【解決手段】コネクタにおいて、第1の端子群G1の各端子11〜14の接触部31は嵌合部の下段における左側に配置され、第2の端子群G2の各端子15〜18の接触部31は嵌合部の下段における右側に配置され、第3の端子群G3の各端子19〜22の接触部31は嵌合部の上段に配置されている。各端子11〜14において接続部32は接触部31よりも左方に変位し、各端子15〜18において接続部32は接触部31よりも右方に変位し、各端子19、20において接続部32は接触部31よりも右方に変位し、各端子21、22において接続部32は接触部31よりも左方に変位している。また、端子14の接続部32と端子15の接続部32との間に端子19〜22の接続部32が配置されることにより、端子11〜22の接続部32が左右方向に一列に配置されている。
前端側には相手コネクタの端子と接触する接触部がそれぞれ形成され、後端側には基板の回路に接続される接続部がそれぞれ形成され、左右方向にそれぞれ隣接し、かつ左右方向に一列に配置された複数の端子からなる第1の端子群、第2の端子群および第3の端子群を少なくとも含む複数の端子群と、前記複数の端子群を収容するハウジングとを備え、
前記第1の端子群の各端子の前記接触部は上下方向の第1段に配置され、前記第2の端子群の各端子の前記接触部は前記第1段において前記第1の端子群のいずれの端子の前記接触部よりも右側に配置され、前記第3の端子群の各端子の前記接触部は上下方向の第2段に配置され、
前記第1の端子群において少なくとも最も右側に配置された端子の前記接続部は当該端子の接触部よりも左側に変位し、前記第2の端子群において少なくとも最も左側に配置された端子の前記接続部は当該端子の接触部よりも右側に変位し、前記第3の端子群において少なくとも最も左側および最も右側にそれぞれ配置された2本の端子のうちの一方の端子の接続部は当該2本の端子の接続部間の距離が当該2本の端子の接触部間の距離よりも短くなるように変位し、
前記第1の端子群において最も右側に配置された端子の接続部と前記第2の端子群において最も左側に配置された端子の接続部との間に前記第3の端子群の各端子の接続部が配置されることにより、前記第1、第2および第3の端子群のそれぞれの端子の接続部が左右方向に一列に配置されていることを特徴とするコネクタ。
前記第1の端子群の各端子において前記接触部と前記接続部との間には前記接触部の側から前記接続部の側へ向かって左に傾斜する左傾斜部が形成され、前記第2の端子群の各端子において前記接触部と前記接続部との間には前記接触部の側から前記接続部の側へ向かって右に傾斜する右傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
前記第1、第2および第3の端子群の各端子を左方または右方から見たときに、前記第1、第2および第3の端子群の各端子は、前記接触部および前記接続部がそれぞれ前後方向に伸長し、前記接触部と前記接続部との間に上下方向に伸長する上下伸長部を有する略クランク形に形成され、前記第3の端子群の各端子の前記接触部は、前記第1および第2の端子群の各端子の前記接触部よりも上方に位置し、前記第3の端子群の各端子の前記上下伸長部は、前記第1および第2の端子群の各端子の前記上下伸長部よりも後方に位置し、前記第1の端子群の各端子において、前記左傾斜部は前記上下伸長部に形成され、前記第2の端子群の各端子において、前記右傾斜部は前記上下伸長部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
前記第1、第2および第3の端子群の各端子において、前記接続部は前記接触部よりも左右方向の寸法が小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のコネクタ。
前記第1および第2の端子群の各端子の左右方向の寸法はそれぞれ略等しく、記第3の端子群に含まれる少なくとも1本の端子の左右方向の寸法は、前記第1および第2の端子群のいずれの端子の左右方向の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のコネクタ。
前記第1および第2の端子群の各端子の前記接触部、および前記第3の端子群において最も左側および最も右側にそれぞれ配置された端子を除く各端子の前記接触部の左右方向の寸法はそれぞれ等しいことを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のコネクタには、同文献の
図5に示されているように、互いに隣接する一対の信号コンタクトと、当該一対の信号コンタクトの両側に配置された一対のグランドコンタクトからなるコンタクト群が複数設けられており、当該コネクタにより複数対の差動信号を伝送することができる。
