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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-191763(P2019-191763A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】車両検出装置及び車両検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20191004BHJP
   B61L 23/00 20060101ALI20191004BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   G06T7/00 650Z
   B61L23/00 Z
   B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-81661(P2018-81661)
(22)【出願日】2018年4月20日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 章
【テーマコード(参考)】
5H161
5L096
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB09
5H161DD20
5H161GG22
5H161GG24
5H161MM05
5H161MM15
5H161NN10
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA03
5L096FA24
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA68
5L096HA02
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】鉄道駅のプラットホームに沿った車両の有無の検出精度を向上できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る画像処理装置1は、車両が走行する線路を含む領域を撮像する撮像部によって撮像された撮像画像に含まれる直線を検出する直線検出部112と、撮像画像が予め設定された範囲内の角度を有する直線を含む場合に、撮像画像が車両を含まないと判定する車両判定部113と、車両判定部113による判定に基づいて、撮像画像が車両を含むか否かを示す情報を出力する出力部114と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する線路を含む領域を撮像する撮像部によって撮像された撮像画像に含まれる直線を検出する直線検出部と、
前記撮像画像が予め設定された範囲内の角度を有する前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定する判定部と、
前記判定部による判定に基づいて、前記撮像画像が前記車両を含むか否かを示す情報を出力する出力部と、
を有する車両検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記撮像画像が前記車両の走行方向と同一の方向の前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定する、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
前記直線検出部は、前記撮像画像の一部を検出領域として設定し、前記検出領域に含まれる前記直線を検出する、請求項1又は2に記載の車両検出装置。
【請求項4】
前記直線検出部は、前記撮像画像を前記車両の走行方向に沿って分割した複数の分割画像のそれぞれに含まれる前記直線を検出し、
前記判定部は、前記直線検出部が前記複数の分割画像のそれぞれで検出した前記直線に基づいて、前記車両が前記線路に沿って進入又は進出する向きを特定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記直線検出部は、前記撮像画像を2値化して輪郭を抽出した後、ハフ変換をすることによって、前記直線を検出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両検出装置。
【請求項6】
プロセッサが、
車両が走行する線路を含む領域を撮像する撮像部によって撮像された撮像画像に含まれる直線を検出するステップと、
前記撮像画像が予め設定された範囲内の角度を有する前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定するステップと、
前記判定するステップの判定に基づいて、前記撮像画像が前記車両を含むか否かを示す情報を出力するステップと、
を実行する車両検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像画像において車両を検出する車両検出装置及び車両検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅において、線路内への落下物の検出や、ホームドアの開閉の制御のために、プラットホームに停車している鉄道車両の有無を判定することが行われている。車両の有無を判定する監視装置として、車両が運行していない状態の雛形画像と、車両が運行している状態の現在画像との間でエッジ(輪郭)の差分を取ることによって、プラットホームに沿って進入又は進出する車両の有無を判定する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−341642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
