特開2019-190965(P2019-190965A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人物質・材料研究機構の特許一覧

<>
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000006
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000007
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000008
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000009
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000010
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000011
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000012
  • 特開2019190965-結晶格子面分布測定方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-190965(P2019-190965A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】結晶格子面分布測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2055 20180101AFI20191004BHJP
【FI】
   G01N23/2055
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-83268(P2018-83268)
(22)【出願日】2018年4月24日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、文部科学省、科学技術試験研究委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】坂田 修身
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェミョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ オッキュン
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA20
2G001CA01
2G001FA18
2G001GA04
2G001GA06
2G001HA07
2G001KA03
2G001KA08
2G001LA11
(57)【要約】
【課題】結晶構造を有する試料の結晶格子面方向分布を50μmの分解能で測定する方法を提供する。
【解決手段】単色、平行なX線を、試料の結晶軸の方向に沿った2以上の方位から方位毎に入射角を複数変えて試料の面内各部に照射するX線照射工程と、試料からのX線のブラッグ反射光を面内各部に対応して検出して2以上の方位毎にブラッグ反射X線強度を面内各部に対応して測定するブラッグ反射X線強度測定工程と、ブラッグ反射X線の反射強度を極大にする入射角度を2以上の方位および面内各部毎に求める入射角度算出工程と、2以上の方位および面内各部毎に求めた入射角度から面内各部毎の結晶格子面方向を計算する結晶格子面方向計算工程を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶構造を有する試料の結晶格子面方向分布を測定する結晶格子面方向分布測定方法において、
平行な光速を有する指向性のX線を、前記試料の結晶軸の方向に沿った2以上の方位から前記2以上の方位毎に、入射角を複数変えて前記試料の面内各部に照射するX線照射工程と、
前記試料からの前記X線のブラッグ反射光を前記面内各部に対応して検出して、前記2以上の方位毎にブラッグ反射光強度を前記面内各部に対応して測定するブラッグ反射光強度測定工程と、
ブラッグ反射光の反射強度を極大にする入射角度を、前記2以上の方位および前記面内各部毎に求める入射角度算出工程と、
前記2以上の方位および前記面内各部毎に求めた入射角度から、前記面内各部毎の結晶格子面方向を計算する結晶格子面方向計算工程と、を有する結晶格子面方向分布測定方法。
【請求項2】
前記方位の数は2である、請求項1記載の結晶格子面方向分布測定方法。
【請求項3】
前記面内各部に対する結晶格子面方向分布の平均方向に対して前記面内各部の結晶格子面方向を投影し、結晶格子面方向分布の平均方向に対する前記面内各部の結晶格子面方向の差分を求め、前記差分の前記面内の分布をベクトル表示する、請求項1または2記載の結晶格子面方向分布測定方法。
【請求項4】
前記X線は波長0.01nm以上0.25nm以下の単色、平行な放射光である、請求項1から3の何れか1である結晶格子面方向分布測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶格子面分布測定方法に関し、特に50μm以下というような高い空間分解能をもって結晶格子面分布を測定する結晶格子面分布測定方法に係る。