【0005】
しかしながら、このコネクタにおいては、同文献の
図2および
図4に示されているように、コネクタの後部において、それぞれのコンタクト群を構成する複数本のコンタクトの後端側が狭い間隔をもって配置されている。この結果、一対の差動信号を伝送する信号コンタクトの対と、他の一対の差動信号を伝送する信号コンタクトの対とが互いに接近している。このため、コネクタの後部において、複数対の差動信号間のクロストークが発生し易いという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載のコネクタにおいては、複数本のコンタクトの後端に設けられた端子部(コンタクトを基板の回路に接続する部分)が狭い間隔をもって配置されている。この結果、一対の差動信号を伝送する端子部の対と、他の一対の差動信号を伝送する端子部の対とが互いに接近している。それゆえ、このコネクタが実装される基板においては、コネクタのそれぞれの端子部に接続される複数の回路パターンが狭い間隔をもって配置されることとなり、一対の差動信号を伝送する回路パターンの対と、他の一対の差動信号を伝送する回路パターンの対とが互いに接近することとなる。このため、基板の回路において、複数対の差動信号間のクロストークが発生し易くなるという問題がある。
【0007】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、複数対の差動信号のクロストークを抑制することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタは、前端側には相手コネクタの端子と接触する接触部がそれぞれ形成され、後端側には基板の回路に接続される接続部がそれぞれ形成され、左右方向にそれぞれ隣接し、かつ左右方向に一列に配置された複数の端子からなる第1の端子群、第2の端子群および第3の端子群を少なくとも含む複数の端子群と、複数の端子群を収容するハウジングとを備え、第1の端子群の各端子の接触部は上下方向の第1段に配置され、第2の端子群の各端子の接触部は第1段において第1の端子群のいずれの端子の接触部よりも右側に配置され、第3の端子群の各端子の接触部は上下方向の第2段に配置され、第1の端子群において少なくとも最も右側に配置された端子の接続部は当該端子の接触部よりも左側に変位し、第2の端子群において少なくとも最も左側に配置された端子の接続部は当該端子の接触部よりも右側に変位し、第3の端子群において少なくとも最も左側および最も右側にそれぞれ配置された2本の端子のうちの一方の端子の接続部は当該2本の端子の接続部間の距離が当該2本の端子の接触部間の距離よりも短くなるように変位し、第1の端子群において最も右側に配置された端子の接続部と第2の端子群において最も左側に配置された端子の接続部との間に第3の端子群の各端子の接続部が配置されることにより、第1、第2および第3の端子群のそれぞれの端子の接続部が左右方向に一列に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、上記本発明のコネクタにおいて、第1の端子群の各端子において接触部と接続部との間には接触部の側から接続部の側へ向かって左に傾斜する左傾斜部が形成され、第2の端子群の各端子において接触部と接続部との間には接触部の側から接続部の側へ向かって右に傾斜する右傾斜部が形成されている構成としてもよい。
【0010】
また、上記本発明のコネクタにおいて、第1、第2および第3の端子群の各端子を左方または右方から見たときに、第1、第2および第3の端子群の各端子は、接触部および接続部がそれぞれ前後方向に伸長し、接触部と接続部との間に上下方向に伸長する上下伸長部を有する略クランク形に形成され、第3の端子群の各端子の接触部は、第1および第2の端子群の各端子の接触部よりも上方に位置し、第3の端子群の各端子の上下伸長部は、第1および第2の端子群の各端子の上下伸長部よりも後方に位置し、第1の端子群の各端子において、左傾斜部は上下伸長部に形成され、第2の端子群の各端子において、右傾斜部は上下伸長部に形成されている構成としてもよい。
【0011】
また、上記本発明のコネクタの第1、第2および第3の端子群の各端子において、接続部は接触部よりも左右方向の寸法が小さい構成としてもよい。
【0012】
また、上記本発明のコネクタにおいて、第1および第2の端子群の各端子の左右方向の寸法はそれぞれ略等しく、記第3の端子群に含まれる少なくとも1本の端子の左右方向の寸法は、第1および第2の端子群のいずれの端子の左右方向の寸法よりも大きい構成としてもよい。
【0013】
