特開2019-188505(P2019-188505A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-188505(P2019-188505A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/14 20060101AFI20191004BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   B23Q11/14
   B23Q11/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-82330(P2018-82330)
(22)【出願日】2018年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
(72)【発明者】
【氏名】下池 昌広
(72)【発明者】
【氏名】小松 修治
(72)【発明者】
【氏名】中尾 大樹
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011DD01
(57)【要約】
【課題】ワークの加工精度を高精度に測定できかつ加工から加工精度の測定までに要する時間を大幅に短縮できる工作機械を提供する。
【解決手段】工具及びワークWを相対移動させながらワークWを加工する工作機械1であって、ワークWが加工される加工領域を外部から仕切るカバー体2と、ワークWの加工に際して用いられ、加工領域の雰囲気温度を調整する温度調整手段30とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具及びワークを相対移動させながら前記ワークを加工する工作機械であって、
前記ワークが加工される加工領域を外部から仕切るカバー体と、
前記ワークの加工に際して用いられ、前記加工領域の雰囲気温度を調整する温度調整手段とを備えたことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記温度調整手段は、
前記雰囲気温度を検出する温度センサと、
前記ワークに向けて流体を噴射する流体噴射ノズルと、
前記温度センサにより検出された温度に応じて、前記流体が噴射されるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御する制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第1温度以上となるときに、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御することを特徴とする請求項2記載の工作機械。
【請求項4】
前記温度調整手段は、
前記雰囲気温度を検出する温度センサと、
前記加工領域内の空気を吸引する空気吸引機と、
前記温度センサにより検出された温度に応じて、前記加工領域内の空気を吸引するように前記空気吸引機の吸引動作を制御する制御部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の工作機械。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第2温度以上となるときに、前記空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となるように前記空気吸引機の吸引動作を制御することを特徴とする請求項4記載の工作機械。
【請求項6】
前記制御部は、前記ワークの加工が終了したときに、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御することを特徴とする請求項2または3記載の工作機械。
【請求項7】
前記制御部は、前記ワークの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御することを特徴とする請求項2または3記載の工作機械。
【請求項8】
前記制御部は、前記ワークの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、前記空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となるように前記空気吸引機の吸引動作を制御することを特徴とする請求項4または5記載の工作機械。
【請求項9】
前記ワーク表面の形状測定を行う機内測定システムをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第3温度以下となるときに、前記機内測定システムが前記ワーク表面の形状測定を行うように制御することを特徴とする請求項2〜8のうちのいずれか1つに記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの加工精度を測定するように構成された工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一通りの加工を終えた後にワーク(被加工物)を機内に残したまま、工具主軸等に測定器を装着し、そのまま測定を行うことができる工作機械が知られていた。例えば特許文献1(特開2013−129036号公報)には、超精密加工及び洗浄から機上での測定作業まで作業者の介入なしに数値制御装置により自動的に行われる工作機械が開示されている。