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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-18963(P2019-18963A)
(43)【公開日】2019年2月7日
(54)【発明の名称】搬送コンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/06 20060101AFI20190111BHJP
   B65G 21/22 20060101ALI20190111BHJP
【FI】
   B65G17/06 B
   B65G21/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-138845(P2017-138845)
(22)【出願日】2017年7月18日
(11)【特許番号】特許第6403845号(P6403845)
(45)【特許公報発行日】2018年10月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 雅
(72)【発明者】
【氏名】佐野 幸司
【テーマコード(参考)】
3F025
3F034
【Fターム(参考)】
3F025CA14
3F025CA34
3F025CB01
3F025CB09
3F034AA10
3F034CA02
3F034CB03
(57)【要約】
【課題】コンベヤチェーンに異物が噛み込んでコンベヤチェーンが故障するのを防止できる搬送コンベヤを提供すること。
【解決手段】搬送物が載せられるコンベヤチェーン20のスラット23は、コンベヤチェーン20の通路を形成する溝部31aの開放面を覆うように配置される。よって、ボルト、ナット、針金などの異物が、上方から溝部31a内に落下するのが防止される。従って、その落下した異物がコンベヤチェーン20に噛み込まれコンベヤチェーン20が故障するのが防止される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケットと、その一対のスプロケットに掛け渡される環状のコンベヤチェーンとを備え、前記一対のスプロケットの一方を駆動して前記コンベヤチェーンを周回させることで前記一対のスプロケット間において搬送物を搬送する搬送コンベヤにおいて、
前記一対のスプロケット間に延びる溝部を形成し、その溝部の開放面を上向きにして前記一対のスプロケット間に設けられるガイド部材を備え、
前記コンベヤチェーンは、
隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体と、
その一対のチェーン本体間に回転可能に設けられ前記溝部を転動する複数のローラと、
前記搬送物が載せられる板状に形成され、前記複数のローラが前記溝部を転動している状態で前記溝部の開放面を覆うように前記一対のチェーン本体間に掛け渡される複数のスラットとを備えていることを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記ガイド部材の底壁から上方に突設され前記一対のスプロケット間に延び、その上面を前記ローラが転動するレール部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記レール部材の上面に凹設され前記一対のスプロケット間に延び、前記ローラが転動するガイド溝を備えていることを特徴とする請求項2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記ガイド部材の両側壁を挟んで前記溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設され、作業員の足場として構成される板状の足場プレートを備え、
前記スラットは、上下方向において前記ガイド部材との間に隙間を空けつつ、上下方向において前記足場プレートと重畳しないように設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
前記ガイド部材の下方において前記ガイド部材と並行に設けられ、上面を下方に向けて搬送されてくる前記スラットに対し、そのスラットの上面と当接する摺動部材を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の搬送コンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤに関し、特に、異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを防止できる搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送物を搬送する搬送コンベヤとして、スラットコンベヤと呼ばれるタイプのものが知られている。かかるスラットコンベヤに関し、例えば、次の特許文献1には「スラットコンベアの構造は、二条の無限軌道を形成するチェーンを並行に配置して、この二条のチェーン間をスラットで結合したものである。このチェーンは無限軌道の両端に設置された一対のスプロケットの回転によって無限軌道に沿って周回する。一対のスプロケット間にはレールが設置されていて、チェーンはこのレール上を、チェーンローラが転がり接触しながら移動する。したがってスラット上に置かれた長尺材は、このスプロケットの回転によって引張られるチェーンとともに移動する。」と記載されている。
【0003】
一方で、鉄道車両の検修施設では、図5に示すスラットコンベヤ100を使用して、鉄道車両の車軸を搬送していた。図5は、従来のスラットコンベヤ100の断面図である。従来のスラットコンベヤ100は、二条の無限軌道を形成するコンベヤチェーン110が並行に配置されている。コンベヤチェーン110の各々には、パレットPが載せられるスラット111が複数設けられている。尚、図示しない鉄道車両の車軸は、パレットPに載せて搬送される。コンベヤチェーン110は、無限軌道の両端に設置された図示しない一対のスプロケットの回転によって無限軌道に沿って周回する。一対のスプロケット間には、溝部121の開放面を上向きにした溝型鋼120が設けられており、コンベヤチェーン110は、この溝部121をローラ112が転がり接触しながら移動する。従って、スラット111に載せられたパレットPと、鉄道車両の車軸とは、この一対のスプロケットの回転によって引張られるコンベヤチェーン110とともに移動する。尚、溝型鋼120の両側には、支柱130に支持されている足場プレート140が敷設されており、この足場プレート140上に作業員がのって車軸の検修作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―264422号公報(段落0004参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示す従来のスラットコンベヤ100は、スラット111の幅が溝部121の幅よりも小さく、スラット111の端部と溝部121の端部との間に水平方向に隙間Sが形成されていた。そのため、かかる隙間Sからボルト、ナット、針金などの小物品(以下、「異物」と称す)が溝部121内に落ちると、異物がコンベヤチェーン110に噛み込まれ、コンベヤチェーン110の故障の原因となるという問断点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、特に、異物がコンベヤチェーンに噛み込んでコンベヤチェーンが故障するのを防止できる搬送コンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の搬送コンベヤは、搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケットと、その一対のスプロケットに掛け渡される環状のコンベヤチェーンとを備え、前記一対のスプロケットの一方を駆動して前記コンベヤチェーンを周回させることで前記一対のスプロケット間において搬送物を搬送するものであって、前記一対のスプロケット間に延びる溝部を形成し、その溝部の開放面を上向きにして前記一対のスプロケット間に設けられるガイド部材を備え、前記コンベヤチェーンは、隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体と、その一対のチェーン本体間に回転可能に設けられ前記溝部を転動する複数のローラと、前記搬送物が上面に載せられる板状に形成され、前記複数のローラが前記溝部を転動している状態で前記溝部の開放面を覆うように前記一対のチェーン本体間に掛け渡される複数のスラットとを備えていることを特徴とする。
