【解決手段】情報処理装置は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネル10と、入力領域に対するペンの入力座標とユーザの利き手情報とに基づいて、手による入力操作の無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する領域設定部36とを具備する。領域設定部36は、例えば、ユーザの利き手が右手である場合、ペンの入力座標よりも右下に感度変更領域を設定し、ユーザの利き手が左手である場合、ペンの入力座標よりも左下に感度変更領域を設定する。
前記領域設定部は、前記ユーザの利き手の情報を有する機器と通信することにより、前記ユーザの利き手情報を取得し、取得した前記利き手情報を用いて前記感度変更領域を設定する請求項1から3のいずれかに記載の情報処理装置。
第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルと、
前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する領域設定部と
を具備する情報処理装置。
前記ペンの入力座標に対する前記感度変更領域の相対位置及び前記感度変更領域の大きさの少なくとも一方がユーザによって調整可能とされている請求項1から11のいずれかに記載の情報処理装置。
第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御方法であって、
前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する入力制御方法。
第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御プログラムであって、
前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する処理をコンピュータに実行させるための入力制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接触面積に基づいてパームリジェクションを行う従来の手法では、手の側面の一部などのように接触面積が閾値に満たない場合には入力として認識してしまう。このため、誤検知を十分に抑制することができない可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ユーザの意図しないタッチパネルへの接触による誤入力をより抑制することのできる情報処理装置、入力制御方法、及び入力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルと、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標とユーザの利き手情報とに基づいて、前記手による入力操作の無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する領域設定部とを具備する情報処理装置である。
【0008】
本発明の第二態様は、第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルと、前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する領域設定部とを具備する情報処理装置である。
【0009】
本発明の第三態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルと、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標を基準として、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域の複数の候補を前記タッチパネルに表示させる候補領域提示部と、複数の前記候補のうち、いずれか一つの前記候補が選択された場合に、前記入力領域の上下左右方向及び前記ペンの入力座標と選択された前記感度変更領域との位置関係を格納する記憶部と、前記ペンの入力操作が検知された場合に、前記記憶部に格納されている前記入力領域の上下方向及び前記ペンの入力座標と前記感度変更領域との位置関係に基づいて、前記感度変更領域を設定する領域設定部とを具備する情報処理装置である。
【0010】
本発明の第四態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御方法であって、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標とユーザの利き手情報とに基づいて、前記手による入力操作の無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する入力制御方法である。
【0011】
本発明の第五態様は、第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御方法であって、前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する入力制御方法である。
【0012】
