【解決手段】制御部が、予め規定された第1の条件が満たされたときに(ステップ11)、測定部による電流値の測定および演算部による絶縁抵抗値の演算を開始させ(ステップ12)、かつ予め規定された第2の条件が満たされたときに、その時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持すると共に(ステップ14)、予め規定された測定結果保持操作が行われたとの条件A(ステップ13)、演算された絶縁抵抗値が予め設定された第1の抵抗値以上になったとの条件B(ステップ16)、および演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値を下回る値で予め規定された安定状態になったとの条件C(ステップ17)のいずれかの条件が満たされたときに、第2の条件が満たされたとする。
前記制御部は、前記条件A、前記条件B、前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が前記第1の抵抗値よりも低い値の予め設定された第2の抵抗値よりも低い値で前記予め規定された安定状態になったとの前記条件Cとしての条件D、および前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が前記第2の抵抗値以上で前記第1の抵抗値未満の範囲内で前記予め規定された安定状態になったとの前記条件Cとしての条件Eのいずれかの条件が満たされたときに、前記第2の条件が満たされたとすると共に、
前記条件Bおよび前記条件Eのいずれかが満たされたときに、前記測定対象の絶縁状態が良好であると判定し、かつ前記条件Dが満たされたときに、前記測定対象の絶縁状態が不良であると判定する請求項1記載の絶縁抵抗計。
前記制御部は、前記第2の条件が満たされたときに、前記測定部による前記電流値の測定および前記演算部による前記絶縁抵抗値の演算を終了させる請求項1または2記載の絶縁抵抗計。
【背景技術】
【0002】
電気設備などの絶縁抵抗値を測定する際に使用する絶縁抵抗計では、測定対象に対して測定用電圧を印加しつつ、測定対象を流れる電流(漏れ電流)の電流値を測定し、印加した測定用電圧の電圧値と測定された電流値とに基づいて絶縁抵抗値を演算する構成が採用されている。
【0003】
この場合、測定対象が容量成分を有しているときには、測定用電圧の印加開始から容量成分の充電が完了するまで、充電に伴って測定対象を流れる電流の電流値が漏れ電流に加算された状態で測定されることとなる。このため、この種の絶縁抵抗計を用いた絶縁抵抗の測定に際しては、容量成分の充電が完了する前に測定された電流値に基づいて実際の値よりも低い絶縁抵抗値が測定されるのを回避するために、使用者が測定開始から測定値(電流値、または、電流値に基づいて演算される絶縁抵抗値)をモニタリングして、安定状態になったと判断したときに測定値をホールドさせたり、測定開始から予め規定された時間(例えば1分)が経過するまで測定処理を継続して、規定時間に達したときに測定値をホールドさせたりする作業が広く行われている。
【0004】
一方、出願人が下記の特許文献に開示している絶縁抵抗計では、測定レバーの操作による測定開始直後から、測定値(絶縁抵抗値)が所定時間間隔で逐次表示替えされると共に、測定開始から1分が経過した時点において、その時点の測定値(絶縁抵抗値)が自動的にホールドされて1分経過値として表示部に継続して表示された状態となる構成が採用されている。
【0005】
したがって、出願人が開示している絶縁抵抗計では、測定開始から測定値をモニタリングすることにより、1分が経過する以前に測定値が安定状態になったと判断したときに測定レバーの操作を終了することによって、その時点の測定値をホールドさせることができる。これにより、一般的な絶縁抵抗計を用いた測定作業時と同様にして、任意の時点の測定値を測定結果として保持することが可能となっている。また、出願人が開示している絶縁抵抗計では、測定開始から1分が経過した時点において、その時点の測定値が自動的にホールドされる。これにより、測定値のモニタリングや、測定開始からの経過時間の計時を行わなくても、測定値が安定状態となるのに充分な1分経過時点の測定値を測定結果として保持することが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が上記特許文献に開示している絶縁抵抗計には、以下のような改善すべき課題が存在する。
【0008】
具体的には、出願人が開示している絶縁抵抗計では、使用者が測定開始から1分が経過する前に測定値が安定状態になったと判別して測定値をホールドさせる使用形態において、「安定状態」の判別基準が使用者毎に相違することがあり、また、同じ使用者が作業する場合においても、測定作業の都度、「安定状態」の判別基準が相違することがある。
【0009】
