【解決手段】中子を検査する中子検査装置であって、前記中子の表面の色の色成分ごとの測定値を検出する色センサと、前記色センサにより検出された少なくとも1つの色成分の測定値と、前記少なくとも1つの色成分に対応して用意された閾値とを比較することにより、前記中子の強度特性の良否を判定する判定部と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0015】
[第1実施形態]
(中子検査装置の構成)
実施形態に係る中子検査装置は、中子を検査する装置である。中子とは、鋳型の中にはめ込まれる型である。中子の一例は、砂中子である。中子は、例えば、金型内に充填された中子砂(一例としてレジンコーテッドサンド)を焼成することにより得られる。中子検査装置は、中子の良否を判定する。中子検査装置は、一例として中子の強度特性の良否を判定する。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る中子検査装置の一例を示す図である。
図1に示されるように、第1実施形態に係る中子検査装置1は、色測定器2及び制御部3を備える。
【0017】
色測定器2は、中子の色を測定する機器である。色測定器2は、一例として作業員によって操作される携帯型の機器である。色測定器2は、本体21と、色センサ22と、案内部材23とを備える。色センサ22は、本体21内に設けられる。
【0018】
色センサ22は、中子100の表面の色の色成分ごとの測定値を検出する。色成分とは、赤、緑及び青の3色である。色センサ22は、中子100の表面を非接触で測定する。例えば、測定光を対象物へ出射し、対象物からの反射光に基づいて色成分ごとの測定値を検出する。測定値は一例として4mA〜20mAの電流値として出力される。色センサ22は、スポット状の測定光を出力してもよいし、ライン状の測定光を出力してもよい。色センサ22は、赤、緑及び青の少なくとも1つを検出できるものであればよい。
【0019】
案内部材23は、中子100と色センサ22との間の距離が予め定められた距離以下となることを規制する。案内部材23は、一例として本体21に設けられた棒状部材である。作業員が本体21を中子100に近づけたとき、棒状部材が中子100に突き当たる。つまり、予め定められた距離は、案内部材23が本体21から突き出した長さである。案内部材23により、測定時における中子100と色センサ22との間の距離のばらつきを抑制することができる。
【0020】
中子100は、支持台4上に配置され、固定部41により位置決めされる。中子100は、作業員により支持台4に配置されてもよいし、ロボットにより支持台4に配置されてもよい。ロボットは、例えば制御部3から出力された動作命令に従って動作する。
【0021】
制御部3は、中子検査装置1の動作を統括する装置である。制御部3は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置(記憶媒体の一例)、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置(記憶媒体の一例)などを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。
【0022】
制御部3は、色測定器2と通信可能に接続される。制御部3は、色測定器2の測定結果を受信する。制御部3は、機能的には、判定部31及び出力部35を備える。
【0023】
判定部31は、色センサ22により検出された少なくとも1つの色成分の測定値と、少なくとも1つの色成分に対応して用意された閾値とを比較することにより、中子100の強度特性の良否を判定する。
【0024】
判定部31は、赤成分、緑成分及び青成分の何れか1つのみ判定してもよいし、赤成分、緑成分及び青成分の全ての成分を判定してもよい。つまり、少なくとも1つの色成分は、複数の色成分を含み得る。閾値は、色成分それぞれに用意される。つまり、閾値としては、赤成分用の閾値、緑成分用の閾値、及び青成分用の閾値が存在する。閾値は、予め定められた値である。閾値は、例えばシミュレーションやテスト工程の結果に基づいて決定される。閾値は、再生砂及び新砂の色、配合、中子100の形状などによって適宜設定され得る。
【0025】
判定部31は、測定値と閾値との大小関係と、判定結果とを色成分ごとに変更してもよい。例えば、判定部31は、緑成分が緑成分用の閾値以下であれば中子100の強度特性は良好である(中子100は良品である)と判定する。そして、判定部31は、青成分が青成分用の閾値以上であれば中子100の強度特性は良好であると判定してもよい。判定の大小関係は、例えばシミュレーションやテスト工程の結果に基づいて決定される。
【0026】
閾値は、上限閾値及び下限閾値を含んでもよい。つまり、判定部31は、上限閾値及び下限閾値で規定される範囲内に測定値が含まれる場合に、中子100の強度特性は良好であると判定してもよい。上限閾値及び下限閾値で規定される範囲は、複数設定されてもよい。つまり、判定部31は、段階的な評価を行うこともできる。