本発明の第六態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御方法であって、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標を基準として、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域の複数の候補を前記タッチパネルに表示させる候補領域提示工程と、複数の前記候補のうち、いずれか一つの前記候補が選択された場合に、前記入力領域の上下左右方向及び前記ペンの入力座標と選択された前記感度変更領域との位置関係を記憶部に格納する記憶工程と、前記ペンの入力操作が検知された場合に、前記記憶部に格納されている前記入力領域の上下方向及び前記ペンの入力座標と前記感度変更領域との位置関係に基づいて、前記感度変更領域を設定する領域設定工程とを有する入力制御方法である。
【0013】
本発明の第七態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペン及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御プログラムであって、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標とユーザの利き手情報とに基づいて、前記手による入力操作の無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する処理をコンピュータに実行させるための入力制御プログラムである。
【0014】
本発明の第八態様は、第1の位置に設けられた第1信号発生部と、第1の位置よりもペン先から離れた位置である第2の位置に設けられた第2信号発生部とを備えるペンの入力操作及び手による入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御プログラムであって、前記第1信号発生部からの信号が検知された第1検知位置と、前記第2信号発生部からの信号が検知された第2検知位置との関係に基づいて、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域を設定する処理をコンピュータに実行させるための入力制御プログラムである。
【0015】
本発明の第九態様は、上下左右方向が定義された入力領域を有し、ペンの入力操作を検知可能なタッチパネルを備える情報処理装置に適用される入力制御プログラムであって、前記入力領域に対する前記ペンの入力座標を基準として、入力操作を無効化又は検知感度を低下させる感度変更領域の複数の候補を前記タッチパネルに表示させる候補領域提示処理と、複数の前記候補のうち、いずれか一つの前記候補が選択された場合に、前記入力領域の上下左右方向及び前記ペンの入力座標と選択された前記感度変更領域との位置関係を記憶部に格納する記憶処理と、前記ペンの入力操作が検知された場合に、前記記憶部に格納されている前記入力領域の上下方向及び前記ペンの入力座標と前記感度変更領域との位置関係に基づいて、前記感度変更領域を設定する領域設定処理とをコンピュータに実行させるための入力制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの意図しないタッチパネルへの接触による誤入力をより抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置、入力制御方法、及び入力制御プログラムについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、情報処理装置の一例としてタブレット型コンピュータ(以下「タブレット端末」という。)を例示して説明するが、本発明の情報処理装置はこれに限定されない。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係るタブレット端末1の概略外観図である。タブレット端末1は、筐体5と、筐体5の正面に設けられた略矩形上のタッチパネル10とを備える。また、タブレット端末1は、赤外線カメラ4を更に備えていても良い。
タッチパネル10は、入力される表示データをビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示すると共に、ユーザの指及びペン3等の指示体を用いて行われる各種操作を検出する。
【0020】
図2は、タブレット端末1のハードウェアの構成を示す概略図である。
タブレット端末1は、タッチパネル10、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、メモリ13、グラフィクスアダプタ14、デバイス回路17、フラッシュメモリ18、通信デバイス19、加速度センサ20等を備えており、各部はバス22を介して直接または間接的に接続されている。タッチパネル10は、例えば、ディスプレイ15と、複数のタッチセンサ16が配置(配列)され、ユーザによる入力操作を受け付ける入力領域とを備えている。本実施形態における「入力領域」とは、例えば、ユーザによる入力操作をタッチセンサ16が検知可能な領域をいう。また「入力領域」は、タッチセンサ16の検知機能がCPU11等からの指令等により一時的に無効化される領域も含むものとする。例えば、タブレット端末1が、後述する本実施形態に係るパームリジェクション機能の他に、他の基準に基づく他のパームリジェクション機能(例えば、接触面積に基づくパームリジェクション機能等)を併せて搭載している場合において、上記「入力領域」は、他のパームリジェクション機能によって入力が無効化される領域も含むものとする。
【0021】