この工作機械では、加工機の駆動軸の稼働領域を予め加工領域と洗浄領域と測定領域とに分けられ、数値制御装置により駆動軸の位置をモニタリングし、駆動軸が各領域に進入した際に、各領域に割り当てられた作業を自動的に開始し、その領域から離れるまで同作業を行い続けるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−129036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、加工後のワークの正確な形状測定を行うには理想的な雰囲気温度の下で形状測定を行う必要がある。しかしながら、加工後の機内は加工の際に生じる熱の影響で理想的な雰囲気温度とは乖離した雰囲気温度となっており、理想的な雰囲気温度となるまでワークの正確な形状測定を開始することができない。
【0005】
ところが、上記従来例では、駆動軸が加工領域、洗浄領域、又は測定領域のいずれに属するかという位置情報に基づいて、加工作業に移るかもしくは測定作業に移るかなどを自動的に判断しているので、非常に高温となった雰囲気温度の下でもワークの形状測定が行われ、測定器とワークとの位置関係を一定に保つことができず、正確な形状測定ができないという問題があった。
【0006】
また、上記従来例において、非常に高温となった雰囲気温度を理想的な雰囲気温度となるまで駆動軸の移動を待ち、測定するのに理想的な雰囲気温度となった時点で駆動軸を測定領域に移動させるように制御することも可能であるが、結局は測定するのに理想的な雰囲気温度となるまで待つ必要があり、この待ち時間分だけ余分に製造に時間がかかってしまい製造全体に費やす時間が大幅に増加してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、ワークの加工精度を高精度に測定できかつ加工から加工精度の測定までに要する時間を大幅に短縮できる工作機械の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、
工具及びワークを相対移動させながら前記ワークを加工する工作機械であって、
前記ワークが加工される加工領域を外部から仕切るカバー体と、
前記ワークの加工に際して用いられ、前記加工領域の雰囲気温度を調整する温度調整手段とを備えた工作機械に係る。
【0009】
この工作機械によれば、加工領域の雰囲気温度を調整する温度調整手段を備えているので、ワーク加工後の加工領域の雰囲気温度を調整することが可能となるので、加工直後では高温となった雰囲気温度をワークの加工精度を測定するのに適した温度(例えば20℃)へと導くことが可能となる。従って、加工後のワークの加工精度を測定するときの雰囲気温度を一定に保つことができるので、測定器とワークとの位置関係を一定に保つことができ、高精度な形状測定ができる。さらに、加工後のワークの加工精度を測定するときの雰囲気温度が測定するのに理想的な雰囲気温度となるまで待つ必要がないので、製造全体に費やす時間を大幅に減少させることが可能となる。
【0010】
また、前記工作機械において、前記温度調整手段は、前記雰囲気温度を検出する温度センサと、前記ワークに向けて流体を噴射する流体噴射ノズルと、前記温度センサにより検出された温度に応じて、前記流体が噴射されるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御する制御部とを備えてもよい。
【0011】
この工作機械によれば、加工領域の雰囲気温度を検出する温度センサを備え、温度センサにより検出された温度に応じて、加工されるワークに向けて流体を噴射する。これにより、加工後のワークの加工精度を測定するときの雰囲気温度が所定の温度以上となるときには自動的にその雰囲気温度を測定するのに理想的な雰囲気温度へと導くことが可能となる。従って、作業者は雰囲気温度が測定するのに適するか否かを判断する必要がない。
【0012】
ここで、「流体」には、圧縮空気のような気体の他に液体を用いることができ、より具体的には、工作機械で一般的に用いられるクーラント液を用いることができる。
【0013】
また、前記工作機械において、前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第1温度以上となるときに、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御してもよい。
【0014】
この工作機械によれば、雰囲気温度が所定の温度以上となったときに噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となる。従って、雰囲気温度が非常に高温となったときでも雰囲気温度が所定の温度となるまで急速に冷却(急速冷却)することができる。
【0015】
また、前記工作機械において、前記温度調整手段は、前記雰囲気温度を検出する温度センサと、前記加工領域内の空気を吸引する空気吸引機と、前記温度センサにより検出された温度に応じて、前記加工領域内の空気を吸引するように前記空気吸引機の吸引動作を制御する制御部とを備えてもよい。
【0016】
