【解決手段】試験システム(1)は、凝縮器(62)に向けて温度調節した空気を送る空気送り部(20)と、空気送り部(20)が凝縮器(62)に送る空気中にこの空気よりも温度が高い高温空気を導入することができる高温空気導入部(40)とを備える。試験システム(1)は、高温空気導入部(40)が高温空気の導入を停止する通常運転と、高温空気導入部(40)が高温空気の導入を行う高温運転とを実行できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気調和装置の試験システムでは、雰囲気温度が急峻に変化する状況を再現した試験を行いたい場合がある。しかしながら、特許文献1の試験システムは、雰囲気温度を再現するための手段として空気調和手段しか有しておらず、そのような試験を行うことは困難であった。
【0005】
本開示の目的は、雰囲気温度の急峻な変化を再現した試験を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、凝縮器(62)を備えた空気調和装置(60)の試験システム(1)を対象とする。この試験システム(1)は、上記凝縮器(62)に向けて温度調節した空気を送る空気送り部(20)と、上記空気送り部(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に該空気よりも温度が高い高温空気を導入することができる高温空気導入部(40)とを備え、上記高温空気導入部(40)が高温空気の導入を停止する通常運転と、上記高温空気導入部(40)が高温空気の導入を行う高温運転とを実行できるように構成されている。
【0007】
第1の態様では、通常運転が実行される場合、空気送り部(20)によって空気調和装置(60)の凝縮器(62)へ温度調節した空気が送られる。一方、高温運転が実行される場合、空気送り部(20)によって温度調節された空気と、高温空気導入部(40)によって導入された高温空気とが共に凝縮器(62)へ送られる。通常運転から高温運転に切り替えると、凝縮器(62)に送られる空気の温度が急峻に上昇する一方、高温運転から通常運転に切り替えると、凝縮器(62)に送られる空気の温度が急峻に低下する。このように、第1の態様の試験システム(1)によると、凝縮器(62)の雰囲気温度の急峻な変化を再現した試験を行うことができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記高温空気導入部(40)は、上記空気送り部(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に上記凝縮器(62)の近傍で高温空気を導入するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、凝縮器(62)の近傍で高温空気が導入されるので、空気送り部(20)の空気と高温空気とが凝縮器(62)に到達するまでに互いにあまり混合されない。したがって、高温空気の温度を高く維持して凝縮器(62)に送り込むことができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記空気送り部(20)は、先端(26a)に上記凝縮器(62)が取り付けられて上記凝縮器(62)に温度調節した空気を送るためのダクト(25)を有し、上記ダクト(25)には、貫通孔(29a〜29c)が形成されており、上記高温空気導入部(40)は、上記ダクト(25)に取り付けられ、上記貫通孔(29a〜29c)を介して上記ダクト(25)内に高温空気を導入するための導入部材(49a〜49c)を有することを特徴とする。
【0011】
第3の態様では、高温空気は、導入部材(49a〜49c)および貫通孔(29a〜29c)を介してダクト(25)内に導入され、その後、ダクト(25)を通って凝縮器(62)に送られる。
【0012】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記ダクト(25)は、ダクト本体(26)と、該ダクト本体(26)とは別体で該ダクト本体(26)に連結される枠部(27)とを有し、上記ダクト(25)の上記枠部(27)には、上記貫通孔(29a〜29c)が形成されると共に、上記導入部材(49a〜49c)が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、空気送り部(20)およびダクト本体(26)を備える一方で高温空気導入部(40)および枠部(27)を備えない試験システム(すなわち、通常運転のみを実行可能な試験システム)が存在する場合、当該ダクト本体(26)に枠部(27)を後付けすると共に当該枠部(27)に導入部材(49a〜49c)を有する高温空気導入部(40)を取り付けることで本態様の試験システム(1)が構築される。このように、第4の態様によると、通常運転および高温運転を実行可能な試験システム(1)を比較的簡易に構築することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、上記第3または第4の態様において、上記空気送り部(20)は、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気を、上記ダクト(25)の内周面に沿った方向に案内する案内部材(30a〜30c)を有することを特徴とする。
【0015】
