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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-189002(P2019-189002A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/24 20060101AFI20191004BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20191004BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   B62D25/24 Z
   B62D25/20 N
   B60P3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-83569(P2018-83569)
(22)【出願日】2018年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】増井 隆則
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA37
3D203BB03
3D203BB27
3D203CB09
3D203CB12
3D203CB19
3D203CB34
3D203DA02
3D203DA05
3D203DA31
(57)【要約】
【課題】底面に取り付けられるカバーの着脱作業を一人の作業員で行うことができる搬送車を提供すること。
【解決手段】搬送車1の底面へ第1カバー60を取り付けるには、まず、第1カバー60に設けられたフック部材7を、掛止部材9及び10に掛止させて、ボルトBで掛止部材9及び10とフック部材7とを連結する。一方、第1カバー60を取り外すには、掛止部材9及び10とフック部材7とを連結しているボルトBを解除する。この状態でも、第1カバー60が取付位置に仮配置されているので第1カバー60は落下しない。そして、第1カバー60をずらすことで、第1カバー60を搬送車1の底面から取り外せる。即ち、第1カバー60の着脱時に、第1カバー60を支える作業員が不要となるので、第1カバー60の着脱作業を一人の作業員で行うことができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に着脱可能に取り付けられるカバーと、
そのカバーに設けられたフック部材と、
前記カバー周辺の底面に設けられ、前記フック部材を掛止して前記カバーを取付位置に仮配置する掛止部材と、
その掛止部材と前記フック部材とを連結して前記カバーを底面の取付位置に固定する連結部材とを備えていることを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記フック部材は、前記カバーの一側から他側に亘って配設されていることを特徴とする請求項1記載の搬送車。
【請求項3】
前記フック部材は、側面視逆L字型に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記カバーには、前記連結部材による連結位置に対応する部分に切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車に関し、特に、底面に取り付けられるカバーの着脱作業を一人の作業員で行うことができる搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送車のエンジンには、メンテナンス時にエンジンへアクセスするために開放されるカバーが設けられている。特許文献1,2のカバーはエンジンの上方に、特許文献3のカバーはエンジンの側方に、それぞれ設けられている(特許文献1:カバー20,特許文献2:カバー18,31,41,特許文献3:ボンネット12)。
【0003】
これに対しエンジンのメンテナンス用カバーが、エンジンのラジエータ側下方部に設けられたものがある。該メンテナンス用カバーは、通常時は搬送車の底面に取り付けられてエンジンおよびラジエータを保護すると共に、これらのメンテナンス時には底面から取り外されて、底面からのメンテナンスが可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−104281号公報
【特許文献2】特開2006−056326号公報