夜間等、環境の明るさが低い状態では、画像中のエッジが見えづらくなる。特許文献1に記載の装置は、雛形画像と現在画像との差分の大小に基づいて判定するため、環境の明るさが低い状態で差分が小さくなると、車両の有無を正確に判定できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、鉄道駅のプラットホームに沿った車両の有無の検出精度を向上させることができる車両検出装置及び車両検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る車両検出装置は、車両が走行する線路を含む領域を撮像する撮像部によって撮像された撮像画像に含まれる直線を検出する直線検出部と、前記撮像画像が予め設定された範囲内の角度を有する前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定する判定部と、前記判定部による判定に基づいて、前記撮像画像が前記車両を含むか否かを示す情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記判定部は、前記撮像画像が前記車両の走行方向と同一の方向の前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定してもよい。
【0008】
前記直線検出部は、前記撮像画像の一部を検出領域として設定し、前記検出領域に含まれる前記直線を検出してもよい。
【0009】
前記直線検出部は、前記撮像画像を前記車両の走行方向に沿って分割した複数の分割画像のそれぞれに含まれる前記直線を検出し、前記判定部は、前記直線検出部が前記複数の分割画像のそれぞれで検出した前記直線に基づいて、前記車両が前記線路に沿って進入又は進出する向きを特定してもよい。
【0010】
前記直線検出部は、前記撮像画像を2値化して輪郭を抽出した後、ハフ変換をすることによって、前記直線を検出してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る車両検出方法は、プロセッサが、車両が走行する線路を含む領域を撮像する撮像部によって撮像された撮像画像に含まれる直線を検出するステップと、前記撮像画像が予め設定された範囲内の角度を有する前記直線を含む場合に、前記撮像画像が前記車両を含まないと判定するステップと、前記判定するステップの判定に基づいて、前記撮像画像が前記車両を含むか否かを示す情報を出力するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鉄道駅のプラットホームに沿った車両の有無の検出精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る画像処理システムの模式図である。
図2】第1の実施形態に係る画像処理システムのブロック図である。
図3】撮像装置が撮像した撮像画像を示す図である。
図4】検出領域の座標範囲の画像を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る直線検出部が画像中で検出した直線を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る画像処理方法のフローチャートを示す図である。
図7】撮像装置が撮像した撮像画像を示す図である。
図8】画像を車両の走行方向に沿って分割した分割画像を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る車両判定部が車両の進入又は進出の向きを特定する条件を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像処理システムSの模式図である。画像処理システムSは、画像処理装置1と、撮像装置2とを含む。画像処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0015】
撮像装置2は、駅のプラットホームPLの上部から、車両TRが走行する線路RAに向けて所定の角度となるように設置されているカメラである。撮像装置2は、プラットホームPLの周辺、すなわちプラットホームPL、車両TR及び線路RAを含む所定の撮像範囲を俯瞰的に撮像する撮像部を有する。撮像装置2は、撮像部を用いて撮像した撮像画像を、画像処理装置1に送信する。本実施形態では撮像装置2は、グレースケールの撮像画像を撮像するが、フルカラーの撮像画像を撮像してもよい。プラットホームPLの周辺における監視対象の領域を網羅して撮像できるように、任意の数の撮像装置2が配置される。
【0016】
画像処理装置1は、撮像装置2が撮像した撮像画像に対して所定の処理を行うコンピュータである。画像処理装置1は、撮像画像に基づいて車両を検出する車両検出装置として機能するとともに、撮像画像に基づいて物体(異物)を検出する物体検出装置として機能する。画像処理装置1は、撮像装置2に有線又は無線で接続される。画像処理装置1は、撮像装置2から受信した撮像画像を用いて所定の処理を行う。
