【解決手段】本送金システムは、送金金額と送金人の連絡先と受取人を示す受取人情報とを含む送金要求を受ける受信手段と、前記送金要求に含まれる連絡先に対して、前記送金金額と前記受取人情報とを含む承認要求を送信する承認要求手段と、前記送金人と前記送金人が保有する口座との対応を管理する管理手段と、前記承認要求に対する応答として了承通知を受信すると、前記送金金額の出金を指示する出金指示を送信するとともに、前記管理手段において前記送金人に対応付けられた口座から前記送金金額の金銭を減額させる減額処理を実行する送金手段と、を備える口座管理サーバと、前記出金指示を受けると、前記送金金額の金銭を出金する出金手段を備える取引装置と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る送金システム500の一例を示す図である。送金システム500は、銀行サーバ1、Automatic Teller Machine(ATM)2、送金人端末3、ネットワークN1を含む。送金システム500では、受取人がATM2を操作して送金人端末3に対して銀行サーバ1を介して送金要求を送信する。送金人が送金要求を承認すると、送金人端末3は送金了承通知を銀行サーバ2に送信する。送金了承通知を受信した銀行サーバ1が、送金要求で指定された金額を送金人の送金人口座からATM2に出金する。以下、
図1を参照して、実施形態に係る送金システム500の一例について説明する。送金システム500は、「送金システム」の一例である。
【0018】
銀行サーバ1は、金融機関に設置される情報処理装置である。銀行サーバ1は、顧客の連絡先、口座番号等の顧客に係る情報と顧客を識別する顧客IDとを対応付けて記憶する。銀行サーバ1は、ATM2からの問い合わせに応じて、顧客の連絡先等の情報を提供する。銀行サーバ1は、「口座管理サーバ」の一例である。
【0019】
ATM2は、口座への入金や口座からの出金、口座間の送金等の各種取引を実行する情報処理装置である。ATM2は、例えば、現金自動預入支払機、自動取引装置、自動窓口機、現金自動支払機とも称される。ATM2は、通帳やキャッシュカード等の取引媒体を受け付ける。取引媒体には、磁気テープやICチップ等によって顧客を識別する顧客IDが記憶されており、ATM2は受け付けた取引媒体から顧客IDを取得して取引を開始する。
【0020】
図2は、ATM2の外観の一例を示す図である。ATM2は、正面ディスプレイ21、取引媒体挿入口22、硬貨投入口23、紙幣投入口24、操作画面25、入力部26およびカメラ27を備える。取引媒体挿入口22は、通帳やキャッシュカード等の取引媒体が挿入される挿入口である。硬貨投入口23は、硬貨を投入する硬貨投入口である。紙幣投入口24は、紙幣を投入する紙幣投入口である。また、硬貨投入口23および紙幣投入口24は、口座から出金される現金の取り出し口としても利用できる。正面ディスプレイ21および操作画面25は、表示装置である。操作画面25には、例えば、ATM2を利用する顧客に対して操作手順の案内、操作結果等が表示される。入力部26は、ATM2を利用する顧客からの操作を受け付けるユーザーインタフェースである。入力部26は、例えば、タッチ操作を受け付けるタッチパネル、テンキーによって例示されるキーボード等である。カメラ27は、ATM2を操作する受取人を撮影するカメラである。カメラ27は、動画を撮影するビデオカメラであっても静止画を撮影するスチルカメラであってもよい。ATM2は、「取引装置」の一例である。
【0021】
送金人端末3は、送金人が保有する情報処理装置である。送金人端末3は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノートブック型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータ、Personal Digital Assistant(PDA)、携帯電話等である。送金人端末3は、「送金人端末」の一例である。
【0022】
ネットワークN1は、コンピュータを相互に接続するコンピュータネットワークである。ネットワークN1は、例えば、インターネットによって例示される公衆通信網であり、銀行サーバ1、ATM2、送金人端末3はネットワークN1によって相互に通信可能に接続される。
【0023】
図3は、情報処理装置600のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置600は、Central Processing Unit(CPU)601、主記憶部602、補助記憶部6
03、通信部604および接続バスB1を含む。CPU601、主記憶部602、補助記憶部603および通信部604は、接続バスB1によって相互に接続されている。情報処理装置600は、銀行サーバ1、ATM2、送金人端末3として利用できる。
【0024】
