【課題】マグネットロータを収容するキャン60を弁本体に組み付けた弁装置に対してステータ5を取り付けるようにした電動弁において、ステータ5とキャン60とを確実に接地する。
【解決手段】ブラケット4を曲げ加工等により、基部41と、弾性片42と、凸部43と、押圧部44と、接触部45とで構成する。ステータ5のボビン51の固定ブロック51Bに、基部41を取り付け、ステータ5の底部で嵌挿孔5Hの周囲にブラケット4を取り付ける。弾性片42の押圧部44をキャン60の外周に当接させた状態で、支点部42aを袴部5Kの内周に当接させ、弾性片42の自己の弾性力によりキャン60を押圧する。キャン60が押圧部44を外周側に押圧する押圧力で接触部45を外側に移動させ、接触部45を継鉄53の突起53aに圧接する。
モータ部の駆動により作動する弁本体に対して前記モータ部のマグネットロータを収容した略円筒形状のキャンを組み付けてなる弁装置と、前記モータ部を構成するとともに前記キャンに装着されたステータとを備えた電動弁であって、
前記ステータに設けられて前記弁装置の前記キャンの外周に対向する弾性片を有する弾性部材を備え、
前記弾性部材の前記弾性片は、端部が前記ステータの継鉄の露出部に対する接触部として構成されるとともに、前記ステータの嵌挿孔の軸線側に突出、又は、突出と反対側に凹んだ第一係合部を有し、前記キャンは外周に前記第一係合部に係合する第二係合部を有し、
前記弾性片の前記第一係合部が前記キャンの前記第二係合部に係合された状態で、前記弾性片の自己の弾性力により前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の前記露出部に圧接されている
ことを特徴とする電動弁。
前記弾性部材は、前記キャンの頭部を跨ぐU字状の形状であって前記キャンの外周に対向する2つの前記弾性片を有し、該弾性片の端部の前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の2箇所の前記露出部にそれぞれ圧接されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
前記弾性部材は、前記ステータに固定される基部と、該基部から前記軸線側に延在された前記弾性片とを有し、前記接触部が前記弾性片の前記基部とは反対側の自由端側に位置し、前記弾性片の前記自由端側が前記キャンに当接されるとともに、前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の前記露出部にそれぞれ圧接されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1及び2には、ステータの継鉄を弁本体側に電気的に接続する構造が開示されている。特許文献1のものでは、ステータをキャンに固定するための回り止め部材を設け、この回り止め部材を弁本体側の継手管(流体導出管)に接触させるとともに、回り止め部材と継鉄とを、導電性弾性体等で接続するようにしている。また、特許文献2のものでは、導通ばねをヨークに弾発的に圧接し、ヨークと回り止め部材とを導通ばねを介して電気的に接続している。このように、従来のものでは、いずれの構造も部品点数が増加したり、構造が複雑となるなどの問題がある。
【0005】
本発明は、マグネットロータを収容するキャンを弁本体に組み付けた弁装置に対してステータを取り付けるようにした電動弁において、ステータをキャンに固定するためのブラケットを利用して、簡単な構成でステータの継鉄とキャンとを確実に接地できる電動弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電動弁は、モータ部の駆動により作動する弁本体に対して前記モータ部のマグネットロータを収容した略円筒形状のキャンを組み付けてなる弁装置と、前記モータ部を構成するとともに前記キャンに装着されたステータとを備えた電動弁であって、前記ステータに設けられて前記弁装置の前記キャンの外周に対向する弾性片を有する弾性部材を備え、前記弾性部材の前記弾性片は、端部が前記ステータの継鉄の露出部に対する接触部として構成されるとともに、前記ステータの嵌挿孔の軸線側に突出、又は、突出と反対側に凹んだ第一係合部を有し、前記キャンは外周に前記第一係合部に係合する第二係合部を有し、前記弾性片の前記第一係合部が前記キャンの前記第二係合部に係合された状態で、前記弾性片の自己の弾性力により前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の前記露出部に圧接されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の電動弁は、請求項1に記載の電動弁であって、前記弾性部材は、前記キャンの頭部を跨ぐU字状の形状であって前記キャンの外周に対向する2つの前記弾性片を有し、該弾性片の端部の前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の2箇所の前記露出部にそれぞれ圧接されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の電動弁は、請求項1に記載の電動弁であって、前記弾性部材は、前記ステータに固定される基部と、該基部から前記軸線側に延在された前記弾性片とを有し、前記接触部が前記弾性片の前記基部とは反対側の自由端側に位置し、前記弾性片の前記自由端側が前記キャンに当接されるとともに、前記接触部が前記軸線と交差する方向から前記継鉄の前記露出部にそれぞれ圧接されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の電動弁は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動弁であって、前記継鉄の前記露出部が、当該継鉄から前記軸線方向に突出する突起であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至4の電動弁によれば、ステータをキャンに固定するための弾性部材の弾性片にキャンに対する第一係合部とステータの継鉄に接触する接触部とを設け、この弾性片の弾性力により第一係合部を介してキャンに固定するとともに、弾性部材の接触部によりステータの継鉄に確実に接触させるようにしたので、簡単な構成で継鉄とキャンとを確実に接地することができる。