【0008】
前記ガイド部材の底壁には、前記一対のスプロケット間に延び、その上面を前記ローラが転動するレール部材が上方に突設されている。
【0009】
前記レール部材の上面には、前記一対のスプロケット間に延び、前記ローラが転動するガイド溝が凹設されている。
【0010】
作業員の足場として構成される板状の足場プレートが前記ガイド部材の両側壁を挟んで前記溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設されており、前記スラットは上下方向において前記ガイド部材との間に隙間を空けつつ、上下方向において前記足場プレートと重畳しないように設けられている。
【0011】
前記ガイド部材の下方には、上面を下方に向けて搬送されてくる前記スラットに対し、そのスラットの上面と当接する弾性部材が前記ガイド部材と並行に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の搬送コンベヤによれば、次の効果を奏する。一対のスプロケットが搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられている。一対のスプロケットには環状のコンベヤチェーンが掛け渡されている。一対のスプロケット間にはガイド部材が延び、そのガイド部材には、一対のスプロケット間に延びる溝部が形成されている。ガイド部材は、その溝部の開放面が上向きになるように、一対のスプロケット間に設けられている。コンベヤチェーンには、かかる溝部を転動する複数のローラが設けられている。複数のローラは、一対のチェーン本体の間に回転可能に設けられている。具体的に一対のチェーン本体は、隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成され互いの間に所定間隔を空けて配置されている。複数のローラは、かかる一対のチェーン本体の間に回転可能に設けられている。また、一対のチェーン本体の間には、板状に形成され搬送物が載せられるスラットが掛け渡されている。搬送物はスラットに載せられる。スプロケットの一方を駆動すると、複数のローラが溝部を転動しながら一対のスプロケット間を移動し、それに伴ってスラットに載せられた搬送物がスプロケット間を移動する。そして、かかるスラットは、複数のローラが溝部を転動している状態で溝部の開放面を覆うように一対のチェーン本体間に掛け渡されているので、上方からボルト、ナット、針金などの異物が溝部内に落下するのを防止できる。従って、その落下した異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを防止できる。
【0013】
請求項2記載の搬送コンベヤによれば、請求項1に記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。ガイド部材の底壁には、一対のスプロケット間に延び、その上面をローラが転動するレール部材が上方に突設されている。そのため、仮に、異物が溝部内に落下しても、異物はガイド部材の底壁上に落下する。よって、その落下した異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを、より効果的に防止できる。
【0014】
請求項3記載の搬送コンベヤによれば、請求項2に記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。レール部材の上面には、一対のスプロケット間に延び、ローラが転動するガイド溝が凹設されている。そのため、スラット上に搬送物を載せた場合に、その搬送物の左右の重量バランスによってローラの進行方向が左右にズレるのを規制できる。また、ローラの進行方向を規制できるので、ローラの進行方向がズレ、その影響でスラットの端部と、溝部の開放面との間に水平方向の隙間が発生し、その隙間から異物が溝部内に落下するのを防止できる。
【0015】
請求項4記載の搬送コンベヤによれば、請求項1から3のいずれかに記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。スラットと、ガイド部材との間には上下方向において隙間が空けられているので、スラットがガイド部材に接触して、その摩擦によってコンベヤチェーンの周回動作が阻害されるのを抑制できる。よって、コンベヤチェーンを円滑に周回させることができる。また、作業員の足場として構成される板状の足場プレートがガイド部材の両側壁を挟んで溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設されている。スラットは、かかる足場プレートに対して上下方向において重畳しないように設けられている。ここで、足場プレートの縁部は、切断加工した際の影響で、上下に波打つように形成される場合がある。しかし、足場プレートの縁部が上下に波打つように形成されていても、スラットは足場プレートと重畳しないように配置されているので、スラットと、ガイド部材との間に形成される隙間は、足場プレートの縁部の影響を受けない。よって、かかる隙間を確実に確保でき、コンベヤチェーンを円滑に周回させることができる。
【0016】
請求項5記載の搬送コンベヤによれば、請求項1から4のいずれかに記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。ガイド部材の下方には、上面を下方に向けて搬送されてくるスラットに対し、そのスラットの上面と当接する摺動部材がガイド部材と並行に設けられている。そのため、コンベヤチェーンをスムーズに動作することが可能で、コンベヤチェーンに発生する振動を低減でき、コンベヤチェーンが暴れ、コンベヤチェーンがスプロケットから外れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】スラットコンベヤの平面図である。
図2図1のII−II断面線におけるスラットコンベヤの断面図である。
図3】(a)はコンベヤチェーンの側面図、(b)は図3(a)の矢印IIIb方向から視たコンベヤチェーンの底面図、(c)は図3(a)の断面線IIIc−IIIcにおけるコンベヤチェーンの断面図である。
図4図2のIV−IV断面線におけるスラットコンベヤの拡大断面図である。
図5】従来のスラットコンベヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、スラットコンベヤ1の平面図である。図2は、図1のII−II断面線におけるスラットコンベヤ1の断面図である。尚、図1図2では、コンベヤチェーン20については、その一部だけを図示し、他の部分については一点鎖線で図示している。また、搬送物となる鉄道車両の車軸については図示を省略し、その鉄道車両の車軸を載せるパレットPを二点鎖線で図示している。
【0019】
スラットコンベヤ1は、鉄道車両の検修施設において鉄道車両の車軸を搬送するのに使用するものであって、特に、異物がコンベヤチェーン20に噛み込んでコンベヤチェーン20が故障するのを防止できるものである。
