(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-18971(P2019-18971A)
(43)【公開日】2019年2月7日
(54)【発明の名称】蛇行修正システム
(51)【国際特許分類】
B65H 23/038 20060101AFI20190111BHJP
【FI】
B65H23/038
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-139918(P2017-139918)
(22)【出願日】2017年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】508171228
【氏名又は名称】株式会社エリアデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 美智雄
【テーマコード(参考)】
3F104
【Fターム(参考)】
3F104AA01
3F104AA03
3F104AA05
3F104CA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】極薄のワークや、柔らかいワークに対応可能であり、また遅い搬送スピードにも対応可能な蛇行修正システムを提供する。
【解決手段】一方向に連続して流れるシート状のワーク2を挟持する一対のローラ3,4を少なくとも具備する蛇行修正システムにおいて、一対のローラ3,4のそれぞれが、弾性材料によって形成されること、それぞれのローラの両端31a,31b,41a,41bが、それぞれ独立してワーク方向に向かって移動可能であること、それぞれのローラ3,4の両端31a,31b,41a,41bを、ワーク方向に向かって適宜移動させることによって、一対のローラ3,4とワーク2との接触面7を、ワーク2の移動方向に垂直な方向において変化させることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に連続して流れるシート状のワークを挟持する一対のローラを少なくとも具備する蛇行修正システムにおいて、
前記一対のローラのそれぞれは、弾性材料によって形成されること、
それぞれのローラの両端は、それぞれ独立してワーク方向に向かって移動可能であること、
それぞれのローラの両端を、ワーク方向に向かって適宜移動させることによって、前記一対のローラと前記ワークとの接触面を、前記ワークの移動方向に垂直な方向において変化させることを特徴とする蛇行修正システム。
【請求項2】
前記一対のローラは、前記ワークを移動させる力を付与する駆動ローラであることを特徴とする請求項1記載の蛇行修正システム。
【請求項3】
前記一対のローラは、前記ワークを移動させる力を付与する駆動ローラの上流側に配置されるフリーローラであることを特徴とする請求項1記載の蛇行修正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行修正システム、例えば紙、樹脂、金属等の特に薄いシート状(帯状)のワークを搬送する場合のワークの蛇行を修正するのに適した蛇行修正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平5−147792号公報)は、永久ひずみを残すことなくシートの蛇行を修正することができる修正装置を提供することを目的としたシート材蛇行修正装置を提供するもので、この修正装置は、外周面がシート材の一面に当接する円筒乃至円柱状の第1ロールと、クラウン付外周面がシート材の他面に当接する第2ロールと、第1及び第2のロールの下流側においてシート材の位置を検出する検出部とを備え、検出したシート剤の位置に基づいて、揺動手段にて第2ロールを揺動させてシート材当接部を移動させ、シート材の走行方向を修正するものである。また、特許文献1に開示されているように、薄肉の紙、柔らかいプラスチックシート等のシート材の製造工程等において、シート材をその長手方向に沿って走行させた場合に、このシート材が蛇行すれば側方へ離脱(サイドアウト)する虞があり、また走行途中で左右の位置が要求される場合がある。従来の蛇行修正装置では、シート側端縁に沿ってガイドロールを配設し、このガイドロールにて側端縁を案内し、シート材の蛇行を修正するものであるが、この場合、側端縁が押圧され、その押圧によりシート材に皺が形成され、一対のガイドローラにて挟持する場合であっても、同様にシート材に皺が形成される。特許文献1に開示される発明では、揺動手段によって第2ロールを揺動させてシート材当接部を、第1ロールの軸心と略平行な方向(シート材の幅方向)に沿って移動させることによって当接部の対応部の走行が遅れ、移動した方向へシート材が曲がっていくようにしたものである。