CPU11は、バス22を介して接続されたフラッシュメモリ18に格納されたOS(Operating System)によりタブレット端末1全体の制御を行うとともに、フラッシュメモリ18に格納された各種のプログラムに基づいて、タッチパネル10を介したユーザの操作に応じた処理を実行する。
ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System)や各種データ等を格納している。
メモリ13は、キャッシュメモリやRAM(Random Access Memory)で構成されており、CPU11の実行プログラム(例えば、入力制御プログラム)の読み込み、及び実行プログラムによる処理データの書き込みを行う作業領域として利用される書き込み可能なメモリである。
【0022】
グラフィクスアダプタ14は、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をディスプレイ15に出力する。
ディスプレイ15は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、CPU11の制御に従って、グラフィクスアダプタ14からのビデオ信号を画像として表示する。
【0023】
タッチセンサ16は、タッチパネル10へのユーザの指及びペン3等の接触位置を検出して、デバイス回路17に出力する。本実施形態に係るタッチセンサ16は、一例として、ペン3による接触位置を電磁誘導方式により検出し、指による接触位置を静電容量方式により検出する、所謂、2レイヤーによる接触位置検出を可能とする。なお、ペンによる入力検知の方式及び指による入力検知の方式は一例であり、これらに限定されない。
なお、以下の説明において、ペン3による入力操作をペン入力ともいい、指による入力操作をタッチ入力ともいう。
デバイス回路17は、タッチセンサ16から出力された接触位置に基づいて入力座標を検知し、CPU11に出力するとともに、CPU11からの指令に基づいてタッチセンサの感度制御(入力制御)を行う。
【0024】
なお、本実施形態では、ディスプレイ15にタッチセンサ16(入力領域)が重畳された構成、換言すると、ディスプレイ15と入力領域とが共通の平板上に重畳して配置された構成を有するタッチパネル10を例示して説明するが、タッチパネル10の構成はこの例に限定されない。例えば、ディスプレイ15と入力領域とは異なる筐体にそれぞれ設けられており、入力領域に対するユーザの入力操作がディスプレイ15の表示に反映されるような構成とされていてもよい。
【0025】
フラッシュメモリ18は、例えば、タブレット端末1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する。なお、タブレット端末1は、フラッシュメモリ18に代わる記憶手段としてHDD(Hard Disk Drive)等、他の記憶手段を備えてもよい。
【0026】
通信デバイス19は、ネットワークを介して他のデバイスとの通信を行う。
加速度センサ20は、例えば、
図3に示すように、タッチパネル10に対して、その長手方向に平行なx方向、その短手方向に平行なy方向、x方向及びy方向に垂直なz方向の加速度(重力加速度)をそれぞれ検出し、xyz方向の加速度値Ax(t)、Ay(t)、Az(t)をCPU11に出力する。加速度センサ20がxyz方向の重力加速度を検出することにより、タッチパネル10の傾き及び回転を検出することができる。なお、z方向とは、換言すると、タッチパネル10(画面)に対する法線方向である。
【0027】
ここで、
図4に示すように、タッチパネル10へのペン入力の際に、ペン3を把持した手の側面、例えば掌の側面や薬指、小指等(
図4の破線で囲まれた領域)がタッチパネル10の入力領域に接触し、この接触がユーザの意図しないタッチパネル10への入力と認識される場合がある。この結果、
図5に示されるように、例えば、画像描画プログラムを起動してペン3によって文字入力を行う場合等に、ユーザが意図したペン入力(領域A内の入力)の他に、誤認識された入力(領域B内の入力)が行われることとなる。
そこで、本実施形態に係るタブレット端末1は、このようなユーザが意図しない入力の誤検知を抑制する入力制御機能を有する。
【0028】
図6は、タブレット端末1が備える各種機能のうち、入力制御機能に関する機能を主に抽出して示した機能ブロック図である。
図6に示されるように、タブレット端末1は、入力制御部30を備える。入力制御部30は、例えば、方向定義部32、記憶部34、及び領域設定部36を備えている。これら各部によって実現される機能は、例えば、CPU11がフラッシュメモリ18に格納されている入力制御プログラムをRAM等のメモリ13に読み出して実行することにより実現される。
【0029】
方向定義部32は、加速度センサ20からの信号に基づいて筐体5、すなわち、タッチパネル10の入力領域における上下左右方向を決定する。例えば、方向定義部32は、加速度センサ20から出力されるX方向の重力加速度、Y方向の重力加速度、及びZ方向の重力加速度に基づいてタブレット端末1の向きを検出し、その向きに応じて上下左右を定義する。なお、タッチパネル10の向き検出手法の原理は、例えば、公知である画面の自動回転機能と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、タブレット端末1が画面の自動回転機能を有している場合には、自動回転機能によって定義された上下左右方向に関する情報を採用してもよい。