【0020】
スラットコンベヤ1は、主に、搬送方向Xに所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケット10,11と、その一対のスプロケット10,11に掛け渡される環状のコンベヤチェーン20と、そのコンベヤチェーン20の通路を形成するガイド部材30とによって構成されている。
【0021】
一対のスプロケット10,11と、コンベヤチェーン20と、ガイド部材30とは、図1に示す通り、並行に2組設けられている。各コンベヤチェーン20にはスラット23が取付けられている。パレットPは、各スラット23に橋渡され、そのパレットPに鉄道車両の車軸(図示せず)が載せられる。その状態で、スプロケット10を駆動させ、一対のスプロケット10,11間においてコンベヤチェーン20を周回させることで、パレットPと、鉄道車両の車軸とが搬送方向Xに搬送される。
【0022】
尚、鉄道車両の検修施設では、図1図2に示すスラットコンベヤ1の上流側に、パレットPと、そのパレットPに載せられた鉄道車両の車軸とを、図1図2に示すスラットコンベヤ1に向けて搬送する搬送装置が更に設けられているが、本実施形態では、その図示と、説明とは省略する。
【0023】
一対のスプロケット10,11は、軸12の回転をコンベヤチェーン20に伝達するものであり、駆動側として機能する1組のスプロケット10,10と、従動側として機能する1組のスプロケット11,11とによって構成されている。
【0024】
1組のスプロケット10,10は、軸12の両端に固定されている。軸12はスラブSL(図2参照)から立設される2本の支柱40の間に、軸受け13を介して回転可能に掛け渡されている。軸12の途中には、スプロケット14が固定されており、このスプロケット14と、モータ50のスプロケット51とには、図示しない環状のチェーンが掛け渡されている。そのため、モータ50を駆動することで、チェーンを介して軸12が回転し、その軸12の両端に固定されているスプロケット10,10を回転させることができる。
【0025】
1組のスプロケット11,11は、軸15に固定されている。軸15はスラブSL(図2参照)から立設される一対の支柱41の間に、軸受け16を介して回転可能に掛け渡されている。そのため、スプロケット10,10を回転させることで、一対のスプロケット10,11に掛け渡されているコンベヤチェーン20を介して、スプロケット11,11を回転させることができる。
【0026】
また、図2に示す通り、一対のスプロケット10,11の他にも、スプロケット11の上流側には、スプロケット17が設けられ、このスプロケット17にもコンベヤチェーン20が噛み合っている。スプロケット17は、コンベヤチェーン20のテンションを調節するものであり、上下動可能に設けられている。
【0027】
即ち、スプロケット17を下方にセットすることでコンベヤチェーン20のテンションが高くなるように調節でき、スプロケット17を上方にセットすることでコンベヤチェーン20のテンションが低くくなるように調節できる。よって、コンベヤチェーン20を適切なテンションに調節でき、コンベヤチェーン20がスプロケット10,11から外れるのを防止できる。
【0028】
コンベヤチェーン20は、一対のスプロケット10,11間を周回して、一対のスプロケット10,11間において、パレットPと、鉄道車両の車軸とを搬送方向Xに搬送するものである。ここで、図3を参照して、コンベヤチェーン20の構成について説明する。図3(a)は、コンベヤチェーン20の側面図、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向から視たコンベヤチェーン20の底面図、図3(c)は、図3(a)の断面線IIIc−IIIcにおけるコンベヤチェーン20の断面図である。尚、図3では、環状に形成されるコンベヤチェーンの一部だけを図示する。
【0029】
コンベヤチェーン20は、隣合う内プレート21aと、外プレート21bとが回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を、互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体21と、その一対のチェーン本体21の間に回転可能に設けられる複数のローラ22と、その複数のローラ22を覆うように一対のチェーン本体21の間に掛け渡されている複数のスラット23とによって構成されている。
【0030】
一対のチェーン本体21の各々は、内プレート21aと、外プレート21bとによって構成され、内プレート21aと、外プレート21bとは、各両端部が重なるように千鳥状に配置されている。一対のチェーン本体21は、内プレート21a同士、外プレート21b同士が互いに対峙するように配置されている。
【0031】
内プレート21aの両端部には、図示しない円筒状のブッシュが固定されており、各ローラ22はブッシュに遊嵌されることにより回転可能に設けられている。外プレート21bの両端部には、ブッシュ内に遊嵌されている連結ピン24の端部が、かしめられている。これにより、内プレート21aと、外プレート21bとが相対的に回動自在となり、全体としてコンベヤチェーン20を屈曲自在に構成できる。
【0032】
ローラ22は、各スプロケット10,11と噛み合った場合に転動すると共に、後述するように、ガイド部材30(第1ガイド部材31)によって形成されるコンベヤチェーン20の通路(溝部31a)を転動するものである。そのため、鉄道車両の車軸のように重量物をスラット23に載せて搬送する場合でも、その重量をローラ22によって受けることができる。よって、コンベヤチェーン20が弛むのが抑制され、円滑にコンベヤチェーン20を周回させることができる。
【0033】
スラット23は、パレットPと、鉄道車両の車軸とを載せる部分であり、板状に形成されている。スラット23は、互いに対峙する一対の内プレート21a間と、互いに対峙する一対の外プレート21b間とに掛け渡されている。そのため、スラット23は、かかる一対の内プレート21a、或いは、一対の外プレート21bと連動して移動することになる。
【0034】
次に、図2図4を参照して、上述したコンベヤチェーン20と、そのコンベヤチェーン20の通路を形成するガイド部材30との関係について説明する。図4は、図2のIV−IV断面線におけるスラットコンベヤ1の拡大断面図である。
【0035】
図2に示す通り、ガイド部材30は、一対のスプロケット10,11間に延び、搬送方向Xに進行するコンベヤチェーン20の通路(往路)を形成する第1ガイド部材31と、その第1ガイド部材31の下方において、第1ガイド部材31と並行に延び、搬送方向Xとは反対方向に進行するコンベヤチェーン20の通路(復路)を形成する第2ガイド部材32とによって構成されている。
【0036】
第1ガイド部材31と第2ガイド部材32との間には、一対のスプロケット10,11間に延びるスペーサ部材33が設けられている。第1ガイド部材31は、スペーサ部材33に支持され、第2ガイド部材32は、スペーサ部材33に連結されている。尚、第2ガイド部材32は、その両端が支柱40と、支柱41とに支持されると共に、その途中がスラブSLから立設される支柱42によって支持されている。
【0037】
また、上述した通り、スプロケット11の上流側には、スプロケット17が上下動可能に設けられている。そのため、スプロケット17の上流側には、コンベヤチェーン20を第2ガイド部材32内から送り出す第3ガイド部材34が設けられている。
【0038】
第3ガイド部材34は、第2ガイド部材32の一端側から斜め下方に向けて突出し、スプロケット17を介して搬送されるコンベヤチェーン20を第2ガイド部材32内から送り出すものである。そのため、スプロケット17の位置によって、コンベヤチェーン20が通過するルートが上下したとしても、そのコンベヤチェーン20を円滑に第2ガイド部材32内から送り出すことができる。