【0003】
特許文献2(特開平8−53245号公報)は、出力発生装置が不要で、悪い環境下で稼働させても故障が少なく、比較的に安価で、応答性の良いシート状体の蛇行修正装置を提供する。この蛇行修正装置は、シート状態の側縁に接触して回動する左右の検知ローラ、該検知ローラの回転を伝える回転軸及び検知ローラ間に設けた暗々ローラで蛇行検知ローラを構成し、左又は右の回転軸の回転を歯車、送りねじ棒等の伝動手段を介して蛇行修正ローラの左又は右の回転軸の回転を歯車等の伝動手段で回転方向に変えて同様に蛇行修正ローラの右又は左の操作部に伝え、蛇行修正ローラも両端部を互いに反対の方向に移動させて、蛇行修正ローラの回転軸線のシート状体の進行方向に対する角度を調整できるようにしたものである。このように、特許文献2に開示される蛇行修正装置では、左右の検知ローラの回転力の違いによって蛇行修正ローラの傾斜角度を変動でき、ストレートラインから逸脱した流れを修正することができるものである。
【0004】
特許文献3(特開2000−38244号公報)は、蛇行修正動作に伴うシート材送り速度の変化を抑え、さらには、その際にシート材の波の発生をも押さえるシート材の蛇行修正装置を提供する。この蛇行修正装置は、シート材をS字状にかけるべく、一定の軸角度θを与えられた二本の蛇行修正ローラを平行に且つ回転可能に支持し、蛇行修正動作に際して各蛇行修正ローラに、シート材の走行路の長さをほぼ一定に保ちつつ両蛇行修正ローラの軸間隔を変化させる軸間調整手段を設けたものである。また、蛇行修正動作中におけるシート材の波高を検出する波高センサーを設け、この波高センサーの出力として得られた波高が、設定された波高を超えた場合には、蛇行修正動作を停止させて、波の発生を防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−147792号公報
【特許文献2】特開平8−53245号公報
【特許文献3】特開2000−38244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、蛇行修正装置では、ワークの流れの中で蛇行修正ローラをワークを向けたい進行方向に向けること、いわゆる流れ方向に対して角度をつけるように傾けることで、ストレートラインから逸脱した流れを修正するものであるが、ワークの搬送スピードは、ワークの材質、ワークへの処理の内容に対応して設定されるもので、特にめっき装置に利用される場合には、搬送スピードが遅いため、蛇行修正機能部と位置検出センサーとの距離によるタイムラに起因する不具合が生じる。また、ワーク素材が極端に薄い場合若しくは柔らかな素材の場合には、修正機能部の動作がワーク素材の皺や伸びによって吸収されて機能しない場合又はかなりの時間が経過しないと機能しなくなるという不具合が生じ、さらにジクザグ搬送などの不具合が生じるものである。また、ワーク素材が硬い場合には、皺にならないかわりに左右どちらかにたるみ、たわみが生じ、それが修正ポイントや位置センサー部から遠くの場所に現れ、どの位置が蛇行を生じる原因となるのかが判断できなくなるという不具合が生じる。
【0007】
また、これまでの蛇行制御では、シリンダー、アクチュエータ等の機器にて、ローラの向きや傾きを変えることで行っているため、ワークとローラ間にスリップが斜め方向に発生し、傷を生む可能性を含んでいる。
【0008】
したがって、本発明は、極薄のワークや、柔らかいワークに対応可能であり、また遅い搬送スピードにも対応可能な蛇行修正システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したように、蛇行修正するためには、一方向に連続して流れるシート状のワークが、流れ方向に対してずれてきた場合、それを戻す方向にワークを付勢する必要がある。
【0010】
このため、本発明は、一方向に連続して流れるシート状のワークを挟持する一対のローラを少なくとも具備する蛇行修正システムにおいて、前記一対のローラのそれぞれは、弾性材料によって形成されること、それぞれのローラの両端は、それぞれ独立してワーク方向に向かって移動可能であること、それぞれのローラの両端を、ワーク方向に向かって適宜移動させることによって、前記一対のローラと前記ワークとの接触面を、前記ワークの移動方向に垂直な方向において変化させることにある。尚、ローラを形成するための弾性材料としては、合成樹脂、ゴム、スポンジ、シリコン等の伸縮自在な材料が好ましい。