また、上記本発明のコネクタにおいて、ハウジングの前側には相手コネクタの嵌合部と嵌合する嵌合部が設けられ、ハウジングを前方から見たとき、嵌合部は上底が下底よりも短い略台形状に形成され、第1および第2の端子群の各端子の接触部は嵌合部の下底側に配置され、第3の端子群の各端子の接触部は嵌合部の上底側に配置され、第1の端子群において最も左側に配置された端子の接触部は第3の端子群において最も左側に配置された端子の接触部よりも左方に位置し、第2の端子群において最も右側に配置された端子の接触部は第3の端子群において最も右側に配置された端子の接触部よりも右方に位置し、第3の端子群において最も左側および最も右側にそれぞれ配置された端子の接触部の左右方向の寸法は、第3の端子群の他の端子並びに第1および第2の端子群の複数の端子のうちのいずれの端子の接触部の左右方向の寸法よりも大きい構成としてもよい。
【0014】
上記本発明のコネクタにおいて、第1および第2の端子群の各端子の接触部、および第3の端子群において最も左側および最も右側にそれぞれ配置された端子を除く各端子の接触部の左右方向の寸法はそれぞれ等しい所定値に設定されている構成としてもよい。
【0015】
上記本発明のコネクタにおいて、第1および第2の端子群のそれぞれの端子の接触部はそれぞれ等しい間隔を置いて配置され、第3の端子群において中央に配置された互いに隣接する一対の端子の接触部は、第1および第2の端子群のそれぞれの端子の接触部の間隔と等しい間隔を置いて配置され、第3の端子群において最も左側および最も右側に配置されたそれぞれの端子の左右方向の寸法は、第1および第2の端子群の各端子の接触部の左右方向の寸法の2倍の値に、第1および第2の端子群のそれぞれの端子の接触部の間隔の大きさを加えた値と略等しい構成としてもよい。
【0016】
上記本発明のコネクタにおいて、第1の端子群は、互いに隣接する一対の第1の信号端子、および当該一対の第1の信号端子の両側に配置された一対の第1のグランド端子からなり、第2の端子群は、互いに隣接する一対の第2の信号端子、および当該一対の第2の信号端子の両側に配置された一対の第2のグランド端子からなり、第3の端子群は、互いに隣接する一対の第3の信号端子、当該一対の第3の信号端子の一側に配置された電源端子、および当該一対の第3の信号端子の他側に配置された第3のグランド端子からなる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コネクタにより伝送する複数対の差動信号のクロストークを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のコネクタの実施形態について説明する。なお、実施形態の説明において、説明の便宜上、コネクタの形状、配置または動作等に関し、前(F)、後(B)、左(L)、右(R)、上(U)、下(D)の方向を述べる際には、図中の右下に描いた矢印に従う。
【0020】
本発明の実施形態のコネクタ1はレセプタクルであり、
図1に示すように、基板91に取り付けられる。
図4に示すように、コネクタ1は、第1、第2および第3の端子群G1、G2、G3、ハウジング41、前側シェル51並びに後側シェル61を備えている。
【0021】
ハウジング41は絶縁材料により略箱状に形成され、その前側には、
図1に示すように、相手コネクタ92の挿入部93を挿入するための挿入穴42が形成されている。なお、相手コネクタ92にはケーブル95が取り付けられている。また、コネクタ1のハウジング41の内部には、第1、第2および第3の端子群G1〜G3が収容されている。また、
図2に示すように、挿入穴42の底面(後面)には、相手コネクタ92の嵌合穴と嵌合する嵌合部43が設けられている。嵌合部43は、挿入穴42の底面から前方へ突出している。また、嵌合部43は、コネクタ1を前方から見たとき、上底が下底よりも短い略台形状に形成されている。また、嵌合部43の下面には複数の端子収容溝が形成され、これら端子収容溝内には、第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18の接触部31が収容されている。また、嵌合部43の上面にも複数の端子収容溝が形成され、これら端子収容溝内には、第3の端子群G3の各端子19〜22の接触部31が収容されている。コネクタ1の挿入穴42内に相手コネクタ92の挿入部93が挿入されたときには、コネクタ1の嵌合部43が相手コネクタ92の挿入部93の先端面に形成された嵌合穴内に嵌合し、コネクタ1の第1、第2および第3の端子群G1〜G3の各端子11〜22の接触部31が、相手コネクタ92の嵌合穴内に配置された各端子の接触部と接触する。また、