【0039】
図4に示す通り、第1ガイド部材31は、一対のスプロケット10,11間に延びる溝部31aを形成し、その溝部31aの開放面を上向きにして一対のスプロケット10,11間に設けられている。即ち、かかる溝部31aによってコンベヤチェーン20の通路(往路)が形成される。具体的に第1ガイド部材31は、底壁31bと、その底壁31bの両縁から立設される側壁31cとを有する溝型鋼によって構成され、その底壁31bと、側壁31cとに囲まれた空間によって溝部31aが形成され、その溝部31aによってコンベヤチェーン20の通路(往路)が形成される。
【0040】
溝部31aは、その開放面の幅W1がスラット23の幅W2よりも小さく形成されている。換言すれば、スラット23の幅W2は、溝部31aの開放面の幅W1よりも大きく形成されている。即ち、スラット23は、ローラ22が溝部31aを転動している状態で溝部31aの開放面を覆うように構成、配置されている。そのため、上方からボルト、ナット、針金などの異物が溝部31a内に落下するのを防止できる。従って、その落下した異物がコンベヤチェーン20に噛み込まれ、コンベヤチェーン20が故障するのを防止できる。
【0041】
また、溝部31aの内部には、レール部材60が設けられている。レール部材60は、第1ガイド部材31の底壁31bから立設され一対のスプロケット10,11間に延びている。レール部材60の上面には、一対のスプロケット10,11間に延びるガイド溝61が凹設されており、コンベヤチェーン20のローラ22は、ガイド溝61に沿って一対のスプロケット10,11間を転動する。
【0042】
そのため、スラット23に、パレットP(鉄道車両の車軸)を載せた場合に、その左右の重量バランスによってローラ22の進行方向が左右にズレるのを規制できる。また、ローラ22の進行方向を規制できるので、ローラ22の進行方向がズレ、その影響でスラット23の端部と、溝部31aの開放面との間に水平方向の隙間が生じ、その隙間から異物が溝部31a内に落下するのを防止できる。
【0043】
更に、ガイド溝61は、第1ガイド部材31の底壁31bから立設されるレール部材60の上面に凹設されている。そのため、異物がスラット23と、溝部31aとの間に形成される鉛直方向の隙間Sから溝部31a内に落下しても、異物は、第1ガイド部材31の底壁31b上に落下することになる。よって、その落下した異物がコンベヤチェーン20に噛み込まれ、コンベヤチェーン20が故障するのを防止できる。
【0044】
第1ガイド部材31の両側壁31cには、その外面に第1ガイド部材31に沿って延びるL型鋼35が固定され、そのL型鋼35には板状の足場プレート70が固定されている。足場プレート70は、圧延によって表面に連続した滑り止め用の突起(図1参照)が付けられた縞鋼板によって構成されており、検修作業を行う作業員の足場となる。
【0045】
L型鋼35は、足場プレート70の上面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面(溝部31aの開放面)とが、ほぼ同一高さになるように、第1ガイド部材31の両側壁31cに固定されている。一方、スラット23の上面は、足場プレート70の上面(第1ガイド部材31の側壁31cの上面)からの高さHが、約10mm程度の位置になるように設けられ、スラット23の厚みが約5mm程度に形成されている。
【0046】
即ち、スラット23の下面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面との間には、鉛直方向に約5mm程度の隙間Sが形成されている。そのため、スラット23の下面が第1ガイド部材31の側壁31cの上面に接触して、その摩擦によってコンベヤチェーン20の周回動作が阻害されるのを抑制できる。よって、コンベヤチェーン20を円滑に周回させることができる。
【0047】
また、スラット23の上面と、足場プレート70の上面との段差は約10mm程度なので、足場プレート70上で作業する作業員が、その段差による躓きの可能性も低くできる。また、スラット23の幅W2は、約100mm程度なので、作業員はスラット23を簡単に跨くことができ、車軸の検修作業の作業効率を向上できる。
【0048】
更に、スラット23は、足場プレート70と重畳しないように配置されている。換言すれば、スラット23の幅W2は、第1ガイド部材31の両側壁31cの幅と、ほぼ同一に構成されている。足場プレート70の縁部は、切断加工した際の影響で、上下に波打つように形成される場合がある。しかし、仮に、足場プレート70の縁部が上下に波打つように形成されていても、スラット23は、足場プレート70と重畳しないように配置されているので、スラット23の下面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面との間に形成される隙間Sは、足場プレート70の縁部の影響を受けない。よって、かかる隙間Sを確実に確保できる。従って、コンベヤチェーン20を円滑に周回させることができる。
【0049】
一方、第2ガイド部材32は、一対のスプロケット10,11間に延びる溝部32aを形成し、その溝部32aの開放面を上向きにして一対のスプロケット10,11間に設けられている。即ち、かかる溝部32aによってコンベヤチェーン20の通路(復路)が形成される。具体的に第2ガイド部材32は、底壁32bと、その底壁32bの両縁から立設される側壁32cとを有する溝型鋼によって構成され、その底壁32bと、側壁32cとに囲まれた空間によって溝部32aが形成され、その溝部32aによってコンベヤチェーン20の通路(復路)が形成される。
【0050】
溝部32aの内部には、摺動部材62が設けられている。摺動部材62は、第2ガイド部材32の底壁32bから立設され一対のスプロケット10,11間に延びている。摺動部材62は、上面を下方に向けて搬送されてくるスラット23に対し、そのスラット23の上面と当接するように設けられている。そのため、コンベヤチェーン20をスムーズに動作することができるので、コンベヤチェーン20に発生する振動を低減でき、コンベヤチェーン20が暴れ、スプロケット10,11から外れるのを防止できる。
【0051】
このように構成されるガイド部材30(第1ガイド部材31、第2ガイド部材32)に対し、コンベヤチェーン20は、次のように、一対のスプロケット10,11間を周回する。即ち、図2に示す通り、コンベヤチェーン20は、第1ガイド部材31の内部を第1ガイド部材31に沿って搬送方向Xに進行し、スプロケット10によって、その進行方向が搬送方向Xとは反対方向に折り返される。
【0052】
進行方向が折り返されたコンベヤチェーン20は、第2ガイド部材32の内部に進入する。そして、第2ガイド部材32に沿って搬送方向Xとは反対方向に進行し、第3ガイド部材34から送り出され、スプロケット17を介した後、スプロケット11によって、その進行方向が再び搬送方向Xとなるように折り返され、第1ガイド部材31の内部を第1ガイド部材31に沿って搬送方向Xに進行する。
【0053】
コンベヤチェーン20は、このように、ガイド部材30によって形成される通路を周回するので、コンベヤチェーン20のスラット23に載せられたパレットPと、鉄道車両の車軸とを、一対のスプロケット10,11間において搬送方向Xに搬送できる。
【0054】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0055】