CPU601は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU601は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU601がマルチコア構成を有していても良い。CPU601が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU601以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、CPU601が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のディジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU601の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(AS
IC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU601は、プロセッサと集積回路
との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。情報処理装置600では、CPU601が補助記憶部603に記憶されたプログラムを主記憶部602の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、情報処理装置600は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部602および補助記憶部603は、情報処理装置600が読み取り可能な記録媒体である。
【0025】
主記憶部602は、CPU601から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部602は、Random Access Memory(RAM)およびRead Only Memory(ROM)を含む。
【0026】
補助記憶部603は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部603は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部603には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部604を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置および外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部603は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0027】
補助記憶部603は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッド
ステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk
Drive、HDD)等である。また、補助記憶部603は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部603は、Network Attached Sto
rage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0028】
通信部604は、コンピュータネットワークとのインターフェースである。通信部604は、例えば、ネットワークN1等のコンピュータネットワークを介して外部の装置と通信を行う。通信部604は、例えば、ネットワークインターフェースカード(NIC)である。
【0029】
入出力部605は、情報処理装置600の処理結果を出力したり情報処理装置600へのデータの入力を行ったりする。入出力部605は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、加速度センサーあるいは音声入力装置といった入力デバイスである。また、入出力部605は、例えば、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルあるいはプリンタである。さらに、情報処理装置
600がATM2である場合、入出力部605は、正面ディスプレイ21、操作画面25、入力部26およびカメラ27を含む。
【0030】
<送金システム500の処理ブロック>
図4は、実施形態に係る送金システム500の処理ブロックの一例を示す図である。銀行サーバ1、ATM2および送金人端末3の各々は、主記憶部602に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU601が実行することで、
図4に例示される各部としての処理を実行する。
【0031】
<ATM2の処理ブロック>
ATM2は、
図4に例示されるように、要求部201、撮影部202および出金部203を備える。以下、
図4を参照して、ATM2に処理ブロックについて説明する。