第5の態様では、案内部材(30a〜30c)によってダクト(25)の内周面に沿った方向に高温空気が案内される。すなわち、ダクト(25)内の外周寄りに高温空気が吹き出されやすくなり、ダクト(25)の外周部がダクト(25)の中心部よりも高温となる温度分布を作り出すことができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、上記第5の態様において、上記案内部材(30a〜30c)は、上記貫通孔(29a〜29c)の出口開口を塞ぐ閉塞位置と上記貫通孔(29a〜29c)の出口開口を開放する開放位置との間を移動可能な板状に形成され、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて上記閉塞位置から上記開放位置に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
第6の態様では、板状の案内部材(30a〜30c)が高温空気の導入の有無に応じて自動的に開閉する仕組みを簡易な構成で実現できる。また、高温空気の導入を伴わない通常運転では、貫通孔(29a〜29c)が案内部材(30a〜30c)によって閉じられるので、当該貫通孔(29a〜29c)の周辺で気流の乱れが生じにくい。
【0018】
本開示の第7の態様は、上記第6の態様において、上記案内部材(30a〜30c)は、縁部において上記ダクト(25)に回動可能に取り付けられていて、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて回動して上記閉塞位置から上記開放位置に移動する一方、上記貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入されなくなると自重によって回動して上記開放位置から上記閉塞位置に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
第7の態様では、板状の案内部材(30a〜30c)は、その縁部回りに回動することで貫通孔(29a〜29c)を開閉する。そして、案内部材(30a〜30c)は、高温空気が導入されなくなると自重によって回動して開放位置から閉塞位置に移動するので、当該案内部材(30a〜30c)を閉塞位置に移動させるための部材を別途設ける必要がなく、自動開閉の仕組みをより簡易な構成で実現できる。
【0020】
本開示の第8の態様は、上記第3〜第7の態様のいずれか1つにおいて、上記ダクト(25)は、横断面視で矩形状である矩形部(27)を有し、上記矩形部(27)の4つの側壁部(28a〜28d)のうち一部の上記側壁部(28a〜28c)に上記貫通孔(29a〜29c)が形成されていることを特徴とする。
【0021】
第8の態様では、貫通孔(29a〜29c)が形成された一部の側壁部(28a〜28c)のみから高温空気が導入される。したがって、ダクト(25)内において、貫通孔(29a〜29c)が形成されていない側壁部(28d)(すなわち、高温空気が導入されない側壁部(28d))の近くの領域よりも、貫通孔(28a〜28c)が形成されている側壁部(28a〜28c)の近くの領域の方が高温になる温度分布を作り出すことができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、上記第3〜第8の態様のいずれか1つにおいて、上記貫通孔(29a〜29c)は、上記ダクト(25)の周方向に並んで複数形成されており、上記高温空気導入部(40)は、上記複数の貫通孔(29a〜29c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節できる流量調節機構を有することを特徴とする。
【0023】
第9の態様では、ダクト(25)の周方向に並んだ複数の貫通孔(29a〜29c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節することができる。ここで、高温空気の流量が多い貫通孔(29a〜29c)の近くの領域は、高温空気の流量が少ない貫通孔(29a〜29c)の近くの領域よりも高温になる。したがって、当該流量の個別調節によって、ダクト(25)内において所望の温度分布を作り出すことができる。
【0024】
本開示の第10の態様は、上記第8の態様において、上記導入部材(49a〜49c)は、上記ダクト(25)の上記貫通孔(29a〜29c)が形成された上記側壁部(28a〜28c)毎に1つずつ設けられ、各上記導入部材(49a〜49c)は、対応する上記ダクト(25)の上記側壁部(28a〜28c)の全ての上記貫通孔(29a〜29c)に接続されていることを特徴とする。
【0025】
第10の態様では、1つの導入部材(49a〜49c)を介して、当該導入部材(49a〜49c)に対応する側壁部(28a〜28c)に形成された全ての貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入される。
【0026】
本開示の第11の態様は、上記第10の態様において、上記貫通孔(29a〜29c)は、複数の上記側壁部(28a〜28c)に形成されており、上記高温空気導入部(40)は、複数の上記導入部材(49a〜49c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節できる流量調節機構(43a〜45a)を有することを特徴とする。
【0027】
第11の態様では、複数の導入部材(49a〜49c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節することができる。ここで、高温空気の流量が多い導入部材(49a〜49c)に対応する貫通孔(29a〜29c)の近くの領域は、高温空気の流量が少ない導入部材(49a〜49c)に対応する貫通孔(29a〜29c)の近くの領域よりも高温になる。したがって、当該流量の個別調節によって、ダクト(25)内において所望の温度分布を作り出すことができる。