この工作機械によれば、加工領域の雰囲気温度を検出する温度センサを備え、温度センサにより検出された温度に応じて、加工領域内の空気を吸引する。これにより、加工後のワークの加工精度を測定するときの雰囲気温度が所定の温度以上となるときには自動的にその雰囲気温度を測定するのに理想的な雰囲気温度へと導くことが可能となる。従って、作業者は雰囲気温度が測定するのに適するか否かを判断する必要がない。なお、空気吸引機は空気を吸引する際において、加工領域内に噴射された流体が吸引されてもよい。
【0017】
また、前記工作機械において、前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第2温度以上となるときに、前記空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となるように前記空気吸引機の吸引動作を制御してもよい。
【0018】
この工作機械では、雰囲気温度が所定の温度以上となったときに空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となる。従って、雰囲気温度が非常に高温となったときでも雰囲気温度が所定の温度となるまで急速に冷却(急速冷却)することができる。
【0019】
また、前記工作機械において、前記制御部は、前記ワークの加工が終了したときに、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御してもよい。
【0020】
この工作機械によれば、ワークの加工が終了したときに噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となる。これにより、雰囲気温度を温度センサなどにより検出することなしに、雰囲気温度が所定の温度となるまでより急速に冷却(急速冷却)することができる。従って、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0021】
また、前記工作機械において、前記制御部は、前記ワークの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、前記噴射ノズルから噴射される噴射量が最大となるように前記流体噴射ノズルの噴射動作を制御してもよい。
【0022】
この工作機械によれば、ワークの加工が終了時から所定の時間間隔だけ噴射量が最大となるように噴射ノズルから流体を噴射するので、雰囲気温度を温度センサなどにより検出することなしに、雰囲気温度を所定の温度となるまでより急速に冷却することができる。従って、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0023】
また、前記工作機械において、前記制御部は、前記ワークの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、前記空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となるように前記空気吸引機の吸引動作を制御してもよい。
【0024】
この工作機械によれば、ワークの加工が終了時から所定の時間間隔だけ空気吸引機によって吸引される吸引量が最大となる。これにより、雰囲気温度を温度センサなどにより検出することなしに、雰囲気温度を所定の温度となるまでより急速に冷却することが可能となる。従って、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0025】
また、前記工作機械において、前記ワーク表面の形状測定を行う機内測定システムをさらに備え、前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度が第3温度以下となるときに、前記機内測定システムが前記ワーク表面の形状測定を行うように制御してもよい。
【0026】
この工作機械によれば、高温により膨張しているワークを測定することなしに、膨張していないときのワークの表面形状を測定することができる。これにより、高精度でワークの表面形状を測定することが可能となる。このように、ワークの加工精度を高精度に測定するでき、ひいては、かかる高精度に測定された加工精度を基に、速やか且つ適切な工具補正を行うことで、所定の加工精度を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係る工作機械によれば、ワークの加工精度を高精度に測定できかつ加工から加工精度の測定までにかかる時間を大幅に短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係るNC工作機械の概略的な構成を示す平面図である。
図2図1のNC工作機械の正面図である。
図3】本発明の実施形態の変形例1に係るNC工作機械の概略的な構成を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態の変形例2に係るNC工作機械の概略的な構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各変形例において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0030】
実施形態.