【0017】
[画像処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る画像処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0018】
画像処理装置1は、制御部11と、インタフェース12と、記憶部13と、を有する。制御部11は、画像取得部111と、直線検出部112と、車両判定部113と、出力部114と、物体検出部115とを有する。
【0019】
インタフェース12は、撮像装置2との間で信号の授受をするためのインタフェースである。インタフェース12は、撮像装置2から受信した信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部11に入力する。また、インタフェース12は、制御部11から入力されたデータに所定の処理を行って信号を生成し、生成した信号を撮像装置2に送信する。
【0020】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部13は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部13は、撮像装置2が撮像した撮像画像、及び判定対象の領域を示す領域情報を記憶する。記憶部13は、画像処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にインタフェース12を介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0021】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、画像取得部111、直線検出部112、車両判定部113、出力部114及び物体検出部115として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0022】
本実施形態に係る画像処理システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。例えば画像処理装置1は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0023】
[車両検出方法の説明]
本実施形態に係る画像処理方法は、車両検出方法と、物体検出方法とを含む。車両検出方法において、まず撮像装置2は、所定の撮像範囲を撮像する。撮像装置2は、所定の時間間隔で定期的に撮像してもよく、あるいは画像処理装置1からの指示に従って撮像してもよい。撮像装置2は、撮像部を用いて撮像した撮像画像を画像処理装置1に送信する。
【0024】
画像処理装置1の画像取得部111は、撮像装置2が撮像した撮像画像を取得し、記憶部13に記憶させる。画像取得部111は、撮像装置2が撮像する度に撮像画像を取得してもよく、撮像装置2が所定期間内に撮像した撮像画像をまとめて取得してもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、撮像装置2は、撮像画像の水平方向が駅のプラットホームPLの長さ方向(すなわち、車両の走行方向)に相当し、垂直方向がプラットホームPLや線路RAの幅方向(すなわち、車両の走行方向に垂直な方向)に相当するように、配置される。以下では、それぞれの撮像画像において、水平方向をX方向(第1方向)、垂直方向をY方向(第2方向)とする。また、線路RAに向かって水平方向の左側から右側へ向かう向きを右向き、水平方向の右側から左側へ向かう向きを左向きとする。
【0026】
直線検出部112は、撮像装置2が撮像した撮像画像に含まれる直線を検出する。具体的には、まず、直線検出部112は、記憶部13から、撮像装置2が撮像した撮像画像を取得する。図3(a)、図3(b)は、撮像装置2が撮像した撮像画像P1を示す図である。図3(a)の撮像画像P1では、プラットホームPLに沿って車両TRが無い状態であるため、線路RAが写っている。図3(b)の撮像画像P1では、プラットホームPLに沿って車両TRが有る状態であるため、車両TRが写っており、線路RAが車両TRに隠れている。
【0027】
次に直線検出部112は、撮像画像P1のうち線路RAを含む可能性がある一部を、直線を検出する検出領域ARとして設定する。撮像画像P1の一部を検出領域ARとして設定することによって、後述の直線の有無を判定する処理の負荷を軽減でき、線路RAとは無関係の直線が検出されることを抑制できる。
【0028】
例えば直線検出部112は、ユーザが利用する通信端末(パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等)から、ユーザによる検出領域ARの指定を受け付けてもよい。この場合に、直線検出部112は、ユーザの通信端末の表示部に撮像画像P1を表示させる。ユーザは、通信端末の入力部を用いて、撮像画像P1中の領域(画素範囲)を指定する。そして直線検出部112は、ユーザが指定した領域を、検出領域ARとして設定する。これにより、ユーザは所望の検出領域ARを設定できる。
【0029】