上述した実施形態では、コンベヤチェーン20のローラ22をガイド溝61に沿って転動させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、レール部材60の上面にガイド溝61を設けずに、レール部材60の上面を直接、コンベヤチェーン20のローラ22が転動するように構成しても良い。また、レール部材60自体設けず、第1ガイド部材31の底壁31bを直接、コンベヤチェーン20のローラ22が転動するように構成しても良い。更に、ローラ22に溝を凹設し、そのローラ22に凹設された溝に嵌るレールを、レール部材61の上面、または、第1ガイド部材31の底壁31bから突設するようにしても良い。
【0056】
また、上述した実施形態では、一対のスプロケット10,11と、コンベヤチェーン20と、ガイド部材30とを、並行に2組設ける場合について説明したが、これに限定されない、かかる組みは、1組みでも、3組以上であっても良い。
【0057】
更に、上述した実施形態では、第1ガイド部材31を溝型鋼によって構成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ガイド部材31の両側壁31cの先端から内側に屈曲したフランジを設けるようにしても良い。この場合、スラット23は、かかるフランジと上下に重畳するように設ける。このように構成しても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 スラットコンベヤ(搬送コンベヤ)
10,11 スプロケット
20 コンベヤチェーン
21 チェーン本体
21a 内プレート(複数のプレート)
21b 外プレート(複数のプレート)
22 ローラ
23 スラット
31 第1ガイド部材(ガイド部材)
60 レール部材
61 ガイド溝
70 足場プレート
80 摺動部材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2018年8月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケットと、その一対のスプロケットに掛け渡される環状のコンベヤチェーンとを備え、前記一対のスプロケットの一方を駆動して前記コンベヤチェーンを周回させることで前記一対のスプロケット間において搬送物を搬送する搬送コンベヤにおいて、
前記一対のスプロケット間に延びる溝部を形成し、その溝部の開放面を上向きにして前記一対のスプロケット間に設けられるガイド部材と、
前記ガイド部材の底壁から上方に突設され前記一対のスプロケット間に延びるレール部材と、
前記レール部材の上面に凹設され前記一対のスプロケット間に延びるガイド溝とを備え、
前記コンベヤチェーンは、
隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体と、
その一対のチェーン本体間に回転可能に設けられ前記ガイド溝を転動する複数のローラと、
前記搬送物が載せられる板状に形成され、前記複数のローラが前記溝部を転動している状態で前記溝部の開放面を覆うように前記一対のチェーン本体間に掛け渡される複数のスラットとを備えていることを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記ガイド部材の両側壁を挟んで前記溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設され、作業員の足場として構成される板状の足場プレートを備え、
前記スラットは、上下方向において前記ガイド部材との間に隙間を空けつつ、上下方向において前記足場プレートと重畳しないように設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記ガイド部材の下方において前記ガイド部材と並行に設けられ、上面を下方に向けて搬送されてくる前記スラットに対し、そのスラットの上面と当接する摺動部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送コンベヤ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤに関し、特に、異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを防止できる搬送コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送物を搬送する搬送コンベヤとして、スラットコンベヤと呼ばれるタイプのものが知られている。かかるスラットコンベヤに関し、例えば、次の特許文献1には「スラットコンベアの構造は、二条の無限軌道を形成するチェーンを並行に配置して、この二条のチェーン間をスラットで結合したものである。このチェーンは無限軌道の両端に設置された一対のスプロケットの回転によって無限軌道に沿って周回する。一対のスプロケット間にはレールが設置されていて、チェーンはこのレール上を、チェーンローラが転がり接触しながら移動する。したがってスラット上に置かれた長尺材は、このスプロケットの回転によって引張られるチェーンとともに移動する。」と記載されている。
【0003】
一方で、鉄道車両の検修施設では、図5に示すスラットコンベヤ100を使用して、鉄道車両の車軸を搬送していた。図5は、従来のスラットコンベヤ100の断面図である。従来のスラットコンベヤ100は、二条の無限軌道を形成するコンベヤチェーン110が並行に配置されている。コンベヤチェーン110の各々には、パレットPが載せられるスラット111が複数設けられている。尚、図示しない鉄道車両の車軸は、パレットPに載せて搬送される。コンベヤチェーン110は、無限軌道の両端に設置された図示しない一対のスプロケットの回転によって無限軌道に沿って周回する。一対のスプロケット間には、溝部121の開放面を上向きにした溝型鋼120が設けられており、コンベヤチェーン110は、この溝部121をローラ112が転がり接触しながら移動する。従って、スラット111に載せられたパレットPと、鉄道車両の車軸とは、この一対のスプロケットの回転によって引張られるコンベヤチェーン110とともに移動する。尚、溝型鋼120の両側には、支柱130に支持されている足場プレート140が敷設されており、この足場プレート140上に作業員がのって車軸の検修作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000―264422号公報(段落0004参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示す従来のスラットコンベヤ100は、スラット111の幅が溝部121の幅よりも小さく、スラット111の端部と溝部121の端部との間に水平方向に隙間Sが形成されていた。そのため、かかる隙間Sからボルト、ナット、針金などの小物品(以下、「異物」と称す)が溝部121内に落ちると、異物がコンベヤチェーン110に噛み込まれ、コンベヤチェーン110の故障の原因となるという問断点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、特に、異物がコンベヤチェーンに噛み込んでコンベヤチェーンが故障するのを防止できる搬送コンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の搬送コンベヤは、搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケットと、その一対のスプロケットに掛け渡される環状のコンベヤチェーンとを備え、前記一対のスプロケットの一方を駆動して前記コンベヤチェーンを周回させることで前記一対のスプロケット間において搬送物を搬送するものであって、前記一対のスプロケット間に延びる溝部を形成し、その溝部の開放面を上向きにして前記一対のスプロケット間に設けられるガイド部材を備え、前記コンベヤチェーンは、隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体と、その一対のチェーン本体間に回転可能に設けられ前記溝部を転動する複数のローラと、前記搬送物が上面に載せられる板状に形成され、前記複数のローラが前記溝部を転動している状態で前記溝部の開放面を覆うように前記一対のチェーン本体間に掛け渡される複数のスラットとを備えていることを特徴とする。