図4に示すように、ハウジング41の後側には複数の端子配置溝44が形成されている。第1、第2および第3の端子群G1〜G3の各端子11〜22の後端側部分はハウジング41の外部へ出て、端子配置溝44内にそれぞれ配置される。
【0022】
前側シェル51は、導電材料により略角筒状に形成され、
図1に示すように、ハウジング41の前部に、挿入穴42を取り囲むように取り付けられている。前側シェル51の上壁、左壁および右壁は、ハウジング41の前部の外側の上面、左面および右面を覆っており、前側シェル51の下壁は、挿入穴42内に入り、挿入穴42内の下側の面を覆っている。
【0023】
後側シェル61は、導電材料により形成され、
図3に示すように、ハウジング41の後部に取り付けられている。後側シェル61は、端子配置溝44内にそれぞれ配置された各端子11〜22の後端側部分の後方であって各端子11〜22から若干離れた位置に配置され、各端子11〜22を覆っている。また、
図4に示すように、後側シェル61には、その左右の側壁からそれぞれ前方へ突出する一対の側板部62が設けられ、各側板部62には複数の接触片63が設けられている。これら側板部62および接触片63は、ハウジング41に形成された連通穴を通って、ハウジング41の後方から挿入穴42内に入り、
図2に示すように、挿入穴42内における左右の端側にそれぞれ配置される。側板部62は、後側シェル61をハウジング41に取り付ける際に、接触片63がハウジング41に当たって変形しないように接触片63を保護する機能を有している。
【0024】
コネクタ1の挿入穴42内に相手コネクタ92の挿入部93が挿入されたときには、挿入穴42内の下側の面を覆っている前側シェル51の下壁の上面、および挿入穴42内における左右の端側にそれぞれ配置された接触片63が、相手コネクタ92の挿入部93に設けられた相手シェル94(
図1参照)と接触する。また、前側シェル51および後側シェル61は、下方に突出する接続片52、64を有し、接続片52、64を介して基板91に固定され、グランド回路に接続される。
【0025】
図5に示すように、第1の端子群G1は4本の端子11〜14からなり、第2の端子群G2は4本の端子15〜18からなる。また、
図6に示すように、第3の端子群G3は4本の端子19〜22からなる。各端子11〜22は、導電材料、例えば銅合金等の金属材料により、細長い略板状に形成されている。各端子11〜22の前端側には、相手コネクタ92の端子と接触する接触部31が形成されている。第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18においては、接触部31の下面が相手コネクタ92の端子と接触する。第3の端子群G3においては、接触部31の上面が相手コネクタ92の端子と接触する。また、各端子11〜22の後端側には、基板91の回路に接続される接続部32が形成されている。各端子11〜22の接続部32は、
図3に示すように、基板91の回路にはんだ付けされる。
【0026】
また、
図9に示すように、各端子11〜22を左方または右方から見たときに、各端子11〜22は略クランク形の形状を有している。すなわち、各端子11〜22の接触部31および接続部32はそれぞれ前後方向に伸長している。また、各端子11〜22において接触部31と接続部32との間には、上下方向に伸長する上下伸長部33が形成されている。また、各端子11〜22の前端には、各端子11〜22の前端側を嵌合部43に形成された端子収容溝内に止めるための止め部34が設けられている。また、各端子11〜22において、前後方向に伸長している前端側部分の後部の左面および右面には、各端子11〜22をハウジング41に係止するための係止部35が形成されている。
【0027】
また、
図5に示すように、第1の端子群G1の各端子11〜14において接触部31と接続部32との間には、接触部31の側から接続部32の側へ向かって左に傾斜する左傾斜部36が形成されている。左傾斜部36は、各端子11〜14の上下伸長部33に形成されており、下に行くに連れて左に行くように傾斜している。本実施形態において、左傾斜部36は、上下伸長部33の伸長方向(上下方向)に対して例えば45度傾斜している。各端子11〜14に左傾斜部36が形成されていることにより、各端子11〜14において接続部32が接触部31よりも左方に変位している。また、第1の端子群G1において最左の端子11の接続部32の左面と最右の端子14の接続部32の右面との間の距離が、第1の端子群G1において最左の端子11の接触部31の左面と最右の端子14の接触部31の右面との間の距離よりも短くなっている。
【0028】