また、例えば直線検出部112は、予め画像処理装置1に記憶された所定の規則に従って、検出領域ARを設定してもよい。この場合に、直線検出部112は、規則に従って撮像画像P1中の領域を決定し、検出領域ARとして設定する。検出領域ARを設定する規則は、例えば撮像画像P1の上側を基準として所定の範囲(上からα番目の画素〜β番目の画素)の画素である。これにより、ユーザが撮像画像P1上で検出領域ARを手作業で指定する必要がないため、ユーザの手間を削減できる。
【0030】
撮像装置2は、プラットホームPLから線路RAに向かって撮像するため、2本の線路RAのうちプラットホームPL側の1本は、プラットホームPL上の人間等によって隠れやすい。そのため、2本の線路RAのうちプラットホームPLから遠い側(すなわち撮像画像P1の上側)の線路RAの1本を含むように検出領域ARを設定することによって、線路RAに対応する直線の有無を高精度に判定できる。
【0031】
また、例えば直線検出部112は、撮像装置2から撮像画像P1の各画素までの距離に基づいて、検出領域ARを設定してもよい。この場合に、撮像装置2は、複数の撮像部を有するステレオカメラとして構成される。ステレオカメラである撮像装置2は、2つの撮像部を用いて同時に撮像範囲を撮像し、同時に撮像した2つの撮像画像を関連付けて画像処理装置1に送信する。
【0032】
画像処理装置1の画像取得部111は、撮像装置2が同時に撮像した2つの撮像画像に基づいて、公知の方法を用いて当該2つ撮像画像における撮像装置2の2つの撮像部の間の視差を、撮像画像の画素ごとに特定する。撮像装置2から被写体への距離が近いほど視差は大きく、撮像装置2から被写体への距離が遠いほど視差は小さい。そのため画像取得部111は、撮像画像の画素ごとに特定した視差の値を、撮像装置2からの距離を示す距離情報として、撮像画像に関連付けて記憶部13に記憶させる。
【0033】
また、撮像装置2は上方から被写体を撮像するため、被写体から撮像装置2までの距離は、所定の基準面(例えば地面又は線路RAが設置されている面)からの被写体の高さに対応する。すなわち、被写体の高さが高いほど撮像装置までの距離が近くなり、被写体の高さが低いほど撮像装置までの距離が遠くなる。そのため画像取得部111は、撮像装置2からの距離に代えて、所定の基準面からの高さを距離情報として用いてもよい。
【0034】
そして直線検出部112は、記憶部13に記憶された距離情報に基づいて撮像画像P1の各画素の撮像装置2からの距離を特定し、特定した距離が所定の範囲内の撮像画像P1中の領域を決定し、検出領域ARとして設定する。距離の範囲は、撮像装置2から線路RAまでの距離を含む所定の範囲である。これにより、ユーザが撮像画像P1上で検出領域ARを手作業で指定する必要がないため、ユーザの手間を削減できる。
【0035】
次に直線検出部112は、撮像画像P1から、検出領域ARの座標範囲の画像P2を取り出す。図4(a)、図4(b)は、検出領域ARの座標範囲の画像P2を示す図である。図3(a)の撮像画像P1に対応する図4(a)の画像P2では、プラットホームPLに沿って車両TRが無い状態であるため、線路RAの一部が写っている。図3(b)の撮像画像P1に対応する図4(b)の画像P2は、プラットホームPLに沿って車両TRが有る状態であるため、車両TRの一部が写っている。
【0036】
直線検出部112は、画像P2を2値化し、画像P2に含まれるエッジ(輪郭)を、勾配法、ラプラシアン法等の公知の手法により抽出する。これにより、画像P2において、エッジの部分が白色になり、それ以外の部分が黒色になる。そして直線検出部112は、エッジが抽出された画像P2に対して、ハフ変換をすることによって直線を検出する。
【0037】
具体的には、直線検出部112は、画像P2において、エッジ上の各座標(x,y)について、ρ=x・cosθ+y・sinθの式を用いて、ρ−θ空間へ射影する。直線検出部112は、ρ−θ空間において、所定の閾値以上の数の射影された曲線が重なっている点(ρ,θ)を、直線を表すパラメータと特定し、特定したパラメータに対応する画像P2(x−y空間)上の直線を検出する。
【0038】
直線検出部112は、ρ−θ空間の曲線が重なっている数が所定の閾値以上である全ての点(ρ,θ)に対応する直線を検出してもよく、ρ−θ空間の曲線が重なっている数が多い順に所定の数の直線を検出してもよい。
【0039】
直線検出部112は、上述の具体的な方法に限らず、撮像画像に含まれる直線を検出可能な公知の方法を用いることができる。直線検出部112は、画像P2を2値化ではなく多値化した画像からエッジ抽出して直線を検出してもよく、グレースケール画像からエッジ抽出して直線を検出してもよい。画像P2を2値化することによって、画像P2中のノイズを低減できるとともに、計算の負荷を低減して直線を検出できるという効果がある。
【0040】
次に車両判定部113は、直線検出部112が検出した各直線について、車両TRの走行方向(すなわち線路RAの延在方向)と同一の方向の直線か否かを特定する。具体的には、車両判定部113は、車両TRの走行方向(撮像画像P1の水平方向)を含む予め設定された範囲(例えば車両TRの走行方向に対して−10度から+10度の範囲)内の角度を有する直線を、車両TRの走行方向と同一の方向の直線として特定する。
【0041】
図5(a)、図5(b)は、直線検出部112が画像P2中で検出した直線L1、L2を示す図である。図3(a)の撮像画像P1に対応する図5(a)の画像P2は、車両判定部113が車両TRの走行方向と同一の方向と特定した直線L1を含んでいる。すなわち図5(a)の画像P2は、プラットホームPLに沿って車両TRが無い状態であるため、ハフ変換によって車両TRの走行方向と同一の方向に沿って延びる、線路RAに対応する直線L1を含む。