図1は本発明の実施形態に係るNC工作機械1の概略的な構成を示す平面図であり、図2図1のNC工作機械1の正面図である。図1及び図2に示すように、NC工作機械1は、NC工作機械本体10と、該NC工作機械本体10の近傍に配設されたパレット交換装置16と、ワークWが加工される加工領域を外部から仕切るカバー体2と、主軸6とテーブル7とを相対移動させる送り機構(図示せず)と、主軸6に装着された工具を新たな工具と交換する工具交換装置(図示せず)と、各送り機構部及び工具交換装置の動作を制御する制御部20と、加工されたワークWの加工精度を測定する測定システム40と、ワークWの加工の際に用いられ、カバー体2内の加工領域の雰囲気温度を調整する温度調整手段30とを備えて構成される。
【0031】
NC工作機械本体10は、ベッド4と、該ベッド4上に配設され、矢示X軸方向に移動可能となったコラム3と、該コラム3に支持され、矢示Y軸方向に移動可能となった主軸頭5と、工具(図示せず)を保持し、主軸頭5によって回転可能に支持される主軸6と、ベッド4上に配設され、矢示Z軸方向に移動可能となったテーブル7とを備え、これらの動作は制御部20により制御される。
【0032】
テーブル7は、パレット8が載置及び固定されるように構成されており、このパレット8にはワークWが装着される。そして、コラム3と主軸頭5とテーブル7とを、各軸方向にそれぞれ移動させることによって、工具(図示せず)とワークWとを相対移動させる。これにより、ワークWが加工される。
【0033】
工具交換装置は、複数の工具が格納される工具マガジンと、工具マガジンに格納された工具と主軸6に装着された工具とを交換する交換機構とを備えており、この交換機構は、まず、主軸6に装着されている工具を引き抜いた後、新たな工具を主軸6に装着する。
【0034】
測定システム40は、プローブ41と、ワークWの加工精度を算出し、算出したデータを出力するデータ処理手段(図示せず)とを備える。プローブ41は、その先端部に設けられた測定子41aがワークWの加工面に接触した時のみ、接触信号をデータ処理手段に出力するように構成される。
【0035】
なお、プローブ41は、工具交換装置の工具マガジン内に格納され、ワークWの測定を行うときには、交換機構により主軸6に装着される。ここで、プローブ41は主軸6に装着されこの回転動作と、ワークWが取り付けられるテーブル7の移動動作とによって直交三軸方向に移動することが可能となり、その先端部に設けられた測定子41aをワークWの表面に接触させる。
【0036】
データ処理手段は、加工対象物であるワークWの加工面に沿って移動するプローブ41の三次元空間内における位置情報と、プローブ41がワークWの加工面に接触したときに出力される接触信号とに基づいて、ワークWの形状測定などの演算処理を実行する。
【0037】
具体的には、プローブ41を予め設定された各測定位置に移動させ、当該位置においてプローブ41の先端部の測定子41aをワークWに接触させる。測定子41aをワークWに接触させると、プローブ41から接触信号が出力され、この接触信号と、リニアエンコーダ(図示せず)によって検出されるプローブ41の位置データとに基づいて、データ処理手段(図示せず)において、ワークWの加工精度が算出され、その算出結果が出力される。
【0038】
カバー体2は、基台14及びパレット載置台15を囲繞するように基台14の周囲に沿って設けられており、交換機構11が旋回するための開口部9を備えている。そして、この開口部9は、交換機構11の交換アーム13上に立設された仕切板12によって閉塞される。従って、NC工作機械本体10は、カバー体2及び仕切板12によって閉塞された空間内に設けられ、これにより、切削油やワークWの加工中に生じた切粉の外部への飛散が防止される。
【0039】
また、カバー体2の適宜位置には、ワーク取出口(図示せず)が設けられており、該ワーク取出口(図示せず)を通して、パレット載置台15上のパレット8からワークWが取り外され、逆に、当該パレット8に次のワークWが装着される。
【0040】
パレット交換装置16は、旋回式のものであって、ベッド4に付設された基台14と、該基台14上に旋回可能に配設された交換機構11と、基台14上に配設されたパレット載置台15とからなり、交換機構11は、その両端部にパレット8を保持可能となった交換アーム13と、該交換アーム13を旋回させる駆動モータなどからなる駆動手段(図示せず)と、交換アーム13を上下動させる油圧シリンダなどからなる昇降手段(図示せず)などを備える。
【0041】
交換アーム13は、昇降手段(図示せず)によって上方に移動するように構成される。ここで、交換アーム13が上方に移動したときに、交換アーム13は、テーブル7及びパレット載置台15上のそれぞれに載置された各パレット8を、その両端部に保持して上方に移動する。次に、駆動手段(図示せず)により交換アーム13が180°旋回された後に、交換アーム13が下方に移動し、両端部に保持された各パレット8は、それぞれテーブル7及びパレット載置台15に載置される。このように、テーブル7及びパレット載置台15上に載置された各パレット8は、交換機構11によってそれぞれ交換される。
【0042】
温度調整手段30は、主軸6近傍に設けられ、加工領域内の雰囲気温度を検出する温度センサ32と、テーブル7に載置されたワークWに向けて流体を噴射する流体噴射ノズル33と、加工領域内の空気を吸引する空気吸引機31とを備えて構成される。ここで、空気吸引機31は、例えばミストコレクタや切屑吸引機などを含むが、加工領域内の空気や流体を吸引できるすべての装置を含む。
【0043】