【特許文献3】特開2017−051147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、該メンテナンス用カバーは、ラジエータ側の下方全体を覆う一枚板とされていたので、大型であり、質量も重く(約20kg)、その着脱作業を一人で行うことは困難であった。即ち、該メンテナンス用カバーを着脱する場合には、一人が該カバーを支え、もう一人がボルトを締結し或いは緩める等しなければならず、その着脱作業には二人以上の作業員が必要であった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、底面に取り付けられるカバーの着脱作業を一人の作業員で行うことができる搬送車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の搬送車は、底面に着脱可能に取り付けられるカバーと、そのカバーに設けられたフック部材と、前記カバー周辺の底面に設けられ、前記フック部材を掛止して前記カバーを取付位置に仮配置する掛止部材と、その掛止部材と前記フック部材とを連結して前記カバーを底面の取付位置に固定する連結部材とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の搬送車によれば、底面へカバーを取り付けるには、まずカバーに設けられたフック部材を、カバー周辺の底面に設けられた掛止部材に掛止させて、カバーを取付位置に仮配置する。即ちカバーを掛止部材によって支持する。次に、連結部材によって、掛止部材とフック部材とを連結する。これによってカバーを底面の取付位置に固定することができる。
【0009】
一方、底面からカバーを取り外すには、まず掛止部材とフック部材とを連結している連結部材を取り外す。このとき、カバーのフック部材は掛止部材に掛止された状態、即ちカバーが取付位置に仮配置された状態となるので、カバーは落下せず、掛止部材によって支持される。かかる状態から、掛止部材による掛止が外れるようにカバーをずらす。これによってカバーを底面から取り外すことができる。
【0010】
このようにカバーの着脱にあたっては、カバーのフック部材を掛止部材によって掛止することで、カバーを取付位置に仮配置することができる。よって、カバーを支える作業員が不要となるので、カバーの着脱作業を一人の作業員で行うことができる。
【0011】
請求項2記載の搬送車によれば、請求項1の奏する効果に加え、フック部材は、カバーの一側から他側に亘って配設されている。よって、カバーの剛性を向上させて、カバーの着脱時における撓みを抑えることができると共に、カバーに対するフック部材の接合強度を向上することができる。
【0012】
なお、「カバーの一側から他側」とは、必ずしも「カバーの端から端まで」を言うのではなく、「カバーの一端部付近から他端部付近まで」を意味する。即ち、フック部材は、必ずしもカバーの端から端まで形成されている必要はなく、カバーの一端部付近から他端部付近まで形成されていれば良い。
【0013】
請求項3記載の搬送車によれば、請求項1又は2の奏する効果に加え、フック部材は側面視逆L字型に形成されている。よって、フック部材の逆L字の開放側から掛止部材が入ってくるようにカバーをずらす(スライドさせる)という簡単な操作によって、カバーを掛止部材で掛止することができる。しかも、フック部材は逆L字型に形成されているので、その開放側の反対側は閉じている。よって、カバーをずらし(スライドし)過ぎることなく、カバーを取付位置に容易に仮配置することができる。
【0014】
請求項4記載の搬送車によれば、請求項1から3のいずれかの奏する効果に加え、カバーには、連結部材による連結位置に対応する部分に切り欠きが形成されている。よって、その切り欠きからアクセスして、掛止部材とフック部材とを連結部材によって容易に連結し、或いは、その連結を容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は、本発明の一実施形態における搬送車の側面図であり、(b)は、搬送車の正面図である。
図2図1(a)のII−II線におけるエンジン及びカバーの部分拡大図である。
図3】(a)は、第1カバーの上面図であり、(b)は、その正面図であり、(c)は、その底面図である。
図4】(a)は、第1掛止部材が配設される第2カバーの上面図であり、(b)は、その正面図であり、(c)は、その部分拡大側面図である。
図5】(a)は、第2掛止部材が配設される車両フレームの上面図であり、(b)は、図5(a)のVb−Vb断面線における車両フレーム及び第2掛止部材の断面図である。