【0042】
図3(b)の撮像画像P1に対応する図5(b)の画像P2は、車両判定部113が車両TRの走行方向と同一の方向と特定した直線L1を含んでおらず、車両判定部113が車両TRの走行方向と同一の方向でないと特定した直線L2を含んでいる。すなわち図5(b)の画像P2は、プラットホームPLに沿って車両TRが有る状態であるため、ハフ変換によって車両TRの走行方向に沿った線路RAに対応する直線L1を含まない。その代わりに、図5(b)の画像P2は、車両TRの走行方向とは異なる方向に延びる、車両TRの構造(例えば車両TRの連結部)に対応する直線L2を含む。
【0043】
画像P2に線路RAが写っている場合には、プラットホームPLに沿って車両TRが無く、画像P2に線路RAが写っていない場合には、プラットホームPLに沿って車両TRが有る。そのため、車両判定部113は、画像P2中で直線検出部112が検出した直線のうち少なくとも1つが車両TRの走行方向と同一の方向の直線である場合(すなわち検出領域ARが車両TRの走行方向と同一の方向の直線を含む場合)に、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含まないと判定する。
【0044】
一方、車両判定部113は、画像P2中で直線検出部112が検出した全ての直線が車両TRの走行方向と同一の方向の直線でない場合(すなわち検出領域ARが車両TRの走行方向と同一の方向の直線を含まない場合)に、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含むと判定する。
【0045】
出力部114は、車両判定部113による判定に基づいて、撮像画像P1が車両TRを含むか否かを示す情報を出力する。出力部114は、記憶部13又はその他の記憶装置に情報を記憶させてもよい。出力部114は、液晶ディスプレイ、ランプ等の表示装置を用いて情報を表示してもよい。出力部114は、スピーカを用いて情報を示す音声を出力してもよい。出力部114は、プリンタを用いて情報を印刷してもよい。
【0046】
このように画像処理装置1は、撮像画像P1のうち線路RAを含む可能性のある検出領域ARの画像P2を2値化及びエッジ抽出し、ハフ変換によって線路RAに対応する直線を検出することによって、プラットホームPLに沿った車両TRの有無を判定する。撮像画像P1からのエッジの抽出は光量の変化に強いため、画像処理装置1は、環境の明るさが低い状態であっても車両の有無の検出精度を向上できる。
【0047】
[物体検出方法の説明]
車両検出方法において、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含まないと車両判定部113が判定した場合に、物体検出部115は、撮像画像P1の監視領域内の物体を検出する。物体検出部115は、撮像画像P1の全体(すなわち撮像装置2の撮像範囲)を監視領域としてもよく、撮像画像P1の一部を監視領域としてもよい。
【0048】
具体的には、物体検出部115は、記憶部13に記憶された過去のいずれかの時点(第1時点)の撮像画像を基準画像として、基準画像の監視領域と最新(第2時点)の撮像画像の監視領域とを比較する。物体検出部115は、時系列で1つ前に記憶された撮像画像を基準画像としてもよく、あるいは特定の時点(例えば撮像装置2の設置時)の撮像画像を基準画像としてもよい。そして基準画像の監視領域と最新の撮像画像の監視領域との間の差分が所定の条件(例えば差分の面積が所定値以上であること)を満たす場合に、物体検出部115は監視領域内に新たに存在する物体を検出する。
【0049】
物体検出部115が監視領域内の物体を検出する方法は、上述の具体的な方法に限定されない。例えば物体検出部115は、上述の距離情報に基づいて、撮像画像P1の監視領域内に所定の範囲内の距離の画素が発生した場合に、物体を検出してもよい。ユーザが監視対象の距離を適宜設定することによって、物体検出部115が地面にできた影を物体として検出しないようにできる。
【0050】
物体検出部115が監視領域内に存在する物体を検出した場合に、出力部114は、物体検出部115が撮像画像P1の監視領域内に物体を検出したことを通知する情報を出力する。
【0051】
一方、車両検出方法において、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含むと車両判定部113が判定した場合に、物体検出部115は、撮像画像P1の監視領域内の物体の検出を行わない。このように、物体検出部115は、車両判定部113がプラットホームPLに沿った車両TRが無いと判定したときのみ、撮像画像P1中の物体を検出するため、物体検出部115がプラットホームPLにある車両TRを物体(異物)として検出することを抑制し、無用な通知の出力を抑制できる。
【0052】
本実施形態では、画像処理装置1は、撮像画像P1中の車両TRの有無を判定した後に、自身で物体の検出をしているが、外部装置が物体の検出をしてもよい。その場合に、画像処理装置1は撮像画像P1中の車両TRの有無の判定結果を示す情報を外部装置に送信し、外部装置は画像処理装置1から受信した判定結果に基づいて物体の検出をするか否か決定する。
【0053】