【0012】
請求項5の冷凍サイクルシステムによれば、請求項1乃至4と同様な効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の電動弁の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の電動弁の一部断面側面図、
図2は、第1実施形態の電動弁におけるステータの要部上面の略図、
図3は第1実施形態の電動弁におけるステータ及びブラケットの要部上面の略図、
図4は
図3のA−A断面図、
図5は第1実施形態の電動弁における弁装置を取り付けた状態のステータ及びブラケットの要部上面の略図、
図6は
図5のA−A断面図である。
図2、
図3、
図5は、便宜上、
図1の外装ケース24の上部をカットし、弾性部材の接触部と継鉄の露出部が上面から見える様にした略図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。
【0015】
図1に示すように、この電動弁は、「弾性部材」としてのブラケット1と、「モータ部」としてのステッピングモータ10と、弁本体20と、非磁性体からなる円筒形状のキャン30とを備えている。ステッピングモータ10は、キャン30の外周に取り付けられたステータ2と、キャン30の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ3とで構成されている。なお、マグネットロータ3の外周面とキャン30の内周面との間には所定の隙間が設けられている。
【0016】
弁本体20はステンレス等のハウジング210を有し、このハウジング210の内部に弁部材等を内蔵している。そして、この弁本体20はステッピングモータ10の駆動(マグネットロータ3の回転)により作動し、第1継手管201から第2継手管202へ流れる流体の流量、または第2継手管202から第1継手管201へ流れる流体の流量を制御する。
【0017】
弁本体20のハウジング210の上端には、キャン30が溶接等によって気密に組み付けられ、これにより、弁本体20及びキャン30は「弁装置」を構成している。
【0018】
ステータ2は、樹脂製のボビン21にコイル22,22を巻装することで、軸線L方向に一対のコイル部を積層して構成されている。また、ボビン21には、磁極歯231を持つ継鉄(ヨーク)23がモールド成形により一体に組み付けられている。さらに、ステータ2は、中央に軸線Lを中心とする円柱形状の嵌挿孔2Hを有しており、この嵌挿孔2Hの内周面の一部に継鉄23の磁極歯231が配置されている。そして、この磁極歯231はキャン30の外周面に対向配置されている。
【0019】
以上の構成により、ステッピングモータ10では、コイル22へのパルス出力の印加によりコイル22が磁力線を発生する。これにより、磁極歯231に磁極(N、S極)が交互に変化し、マグネットロータ3に対して磁気吸引力及び磁気反発力を発生し、マグネットロータ3が回転する。これにより弁本体20内部の弁部材が作動し弁口の開度が可変に制御されることで、前記のように第1継手管201から第2継手管202へ、あるいは第2継手管202から第1継手管201へ流れる冷媒の流量が制御される。
【0020】
ステータ2は、ボビン21、コイル22及び継鉄23の組み付け体を樹脂で封止するとともにその樹脂の外側を外装ケース24で覆うことにより一体成形品として構成されている。そして、この外装ケース24の上端の天部には、開口部24Aが形成され、この開口部24Aの外周の軸線L方向の内側(裏側)には、
図2に示すように、角丸菱形状の奥部24Bが形成されている。そして、この奥部24Bの軸線L回りの180°離間した長手端部の位置において、継鉄23には「露出部」としての突起23aが形成されている。この突起23aは、軸線L方向に突出しており、開口部24Aよりも径方向外側に位置して奥部24B内に露出されている。
【0021】
キャン30は軸線Lを中心軸とする円筒形状であり、キャン30は、ステータ2の嵌挿孔2H内に嵌め込まれるとともに、頭部30Aが外装ケース24の開口部24Aからステータ2の上部に突出され、この頭部30Aが後述のようにブラケット1と係合されている。これにより、ステータ2が弁装置に装着されている。また、キャン30のブラケット1に対応する部分の周囲には、「第二係合部」としての凹部30aが複数形成されている。
【0022】
