下記式(I)で表されるブロック共重合体とポリアニオン性ポリマーとt−PAを含有する製薬学的製剤。
【化1】
上式中、各変動可能な基等の略号は次のとおり定義される:
Aは、非置換又は置換C
1−C
12アルコキシを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式R’R
”CH−基を表し、ここで、R’及びR
”は独立してC
1−C
4アルコキシ又はR’とR
”は一緒になって−OCH
2CH
2O−、−O(CH
2)
3O−もしくは−O(CH
2)
4O−を表す。
L
1は、直接結合又は二価の連結基を表す。
Xは、個別に次の(a)及び(b)に記載される基を含んでなり:
(a)L
2−R
1で表され、L
2は−(CH
2)
p−NH−(CH
2)
p−であり、pは独立して、整数0又は1〜3であり、R
1は、式
【化2】
のいずれかであり、
(b)R
2で表され、R
2はクロロ、ブロモ又はヒドロキシルであり、
ここで、(a)及び(b)を有するポリマー主鎖中の単位(unit)はランダムに存在し、(a)を有する単位は総数nの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、残りは(b)を有する単位であり、(b)は0%であることができる。
Zは、HまたはS(C=S)−Phであり、Phは1または2個のメチルまたはメトキシで置換されていてもよいフェニルを表す。
mは、5〜10,000、好ましくは、10〜500、より好ましくは20〜300の整数を表す。
nは、2〜500、好ましくは4〜200、より好ましくは6〜80の整数を表す。
ポリアニオン性ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸から選ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、組織プラスミノーゲンアクチベータ―(t−PA)の静脈若しくは動脈からの投与又は血管内投与療法(例えば、動注療法)に利用でき、t−PAの生物学的利用能及び再灌流後に発生する活性酸素種(ROS)によるリスクを低減できる手段の提供にある。本発明者等は、仮に、t−PA及び高分子化環状ニトロキシドラジカル(PEG−b−PMNT)の作用が相互に悪影響を及ぼすことなく、静注療法において安定かつ、安全に使用できる組成物を提供できるなら、前記課題を解決できる可能性があるものと推測し、検討してきた。その結果、ここに、ポリアニオン性ポリマーとレドックス活性型PEG−b−PMNTのポリイオンコンプレックス(PIC)は、t−PAの生物活性に何ら悪影響をおよぼすことなく、t−PA静注療法に利用でき、かつ、安定性及び安全性
を示すドラッグデリバリー用担体として使用できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、前記課題を解決するための手段として、次の態様の発明を提供する。
態様1:下記式(I)で表されるブロック共重合体とポリアニオン性ポリマーとt−PAを含有する製薬学的製剤。
【0007】
【化1】
【0008】
上式中、各変動可能な基等の略号は次のとおり定義される:
Aは、非置換又は置換C
1−C
12アルコキシを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式R’R
”CH−基を表し、ここで、R’及びR
”は独立してC
1−C
4アルコキシ又はR’とR
”は一緒になって−OCH
2CH
2O−、−O(CH
2)
3O−もしくは−O(CH
2)
4O−を表す。
L
1は、直接結合又は二価の連結基を表す。
Xは、個別に次の(a)及び(b)に記載される基を含んでなり:
(a)L
2−R
1で表され、L
2は−(CH
2)
p−NH−(CH
2)
p−であり、pは独立して、整数0又は1〜3であり、R
1は、式
【0009】
【化2】
【0010】
のいずれかであり、
(b)R
2で表され、R
2はクロロ、ブロモ又はヒドロキシルであり、
ここで、(a)及び(b)を有するポリマー主鎖中の単位(unit)はランダムに存在し、(a)を有する単位は総数nの50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、残りは(b)を有する単位であり、(b)は0%であることができる。
Zは、HまたはS(C=S)−Phであり、Phは1または2個のメチルまたはメトキシで置換されていてもよいフェニルを表す。
mは、5〜10,000、好ましくは、10〜500、より好ましくは20〜300の整数を表す。
nは、2〜500、好ましくは4〜200、より好ましくは6〜80の整数を表す。
ポリアニオン性ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸から選ばれる。
態様2:態様1の組成物から形成されたナノ粒子。
態様3:有効成分としての態様1の組成物又は態様2のナノ粒子と製薬学的賦形剤を含んでなる、虚血性発作、例えば、脳梗塞、心筋梗塞を処置するための製剤。