[画像処理方法のフローチャート]
図6は、本実施形態に係る画像処理方法のフローチャートを示す図である。図6のフローチャートは、例えばユーザが画像処理装置1に対して所定の開始操作を行うことによって開始される。
【0054】
画像取得部111は、撮像装置2が撮像した撮像画像P1を取得し、記憶部13に記憶させる(S11)。直線検出部112は、ステップS11で画像取得部111が取得した撮像画像P1の一部を、直線を検出する検出領域ARとして設定する(S12)。
【0055】
直線検出部112は、撮像画像P1から、ステップS12で設定した検出領域ARの座標範囲の画像P2を取り出す。そして直線検出部112は、画像P2に対して2値化及びエッジ抽出をし、ハフ変換をすることによって直線を検出する(S13)。車両判定部113は、ステップS13で直線検出部112が検出した各直線について、車両TRの走行方向(すなわち線路RAの延在方向)と同一の方向の直線か否かを特定する(S14)。
【0056】
車両判定部113は、画像P2(検出領域AR)が車両TRの走行方向と同一の方向の直線を含む場合に(S15のYES)、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含まないと判定する(S16)。出力部114は、撮像画像P1が車両TRを含まないことを示す情報を出力する。そして物体検出部115は、ステップS11で画像取得部111が取得した撮像画像P1の監視領域内の物体を検出する(S17)。
【0057】
ステップS17で物体検出部115が監視領域内に存在する物体を検出した場合に(S18のYES)、出力部114は、物体検出部115が撮像画像P1の監視領域内に物体を検出したことを通知する情報を出力する(S19)。ステップS17で物体検出部115が監視領域内に存在する物体を検出しなかった場合に(S18のNO)、画像処理装置1はステップS21に進む。
【0058】
車両判定部113は、画像P2(検出領域AR)が車両TRの走行方向と同一の方向の直線を含まない場合に(S15のNO)、撮像画像P1(画像P2)が車両TRを含むと判定する(S20)。出力部114は、撮像画像P1が車両TRを含むことを示す情報を出力する。この場合に、物体検出部115は物体の検出を行わない。
【0059】
所定の終了条件(例えばユーザが画像処理装置1に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S21のNO)、画像処理装置1はステップS11に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S21のYES)、画像処理装置1は処理を終了する。
【0060】
[第1の実施形態の効果]
本実施形態に係る画像処理装置1は、撮像画像P1のうち線路RAを含む可能性のある検出領域ARの画像P2を2値化及びエッジ抽出してから直線を検出することによって、プラットホームPLに沿った車両TRの有無を判定する。撮像画像P1からのエッジの抽出は光量の変化に強いため、画像処理装置1は、環境の明るさが低い状態であっても車両TRの有無の検出精度を向上できる。
【0061】
さらに物体検出部115は、車両判定部113がプラットホームPLに沿った車両TRが無いと判定したときのみ、撮像画像P1中の物体を検出する。これにより、物体検出部115は、プラットホームPLにある車両TRを物体(異物)として検出することを抑制し、無用な通知の出力を抑制できる。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態はプラットホームPLに沿った車両TRの有無を判定するのに対して、本実施形態は車両TRの有無に加えて車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進入している向きを判定する。
【0063】
図7は、撮像装置2が撮像した撮像画像P1を示す図である。図7の撮像画像P1では、プラットホームPLに沿って車両TRが右側から進入している状態であるため、撮像画像P1の左側の一部に線路RAが写っており、撮像画像P1の右側の一部に車両TRが写っている。
【0064】
本実施形態に係る直線検出部112は、画像取得部111が取得した撮像画像P1から、検出領域ARの座標範囲の画像P2を取り出した後、さらに画像P2を分割位置Dで車両TRの走行方向に沿って複数の分割画像に分割する。図7の例では、直線検出部112は画像P2を3つの分割位置Dで4つに分割しているが、画像P2を少なくとも1つの分割位置Dで2つに分割すればよい。直線検出部112は、各分割画像に対して2値化及びエッジ抽出をし、ハフ変換をすることによって直線を検出する。
【0065】
図8(a)〜図8(c)は、画像P2を車両TRの走行方向に沿って分割した分割画像P3を示す図である。図8(a)の分割画像P3はプラットホームPLに沿って車両TRが無い図3(a)の状態に対応し、図8(b)の分割画像P3はプラットホームPLに沿って車両TRが右側から進入している図7の状態に対応し、図8(c)の分割画像P3はプラットホームPLに沿って車両TRが有る図3(b)の状態に対応する。各分割画像P3中には、直線検出部112が検出した直線が表されている。
【0066】