【背景技術】
【0002】
半導体結晶の格子歪や欠陥などの結晶性は、製品となる半導体デバイスの特性に影響を及ぼす。例えば、格子歪がGaNのバンドギャップを変化させ、デバイスの特性に影響を及ぼすことが報告されている(非特許文献1,2参照)。半導体デバイス製造の分野では、デバイスが微細化されるにつれ、転位や欠陥を観察し、その結果を結晶製造にフィードバックして結晶を高品質にすることが産業上非常に重要である。
【0003】
結晶の完全性を観察する方法として、X線回折顕微法、あるいはX線回折トポグラフ(XRDT)法と総称される方法がある(非特許文献3参照)。この方法は、Berg−Barrett法、Lang法、Laue法などにさらに分類される。X線源としてシンクロトロン放射光(シンクロトロンX線)が利用される以前から、実験室のX線源によってこれらの方法はよく使われている。これらの方法は、転位や欠陥による回折X線強度のコントラストを数μmの分解能で記録したり、転位のバーガースベクトルの方向を決定したりできる。
また、実験室のX線源を用いて、結晶方位の面内分布を測定する試みもなされている(特許文献1参照)
【0004】
シンクロトロンX線を用いたXRDT法の開発により、1980年以降は、格子面間隔の分布や格子面の曲率が評価された(非特許文献4参照)。そして、XRDT法をレーザー走査法と組み合わせることにより、残留応力を含む曲率情報を理解することができた(非特許文献5参照)。例えば、X線回折により観察された4H−SiC4基板の格子面曲げに関する最近の報告では、基板の形状と曲率が示されている(非特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−266249号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Appl.Phys.,vol.74,p.6734(1993)
【非特許文献2】Phys.Rev.B:Condens.Matter,vol.54,p.17745(1996)
【非特許文献3】日本結晶学会誌,vol.13,p.358(1971)
【非特許文献4】J.Appl.Phys.,vol.51,p.6224(1980)
【非特許文献5】Thin Solid Films,vol.415,p.p.21−31(2002)
【非特許文献6】Cryst,Eng.Comm.,vol.19,p.3844(2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景のところで述べたような従来の結晶格子面方向分布測定法は、主に結晶格子面の観点での試料の曲率などある意味巨視的な性質を求めることを目的としており、空間分解能は高いものではなかった。このため、高い空間分解能をもって試料の結晶格子面方位のばらつき分布を測定する方法には適していなかった。
本発明は、このような背景の下、結晶構造を有する試料の結晶格子面方向分布を50μmというような高い空間分解能をもち、かつ高速に測定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構成を下記に示す。
(構成1)
結晶構造を有する試料の結晶格子面方向分布を測定する結晶格子面方向分布測定方法において、
単色で平行なX線を、前記試料の結晶軸の方向に沿った2以上の方位から前記2以上の方位毎に、入射角を複数変えて前記試料の面内各部に照射するX線照射工程と、
前記試料からの前記X線のブラッグ反射光を前記面内各部に対応して検出して、前記2以上の方位毎にブラッグ反射X線強度を前記面内各部に対応して測定するブラッグ反射X線強度測定工程と、
ブラッグ反射X線の反射強度を極大にする入射角度を、前記2以上の方位および前記面内各部毎に求める入射角度算出工程と、
前記2以上の方位および前記面内各部毎に求めた入射角度から、前記面内各部毎の結晶格子面方向を計算する結晶格子面方向計算工程と、を有する結晶格子面方向分布測定方法。
(構成2)
前記方位の数は2である、構成1記載の結晶格子面方向分布測定方法。
(構成3)
前記面内各部に対する結晶格子面方向分布の平均方向に対して前記面内各部の結晶格子面方向を投影し、結晶格子面方向分布の平均方向に対する前記面内各部の結晶格子面方向の差分を求め、前記差分の前記面内の分布をベクトル表示する、構成1または2記載の結晶格子面方向分布測定方法。
(構成4)
前記X線は波長0.01nm以上0.25nm以下の単色、平行な放射光である、構成1から3の何れか1である結晶格子面方向分布測定方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結晶構造を有する試料の結晶格子面方向分布を50μm以下の分解能で、かつ高速に測定する方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の概念を見取り図で示した説明図。
図2】入射X線とブラッグ反射X線との関係を示す説明図。
図3】X線の入射角θをパラメータにしたときのブラッグ反射光強度の試料面内分布図。
図4】結晶方位面法線のx成分qおよびy成分qの試料面内分布図。
図5】理想的な(00・1)面に投影した結晶格子面法線の投影像の試料面内分布図。
図6】結晶格子面の法線の傾き分布図。
図7】結晶面形状の断面模式図。