態様4:虚血性発作、例えば脳梗塞を処置方法であって、投与の必要な患者に、態様1の組成物又は態様2のナノ粒子と製薬学的賦形剤を含んでなる製剤を有効量静注することを含んでなる、方法。
【0011】
なお、本発明で用いるブロック共重合体の構造式中のL
1等の方向性を持ち得る結合の方向性は、特記しない限り表示されているままの方向性を有する(以下、同じ。)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製薬学的組成物は、水性媒体中で、式(I)のブロック共重合体がポリアニオン性ポリマーと共に自己組織化してナノ粒子を形成することができ、また、この自己組織化に際してt−PAをナノ粒子に内包若しくは搭載若しくは装着若しくは充填若しくは固定化できる。本明細書において、内包(encapsulated)、搭載若しくは充填(loaded)、装着(installed)、固定化(immobilized)は夫々互換可能な用語として使用されている。理論に拘束されるものでないが、前記組成物は、水性媒体中で高い可溶性及び高い可動性を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)セグメントをシェルとし、t−PAを、主として、PMNTセグメントとポリアニオン性ポリマーとのポリイオンコンプレックス領域(コア)中に含有するコア−シェル型ナノ粒子を形成するものと理解できる。そのため、このようなナノ粒子は水性媒体中に均一に可溶化又は分散でき、静注用の製剤原薬として適する特性を有する。一方で、このようなナノ粒子は、t−PAの生物学的もしくは生理学的活性に当該ブロック共重合体もポリアニオン性ポリマーも悪影響を及ぼさず、むしろブロック共重合体に起因するレドックス活性(例えば、活性酸素種(ROS)の脱除((scavenging)作用)を有することが認められることから、t−PAの本来の血栓溶解活性に加えて、活性酸素種を消去する作用をも有する。したがって、本発明によれば、t−PA静注療法に利用でき、t−PAの生物学的利用能及び再灌流後に発生する活性酸素種(ROS)によるリスクを低減できる組成物が提供できる。
【0013】
本発明に関して記述された用語等は、特に言及しない限り、当該技術分野で常用されている意味又は内容を有するものとして使用されている。一般的に、本発明について以下の追加の説明をすることができる。
【0014】
組織プラスミノーゲンアクチベータ―(t−PA)は、既に臨床上実用されているアルテプラーゼ(alteplase)をはじめとするt−PAであれば、天然物由来の調製物、遺伝子組み換えにより作製された、所謂、t−PA又はt−PA活性物質と称されているものを包含し、また、本発明の課題解決(又は目的を達成するために)に使用できるものであれば、これらの改変体をも包含する概念である。
【0015】
式(I)で表されるブロック共重合体において、L
1を定義する二価の連結基は、ポリ(エチレングリコール)(以下、PEGと略記する場合あり。)セグメントと側鎖としての環状ニトロキシドラジカルが結合したポリ(メチルスチレン)(以下、PMNTと略記する場合あり。)セグメントの機能が本発明の目的に沿うものであれば、限定されるものでない。しかし、二価の連結基は、一般的には、最大34個、好ましくは18個、より好ましくは最大10個の炭素、並びに任意に酸素及び窒素原子を含有する基を意味する。かような連結基として、具体的には次の基を挙げることができる:
【0017】
で表される基から選ばれるか、又は−(CH
2)
cS−、−CO(CH
2)
cS−、−(CH
2)
cNH−、−(CH
2)
cCO−、−CO−、−OCOO−、−CONH−からなる群より選ばれ、ここで、それぞれ独立してbは2〜6の整数であり、cは1〜5の整数である、ことができる。このような共重合体は、上記の特許文献1又は特許文献2に記載の方法、また、必要により、これらの方法を改変した方法により製造できる。典型的な共重合体の製造方法については後述する製造例に示ように実施するのが便宜である。ポリアニオン性ポリマーは、式(I)のブロック共重合体と一緒になって、水性媒体中でナノ粒子を形成でき、かつ、t−PA及びブロック共重合体のレドックス活性に悪影響を及ぼさないものであれば、限定されるものでないが、一般的に、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等を挙げることができる。これらの中、好ましく使用できるものは、ポリ(メタ)アクリル酸(ポリ(アクリル酸)若しくはポリ(メタクリル酸))であり、これらの数平均分子量(Mn)は500〜1000000、好ましくは1000〜100000、より好ましくは1000〜10000であることができる。これらは、市販のものをそのまま、又は必要に応じて精製して使用することができる。
【0018】