【0011】
以上の構成により、本発明によれば、シート状のワークが正常な移動方向(以下、基準方向という。)に移動している場合には、弾性材料によって形成されたローラをシート状のワークに対して均等に押しつけるので、ローラとシート状のワークとの接触面形状は長方形形状となり、前記ローラによってワークにかかる付勢ラインは、前記基準方向と垂直となるため、ワークにかかる力のベクトルは、前記基準方向と同一方向となることから、シート状のワークは基準方向に維持される。
【0012】
これに対して、シート状のワークが蛇行する場合、ワークの移動方向は、ワークの基準方向に対して傾斜する。この場合、ワークを挟持する一対のローラの一方の端部をお互いに接近させる方向に移動させることによって、前記ローラのワークへの接触面をローラの一方側で大きくすることができるので、ローラのワークの接触面形状は、前述した長方形形状から一方の側の基準方向の辺が他方の側の辺よりも大きい台形形状に変化させることができる。このため、ローラによるワークへの付勢ラインは、前記台形形状の脚辺となることから、ローラによってワークに係る力の向きを基準方向に対して(前記ワークの移動方向の傾斜とは反対側に)傾斜させることできるため、ワークを基準方向に戻すことができるものである。
【0013】
尚、この場合、ワークの蛇行については従来の蛇行検出手段をそのまま利用することが可能である。また、ワークの蛇行量に対応して前記ローラの一方の側の接近量を調整する手段を設けても良いものである。
【0014】
また、前記一対のローラは、前記ワークを移動させる力を付与する駆動ローラであることが望ましい。
【0015】
前記一対のローラが駆動ローラである場合には、ローラの一方の側の接触面を増大させた場合、ローラによるワークへの付勢ラインは、台形形状の接触面の上流側の脚辺となることから、ワークに付勢される力のベクトルは、基準方向から一方の側に傾斜したものとなる。これによって、ワークには、一方の側に移動する方向にワークの流れが調整される。
【0016】
さらに、前記一対のローラは、前記ワークを移動させる力を付与する駆動ローラの上流側に配置されるフリーローラであることが望ましい。
【0017】
前記一対のローラが前記ワークを移動させる力を付与する駆動ローラの上流側に配置されるフリーローラである場合、駆動ローラによってワークが引っ張られるため、ローラによるワークへの付勢ラインは、台形形状の接触面の下流側の脚辺となることから、ワークに付勢される力のベクトルは、基準方向から他方の側に傾斜したものとなる。これによって、ワークには、他方の側に移動する方向にワークの流れが調整される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ワークを挟持する一対のローラを弾性材料によって形成すると共に、ローラの両端をワーク方向に移動可能としたことによって、ワークとローラの接触面をワークの進行方向の左右で変化させることができることから、台形形状とした接触面の脚辺に相当する付勢ラインを基準方向に致して傾斜させることができるので、簡単な構造でワークの蛇行を確実に修正できるものである。また、一対のローラの一方の端部の近接量を調整するだけで、容易にローラのワークに対する付勢ラインを変化させることができるため、ワークの蛇行を細かく修正できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、本発明に係る蛇行修正システムの構成を示した概略平面図であり、
図1(b)は、その概略側面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明に係る蛇行修正システムの概略正面図であり、
図2(b)は、ローラとワークの接触面形状を示した説明図である。
【
図3】
図3(a)は、一対のローラの一方の端部を近接させた状態を示した正面図であり、
図3(b)はローラとワークの接触面形状を示した説明図であり、
図3(c)は、ローラによってワークにかかる力の向きを示した説明図である。
【
図4】
図4(a)は、一対のローラの他方の端部を近接させた状態を示した正面図であり、
図4(b)はローラとワークの接触面形状を示した説明図であり、