【0028】
本開示の第12の態様は、上記第1〜第11の態様のいずれか1つにおいて、上記高温空気導入部(40)は、上記空気送り部(20)が上記凝縮器(62)に送る空気よりも温度の高い高温空気を常時吹き出す高温空気吹出部(48)と、上記高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気が上記空気送り部(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に導入される流路を形成する導入状態と、上記高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気が排気される流路を形成する排気状態とに切替可能な流路切替機構(42a,47a)とを有することを特徴とする。
【0029】
第12の態様では、導入状態において、空気送り部(20)の空気と高温空気吹出部(48)の高温空気とが凝縮器(62)に送られる高温運転が実行される一方、排気状態において、空気送り部(20)の空気が凝縮器(62)に送られる通常運転が実行される。ここで、高温空気吹出部(48)が高温空気を常時吹き出しているので、当該高温空気を利用したければ、流路切替機構(42a,47a)を導入状態に切り替えることでいつでも利用できる。したがって、流路切替機構(42a,47a)を導入状態から排気状態へ、またはこの逆に切り替えることによって、当該高温空気の利用と排気の切替えを、ひいては高温運転と通常運転の切替えを速やかに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施形態について説明する。本実施形態の試験システム(1)は、例えば自動車用の空気調和装置(60)の性能試験に用いられるものである。しかしながら、試験システム(1)は、その他のタイプの空気調和装置の性能試験にも利用可能である。
【0032】
図1に示すように、試験システム(1)は、試験室(10)と、試験室(10)に設置される外気流模擬回路(20)と、試験室(10)に設置される熱源模擬回路(40)とを備える。外気流模擬回路(20)は、空気送り部を構成しており、熱源模擬回路(40)は、高温空気導入部を構成している。一方、性能試験の対象となる空気調和装置(60)は、図示しない冷媒配管によって互いに接続された圧縮機(61)、凝縮器(62)、膨張機構(図示せず)、および蒸発器(63)を備える。
【0033】
試験室(10)は、第1室(11)および第2室(12)を有する。第1室(11)には、外気流模擬回路(20)および熱源模擬回路(40)と、空気調和装置(60)の凝縮器(62)および圧縮機(61)とが設置される。第2室(12)は、第1室(11)から仕切られかつ第1室(11)に隣接する部屋である。この第2室(12)には、空気調和装置(60)の蒸発器(63)および膨張機構が設置される。第1室(11)は、性能試験の対象である空気調和装置(60)によって空気調和される空間(例えば、車室)を模擬した空間である。第2室(12)は、室外空間(例えば、エンジンルーム)を模擬した空間である。
【0034】
外気流模擬回路(20)は、例えば車両の走行中に生じる外気流を模擬するためのものであって、外気流配管(21)と、試験用空調ユニット(24)と、ダクト(25)とを備える。
【0035】
外気流配管(21)は、主流管(22)および分流管(23)を有する。主流管(22)は、一端が第1室(11)の天井に開口しかつ他端部が第1室の側壁(
図1における左側壁)に形成された開口(ダクト(25)が挿通されている開口)の近傍に位置する配管である。主流管(22)の他端部には、ダクト(25)が接続される開口が形成されている。分流管(23)は、一端が主流管(22)の中途部に開口しかつ他端が第1室(11)の天井に開口する配管である。
【0036】
主流管(22)のうち分流管(23)が接続された部分の下流側には、主流管(22)を流れる空気の流量を調節するための主流管弁(22a)が設けられている。分流管(23)には、分流管(23)を流れる空気の流量を調節するための分流管弁(23a)が設けられている。主流管弁(22a)および分流管弁(23a)は、空気調和装置(60)の凝縮器(62)に導入される温度調節された空気の流量を調節するための第1流量調節機構を構成している。
【0037】
試験用空調ユニット(24)は、主流管(22)のうち分流管(23)が接続された部分の上流側に設けられ、空気調和装置(60)の凝縮器(62)に向けて温度調節した空気を送るためのものである。試験用空調ユニット(24)には、上流側(
図1における右側)から下流側に向かって順に、冷却コイル(24a)と、第1電気ヒータ(24b)と、第1ファン(24c)とが配置される。冷却コイル(24a)には、図示しないチラー装置で冷却されたブラインが供給される。冷却コイル(24a)は、通過する空気を、ブラインと熱交換させて冷却する。試験用空調ユニット(24)は、冷却コイル(24a)および第1電気ヒータ(24b)によって凝縮器(62)に送る空気の温度を調節すると共に、温度調節後の空気を第1ファン(24c)によって凝縮器(62)に向けて主流管(22)およびダクト(25)を介して送るように構成されている。
【0038】
ダクト(25)は、主流管(22)を流れてきた空気を凝縮器(62)に送るためのものである。ダクト(25)は、ダクト本体(26)と、このダクト本体(26)に取り付けられた枠部(27)とを有する。枠部(27)は、矩形部を構成している。
