レバー役物5を利用する演出動作が実行される場合がある。レバー役物5を利用する特定リーチ演出の3つの態様を例示して説明する。以下の特定リーチ演出は、リーチが発生した後(
図9参照。)、液晶表示部190の表示画面のシーン切替を伴って開始される特別なリーチ演出である。
【0077】
(1)騎乗演出
図11に例示する騎乗演出は、遊技者自身が馬に騎乗して障害物を跳び越えるという演出動作が行われる特定リーチ演出である。
この騎乗演出は、液晶表示部190の表示画面に例えば馬体の画像や、「手綱(レバー)を掴んで騎乗してね!」という文字が表示されると共に開始される(同図(a))。
【0078】
タッチセンサ553によって遊技者がレバー50を把持した旨が検出されると、液晶表示部190の表示画面が、騎手の視点による馬の後ろ頭の画像に切り替わり、さらに馬が駆ける動画に切り替わる。このような騎手の視点による動画では、馬の走り出しに応じて馬の首が前後動すると共に、馬の走りに応じて周囲の風景が後ろに流れるように変化する。このとき、役物制御部38は、騎手の視点の動画中の馬の首の前後動に連動してレバー50を進退させるようにレバー役物5を制御する。
【0079】
役物制御部38は、レバー役物5のモータ53の正転、逆転を繰り返し、初期位置を中心としてレバー50を下死点側と上死点側とに交互に駆動する。これにより役物制御部38は、レバー50の初期位置を基準とした上記の半ストロークの範囲で、馬の手綱の動きに似せてレバー50を進退させる。
【0080】
続いて液晶表示部190の表示画面では、
図11(b)のごとく、前方に障害物が出現するような画像と共に、「ジャンプするよ!しっかり手綱を握ってね!」という文字表示が現れる。役物制御部38は、液晶表示部190に表示される動画中で障害物を飛び越えようとする馬の加速に連動して、手綱を模擬するレバー50の進退動作の速度を速くするようにレバー役物5を制御する。
【0081】
騎乗演出では、液晶表示部190に表示される動画中で馬が障害物の手前に到達した後、予め用意された2通りの演出パターンのうちのいずれかが実行される。
第1の演出パターンは、障害物の飛び越えに成功する動画が液晶表示部190に表示されるパターンである(
図11(c))。この飛び越え成功の演出パターンでは、液晶表示部190に「ジャンプ成功!」の文字が表示されると共に、役物制御部38が、手綱を模擬するレバー50を下死点までしっかりと変位させて停止させる。
【0082】
第2の演出パターンは、障害物の飛び越えに失敗する動画が液晶表示部190に表示されるパターンである(
図11(d))。この飛び越え失敗の演出パターンでは、液晶表示部190に落馬シーン及び「失敗…残念。」の文字が表示されると共に、役物制御部38が電磁クラッチユニット57を上記の遮断状態に制御する。電磁クラッチユニット57が遮断状態に切り替わると、レバー50を操作する遊技者の手にレバー50側から作用する反力(操作反力という。)がゼロ近くになり、遊技者側からすれば突然、レバー50が「抜けた」ような状態になる。このような制御によれば、あたかも手綱が切れてしまったような状態を模擬する演出を実行可能である。また、役物制御部38は、加振ユニット551を動作させることで、レバー50を把持する遊技者の手に振動を作用する。
【0083】
騎乗演出における2通りの演出パターンは、大当たり当選の期待値を示唆する演出となっている。飛び越え成功の演出パターンは、大当たりの当選確率が高い(期待値が高い)ことを示唆する演出のパターンである。一方、飛び越え失敗の演出パターンは、大当たりの当選確率が低い(期待値が低い)ことを示唆する演出のパターンである。どちらの演出パターンも、騎乗演出の終了に応じて図柄変動表示に復帰し、その後、停止表示された図柄の組み合わせにより特図判定結果が報知される。ここで、特図判定結果は、騎乗演出の演出パターンに応じて確定する訳ではない。飛び越え成功の騎乗演出が実行された場合であってもその後、ハズレが報知される場合が設けられており、同様に、飛び越え失敗の騎乗演出についてもその後、大当たりが報知される場合が設定されている。