【0008】
前記ガイド部材の底壁には、前記一対のスプロケット間に延び、その上面を前記ローラが転動するレール部材が上方に突設されている。
【0009】
前記レール部材の上面には、前記一対のスプロケット間に延び、前記ローラが転動するガイド溝が凹設されている。
【0010】
作業員の足場として構成される板状の足場プレートが前記ガイド部材の両側壁を挟んで前記溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設されており、前記スラットは上下方向において前記ガイド部材との間に隙間を空けつつ、上下方向において前記足場プレートと重畳しないように設けられている。
【0011】
前記ガイド部材の下方には、上面を下方に向けて搬送されてくる前記スラットに対し、そのスラットの上面と当接する弾性部材が前記ガイド部材と並行に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の搬送コンベヤによれば、次の効果を奏する。一対のスプロケットが搬送物の搬送方向に所定間隔を空けて設けられている。一対のスプロケットには環状のコンベヤチェーンが掛け渡されている。一対のスプロケット間にはガイド部材が延び、そのガイド部材には、一対のスプロケット間に延びる溝部が形成されている。ガイド部材は、その溝部の開放面が上向きになるように、一対のスプロケット間に設けられている。コンベヤチェーンには、かかる溝部を転動する複数のローラが設けられている。複数のローラは、一対のチェーン本体の間に回転可能に設けられている。具体的に一対のチェーン本体は、隣合うプレート同士が回転可能に連結され環状に形成され互いの間に所定間隔を空けて配置されている。複数のローラは、かかる一対のチェーン本体の間に回転可能に設けられている。また、一対のチェーン本体の間には、板状に形成され搬送物が載せられるスラットが掛け渡されている。搬送物はスラットに載せられる。スプロケットの一方を駆動すると、複数のローラが溝部を転動しながら一対のスプロケット間を移動し、それに伴ってスラットに載せられた搬送物がスプロケット間を移動する。そして、かかるスラットは、複数のローラが溝部を転動している状態で溝部の開放面を覆うように一対のチェーン本体間に掛け渡されているので、上方からボルト、ナット、針金などの異物が溝部内に落下するのを防止できる。従って、その落下した異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを防止できる。
また、ガイド部材の底壁には、一対のスプロケット間に延び、その上面をローラが転動するレール部材が上方に突設されている。そのため、仮に、異物が溝部内に落下しても、異物はガイド部材の底壁上に落下する。よって、その落下した異物がコンベヤチェーンに噛み込まれ、コンベヤチェーンが故障するのを、より効果的に防止できる。
また、レール部材の上面には、一対のスプロケット間に延び、ローラが転動するガイド溝が凹設されている。そのため、スラット上に搬送物を載せた場合に、その搬送物の左右の重量バランスによってローラの進行方向が左右にズレるのを規制できる。また、ローラの進行方向を規制できるので、ローラの進行方向がズレ、その影響でスラットの端部と、溝部の開放面との間に水平方向の隙間が発生し、その隙間から異物が溝部内に落下するのを防止できる。
【0013】
【0014】
【0015】
請求項記載の搬送コンベヤによれば、請求項1記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。スラットと、ガイド部材との間には上下方向において隙間が空けられているので、スラットがガイド部材に接触して、その摩擦によってコンベヤチェーンの周回動作が阻害されるのを抑制できる。よって、コンベヤチェーンを円滑に周回させることができる。また、作業員の足場として構成される板状の足場プレートがガイド部材の両側壁を挟んで溝部の開放面と同じ高さ、または、それよりも下方に敷設されている。スラットは、かかる足場プレートに対して上下方向において重畳しないように設けられている。ここで、足場プレートの縁部は、切断加工した際の影響で、上下に波打つように形成される場合がある。しかし、足場プレートの縁部が上下に波打つように形成されていても、スラットは足場プレートと重畳しないように配置されているので、スラットと、ガイド部材との間に形成される隙間は、足場プレートの縁部の影響を受けない。よって、かかる隙間を確実に確保でき、コンベヤチェーンを円滑に周回させることができる。
【0016】
請求項記載の搬送コンベヤによれば、請求項1又は2に記載の搬送コンベヤが奏する効果に加え、次の効果を奏する。ガイド部材の下方には、上面を下方に向けて搬送されてくるスラットに対し、そのスラットの上面と当接する摺動部材がガイド部材と並行に設けられている。そのため、コンベヤチェーンをスムーズに動作することが可能で、コンベヤチェーンに発生する振動を低減でき、コンベヤチェーンが暴れ、コンベヤチェーンがスプロケットから外れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】スラットコンベヤの平面図である。
図2図1のII−II断面線におけるスラットコンベヤの断面図である。
図3】(a)はコンベヤチェーンの側面図、(b)は図3(a)の矢印IIIb方向から視たコンベヤチェーンの底面図、(c)は図3(a)の断面線IIIc−IIIcにおけるコンベヤチェーンの断面図である。
図4図2のIV−IV断面線におけるスラットコンベヤの拡大断面図である。
図5】従来のスラットコンベヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、スラットコンベヤ1の平面図である。図2は、図1のII−II断面線におけるスラットコンベヤ1の断面図である。尚、図1図2では、コンベヤチェーン20については、その一部だけを図示し、他の部分については一点鎖線で図示している。また、搬送物となる鉄道車両の車軸については図示を省略し、その鉄道車両の車軸を載せるパレットPを二点鎖線で図示している。
【0019】
スラットコンベヤ1は、鉄道車両の検修施設において鉄道車両の車軸を搬送するのに使用するものであって、特に、異物がコンベヤチェーン20に噛み込んでコンベヤチェーン20が故障するのを防止できるものである。
【0020】
スラットコンベヤ1は、主に、搬送方向Xに所定間隔を空けて設けられる一対のスプロケット10,11と、その一対のスプロケット10,11に掛け渡される環状のコンベヤチェーン20と、そのコンベヤチェーン20の通路を形成するガイド部材30とによって構成されている。
【0021】
一対のスプロケット10,11と、コンベヤチェーン20と、ガイド部材30とは、図1に示す通り、並行に2組設けられている。各コンベヤチェーン20にはスラット23が取付けられている。パレットPは、各スラット23に橋渡され、そのパレットPに鉄道車両の車軸(図示せず)が載せられる。その状態で、スプロケット10を駆動させ、一対のスプロケット10,11間においてコンベヤチェーン20を周回させることで、パレットPと、鉄道車両の車軸とが搬送方向Xに搬送される。
【0022】
尚、鉄道車両の検修施設では、図1図2に示すスラットコンベヤ1の上流側に、パレットPと、そのパレットPに載せられた鉄道車両の車軸とを、図1図2に示すスラットコンベヤ1に向けて搬送する搬送装置が更に設けられているが、本実施形態では、その図示と、説明とは省略する。
【0023】