図6】(a)は、フック部材を第1掛止部材に掛止する様子を示した図であり、(b)は、フック部材を第1掛止部材の取付位置までスライドさせる様子を示した図であり、(c)は、フック部材を第1掛止部材の取付位置で仮配置した様子を示した図であり、(d)は、フック部材と第1掛止部材とを連結した様子を示した図である。
図7】(a)は、フック部材を第2掛止部材に掛止する様子を示した図であり、(b)は、フック部材を第2掛止部材の取付位置までスライドさせる様子を示した図であり、(c)は、フック部材を第2掛止部材の取付位置で仮配置した様子を示した図であり、(d)は、フック部材と第2掛止部材とを連結した様子を示した図である。
図8】(a)は、変形例における第1カバーの上面図であり、(b)は、別の変形例における第1カバーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における搬送車1の側面図であり、図1(b)は、搬送車1の正面図である。
【0017】
搬送車1は、図1に示す通り、車両フレーム2と、荷台3と、走行装置4と、運転室5とを有する大型搬送車である。図1における矢印U−Dは搬送車1の上下方向を、矢印L−Rは搬送車1の左右方向を、矢印F−Bは、搬送車1の前後方向をそれぞれ示しており、図2〜5も同様とする。荷台3は、車両フレーム2上に配設され搬送物を積載するための台である。走行装置4は、荷台3の下方に複数配設され、運転室5からの運転指示に応じて、搬送車1を走行させるための装置である。本実施形態において走行装置4は、搬送車1の前後方向に6列配設され、各列に2つずつ設けられる。
【0018】
運転室5は、搬送車1の前端と後端とにそれぞれ配設され、作業員による荷台3に対する昇降指示や走行装置4に対する運転や制動の指示等を行うための制御室である。なお、運転室5と、後述するエンジンE,ウォーターポンプP,ラジエータR及びカバー6とは、搬送車1の前端側および後端側にそれぞれ設けられるが、これらは同一の構成なので、以下では前端側の運転室5,エンジンE,ウォーターポンプP及びラジエータRについてのみ説明する。
【0019】
運転室5に隣接する走行装置4との間には、搬送車を走行させるためのエンジンEが搭載される。そのエンジンEの前方側には、エンジンEの冷却水を循環させるためのウォーターポンプPが搭載される。更に、エンジンE及びウォーターポンプPよりも右方側には、エンジンEの冷却水を冷却するためのラジエータRが搭載される。エンジンE,ウォーターポンプP及びラジエータRの下方かつ搬送車1の底面には、エンジンE,ウォーターポンプP及びラジエータRを保護する部材であるカバー6が、着脱可能に取り付けられる。ここで、図2を参照してカバー6について説明する。
【0020】
図2は、図1(a)のII−II線におけるエンジンE及びカバー6の部分拡大図である。カバー6は、カバー6における左方側かつ前方側に位置する第1カバー60と、その第1カバーにおける後方向に隣接する第2カバー61と、その第1カバー60及び第2カバー61の右方向に隣接する第3カバー62との3つのカバーで構成される。第2カバー61及び第3カバー62は、それぞれの周辺の車両フレーム2に対してボルト等で着脱可能に取り付けられる。
【0021】
第1カバー60は、ウォーターポンプPへエンジンEの動力を伝達するエンジンベルトPbの下方付近に設けられる。エンジンベルトPbは、ゴム製のベルトであり劣化しやすい部品なので、定期的(例えば1カ月毎)にメンテナンスが行われる。かかるメンテナンスをするには、搬送車1の底面側からカバー6を取り外す必要があるが、カバー6全体の質量は人力に対して重く(約20kg)、更に大型であるので係るカバー6の取り外しには、複数人の作業員が必要となる。例えば、一人の作業員がカバー6を支え、もう一人の作業員がカバー6のボルトBを解除してカバー6を取り外す必要がある。更に、メンテナンス後にカバー6を取り付けるため、一人の作業員がカバー6を支え、もう一人の作業員がカバー6にボルトBを固定する必要がある。
【0022】
そこで、図3以降で後述するが、第1カバー60にフック部材7(図3参照)を設け、そのフック部材7を、第2カバー61上に配設された第1掛止部材9(図4参照)又は車両フレーム2上に配設された第2掛止部材10(図5参照)に掛止して、第1カバー60を搬送車1に対する取付位置(以下「第1カバー60の取付位置」と略す)に仮配置した上で連結することで、第1カバー60の取付作業を一人で行うことができる。また、第1カバー60の取付作業とは逆の手順を行うことで、第1カバー60の取外作業も一人で行うことができる。図3図5を参照して、フック部材7,第1掛止部材9及び第2掛止部材10を説明する。