前記の製薬学的組成物にいう、製薬学的とは、当該組成物が製薬学上又は薬学上使用されるものであることを意味する。当該組成物における各成分の含有割合は、本発明の目的の沿った組成物を提供できるものであれば限定されないが、一般的には、式(I)の共重合体対ポリアニオン性ポリマーの配合割合は、形成されるt−PA内包ナノ粒子の水性媒体中での安定性を考慮すれば、式(I)のポリマーのカチオン荷電性基(−NH−)の総電荷対後者のポリアニオン性基(例えば、−COOH)の総電荷が、1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:2〜2:1、最も好ましくは1:1となるように選ばれる。こうして形成されるPICとt−PAとの配合割合は、t−PA内包ナノ粒子の水性媒体の分散溶液又は可溶化溶液中、室温(約20℃)〜37℃下で、t−PAが当該粒子から、少なくとも、1時間、実質的に溶離若しくは溶出しないことを基準に選ばれる。限定されるものでないが、アルテプラーゼについて例示すると、式(I)の共重合体に対し、重量基準で、一般に0.01mg/kg〜20mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kg、より好ましくは0.5mg/kg〜5mg/kgとなるように選ばれる。共重合体は5mg/kg〜500mg/kg、好ましくは10mg/kg〜100mg/kg、より好ましくは20mg/kg〜50mg/kgとなるように選ばれる。
【0019】
こうして提供される組成物は、水性媒体中形成されるナノ粒子として存在することができる。本明細書にいう、水性媒体とは脱イオン水、そのリン酸緩衝化溶液、必要により、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の水可溶性有機溶媒を含有する水等を挙げることができる。かようなナノ粒子の形成方法は、組成物の各成分を必要により、前記のような有機溶媒を用いて溶解し、所定の分子量(例えば、3.5kD〜50kD)カットオフ能を有する透析膜を介して水に対して透析することにより各成分が一体に自己組織化したナノ粒子を提供できる。ナノ粒子とは、水性媒体中の粒子を動的光散乱(DLS)測定により平均粒径がナノオーダー、特に、
10nm〜500nm,好ましくは10nm〜200nm、より好ましくは15nm〜150nm、最も好ましくは15nm〜50nmにある粒子を意味する。
【0020】
このようナノ粒子は、水性媒体中から遠心、又はその水溶液を凍結乾燥することにより固形物として提供できる。凍結乾燥品又は上記の透析物を、前述の水性媒体や、生理食塩水、必要により、マクロゴール、L−アルギニン、L−ヒスチジン等のアミノ酸、緩衝剤リン酸緩衝液等を製薬学的賦形剤と混合して血管内投与用製剤とすることができる。当該ナノ粒子は、t−PAを内包した状態で被験動物(患者を含む)に効果的に静脈若しくは動脈からの投与又は血管内投与療法(例えば、動注療法)に使用でき、当該ナノ粒子からのニトロオキシドラジカルがROSを消去することによりニューロンの障害を防止すると同時に、t−PAの半減期を延長し、血栓溶解(erosion)の効率を向上させる作用及び効果を奏する。
【0021】
当該製剤は、虚血性発作の治療に際し、アルテプラーザを用いる虚血性脳血管障害の静注療法における用法、用量に準じ、また改良して使用できるが、必要があれば動物実験及び/又は臨床試験を行い、専門医により製剤中に含有されるt−PAの用量、投与方法等を決定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】製造例1に記載のPEG−b−CTAの
1H NMRスペクトル
【
図2】製造例1に記載のPEG−b−CTAのゲル浸透クロマトグラフィーによる分離スペクトル
【
図3】製造例2に記載のPEG−b−PCMSの
1H NMRスペクトル
【
図4】製造例2に記載のPEG−b−PCMSのゲル浸透クロマトグラフィーによる分離スペクトル
【
図5】製造例3に記載のPEG−b−PMNTの
1H NMRスペクトル
【
図6】製造例3に記載のPEG−b−PMNTのゲル浸透クロマトグラフィーによる分離スペクトル
【
図7】実施例1に記載のRNP及びt−PA@RNPのDSLの測定結果としてのサイズ分布パターン
【
図8】試験例1における中大脳動脈(A,B)及び処置後t−PA@RNPの皮質分布(C)のレーザー照射によるフォトトロボティックストローク(photothrombotic stroke)の概略図
【
図9】試験例1における照射時間に依存するマウス中大脳動脈閉塞の状態を表す図に代わる写真
【
図10】試験例1におけるマウスMCAOモデル(n=4)のレーザードップラー血流計による血流データのグラフ表示
【
図11】試験例1におけるマウスMCAOモデルの照射時間による梗塞容積の評価結果のグラフ表示
【
図12】試験例1におけるMCAOマウスに対するt−PA単独の梗塞容積のグラフ表示
【
図13】試験例1におけるMCAOマウス処置について遊離RNPの梗塞容積のグラフ表示
【
