特開2019-188845(P2019-188845A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-188845(P2019-188845A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20191004BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20191004BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   B60H1/34 631
   F24F13/10 B
   F24F13/14 G
   F24F13/14 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-80027(P2018-80027)
(22)【出願日】2018年4月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】米勢 明弘
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正起
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081DA01
3L081FB01
3L081FC01
3L081HA08
3L081HB03
3L211BA05
3L211DA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来のレジスタでは、ダンパープレートをシャットする方向への力が充分に加えられなかった。ダンパープレートが十分にシャットし、風漏れが発生しないレジスタを提供する。
【解決手段】乗員に到達時の風速を確保するために、空調用空気が流れる管状体を全開する開位置まで回動できることを保証するために、閉時のダイヤシャフトとリンクの角度を略145°〜155°になるような調整機構と、開時の圧力損失と騒音を規格以下であることと、前記管状体を閉じる時に、前記閉位置に着く直前から前記閉位置まで、風圧で回転できることを両立するために、上流片の上流部分が前記閉位置への回転方向と逆方向へ40°〜50°に湾曲する形状のダンパープレートを有し、前記開位置にいる前記ダンパープレートに沿う流路を形成するように、上流側のダクトと130°〜140°の湾曲角を形成できるレジスタ。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の通風路と吹き出し口を形成する管状体と、
前記通風路の前記吹き出し口より上流に、通風路を横切って延びるダンパー軸に、前記通風路を全開する開位置と前記通風路を全閉する閉位置の間に回動可能に、該開位置にいる時に、該ダンパー軸から上流側へ伸びる上流片と、該ダンパー軸から下流側へ伸びる下流片を含むダンパープレートと、
乗員が操作できる位置に配置された回動できる操作部と、前記ダンパープレートに固定されたダイヤシャフトと、前記ダイヤシャフトと前記操作部に連結され、前記操作部の回動を前記ダイヤシャフトへ伝えるリンクとからなる調整機構と、
を備え、
前記ダンパープレートは、前記操作部の操作により、前記開位置から、前記上流片が下流へ、前記下流片が上流への回動方向で前記閉位置へ回動し、少なくとも前記閉位置近傍において、前記空調用空気の風が前記上流片に作用して発生する回転トルクが、前記下流片に発生するトルクより大きいことを特徴とする空調用レジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載の空調用レジスタにおいて、前記ダンパープレートは、前記下流片は平板状であり、前記上流片のダンパー軸と離れる部分が、前記閉位置へ向かう方向と逆方向に湾曲して、該ダンパープレートのほかの部分との間に湾曲角を形成していることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2に記載の空調レジスタにおいて、前記上流片の湾曲角は120°〜150°であり、これが、該空調用レジスタに接されるダクトの接続角と略等しいことを特徴とする。
【請求項4】
請求項1に記載の空調用レジスタにおいて、前記ダンパープレートは、前記下流片より、前記上流片の面積が大きいことを特徴とする。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれに記載空調用レジスタにおいて、前記操作部は、外周面の一部が表出した操作部であり、前記操作部を40°〜50°回転させることで、前記ダンパープレートを75°〜90°回転させ、前記開位置から前記閉位置にするものであり、前記閉位置において、前記ダイヤシャフトと前記リンクは145°〜155°の角となることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれに記載の空調用レジスタにおいて、前記ダンパープレートは、外周に軟質のダンパーシールを配置することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置から送られてきた空調用空気を通風路の吹出口から吹き出す空調用レジスタに関し、より詳しくは、通風路を開放及び閉鎖する上流片と下流片から成るダンパープレートが設けられた空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
後述の特許文献1〜4に、上流片と下流片から成るダンパープレートを、通風路内に配置し、通風路を前記ダンパープレートの回転で開閉し、乗員方向に向ける空調空気のボリュームをコントロールするレジスタが開示されている。例えば、特許文献1のレジスタでは、流路を通る流体の流量を制御するため、ダンパー部材が、開位置と閉位置の間に、ガイド部を通って、指先操作部としてのダイヤルにより、通風路としてのダクトの中心線との間の角度を変えて、通風路の開閉を調整する。特許文献2〜4では、特許文献1のように、リンク機構を通って、操作部により、ダンパープレートの回動をコントロールする。
【0003】
このようなレジスタでは、作部としての操作部を回しきった際に、意匠制約、空間制約、及び機構制約で、リンクを通って、ダンパープレートをシャットする方向への力が充分に加えらないので、操作部を回してもダンパープレートがシャットしきれず、風漏れが発生する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152980号公報
【特許文献2】平4−116334号公報
【特許文献3】US6,582,293号公報
【特許文献4】実開平5−66451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本願発明者は、通風路の中に設けられるダンパー軸を中心として回動でき、該ダンパー軸から上流側と下流側へそれぞれ伸びる板状のダンパープレートを有するレジスタに対して、前記ダンパープレートが、前記通風路を全閉する閉位置へ調整する時に、風漏れを抑制できるレジスタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決する為に、空調用空気の通風路と吹き出し口を形成する管状体と、前記通風路の前記吹き出し口より上流に、通風路を横切って延びるダンパー軸に、前記通風路を全開する開位置と前記通風路を全閉する閉位置の間に回動可能に、該開位置にいる時に、該ダンパー軸から上流側へ伸びる上流片と、該ダンパー軸から下流側へ伸びる下流片を含むダンパープレートと、乗員が操作できる位置に配置された回動できる操作部と、前記ダンパープレートに固定されたダイヤシャフトと、前記ダイヤシャフトと前記操作部に連結され、前記操作部の回動を前記ダイヤシャフトへ伝えるリンクとからなる調整機構と、を備え、前記ダンパープレートは、前記操作部の操作により、前記開位置から、前記上流片が下流へ、前記下流片が上流への回動方向で前記閉位置へ回動し、少なくとも前記閉位置近傍において、前記空調用空気の風が前記上流片に作用して発生する回転トルクが、前記下流片に発生するトルクより大きいことを特徴とする空調用レジスタを提供することを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
空調用空気の風により発生する回転トルクを、前記ダンパープレートの前記閉位置において、ダンパープレートを閉位置へ移動させる力の補助として利用できるので、該ダンパープレートを確実に移動させることで、風漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のレジスタの組立の外観を示す斜視図である。
図2】本発明のレジスタの分解斜視図である。
図3】A)本発明のレジスタの正面図及びB)本発明のA-A位置の断面図。
図4】A)本発明のレジスタの調整機構とダンパープレートの開状態を示す斜面図、B)本発明のレジスタの調整機構とダンパープレートの閉状態を示す斜面図、C)本発明のレジスタの調整機構とダンパープレートの開状態を示す側面図、D)本発明のレジスタの調整機構とダンパープレートの閉状態を示す側面図、
図5】A)本発明のレジスタの調整機構を示す側面図B)改善前のレジスタ(本発明との比較例)の調整機構を示す側面図
図6】本発明のレジスタの調整機構の変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、説明する時に使われる「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向は、乗員が車両の前方に向いて座る時に、乗員の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向と一致している。
【0010】
本発明の第1実施形態に係るレジスタ1は、図1図5に示される。車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネル(図略)が設けられ、その左右方向(車幅方向)における中央部、側部等には空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきて、吹出口から車室内に吹き出す空調用空気の向きを変更すること、同空調用空気の吹出し量を調整すること等である。吹出し量の調整には、吹出しをシャットすることが含まれる。
【0011】
図1図2に示すように、空調用レジスタ1は、管状体2、下流フィン5、上流フィン6、ダンパープレート8、及び前記下流フィン5と上流フィン6の調整ノブ7、ダンパープレート8の調整機構12を備えている。次に、空調用レジスタ1を構成する各部の構成について説明する。