【0027】
判定部31は、複数の色成分を判定する場合、複数の色成分の判定結果の組合せに基づいて中子100の強度特性の良否を判定してもよい。例えば、判定部31は、緑成分の判定結果と青成分の判定結果との何れもが良好である場合に、中子100の強度特性は良好であると判定してもよい。
【0028】
出力部35は、判定部31の判定結果を判定結果データ36として出力する。出力先は、制御部3の記憶媒体でもよいし、制御部3に接続された外部装置であってもよい。
【0029】
制御部3は、外部装置の一例として、報知部5及びデータ記憶装置6(記憶媒体の一例)に接続される。報知部5は、作業員へ報知する機器である。報知部5は、一例として、ディスプレイ、スピーカ、回転灯などである。データ記憶装置6は、外付けの記憶媒体、又は、ネットワークを介して接続されるデータサーバなどである。
【0030】
出力部35は、一例として、判定結果データ36に基づいてディスプレイに画像を表示させる。出力部35は、一例として、判定結果データ36に基づいてスピーカから音を出力させる。出力部35は、一例として、判定結果データ36に基づいて回転灯を点灯させる。出力部35は、一例として、判定結果データ36をデータ記憶装置6に記憶させる。
【0031】
出力部35は、判定結果データ36として、判定結果(良品、不良品)だけでなく、測定結果である色成分ごとの測定値、測定値に応じて決定された焼き色レベル、測定距離、測定日時、作業者名などを関連付けたデータを出力してもよい。
【0032】
(中子検査方法)
図2は、中子検査処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示されるフローチャートは、例えば作業員が測定準備の開始ボタンを押下したタイミングで制御部3により実行される。
【0033】
図2に示されるように、制御部3は、中子準備処理(S10)として、中子100を支持台4に配置させる。例えば、制御部3は、ロボットに動作指令を出力することで、ロボットに中子100を配置させる。中子準備処理は、作業員が実行してもよい。
【0034】
続いて、制御部3は、測定準備処理(S12)として、作業員が測定準備の完了ボタンを押下したことを判定する。作業員は、色測定器2の光照射位置(中子100の測定位置)を確認するとともに、中子100に色測定器2の案内部材23を押し当てる。作業員は、準備が完了した場合、測定準備の完了ボタンを押下する。
【0035】
続いて、制御部3は、測定処理(S14:測定値を検出するステップ)として、色測定器2から色成分ごとの測定値を取得する。作業員は、例えば、色測定器2の測定開始ボタンを押下して測定を開始する。測定開始ボタンが押下された場合、色測定器2は、中子100の表面の色の色成分ごとの測定値を検出する。制御部3は、色測定器2から色成分ごとの測定値を取得する。
【0036】
続いて、制御部3は、判定処理(S16:良否を判定するステップ)として、測定処理(S14)で得られた色成分の測定値と、色成分に対応して用意された閾値とを比較することにより、中子100の強度特性の良否を判定する。
【0037】
続いて、制御部3は、データ保存処理(S18)として、判定処理(S16)で得られた判定結果を、判定結果データ36として制御部3内部の記憶媒体や外付け記憶媒体に記憶する。
【0038】
データ保存処理(S18)が終了した場合、
図2に示されるフローチャートが終了する。
図2に示されるフローチャートが実行されることにより、中子100の表面の色を用いた品質検査が終了する。
【0039】
(第1実施形態のまとめ)
中子検査装置1及び中子検査方法では、色センサ22により、中子100の表面の色の色成分ごとの測定値が検出される。そして、検出された少なくとも1つの色成分の測定値と閾値とが比較される。中子100の表面の色の色成分は中子100の強度特性と相関があると考えられる。例えば、中子100が焼成される場合には、中子100の表面の色は中子100の焼き具合を示すことになる。中子100の焼成が十分でない場合、中子100の強度は劣化する。このため、中子100の焼き具合は、中子100の強度特性と相関があると推測される。中子検査装置1及び中子検査方法では、判定部31により、検出された少なくとも1つの色成分の測定値と閾値とが比較される。そして、判定部31により、中子100の強度特性の良否が判定される。このように、中子検査装置1及び中子検査方法は、中子100の表面の色の色成分を閾値で判別することにより、中子100の強度特性を簡易に評価することができる。このため、中子検査装置1及び中子検査方法によれば、全数検査を実行可能である。さらに、中子検査装置1及び中子検査方法によれば、色を数値化して判定しているため、作業員の目視と比べて判断のばらつきを小さくすることができる。
【0040】