したがって、例えば、測定対象の経時変化の状態を把握するための測定作業を定期的に繰り返し行うときに、実際には測定値(絶縁抵抗値)が変化していないにも拘わらず、上記の「安定状態」の判別基準の相違に起因して、測定作業の都度、異なる測定値が測定されたり、実際には測定値(絶縁抵抗値)が変化しているにも拘わらず、上記の「安定状態」の判別基準の相違に起因して、過去の測定作業時と同じ値の測定値が測定されたりするおそれがある。また、上記の「安定状態」の判別基準の相違に起因して、同じ測定値(絶縁抵抗値)が測定されるべき複数の測定対象について異なる測定値が測定されたり、異なる測定値(絶縁抵抗値)が測定されるべき複数の測定対象について同じ測定値が測定されたりするおそれもある。このため、手動でホールドさせた測定値を測定結果とする使用形態では、好適な比較が可能な測定結果を得るのが困難となっている現状があり、この点を改善するのが好ましい。
【0010】
また、測定開始から1分が経過した時点で自動的にホールドされる測定値(絶縁抵抗値)を使用する使用形態においては、上記の「安定状態」の判別基準の相違に起因する課題を解決できるものの、継続する必要がない不要な測定処理が行われている時間が存在することで、作業時間の短縮が困難となっている現状がある。
【0011】
具体的には、例えば、絶縁状態が非常に良好で、かつ容量成分が小さい測定対象については、測定処理を開始してから僅かな時間が経過した時点において、絶縁状態が良好であると判定するのに充分な絶縁抵抗値が測定される。また、例えば、絶縁状態が不良で、かつ容量成分が小さい測定対象については、測定処理を開始してから僅かな時間が経過した時点において、絶縁状態が良好であると判定するのに必要な絶縁抵抗値よりも低い値で測定値が安定した状態となる。しかしながら、1分経過値を測定結果として使用する使用形態においては、上記の例のような測定対象についても、測定開始から1分が経過するまで測定値がホールドされないため、不要な測定処理が継続される分だけ、測定作業に要する時間が長時間となっている。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0012】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、好適な比較が可能な測定結果を短時間で容易に取得することが可能な絶縁抵抗計を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の絶縁抵抗計は、測定対象に測定用電圧を印加しつつ、当該測定対象を流れる電流の電流値を測定する測定部と、前記測定用電圧の電圧値、および前記測定部によって測定された前記電流値に基づいて当該測定対象の絶縁抵抗値を演算する演算部と、前記測定部および前記演算部を制御する制御部とを備えた絶縁抵抗計であって、前記制御部は、予め規定された第1の条件が満たされたときに、前記測定部による前記電流値の測定および前記演算部による前記絶縁抵抗値の演算を開始させ、かつ予め規定された第2の条件が満たされたときに、当該第2の条件が満たされた時点において前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値を前記測定対象についての測定結果として保持すると共に、予め規定された測定結果保持操作が行われたとの条件A、前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が予め設定された第1の抵抗値以上になったとの条件B、および前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が前記第1の抵抗値を下回る値で予め規定された安定状態になったとの条件Cのいずれかの条件が満たされたときに、前記第2の条件が満たされたとする。
【0014】
また、請求項2記載の絶縁抵抗計は、請求項1記載の絶縁抵抗計において、前記制御部は、前記条件A、前記条件B、前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が前記第1の抵抗値よりも低い値の予め設定された第2の抵抗値よりも低い値で前記予め規定された安定状態になったとの前記条件Cとしての条件D、および前記演算部によって演算された前記絶縁抵抗値が前記第2の抵抗値以上で前記第1の抵抗値未満の範囲内で前記予め規定された安定状態になったとの前記条件Cとしての条件Eのいずれかの条件が満たされたときに、前記第2の条件が満たされたとすると共に、前記条件Bおよび前記条件Eのいずれかが満たされたときに、前記測定対象の絶縁状態が良好であると判定し、かつ前記条件Dが満たされたときに、前記測定対象の絶縁状態が不良であると判定する。
【0015】
さらに、請求項3記載の絶縁抵抗計は、請求項1または2記載の絶縁抵抗計において、前記制御部は、前記第2の条件が満たされたときに、前記測定部による前記電流値の測定および前記演算部による前記絶縁抵抗値の演算を終了させる。
【0016】