管状体2:
【0012】
図1図2及び図3に示すように、通風路1Vを形成する管状体2は、空調装置の送風ダクト3と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものである管状本体部と、後記の上流フィンを軸支する上流フィン軸受2yを有する上シム2suと下シム2sdと、後記の下流フィンを軸支する下流フィン軸受2xを有する右シム2srと右シム2slと、下流側のベゼル4を備えている。前記空調用空気の流れ方向に従って、上流側の送風ダクト3と湾曲部Cを形成するように連結する。
【0013】
前記管状本体部とベゼル4を組み立って形成する管状体2の内部空間は、空調用空気の通風路1Vを構成している(図3B参照)。なお、本明細書言う「上流」、「下流」とは、空調用空気の流れ方向F(図3B参照)を基準とする。
【0014】
ベゼル4は、管状体2の最下流部分を構成する部材である。ベゼル4は、その上部の複数箇所及び下部の複数箇所に設けられたベゼル係止孔において、管状本体部の上壁部及び下壁部の対応する箇所に設けられたベゼル係止突起に係止されることにより、管状体本体3に連結されている。図1に示すように、ベゼル4において、通風路1Vの下流端となる箇所には、空調用空気が吹き出される吹出口1Oが形成されている。ベゼル4の下流端面であって、吹出口1Oの周りの部分は、空調用レジスタ1の意匠面を構成している。前記上シム2suと下シム2sdと、右シム2srと右シム2slを入れた管状体本体とベゼル4とを組み立てることで、前後方向に貫通して、通風路1Vが形成される。
【0015】
該管状体2は、上流側のダクト3との間に130度〜140度の角を形成するように、該ダクト3と固定される。