【0039】
ダクト本体(26)は、横断面が矩形状になった筒状部材であって、主流管(22)の他端部の開口に基端(26b)が接続される。ダクト本体(26)の先端(26a)には、試験対象の凝縮器(62)が取り付けられている。ダクト本体(26)は、第1室(11)の側壁に形成された開口に挿通されている。ダクト本体(26)は、一部が伸縮可能な蛇腹状に構成されている。
図1に二点鎖線および矢印で示すように、当該蛇腹状部分を伸縮させることで凝縮器(62)の位置を変えることができる。
【0040】
枠部(27)は、
図2に示すように、矩形状に形成されていて、その4つの側壁部(28a〜28d)のうち一部の側壁部(28a〜28c)(すなわち、上側壁部(28d)を除く左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c))に、それぞれ2つずつ貫通孔(29a〜29c)が形成されている。枠部(27)の形状は、ダクト本体(26)の横断面形状と実質的に一致しており、よってダクト本体(26)に枠部(27)を取り付けることができる。また、枠部(27)は、ダクト本体(26)のみを有する既存の試験システムに後付け可能に構成されている。
【0041】
左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)のうち貫通孔(29a〜29c)の開口縁には、板状の案内部材(30a〜30c)が設けられている。案内部材(30a〜30c)は、対応する貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気を、枠部(27)の内周面に沿った方向に案内するためのものである。
【0042】
図2に示すように、左側壁部(28a)に設けられた第1案内部材(30a)は、対応する貫通孔(29a)から導入される高温空気を左側壁部(28a)に沿って下方向から右下方向に案内する。下側壁部(28b)に設けられた第2案内部材(30b)は、対応する貫通孔(29b)から導入される高温空気を下側壁部(28b)に沿って左右方向から左右上方向に案内する。右側壁部(28c)に設けられた第3案内部材(30c)は、対応する貫通孔(29c)から導入される高温空気を右側壁部(28c)に沿って下方向から左下方向に案内する。
【0043】
各案内部材(30a〜30c)は、縁部において枠部(27)に回動可能に取り付けられている。具体的に、
図2において、第1案内部材(30a)は、上側縁部において枠部(27)に回動可能に取り付けられ、第2案内部材(30b)は、左側または右側縁部において枠部(27)に回動可能に取り付けられ、そして第3案内部材(30c)は、上側縁部において枠部(27)に回動可能に取り付けられている。
【0044】
各案内部材(30a〜30c)は、対応する貫通孔(29a〜29c)の出口開口を塞ぐ閉塞位置(
図2に二点鎖線で示す位置)と、当該貫通孔(29a〜29c)の出口開口を開放する開放位置(
図2に実線で示す位置)との間を移動可能に構成されている。案内部材(30a〜30c)は、対応する貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて回動して閉塞位置から開放位置に移動する一方、当該貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入されなくなると自重によって回動して開放位置から閉塞位置に移動するように構成されている。また、第2案内部材(30b)の縁部近傍には、当該第2案内部材(30b)が閉塞位置から90°以上回動するのを阻止するための回動制限部材(図示せず)が設けられている。この回動制限部材を設けることによって、第2案内部材(30b)が自重によって開放位置から閉塞位置に移動することが保証される。なお、
図2には、各案内部材(30a〜30c)が閉塞位置から45°回動した状態が示されている。
【0045】
熱源模擬回路(40)は、例えば車両の停止時または低速運転時におけるエンジンから凝縮器(62)への伝熱を模擬するためのものであって、熱源配管(41)と、高温空気吹出部(48)と、導入部材(49a〜49c)と、給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)とを備える。給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)は、流路切替機構を構成している。
【0046】
熱源配管(41)は、給気管(42)と、排気管(46)と、バイパス管(47)とを有する。給気管(42)は、凝縮器(62)に高温空気を導くための配管であって、一端に高温空気吹出部(48)が接続されかつ他端部が複数(この例では、3つ)に分岐している。3つに分岐した部分は、第1分岐管(43)、第2分岐管(44)、および第3分岐管(45)になっている。第1分岐管(43)には、第1分岐管(43)を流れる空気の流量を調節するための第1分岐管弁(43a)が設けられている。第2分岐管(44)には、第2分岐管(44)を流れる空気の流量を調節するための第2分岐管弁(44a)が設けられている。第3分岐管(45)には、第3分岐管(45)を流れる空気の流量を調節するための第3分岐管弁(45a)が設けられている。第1〜第3分岐管弁(43a〜45a)は、ダクト(25)の枠部(27)に形成された複数の貫通孔(29a〜29c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節できる流量調節機構(第2流量調節機構)を構成している。