中子100の表面の色の複数の色成分は、中子100の強度特性とそれぞれ異なる相関があると考えられる。このため、中子検査装置1及び中子検査方法は、色成分ごとに用意された閾値を用いた色成分ごとの比較結果を組み合わせることにより、中子100の強度特性をより正確に評価することができる。
【0041】
色センサ22の検出結果は、中子100との距離に依存して変化する。色センサ22が中子100に近づけられたとき、案内部材23により予め定められた距離よりも色センサ22を中子100に近づけることができない。このため、中子検査装置1及び中子検査方法は、測定距離を一定に保つことができるので、中子100の強度特性をより正確に評価することができる。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る中子検査装置1Aは、第1実施形態に係る中子検査装置1と比べて、色測定器が自動で位置決めされる点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する部分の説明は繰り返さない。
【0043】
図3は、第2実施形態に係る中子検査装置の一例を示す図である。
図3に示されるように、中子検査装置1Aは、色測定器2A及び制御部3Aを有する。
【0044】
色測定器2Aは、一例として設備に設けられた機器である。色測定器2Aは、色測定器2と比較すると、案内部材23の代わりに距離センサ24及び移動機構7を備える点が相違し、その他は同一である。
【0045】
距離センサ24は、対象物までの距離を測定する検出器である。距離センサ24は、本体21に設けられる。距離センサ24は、中子100と色センサ22との間の距離を測定する。距離センサ24は、例えば、レーザ光を中子100へ照射し、反射光を取得することで、中子100と色センサ22との間の距離を測定する。
【0046】
移動機構7は、本体21を移動可能に支持する。移動機構7は、一例として、本体21を昇降させるとともに、本体21を水平方向に移動させる電動モータを有する。移動機構7は、例えば制御部3Aから出力された動作命令に従って動作する。
【0047】
制御部3Aは、制御部3と比較すると、移動部32を備える点が相違し、その他は同一である。移動部32は、距離センサ24の測定結果に基づいて、中子100と色センサ22との間の距離が目標距離となるように、色センサ22を移動させる。移動部32は、移動機構7へ動作命令を出力する。
【0048】
中子検査装置1Aのその他の構成については、中子検査装置1と同一である。また、中子検査方法については、測定準備処理(S12)及び測定処理(S14)にて作業員が行っていた内容を自動化することができる。
【0049】
(第2実施形態のまとめ)
色センサ22の検出結果は、中子100との距離に依存して変化する。中子検査装置1Aは、距離センサ24及び移動部32によって測定距離を一定に保つことができるので、中子100の強度特性をより正確に評価することができる。
【0050】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る中子検査システムは、中子検査装置を有するシステムである。
図4は、第3実施形態に係る中子検査システムを含む造型システムの一例を示す図である。
図4に示されるように、中子検査システム200は、中子造型装置10(中子を造型した装置の一例)、管理装置11、中子検査装置1B、分析装置12及びデータ記憶装置6を備える。中子造型装置10、管理装置11、中子検査装置1B、分析装置12及びデータ記憶装置6は、ネットワークに接続されており、互いに通信可能である。
【0051】
中子造型装置10は、中子100を造型する装置である。中子造型装置10は、一例として、金型を有し、シェルモールド造型法により中子100を造型する。中子造型装置10は、管理装置11に入力された製造条件に従って中子100を造型する。製造条件とは、中子造型装置10の動作目標となる設定情報である。製造条件には、金型温度、焼成時間、吹き込み圧、吹き込み時間などの設定値、さらに、砂配合、砂種などが含まれる。中子造型装置10は、稼働情報を取得可能に構成されている。稼働情報とは、金型を含む中子造型装置10から得られる実績データであって、製造条件に基づいて実施された結果として得られる情報である。稼働情報の一例は、金型温度、焼成時間、吹き込み圧、吹き込み時間が含まれる。中子造型装置10は、稼働情報をデータ記憶装置6に出力する。
【0052】