また、請求項4記載の絶縁抵抗計は、請求項1から3のいずれかに記載の絶縁抵抗計において、前記制御部の制御に従って前記測定結果を外部装置に出力する測定結果出力部を備え、前記制御部は、前記第2の条件が満たされたときに、前記測定結果出力部から前記外部装置に前記測定結果を出力させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の絶縁抵抗計では、制御部が、予め規定された第1の条件が満たされたときに、測定部による電流値の測定および演算部による絶縁抵抗値の演算を開始させ、かつ予め規定された第2の条件が満たされたときに、第2の条件が満たされた時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持すると共に、予め規定された測定結果保持操作が行われたとの条件A、演算部によって演算された絶縁抵抗値が予め設定された第1の抵抗値以上になったとの条件B、および演算部によって演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値を下回る値で予め規定された安定状態になったとの条件Cのいずれかの条件が満たされたときに、第2の条件が満たされたとする。
【0018】
したがって、請求項1記載の絶縁抵抗計によれば、絶縁状態が良好で、かつ容量成分が小さい測定対象については、測定部による測定および演算部による絶縁抵抗値の演算を開始してから短時間で第1の抵抗値以上の絶縁抵抗値が演算されるため、その測定対象についての絶縁抵抗値の測定処理を充分に短い時間で完了させることができる。また、絶縁状態が不良の測定対象や、絶縁抵抗が良好であるものの、その絶縁抵抗値がやや低下している測定対象については、制御部が予め規定された安定状態になったと判別した時点において、その時点において演算された絶縁抵抗値が測定結果として自動的にホールドされるため、絶縁抵抗値の測定処理の都度、安定状態の判別基準が相違する事態を好適に回避することができる。これにより、好適な比較が可能な測定結果を短時間で容易に取得することができる。
【0019】
請求項2記載の絶縁抵抗計では、制御部が、条件A、条件B、演算部によって演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値よりも低い値の予め設定された第2の抵抗値よりも低い値で予め規定された安定状態になったとの条件Cとしての条件D、および演算部によって演算された絶縁抵抗値が第2の抵抗値以上で第1の抵抗値未満の範囲内で予め規定された安定状態になったとの条件Cとしての条件Eのいずれかの条件が満たされたときに、第2の条件が満たされたとすると共に、条件Bおよび条件Eのいずれかが満たされたときに、測定対象の絶縁状態が良好であると判定し、かつ条件Dが満たされたときに、測定対象の絶縁状態が不良であると判定する。
【0020】
したがって、請求項2記載の絶縁抵抗計によれば、演算される絶縁抵抗値が第1の抵抗値以上となる測定対象については、第1の抵抗値以上の絶縁抵抗値が演算された時点で絶縁状態が良好であると直ちに判定され、そのような測定対象以外の測定対象についても、安定状態となった絶縁抵抗値が第2の抵抗値を下回っているときには絶縁状態が不良であると判定され、安定状態となった絶縁抵抗値が第2の抵抗値以上のときには絶縁状態が良好であると判定されるため、測定結果に基づいて使用者や外部装置が良否判定を行うことなく、測定対象の絶縁状態を確実かつ容易に特定することができる。
【0021】
請求項3記載の絶縁抵抗計によれば、制御部が、第2の条件が満たされたときに、測定部による電流値の測定および演算部による絶縁抵抗値の演算を終了させることにより、第2の条件が満たされた後にも測定部による測定や演算部による絶縁抵抗値の演算を継続する構成とは異なり、第2の条件が満たされた時点において測定対象に対する測定用電圧の印加が終了し、かつ演算部による演算処理による電力の消費も終了するため、測定対象の絶縁抵抗値の測定に要する電力を充分に低減することができる。これにより、電源として電池(一次電池や二次電池)を利用する構成においては、残存電力で測定処理を実行可能な回数を充分に多くすることができる。
【0022】
請求項4記載の絶縁抵抗計によれば、制御部が、第2の条件が満たされたときに、測定結果出力部から外部装置に測定結果を出力させることにより、保持した測定結果を手動で外部装置に出力する必要がなくなるため、絶縁抵抗計の使用者(測定作業を実施する者)にかかる負担を充分に軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、絶縁抵抗計の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示す絶縁抵抗計1は、「絶縁抵抗計」の一例であって、測定部2、通信部3、操作部4、表示部5、処理部6および記憶部7を備えている。測定部2は、「測定部」の一例であって、処理部6の制御に従い、図示しない測定対象に測定用電圧を印加しつつ、測定対象を流れる電流の電流値を測定して、測定用電圧の電圧値を示す電圧値データDv、および測定した電流値を示す電流値データDaを処理部6に出力する。
【0026】
通信部3は、「測定結果出力部」の一例であって、後述するように、処理部6の制御に従い、処理部6が生成した絶縁抵抗値データDrを「測定結果」として外部装置Xに出力する。この場合、本例の絶縁抵抗計1では、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで通信部3が構成されており、同じ通信規格で無線通信が可能な外部装置X等の機器との間で各種のデータを送受信することができるように構成されている。