【0023】
図3(a)は、第1カバー60の上面図であり、図3(b)はその正面図であり、図3(c)はその底面図である。第1カバー60には、第1カバー60の長さ方向(即ち矢印F−B方向)における一端部から他端部に亘ってフック部材7が配設される。本実施形態において、フック部材7は第1カバー60の奥行方向(即ち矢印L−R方向)に沿って、3つ配設される。
【0024】
図3(b)に示す通り、フック部材7は、L字状(即ち、側面視逆L字型)に折り曲げられて形成された部材であり、第1カバー60の一端側から他端側に亘って接合される立設部7aと、その立設部7aの上端に接合される上面部7bとから構成される。フック部材7は第1カバー60の一端側から他端側に亘って接合されるので、第1カバー60の長さ方向に対する剛性を向上させて第1カバー60の長さ方向の撓みを抑えることができると共に、第1カバー60に対するフック部材7の接合強度も向上させることができる。
【0025】
フック部材7の上面部7bは、第1バー60を取付位置に仮配置する際に、後述の掛止部材9又は10(図4,5参照)に掛止するための部材である。図3(c)に示す通り、上面部7bにおける両端部付近には、それぞれボルト孔7cが設けられる。上面部7bの上面であって、上面部7bのボルト孔7cが設けられる位置には、フック部材7と掛止部材9又は10とを連結するためのナット7dが接合される。フック部材7の一端側のボルト孔7c及びナット7dと、第1掛止部材9とをボルトB(図6,7参照)で固定し、フック部材7の他端側のボルト孔7c及びナット7dと、第2掛止部材10とをボルトBで固定することで、フック部材7と掛止部材9及び10とを連結することができる。
【0026】
図3(c)に示す通り、第1カバー60における、フック部材7の上面部7bのボルト孔7cおよびナット7dの下方に対応する位置には、切欠部60aが設けられる。切欠部60aは、第1カバー60側からフック部材7の上面部7bのボルト孔7cおよびナット7dにアクセスするためのものであり、この切欠部60aの大きさは、第1カバー60側からボルトBを着脱する場合に、ボルトBの挿入および抜き取りや、工具によるボルトBの固定または解除作業に支障がない程度の大きさとされる。これにより、作業員が搬送車1の底面から、第1カバー60を着脱する場合でも、上面部7bのボルト孔7c(およびナット7d)へ切欠部60aから容易にアクセスできるので、フック部材7と掛止部材9及び10とを容易に連結し、或いはその連結を容易に解除することができる。
【0027】
詳細は図6,7で後述するが、第1カバー60のフック部材7の上面部7bを掛止部材9及び10に掛止して、第1カバー60を取付位置に仮配置した場合、掛止部材9及び10とフック部材7のナット7dとが連通する。この状態でナット7dと掛止部材9及び10とをボルトB(図6,7参照)で固定することで、フック部材7と掛止部材9及び10とが連結され、第1カバー60を搬送車1へ固定することができる。
【0028】
次に、図4を参照して、フック部材7を掛止する第1掛止部材9について説明する。図4(a)は、第1掛止部材9が配設される第2カバー61の上面図であり、図4(b)はその正面図であり、図4(c)はその部分拡大側面図である。まず、第2カバー61における、第1カバー60と隣接する側、即ち、第2カバー61の前側(即ち矢印F方向側)の端部には接合部材8が配設される。接合部材8は、底面部8aと、立設部8bとがL字型に接合される部材である。底面部8aは、第2カバー61の前側に亘って接合される部材であり、立設部8bは、底面部8aの後端に亘って接合される第2カバー61の補強用のリブである。立設部8bによって、第2カバー61における奥行方向(即ち矢印L−R方向)の剛性を向上させることができる。これにより、第1カバー60の仮配置時における、第2カバー61の撓みを抑えることができる。
【0029】
接合部材8の底面部8a上には、フック部材7を掛止するための第1掛止部材9が接合される。本実施形態において、第1掛止部材9は、第2カバー61の前端部に沿って3つ配設される。第1掛止部材9には、図4(b)に示す通り、接合部材8の底面部8a上に立設される立設部9aと、その立設部9aの上端が側面視逆L字型に折り曲げられて形成される上面部9bとで構成される。更に、第1掛止部材9の立設部9a及び上面部9bと、接合部材8の立設部8bとが接合される。