下流フィン群5:
【0016】
図1図2図3に示すように、下流フィン群5は、複数(5枚)の下流フィンからなる。各下流フィンは、吹出口1Oから吹き出す空気の上下方向の角度を変更するために用いられている(図3参照)。複数の下流フィンは、上下方向には略等間隔で、互いに略平行に離間した状態で配設されている。
【0017】
ここで、五枚の下流フィンを区別するために、上下配列方向の中央部に位置するものを「プライマリ下流フィン51」といい、それ以外のものを「セカンダリ下流フィン52」というものとする。各下流フィンの主要部は、左右方向に延びる板状体によって構成されている。
【0018】
プライマリ下流フィン51の上面における左右方向の約中央部に、突条部51rが、該プライマリ下流フィン51と一体に形成されている。該突起部51rは、空調用空気の流れ方向Fに沿って、下流フィン5の上面の下流部に位置している、且つ上下方向の寸法に対し左右方向の寸法が大きな偏平な形状をなしている。該突条部51rは、このプライマリ下流フィン51に取り付けられる後記の操作ノブ7の上側部と接触することで、操作ノブ7のスライド移動量を所定の範囲内に規制する。
【0019】
各下流フィン51,52の左右方向における両方の端面には、同方向へ延びる下流フィン軸5sがそれぞれ設けられている。各下流フィン軸5sは、空調用空気の流れ方向Fに沿って、下流フィン5の両端面の下流部に位置している。下流フィン51,52毎の下流フィン軸5sは、管状体の下流軸受部2xにより支持されている。
【0020】
下流フィン5の下流端縁は、下流フィン軸5sに沿って左右方向へ直線状に延びている。図1図2に示すように、各下流フィン51,52において一方の軸5sから上流へ偏倚した箇所には、同軸5sに平行に延びる下流フィン連結ピン5pが設けられている。これらの下流フィン連結ピン5pは、係合穴を介して、上下方向へ延びる下流連結ロッド5rによって連結されている。また、上記下流フィン連結ピン5p及び相応の係合穴により、下流フィン51,52を下流連結ロッド5rで機械的に連結し、下流フィン群5が同じ傾きとなるように傾動させる下流リンク機構が構成されている。