そのほか、方向定義部32が、ユーザの顔の向きを検出して、その検出結果に基づいてタッチパネル10の入力領域における上下左右方向を決定してもよい。例えば、タッチパネル10上又はその近傍に赤外線カメラ4を設置して、目に見えない多数の赤外線のドットを顔に照射し、それを赤外線カメラ4で認識することでユーザの顔を認識し、ユーザの顔の向きを検出すればよい。なお、顔認識の技術については公知であるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
記憶部34には、例えば、ユーザの利き手情報および感度変更領域の定義情報(以下、「領域情報」という。)等が格納されている。
例えば、ユーザの利き手情報は、ユーザがタブレット端末1を使用する際に、利き手情報を問い合わせることとし、その問い合わせに対するユーザの回答を記憶部34に格納することとしてもよい。
【0031】
領域情報は、感度変更領域を設定するために必要となる情報であり、例えば、利き手に対応付けてそれぞれ設定されている。領域情報は、例えば、ペンの入力座標に対する感度変更領域の相対位置座標及び大きさ等を含んでいる。
【0032】
例えば、
図7に示すように、右利きの場合には、ペン先よりも右下の領域に手の側面が位置するため、ペン先に対して右側の領域、一例として右下の領域に感度変更領域40aが設定される。具体的には、
図8に示すように、ペンの入力座標を基準座標(0,0)としたときの感度変更領域の基準座標(x1,−y1)、及び感度変更領域の幅W(感度変更領域の基準座標に対して右側へ向かう幅)及び高さH(感度変更領域の基準座標に対して下側へ向かう高さ)の情報が領域情報として記憶部34に格納されている。
【0033】
同様に、
図9に示すように、左利きの場合には、ペン先よりも左下の領域に手の側面が位置するため、ペン先に対して左側の領域、一例として左下の領域に感度変更領域40bが設定される。具体的には、
図10に示すように、ペンの入力座標を基準座標(0,0)としたときの感度変更領域の基準座標(−x1,−y1)及び感度変更領域の幅W(感度変更領域の基準座標に対して左側へ向かう幅)及び高さH(感度変更領域の基準座標に対して下側へ向かう高さ)の情報が領域情報として記憶部34に格納されている。なお、感度変更領域を規定するために使用されるxy平面は、タッチパネル10の向き、換言すると、入力領域の向きに応じて回転する。具体的には、x軸は左右方向に平行な軸であり、y軸は上下方向に平行な軸として規定される。なお、上述した感度変更領域の大きさ(幅W、高さH)の情報に代えて、感度変更領域の各頂点の相対座標を規定することとしてもよい。
【0034】
領域設定部36は、デバイス回路17からペンの入力座標が入力されると、記憶部34に格納されたユーザの利き手情報および領域情報に基づいて、入力操作を無効化する感度変更領域をタッチパネル10の入力領域に設定する。これにより、例えば、ユーザが右利きであれば、
図7に示すようにペン先よりも右下の領域に感度変更領域40aが設定され、ユーザが左利きであれば、
図9に示すように、ペン先よりも左下の領域に感度変更領域40bが設定される。
【0035】
また、領域設定部36は、ペンの入力座標が移動した場合には、そのペンの入力座標の移動に合わせて感度変更領域を移動させる。これにより、ペン先と感度変更領域の相対的な位置関係は常に一定の関係を維持することとなる。
【0036】
次に、本実施形態に係る入力制御部30の処理の流れについて簡単に説明する。
まず、タッチセンサ16によってペン入力が検知され、デバイス回路17によってペンの入力座標が検出され、検出されたペンの入力座標が領域設定部36に出力される。また、加速度センサ20のセンサ検出値が方向定義部32に出力され、タッチパネル10の入力領域の上下左右方向が規定されて、領域設定部36に出力される。領域設定部36は、記憶部34からユーザの利き手に応じた領域情報を取得し、この領域情報とペンの入力座標とタッチパネル10の上下左右方向とに基づいて、タッチパネル10の入力領域に感度変更領域を設定する。これにより、例えば、右利きのユーザであれば、ペンの入力座標に対して右下に感度変更領域40aが設定され、左利きのユーザであれば、ペンの入力座標に対して左下に感度変更領域40bが設定される。感度変更領域では、手による入力が無効化される。すなわち、本実施形態では、静電容量方式による入力操作が無効化される。ここで、入力操作の無効化は、感度変更領域におけるタッチセンサ16の検知自体を無効化してもよいし、タッチセンサ16による検知自体は行うが、検出された入力操作を入力として取り扱わないことで無効化してもよい。このように、無効化の手法については特に限定されない。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置、入力制御方法、及び入力制御プログラムによれば、ユーザの利き手に応じて適切な位置に感度変更領域を設定するので、ペン3を把持した手(例えば、掌の側面や薬指、小指等)がタッチパネル10の入力領域に接触してもこの入力を無効化することができる。これにより、ユーザの意図しない入力による誤検知を抑制することが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態では、ユーザの利き手情報をユーザ自身が入力することとしたが、利き手情報の取得方法についてはこの例に限定されない。例えば、利き手情報を有している他のデバイス(例えば、時計型コンピュータ)から自動的に利き手情報を取得し、記憶部34に格納してもよい。例えば、腕時計型コンピュータ等のウェアラブルコンピュータと通信回線を接続し、通信デバイス19を介してこれらのコンピュータが有しているユーザの利き手情報を取得し、記憶部34に格納することとしてもよい。