【0030】
これにより、第1掛止部材9と接合部材8との接合強度を向上させることができるので、第1掛止部材9の上面部9b上にフック部材7を掛止しても、第1掛止部材9の形状を損なうことなくフック部材7を支持することができる。また、第1掛止部材9は、接合部材8上に接合される。よって、3つの第1掛止部材9を接合部材8上に接合した上で、かかる接合部材8を第2カバー61に接合するだけで、3つの第1掛止部材9を適正な位置へ一度に配設することができる。
【0031】
また、図4(c)に示す通り、第1掛止部材9の上面部9bは、第2カバー61の端よりも外側に延設され、かかる延設部分には、ボルトB(図6,7参照)を挿通するためのボルト孔9cが設けられる。ボルト孔9cの位置は、第1カバー60を第1掛止部材9に掛止し、取付位置に仮配置した場合に、フック部材7の上面部7bのボルト孔7cおよびナット7dと連通する位置とされる。本実施形態において、第1掛止部材9の上面部9bが第2カバー61の端よりも外側に延設され、かかる延設部分にボルト孔9cが設けられるのは、フック部材7の上面部7bのボルト孔7cおよびナット7d(図3参照)が、第1カバー60の一端および他端付近、即ち第1カバー60の端よりも内側に設けられるからである。これにより、第1カバー60と第2カバー61とが干渉することなく、第1カバー60を第2カバー61に掛止して、第1カバー60を取付位置に仮配置することができる。
【0032】
次に、図5を参照して、フック部材7を掛止する第2掛止部材10について説明する。図5(a)は、第2掛止部材10が配設される車両フレーム2の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb断面線における車両フレーム2及び第2掛止部材10の断面図である。
【0033】
第1カバー60の前側(即ち矢印F方向側)に隣接する車両フレーム2には、フック部材7を掛止するための第2掛止部材10が配設される。第2掛止部材10における前後それぞれには、ボルト孔10a及びボルト孔10bが設けられる。第2掛止部材10の前側のボルト孔10aと車両フレーム2に設けられた孔(図示せず)とを連通させ、ナット12及びボルト11で固定することで、第2掛止部材10は車両フレーム2に固定される。
【0034】
一方、第2掛止部材10の後側のボルト孔10bは、第1カバー60を第2掛止部材10に掛止し取付位置に仮配置した場合に、フック部材7の上面部7bのボルト孔7cおよびナット7dと連通する位置に設けられる。更に、第2掛止部材10の後側のボルト孔10bは、車両フレーム2よりも後側に設けられる。これにより、第1カバー60と車両フレーム2とが干渉することなく、第1カバー60を第2掛止部材10に掛止し取付位置に仮配置することができる。
【0035】
以上説明したフック部材7を、掛止部材9及び10に掛止して、これらを連結することで、第1カバー60を搬送車1に取り付けることができる。ここで、図6,7を参照して、第1カバー60の搬送車1の底面への取り付けについて説明する。図6(a)は、フック部材7を第1掛止部材9に掛止する様子を示した図であり、図6(b)は、フック部材7を第1掛止部材9の取付位置までスライドさせる様子を示した図であり、図6(c)は、フック部材7を第1掛止部材9の取付位置で仮配置した様子を示した図であり、図6(d)は、フック部材7と第1掛止部材9とを連結した様子を示した図である。また、図7(a)は、フック部材7を第2掛止部材10に掛止する様子を示した図であり、図7(b)は、フック部材7を第2掛止部材10の取付位置までスライドさせる様子を示した図であり、図7(c)は、フック部材7を第2掛止部材10の取付位置で仮配置した様子を示した図であり、図7(d)は、フック部材7と第2掛止部材10とを連結した様子を示した図である。
【0036】
まず、第1カバー60を搬送車1の底面へ取り付けるために、図6(a),図7(a)の矢印方向に第1カバー60を持ち上げ、第1掛止部材9の上面部9b及び第2掛止部材10上に、フック部材7の上面部7bを掛止させる(図6(b),図7(b))。
【0037】