【0032】
撮影部202は、ATM2を操作する受取人の顔をカメラ27に撮影させる。撮影部202は、カメラ27に撮影させた受取人の顔画像を、例えば、ATM2の補助記憶部603に記憶させる。撮影部202は、「撮影手段」の一例である。受取人の顔画像は、「受取人情報」の一例である。
【0033】
要求部201は、銀行サーバ1に対して送金要求を送信する。要求部201は、受取人から送金人連絡先および送金希望額の指定を、例えば、入力部26を介して受け付ける。要求部201は、送金人連絡先および送金希望額の指定を受け付けると、撮影部202に受取人の顔写真を撮影させる。送金人連絡先は、例えば、送金人が保有する送金人端末3の電話番号、メールアドレス等、送金人の連絡先として使用できる情報であればよい。要求部201は、受取人の顔写真と送金人連絡先と送金希望額とを含む送金要求を銀行サーバ1に対して送信する。要求部201は、「要求手段」の一例である。
【0034】
出金部203は、銀行サーバ1から出金指示を受けると、送金希望額の金銭を紙幣投入口24から出金する。出金部203は、送金が不可であることを示す送金不可通知を銀行サーバ1から受信すると、送金できない旨を、例えば、正面ディスプレイ21や操作画面25に出力する。出金部203は、「出金手段」の一例である。
【0035】
<銀行サーバ1の処理ブロック>
銀行サーバ1は、
図4に例示されるように、受付部101、認証部102、出金指示部103および口座管理データベース(図中では、DBと記載)104を備える。以下、
図4を参照して、銀行サーバ1の処理ブロックについて説明する。
【0036】
口座管理データベース104は、顧客を特定する情報と顧客が保有する口座とを対応付
けて管理するデータベースである。
図5は、口座管理データベース104の口座管理テーブル1041の一例を示す図である。口座管理テーブル1041は、口座番号、暗証番号、電話番号、メールアドレス、預金残高の各項目を含む。口座番号は、口座を一意に識別する番号である。暗証番号は、口座を用いた取引(例えば、口座間の送金、口座からの出金等)を行う際に、顧客の認証に用いられる情報である。暗証番号は、暗証番号そのものが口座管理テーブル1041に格納されてもよいし、一方向ハッシュ関数等で暗証番号を非可逆に変換したものが口座管理テーブル1041に格納されてもよい。電話番号およびメールアドレスは、口座を保有する送金人が保有する送金人端末3で受信可能な連絡先である。預金残高は、口座に入金されている金額(残高)である。口座管理データベース104および口座管理テーブル1041は、「管理手段」の一例である。
【0037】
図4に戻り、受付部101は、ATM2からの送金要求を受け付ける。送金要求は、上記の通り、受取人の顔写真と送金人連絡先と送金希望額とを含む。受付部101は、送金要求を受け付けると、指定された送金人連絡先に対し、受取人の顔写真と送金希望額とを含む承認要求を送信する。例えば、送金人連絡先がメールアドレスによって指定される場合、承認要求は指定されたメールアドレス宛にメールを送信することで行われる。また、例えば、送金人連絡先が電話番号によって指定される場合、承認要求は指定された電話番号宛てにMultimedia Messaging Service(MMS)を送信することで行われる。受付部101は、「受信手段」および「承認要求手段」の一例である。
【0038】
認証部102は、送金元口座番号と暗証番号とを含む了承通知を承認要求の応答として受信すると、了承通知から送金元口座番号と暗証番号とを抽出する。認証部102は、送金元口座番号に対応する暗証番号を口座管理テーブル1041から索出し、索出した暗証番号と了承通知に含まれる暗証番号とが一致するか否かを判定する。
【0039】
出金指示部103は、認証部102によって索出した暗証番号と了承通知に含まれる暗証番号とが一致すると判定された場合、了承通知で指定された送金元口座番号で特定される送金元口座から送金要求に含まれる送金希望額を減額する減額処理を実行した上で、送金希望額の出金をATM2に対して指示する。出金指示部103は、暗証番号が一致しない場合、または、送金人端末3から拒否通知を受信した場合、送金不可通知をATM2に送信する。出金指示部103は、「送金手段」の一例である。
【0040】
<送金人端末3の処理ブロック>
送金人端末3は、
図4に例示されるように、受信部301、出力部302および送信部303を備える。以下、
図4を参照して、送金人端末3の処理ブロックについて説明する。
【0041】
受信部301は、銀行サーバ1から承認要求を受信する。出力部302は、受信部301が受信した承認要求に含まれる受取人の顔写真と送金希望額とを送金人端末3のディスプレイ等に出力して、送金人に対し了承または拒否の判断を促す。
【0042】
送信部303は、送金人が送金を了承する場合、了承通知を銀行サーバ1に対して送信する。送信部303は、送金人が保有する口座の中から選択された送金元口座の送金元口座番号の指定と送金元口座の暗証番号の入力を受け付ける。送信部303は、指定された送金元口座番号と暗証番号とを含む了承通知を銀行サーバ1に対して送信する。なお、送金人が送金を拒否する場合、送信部303は拒否通知を銀行サーバ1に対して送信する。