【0039】
また、自動的にユーザの利き手を判別する利き手判別機能を入力制御部30に持たせることにより、ユーザの利き手を自動的に判別し、その判別結果を記憶部34に格納することとしてもよい。以下、ユーザの利き手を自動的に判別する利き手判別機能(利き手判別部)について具体的に説明する。
【0040】
ユーザの利き手を自動的に判別するためには、例えば、
図11に示すようなペン3’を使用する。このペン3’は、上述したペン3と同様に電磁誘導方式に対応するペンであるが、ペンの先端(第1の位置)及び先端とは異なる位置に磁界を発生させる機能(例えば、コイル等)が搭載されている。このように、利き手を判別するためのペン3’は、ペンの先端(第1の位置)において磁界を発生させる第1信号発生部6と、先端とは異なる位置(第2の位置)において磁界を発生させる第2信号発生部8とを備えている。
【0041】
これにより、ユーザがペン3’を把持してタッチパネル10にペン入力を行った際には、第1信号発生部6からの磁界と、第2信号発生部8からの磁界とがタッチセンサ16によって検知されることとなる。このとき、ペンの先端(第1の位置)の方がタッチパネル10の表面に近い位置で使用されるので、2点において検出された磁界の強さを比較することで、2つの入力座標のうち、どちらの入力座標がペンの先端(第1の位置)による検知位置であるかを判別することができる。そして、
図12に示すように、第1信号発生部6に対応する入力検知位置である第1検知位置P1と、第2信号発生部8に対応する入力検知位置である第2検知位置P2との位置関係に基づいてユーザの利き手が判別される。
【0042】
すなわち、
図12に示すように、右利きであれば、ペンの先端の入力座標に対応する第1検知位置P1よりも第2検知位置P2が右側に位置し、左利きであれば、ペンの先端の入力座標に対応する第1検知位置P1よりも第2検知位置P2が左側に位置することとなる。このように、第1検知位置P1と第2検知位置P2との相対的な位置関係に基づいてユーザの利き手を判別することができる。
【0043】
そして、利き手判別機能によって判別された利き手の情報を記憶部34(第2記憶部)に格納することとし、記憶部34に格納された以降においては、記憶部34に格納されている利き手の情報を用いて感度変更領域を設定することとしてもよい。
【0044】
なお、上述したような利き手判別機能を用いる場合には、所定の期間または所定のデータ数が蓄積されるまで、ユーザによって入力された第1検知位置P1と第2検知位置P2とからなる対データを記憶部(第1記憶部)に蓄積しておき、蓄積した複数の対データを統計的に分析することにより、利き手を判別することとしてもよい。このように、複数の対データを用いて利き手の判別を行うことにより、利き手判別の精度を高めることができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について図を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、ユーザの利き手に応じて感度変更領域を設定していた。しかしながら、例えば、癖の強いペンの持ち方をするユーザもおり、そのような通常とは変わったペンの持ち方をするユーザについては、
図7や
図9に示した感度変更領域の位置では誤入力を抑制できない可能性がある。
【0046】
そこで、本実施形態に係るタブレット端末では、ユーザがペン入力を行う際に、ペンの入力座標に対する感度変更領域の設定位置及び大きさをユーザがカスタマイズできる構成としている。以下、本実施形態に係るタブレット端末について、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0047】
図13は本実施形態に係るタブレット端末が備える各種機能のうち、入力制御機能に関する機能を主に抽出して示した機能ブロック図である。
図13に示されるように、タブレット端末は、入力制御部30aを備える。入力制御部30aは、例えば、方向定義部32、記憶部34a、領域設定部36、及び候補領域提示部38を備えている。これら各部によって実現される機能は、例えば、CPU11がフラッシュメモリ18に格納されている入力制御プログラムをRAM等のメモリ13に読み出して実行することにより実現される。
【0048】
候補領域提示部38は、感度変更領域指定モードにおいて、例えば、
図14に示すように、ペンの入力座標に対する相対位置がそれぞれ異なる複数の感度変更領域の候補40a〜40eをタッチパネル10のディスプレイ15に表示させる。感度変更領域指定モードは、例えば、ユーザによって当該モードを指定する入力がなされたときや、タブレット端末にインストールされている所定のアプリケーションが起動されたときなどに起動されるが、この例に限定されない。
【0049】
タッチパネル10のディスプレイ15に表示された複数の感度変更領域の候補40a〜40eのうち、一つの感度変更領域が選択されると、選択された感度変更領域の情報が記憶部34aに格納される。そして、ユーザによるペン入力が開始されると、領域設定部36は、方向定義部32から入力されるタッチパネル10の上下左右情報及び記憶部34aに格納されているユーザによって指定された感度変更領域の領域情報に基づいて、ペンの入力座標に対する感度変更領域を設定する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置、入力制御方法、及び入力制御プログラムによれば、感度変更領域を設定する位置や大きさをユーザが選択することができる。これにより、感度変更領域の設定の自由度を高めることができ、ユーザの書き癖に合わせた適切な感度変更領域を設定することが可能となる。