管理装置11は、中子100の造型を統括する装置である。管理装置11は、CPU、記憶装置、入力デバイス、出力デバイスなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。管理装置11は、中子造型装置10の生産条件を入力可能に構成される。生産条件とは、中子の造型に関する既知の条件(造型前に予め設定される設定値又は知り得る事項)である。生産条件の一例は、中子造型装置10が複数台存在する場合における中子造型装置10の造型機番号、製品の品種ごとに割り振られた型番、ロット番号、中子見本写真、色判定用の閾値、製造条件、生産数などである。管理装置11は、生産条件に基づいて中子造型装置10の造型を管理する。例えば、管理装置11は、生産条件を中子造型装置10へ送信し、生産条件に従って中子造型装置10を稼働させる。また、管理装置11は、生産条件に関する情報を中子検査装置1B又はデータ記憶装置6に出力してもよい。
【0053】
中子検査装置1Bは、第1実施形態に係る中子検査装置1と比べて、判定結果と稼働情報とを関連付けて出力する点が相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する部分の説明は繰り返さない。
【0054】
図5は、第3実施形態に係る中子検査装置の一例を示す図である。
図5に示されるように、中子検査装置1Bは、色測定器2及び制御部3Bを有する。
【0055】
制御部3Bは、制御部3と比較すると、取得部33及び生成部34を備える点、及び、判定結果データ36の代わりに稼働履歴データ37を有する点が相違し、その他は同一である。なお、
図5では、データ記憶装置6との接続は省略している(
図4参照)。
【0056】
取得部33は、稼働情報を取得する。取得部33は、測定対象となる中子100を造型した中子造型装置10の稼働情報を、ネットワークを介してデータ記憶装置6から取得する。取得部33は、稼働情報を、データ記憶装置6を介すること無く中子造型装置10から直接取得してもよい。
【0057】
生成部34は、取得部33により取得された稼働情報と、判定部31の判定結果とを関連付けた稼働履歴データ37を生成する。稼働履歴データ37は、判定部の判定結果(良品、不良品)と、稼働情報(例えば、金型温度、焼成時間、吹き込み圧、吹き込み時間、砂配合、砂種)とが関連付けられたデータである。生成部34は、生産条件(製造条件を含む)と判定部31の判定結果とを関連付けてもよい。例えば、取得部33は、ネットワークを介して管理装置11から中子100の生産条件を取得する。生成部34は、取得部33により取得された生産条件に基づいて、判定部31の判定結果に型番、ロット番号、造型機番号などを関連付けてもよい。出力部35(記憶部の一例)は、稼働履歴データ37を、報知部5やデータ記憶装置6へ出力する。
【0058】
図4に戻り、データ記憶装置6は、稼働履歴データ37を記憶する。データ記憶装置6は、稼働履歴データ37以外の外部データを記憶していてもよい。稼働履歴データ37以外のデータの一例は、管理装置11が保有していないデータであり、例えば、試験片強度、中子写真に基づいて事後測定される亀裂の有無及び寸法、あるいは中子の肉厚などである。
【0059】
分析装置12は、生産状況の分析を行う装置である。分析装置12は、CPU、記憶装置、入力デバイス、出力デバイスなどを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。分析装置12は、データ記憶装置6に記憶された情報に基づいて、生産状況の分析を行う。例えば、中子100が良品でない場合には、その生産条件及び稼働情報を分析する。分析装置12は、中子の良否と生産条件及び稼働情報との関連性について、傾向を分析する。分析装置12は、傾向に基づいて、最適条件を導出したり、不良品対策のためのデータを出力したりする。分析装置12は、分析結果を管理装置11へ出力してもよい(フィードバック処理)。これにより、中子造型装置10は、良品と判断された生産条件で中子100を造型することができる。
【0060】
(生成部34の変形例)
生成部34は、制御部3Bが備える例に限定されない。例えば、生成部34は、管理装置11が備えてもよい。この場合、制御部3Bは生成部34を備える必要はなく、出力部35が判定部31の判定結果を管理装置11へ出力すればよい。そして、管理装置11は、データ記憶装置6から稼働情報を取得すればよい。あるいは、出力部35が判定部31の判定結果をデータ記憶装置6へ出力し、管理装置11がデータ記憶装置6を介して判定部31の判定結果を取得してもよい。
【0061】
あるいは、生成部34は、データ記憶装置6に備わっていてもよい。この場合、データ記憶装置6は、集約されたデータの紐付け(関連付け)を行えばよい。
【0062】
(造型処理)
以下では、中子100の検査のタイミングを例示すべく、中子100の造型から出荷までの一連の処理を説明する。
図6は、造型処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示されるように、最初に、中子造型処理(S20)として、中子造型装置10は、中子100を造型する。このとき、稼働情報が取得される。
【0063】