【0027】
操作部4は、絶縁抵抗計1の動作条件(測定条件や外部装置Xへの絶縁抵抗値データDrの送信条件等)を設定するための操作スイッチや、測定開始、および測定値のホールドを指示する操作スイッチ(以下、「開始/ホールドスイッチ」ともいう)などの複数の操作スイッチ(いずれも図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部6に出力する。なお、本例の絶縁抵抗計1では、測定対象に接触可能な測定用プローブが測定部2に接続されており(図示せず)、この測定用プローブにも、上記の開始/ホールドスイッチが操作部の一部として配設されている。表示部5は、設定された動作条件や、測定された測定値(絶縁抵抗値)などを処理部6の制御下で表示する。
【0028】
処理部6は、絶縁抵抗計1を総括的に制御する。具体的には、処理部6は、「制御部」として機能して、測定部2、通信部3および表示部5の動作を制御する。また、処理部6は、「演算部」として機能して、測定部2から出力される電圧値データDvおよび電流値データDaに基づいて測定対象の絶縁抵抗値を演算して絶縁抵抗値データDrを生成すると共に、演算した絶縁抵抗値の大きさに基づいて測定対象の良否を判定する。なお、本例の絶縁抵抗計1における処理部6の構成とは異なり、「制御部」として機能するプロセッサと、「演算部」として機能するプロセッサと別個独立して設けることもできる。記憶部7は、処理部6の動作プログラム、および絶縁抵抗計1の動作条件を記録した後述の動作条件データDcを記憶すると共に、上記の電圧値データDv、電流値データDaおよび絶縁抵抗値データDrなどを記憶する。
【0029】
一方、本例で使用する外部装置Xは、一例として、絶縁抵抗計1などの測定機器から測定結果を取得して表示するためのアプリケーションがインストールされた処理端末(スマートフォン、タブレットおよびパーソナルコンピュータなど)で構成されている。この外部装置Xは、絶縁抵抗計1における通信部3と同様の無線通信が可能な通信アダプタを備えており、絶縁抵抗計1から送信される絶縁抵抗値データDrなどを受信することができるように構成されている。
【0030】
次に、絶縁抵抗計1を使用した測定対象の絶縁抵抗値の測定作業の一例について、添付図面を参照して説明する。なお、外部装置Xへの上記のアプリケーションのインストールや、絶縁抵抗計1の通信部3と外部装置Xとのペアリング作業(通信可能な状態とする作業)などは既に完了しているものとする。
【0031】
まず、操作部4を操作することにより、測定対象に求められる絶縁状態などに応じて測定部2の測定レンジを選択すると共に、「第1の抵抗値」に相当する良好判定閾値RH、および「第2の抵抗値」に相当する不良判定閾値RLをそれぞれ設定する。
【0032】
この場合、良好判定閾値RHは、後述の絶縁抵抗測定処理10(
図3参照)において、測定値(絶縁抵抗値)が安定状態になっていなくても、設定値以上の絶縁抵抗値が測定された時点において測定対象の絶縁状態が良好であると直ちに判定するための閾値である。したがって、この良好判定閾値RHについては、測定対象の絶縁状態が良好か不良かを判定する閾値よりも充分に高い絶縁抵抗値を設定するのが好ましいが、過剰に高い値を設定したときには、測定処理に要する時間の短縮が困難となるおそれがある。また、不良判定閾値RLは、絶縁抵抗測定処理10において、安定状態となった測定値が設定値を下回っているときに測定対象の絶縁状態が不良である判定し、安定状態となった測定値が設定値以上のときに測定対象の絶縁状態が良好である判定するための閾値(測定対象の絶縁状態が良好か不良かを判定する閾値)である。したがって、この不良判定閾値RLについては、測定対象が満たしているべき規格等によって定められた値を設定するのが好ましい。
【0033】
上記のように、操作部4の操作によって、測定レンジ、良好判定閾値RHおよび不良判定閾値RLがそれぞれ設定されたときに、処理部6は、動作条件データDcを生成して記憶部7に記憶させる。以上により、測定作業を行う準備が整う。また、処理部6は、動作条件データDcの生成(記憶部7への記憶)が終了したときに、
図3に示す絶縁抵抗測定処理10を開始する。
【0034】
この絶縁抵抗測定処理10では、処理部6は、絶縁抵抗値の測定を開始する開始操作が行われたか否かの監視を開始する(ステップ11)。この場合、本例の絶縁抵抗計1では、開始/ホールドスイッチの操作(開始/ホールドスイッチを押圧する動作)が「開始操作」に相当し、開始/ホールドスイッチの操作終了(開始/ホールドスイッチを押圧する動作の終了)が「ホールド操作」に相当する。したがって、絶縁抵抗値の測定を開始するときには、測定用プローブを測定対象に接触させた状態で開始/ホールドスイッチを操作する。
【0035】