また、ユーザによって感度変更領域の候補が指定された場合に、更に、その感度変更領域の位置、向き、大きさをユーザが調整できる機能を持たせても良い。このようにすることで、ユーザに合わせて感度変更領域の設定をカスタマイズすることができ、更に自由度を高めることが可能となる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について
図15を参照して説明する。上述した各実施形態では、タッチパネル10の上下左右情報を用いる必要があった。これに対し、本実施形態に係る情報処理装置は、タッチパネル10の上下左右情報を用いることなく、感度変更領域を設定する点で異なる。
以下、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0052】
図15は本実施形態に係るタブレット端末が備える各種機能のうち、入力制御機能に関する機能を主に抽出して示した機能ブロック図である。
図15に示されるように、タブレット端末は、入力制御部30bを備える。入力制御部30bは、例えば、記憶部34b及び領域設定部36bを備えている。これら各部によって実現される機能は、例えば、CPU11がフラッシュメモリ18に格納されている入力制御プログラムをRAM等のメモリ13に読み出して実行することにより実現される。
【0053】
本実施形態に係るタブレット端末は、
図11に示したペン3’を用いたペン入力に対応している。ペン3’によるペン入力が行われることにより、タッチセンサ16によって第1信号発生部6に基づく入力と、第2信号発生部8による入力とが検知される。デバイス回路17は、第1信号発生部6に対応する入力座標(以下「第1入力座標」という。)と、第2信号発生部8に対応する入力座標(以下「第2入力座標」という。)とを検出し、これらを領域設定部36bに出力する。
【0054】
記憶部34bには、感度変更領域の基準座標を演算するための演算式および感度変更領域の大きさ(例えば、幅W及び高さH)が領域情報として格納されている。例えば、記憶部34bには、第1入力座標と第2入力座標との中点を感度変更領域の基準座標として定めるための演算式が登録されている。なお、感度変更領域の基準座標の決定手法はこの例に限定されず、2点から一意的に規定される座標として表されていればよい。また、感度変更領域は、第2入力座標を含むように設定される。
【0055】
例えば、領域設定部36bは、
図16に示すように、第1入力座標(x3,y3)と第2入力座標(x4,y4)との中点((x3+x4)/2,(y3+y4)/2)を基準座標とし、かつ、第2入力座標(x4,y4)を含み、かつ、所定の幅W及び高さHを有する感度変更領域40fを設定する。
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置、入力制御方法、及び入力制御プログラムによれば、タッチパネル10の上下左右方向を使用することなく、利き手に応じた感度変更領域40fを設定することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態において、領域設定部36bによる感度変更領域40fの設定手法については上記例に限定されない。
例えば、領域設定部36bは、
図17に示すように、第1検知位置P1を通り、タッチパネル10の一辺に平行な第1基準線L1と、第1検知位置P1を通り第1基準線L1に直交する第2基準線L2とで区切られる4つの領域のうち、第2検知位置P2が位置する領域(ハッチングの領域)内に感度変更領域40fを設定することとしてもよい。
【0057】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0058】
例えば、上述した各実施形態では、情報処理装置をタブレット端末とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、情報処理装置をデスクトップ型PC、ノート型PC、PDA(Personal Digital Assistance)、及びスマートフォン等の情報処理装置としてもよい。
【0059】
また、上述した各実施形態では、感度変更領域の入力を無効化する場合について説明したが、入力無効化に代えて感度変更領域の入力検知感度を低下させることとしてもよい。このように、タッチセンサ16の感度を低下させることにより、感度変更領域における誤入力を抑制することができる。
【0060】
また、各実施形態では、感度変更領域を構成する4辺がタッチパネルの4辺と平行となるように感度変更領域を定めていたが、これに限定されず、例えば、タッチパネル10の4辺(x軸、y軸)に対する感度変更領域の基準となる辺とのなす角度を予め設定しておくことで、
図18に示すように、タッチパネル10のx軸及びy軸に対して所定の角度を有する感度変更領域を設定することとしてもよい。
【0061】
また、各実施形態に係る感度変更領域の設定は、タッチパネルに対する接触面積などに基づいて入力検知を無効化する公知の他のパームリジェクション機能を排除するものではなく、これら他のパームリジェクション機能と併せて用いられても良い。