上流フィン群6:
【0021】
図1図2図3に示すように、上流フィン群6は、通風路1V内に、下流フィン群5より上流側に配列された複数(5枚)の上流フィンからなる。各上流フィンは、吹出口1Oから吹き出す空気の左右方向の角度を変更するために用いられている。各上流フィンは、それぞれ通風路1V内で上下方向及び空調用空気の流れ方向Fへ延びる板状体によって構成されている。複数の上流フィンは、左右方向には略等間隔で、互いに略平行的に離間した状態で配設されている。
【0022】
ここで、複数の上流フィンを区別するために、左右方向における中央においているものを「中央上流フィン61」といい、それ以外のものを「端部上流フィン62」というものとする。
【0023】
各上流フィン61、62の上下方向における両方の端面には、同方向へ延びる上流フィン軸6sが設けられている。各上流フィン軸6sは、空調用空気の流れ方向Fについては、各上流フィンの上下端面の略中央部に位置している。上流フィン毎の両端の上流フィン軸6sは、管状体に形成された上流軸受2yにより上壁部及び底壁部に対し傾動可能に支持されている(図3B参照)。
【0024】
中央上流フィン61、空調用空気の流れ方向Fに沿って、下流側における上下方向の略中部に長方形の切欠き部61cと、該切欠き部61cにおいて、前記上流フィン回転軸6sと平行している伝達軸61aが、前記中央上流フィン61と一体に形成されている。伝達軸61aが、該中央上流フィン61の前記上流フィン回転軸6sと軸線がずれる位置において、後記の操作ノブ7のフォーク73の一対の連結片73fに挟まれて、操作ノブ7のスライドに従って、中央上流フィン61を傾動するためである。
【0025】
上流フィン61,62の下流端縁は、上流フィン軸6sに沿って上下方向へ直線状に延びている。図3Bに示すように、各上流フィン61,62において一方の軸6sから上流へ偏倚した箇所には、同軸6sに平行に延びる上流フィン連結ピン6pが設けられている。これらの上流フィン連結ピン6pは、係合穴を介して、左右方向へ延びる上流連結ロッド6rによって相互に連結されている。そして、これらの連結ピン6p及び上流連結ロッド6rにより、前記上流軸受部2yに支持される前記上流フィン軸について、全ての上流フィン61,62が同じ傾きとなるように同期した状態で傾動させる上流リンク機構が構成されている。

操作ノブ7
【0026】
図1図2及び図3に示すように、本実施形態に係る操作ノブ7は、レジスタ1からの気流を上下方向及び左右方向に調整する際に操作される部材であり、レジスタ1の前面開口部1Oにおける中央に位置して、前記プライマリ下流フィン51に沿って、左右方向へスライド移動可能に組み付けられている。該操作ノブ7のスライド移動量は、プライマリ下流フィン51の前記突条部51rと操作ノブの側面との接触によって規制される。
【0027】
図1図2及び図3に示すように、当該操作ノブ7は、上側部材71と下側部材72からなる本体部と、該本体部の上流端から上流方向へ突入するフォーク73と、該本体部の下流端に設置されたゴムシム74と保護モール75より構成されている。上側部材71と下側部材72を、フォーク73の下流端の回転軸を挟んで、それぞれ前記プライマリ下流フィン51の上下側から組み付けて、フォーク73の一対の連結片が、上流側へ突出して、前記の中央上流フィンの伝達軸61aを挟んで、下流プライマリフィン51を上下方向に揺動可能とし、下流プライマリフィン51に沿うスライドを、上流中央フィン61に伝達し得る。

ダンパープレート8:
【0028】
図1図2図3及び図4に示すように、ダンパープレート8は、管状体2内の上流フィン群6よりも上流側で、且つ回動する時に下流側の上流フィン群6と干渉しない位置に設けられ、通風路1Vを開放及び閉鎖するためのものである。ダンパープレート8は、管状体の側壁の軸受2zに軸支される突起軸8aと、該軸受2zと反対側の挿入口2hを通って突入する後記のダイヤシャフト9のフォーク部9fと配合する嵌合部8bとの間に限定されるダンパー軸8s、前記管状体2を全開する開位置にいる時に、該ダンパー軸8sから上流側へ伸びる上流片8uと、該ダンパー軸8sから下流側へ伸びる下流片8dを含む。本実施例では、前記ダンパープレート8の上記上流片8uは、表面に沿って、前記ダンパー軸8sと直交する方向の略中央の位置から、前記閉位置へ回転する方向と逆の方向へ湾曲して、他の部分と120°〜150°(本実施例では135°)の角を形成する。また、該ダンパープレート8の回転軸の位置を調整することで、上流片8uの面積と下流片8dの面積より約40%大きくした。
【0029】
前記ダンパー8は、一端の突起軸8aが前記軸受2zに突入して、もう一端の嵌合部8bが、前記軸受2zと反対側の挿入口2hを通って突入するダイヤシャフト9のフォーク部9fと結合して、この突起軸8aと嵌合部8bの間のダンパー軸8sを中心として、回動できるように支えられる。
【0030】
前記ダンパープレート8の周囲には、前記空調空気の流れ方向と略直交する閉位置にいる時のシール性を改善するために、ゴム又はウレタン製のダンパーシール8rが配置されている。