この際に、処理部6は、開始操作が行われたと判別し(「予め規定された第1の条件が満たされたとき」の一例)、測定部2を制御して測定を開始させると共に、絶縁抵抗値の演算を実行する(ステップ12)。具体的には、処理部6は、測定部2を制御して、動作条件データDcに記録されている測定レンジ(設定された測定レンジ)に対応する電圧値の測定用電圧を測定対象に印加させつつ、測定対象を流れる電流の電流値を測定させる。また、処理部6は、測定部2から出力される電圧値データDvの電圧値、および電流値データDaの電流値に基づき、測定対象の絶縁抵抗値を演算して演算結果を表示部5に表示させると共に、演算結果を示す絶縁抵抗値データDrを生成して電圧値データDvおよび電流値データDaと共に記憶部7に記憶させる。
【0036】
次いで、処理部6は、ホールド操作が行われたか否かを判別する(ステップ13)。この際に、例えば、表示部5に表示された絶縁抵抗値を見た使用者が、測定を継続する必要がないと判断して開始/ホールドスイッチから指を離したとき(ホールド操作が行われたとき:「予め規定された第2の条件が満たされたとき」の一例である「予め規定された測定結果保持操作が行われたとの条件Aが満たされたとき」の一例)に、処理部6は、ホールド操作が行われたと判別し、記憶部7に記憶されている最新の絶縁抵抗値データDrの値(絶縁抵抗値)を測定対象についての測定結果として保持(ホールド)する(「第2の条件が満たされた時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持する」との処理の一例:ステップ14)。
【0037】
この際に、本例の絶縁抵抗計1では、処理部6が、良否判定を行うことなく、測定部2を制御して測定対象に対する測定用電圧の印加、および測定対象を流れる電流の電流値の測定を終了させ、かつ電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく絶縁抵抗値の演算を終了する。また、処理部6は、最新の演算結果(ホールド操作が行われた時点において演算した絶縁抵抗値)を表示部5に固定的に表示させる(表示替えせずに継続的に表示させる)と共に、測定値をホールドしている状態である旨を報知するために、一例として「HOLD」との文字列を演算結果と共に表示部5に表示させる。
【0038】
さらに、処理部6は、保持した測定結果の絶縁抵抗値データDrを通信部3から外部装置Xに送信させて(ステップ15)、この絶縁抵抗測定処理10を終了する。この結果、外部装置Xにおいて、絶縁抵抗計1から送信された絶縁抵抗値データDrが記録されると共に、絶縁抵抗値データDrの値(測定対象の絶縁抵抗値)が表示部に表示される(図示せず)。これにより、本例の絶縁抵抗計1では、開始/ホールドスイッチから指を離すホールド操作を行うだけで、その時点の演算結果を測定結果としてホールドさせ、かつ、測定結果を示す絶縁抵抗値データDrを外部装置Xに送信する一連の作業を完了させることが可能となっている。
【0039】
一方、上記のステップ13において、ホールド操作が行われていないと判別したときに、処理部6は、電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく演算結果が良好判定閾値RH以上であるか否かを判別する(ステップ16)。この際に、絶縁抵抗測定処理10の開始直後のこの時点においては、演算結果が良好判定閾値RHよりも低い値のため、処理部6は、演算結果が安定状態になったか否かを判別する(ステップ17)。この場合、絶縁抵抗測定処理10の開始直後のこの時点においては、安定状態になったか否かを比較すべき充分な量の演算結果が得られていないため、処理部6は、安定状態になっていないと判別してステップ12に戻り、測定部2による電流値データDaの測定、および電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく絶縁抵抗値の演算を実行する。
【0040】
この後、処理部6は、ホールド操作の有無の判別(ステップ13)、演算結果が良好判定閾値RH以上であるか否かの判別(ステップ16)、および演算結果が安定状態になったか否かの判別(ステップ17)の各処理を繰り返し実行する。
【0041】
この場合、測定対象の絶縁状態が良好なときには、その絶縁抵抗値が充分に高い値となっている。したがって、測定対象の絶縁状態が良好で、かつ測定対象が有する容量成分が小さいときには、
図2に実線Laで示すように、開始/ホールドスイッチが操作されて測定部2による電流値の測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算が開始された時点t0から僅かな時間が経過した時点において、測定対象の状態に応じた充分に高い絶縁抵抗値が演算され、時点taにおいて良好判定閾値RHと同値の絶縁抵抗値が演算される。
【0042】
このような測定対象についての絶縁抵抗測定処理10を実行したときに、処理部6は、電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく演算結果が良好判定閾値RHと同値になった時点taにおいて(「予め規定された第2の条件が満たされたとき」の他の一例である「演算された絶縁抵抗値が予め設定された第1の抵抗値以上になったとの条件Bが満たされたとき」の一例:ステップ16)、測定対象の絶縁状態が良好であると判定する(ステップ18)。