続いて、中子取出処理(S22)として、中子造型装置10は、中子100を装置外へ取り出す。このとき、中子造型装置10は、ベルトコンベア上に中子100を落下させてもよい。ベルトコンベアに落下した中子100は、所定の場所にそのまま搬送される。取り出された中子100は、冷却される。
【0064】
続いて、検査処理(S24)として、ロボット又は作業員は、冷却された中子100を支持台4に配置する。そして、中子検査装置1は色を用いた良品判定処理を行う。なお、中子検査装置1は、ベルトコンベア上に配置された中子100を直接検査してもよい。検査処理(S24)では、
図2に示されるフローチャートと同一の流れで検査が行われる。検査処理(S24)として、中子100の肉厚や寸法のチェックを抜き取り検査として追加的に行ってもよいし、バリ取りや塗型などを行ってもよい。検査処理(S24)にて不良品と判断された中子100については、出荷されないように除外される。
【0065】
続いて、梱包出荷処理(S26)として、ロボット又は作業員は、検査を通過した中子100を梱包し、出荷する。梱包出荷処理(S26)が終了すると、
図6に示されるフローチャートが終了する。
【0066】
(第3実施形態のまとめ)
中子検査システム200によれば、中子100の強度特性の良否は、中子100を造型した中子造型装置10の稼働情報と関連付けられ、データ記憶装置6に記憶される。このため、中子検査システム200は、例えば強度特性が劣化した中子100を造型した中子造型装置10の稼働情報を提供することができる。
【0067】
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本開示は、シェルモールド造型法による中子製造にかかわらず、造型される中子に色の変化がある中子造型プロセスであれば適用することができる。色センサ22は、光を出力するセンサに限定されない。例えば、色センサ22は、カメラでもよい。色測定器2は、支持台4を用いなくてもよい。例えば、色測定器2は、ベルトコンベアを流れる中子100を直接測定してもよい。この場合、色センサ22は、ベルトコンベアの上方に固定されていてもよい。中子検査システム200は、生成部34が稼働情報を取得さえできれば、中子造型装置10、管理装置11及び分析装置12を必ずしも備える必要はない。中子検査装置1Aにおいては、移動部32が中子100の方を移動させることにより、測定距離を調整してもよい。つまり、移動部32は、色センサ22及び中子100の何れか一方を移動させればよい。中子検査装置1Bは、色測定器2ではなく、色測定器2Aを採用してもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本開示の評価のために実施された種々の実験について説明する。本開示は以下の実験に限定されるものではない。
【0069】
(焼成度合いと色成分との関係)
焼成度合いの異なる中子を5つ用意した。用意された5つの中子にサンプル番号を1〜5まで付与した。サンプル番号は、その数が大きくなるほど焼成度合いが大きくなるように、中子に付与した。そして、5つのサンプルについて色成分を測定した。結果を
図7に示す。
【0070】
図7は、焼成度合いの異なるサンプルの色成分を測定した結果である。横軸はサンプル番号である。縦軸はRGB比率(測定値)である。
図7に示されるように、緑成分の比率は、焼成度合いが高くなるにつれて低下することが確認された。また、青成分の比率は、焼成度合いが高くなるにつれて増加することが確認された。このように、色成分は焼成度合いと相関があることが確認された。また、色成分ごとに焼成度合いとの相関が異なることが確認された。つまり、複数の色成分は異なる相関を有することが確認された。このため、複数の色成分の判定結果を組み合わせることで、検査結果の精度が向上することが確認された。
【0071】
続いて、上述した5つの中子を色見本とし、別途用意した中子を目視で5段階に分類した。分類された中子を、中子検査装置1で測定した。結果を
図8に示す。
【0072】
図8は、焼成度合いの異なるサンプルの緑成分を測定した結果である。横軸はサンプル番号である。縦軸はG比率(測定値)である。
図8では、目視により色見本に合致した10個のデータを各段階のデータとして示している。
図8に示されるように、緑成分用の閾値として、「9.10」、「9.42」、「9.76」、「9.95」の4つの閾値を設定することにより、測定対象の中子がどの段階に属するのかを判定することができることが確認された。
【0073】
図9は、焼成度合いの異なるサンプルの色成分を測定した結果である。横軸はサンプル番号である。縦軸はRGB比率(測定値)である。サンプル番号は、その数が大きくなるほど焼成度合いが大きくなるように、中子に付与した。
図9に示される実験においては、各色成分と焼成度合いは、1次関数的でない相関があることが確認された。このように、条件によっては相関関係が
図7に示されるように一次関数的となるとは限らない。このため、複数の色成分の判定結果を組み合わせることがより重要であることが確認された。