【0043】
<送金システム500の処理シーケンス>
図6は、実施形態に係る送金システム500の処理シーケンスの一例を示す図である。以下、
図6を参照して、送金システム500の処理シーケンスの一例について説明する。
【0044】
S1では、ATM2の要求部201は、受取人からの送金人連絡先および送金希望額の指定を受け付ける。S2では、送金人連絡先および送金希望額の指定を受け付けた要求部201は、撮影部202に受取人の顔写真を撮影させる。S3では、要求部201は、S1で受け付けた送金人連絡先および送金希望額と、S2で撮影した受取人の顔写真とを含む送金要求を銀行サーバ1に対して送信する。
【0045】
S4では、銀行サーバ1の受付部101は、ATM2からの送金要求を受け付ける。受付部101は、送金要求に含まれる送金人連絡先に対して、送金希望額と受取人の顔写真とを含む承認要求を送信する。S4における送金要求を受け付ける処理は、「受信ステップ」の一例である。S4における承認要求を送信する処理は、「送信ステップ」の一例である。
【0046】
S5では、送金人端末3の受信部301は、銀行サーバ1から承認要求を受信する。出力部302は、受信部301が受信した承認要求に含まれる受取人の顔写真と送金希望額とを送金人端末3のディスプレイ等に出力する。
【0047】
S6では、送金人端末3の送信部303は、了承通知または拒否通知を銀行サーバ1に対して送信する。例えば、S5で出力された受取人の顔写真と送金希望額とを確認して送金を了承した送金人が、送金元口座の送金元口座番号と送金元口座に対応付けられている暗証番号を入力すると、送信部303は、送金元口座番号と暗証番号とを含む了承通知を銀行サーバ1に送信する。また、例えば、S5で出力された受取人の顔写真と送金希望額とを確認して送金を送金人が拒否する場合、送信部303は、拒否通知を銀行サーバ1に対して送信する。
【0048】
S7では、銀行サーバ1の認証部102は、了承通知を受信すると認証処理を行う。認証部102は、受信した了承通知に含まれる送金元口座番号と暗証番号を了承通知から抽出する。認証部102は、送金元口座番号に対応する暗証番号と了承通知に含まれる暗証番号とが一致するか否かを判定する。
【0049】
S8では、出金指示部103は、S7における認証処理において認証部102が送金元口座番号に対応する暗証番号と了承通知に含まれる暗証番号とが一致すると判定した場合、送金元口座から送金希望額を減額する。S8の処理は、「減額処理」の一例である。
【0050】
S9では、S6で了承通知を受信した場合、出金指示部103は、送金希望額の出金を指示する出金指示をATM2に対して送信する。S6で拒否通知を受信した場合、または、S7において暗証番号が一致しない場合、出金指示部103は、送金不可通知をATM2に送信する。S7からS9の処理は、「送金ステップ」の一例である。
【0051】
S10では、出金指示を受信した場合、ATM2の出金部203は、送金希望額の金銭を紙幣投入口24から出金する。送金不可通知を受信した場合、ATM2の出金部203は、送金できない旨を、例えば、正面ディスプレイ21や操作画面25に出力する。
【0052】
<実施形態の作用効果>
実施形態では、ATM2から送金要求を受信した銀行サーバ1は、送金人端末3に対して承認要求を送信し、送金が承認されると、銀行サーバ1は送金元口座から送金希望額を減額するとともに、ATM2に対して出金指示を行う。出金指示を受信したATM2は、送金希望額の金銭を出金する。このような構成を採用することにより、実施形態では、受取人が口座を保有していなくとも、送金人からの送金を受け取ることができる。
【0053】
実施形態では、送金人端末3が送信した暗証番号と、口座管理テーブル1041によって口座と対応付けられた暗証番号とが一致する場合に、出金指示の送信と減額処理とが実行される。そのため、実施形態によれば、送金人になりすました他人によって送金が了承されることを抑制できる。
【0054】
実施形態では、了承通知は送金元口座として使用する口座を指定する情報を含む。そのため、実施形態によれば、送金人が複数の口座を保有している場合において、いずれの口座を送金元口座として使用するか送金人が選択できる。
【0055】
実施形態では、受取人の顔画像をATM2が備えるカメラ27によって撮影し、撮影した顔画像を送金人端末3に送信した。送金人は、受信した顔画像を確認することで、受取人が誰であるかを認識できる。そのため、実施形態によれば、受取人が認証のための煩わしい操作を行わなくとも、送金人は受取人が誰であるかを確認することができる。
【0056】
<第1変形例>