【0043】
また、処理部6は、記憶部7に記憶されている最新の絶縁抵抗値データDrの値(良好判定閾値RHと同値の絶縁抵抗値)を測定対象についての測定結果として保持(ホールド)する(「第2の条件が満たされた時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持する」との処理の他の一例:ステップ14)。
【0044】
さらに、処理部6は、測定部2を制御して測定対象に対する測定用電圧の印加、および測定対象を流れる電流の電流値の測定を終了させ、かつ電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく絶縁抵抗値の演算を終了する。また、処理部6は、最新の演算結果を表示部5に固定的に表示させると共に、一例として、測定対象の絶縁状態が良好である旨を示す「PASS」との文字列を、ホールド中である旨を示す「HOLD」との文字列、および演算結果と共に表示部5に表示させる。
【0045】
なお、演算結果が良好判定閾値RH以上となった時点taで測定値をホールドする本例では、ホールドした測定値が測定対象の実際の絶縁抵抗値とは異なることが多い。したがって、本例の絶縁抵抗計1では、一例として、ステップ16において演算結果が良好判定閾値RH以上であると判別した後のステップ14において、演算結果に関し「≧〇〇〇MΩ(「〇〇〇」は、良好判定閾値RHの値を示す数値)」のように表示することで、測定対象の絶縁抵抗値が良好判定閾値RH以上であること(「〇〇〇MΩ」が実際の絶縁抵抗値とは異なること)を報知する構成が採用されている。
【0046】
さらに、処理部6は、保持した測定結果の絶縁抵抗値データDrを通信部3から外部装置Xに送信させ(ステップ15)、この絶縁抵抗測定処理10を終了する。これにより、外部装置Xにおいて、絶縁抵抗計1から送信された絶縁抵抗値データDrが記録されると共に、絶縁抵抗値データDrの値(測定対象の絶縁抵抗値)が表示部に表示される(図示せず)。
【0047】
一方、絶縁状態が良好な測定対象についての上記の例とは異なり、測定対象の絶縁状態が不良なときには、その絶縁抵抗値が非常に低い値となっている。したがって、測定対象の絶縁状態が不良で、かつ測定対象が有する容量成分が小さいときには、
図2に二点鎖線Lbで示すように、開始/ホールドスイッチが操作されて測定部2による電流値の測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算が開始された時点t0から僅かな時間が経過した時点tbにおいて、測定対象の状態に応じた低い絶縁抵抗値で安定状態となる。
【0048】
このような測定対象についての絶縁抵抗測定処理10を実行したときに、処理部6は、電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく演算結果の単位時間当りの変化率が予め規定された変化率を下回る状態(例えば、連続する10回分の演算結果の変化量が予め規定された量を下回る状態)となったときに(「予め規定された第2の条件が満たされたとき」のさらに他の一例である「演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値を下回る値で予め規定された安定状態になったとの条件Cが満たされたとき」の一例:ステップ17)、安定状態となった演算結果が不良判定閾値RLを下回っているか否かを判別する(ステップ20)。
【0049】
なお、上記のように「演算された絶縁抵抗値が安定状態になったか否か」の判別基準(上記の例では、「連続する10回分の演算結果の変化量」の閾値)については、一例として、測定部2の各測定レンジ毎に予め規定されて記憶部7に記憶されているものとする。
【0050】
また、処理部6は、演算結果が不良判定閾値RLを下回っているときに(「演算された絶縁抵抗値が予め設定された第2の抵抗値よりも低い値で予め規定された安定状態になったとの条件Cとしての条件Dが満たされたとき」の一例)、測定対象の絶縁状態が不良であると判定する(ステップ19)。この際に、処理部6は、記憶部7に記憶されている最新の絶縁抵抗値データDrの値(不良判定閾値RLを下回る絶縁抵抗値)を測定対象についての測定結果として保持(ホールド)する(「第2の条件が満たされた時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持する」との処理のさらに他の一例:ステップ14)。
【0051】
さらに、処理部6は、測定部2を制御して測定対象に対する測定用電圧の印加、および測定対象を流れる電流の電流値の測定を終了させ、かつ電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく絶縁抵抗値の演算を終了する。また、処理部6は、最新の演算結果を表示部5に固定的に表示させると共に、一例として、測定対象の絶縁状態が不良である旨を示す「FAIL」との文字列を、ホールド中である旨を示す「HOLD」との文字列、および演算結果と共に表示部5に表示させる。
【0052】