【0047】
排気管(46)は、第1室(11)から空気(例えば、高温空気の供給量に対応する量の空気)を排気するための配管である。排気管(46)は、一端が第1室(11)の天井に開口し、他端に排気のための空気流れを生成する第3ファン(51)が設けられている。
【0048】
バイパス管(47)は、高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気を凝縮器(62)に送らずに排気するための配管であって、第1室(11)の外部において給気管(42)と排気管(46)とを互いに連通させている。
【0049】
高温空気吹出部(48)は、外気流模擬回路(20)が凝縮器(62)に送る空気よりも温度の高い高温空気を常時吹き出すためのものであって、熱源配管(41)の一端に接続されている。高温空気吹出部(48)は、第2ファン(48a)および第2電気ヒータ(48b)を有する。高温空気吹出部(48)は、第2ファン(48a)で空気流れを生成し、当該空気を第2電気ヒータ(48b)で加熱して高温空気を作り出し、そして当該高温空気を給気管(42)および導入部材(49a〜49c)を介してダクト(25)のうち凝縮器(62)の近傍に導入するように構成されている。
【0050】
導入部材(49a〜49c)は、給気管(42)を流れてきた高温空気をダクト(25)内に導くためのものであって、
図2に示すように、中空筒状に形成されていて、ダクト(25)の枠部(27)の貫通孔(29a〜29c)が形成された各側壁部(28a〜28c)の近傍に1つずつ配置されている。各導入部材(49a〜49c)は、対応する側壁部(28a〜28c)に形成された貫通孔(29a〜29c)の数と同数(この例では、2つ)の中空筒状の接続管(50a〜50c)を有する。各接続管(50a〜50c)は、貫通孔(29a〜29c)に接続されている。
図2の例では、左側壁部(28a)の近傍に配置された第1導入部材(49a)が給気管(42)の第1分岐管(43)に接続されている。また、下側壁部(28c)の近傍に配置された第2導入部材(49b)が給気管(42)の第2分岐管(44)に接続されている。そして、右側壁部(28c)の近傍に配置された第3導入部材(49c)が給気管(42)の第3分岐管(45)に接続されている。第1および第3導入部材(49a,49c)は、この例では鉛直方向に延びており、第2導入部材(49b)は、この例では水平方向に延びている。
【0051】
給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)は、一方が開状態になると共に他方が閉状態になるように構成されている。給気管弁(42a)は、給気管(42)のうちバイパス管(47)が接続された部分の下流側に設けられている。バイパス管弁(47a)は、バイパス管(47)に設けられている。給気管弁(42a)が開状態になりかつバイパス管弁(47a)が閉状態になる場合、すなわち給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)が導入状態になる場合、高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気は、給気管(42)、第1〜第3導入部材(49a〜49c)、およびダクト(25)の順に流れて外気流模擬回路(20)が凝縮器(62)に送る空気中に導入される。一方、給気管弁(42a)が閉状態になりかつバイパス管弁(47a)が開状態になる場合、すなわち給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)が排気状態になる場合、高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気は、給気管(42)、バイパス管(47)、および排気管(46)の順に流れて排気される。
【0052】
−運転動作−
試験システム(1)の運転動作について説明する。試験システム(1)は、例えば車両の走行時を模擬した運転である通常運転と、例えば車両の停止時または低速運転時を模擬した運転である高温運転とを実行可能である。通常運転と高温運転の切替えは、給気管弁(42a)およびバイパス管(47)弁の開閉状態の切替えによって行うことができる。
【0053】
〈通常運転〉
通常運転では、給気管弁(42a)を閉状態に設定すると共に、バイパス管弁(47a)を開状態に設定する。また、主流管弁(22a)および分流管弁(23a)の開度を適宜調節する。ここで、主流管弁(22a)の開度が分流管弁(23a)の開度に比べて大きいほど、試験用空調ユニット(24)で温度調節されて凝縮器(62)に送られる空気の流量が大きくなる。通常運転では、主流管弁(22a)を実質的に全開状態にしてもよい。
【0054】
試験対象の空気調和装置(60)では、圧縮機(61)、凝縮器(62)、膨張機構、および蒸発器(63)によって構成される冷媒回路において、圧縮機(61)が運転されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。これにより、第2室(12)の室内温度が所望の設定温度に調節される。
【0055】
外気流模擬回路(20)では、試験用空調ユニット(24)が、所望温度の雰囲気を再現するために、第1ファン(24c)を運転して、第1室(11)と、主流管(22)およびダクト(25)または主流管(22)および分流管(23)とを循環する空気流れを作り出すと共に、冷却コイル(24a)および第1電気ヒータ(24b)によって循環する空気の温度、すなわち凝縮器(62)に送られる空気の温度を調節する。これにより、所望の温度雰囲気下で車両が走行している状態を模擬した空気調和装置(60)の性能試験を行うことができる。