図14】試験例1におけるMCAOマウス処置についてt−PA@RNP(t−PA 5mg/kg+RNP 50mg/kg)の梗塞容積のグラフ表示
【
図15】試験例1におけるMCAOマウス処置についてt−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 50mg/kg)の梗塞容積のグラフ表示
【
図16】試験例1におけるMCAOマウス処置についてt−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 20mg/kg)の梗塞容積のグラフ表示
【
図17】試験例1におけるMCAOマウスについてt−PA単独を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候についてのグラフ表示
【
図18】試験例1におけるMCAOマウスについて遊離RNPを用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候についてのグラフ表示
【
図19】試験例1におけるMCAOマウスについてt−PA@RNP(t−PA 5mg/kg+RNP 50mg/kg)を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候についてのグラフ表示
【
図20】試験例1におけるMCAOマウスについてt−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 50mg/kg)を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候についてのグラフ表示
【
図21】試験例1におけるMCAOマウスについてt−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 20mg/kg)を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候についてのグラフ表示
【
図22】試験例1におけるMCAOマウスについて、生理食塩水注入処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図23】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA単独(1mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図24】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA単独(5mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図25】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA単独(10mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=4、A,B,C,D、なお、A〜Dは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図26】試験例1におけるMCAOマウスについて、遊離RNP(50mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図27】試験例1におけるMCAOマウスについて、遊離RNP(20mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=4、A,B,C,D、なお、A〜Dは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図28】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA@RNP(t−PA 5mg/kg+RNP 50mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図29】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 50mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【
図30】試験例1におけるMCAOマウスについて、t−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 20mg/kg)処置群の梗塞マウス脳組織の同定のための組織病理学的染色としてのTTC染色スライドを表す図に代わる写真(n=5、A,B,C,D,E、なお、A〜Eは同一群内の個々のマウス脳切片の染色図に代わる、写真)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明で使用するブロック共重合体の典型的な製造例、ポリイオンコンプレックス(PIC)の調製例、ナノ粒子の調製例、さらには、ナノ粒子の作用、効果を例証するための具体的な試験例を開示するが、本発明はこれらの例に限定されるものでない。