図4(c)は、ローラによってワークにかかる力の向きを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について、図面により説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明に係る蛇行修正システム1は、
図1(a),(b)に示すように、連続して移動するシート状のワーク2を挟持する一対のローラ3,4によって基本的に構成される。本発明では、第1に、これら一対のローラ3,4は、それぞれ弾性材料によって形成される円筒状のローラ部30,40と、ローラ部30,40のそれぞれを回転自在に保持する回転軸31,41とによって構成される。また、この実施例1では、前記一対のローラ3,4は駆動ローラである。これによって、前記ワーク2は、ローラ3,4で挟持されてテンションV1で引っ張られる。
【0022】
この構成により、
図2(a),(b),(c)で示すように、ローラ3,4の回転軸31,41には、その両端部31a,41a,31b、41bのそれぞれにおいて、ワーク方向に付勢する付勢力W1,W2,W3,W4が与えられる。この付勢力を回転軸31,41に与える機構としては、電動、空圧、水圧、油圧等のアクチュエータによるものなど、公知の方法によるものが望ましい。
【0023】
ワーク2が蛇行しない場合には、回転軸31,41にかかる付勢力W1,W2,W3,W4を等しくする(W1=W2=W3=W4)ことによって、ローラ3,4とワーク2との接触面6は、
図2(b)で示すように、ワーク2の移動方向に沿った辺61,62と、ワーク2の移動方向に垂直な辺63,64からなる長方形形状となる。この場合、
図2(c)で示すように、駆動ローラであるローラ3,4からワーク2にかかる引張力Dsは、P1−P2で示される付勢ライン63に垂直方向にかかるため、この場合の引張力Dsのベクトルはワーク2の移動方向と同一となる(基準方向)。
【0024】
また、
図3(a)に示すように、ローラ3,4の回転軸31,41の一方側31a,41aをワーク方向に接近させた場合、言い換えると回転軸31,41の一方の側31a,41aにかかる力W1,W2を、他方の側31b,41bにかかる力W3,W4よりも大きくした場合(W1,W2>W3,W4)には、ローラ3,4とワーク2との接触面7は、
図3(b)で示すように、一方の側の底辺71が、他方の側の底辺72よりも大きい等脚台形の形状となる。これによって、
図3(c)で示すように、ローラ3,4がワーク2を引っ張る力(引張力)は、等脚台形形状の接触面7の上流側の脚辺73(P1−P2)に垂直に働くことになる(引張力Dc)。これによってワーク2はローラ3,4の一方の側に引っ張られることになる。
【0025】
さらに、
図4(a)に示すように、ローラ3,4の回転軸31,41の他方側31b,41bをワーク方向に接近させた場合、言い換えると回転軸31,41の他方の側31b,41bにかかる力W3,W4を、一方の側31a,41aにかかる力W1,W2よりも大きくした場合(W1,W2<W3,W4)には、ローラ3,4とワーク2との接触面7は、
図4(b)で示すように、他方の側の底辺72が、一方の側の底辺71よりも大きい等脚台形の形状となる。これによって、
図4(c)で示すように、ローラ3,4がワーク2を引っ張る力(引張力)は、等脚台形形状の接触面7の上流側の脚辺73(P1−P2)に垂直に働く引張力Dcは、上述した
図3に示すとは反対に、ワーク2はローラ3,4の他方の側に引っ張られることになる。
【0026】
このように、ローラ3,4が駆動ローラである場合、ローラ3,4の回転軸31,41の一方の端部31a,41a若しくは他方の端部31b,41bにお互いが接近する方向に力を加えることによって、ワーク2の移動方向におけるローラ3,4とワーク2の接触面7の幅を変化させることできるため、ワーク2に働く引張力Dcを一方の側若しくは他方の側に変化させることができるため、ワーク2に蛇行が生じた場合、蛇行方向と逆方向に引張力Dcが働くように、ローラ3,4の回転軸31,41の端部にかかる力を調整するだけで、ローラ3,4とワーク2との接触面7を変更することができるので、ワーク2にかかる引張力Dcの方向を容易に変更できるために、効率的にその蛇行を修正することができるものである。
【実施例2】
【0027】
本発明に係る蛇行修正システム1は、
