【実施例1】
【0013】
<1>全体の構成(
図1)。
本発明の土のう詰め替え袋1は、充填物が充填された土のうBを内部に封入することで、土のうBの劣化による充填物の漏出を防止するための袋体である。
土のう詰め替え袋1は、上方に開口した有底略円筒状の袋体10と、袋体10に接合する吊りベルト20と、を備える。
本発明の土のう詰め替え袋1は、袋体10が異色の組み合わせによる織地Aを有することにより、袋体10の損傷時にこれを検知させる損傷検知機能を備える点に特徴を有する。
【0014】
<2>袋体。
袋体10は、土のうBを封入する袋状の構成要素である。
袋体10は、略円筒状の胴部11と、胴部11の上縁に接続する略円筒状の蓋部12と、胴部11の下方を塞ぐ底部13と、を少なくとも備える。
袋体10の少なくとも胴部11は、異色の糸の組み合わせによる織地Aからなる。但し、これに限らず、胴部11に加えて蓋部12や底部13も異色の組み合わせによる織地Aとしてもよい。
蓋部12の上縁付近には、土のうBの配置後に開口を封鎖するための封鎖手段12aを有する。
【0015】
<2.1>織地(
図2)。
織地Aは、縦糸a1と横糸a2を平織りしてなる。
本例では、縦糸a1及び横糸a2として、ポリプロピレン製のフラットヤーンを採用する。ただし素材はこれに限られず、ポリエステルその他の合成樹脂素材を採用してもよい。
縦糸a1は第一色c1を備え、横糸a2は第一色c1と異なる第二色c2を備える。
異色の第一色c1と第二色c2を組み合わせることにより、織地A全体が第一色c1及び第二色c2のいずれとも異なる複合色cMを発色する。
また、織地Aは、見る方向によって縦糸a1と横糸a2の露出面積が変わるため、角度によって色彩が少しずつ変化する。
このため、表面の凹凸が強調されるので、内部の土のうBの形状や配置を外部から容易に視認することができる。
【0016】
<2.2>色の組み合わせ。
本例では、第一色c1を黒色、第二色c2を白色とする例について説明する。
縦糸a1と横糸a2それぞれは黒色、白色の単色であるが、これを平織りすると織地A全体として灰色系の複合色cMを発色する。
このほか、例えば、黒色と黄色の組み合わせでスモークグレー、黒色とベージュ色の組み合わせで煤色、赤色と白色の組み合わせでピンク色、赤色と青色の組み合わせで紫色、青色と白色の組み合わせで水色、青色と黄色の組み合わせで緑色、などの複合色cMを採用してもよい。
この内、特に黒色と白色の組み合わせ、黒色と黄色の組み合わせ、及び黒色とベージュ色の組み合わせは、複合色cMと白色、黄色、煤色のコントラストが大きいため、袋体10損傷時の損傷検知機能が特に優れている。損傷検知機能については後述する。
【0017】
<2.3>封鎖手段。
封鎖手段12aは、蓋部12の開口を締結して袋体を封鎖する手段である。
本例では、蓋部12内の上縁付近に周設した紐体による巾着構造を採用する。
環状に締結した紐体を両側に引っ張ることで、蓋部12の内部に挿通した紐体によって開口を引き寄せて固く閉じることができる。
なお、封鎖手段12aは、巾着構造に限られず、例えば蓋部12の一側に接続した紐体と他側に設けたループの組み合わせ構造を採用してもよい。
この場合、蓋部12の開口を紐体で絞った後に、ループを通して締結することで、袋体10の蓋部12を固く締結することができる。
【0018】
<3>吊りベルト。
吊りベルト20は、袋体10吊り上げ用の帯状体である。
本例では、吊りベルト20として、全体で無端状に接続する吊りベルトを胴部11の周方向の4カ所で胴部11の上下方向に沿って接続してなる。
但しこれに限らず、中身の土のうBを袋体10ごと吊り上げ可能であれば、他の構造であってもよい。
吊りベルト20は、高強度、対候性、及び耐久性を備えた素材を採用するのが望ましい。
本例では、吊りベルト20としてポリプロピレン製の帯体を採用する。但しこれに限られず、ポリエステルその他の合成樹脂素材を採用してもよい。
【0019】
<4>損傷検知機能(
図3、4)。
袋体10の織地Aに破れや小孔などの損傷が生じると、縦糸a1と横糸a2の交差が解かれることにより、損傷部分の複合色cMが、縦糸a1の第一色c1と、横糸a2の第二色c2に分解される。
すると、複合色cMの織地Aを背景に、縦糸a1と横糸a2が外部に露出することにより、複合色cMとの色のコントラストによって第一色c1及び第二色c2がより鮮明に発色する。
これによって、離れた場所からでも袋体10の損傷の検知が容易になり、補修や詰め替えなどの早期の対応が可能になる。
【実施例2】
【0020】
[縦糸及び横糸を複数色にする実施例]
実施例1の他、織地Aにおける縦糸a1又は横糸a2のいずれかを複数色の組み合わせとすることもできる。
例えば、縦糸a1を第一色c1の黒色、横糸a2を第二色c2の白色と第三色c3の黄色の組み合わせとしてもよい。この場合、第二色c2と第三色c3を交互に配する。
あるいは、縦糸a1を第一色c1の黒色、横糸a2を第二色c2の白色と第一色c1の黒色の組み合わせとしてもよい。
また、縦糸a1及び横糸a2の両方を複数色の組み合わせとすることもできる。
本例の場合、縦糸a1及び横糸a2の色の組み合わせの数が増えることで、織地Aがより奥行きのある複合色cMを発色可能となる。