ステータ2の外装ケース24の開口部24A内には「弾性部材」としてのブラケット1が取り付けられている。ブラケット1は導電性弾性板のプレス加工及び曲げ加工により形成され、キャン30の頭部30Aを跨ぐアーチ状の逆U字型の形状をしている。そして、ブラケット1はキャン30の側部に位置する弾性片11,11と、弾性片11,11を連結する湾曲した連結部12と、弾性片11と一体に形成された「第一係合部」としての凸部13,13と、弾性片11の連結部12とは反対側の端部を折り曲げることで形成された接触部14,14とで構成されている。弾性片11とは、キャン30に固定する時に弾性変形することで、ステータ2を固定する部位の事である。凸部13は、弾性片11の接触部14よりも連結部12側に位置しており、ステータ2の中心側(軸線L側)に突出している。そして、ブラケット1は、外装ケース24の奥部24Bの上壁面24Cと継鉄23との間に接触部14,14を嵌合することで、ステータ2に取り付けられている。
【0023】
以上の構成により、ステータ2がキャン30に組み付けられるとき、キャン30は、ステータ2の嵌挿孔2H内に嵌め込まれ、その頭部30Aが外装ケース24の上部に突出されて、この頭部30Aがブラケット1の弾性力に抗して弾性片11,11の間に嵌合される。そして、ブラケット1の一方の凸部13とキャン30の一箇所の凹部30aとが係合する。また、他方の凸部13はキャン30の外周面に当接される。これにより、キャン30に対して、ステータ2の軸線L回りの位置決めがなされるとともに、ステータ2は軸線L方向の抜け防止をされた状態でキャン30に取り付けられる。
【0024】
また、ブラケット1の弾性片11は、その弾性力を、主に凸部13とキャン30との接触点を支点として接触部14,14が外側に移動する方向に作用させ、この接触部14の端部が奥部24B内で継鉄23の突起23aに圧接される。すなわち、ブラケット1の弾性力により、その接触部14を継鉄23の突起23aに対して軸線Lと交差する方向(径方向)に押しつけている。これにより、ブラケット1は。凸部13,13を介してキャン30と電気的に接地されるとともに、接触部14,14を介して継鉄23と電気的に接地される。このように、ステータ2を弁装置(その一部のキャン30)に固定するためのブラケット1を利用し、このブラケット1の弾性片11の弾性力により、継鉄23とキャン30とをそれぞれ確実に接地することができ、この継鉄23(磁極歯231)とキャン30との間の電気的ノイズによる周辺回路等への悪影響を防止することができる。また、部品点数も少なくてよく、構造も簡単となる。
【0025】
図7は本発明の第2実施形態の電動弁の一部断面側面図、
図8は第2実施形態の電動弁におけるステータ及びブラケットの要部底面図、
図9は
図8のA−A断面図、
図10は第2実施形態の電動弁における弁装置を取り付けた状態のステータ及びブラケットの要部底面図、
図11は
図10のA−A断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図7の図面における上下に対応する。
【0026】
図7に示すように、この電動弁は、「弾性部材」としてのブラケット4と、「モータ部」としてのステッピングモータ40と、弁本体50と、非磁性体からなる円筒形状のキャン60とを備えている。ステッピングモータ40は、キャン60の外周に取り付けられたステータ5と、キャン60の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ6とで構成されている。なお、マグネットロータ6の外周面とキャン60の内周面との間には所定の隙間が設けられている。
【0027】
弁本体50はステンレス等のハウジング510を有し、このハウジング510の内部に弁部材等を内蔵している。そして、この弁本体50はステッピングモータ40の駆動(マグネットロータ6の回転)により作動し、第1継手管501から第2継手管502へ流れる流体の流量、または第2継手管502から第1継手管501へ流れる流体の流量を制御する。
【0028】
弁本体50のハウジング510の上端には、キャン60が溶接等によって気密に組み付けられ、これにより、弁本体50及びキャン60は「弁装置」を構成している。
【0029】
ステータ5は、樹脂製のボビン51にコイル52,52を巻装することで、軸線L方向に一対のコイル部を積層して構成されている。また、ボビン51には、磁極歯531を持つ継鉄(ヨーク)53がモールド成形により一体に組み付けられている。さらに、ステータ5は、中央に軸線Lを中心とする円柱形状の嵌挿孔5Hを有しており、この嵌挿孔5Hの内周面の一部に継鉄53の磁極歯531が配置されている。そして、この磁極歯531はキャン60の外周面に対向配置されている。
【0030】
以上の構成により、ステッピングモータ40では、コイル52へのパルス出力の印加によりコイル52が磁力線を発生する。これにより、磁極歯531に磁極(N、S極)が交互に変化し、マグネットロータ6に対して磁気吸引力及び磁気反発力を発生し、マグネットロータ6が回転する。これにより弁本体50内部の弁部材が作動し弁口の開度が可変に制御されることで、前記のように第1継手管501から第2継手管502へ、あるいは第2継手管502から第1継手管501へ流れる冷媒の流量が制御される。
【0031】
ステータ5は、ボビン51、コイル52及び継鉄53の組み付け体を樹脂で封止するとともにその樹脂の外側を外装ケース54で覆うことにより一体成形品として構成されている。また、ステータ5の弁本体50側の底部には、嵌挿孔5Hの開口部5H1から弁本体50側に拡径された袴部5Kを有している。また、
図8乃至
図11に示すように、ステータ5の底面側において、継鉄53には「露出部」としての突起53aが形成されている。この突起53aは、軸線L方向に突出している。
【0032】