【0084】
(2)綱引き演出
図12に例示する綱引き演出は、綱引きの勝敗に応じた秘蔵映像などのスペシャルコンテンツの動画表示を含む特定リーチ演出である。綱引き演出は、綱引きの画像と共に「綱を握ってね」という文字等が液晶表示部190に表示されて開始される(同図(a))。
タッチセンサ553によって遊技者がレバー50を把持した旨が検出されると、液晶表示部190に「綱引き!スタート!」という文字等が表示されて(図示略)、綱引きが開始される。
【0085】
役物制御部38は、綱引きの開始と共に、レバー50を下死点側へ変位させるようにモータ53を制御し、遊技者がレバー50を上死点側へ変位させる力に対抗できるようにレバー50の駆動力を制御する。このような役物制御部38の制御によれば、遊技者とパチンコ遊技機1との間でレバー50を利用した綱引き合戦を模擬した演出を実行できる。
【0086】
遊技者によるレバー50の操作によってレバー50が上死点に到達したことを役物制御部38が検出すると、液晶表示部190に「勝った!」という文字が表示される(
図12(b))。その後、液晶表示部190によるスペシャルコンテンツの表示(同図(e))を経由して、リーチ状態の図柄変動表示に復帰する。
【0087】
一方、遊技者がレバー50を引く操作力が弱かったり、遊技者がレバー50を操作しなかった場合など、モータ53の駆動力によりレバー50が上記の下死点に変位したとき、液晶表示部190の表示画面に「負けた…」という文字等が表示される(
図12(c))。
【0088】
また、役物制御部38は、綱引き合戦の途中で、電磁クラッチユニット57を上記の遮断状態に切り替える場合がある。この場合には、レバー50を下死点側へ変位させる力がゼロになると共に上記の操作反力がゼロ近くになって、遊技者側からすると突然、レバー50が抜けたようになる。この演出動作は、綱引きの綱が切れた状態を模擬する演出であり、このとき、液晶表示部190の表示画面には、「切れた!」という文字等が表示される(
図12(d))。綱引き合戦に負けた演出の場合、及び綱が切れた演出の場合には、スペシャルコンテンツの表示を経由することなく、そのまま図柄変動表示に復帰する。
【0089】
(3)アスレチック演出
図13に例示のアスレチック演出は、レバー50に対する遊技者側の所定操作に応じて特図判定結果を報知する特定リーチ演出である。本例では、この所定操作として、レバー50を10回押し引きする操作が設定されている。特図判定結果が大当たりであれば、このアスレチック演出でレバー50を10回押し引きできる一方、ハズレの場合には、レバー50を10回押し引きする前にレバー50が抜けたような演出動作が行われる。
【0090】
アスレチック演出は、例えば「レバーを10回押し引きしてね」という文字等が液晶表示部190の表示画面に表示されて開始される(
図13(a))。このような文字表示によればレバー50を把持して押し引き操作するよう遊技者を促すことができる。このアスレチック演出では、役物制御部38は、電磁クラッチユニット57を上記の連結状態に制御する一方、モータ53の駆動制御を実行しない。遊技者がレバー50を押し引き操作する際には、減速機構を備えるモータ53の出力軸の回転抵抗に由来する適度な反力が遊技者側に作用する。
【0091】
役物制御部38は、遊技者のレバー50の押し引き操作によるレバー50の変位をフォトセンサ58を用いて検出する。アスレチック演出を実行中の役物制御部38は、レバー50の上死点への変位と、下死点への変位と、の繰り返し回数をカウントする。アスレチック演出の継続中では、液晶表示部190の表示画面の右下で図柄変動が継続されると共に、例えば、この繰り返し回数が5回に達したときには「がんばれ!あと5回」等の残り回数が表示される(
図13(b))。
【0092】