次に、フック部材7を第1掛止部材9上および第2掛止部材10上に掛止したまま、第1カバー60を掛止部材9及び10が配設される方向(図6(b),図7(b)の矢印方向)、即ちボルト孔7c、ボルト孔9c及びナット7dが連通するようにずらす(スライドする)。これにより、第1カバー60は取付位置へ仮配置される(図6(c),図7(c))。この際、第1カバー60は第2カバー61及び車両フレーム2に掛止されているので、搬送車1の底面に位置する作業員は、第1カバー60を支持しながら第1カバー60の位置調整する必要がないので、かかる位置調整を一人で行うことができる。
【0038】
ところで、第1カバー60を、図6(b)や図7(b)の矢印方向へずらし続けると、やがてフック部材7の立設部7aと、第1掛止部材9とが当接する。これにより、第1カバー60のスライド量が制限されるので、第1カバー60の取付位置から過度にずれてしまうことを抑制できる。
【0039】
そして、第1カバー60を取付位置に仮配置した後、第1カバー60の切欠部60a側からボルトBを挿入し、第1掛止部材9とフック部材7とを締結する(図6(d),図7(d))。この切欠部60aによって、搬送車1の底面側からであっても、容易に掛止部材9及び10にアクセスして、ボルトBを挿入することができる。更に、第1カバー60は、第2カバー61及び車両フレーム2に掛止されているので、ボルトBの挿入の際も第1カバー60を支持しながらボルトBを挿入する必要がない。即ち、ボルトBの挿入作業も一人で行うことができる。
【0040】
なお、第1カバー60を取り外す場合は、上記説明した図6図7の逆の手順を行う。まず、図6(d),図7(d)において、ボルトBを抜き取る(図6(c),図7(c))。ボルトBを抜き取っても、第1カバー60は、第2カバー61及び車両フレーム2に掛止されているので、第1カバー60が落下せずに、掛止部材9及び10に支持される。よって、第1カバー60をもう一人の別の作業員が支持することなく、ボルトBの抜取作業をすることができる。そして、第1カバー60を掛止部材9及び10が配設されている位置とは逆方向、即ち図6(b),図7(b)の反矢印方向にずらすことで、第1カバー60と第2カバー61及び車両フレーム2との掛止が外れる(図6(b),図7(b))。これにより、第1カバー60を搬送車1の底面から取り外すことができる。
【0041】
以上説明した通り、本実施形態における搬送車1において、第1カバー60の着脱にあたっては、フック部材7を掛止部材9及び10に掛止することで、第1カバー60を取付位置に仮配置することができる。よって、第1カバー60を支える作業員が不要となるので、第1カバー60の着脱作業を一人の作業員で行うことができる。
【0042】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0043】
上記実施形態において、カバー6は、第1カバー60,第2カバー61,第3カバー63の3つのカバーで構成されるものとした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、カバー6の大きさや質量に応じて、第1カバー60のみで構成しても良いし、第1カバー60と第2カバー61とで構成しても良い。或いは、第1カバー60を含めて4つ以上のカバーで構成しても良い。特に、カバー6を第1カバー60のみで構成する場合であっても、フック部材7と掛止部材9及び10とによって、第1カバー60を取付位置に仮配置することができるので、第1カバー60(即ちカバー6)の着脱作業を一人の作業員で行うことができる。
【0044】
上記実施形態において、フック部材7と、掛止部材9及び10とをボルトBで固定することで、第1カバー60を搬送車1に固定する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、フック部材7と掛止部材9及び10との代わりに、アジャストハンドル、ローラーキャッチ又はマグネット等の他のロック機構を、第1カバー60、第2カバー61又は車両フレーム2に配設し、これらによって第1カバー60と搬送車1とを固定する構成としても良い。
【0045】
上記実施形態において、フック部材7,掛止部材9及び10は、それぞれ3つ配設される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1カバー60の大きさや質量、形状等に応じて、これらが2つ以下で構成しても良いし、4つ以上で構成しても良い。
【0046】