一対のスプロケット10,11は、軸12の回転をコンベヤチェーン20に伝達するものであり、駆動側として機能する1組のスプロケット10,10と、従動側として機能する1組のスプロケット11,11とによって構成されている。
【0024】
1組のスプロケット10,10は、軸12の両端に固定されている。軸12はスラブSL(図2参照)から立設される2本の支柱40の間に、軸受け13を介して回転可能に掛け渡されている。軸12の途中には、スプロケット14が固定されており、このスプロケット14と、モータ50のスプロケット51とには、図示しない環状のチェーンが掛け渡されている。そのため、モータ50を駆動することで、チェーンを介して軸12が回転し、その軸12の両端に固定されているスプロケット10,10を回転させることができる。
【0025】
1組のスプロケット11,11は、軸15に固定されている。軸15はスラブSL(図2参照)から立設される一対の支柱41の間に、軸受け16を介して回転可能に掛け渡されている。そのため、スプロケット10,10を回転させることで、一対のスプロケット10,11に掛け渡されているコンベヤチェーン20を介して、スプロケット11,11を回転させることができる。
【0026】
また、図2に示す通り、一対のスプロケット10,11の他にも、スプロケット11の上流側には、スプロケット17が設けられ、このスプロケット17にもコンベヤチェーン20が噛み合っている。スプロケット17は、コンベヤチェーン20のテンションを調節するものであり、上下動可能に設けられている。
【0027】
即ち、スプロケット17を下方にセットすることでコンベヤチェーン20のテンションが高くなるように調節でき、スプロケット17を上方にセットすることでコンベヤチェーン20のテンションが低くくなるように調節できる。よって、コンベヤチェーン20を適切なテンションに調節でき、コンベヤチェーン20がスプロケット10,11から外れるのを防止できる。
【0028】
コンベヤチェーン20は、一対のスプロケット10,11間を周回して、一対のスプロケット10,11間において、パレットPと、鉄道車両の車軸とを搬送方向Xに搬送するものである。ここで、図3を参照して、コンベヤチェーン20の構成について説明する。図3(a)は、コンベヤチェーン20の側面図、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向から視たコンベヤチェーン20の底面図、図3(c)は、図3(a)の断面線IIIc−IIIcにおけるコンベヤチェーン20の断面図である。尚、図3では、環状に形成されるコンベヤチェーンの一部だけを図示する。
【0029】
コンベヤチェーン20は、隣合う内プレート21aと、外プレート21bとが回転可能に連結され環状に形成される2本のチェーン本体を、互いの間に所定間隔を空けて配置される一対のチェーン本体21と、その一対のチェーン本体21の間に回転可能に設けられる複数のローラ22と、その複数のローラ22を覆うように一対のチェーン本体21の間に掛け渡されている複数のスラット23とによって構成されている。
【0030】
一対のチェーン本体21の各々は、内プレート21aと、外プレート21bとによって構成され、内プレート21aと、外プレート21bとは、各両端部が重なるように千鳥状に配置されている。一対のチェーン本体21は、内プレート21a同士、外プレート21b同士が互いに対峙するように配置されている。
【0031】
内プレート21aの両端部には、図示しない円筒状のブッシュが固定されており、各ローラ22はブッシュに遊嵌されることにより回転可能に設けられている。外プレート21bの両端部には、ブッシュ内に遊嵌されている連結ピン24の端部が、かしめられている。これにより、内プレート21aと、外プレート21bとが相対的に回動自在となり、全体としてコンベヤチェーン20を屈曲自在に構成できる。
【0032】
ローラ22は、各スプロケット10,11と噛み合った場合に転動すると共に、後述するように、ガイド部材30(第1ガイド部材31)によって形成されるコンベヤチェーン20の通路(溝部31a)を転動するものである。そのため、鉄道車両の車軸のように重量物をスラット23に載せて搬送する場合でも、その重量をローラ22によって受けることができる。よって、コンベヤチェーン20が弛むのが抑制され、円滑にコンベヤチェーン20を周回させることができる。
【0033】
スラット23は、パレットPと、鉄道車両の車軸とを載せる部分であり、板状に形成されている。スラット23は、互いに対峙する一対の内プレート21a間と、互いに対峙する一対の外プレート21b間とに掛け渡されている。そのため、スラット23は、かかる一対の内プレート21a、或いは、一対の外プレート21bと連動して移動することになる。
【0034】
次に、図2図4を参照して、上述したコンベヤチェーン20と、そのコンベヤチェーン20の通路を形成するガイド部材30との関係について説明する。図4は、図2のIV−IV断面線におけるスラットコンベヤ1の拡大断面図である。
【0035】
図2に示す通り、ガイド部材30は、一対のスプロケット10,11間に延び、搬送方向Xに進行するコンベヤチェーン20の通路(往路)を形成する第1ガイド部材31と、その第1ガイド部材31の下方において、第1ガイド部材31と並行に延び、搬送方向Xとは反対方向に進行するコンベヤチェーン20の通路(復路)を形成する第2ガイド部材32とによって構成されている。
【0036】
第1ガイド部材31と第2ガイド部材32との間には、一対のスプロケット10,11間に延びるスペーサ部材33が設けられている。第1ガイド部材31は、スペーサ部材33に支持され、第2ガイド部材32は、スペーサ部材33に連結されている。尚、第2ガイド部材32は、その両端が支柱40と、支柱41とに支持されると共に、その途中がスラブSLから立設される支柱42によって支持されている。
【0037】
また、上述した通り、スプロケット11の上流側には、スプロケット17が上下動可能に設けられている。そのため、スプロケット17の上流側には、コンベヤチェーン20を第2ガイド部材32内から送り出す第3ガイド部材34が設けられている。
【0038】
第3ガイド部材34は、第2ガイド部材32の一端側から斜め下方に向けて突出し、スプロケット17を介して搬送されるコンベヤチェーン20を第2ガイド部材32内から送り出すものである。そのため、スプロケット17の位置によって、コンベヤチェーン20が通過するルートが上下したとしても、そのコンベヤチェーン20を円滑に第2ガイド部材32内から送り出すことができる。
【0039】
図4に示す通り、第1ガイド部材31は、一対のスプロケット10,11間に延びる溝部31aを形成し、その溝部31aの開放面を上向きにして一対のスプロケット10,11間に設けられている。即ち、かかる溝部31aによってコンベヤチェーン20の通路(往路)が形成される。具体的に第1ガイド部材31は、底壁31bと、その底壁31bの両縁から立設される側壁31cとを有する溝型鋼によって構成され、その底壁31bと、側壁31cとに囲まれた空間によって溝部31aが形成され、その溝部31aによってコンベヤチェーン20の通路(往路)が形成される。
【0040】
溝部31aは、その開放面の幅W1がスラット23の幅W2よりも小さく形成されている。換言すれば、スラット23の幅W2は、溝部31aの開放面の幅W1よりも大きく形成されている。即ち、スラット23は、ローラ22が溝部31aを転動している状態で溝部31aの開放面を覆うように構成、配置されている。そのため、上方からボルト、ナット、針金などの異物が溝部31a内に落下するのを防止できる。従って、その落下した異物がコンベヤチェーン20に噛み込まれ、コンベヤチェーン20が故障するのを防止できる。
【0041】