図8】実施例の座標系の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。
<本発明の測定方法の概要>
結晶構造を有する試料に、その結晶軸に沿った方位(第1の方位)から、その試料への入射角を複数変えてX線を照射する。そして、その試料からのブラッグ反射光の強度をフラットパネル検出器、CMOSアレーセンサー、CCDアレーセンサーなどのめ2次元X線検出器で測定して、いわゆるロッキング曲線を得る。第1の方位を結晶軸に沿った方位とすることで、測定精度を向上させることができる。
ここで、測定に用いるX線は、測定精度を高めるため、単色で平行なX線であることが好ましい。特に、X線の強度を高くすることができる放射光(シンクロトロンX線)はより好ましい。X線の波長としては、0.01nm以上0.25nm以下が好ましく、単色性が高いほど(波長分布が狭いほど)測定精度が向上する。
なお、試料の結晶完全性や用いられるX線の波長によって必要とされる入射X線の単色度と平行度は変わる。ここでの単色なX線は、X線の波長λの拡がりΔλがそのX線の中心波長をλaveとしたとき、Δλ/λaveが10−4の範囲に収まるX線のことであり、また、ここでの平行なX線は、そのX線の広がり角が30arcsecの範囲に収まるX線のことをいう。
【0012】
そして、試料表面の各部位からのhkl回折に対するロッキング曲線を記録し、そのピーク角度位置を得る。そして、試料表面全体から得られる平均角度ピーク位置からのはずれ角Δθをすべての部位に対して得る。すなわち、試料の面内の各場所において上記の測定を行い、Δθ(x,y)のデータを取得する。
【0013】
試料が単結晶の場合で試料表面がほぼ(00・1)面を例にすると、図1(a)に示すように、Δθ(x,y)は理想的な(00・1)面11の法線13と試料表面にほぼ平行な結晶格子面の各部位における局所的な法線方向10とのなす角と同じである。
ここで、x,yは試料表面内の場所を表し、図1(a)中の11は理想的な(00・1)面である。12は、各場所からの結晶格子面の法線を試料表面全体で平均した法線と回折を起こす入射X線が作る面で、ここでは平均的な(00・1)回折面Aと称す。14は、各場所(x,y)での結晶格子面の法線を平均的な(00・1)回折面Aに投影した像(写像)である。なお、(00・1)の表記に関しては、実施例で用いたGaN六方晶の場合の記載法に準じた。
【0014】
試料をその表面法線周りにφ回転して(方位角をφ変えて)同様な測定を繰り返し、図1(b)に示すように、第2の方位角でのΔχ(x,y)を評価する。
ここで、図1(b)中の22は、第2の方位角での測定での、各場所からの結晶面の法線を試料表面全体で平均した法線と回折を起こす入射X線が作る面、すなわち平均的な(00・1)回折面Bである。24は、各場所(x,y)での結晶格子面の法線を平均的な(00・1)回折面Bに投影した像(写像)である。
【0015】
次に、得られたΔθ(x,y)とΔχ(x,y))を用い、試料上の各部位における試料表面にほぼ平行な結晶格子面の法線q(q(x,y),q(x,y),q(x,y))を、(式1)から求める。なお、第2の方位角も試料の結晶軸に沿った方位とすることが測定精度を向上させる上で好ましい。
【0016】
【数1】

【0017】
ここで、Rは座標変換の3行3列の行列(式2)である。
【0018】
【数2】

【0019】
その結果、結晶格子面の形状を試料表面の全面に渡り得ることができる。
【0020】
なお、上記では、方位角を第1と第2の2つとした場合について述べたが、さらに第3、第4、・・・第n(nは整数)と、測定する方位をnに増やしてもよい。ここで、測定する方位の数は、最低2以上必要である。
測定する方位の数を増やすと、測定精度が向上するという効果がある。一方で、測定する方位の数が2の場合は、測定時間および計算に要する時間が短くなり、測定効率が良くなるという効果がある。
【0021】
その後、第1および第2もしくはそれ以上の方位および試料面内各部毎に求めたはずれ角Δθ(x,y)、Δχ(x,y)から、試料面内各部毎の結晶格子面方向を計算する。
具体的には、試料面内各部に対する結晶格子面方向分布の平均方向に対して試料面内各部の結晶格子面方向を投影し、結晶格子面方向分布の平均方向に対する試料面内各部の結晶格子面方向の差分を求め、その差分の試料面内の分布をベクトル表示する。
【0022】
<本発明の空間分解能>
各部位の空間分解能は、用いる2次元X線検出器の画素の大きさΔpで決まる。
本発明は、試料表面からX線の消衰距離の範囲内を評価できる。その消衰距離は、入射X線の波長、試料、用いる回折指数に依存するが、数μmが代表的な値である。
試料表面上の隣り合うΔpの領域の格子定数差δdが、|δd/d|<Δp/(2L・tan(θ))を満足する場合に適用できる。
ここで、Lは試料とX線検出器との距離で定義されるカメラ長である。dは、hkl回折に関わる格子面間隔であり、θはブラッグ条件λ=2d・sin(θ)で入射X線の波長λとdとで関係づけられるブラッグ角である。
試料上の各部位における結晶格子面の法線qの試料表面全体で平均した法線からの外れ角Δψが、|Δψ|<Δp/Lについて観測可能である。
【0023】