さらに、処理部6は、保持した測定結果の絶縁抵抗値データDrを通信部3から外部装置Xに送信させ(ステップ15)、この絶縁抵抗測定処理10を終了する。これにより、外部装置Xにおいて、絶縁抵抗計1から送信された絶縁抵抗値データDrが記録されると共に、絶縁抵抗値データDrの値(測定対象の絶縁抵抗値)が表示部に表示される(図示せず)。
【0053】
また、上記の各例とは異なり、測定対象が有する容量成分がやや大きいときには、
図2に一点鎖線Lcで示すように、開始/ホールドスイッチが操作されて測定部2による電流値の測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算が開始された時点t0から、演算される絶縁抵抗値が安定状態となる時点tcまでにある程度の時間を要する。さらに、その測定対象の絶縁状態が、不良であると判定される程ではないものの、電気設備の施工不良や経年劣化等に起因して絶縁抵抗値がやや低下している場合には一点鎖線Lcで示す例のように、安定状態となった絶縁抵抗値が不良判定閾値RL以上で良好判定閾値RH未満の値となる。
【0054】
このような測定対象についての絶縁抵抗測定処理10を実行したときに、処理部6は、電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく演算結果の単位時間当りの変化率が予め規定された変化率を下回る状態となったときに(「予め規定された第2の条件が満たされたとき」のさらに他の一例である「演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値を下回る値で予め規定された安定状態になったとの条件Cが満たされたとき」の他の一例:ステップ17)、安定状態となった演算結果が不良判定閾値RLを下回っているか否かを判別する(ステップ20)。
【0055】
また、処理部6は、演算結果が不良判定閾値RL以上のときに(「演算された絶縁抵抗値が第2の抵抗値以上で第1の抵抗値未満の範囲内で予め規定された安定状態になったとの条件Cとしての条件Eが満たされたとき」の一例)、測定対象の絶縁状態が良好であると判定する(ステップ18)。この際に、処理部6は、記憶部7に記憶されている最新の絶縁抵抗値データDrの値(不良判定閾値RL以上で良好判定閾値RH未満の絶縁抵抗値)を測定対象についての測定結果として保持(ホールド)する(「第2の条件が満たされた時点において演算部によって演算された絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持する」との処理のさらに他の一例:ステップ14)。
【0056】
さらに、処理部6は、測定部2を制御して測定対象に対する測定用電圧の印加、および測定対象を流れる電流の電流値の測定を終了させ、かつ電圧値データDvおよび電流値データDaに基づく絶縁抵抗値の演算を終了する。また、処理部6は、最新の演算結果を表示部5に固定的に表示させると共に、一例として、測定対象の絶縁状態が良好である旨を示す「PASS」との文字列を、ホールド中である旨を示す「HOLD」との文字列、および演算結果と共に表示部5に表示させる。
【0057】
さらに、処理部6は、保持した測定結果の絶縁抵抗値データDrを通信部3から外部装置Xに送信させ(ステップ15)、この絶縁抵抗測定処理10を終了する。これにより、外部装置Xにおいて、絶縁抵抗計1から送信された絶縁抵抗値データDrが記録されると共に、絶縁抵抗値データDrの値(測定対象の絶縁抵抗値)が表示部に表示される(図示せず)。
【0058】
この場合、出願人は、各種の測定対象についての絶縁抵抗測定処理10を実行したときに、その多くにおいて、開始/ホールドスイッチが操作されて測定部2による電流値の測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算が開始された時点t0から1分が経過する時点t1よりも前に演算結果(絶縁抵抗値)がホールドされる(上記の例における時点ta〜tcが到来する)ことを確認している。
【0059】
このように、この絶縁抵抗計1では、処理部6が、予め規定された「第1の条件」が満たされたときに、測定部2による電流値の測定を開始させて絶縁抵抗値の演算を開始し、かつ予め規定された「第2の条件」が満たされたときに、「第2の条件」が満たされた時点において演算した絶縁抵抗値を測定対象についての測定結果として保持して絶縁抵抗値データDrを生成すると共に、予め規定された「測定結果保持操作(本例では、測定スイッチの押圧の終了)」が行われたとの「条件A」、演算した絶縁抵抗値が予め設定された良好判定閾値RH(第1の抵抗値)以上になったとの「条件B」、および演算した絶縁抵抗値が良好判定閾値RHを下回る値で予め規定された「安定状態」になったとの「条件C」のいずれかの条件が満たされたときに、「第2の条件」が満たされたとする。
【0060】