上記実施形態において、フック部材7は、第1カバー60の長さ方向における一端部から他端部に亘って配設される構成、即ち、フック部材7と第1カバー60との長さ方向における長さは同一とする構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、フック部材7の長さ方向における長さを、第1カバー60のかかる方向の長さよりも短くしても良いし、長くしても良い。また、フック部材7を第1カバー60の長さ方向に亘って配設するものに限られるものではなく、フック部材7を第1カバー60の長さ方向における両端のみに配設する構成としても良い。かかるフック部材7を、図8(a)を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0047】
図8(a)は、変形例における第1カバー60の上面図である。図8(a)に示すように、変形例におけるフック部材7には、上面部7bの代わりに、立設部7aの前端側には第1上面部7b1が接合され、立設部7aの後端側には第2上面部7b2が接合される。第1上面部7b1及び第2上面部7b2における前後方向の幅は、第1掛止部材9及び第2掛止部材10と安定して掛止できる程度とされる。また、第1上面部7b1の前端部および第2上面部7b2の後端部には、上面部7bと同様にボルト孔7c(図示せず)及びナット7dが設けられる。
【0048】
これにより、上面部7bを第1カバー60の一端側から他端側に亘って接合する場合と比較して、フック部材7の質量を低減でき、更にフック部材7の製造コストも低減できる。また、フック部材7の第1上面部7b1及び第2上面部7b2だけでなく、第1カバー60の立設部7aも第1上面部7b1及び第2上面部7b2に合わせて、第1カバー60の前端および後端付近にのみ接合する構成としても良い。
【0049】
上記実施形態において、フック部材7は、立設部7aと、上面部7bとから構成した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、上面部7bにおける立設部7aとは反対側に、更にストッパ7eを接合する構成としても良い。かかるストッパ7eについて、図8(b)を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
図8(b)は、変形例における第1カバー60の正面図である。図8(b)に示すように、上面部7bにおける立設部7aとは反対側、即ち、上面部7bの左端にはストッパ7eが垂設される。具体的には、上面部7bの左端とストッパ7eの上端とが接合され、更に、図示はしないが、ストッパ7eは上面部7bの前端から後端に亘って接合される。また、ストッパ7eの上下方向の高さは、ストッパ7eの下端と第1カバー60との間に掛止部材9及び10が挿入できる程度とされる。よって、第1カバー60を取付位置へ仮配置した場合に、第1カバー60にズレが生じても、ストッパ7eと掛止部材9及び10とが当接することで、フック部材7と掛止部材9及び10との掛止が解除されるのを抑制できる。
【0051】
上記実施形態において、第2カバー61には接合部材8が配設され、その接合部材8上に第1掛止部材9が接合される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、接合部材8を省略し、第2カバー61上に第1掛止部材9が接合される構成としても良い。
【0052】
上記実施形態において、第2カバー61には接合部材8及び第1掛止部材9が配設され、車両フレーム2には、第2掛止部材10が配設される構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1カバー60に隣接する構成(カバー、車両フレーム2等)に応じて、第2カバー61と車両フレーム2との両方に接合部材8及び第1掛止部材9を配設する構成としても良いし、第2カバー61と車両フレーム2との両方に、第2掛止部材10を配設する構成としても良い。また、第2カバー61に第2掛止部材10を配設し、車両フレーム2に接合部材8及び第1掛止部材9を配設する構成としても良い。この場合、車両フレーム2へ直接第1掛止部材9を接合し、接合部材8を省略する構成としても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送車
6 カバー
7 フック部材
8 接合部材
9 第1掛止部材(掛止部材)
10 第2掛止部材(掛止部材)
60 第1カバー(カバー)
60a 切欠部(切り欠き)
61 第2カバー
B ボルト(連結部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8