【0056】
熱源模擬回路(40)では、高温空気吹出部(48)が、第2ファン(48a)および第2電気ヒータ(48b)を運転して高温空気を吹き出す。また、第3ファン(51)も運転される。吹き出された高温空気は、給気管(42)、バイパス管(47)、および排気管(46)を流れ、凝縮器(62)に送られることなく排気される。なお、通常運転において、各案内部材(30a〜30c)は、対応する貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入されないので閉塞位置に位置した状態となる。
【0057】
〈高温運転〉
高温運転では、給気管弁(42a)を開状態に設定すると共に、バイパス管弁(47a)を閉状態に設定する。また、第1〜第3分岐管弁(43a〜45a)の開度を適宜調節すると共に、主流管弁(22a)および分流管弁(23a)の開度を適宜調節する。ここで、第1分岐管弁(43a)の開度が大きいほど、左側壁部(28a)に形成された貫通孔(29a)から導入される高温空気の流量が大きくなる。第2および第3分岐管弁(45a)の開度と、下側壁部(28b)および右側壁部(28c)に形成された貫通孔(29b,29c)から導入される高温空気の流量との関係も同様である。また、主流管弁(22a)の開度が分流管弁(23a)の開度に比べて大きいほど、試験用空調ユニット(24)で温度調節されて凝縮器(62)に送られる空気の流量が大きくなる。高温運転では、通常運転に比べて、主流管弁(22a)の開度に対する分流管弁(23a)の開度の比率を大きくしてもよい。
【0058】
試験対象の空気調和装置(60)では、圧縮機(61)、凝縮器(62)、膨張機構、および蒸発器(63)によって構成される冷媒回路において、圧縮機(61)が運転されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。これにより、第2室(12)の室内温度が所望の設定温度に調節される。
【0059】
外気流模擬回路(20)では、試験用空調ユニット(24)が、所望温度の雰囲気を再現するために、第1ファン(24c)を運転して、第1室(11)と、主流管(22)およびダクト(25)または主流管(22)および分流管(23)とを循環する空気流れを作り出すと共に、冷却コイル(24a)および第1電気ヒータ(24b)によって循環する空気の温度、すなわち凝縮器(62)に送られる空気の温度を調節する。
【0060】
熱源模擬回路(40)では、高温空気吹出部(48)が、第2ファン(48a)および第2電気ヒータ(48b)を運転して高温空気を吹き出す。また、第3ファン(51)も運転される。吹き出された高温空気は、給気管(42)(すなわち、第1〜第3分岐管(43〜45)を含む給気管(42))、第1〜第3導入部材(49a〜49c)、およびダクト(25)を流れて凝縮器(62)に送られる。これにより、凝縮器(62)の近くにある熱源(例えば、エンジン)から凝縮器(62)に熱が伝わっている状態を模擬した空気調和装置(60)の性能試験を行うことができる。なお、高温運転において、各案内部材(30a〜30c)は、対応する貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて開放位置に位置した状態となる。
【0061】
ここで、各案内部材(30a〜30c)によって、対応する貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気が枠部(27)に沿った方向に案内される。具体的に、第1案内部材によって、左側壁部(28a)の貫通孔(29a)から導入される高温空気が下方向から右下方向に案内され、第2案内部材(30b)によって、下側壁部(28b)の貫通孔(29b)から導入される高温空気が左右方向から左右上方向に案内され、そして第3案内部材(30c)によって、右側壁部(28c)の貫通孔(29c)から導入される高温空気が下方向から左下方向に案内される。これにより、ダクト(25)内では、左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)に沿った領域の方が他領域よりも高温となる温度分布が形成される。この温度分布は、車両停止時などにエンジンからの伝熱によって形成される温度分布と似通っており、よって車両の停止時または低速走行時を模擬した空気調和装置(60)の性能試験をより高精度に行うことができる。
【0062】
−実施形態の効果−
本実施形態の試験システム(1)は、凝縮器(62)を備えた空気調和装置(60)の試験システム(1)であって、上記凝縮器(62)に向けて温度調節した空気を送る外気流模擬回路(20)と、上記外気流模擬回路(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に該空気よりも温度が高い高温空気を導入することができる熱源模擬回路(40)とを備え、上記熱源模擬回路(40)が高温空気の導入を停止する通常運転と、上記熱源模擬回路(40)が高温空気の導入を行う高温運転とを実行できるように構成されている。
【0063】