【0024】
<製造例1> ブロック共重合体PEG−b−CTAの合成
110℃にて,50gのポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(MeO−PEG−OH,MW=5,000,Fluka,Germany)を減圧下で水及び水分がなくなるまで、2〜12時間撹拌した。安定化のため窒素雰囲気下、撹拌しながら65℃で1時間インキュベーションした。窒素流条件下で、脱水ポリマーにテトラヒドロフラン(THF)200mLをゆっくり加えた。10mLのブチルリチウム(BuLi,16mmol)を加えることによりヒドロキシル基をリチオ化した(10mmol PEG+16mmol BuLi,MeO−PEG−OLi)。次いで、リチオ化PEG溶液に10倍過剰量のα、α−ジブロモ−p−キシリレン(DPX,C
8H
8Br
2,MW=263.96)(25g)を加え、撹拌しながら65℃で、24時間(必要があれば、最大2〜3日間)撹拌した。混濁したネオングリーンへの色変化に注意し、LiBrの沈殿(容器の上部)を観察する。反応溶液を冷イソプロピルアルコール(IPA)へ投入し、ポリマーを沈殿させ、遠心分離にて回収した(8,800rpm、2分間、−4℃)。温メタノールで沈殿を可溶化し、残存するDPXを除去するために遠心した(8,800rpm、2分間、−4℃)。遠心後、沈殿を分離し、透明なポリマーのメタノール溶液を得、IPAでポリマーを沈殿させた。遠心(8,800rpm、2分間、−4℃)、冷IPAを用いる再沈殿を3度繰り返した。こうして精製されたポリマーを室温で24〜48時間真空下で乾燥させた。丸底フラスコ中で撹拌しながらN
2条件下で純THF(200mL)に乾燥ポリマーを溶解させた。この段階でポリマー溶液は透明であった。このポリマー溶液に直ちにMgBr−CS
2Ph溶液を加えた(補足プロトコール参照)。更なるプロセスを行うまで、40℃で、少なくとも12〜73時間撹拌した。冷IPAを用いて再沈殿させ、遠心した(8,800rpm、2分間、−4℃)。上層液の赤色が無くなるまで、IPA沈殿を5〜8回繰り返した。この段階で、得られる沈殿の色はピンクであった。真空下で36時間乾燥し、PEG−b−CTAの生成物50gを得た。
【0025】
捕捉プロトコール(PhMgBr+CS
2溶液の調製):
氷冷水浴中の窒素雰囲気下にある丸底フラスコ内でPhCS
2MgBrを下記のごとく調製した。
【0026】
THF50mL、CS
24mL、PhMgBr(臭化フェニルマグネシウム溶液,ジエチルエーテル中3モル濃度)6.7mLを順にフラスコに加えた。
【0027】
PhMgBr添加後、数分間待つと、化学反応が起こったことを示す赤色に溶液が変化する。色が黒赤色になり、最早変化が起こらなくなったときが、反応の終点である。氷を取り除き、室温(25℃)で10〜30分間撹拌した。10〜30分間の撹拌は溶液の色が赤色に変化する限りにおいては充分であり、この反応が起こったことを意味する。必要があれば1〜2時間延長してもよい。インキュベーション後、直ちにポリマー溶液にPhMgBr+CS
2溶液を加えた。
【0028】
得られたPEG−b−CTAの
1H NMRスペクトルを
図1に示す。このポリマー2mgを0.5%のTEA(テトラエチルアンモニウム)を含むテトラヒドロフラン(THF)1mLに溶解したときの、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果を
図2に示す。
【0029】
<製造例2> PEG−b−PCMSブロック共重合体の合成:
連鎖移動剤としてメトキシ−ポリ(エチレングリコール)−S−C(=S)Ph(MW=5,000)を用いるクロロメチルスチレン(CMS)のラジカルテロメリゼーション
によりメトキシ−ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(クロロメチルスチレン)(MeO−PEG−b−PCMS)を合成した。このMeO−PEG−b−PCMSのポリマー主鎖は親水性セグメントとしてのPEGと疎水性セグメントしての反復単位22のPCMSから構成されていることが
1H NMRデータから確認された。要約すると、MeO−PEG−b−CTA(36g)をフリーラジカル開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の240mg及びCMS56mLと混合して高純度トルエン(200mL)に溶解した。この混合物を窒素雰囲気下24時間70℃で撹拌した。
【0030】
得られたPEG−b−PCMSの
1H NMRスペクトルを
図3に示す。このポリマー2mgを0.5%のTEA(テトラエチルアンモニウム)を含むテトラヒドロフラン(THF)1mLに溶解したときの、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果を
図4に示す。
【0031】