したがって、この絶縁抵抗計1によれば、絶縁状態が良好で、かつ容量成分が小さい測定対象については、測定部2による測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算を開始してから短時間で良好判定閾値RH以上の絶縁抵抗値が演算されるため、その測定対象についての絶縁抵抗値の測定処理を充分に短い時間で完了させることができる。また、絶縁状態が不良の測定対象や、絶縁抵抗が良好であるものの、その絶縁抵抗値がやや低下している測定対象については、処理部6が予め規定された「安定状態」になったと判別した時点において、その時点において演算された絶縁抵抗値が測定結果として自動的にホールドされるため、絶縁抵抗値の測定処理の都度、「安定状態」の判別基準が相違する事態を好適に回避することができる。これにより、好適な比較が可能な測定結果を短時間で容易に取得することができる。
【0061】
また、この絶縁抵抗計1では、処理部6が、「条件A」、「条件B」、演算した絶縁抵抗値が良好判定閾値RHよりも低い値の予め設定された不良判定閾値RL(第2の抵抗値)よりも低い値で予め規定された「安定状態」になったとの「条件C」としての「条件D」、および演算した絶縁抵抗値が不良判定閾値RL以上で良好判定閾値RH未満の範囲内で予め規定された「安定状態」になったとの「条件C」としての「条件E」のいずれかの条件が満たされたときに、「第2の条件」が満たされたとすると共に、「条件B」および「条件E」のいずれかが満たされたときに、測定対象の絶縁状態が良好であると判定し、かつ「条件D」が満たされたときに、測定対象の絶縁状態が不良であると判定する。
【0062】
したがって、この絶縁抵抗計1によれば、演算される絶縁抵抗値が良好判定閾値RH以上となる測定対象については、良好判定閾値RH以上の絶縁抵抗値が演算された時点で絶縁状態が良好であると直ちに判定され、そのような測定対象以外の測定対象についても、安定状態となった絶縁抵抗値が不良判定閾値RLを下回っているときには絶縁状態が不良であると判定され、安定状態となった絶縁抵抗値が不良判定閾値RL以上のときには絶縁状態が良好であると判定されるため、測定結果に基づいて使用者や外部装置が良否判定を行うことなく、測定対象の絶縁状態を確実かつ容易に特定することができる。
【0063】
さらに、この絶縁抵抗計1によれば、処理部6が、「第2の条件」が満たされたときに、測定部2による電流値の測定を終了させ、かつ絶縁抵抗値の演算を終了することにより、「第2の条件」が満たされた後にも測定部2による測定や処理部6による絶縁抵抗値の演算を継続する構成とは異なり、「第2の条件」が満たされた時点において測定対象に対する測定用電圧の印加が終了し、かつ処理部6による演算処理による電力の消費も終了するため、測定対象の絶縁抵抗値の測定に要する電力を充分に低減することができる。これにより、電源として電池(一次電池や二次電池)を利用する構成においては、残存電力で測定処理を実行可能な回数を充分に多くすることができる。
【0064】
さらに、この絶縁抵抗計1によれば、処理部6が、「第2の条件」が満たされたときに、通信部3から外部装置Xに測定結果としての絶縁抵抗値データDrを出力させることにより、保持した測定結果(絶縁抵抗値データDr)を手動で外部装置Xに出力する必要がなくなるため、絶縁抵抗計1の使用者(測定作業を実施する者)にかかる負担を充分に軽減することができる。
【0065】
なお、「絶縁抵抗計」の構成は、上記の絶縁抵抗計1の構成の例に限定されない。例えば、演算結果(演算した絶縁抵抗値)が不良判定閾値RLを下回っているか否かに基づいて測定対象の絶縁状態が良好か不良かを判定する処理を実行する構成を例に挙げて説明したが、絶縁状態が良好か不良かの判定については、測定結果に基づいて使用者や外部装置が行う構成を採用することもできる。
【0066】
そのような構成を採用する場合においても、「測定結果保持操作が行われたとの条件A」、「演算された絶縁抵抗値が予め設定された第1の抵抗値以上になったとの条件B」および「演算された絶縁抵抗値が第1の抵抗値を下回る値で安定状態になったとの条件C」のいずれかの条件が満たされたときに、「第2の条件が満たされた」とする構成を採用することにより、絶縁状態が良好で、かつ容量成分が小さい測定対象については、絶縁抵抗値の測定処理を充分に短い時間で完了させることができ、絶縁状態が不良の測定対象や、絶縁抵抗が良好であるものの、その絶縁抵抗値がやや低下している測定対象については、絶縁抵抗値の測定処理の都度、「安定状態」の判別基準が相違する事態を好適に回避することができる。これにより、好適な比較が可能な測定結果を短時間で容易に取得することができる。
【0067】
また、「第2の条件」が満たされたときに、その時点の最新の演算結果を測定対象についての測定結果として保持すると共に、測定部2による測定および処理部6による絶縁抵抗値の演算を終了する構成を例に挙げて説明したが、「第2の条件」が満たされたときに、その時点の最新の演算結果を測定対象についての測定結果として保持するだけで、「測定部」による測定および「演算部」による絶縁抵抗値の演算を終了せずに継続する構成を採用することもできる。さらに、「第2の条件」が満たされたときに、通信部3から外部装置Xに「測定結果」としての絶縁抵抗値データDrを送信させる構成を例に挙げて説明したが、「測定結果出力部から外部装置への測定結果の出力」は、「絶縁抵抗計」に必須の機能ではなく、そのような機能を備えない構成を採用することもできる。