そして車両判定部113は、直線検出部112が検出した各直線について車両TRの走行方向と同一の方向の直線か否かを特定し、車両TRの走行方向と同一の方向の直線を含む分割画像P3が車両TRを含むと判定する。図8(a)〜図8(c)において、各分割画像P3の下に、車両判定部113が車両TRを含むと判定した場合(車両TRの走行方向と同一の方向の直線L1を含まない場合)に「○」、車両判定部113が車両TRを含むと判定しなかった場合(車両TRの走行方向と同一の方向の直線L1を含む場合)に「×」が表されている。
【0067】
第1の実施形態では、図8(b)のように撮像画像P1の範囲の一部に車両TRが有る場合に、直線検出部112は線路RAに対応する直線L1を検出するため、車両判定部113は撮像画像P1が車両TRを含まないと判定する。それに対して、本実施形態に係る車両判定部113は、分割画像P3の少なくとも1つが車両TRの走行方向と同一の方向の直線L1を含まない場合(すなわち車両TRに線路RAが隠れている場合)に、撮像画像P1が車両TRを含むと判定する。そのため、画像処理装置1は、車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進出している場合、あるいは車両TRが撮像画像P1の範囲の途中で停車している場合であっても、車両TRが有ると判定できる。
【0068】
さらに車両判定部113は、複数のタイミング(ここでは第1時点及び第2時点)で各分割画像P3の車両TRの有無を判定することによって、車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進出する向きを特定する。判定のタイミングの間隔は、車両TRの速度に応じて予め設定される。
【0069】
図9(a)〜図9(d)は、本実施形態に係る車両判定部113が車両TRの進入又は進出の向きを特定する条件を示す模式図である。図9(a)〜図9(d)は、第1時点及び第1時点より後の第2時点において、4つの分割画像P3についての車両判定部113の判定結果(車両TRを含む場合に「○」、車両TRを含まない場合に「×」)を、分割画像P3の順番で並べて表している。
【0070】
図9(a)の場合には、第1時点から第2時点へ、右側の車両TRを含む領域が増加している。このような場合に、車両判定部113は、車両TRがプラットホームPLへ左向きに進入していると判定する。図9(b)の場合には、第1時点から第2時点へ、左側の車両TRを含む領域が増加している。このような場合に、車両判定部113は、車両TRがプラットホームPLへ右向きに進入していると判定する。
【0071】
図9(c)の場合には、第1時点から第2時点へ、左側の車両TRを含む領域が減少している。このような場合に、車両判定部113は、車両TRがプラットホームPLから左向きに進出していると判定する。図9(d)の場合には、第1時点から第2時点へ、右側の車両TRを含む領域が減少している。このような場合に、車両判定部113は、車両TRがプラットホームPLから右向きに進出していると判定する。
【0072】
このように車両判定部113は、車両TRを含む分割画像P3の数の複数のタイミングにわたる変化に基づいて、車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進出する向きを特定できる。
【0073】
[第2の実施形態の効果]
本実施形態に係る画像処理装置1は、撮像画像P1を分割した複数の分割画像P3について車両TRの有無を判定することによって、車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進出している場合、あるいは車両TRが撮像画像P1の範囲の途中で停車している場合であっても、プラットホームPLに沿って車両TRが有ると判定できる。
【0074】
さらに画像処理装置1は、複数の分割画像P3について複数のタイミングでの車両TRの有無を判定することによって、車両TRがプラットホームPLに沿って進入又は進出する向きを特定できる。例えば画像処理装置1は、車両TRが進入又は進出する向きをプラットホームPLに予め関連付けられた入線の向きと比較し、一致した場合には車両TRが有るとの判定が誤検出でないことを確認できる効果がある。画像処理装置1は、車両TRが進入又は進出する方向とプラットホームPLに予め関連付けられた入線の向きとが一致しない場合には、車両TRが有るとの判定が誤検出の可能性がある旨を出力してもよい。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0076】
画像処理装置1の制御部11(プロセッサ)は、図6に示す方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、制御部11は、図6に示す方法を実行するためのプログラムを記憶部13から読み出し、当該プログラムを実行して画像処理装置1の各部を制御することによって、図6に示す方法を実行する。
【0077】
画像処理装置1は、撮像装置2と一体的に構成されてもよい。すなわち、撮像装置2は、画像処理装置1の機能(すなわち画像取得部111、直線検出部112、車両判定部113、出力部114及び物体検出部115)の少なくとも一部を有してもよい。
【符号の説明】
【0078】
S 画像処理システム
1 画像処理装置
2 撮像装置
11 制御部
112 直線検出部
113 車両判定部
114 出力部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9