キャン60は軸線Lを中心軸とする円筒形状であり、マグネットロータ6の外周に対向する小径部60Aと、小径部60Aから弁本体50側に拡径された大径部60Bとから構成されている。そして、ステータ5の嵌挿孔5H内にキャン60の小径部60Aが嵌め込まれるとともに、キャン60の大径部60Bが嵌挿孔5Hの開口部5H1の弁本体50側に位置する状態で、ステータ5の袴部5K内に大径部60Bの一部が収容されている。これにより、ステータ5が弁装置に装着されている。また、キャン60は大径部60Bの外周のブラケット4に対応する部分の周囲には、「第二係合部」としての凹部60aが複数形成されている。
【0033】
ステータ5の底部で嵌挿孔5Hの開口部5H1の周囲の1箇所には、「弾性部材」としてのブラケット4が取り付けられている。また、
図8乃至
図11に示すように、ブラケット4は、導電性弾性板のプレス加工及び曲げ加工により形成され、
図8に示すように、板状部からなる基部41と、基部41と一体に該基部41の側部から延設された弾性片42と、弾性片42と一体に形成された「第一係合部」としての凸部43と、弾性片42の基部41とは反対側の端部を折り曲げることで形成された押圧部44と、同様に弾性片42を折り曲げることで形成された接触部45と、で構成されている。ステータ5の袴部5Kの一部には、ボビン51によって直方体状の固定ブロック51Bが形成されており、この固定ブロック51Bにブラケット4の基部41が取り付けられている。以上のようにブラケット4はステータ5に取り付けられた状態で、弾性片42は、ステータ5の嵌挿孔5Hの開口部5H1の周囲の外側にある袴部5K内において、開口部5H1を臨む位置に配置される。
【0034】
以上の構成により、ステータ5がキャン60に組み付けられるとき、キャン60は、ステータ5の嵌挿孔5H内に嵌め込まれ、
図10に示すように、ブラケット4の凸部43とキャン60の一箇所の凹部60aとは、ステータ5が弁装置に組み付けた状態で係合する。これにより、キャン60に対して、ステータ5の軸線L回りの位置決めがなされるとともに、ステータ5は軸線L方向の抜け防止をされた状態でキャン60に取り付けられている。
【0035】
また、
図10に示すように、弾性片42は、押圧部44をキャン60の外周に当接させた状態で、支点部42aを袴部5Kの内周に当接される。これにより、弾性片42は、この弾性片42の自己の弾性力により、支点部42aを支点としてキャン60を押圧している。さらに、キャン60は、押圧部44を外周側に押圧する。このキャン60の押圧力は接触部45が外側に移動する方向に作用させ、この接触部45が継鉄53の突起53aに圧接される。すなわち、ブラケット4の弾性力により、その接触部45を継鉄53の突起53aに対して軸線Lと交差する方向(径方向)に押しつけている。これにより、ブラケット4は、凸部43及び押圧部44を介してキャン60と電気的に接地されるとともに、接触部45を介して継鉄53と電気的に接地される。このように、ステータ5を弁装置(その一部のキャン60)に固定するためのブラケット4を利用し、このブラケット4の弾性片42の弾性力により、継鉄53とキャン60とをそれぞれ確実に接地することができ、この継鉄53(磁極歯531)とキャン60との間の電気的ノイズによる周辺回路等への悪影響を防止することができる。また、部品点数も少なくてよく、構造も簡単となる。
【0036】
図12は実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。図において、符号100は膨張弁を構成する本発明の各実施形態の電動弁、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、及び圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0037】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された冷媒液は電動弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0038】
一方、暖房運転時には、図に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、電動弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外内熱交換器200が蒸発器として機能する。電動弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する冷媒液、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する冷媒液を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。
【0039】
なお、弾性片と一体に成形された第一係合部は、前記軸線側に突出する前記凸部に限ることはなく、前記凸部の突出に対し、軸線側と反対側に凹んだ凹部であってもよい。また、キャンの第二係合部は、キャンの外周の前記軸線側に凹んだ複数箇所の凹部に限ることはなく、キャンの外周の外径から外側方向に突出した複数箇所の凸部であってもよい。なお、弾性片の第一係合部が凹部の場合、キャン側の第二係合部は凸部となり、第一係合部と第二係合部が確実に係合する関係の組み合わせとなる。
【0040】
なお、各実施形態の継鉄に形成されている「露出部」としての突起の形状は、第1、第2実施形態の図に示されるような円柱状突起に限られず、四角柱、三角柱等の多角柱や楕円柱等、接触部が安定して圧接し易い形状であれば、どの様な形状でもよい。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。