また、溝部31aの内部には、レール部材60が設けられている。レール部材60は、第1ガイド部材31の底壁31bから立設され一対のスプロケット10,11間に延びている。レール部材60の上面には、一対のスプロケット10,11間に延びるガイド溝61が凹設されており、コンベヤチェーン20のローラ22は、ガイド溝61に沿って一対のスプロケット10,11間を転動する。
【0042】
そのため、スラット23に、パレットP(鉄道車両の車軸)を載せた場合に、その左右の重量バランスによってローラ22の進行方向が左右にズレるのを規制できる。また、ローラ22の進行方向を規制できるので、ローラ22の進行方向がズレ、その影響でスラット23の端部と、溝部31aの開放面との間に水平方向の隙間が生じ、その隙間から異物が溝部31a内に落下するのを防止できる。
【0043】
更に、ガイド溝61は、第1ガイド部材31の底壁31bから立設されるレール部材60の上面に凹設されている。そのため、異物がスラット23と、溝部31aとの間に形成される鉛直方向の隙間Sから溝部31a内に落下しても、異物は、第1ガイド部材31の底壁31b上に落下することになる。よって、その落下した異物がコンベヤチェーン20に噛み込まれ、コンベヤチェーン20が故障するのを防止できる。
【0044】
第1ガイド部材31の両側壁31cには、その外面に第1ガイド部材31に沿って延びるL型鋼35が固定され、そのL型鋼35には板状の足場プレート70が固定されている。足場プレート70は、圧延によって表面に連続した滑り止め用の突起(図1参照)が付けられた縞鋼板によって構成されており、検修作業を行う作業員の足場となる。
【0045】
L型鋼35は、足場プレート70の上面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面(溝部31aの開放面)とが、ほぼ同一高さになるように、第1ガイド部材31の両側壁31cに固定されている。一方、スラット23の上面は、足場プレート70の上面(第1ガイド部材31の側壁31cの上面)からの高さHが、約10mm程度の位置になるように設けられ、スラット23の厚みが約5mm程度に形成されている。
【0046】
即ち、スラット23の下面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面との間には、鉛直方向に約5mm程度の隙間Sが形成されている。そのため、スラット23の下面が第1ガイド部材31の側壁31cの上面に接触して、その摩擦によってコンベヤチェーン20の周回動作が阻害されるのを抑制できる。よって、コンベヤチェーン20を円滑に周回させることができる。
【0047】
また、スラット23の上面と、足場プレート70の上面との段差は約10mm程度なので、足場プレート70上で作業する作業員が、その段差による躓きの可能性も低くできる。また、スラット23の幅W2は、約100mm程度なので、作業員はスラット23を簡単に跨くことができ、車軸の検修作業の作業効率を向上できる。
【0048】
更に、スラット23は、足場プレート70と重畳しないように配置されている。換言すれば、スラット23の幅W2は、第1ガイド部材31の両側壁31cの幅と、ほぼ同一に構成されている。足場プレート70の縁部は、切断加工した際の影響で、上下に波打つように形成される場合がある。しかし、仮に、足場プレート70の縁部が上下に波打つように形成されていても、スラット23は、足場プレート70と重畳しないように配置されているので、スラット23の下面と、第1ガイド部材31の側壁31cの上面との間に形成される隙間Sは、足場プレート70の縁部の影響を受けない。よって、かかる隙間Sを確実に確保できる。従って、コンベヤチェーン20を円滑に周回させることができる。
【0049】
一方、第2ガイド部材32は、一対のスプロケット10,11間に延びる溝部32aを形成し、その溝部32aの開放面を上向きにして一対のスプロケット10,11間に設けられている。即ち、かかる溝部32aによってコンベヤチェーン20の通路(復路)が形成される。具体的に第2ガイド部材32は、底壁32bと、その底壁32bの両縁から立設される側壁32cとを有する溝型鋼によって構成され、その底壁32bと、側壁32cとに囲まれた空間によって溝部32aが形成され、その溝部32aによってコンベヤチェーン20の通路(復路)が形成される。
【0050】
溝部32aの内部には、摺動部材62が設けられている。摺動部材62は、第2ガイド部材32の底壁32bから立設され一対のスプロケット10,11間に延びている。摺動部材62は、上面を下方に向けて搬送されてくるスラット23に対し、そのスラット23の上面と当接するように設けられている。そのため、コンベヤチェーン20をスムーズに動作することができるので、コンベヤチェーン20に発生する振動を低減でき、コンベヤチェーン20が暴れ、スプロケット10,11から外れるのを防止できる。
【0051】
このように構成されるガイド部材30(第1ガイド部材31、第2ガイド部材32)に対し、コンベヤチェーン20は、次のように、一対のスプロケット10,11間を周回する。即ち、図2に示す通り、コンベヤチェーン20は、第1ガイド部材31の内部を第1ガイド部材31に沿って搬送方向Xに進行し、スプロケット10によって、その進行方向が搬送方向Xとは反対方向に折り返される。
【0052】
進行方向が折り返されたコンベヤチェーン20は、第2ガイド部材32の内部に進入する。そして、第2ガイド部材32に沿って搬送方向Xとは反対方向に進行し、第3ガイド部材34から送り出され、スプロケット17を介した後、スプロケット11によって、その進行方向が再び搬送方向Xとなるように折り返され、第1ガイド部材31の内部を第1ガイド部材31に沿って搬送方向Xに進行する。
【0053】
コンベヤチェーン20は、このように、ガイド部材30によって形成される通路を周回するので、コンベヤチェーン20のスラット23に載せられたパレットPと、鉄道車両の車軸とを、一対のスプロケット10,11間において搬送方向Xに搬送できる。
【0054】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0055】
上述した実施形態では、コンベヤチェーン20のローラ22をガイド溝61に沿って転動させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、レール部材60の上面にガイド溝61を設けずに、レール部材60の上面を直接、コンベヤチェーン20のローラ22が転動するように構成しても良い。また、レール部材60自体設けず、第1ガイド部材31の底壁31bを直接、コンベヤチェーン20のローラ22が転動するように構成しても良い。更に、ローラ22に溝を凹設し、そのローラ22に凹設された溝に嵌るレールを、レール部材61の上面、または、第1ガイド部材31の底壁31bから突設するようにしても良い。
【0056】
また、上述した実施形態では、一対のスプロケット10,11と、コンベヤチェーン20と、ガイド部材30とを、並行に2組設ける場合について説明したが、これに限定されない、かかる組みは、1組みでも、3組以上であっても良い。
【0057】
更に、上述した実施形態では、第1ガイド部材31を溝型鋼によって構成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1ガイド部材31の両側壁31cの先端から内側に屈曲したフランジを設けるようにしても良い。この場合、スラット23は、かかるフランジと上下に重畳するように設ける。このように構成しても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 スラットコンベヤ(搬送コンベヤ)
10,11 スプロケット
20 コンベヤチェーン
21 チェーン本体
21a 内プレート(複数のプレート)
21b 外プレート(複数のプレート)
22 ローラ
23 スラット
31 第1ガイド部材(ガイド部材)
60 レール部材
61 ガイド溝
70 足場プレート
80 摺動部材