(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-19096(P2019-19096A)
(43)【公開日】2019年2月7日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20190111BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20190111BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20190111BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20190111BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20190111BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/86
A61K8/9728
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-140316(P2017-140316)
(22)【出願日】2017年7月19日
(11)【特許番号】特許第6277312号(P6277312)
(45)【特許公報発行日】2018年2月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC181
4C083AC182
4C083AD092
4C083AD212
4C083CC02
4C083CC04
4C083EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】
コクや保湿感がありつつも、肌なじみがよく、浸透感の高い皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】
クインスシードエキス、コメ発酵液及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを併用して配合することにより、コクや保湿感がありつつも、肌なじみがよく、浸透感の高い皮膚外用剤を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クインスシードエキス、コメ発酵液及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを含有する皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に近い技術を開示した従来技術文献として、以下の特許文献1〜5が挙げられる。
【0003】
特許文献1(特開2017−88563号公報)には、化粧料成分用親水性多糖類としてマルメロ種子エキスを用いることが記載されている。
【0004】
コメ発酵液に関する従来技術として、特許文献2(特開2008−1666号公報)には、コメ発酵液と各種植物エキスを併用した保湿改善化粧料が、特許文献3(特開2008−7498号公報)には、コメ発酵液とグリセリルグルコシドを併用した保湿用組成物が、特許文献4(特開2011−46653号公報)には、コメ発酵液とステアリン酸硬化ヒマシ油を含有する、表皮バリア機能改善用乳化化粧料が、それぞれ開示されている。
【0005】
特許文献5(特開2016−132623号公報)には、ふき取り用化粧水に保湿剤としてポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを用いることが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜5のいずれかにも、コクや保湿感がありつつも、肌なじみがよく、浸透感の高い皮膚外用剤である本発明を得るために、本発明構成を採用することを示唆するような記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017−88563号公報
【特許文献2】特開2008−1666号公報
【特許文献3】特開2008−7498号公報
【特許文献4】特開2011−46653号公報
【特許文献5】特開2016−132623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コクや保湿感がありつつも、肌なじみがよく、浸透感の高い皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、クインスシードエキス、コメ発酵液及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを含有する皮膚外用剤を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、クインスシードエキス、コメ発酵液及びポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを併用して配合することにより、コクや保湿感がありつつも、肌なじみがよく、浸透感の高い皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
本発明の皮膚外用剤に配合するクインスシードエキスは、マルメロ(Pyrus cydonia)の種子からの抽出物である。
【0013】
本発明において使用する上記クインスシードエキスを調製する方法について以下に述べるが、これらの抽出溶媒及び抽出方法に限定されるものではない。抽出溶媒としては、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコールなどのアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類などの極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒が好適に使用でき、また、リン酸緩衝生理食塩水を用いることができる。或いは、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ブタン、n−オクタン、シクロヘキサン、スクワラン等の炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、トルエンなどの低極性もしくは無極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒も好適に使用することもできる。さらには、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界流体や亜臨界流体も用いることもできる。
【0014】
抽出方法としては、常圧、若しくは加圧,減圧下で、室温、冷却又は加熱した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留などの蒸留法を用いて抽出する方法、クインスシードスを圧搾して抽出物を得る圧搾法などが例示され、これらの方法を単独で、又は2種以上を組み合わせて抽出を行うこともできる。
【0015】
このようにして得られたクインスシードエキスは、抽出物をそのまま用いることもできるが、その効果を失わない範囲で、脱臭、脱色、濃縮などの精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィーなどを用いて分画物として用いてもよい。これらの抽出物や、その精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらに、アルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で用いることができる。
【0016】
本発明においては、クインスシードの水抽出物を用いることが好ましい。
【0017】
クインスシードエキスの皮膚外用剤への配合量は、抽出物の溶媒の有無、剤型などにより変動するが概ね0.00001〜2質量%である。0.00001質量%未満の配合では、本発明の効果が得られない場合がある。2質量%を超えて配合するとべたつきの原因となり得る。
【0018】
本発明に用いる、コメ発酵液は、米もしくは米ぬかを、酵素分解または麹による糖化、酒母或いは酵母による醗酵を行うことにより得られるものを用いる。コメ発酵液としては、市販の原料を用いることも可能である。かかるコメ発酵液としては、コメエキスコーケン MPN(株式会社高研製)、ASFERM PLUS(SK bioland Co.,Ltd.製)、ホルス 吟醸エキス(株式会社ホルス製)、ホルス 吟醸エキスAL(株式会社ホルス製)等が例示される。
【0019】
本発明における米醗酵液の配合量は、特に限定されないが、好ましくは、0.01〜10質量%、より好ましくは、0.1〜5%である。0.01質量%未満の配合では充分な保湿効果を得ることができない。また10質量%を超えて配合すると、経時で含有成分であるアミノ酸類が析出したり、着色が認められる場合がある。
【0020】
本発明に用いるポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、グリセリンのアルキレンオキシド誘導体であり、グリセリンに、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが共重合したものである。共重合の順番や形態には、特に制限はなく、形態としては、ブロック共重合、ランダム共重合又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの中でもPEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(化粧品表示名称)を用いることが好ましい。
【0021】
ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.5〜5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.5質量%未満であるとうるおい感及びその持続性に問題が生じる場合がある。市販品としては、ウィルブライドS−753D(日油株式会社製)等を挙げることができる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、粘度を300〜10000cpsとすることが好ましい。なお粘度はB型粘度計、6rpm、温度25℃の条件下で、粘度に合わせたローターを用いて測定した値である。
【0023】
本発明の皮膚外用剤は、実質的に油性成分を含有しないものであることが好ましい。油性成分を配合することにより、必然的に塗布直後及び塗布1時間後のうるおい感が発生するためである。
【0024】
本発明の皮膚外用剤には、多価アルコールとしてグリセリンを5〜20質量%配合することが好ましい。グリセリンを配合することにより、うるおい感は高まるが、多量に配合するとべたつきの原因となり、浸透感が悪化する原因となり得る。
【0025】
本発明の皮膚外用剤には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常皮膚外用剤に配合される、水性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防微剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、ローション剤含浸マスク等の剤型で用いることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、製造方法を問わない。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0028】
[クインスシードエキス]
マルメロの種子を乾燥後細切したもの100gに対し、4質量倍量の精製水を用いて、約40℃で5時間加温撹拌抽出を行う。ろ過後ろ液を採取し、加熱殺菌した後、全量を500gとし、クインスシードエキスとした。
【0029】
表1に示した処方を用い、本発明にかかる化粧水の実施例及び比較例を常法により調製した。
【0030】
[使用感評価]
化粧料官能評価専門員3名が、実施例又は比較例をブラインドで使用し、コク、肌なじみ、浸透感、うるおい感(塗布直後及び塗布1時間後)を絶対評価で評価した。結果は、3名の合議により「◎:非常に良い」、「○:良い」、「△:少し悪い」、「×」:悪いとして、表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】