したがって、通常運転が実行される場合、外気流模擬回路(20)によって空気調和装置(60)の凝縮器(62)へ温度調節した空気が送られる。一方、高温運転が実行される場合、外気流模擬回路(20)によって温度調節された空気と、熱源模擬回路(40)によって導入された高温空気とが共に凝縮器(62)へ送られる。通常運転から高温運転に切り替えると、凝縮器(62)に送られる空気の温度が急峻に上昇する一方、高温運転から通常運転に切り替えると、凝縮器(62)に送られる空気の温度が急峻に低下する。このように、本実施形態の試験システム(1)によると、凝縮器(62)の雰囲気温度の急峻な変化を再現した試験を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記熱源模擬回路(40)が、上記外気流模擬回路(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に上記凝縮器(62)の近傍で高温空気を導入するように構成されている。したがって、凝縮器(62)の近傍で高温空気が導入されるので、外気流模擬回路(20)の空気と高温空気とが凝縮器(62)に到達するまでに互いにあまり混合されない。したがって、高温空気の温度を高く維持して凝縮器(62)に送り込むことができる。
【0065】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記外気流模擬回路(20)が、先端(26a)に上記凝縮器(62)が取り付けられて上記凝縮器(62)に温度調節した空気を送るためのダクト(25)を有し、上記ダクト(25)には、貫通孔(29a〜29c)が形成されており、上記熱源模擬回路(40)は、上記ダクト(25)に取り付けられ、上記貫通孔(29a〜29c)を介して上記ダクト(25)内に高温空気を導入するための第1〜第3導入部材(49a〜49c)を有する。したがって、高温空気は、第1〜第3導入部材(49a〜49c)および貫通孔(29a〜29c)を介してダクト(25)内に導入され、その後、ダクト(25)を通って凝縮器(62)に送られる。
【0066】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記ダクト(25)が、ダクト本体(26)と、該ダクト本体(26)とは別体で該ダクト本体(26)に連結される枠部(27)とを有し、上記ダクト(25)の上記枠部(27)には、上記貫通孔(29a〜29c)が形成されると共に、上記導入部材(49a〜49c)が取り付けられている。したがって、外気流模擬回路(20)およびダクト本体(26)を備える一方で熱源模擬回路(40)および枠部(27)を備えない試験システム(すなわち、通常運転のみを実行可能な試験システム)が存在する場合、当該ダクト本体(26)に枠部(27)を後付けすると共に当該枠部(27)に導入部材(49a〜49c)を有する熱源模擬回路(40)を取り付けることで本実施形態の試験システム(1)が構築される。このように、通常運転および高温運転を実行可能な本実施形態の試験システム(1)を既存の試験システムを基にして比較的簡易に構築することができる。
【0067】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記外気流模擬回路(20)が、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気を、上記ダクト(25)の内周面に沿った方向に案内する第1〜第3案内部材(30a〜30c)を有する。したがって、第1〜第3案内部材(30a〜30c)によってダクト(25)の内周面に沿った方向に高温空気が案内される。すなわち、ダクト(25)内の外周寄りに高温空気が吹き出されやすくなり、ダクト(25)の外周部がダクト(25)の中心部よりも高温となる温度分布を作り出すことができる。
【0068】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記案内部材(30a〜30c)が、上記貫通孔(29a〜29c)の出口開口を塞ぐ閉塞位置と上記貫通孔(29a〜29c)の出口開口を開放する開放位置との間を移動可能な板状に形成され、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて上記閉塞位置から上記開放位置に移動するように構成されている。したがって、板状の案内部材(30a〜30c)が高温空気の導入の有無に応じて自動的に開閉する仕組みを簡易な構成で実現できる。また、高温空気の導入を伴わない通常運転では、貫通孔(29a〜29c)が案内部材(30a〜30c)によって閉じられるので、当該貫通孔(29a〜29c)の周辺で気流の乱れが生じにくい。
【0069】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記案内部材(30a〜30c)が、縁部において上記ダクト(25)に回動可能に取り付けられていて、上記貫通孔(29a〜29c)から導入される高温空気に押されて回動して上記閉塞位置から上記開放位置に移動する一方、上記貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入されなくなると自重によって回動して上記開放位置から上記閉塞位置に移動するように構成されている。したがって、板状の案内部材(30a〜30c)は、その縁部回りに回動することで貫通孔(29a〜29c)を開閉する。そして、案内部材(30a〜30c)は、高温空気が導入されなくなると自重によって回動して開放位置から閉塞位置に移動するので、当該案内部材(30a〜30c)を閉塞位置に移動させるための部材を別途設ける必要がなく、自動開閉の仕組みをより簡易な構成で実現できる。