ダイヤシャフト9
【0031】
ダイヤシャフト9は、一端に管状体2の左側面の挿入口2hに、差し入れられ、該挿入口2hを介して、回動可能に、管状体2の内部に回動自在に配設されたダンパープレート8の一端の嵌合部8bと回転不能に固定されるフォーク9fと、もう一端に後記のリンクの一端の連結軸10suと回転可能に連結する連結孔9cとを有する。

リンク10
【0032】
図2図4に示すように、前記ダイヤシャフト9へ、後記の操作部11の回転を伝達するためのものである。両端には、それぞれ前記ダイヤシャフト9の連結孔9cと後記の操作部11の連結孔11cと、回転可能に連結するための連結軸10suと10sdを有している。

操作部11
【0033】
図1から図4に示すように、前記管状体2内部に配設されたダンパープレート8を回動させる際の操作部11は、本体11aと、該管状体2の左側面の後縁の近くに形成されている操作部支持軸2pに軸支される軸孔11bと、前記リンク10の下流端の連結軸10sdが取り付けられる連結孔11cとを有する。
【0034】
操作性を改善するために、該操作部11に、前記ベゼル4の相応の開口から表出する部分をカーバする装飾モール11mが付けられる。該装飾モール11mの表面に、操作感を改善する凹凸形状と、操作角度と限度を示す目印が設けられる。人間工学的な知見から、操作部を40°〜50°(本実施例では45°)回動することで、ダンパープレートの開閉動作を完成させる構造が望ましい。

調整機構12
【0035】
以上により、操作部11と、リンク10と、ダイヤシャフト9からなり、シャフトダンパ8の回転をコントロールできる調整機構12を構成できる。
【0036】
図4図5に示すように、前記調整機構12は、前記管状体を開ける時に、前記リンク10とダイヤシャフト9との間の角度は小さくなって、前記ダンパープレート8を前記開位置まで前記操作部11の回動を前記ダンパープレート8へ充分に伝えられる。そして、開位置において、ダイヤシャフト9は通風路1Vに沿う空調用空気の流れ方向Fと直交するように設定されている。これにより、ダイヤシャフト9のダクト3側への突出を最小にし、管状体2の占有スペースを小さくしている。そして、前記ダンパープレートが閉位置にいる時に、前記リンク10と前記シャフト9との間の角は145°〜155°となっている。
【0037】
調整機構12には、意図しない動きを防止するため、シムなどにより摩擦が付与されている。従って、ダンパープレート8が回動するために、駆動力が必要になり、本願では、指先によりの回転力、及び該回転力の補助として、ダンパープレート8の上流片と下流片にかける風圧の差が、ダンパープレート8が回動する時の駆動力になる。

組立:
【0038】
前記のように、前記ダンパープレート8は、湾曲した上流片8uが上流側にいるように、一端の前記突起部8aを、管状体2の上流端の近くの軸受2zへ差し入られ、もう一端の嵌合部8bと、反対側の挿入口2hを通って突入するダイヤシャフト9のフォーク部9fと回転不能に配合して、管状体2の外側のダイヤシャフト9の回動により、前記突起部8aと嵌合部8bとの間のダンパー軸8sに回動するダンパープレートの組立が完成される。
【0039】
管状体2の上流側のダクト3と、前記ダンパープレート8が開位置にいる時の形状と略平行な(±10°以内の偏差が許せる)空気通路を形成している。本実施例では、互いに略135°の角を形成して固定される。
【0040】
前記調整機構12は、前記管状体2を開ける時に、前記リンク10とダイヤシャフト9との間の角度は小さくなって、前記ダンパープレートを前記開位置まで前記操作部の回動を前記ダンパープレートへ充分に伝えられるため、且つ前記管状体を閉じる時に、前記リンク10とダイヤシャフト9との間の角度は大きくなって、前記ダンパープレートが前記閉位置にいる時に、前記リンク10とダイヤシャフト9との間に145°〜155°の角を形成するように、ダイヤシャフト9、リンク10と操作部11を組み付けて、調整機構12の組立を完成する。
【0041】
前記中央上流フィン61を真中にアレンジして、前記上流連結ロッド6rで、上流係合穴と前記上流フィン連結ピン6pの配合を通って、上流フィン61,62を連結し、上流フィン群6を構成して、両端の上流フィン軸6sと、上、下シム2su、2sdの軸受2yと回転可能に配合して、管状体の内部に組み付ける。
【0042】
操作ノブ7は、上側部材71と、下側部材72を、下流端にゴムシム74と保護モール75を設置できるように、フォーク73の下流端の回転軸を挟んで、それぞれ前記プライマリ下流フィン51の上、下側から組み付けて、 上下にセカンダリ下流フィン52をアレンジして、前記下流連結ロッド5rで、下流係合穴と前記下流フィン連結ピン5pの配合を通って、下流フィン51,52を連結し、下流フィン群5を構成する。
【0043】
フォーク73の一対の連結片が、上流側へ突出して、前記の中央上流フィン61の伝達軸61aを挟むように、前記下流フィン51、52の両端の下流フィン軸5sと、左シム2sl、右シム2srの軸受2xと回転可能に結合し、前記管状体の内部に組み付ける。
【0044】
前記操作部11を、操作部支持軸2pに回転できるように取り付けて、ベゼル4を管状体2の下流側に、ベゼル係止孔と、対応する箇所に設けられたベゼル係止突起に係止されることにより、ベゼル4を組みつけて、レジスタ1の組立を完了する。