特図判定結果がハズレの場合、役物制御部38は、レバー50に対する上記の繰り返し回数が10回に到達する前に、電磁クラッチユニット57を上記の遮断状態に切り替える。これによりレバー50を操作する遊技者の手に作用する反力がゼロ近くなり、遊技者側では突然、レバー50が抜けたようになる。このとき、液晶表示部190の表示画面には、「ハズレ!抜けた〜」等の文字表示と共に、「757」などの停止図柄の表示により、ハズレが報知される(
図13(c))。このとき、加振ユニット551を制御し、レバー50を把持する遊技者の手に振動を作用する演出を行うことも良い。
【0093】
一方、特図判定結果が大当たりの場合、遊技者は、上記の繰り返し回数が10回に到達するまでレバー50を操作可能である。この繰り返し回数が10回に到達してアスレチック演出が満了により終了したとき、例えば「777」等の図柄表示を含む大当たり画面が液晶表示部190の表示画面に表示されて大当たりが報知される(
図13(d))。
なお、同図(a)の表示後、遊技者がレバー50を操作しない場合には、所定の時間が経過した後、液晶表示部190の表示画面が特図判定結果の報知画面に切り替わる。
【0094】
以上のような構成のパチンコ遊技機1は、遊技者の操作によって変位可能なレバー(操作受付部材)50と、このレバー50を変位させるための駆動力を作用するモータ(駆動手段)53と、を含むレバー役物5を備えている。このパチンコ遊技機1では、大当たり抽選である特図判定の結果を示す演出表示の実行に伴って、レバー50の変位位置及び駆動力のうちの少なくともいずれか一方が制御される。
【0095】
このパチンコ遊技機1の遊技では、特図判定結果を示す演出表示の実行に伴って、レバー50の位置が変位したり、レバー50に作用する駆動力が変動するという斬新な遊技性がレバー役物5によって実現されている。レバー役物5は、レバー50の変位位置及び駆動力のうちの少なくともいずれか一方を制御する制御手段である役物制御部38を備える演出装置である。この役物制御部38は、駆動手段の一例であるモータ53の駆動力がレバー50に作用している場合に、遊技者がレバー50に作用した操作力に応じたレバー50の静止、あるいはモータ53の逆回転を伴う逆向きのレバー50の変位を許容可能なように駆動手段であるモータ53を制御する。
【0096】
このようなレバー役物5を備えるパチンコ遊技機1による遊技では、レバー50を操作することで遊技者が積極的に演出に参加できる。特にこのレバー役物5では、モータ53の駆動力がレバー50に作用している場合であっても、遊技者側の操作によるレバー50の静止や、逆向きのレバー50の変位が許容され得る。そのため、このレバー役物5では、遊技者側の操作の如何によってレバー50が変位する位置等が異なってくるという斬新な演出が可能になっている。このようにレバー役物5を備えるパチンコ遊技機1では、遊技者が演出に関与し働きかける度合いが高くなっており、遊技者の参加型の演出が実現されている。
【0097】
このようにレバー役物5を備えるパチンコ遊技機1によれば、遊技者が操作可能なレバー50に関する制御が演出表示に伴って実行されるという斬新な演出が可能であり、遊技の興趣を高めることが可能である。
【0098】
レバー50は、遊技者が手で把持可能な把持部の一例である持ち手55を備えている。持ち手55を備えるレバー50は、遊技者がしっかりと把持して操作可能である。したがって、持ち手55を含むレバー50であれば、操作している感覚を遊技者側に強く感じさせ、遊技の興趣を向上できる。
また、把持部である持ち手55には、遊技者の手に振動を伝えるための加振ユニット551が設けられている。加振ユニット551を設ければ、レバー50を操作する遊技者の手に振動を感じさせることができ、一層多彩な演出が可能になる。
【0099】