後述のように、本発明の実施例では1画素の大きさ(サイズ)が50μm×50μmのX線検出器を用いた。したがって、この場合の空間分解能は50μmである。但し、これは一例であって、例えば画素サイズを20μm×20μmと小さくすることも可能である。
本発明の技術で測定可能な空間分解能は、正確には、1画素当たりの画素サイズと隣接画素間のピッチ(画素間ピッチ)に依存する。ここで、試料表面全体で平均した法線からの外れ角が大きく画素間ピッチを超えてX線が隣接の画素に入射した場合は、その隣接の画素に対応する試料上の場所の測定と区別がつかなくなることから、測定可能な外れ角が制限される。
【0024】
一方で、画素サイズを小さくすると、測定可能な、試料表面全体で平均した法線からの外れ角は小さくなる。この問題を解決するには、カメラ長Lを短くすればよい。
したがって、実質的には、画素サイズと、配置が可能なカメラ長Lにより、最小の|Δψ|が規定される。後述の実施例のカメラ長Lは0.5mであった。本発明の技術は、X線検出器の画素サイズとカメラの配置の最適化により、観測できる|Δψ|をコントロールできる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、当然のこととして、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲のみにより規定されるものであることに注意されたい。
【0026】
(実施例1)
実施例1では、試料101(後述の図2参照)として、直径2インチのガリウム(00・1)窒素半導体ウエハに、GaNを厚さ1μm成長させ、さらにマグネシウムを添加したGaNを2μm成長させたものを用いた。その厚さは、330μmである。
そして、線源を大型放射光施設SPring−8の放射光として、試料表面全面に2個の(111)面の結晶を用いたシリコンモノクロメータからのほぼ単色平行なX線を照射し、(hk・l)結晶格子面から回折が生じるようX線の入射角θを調節した。なお、測定もSPring−8にて行った。
【0027】
X線入射光とブラッグ反射X線の関係を図2に示す。
入射X線の波長は0.1284nmであり、11・4回折を励起した。入射X線と試料101の表面となす角は0.6°であった。(00・1)面と(11・4)面が39.1°の角度をなしているので、回折強度がもっとも大きくなる入射角0.6°(ブラッグ角θB)近傍で、入射角を25arcsecステップ変える毎に回折像を2次元X線検出器102で測定した。そのときに検出されたブラッグ反射光の試料面内分布の様子を、X線の入射角θをパラメータにして、図3に示す。
X線露光時間は0.5秒であった。用いたX線検出器102は、フラットパネル検出器(浜松ホトニクス製)であり、その画素サイズは50μm×50μm、ピクセル数は2368×2240であった。x方向は[11・0]と平行であり、y方向はそれに垂直である。[11・0]は平均的な回折面内にある。
次に、試料の表面法線周りに試料をφ=120°回転し(方位角を120°回転し)、同様な測定を繰り返した。測定時間は合計で32分30秒であった。
なお、実施例1における|δd/d|は6.0×10−5未満であり、|Δψ|は0.06°未満である。
【0028】
次に、(式3)を用いて、試料上の各部位における試料表面にほぼ平行な結晶格子面の法線q(q(x,y),q(x,y),q(x,y))を決定した。測定されたq(x,y)、q(x,y)をそれぞれ図4(a)、(b)に示す。
【0029】
【数3】

【0030】
その法線qの理想的な(00・1)面上への投影を図5に矢印で表示した。
また、その法線qの傾き分布を解析した。その結果を図6に示す。また、結晶面の形状を求め、その模式的な形状を、x方向に関しては図7(a)に、y方向に関しては図7(b)にそれぞれ示した。なお、今回用いた座標系を図8に示す。
その結果、試料の結晶方位面の面内分布を50μmというような高い空間分解能をもって30分台という短い測定時間で計測できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、上述のように、試料の結晶方位面の面内分布を50μmというような高い空間分解能をもって30分台という短い測定時間で計測する方法である。これまでの結晶方位面の測定方法では、試料全体のそりや曲率といった巨視的な特性を把握するという観点であったが、本発明により各部での微視的な結晶方位面を測定でき、ばらつき分布を解析できる。
この測定方法を半導体基板、半導体デバイスなどに適用すれば、結晶方位面ばらつきがそれらに与える影響を関連付けることができ、また、より面内結晶方位ばらつきの少ない高品質な半導体基板、半導体デバイスなどを提供することが可能になる。このため、半導体をはじめとする産業分野で大いに利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0032】
10:試料の結晶方位面の法線方向ベクトル
11:理想的な(00・1)面
12:平均的な(00・1)回折面A
13:理想的な(00・1)回折面の法線
14:平均的な(00・1)回折面Aへの投影像(写像)
22:平均的な(00・1)回折面B
24:平均的な(00・1)回折面Bへの投影像(写像)
101:試料
102:X線検出器(フラットパネル検出器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8