図1(a),(b)に示すように、連続して移動するシート状のワーク2を挟持する一対のローラ3,4によって基本的に構成される。本発明では、第1に、これら一対のローラ3,4は、それぞれ弾性材料によって形成される円筒状のローラ部30,40と、ローラ部30,40のそれぞれを回転自在に保持する回転軸31,41とによって構成される。また、この実施例2では、前記一対のローラ3,4はフリーローラであり、ワーク2は下流側に配置された駆動ローラ5によって引っ張られる。このように、前記ワーク2は、ローラ3,4の下流側でテンションV2で引っ張られると共に、一対のローラ3,4の上流側ではローラ3,4の抵抗力によってテンションV1で引っ張られる(V1<V2)。
【0028】
この構成により、
図2(a),(b),(c)で示すように、前記ローラ3,4の回転軸31,41には、その両端部31a,41a,31b、41bのそれぞれにおいて、ワーク方向に付勢する付勢力W1,W2,W3,W4が与えられる。この付勢力を回転軸31,41に与える機構としては、電動、空圧、水圧、油圧等のアクチュエータによるものなど、公知の方法によるものが望ましい。
【0029】
前述した実施例1の場合と同様に、ワーク2が蛇行しない場合には、回転軸31,41に付与する付勢力W1,W2,W3,W4を等しくする(W1=W2=W3=W4)ことによって、ローラ3,4とワーク2との接触面6は、
図2(b)で示すように、ワーク2の移動方向に沿った辺61,62と、ワーク2の移動方向に垂直な辺63,64からなる長方形形状となる。この場合、
図2(c)で示すように、駆動ロー5によるローラ3,4からワーク2にかかる引張力Fsは、P3−P4で示される付勢ライン64に垂直方向にかかるため、この場合の引張力Fsのベクトルはワーク2の移動方向と同一となる(基準方向)。
【0030】
また、
図3(a)に示すように、ローラ3,4の回転軸31,41の一方側31a,41aをワーク方向に接近させた場合、言い換えると回転軸31,41の一方の側31a,41aにかかる力W1,W2を、他方の側31b,41bにかかる力W3,W4よりも大きくした場合{(W1,W2)>(W3,W4)}には、ローラ3,4とワーク2との接触面7は、
図3(b)で示すように、一方の側の底辺71が、他方の側の底辺72よりも大きい等脚台形の形状となる。これによって、
図3(c)で示すように、駆動ローラ5がワーク2を引っ張る力(引張力)は、ローラ3,4とワーク2との等脚台形形状の接触面7の下流側の脚辺74(P3−P4)に垂直に働くことになる(引張力Fc)。これによってワーク2はローラ3,4の一方の側に引っ張られることになる。
【0031】
さらに、
図4(a)に示すように、ローラ3,4の回転軸31,41の他方側31b,41bをワーク方向に接近させた場合、言い換えると回転軸31,41の他方の側31b,41bにかかる力W3,W4を、一方の側31a,41aにかかる力W1,W2よりも大きくした場合{(W1,W2)<(W3,W4)}には、ローラ3,4とワーク2との接触面7は、
図4(b)で示すように、他方の側の底辺72が、一方の側の底辺71よりも大きい等脚台形の形状となる。これによって、
図4(c)で示すように、駆動ローラ5がワーク2を引っ張る力(引張力)は、ローラ3,4とワーク2との等脚台形形状の接触面7の下流側の脚辺74(P3−P4)に垂直に働く引張力Fcは、上述した
図3に示すとは反対に、ワーク2はローラ3,4の他方の側に引っ張られることになる。
【0032】
このように、ローラ3,4がフリーローラである場合であっても、ローラ3,4の回転軸31,41の一方の端部31a,41a若しくは他方の端部31b,41bにお互いが接近する方向に力を加えることによって、ワーク2の移動方向におけるローラ3,4とワーク2の接触面7の幅を変化させることできるため、ワーク2に働く引張力Fcを一方の側若しくは他方の側に変化させることができるため、ワーク2に蛇行が生じた場合、蛇行方向と逆方向に引張力Fcが働くように、ローラ3,4の回転軸31,41の端部にかかる力を調整するだけで、ローラ3,4とワーク2との接触面7を変更することができるので、ワーク2にかかる引張力Fcの方向を容易に変更できるために、効率的にその蛇行を修正することができるものである。
【0033】
また、本発明によれば、上述した実施例1,2とは異なり、ローラ3,4の両端31a,41a,31b,41bからワーク2にかかる力W1,W2,W3,W4を、(W1,W3)<(W2、W4)若しくは(W1,W3)>(W2、W4)とすることによって、ワーク2を上下方向に移動させるように、ワーク2に力を与えることもできるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 蛇行修正システム
2 ワーク
3,4 ローラ
5 駆動ローラ
6,7 接触面
31,41 回転軸