<製造例3> PEG−b−PMNTブロック共重合体の合成:
MeO−PEG−b−PCMSブロック共重合体のベンジルクロライドと4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル フリーラジカル(NH
2−TEMPO;東京化学工業株式会社)とのアミノ化反応を介して、MeO−PEG−b−PCMSのCMS基をニトロキシドラジカルに転化した。NH
2−TEMPO修飾の程度は、ほぼ100%であった。要約すると、PEG−b−PCMS(10g)とNH
2−TEMPO(17g=5x eq.)を別々に、ジメチルスルホキシド(DMSO)の50mLに溶解し、1時間撹拌して完全に溶解した。次に、この溶液を撹拌しながら24時間室温で混合して反応させた。ポリマーを、4回冷IPAを用いて沈殿させ、4℃で2分間8800rpmにて遠心した。次に、ポリマーをベンゼンに再溶解し、真空下で24時間凍結乾燥した。
【0032】
得られたPEG−b−PMNTの
1H NMRスペクトルを
図5に示す。このポリマー2mgを0.5%のTEA(テトラエチルアンモニウム)を含むテトラヒドロフラン(THF)1mLに溶解したときの、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果を
図6に示す。
【0033】
<実施例1> t−PA@RNPの調製:
tPA内包レドックス活性型ナノ粒子は、側鎖としてROS脱除部分を保持するカチオン性ジブロック両親媒性共重合体(PEG−b−PMNT)、アニオン性ポリ(アクリル酸)(PAAc)、及びt−PA(田辺三菱製薬株式会社から入手,ab92637)から構成されたポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルの形成を介して調製した。
【0034】
簡潔には、PEG−b−PMNTとPAAcを、それぞれ5mg/mLの濃度でリン酸緩衝溶液(50mM,pH6.2)に溶解した。t−PA内包ニトロオキシドラジカル含有RNPsは、3.5mLのPEG−b−PMNT溶液を、0.5mLのPAAc及び1mg(4mg/mL,0.25mL)のt−PAの混合物に1:1のモル比(r=PEG−PMNTのカチオン性アミン基のモルユニット:PAAcのアニオン性カルボキシル基のモルユニット)にて滴下することにより調製した。t−PA@RNPは30分間撹拌した後自己組織化することにより形成された。
【0035】
・遊離RNP又はRNP(t−PA不含)及びt−PA@RNP(5mg/mL)の物理的性質:
平均粒径(nm)及びζ(ゼータ)電位は、動的光散乱(DLS)技法を用いて測定した。動的光散乱(DLS)の測定結果を
図7に示す。遊離RNP及びt−PA@RNPのDSLの測定結果を
図7示す。
【0036】
<試験例> 光誘起血栓型中大脳動脈閉塞マウスモデルにおけるt−PA@RNPの効果の例証
病巣大脳虚血(focal cerebral ischmia)を、7〜8週齢雄ICRマウス(32〜35g)を用いる光誘起血栓型中大脳動脈閉塞(Photothrombotic Middle Cerebral Artery Occlusion(MCAO))により作製した。イソフルラン(誘導用3%、持続用2〜2.5%)で動物を麻酔し、左側面位で固定した。次いで、耳と目の間の皮膚に1cmの外科的切開を行った。側頭筋を露出、剥離、収縮させた。頭蓋を抹消中大脳動脈(MCA)まで優しく清浄し、骨を通して可視化し、レーザー照射のために標的をマーカーで標識した。ローズベンガル(Rose Bengal)溶液15mg/mLの10μL/kgを腹空内投与し、5分後に10分間532nmグリーンレーザー(300mW)で照射を行った。加熱及び追加の実質損傷を避けるため、レーザー表面に熱吸収フィルター(HAF−50S−50H,Sigma)を加えた。レーザードップラー血流計(Doppler flowmeter)(MCA領域の75〜90%血流低下)により成功裏のMCA閉塞を確認した。操作中ヒーティング毛布で37℃に体温を維持した。全ての実験は、国立大学法人筑波大学の実験用動物の保護及び使用に関するガイドラインに従って行った。
【0037】
中大脳動脈(A,B)及び処置後t−PA@RNPの皮質性の分布(C)のレーザー照射による光誘起血栓型脳梗塞(photothrombotic stroke)作製の概略図を
図8に示す。
【0038】
照射時間に依存するマウス中大脳動脈閉塞の状態を示す図に代わる写真を
図9に示す。
【0039】
マウスMCAOモデル(n=4)のレーザードップラー血流計による血流データのグラフ表示を
図10に示す。ここで、コントロールはローズベンガルが注入されていない群である。
【0040】
マウスMCAOモデルの照射時間による梗塞容積の評価結果のグラフ表示を
図11に示す。
【0041】
この結果は、具体的には次の処置に基づく:
MCAO(n=3)の24時間後にマウスを安楽死させた。迅速に脳を取り出し、10分間氷冷生理食塩水中で冷却し、次いで、冠状の脳切片(1mm)をブレインマトリックス(1505、TEDPELLA,INC.USA)を用いて切り出した。5個の連続するスライスを2%TTC(2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド)(T8877,Sogma−Aldrich,Japan)を用いて染色し、続けて、イメージ ジェイ.インファクト ボリウム(Image J.Infarct volume)の画像処理ソフトウエア―で画像化し、5つのコントロール切片における総梗塞(各2mm前方からブレグマまでの1mm切片)対反対側性半球(contralateral hemisphere)における総梗塞の比率(%梗塞容積)として計算して、脳水腫による梗塞領域の変形の低減について評価した。
【0042】
・処置効果の例証:
MCAOマウスを、MCAO後迅速にt−PA@RNPを、後述する用量で静脈内注入することにより処置した。当該処理の比較として、コントロールを含む、t−PA単独、RNP(t−PA不含)を用いる処置(用量は括弧内に示す。)の結果をそれぞれ次に示す。
【0043】
MCAOマウスに対する、t−PA単独投与群(1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg)の梗塞容積を
図12にグラフ表示し、RNP単独投与群(20mg/kg、50mg/kg)の梗塞容積を
図13にグラフ表示し、t−PA@RNP投与群(5mg/kg t−PA+50mg/kg RNP)の梗塞容積を
図14にグラフ表示し、t−PA@RNP投与群(1mg/kg t−PA+50mg/kg RNP)の梗塞容積を
図15にグラフ表示し、t−PA@RNP投与群(1mg/kg t−PA+20mg/kg RNP)の梗塞容積を
図16にグラフ表示する。
【0044】
図12によると、コントロール群としての生理食塩水投与に比べ、t−PAの1mg/kg投与は処置が何ら効果を持たない梗塞容積を示し、t−PAの5mg/kgと10mg/kgの投与は梗塞容積の有意な低減を示す(P<0.01)。梗塞容積は、脳水腫によるばらつきを抑えるため、5つ冠状切片(各前方2mmからブレグマまでの1mm切片毎)対反対側性半球(contralateral hemisphere)における総梗塞の比率(%梗塞容積)として計算して評価し、データは平均±S.E.M.として提供している(以下、同じ。)。
【0045】
図13では、RNP単独の50mg/kg処置はROSを消去すること(scavenging)により梗塞容積を有意に抑制することができ(P<0.05)、RNPの20mg/kg処置では何ら有意な変化を示さないことが見られる。この結果は、MCAOマウス処置についてRNPの用量応答性を示す。
【0046】
図14では、5mg/kgのt−PAが内包された50mg/kgのRNP(t−PA@RNP)の梗塞容積について表示されており、当該t−PA@RNP処置は5mg/kgのt−PA単独及び50mg/kgのRNP単独に比べ梗塞容積を有意に低減することが見られる(それぞれ、P<0.01)。
【0047】
図15では、MCAOマウス処置について1mg/kgのt−PA内包50mg/kgのRNP(t−PA@RNP)の梗塞容積について表示されており、当該t−PA@RNP処置は1mg/kgのt−PA単独処置に比べて有意に(P<0.01)、また、50mg/kgの遊離RNP処置に比べて有意に(P<0.05)梗塞容積を低減することを示す。
【0048】
図16では、1mg/kgのt−PAが内包された20mg/kgのRNP(t−PA@RNP)のシリンダテストによる梗塞容積について表示されており、1mg/kgのt−PA単独処置及び20mg/kgのRNP処置後には梗塞容積に有意な低減は見られないものの、t−PA@RNP(t−PA 1mg/kg+RNP 20mg/kg)処置は1mg/kgのt−PA単独処置及び20mg/kgのRNP処置に比べそれぞれ有意に梗塞容積を低減することを示す(それぞれ、P<0.05)。
【0049】
以上から、t−PA@RNPはマウスモデルにおける梗塞容積を有意に低減することが明らかである。
【0050】
・t−PA@RNP処置おける神経症候について:
MCAOマウスについてt−PA単独を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候について
図17にグラフ表示する。
【0051】
当該シリンダテストは前肢の非対称性に対する病巣虚血性障害を予測するために日常的に使用されている方法にしたがった。簡潔には、シリンダテストによる肢ドラッグ(引きずり効果)は、背面から四肢状態にもどしたとき、マウスが壁から直接的に離れるよりはむしろ、シリンダーの壁に沿って影響を受けた肢を引きずる動作である。肢ドラッグは、試験期間中の肢の触れる総数当たりの肢を引きずるパーセンテージとして表示される。肢ドラッグ数は影響を受けた前肢について総肢接触数のパーセンテージとしての表示され、データは平均±S.E.M.として表示さる(以下、同じ)。