実施形態では、銀行サーバ1の認証部102は、了承通知に含まれる暗証番号と送金元口座に対応する暗証番号とが一致すると、ATM2において出金が行われた。認証部102は、さらに、送金元口座の残高が送金希望額以上であるか否かを判定してもよい。送金元口座の残高が送金希望額未満である場合、認証部102は、その旨を通知する残高不足通知を送金人連絡先に対して送信してもよい。このような構成とすることで、残高不足によって出金ができないことを回避できる。
【0057】
<第2変形例>
実施形態では、受取人の顔写真を参照して送金人は送金の可否を判定した。第2変形例では、送金人端末3から受取人が保有する受取人端末に対してあらかじめ暗号文が共有され、当該暗号文を基に送金の可否が判定される構成について説明する。実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図7は、第2変形例に係る送金システム500aの処理ブロックの一例を示す図である。第2変形例に係る送金システム500aは、送金人端末3に代えて送金人端末3aを備えるとともに、受取人端末4をさらに備える点で実施形態に係る送金システム500とは異なる。
【0059】
送金人端末3aは、暗号処理部304をさらに備える点で、実施形態に係る送金人端末3とは異なる。暗号処理部304は、所定の文字列を暗号化した第1の暗号文を生成する。暗号処理部304は、例えば、補助記憶部603にあらかじめ記憶した秘密鍵と所定の暗号化アルゴリズムを用いて、所定の文字列を暗号化した第1の暗号文を生成してもよい。所定の文字列は、例えば、送金人端末3aの入出力部605を用いて送金人によって指定される。暗号処理部304は、生成した第1の暗号文を受取人端末4に送信する。
【0060】
暗号処理部304は、受取人端末4から第2の暗号文を受信すると、受信した第2の暗号文を復号した復号文字列を生成する。例えば、第1の暗号文が上記した秘密鍵と所定のアルゴリズムによって生成された場合、暗号処理部304は、上記した秘密鍵と所定のアルゴリズムによって第2の暗号文を復号した復号文字列を生成すればよい。暗号処理部304は、復号文字列と第1の暗号文の生成に用いた所定の文字列とが一致するか否かを判定することで、受取人の認証を行うことができる。第2の暗号文は、「第1のデータ」の一例である。所定の文字列は、「第2のデータ」の一例である。復号文字列は、「復号データ」の一例である。復号文字列と第1の暗号文の生成に用いた所定の文字列とが一致する場合は、「所定の条件を満たす場合」の一例である。
【0061】
受取人端末4は、受取人が保有する情報処理装置であり、そのハードウェア構成は、例えば、送金人端末3と同一である。受取人端末は、例えば、ノートブック型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータ、PDA、携帯電話等である。受取人端末4は、受信部401と入力部402と出力部403とを備える。
【0062】
受信部401は、送金人端末3aから暗号文を受信する。受信部401は、受信した暗号文を受取人端末4の補助記憶部603に記憶させる。入力部402は、入出力部605を介して受取人からの入力を受け付ける。入力部402は、例えば、送金人の連絡先の指定を受け付けることができる。
【0063】
出力部403は、暗号文、送金金額および送金人の連絡先を入出力部605へ出力する。例えば、ATM2がQRコード(登録商標)等の符号を読み取る読み取り部を備える場合、受取人端末4のディスプレイに暗号文、送金金額および送金人の連絡先を示す符号を出力し、出力した符号をATM2の読み取り部にかざすことで暗号文、送金金額および送金人の連絡先がATM2に入力されてもよい。また、例えば、ATM2と受取人端末4とがNear Field Communication(NFC)による通信が可能な場合、受取人端末4の出力部403はNFCによってATM2に対して暗号文、送金金額および送金人の連絡先をATM2に送信すればよい。
【0064】
図8および
図9は、第2変形例に係る送金システム500aの処理シーケンスの一例を示す図である。実施形態と同一の処理については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、
図8を参照して、第2変形例に係る送金システム500aの処理シーケンスの一例について説明する。なお、送金システム500aでは、送金人と受取人との間で送金金額についての合意があるものとする。
【0065】
T1では、送金人端末3の暗号処理部304は、秘密鍵と所定の暗号化アルゴリズムを用いて、送金人によって指定された文字列を暗号化した暗号文を生成する。暗号処理部304は、送金人によって指定された文字列を送金人端末3の補助記憶部603に記憶させる。T2では、暗号処理部304は、T1において生成した暗号文を受取人端末4に送信する。
【0066】
T3では、受取人端末4の受信部401は、送金人端末3から暗号文を受信する。T4では、入力部402は、送金人の連絡先の指定を受け付ける。
【0067】