本実施例の効果:
【0045】
外周面の一部が表出した操作部11が、40°〜50°(本実施例では45°) 回動して、前記ダンパープレート8を75°〜90°(本実施例では85°)回転させ、 風の流れ方向に従う前記開位置と前記閉位置との間に移動させる構造とした。従って、操作フィーリングが向上できた。
【0046】
前記操作部11を40°〜50°回動して、前記ダンパープレート8を75°〜90°回転させことを前提として、前記ダンパープレート8を前記開位置にした時、図5Bに示す比較例のように上流側のダクト3との干渉を避けるため、ダイヤシャフト9が通風路1Vに沿う空調用空気の流れ方向Fと直交する位置とした。そして、前記ダンパープレート8を閉にした時、前記ダイヤシャフト9と前記リンク10の間の角は145°〜155°とした。従って、管状体2を省スペース化できたとともに、操作部11の駆動力を確実にダイヤシャフト9の回転力に変換できた。
【0047】
本実施例では、ダンパープレート8の上流片8uの湾曲角を135°とし、上流片8uと下流片8dの面積の比を1.4:1.0とした。湾曲角を小さくすると得られる回転トルクが大きくなるが、開位置で圧力損失や、騒音の原因となるため、管状体とダクトの接続角と略等しくするのが望ましい。
【0048】
また、前記湾曲角を小さくしたり、前記面積比を大きくすれば、同様に大きな回転トルクが得られるが、開動作時に大きなダイヤル操作力が必要となる。そのため、風量が最大の40%以上で、初めて摩擦力より大きな回転トルクが発生するようにするのが望ましい。

変形例
【0049】
前記ダンパープレート8が閉位置に着く直前に、上流片8uが下流片8dより大きな風圧を負担することを達成するために、前記ダンパープレート8は、上流片8uが下流片8dより、大きな面積を有し(例として、図7には、同幅で、上流片8uの長さLuが下流片8dの長さLdとの比率は2.0:1.0である構造を示しました。)、上流片8uが下流片8dより多い風を当たって、大きな風圧を負担することにより、この風圧の差も、前記移動時の抵抗を克服する駆動力の補助として、前記ダンパープレート8を前記閉位置まで移動させる。

符号の説明
【0050】
1 レジスタ
1V 通風路
1O 吹出口
2 管状体
2x 下流軸受部
2y 上流軸受部
2z ダンパー軸受部
2h 挿入口
3 ダクト
4 ベゼル
5 下流フィン群
51 プライマリ下流フィン
52 セカンダリ下流フィン
5s 下流フィン軸
5p 下流フィン連結ピン
51m 突条部
6 上流フィン群
61 中央上流フィン
62 端部上流フィン
6s 上流フィン軸
6p 上流フィン連結ピン
61c 切欠部
61a 上流フィン軸
7 操作ノブ
8 ダンパープレート
8u 上流片
8d 下流片
8a 突起軸
8b 嵌合部
8s ダンパー軸
8r ダンパーシール
9 ダイヤシャフト
10 リンク
11 操作部
12 調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6