【0052】
図17の結果は、MCAOマウスに対する、t−PA単独の1mg/kg処置では神経症候は何ら改善されないことを示すが、t−PA単独の5mg/kg及び10mg/kg処置はコントロール群の生理食塩水に比べ有意に神経学的欠損を有意に改善することを示す。
【0053】
同様に、MCAOマウスに対する、t−PA単独(20mg/kg、50mg/kg)、並びにt−PA@RNP(t−PA 5mg/kg+RNP 50mg/kg)、同(t−PA 1mg/kg+RNP 50mg/kg)及び同(t−PA 1mg/kg+RNP 20mg/kg)を用いる用量応答性処置のシリンダテストによる神経症候の結果を、それぞれ
図18、
図19、
図20及び
図21にグラフ表示する。
【0054】
図18では、RNPの50mg/kg処置はコントロール群としての生理食塩水に比べ神経学的な欠損を有意に改善することができるが(P<0.05)、RNPの20mg/kg処置では、有意な改善はみられない。
【0055】
図19では、5mg/kgのt−PAが内包された50mg/kgのRNP(t−PA@RNP)の処置は、コントロール群としての生理食塩水の処置に比べ、シリンダテストによる神経症状を有意に改善することがわかる。
【0056】
図20では、MCAOマウス処置について1mg/kgのt−PAが内包された50mg/kgのRNP(t−PA@RNP)のシリンダテストによる神経症状について表示されており、t−PA単独の50mg/kg処置及びt−PA@RNP処置はコントロール群としての生理食塩水に比べ有意に神経学的な欠損を有意に改善した(P<0.05)。
【0057】
図21では、MCAOマウス処置について1mg/kgのt−PAが内包された20mg/kgのRNP(t−PA@RNP)のシリンダテストによる神経症状について表示されており、1mg/kgのt−PA単独処置及び20mg/kgのt−PA単独処置後には神経学的な欠損に有意な改善は見られないものの、t−PA@RNP処置は1mg/kgのt−PA単独処置及び20mg/kgのt−PA単独処置に比べそれぞれ有意に神経学的な改善が見られる(それぞれ、P<0.05)。
【0058】
以上より、t−PA単独の5mg/kg処置、RNPの50mg/kg処置、及びt−PA@RNP処置はコントロール群としての生理食塩水に比べ神経学的な欠損を有意に改善することがわかる(P<0.05)。
【0059】
・梗塞マウス脳組織の同定:
梗塞マウス脳組織を同定するための組織病理学的染色として、コントロール群を含む、処置動物について前述したように、2%TTC(2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロライド)(T8877,Sogma−Aldrich,Japan)を用いて染色し、続けて、イメージ ジェイ.インファクト ボリウム(Image J.Infarct volume)の画像処理ソフトウエア―で画像化処理した。
【0060】
組織病理学的染色としての2%TTC染色を行った生理食塩水注入処置群の梗塞スライド(n=5)を示す図に代わる写真を
図22に示す。
【0061】
同様に、1mg/kgのt−PA単独処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図23に示し、5mg/kgのt−PA単独処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図24に示し、10mg/kgのt−PA単独処置群についての写真を
図25に示し、50mg/kgのt−PA単独処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図25に示し、50mg/kgのRNP処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真
を
図26に示し、20mg/kgのRNP処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図27に示し、5mg/kgのt−PA内包50mg/kgRNP(t−PA@RNP 5mg/kg 50mg/kg)処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図28に示し、1mg/kgのt−PA内包50mg/kgRNP(t−PA@RNP 1mg/kg 50mg/kg)処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図29に示し、1mg/kgのt−PA内包20mg/kgRNP(t−PA@RNP 1mg/kg 20mg/kg)処置群の梗塞スライド(n=5)についての写真を
図30に示す。
【0062】
これらの写真から、上述の定量結果で示したように、t−PA単独(1mg)やRNP(20mg)では梗塞サイズ減少がほとんど見られないのに対し、t−PA@RNP(1mg/20mg)において有意に高い効果が現われていることがわかる。