制御部20は、温度センサ32により検出された温度に応じて、ワークWがテーブル7に載置された状態で流体が噴射されるように流体噴射ノズル33の噴射動作を制御する。詳細には、制御部20は、温度センサ32により検出された温度が第1温度以上となるときに、流体噴射ノズル33から噴射される噴射量が最大となるように流体噴射ノズル33の噴射動作を制御する。
【0044】
また、制御部20は、温度センサ32により検出された温度に応じて、加工領域内の空気を吸引するように空気吸引機31の吸引動作を制御する。詳細には、制御部20は、温度センサ32により検出された温度が第2温度以上となるときに、空気吸引機31によって吸引される吸引量が最大となるように空気吸引機31の吸引動作を制御する。
【0045】
以上のように構成されたNC工作機械1の動作について以下に説明する。
【0046】
先ず、テーブル7上のパレット8に装着された現ワークWの加工が完了すると、温度調整手段30が動作して加工領域の雰囲気温度が調整される。これにより、加工直後では高温となった雰囲気温度をワークWの加工精度を測定するのに適した温度(例えば20℃)へと導くことが可能となる。従って、加工後のワークWの加工精度を測定するときの雰囲気温度を一定に保つことができるので、測定子41aとワークWとの位置関係を一定に保つことができ、高精度な形状測定ができる。さらに、加工後のワークWの加工精度を測定するときの雰囲気温度が測定するのに理想的な雰囲気温度となるまで待つ必要がないので、製造全体に費やす時間を大幅に減少させることが可能となる。
【0047】
温度調整手段30には、加工領域の雰囲気温度を検出する温度センサ32が備えられており、温度センサ32により検出された温度に応じて、加工されるワークWに向けて流体が噴射される。これにより、加工後のワークWの加工精度を測定するときの雰囲気温度が所定の温度以上となるときには自動的にその雰囲気温度を測定するのに理想的な雰囲気温度へと導くことが可能となる。従って、作業者は雰囲気温度が測定するのに適するか否かを判断する必要がない。
【0048】
詳細には、温度調整手段30における温度センサ32により検出された温度が第1温度以上となると、流体が流体噴射ノズル33からテーブル7に載置された現ワークWに向けて最大の噴射量で噴射される。これにより、ワークWが加工される加工領域の雰囲気温度を急速に冷却することが可能となる。次に、温度センサ32により検出された温度が第2温度以上になると、ワークWの加工領域内に噴射された流体が空気吸引機31によって最大の吸引量で吸引される。これにより、ワークWが加工される加工領域の雰囲気温度を急速に冷却することが可能となる。
【0049】
次に、温度センサ32により検出された温度が第3温度以下となると、工具交換装置は、工具マガジン内に格納された測定システム40のプローブ41をその工具交換機構を用いて主軸6に装着する。この測定システム40によってワークWの加工精度が算出され、その算出結果が出力される。ここで、工具マガジン内に格納された測定システム40のプローブ41は、交換機構により主軸6に装着される。
【0050】
テーブル7及びパレット載置台15上に載置された各パレット8が、交換機構11によってそれぞれ交換される。これにより、次のワークWを装着したパレット8がテーブル7上に載置されて固定され、当該次ワークWの加工が開始される一方、加工後の現ワークWを装着したパレット8がパレット載置台15上に載置されて、測定システム40により現ワークWの加工精度が測定される。
【0051】
ここで、パレット8の交換は、開口部9において、交換機構11が旋回することにより行われ、該交換機構11によるパレット8の交換が終了すると、仕切板12によって開口部9は、再び閉塞される。これにより、測定システム40による測定は、カバー体2及び仕切板12によって閉塞され、且つ温度調節手段30によって雰囲気温度が一定に調整された空間内において実施される。
【0052】
このように、測定システム40によって加工精度が測定されたワークWは、その後、パレット8から取り外され、次に加工されるワークWがパレット8に装着される。以降、これらの動作が繰り返される。
【0053】
上述したように、本実施形態に係るNC工作機械1によれば、カバー体2及び仕切板12によって閉塞された空間内の雰囲気温度を温度調節手段30によって一定に調整することができる。従って、測定システム40のプローブ41及びパレット載置台15上のワークWの温度を一定に維持できるので、これら相互間の位置関係を常に一定に保つことができる。従って、プローブ41による測定精度を高精度なものとすることができる。
【0054】
上述したように、本実施形態に係るNC工作機械1によれば、ワークWの加工精度を高精度に測定することができ、ひいては、かかる高精度に測定された加工精度を基に、速やか且つ適切な工具補正を行うことで、所定の加工精度を良好に維持することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係るNC工作機械1によれば、ワークWの加工後すぐに、その加工精度を測定することができ、測定されたワークWの加工精度を基に工具補正量などを調整することができる。これにより、測定結果を速やかに次の加工に反映させることができ、所定の加工精度を維持することができる。
【0056】
(変形例1)