【0070】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記ダクト(25)が、横断面視で矩形状である枠部(27)を有し、上記枠部(27)の上側壁部(28d)、左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)のうち上記左側壁部(28a)、上記下側壁部(28b)、および上記右側壁部(28c)のみに上記貫通孔(29a〜29c)が形成されている。したがって、貫通孔(29a〜29c)が形成された左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)のみから高温空気が導入される。したがって、ダクト(25)内において、貫通孔(29a〜29c)が形成されていない上側壁部(28d)の近くの領域よりも、貫通孔(29a〜29c)が形成されている左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)の近くの領域の方が高温になる温度分布を作り出すことができる。
【0071】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記貫通孔(29a〜29c)が、左側壁部(28a)、下側壁部(28b)、および右側壁部(28c)に形成されており、上記熱源模擬回路(40)が、第1〜第3導入部材(49a〜49c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節できる第1〜第3分岐管弁(43a〜45a)を有する。したがって、第1〜第3導入部材(49a〜49c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節することができる。ここで、高温空気の流量が多い導入部材(49a〜49c)に対応する貫通孔(29a〜29c)の近くの領域は、高温空気の流量が少ない導入部材(49a〜49c)に対応する貫通孔(29a〜29c)の近くの領域よりも高温になる。したがって、当該流量の個別調節によって、ダクト(25)内において所望の温度分布を作り出すことができる。
【0072】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記導入部材(49a〜49c)が、上記ダクト(25)の上記貫通孔(29a〜29c)が形成された上記側壁部(28a〜28c)毎に1つずつ設けられ、各上記導入部材(49a〜49c)は、対応する上記ダクト(25)の上記側壁部(28a〜28c)の全ての上記貫通孔(29a〜29c)に接続されている。したがって、1つの導入部材(49a〜49c)を介して、当該導入部材(49a〜49c)に対応する側壁部(28a〜28c)に形成された全ての貫通孔(29a〜29c)から高温空気が導入される。
【0073】
また、本実施形態の試験システム(1)は、上記熱源模擬回路(40)が、上記外気流模擬回路(20)が上記凝縮器(62)に送る空気よりも温度の高い高温空気を常時吹き出す高温空気吹出部(48)と、上記高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気が上記外気流模擬回路(20)が上記凝縮器(62)に送る空気中に導入される流路を形成する導入状態と、上記高温空気吹出部(48)が吹き出した高温空気が排気される流路を形成する排気状態とに切替可能な給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)とを有する。したがって、導入状態において、外気流模擬回路(20)の空気と高温空気吹出部(48)の高温空気とが凝縮器(62)に送られる高温運転が実行される一方、排気状態において、外気流模擬回路(20)の空気が凝縮器(62)に送られる通常運転が実行される。ここで、高温空気吹出部(48)が高温空気を常時吹き出しているので、当該高温空気を利用したければ、給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)を導入状態に切り替えることでいつでも利用できる。したがって、給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)を導入状態から排気状態へ、またはこの逆に切り替えることによって、当該高温空気の利用と排気の切替えを、ひいては高温運転と通常運転の切替えを速やかに行うことができる。
【0074】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0075】
給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)は、それぞれに開度を調節可能に構成されていてもよい。この場合、高温運転を行うときに、両者の開度の比率を調節することで凝縮器(62)に送られる高温空気の流量を調節することができる。なお、給気管弁(42a)およびバイパス管弁(47a)の開度調節は、例えば凝縮器(62)に設けられた温度センサ(図示せず)の測定値に基づいたフィードバック制御によって行ってもよいし、予め実験的に求めた設定値を用いたフィードフォワード制御によって行ってもよい。
【0076】
また、熱源模擬回路(40)は、複数の導入部材(49a〜49c)の各々から導入される高温空気の流量ではなく、複数の貫通孔(29a〜29c)の各々から導入される高温空気の流量を個別に調節できる流量調節機構を有していてもよい。
【0077】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。