レバー役物5では、モータ53の駆動力をレバー50に伝達する経路中に、レバー50に対する駆動力の伝達を遮断するクラッチ機構をなす電磁クラッチユニット57が設けられている。電磁クラッチユニット57によって連結状態と遮断状態とを切り替えれば、例えば遊技者によるレバー50の操作中に、レバー50の駆動力をゼロにしたり、レバー50からの操作反力をゼロ近くにするといった演出が可能となり、演出の幅を一層拡大できる。
【0100】
レバー役物5の駆動手段であるモータ53は、コイルとマグネットとを有し、安全に使用できる定格電流及び定格電圧の仕様が定められたインダクタ型のモータである。役物制御部38は、モータ53の回転が強制的に停止されたときのコイルの通電電流が所定値を超えないように定格電圧よりも低い電圧でモータを駆動するように構成されている。レバー役物5では、定格電圧よりも低い電圧で駆動することで、コイルに通電される過大電流を未然に回避している。そして、これによりモータ53の強制的な停止等を含める多彩な制御を可能としている。
【0101】
特に、本例の構成では、コイルの通電電流を抑える上記の所定値として、定格電流を設定している。定格電流は、モータメーカ等がモータ53を安全に使用できる範囲として保証する電流値であるので、上記の所定値として定格電流を設定すれば、安全性高くモータ53を制御できる。
【0102】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、玉を遊技領域130に打ち込んで遊技が行われ、入賞が発生したときに玉を払い出すパチンコ遊技機1を例示している。このパチンコ遊技機1とはタイプが異なる遊技機に対応することも可能であり、例えば玉が封入されており得点を消費してその玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、スロットマシンに本発明を適用することも可能である。
【0103】
このように本例では、遊技機に組み込まれる演出装置の一例であるレバー役物5を例示している。操作受付部材を備える演出装置の適用先としては、例示した遊技機のほか、商業用あるいは家庭用のゲーム機、アスレチック器具あるいはトレーニング器具などの運動器具、健康増進器具、ゲーム用途のユーザーインターフェース装置などがある。
【0104】
レバー50の変位を規制するブレーキ機構である電磁ブレーキを設けることも良い。電磁ブレーキによりレバー50の変位を規制すれば、遊技者が力をかけてもレバー50を動かせない状態を設定できる。演出中にレバー50を動かせない状態に切り替えることで、演出を多彩にできる。また、レバー50を利用した演出を実行していないときに、レバー50を動かせない状態を設定すれば、遊技者が演出とは無関係に行う勝手なレバー操作を未然に防止できる。あるいは、例えばアスレチック演出の実行中に電磁ブレーキを動作させれば、レバー50を10回押し引きするという課題の実現難易度を高くしたり、不可能にする等、一層多彩な演出を実現できる。
【0105】
操作受付部材の態様として、本例では、遊技者が把持可能な持ち手55を含むレバー50を例示している。レバー50に代えて、ジョイスティックタイプや、押込みボタンや、綱や、腕相撲のようなアームタイプなどの操作受付部材を採用しても良い。
【0106】
本例では、持ち手55を把持する遊技者の手を検出するためのセンサとして静電容量式のタッチセンサ553を例示している。操作する手の検出センサとしては、赤外線式のセンサなど、検出方式が異なる他のセンサを採用しても良い。
【0107】
本例では、駆動力の発生源となる駆動手段としてモータ53を例示している。モータ53に代えて、液圧や空圧を動力源とするアクチュエータ等の駆動手段や、ばね力を利用する駆動手段などを採用しても良い。
【0108】
本例では、レバー役物5を利用する図柄変動演出(特定リーチ演出)を例示しているが、レバー役物5を利用する演出としては、図柄変動演出のみならず、遊技の過程において実行される各種の演出がある。
【0109】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。