T5では、受取人端末4のディスプレイ等に表示された暗号文および送金人の連絡先がATM2に入力される。ATM2への入力は、例えば、QRコード等の符号をATM2に読み取らせてもよいし、NFCによって受取人端末4からATM2に送信されてもよい。また、受取人が、受取人端末4のディスプレイに表示された暗号文および送金人の連絡先をATM2の入力部26を介して入力してもよい。
【0068】
T6では、ATM2の要求部201は、暗号文および送金人の連絡先を含む送金要求を銀行サーバ1に対して送信する。銀行サーバ1の受付部101は、ATM2から送金要求を受信する。T6の処理は、「受信ステップ」の一例である。
【0069】
T7では、銀行サーバ1の受付部101は、ATM2から受信した暗号文を送金人の連絡先に対して送信する。T7の処理は、「承認要求ステップ」の一例である。
【0070】
T8では、送金人端末3の暗号処理部304は、銀行サーバ1から受信した暗号文を復号した復号文字列を生成する。暗号処理部304は、復号文字列とT1において補助記憶
部603に記憶させた文字列とが一致するか否かを判定する。暗号処理部304は、この判定によって受取人の認証を行う。
【0071】
T9では、復号文字列とT1において補助記憶部603に記憶させた文字列とが一致するとT8において判定された場合、すなわち、受取人の認証に成功した場合、送金人端末3の送信部303は、了承通知を銀行サーバ1に送信する。その後は、S7以降の処理が実行される。
【0072】
第2変形例では、送金人端末3が生成した暗号文が受取人端末4に送信された。受取人端末4は、ATM2および銀行サーバ1を介して暗号文を送金人端末3に送信する。送金人端末3は、受取人端末4からこのような経路で送信された暗号文を用いて認証を行うことで、ATM2を操作している受取人と、送金人端末3が送信した暗号文を受信した受取人端末4の保有者とが一致することを確認できる。すなわち、第2変形例によれば、暗号文を用いたこのような処理によって、受取人が正当であることを確認できる。第2変形例では、暗号文を用いて受取人を確認するため、第2変形例のATM2はカメラ27を備えなくともよい。
【0073】
第2変形例において、暗号文の代わりに送金人と受取人とがあらかじめ決定したパスワードや合言葉や受取人の氏名等の文字列データが用いられてもよいし、画像データ、音声データまたは動画データ等のバイナリデータが用いられてもよい。パスワード、合言葉または受取人の氏名等の文字列データや画像データ、音声データまたは動画データ等の倍な入りデータは、「第1のデータ」の一例である。
【0074】
第2変形例では、
図9のT9における処理に例示されるように、送金人端末3が記憶している情報と受信した暗号文等の情報とを照合することで、了承通知が送信された。しかしながら、了承通知の送信がこのような方式に限定されるわけではない。了承通知は、例えば、送金人端末3が受信した情報を出力して送金人に送金の可否の確認を促し、出力された情報を基に送金を了承した送金人からの了承操作を受け付けた送金人端末3が送信してもよい。このような情報は、送金人が視覚や聴覚によって認識できる情報であればよく、例えば、文字列データ、画像データ、音声データまたは動画データであってもよい。送金人が視覚や聴覚によって認識可能な情報は、「第3のデータ」の一例である。
【0075】
第2変形例において、暗号文は送金人によって指定された文字列を暗号化することで生成されたが、暗号文はランダムに生成した文字列や所定の画像データを暗号化することで生成されてもよい。また、暗号文は、時刻を示す情報と所定の文字列とを結合させた文字列を暗号化することで生成されてもよい。
【0076】
第2変形例では、T9の処理において、送金人端末3からの了承通知は銀行サーバ1に対して送信された。しかしながら、了承通知は銀行サーバ1ではなく受取人端末4に送信されてもよい。この場合、了承通知が了承を示す符号(例えば、QRコード)を含み、受取人端末4は、当該QRコードを出力してATM2に読み取らせることで、ATM2からの出金が行われてもよい。
【0077】
<第3変形例>
実施形態では、口座を用いた取引の認証に暗証番号が用いられたが、口座を用いた取引の認証に用いられる情報は暗証番号に限定されない。口座を用いた取引の認証に用いられる情報は、例えば、数字以外の文字を含む認証フレーズであってもよい。
【0078】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0079】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0080】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD−ROM)、Compact Disc - Recordable(CD−R)、Compact Disc - ReWriterable(CD−RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブ
ルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。