図3は本発明の実施形態の変形例1に係る工作機械1Aの概略的な構成を示す平面図である。図3の工作機械1Aは、図1の工作機械1と比較すると、制御部20の代わりに制御部20Aを備えたことが相違する。
【0057】
制御部20Aは、図1の制御部20と比較すると、ワークWの加工が終了したときに、流体噴射ノズル33から噴射される噴射量が最大となるように流体噴射ノズル33の噴射動作を制御することが相違する。
【0058】
従って、図3の工作機械1Aは、図1の工作機械1と比較すると、雰囲気温度が所定の温度となるまでさらに急速に冷却(急速冷却)することができる。さらに、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0059】
また、制御部20Aは、図1の制御部20と比較すると、ワークWの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、空気吸引機31によって吸引される吸引量が最大となるように空気吸引機31の吸引動作を制御することが相違する。
【0060】
従って、図3の工作機械1Aは、図1の工作機械1と比較すると、雰囲気温度を所定の温度となるまでさらに急速に冷却することが可能となる。さらに、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0061】
(変形例2)
図4は本発明の実施形態の変形例2に係る工作機械1Bの概略的な構成を示す平面図である。図4の工作機械1Bは、図1の工作機械1と比較すると、制御部20の代わりに制御部20Bを備えたことが相違する。
【0062】
制御部20Bは、図1の制御部20と比較すると、ワークWの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、流体噴射ノズル33から噴射される噴射量が最大となるように流体噴射ノズル33の噴射動作を制御することが相違する。
【0063】
従って、図4の工作機械1Bは、図1の工作機械1と比較すると、雰囲気温度を所定の温度となるまでさらに急速に冷却することが可能となる。さらに、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0064】
また、制御部20Bは、図1の制御部20と比較すると、ワークWの加工の終了時から所定の時間間隔だけ、空気吸引機31によって吸引される吸引量が最大となるように空気吸引機31の吸引動作を制御することが相違する。
【0065】
従って、図4の工作機械1Bは、図1の工作機械1と比較すると、雰囲気温度を所定の温度となるまでさらに急速に冷却することが可能となる。さらに、機内に温度を検出するための温度センサを備える必要がないので、高温多湿の粗悪な環境下に置かれた温度センサの故障などに対するメンテナンスを行う必要がなくなりメンテナンス性が向上する。
【0066】
なお、本実施形態及び変形例では、流体噴射ノズル33が設けられる位置は上述した位置に設けられたが、本発明はこれに限定されない。例えば、加工領域内に流体を噴射できれば、どこに設けられてもよい。また、本実施形態及び変形例では、流体噴射ノズル33と空気吸引機31との両方が設けられたが、本発明はこれに限定されない。例えば、流体噴射ノズル33と空気吸引機31とは、そのいずれか一方が設けられていてもよい。さらに、流体噴射ノズル33の個数についても何ら限定されるものではない。
【0067】
また、流体噴射ノズル33から噴射させる流体には、圧縮空気のような気体の他に液体を用いることができ、より具体的には、工作機械で一般的に用いられるクーラント液を用いることができる。
【0068】
また、上述した工作機械には、旋盤、フライス盤、研削盤、マシニングセンタなどを含み、上述した工具には、フェイスミル、エンドミル、ドリル、バイトなどの切削工具の他、砥石などの研削工具が含まれる。
【0069】
本実施形態では、交換アーム123上に立設した仕切板125によって、カバー体2の開口部3を開閉するように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動機構により左右方向又は上下方向に移動可能となったドアなどにより、前記開口部3を開閉するように構成してもよい。また、上述のような旋回式のパレット交換装置16に限らず、シャトル式のパレット交換装置であっても本発明を適用することができる。
【0070】
なお、上述した制御部20、20A、20BはCPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、その内部に格納されたコンピュータプログラムによってその機能が実現され、上述した処理が実行される。
【0071】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものではない。上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B NC工作機械
2 カバー体
3 コラム
4 ベッド
5 主軸頭
6 主軸
7 テーブル
8 パレット
9 開口部
10 NC工作機械本体
11 交換機構
12 仕切板
13 交換アーム
20,20A,20B 制御部
30 温度調整手段
31 空気吸引機
32 温度センサ
33 流体噴射ノズル
40 測定システム
41 プローブ
41a 測定子
図1
図2
図3
図4