また、第2の端子群G2の各端子15〜18において接触部31と接続部32との間には、接触部31の側から接続部32の側へ向かって右に傾斜する右傾斜部37が形成されている。右傾斜部37は、各端子15〜18の上下伸長部33に形成されており、下に行くに連れて右に行くように傾斜している。本実施形態において、右傾斜部37は、上下伸長部33の伸長方向(上下方向)に対して例えば45度傾斜している。各端子15〜18に右傾斜部37が形成されていることにより、各端子15〜18において接続部32が接触部31よりも右方に変位している。また、第2の端子群G2において最左の端子15の接続部32の左面と最右の端子18の接続部32の右面との間の距離が、第2の端子群G2において最左の端子15の接触部31の左面と最右の端子18の接触部31の右面との間の距離よりも短くなっている。
【0029】
また、
図6に示すように、第3の端子群G3において左側に配置された2本の端子19、20のそれぞれにおいて、接触部31と接続部32との間には、接触部31の側から接続部32の側へ向かって右に傾斜する右傾斜部38が形成されている。右傾斜部38は各端子19、20の上下伸長部33に形成されている。また、第3の端子群G3において右側に配置された2本の端子21、22のそれぞれにおいて、接触部31と接続部32との間には、接触部31の側から接続部32の側へ向かって左に傾斜する左傾斜部39が形成されている。左傾斜部39は各端子21、22の上下伸長部33に形成されている。各端子19、20に右傾斜部38が形成され、各端子21、22に左傾斜部39が形成されていることにより、各端子19、20において接続部32が接触部31よりも右方に変位し、各端子21、22において接続部32が接触部31よりも左方に変位している。この結果、第3の端子群G3において最左の端子19の接続部32の左面と最右の端子22の接続部32の右面との間の距離が、第3の端子群G3において最左の端子19の接触部31の左面と最右の端子22の接触部31の右面との間の距離よりも短くなっている。
【0030】
また、
図8に示すように、端子19の右傾斜部38において、右縁a−bおよび左縁c−dの上下伸長部33の伸長方向(上下方向)に対する傾斜角はそれぞれ等しく例えば45度であり、端子19の右傾斜部38は略平行四辺形の形状を有している。また、コネクタ1を後方から見たとき、端子19の右傾斜部38において、右縁a−bは、当該右傾斜部38の前方に位置する端子13、14の左傾斜部36の上端部(傾斜を開始する位置)と略対応する位置に配置され、左縁c−dは、端子13、14の左傾斜部36の下端部(傾斜を終了する位置)と略対応する位置に配置されている。これらの点は、端子22の左傾斜部39においても同様である。
【0031】
また、第1、第2および第3の端子群G1〜G3の12本の端子のうち、第3の端子群G3の最左および最右にそれぞれ位置する端子19、22を除く端子11〜18、20、21の接触部31の左右方向の寸法はそれぞれ等しい。また、端子11〜18、20、21の上下伸長部33の左右方向の寸法もそれぞれ等しい。また、各端子19、22の接触部31の左右方向の寸法は、各端子11〜18、20、21の接触部31の左右方向の寸法よりも大きい値、例えば、各端子11〜18、20、21の接触部31の左右方向の寸法の2倍以上の値に設定されている。本実施形態においては、各端子19、22の接触部31の左右方向の寸法が、各端子11〜18、20、21の接触部31の左右方向の寸法の2倍の値に、等間隔に配置された端子11〜18の接触部31間の間隔の大きさを加えた値に略等しい。また、各端子19、22の上下伸長部33の左右方向の寸法も、各端子11〜18、20、21の上下伸長部33の左右方向の寸法よりも大きい値、例えば、各端子11〜18、20、21の上下伸長部33の左右方向の寸法の2倍以上の値に設定されている。
【0032】
また、第1、第2および第3の端子群G1〜G3の各端子11〜22において、接続部32は接触部31よりも左右方向の寸法が小さい。すなわち、コネクタ1を基板91に実装したときに接続部22の周縁にはんだフィレットが形成されることを考慮して、接続部32の左右方向の寸法を小さく設定し、接続部32間に適切な間隔を確保するようにしている。
【0033】
また、
図5に示すように、第1の端子群G1の端子11〜14は、左右方向にそれぞれ隣接し、左右方向に一列に等間隔に配置され、それぞれ互いに平行である。また、これらの端子11〜14の左傾斜部36は、
図8に示すように、傾斜角度がそれぞれ等しく、端子11〜14の平行な位置関係は左傾斜部36においても維持されている。第2の端子群G2の端子15〜18も、左右方向にそれぞれ隣接し、左右方向に一列に等間隔に配置され、それぞれ互いに平行である。また、これらの端子15〜18の右傾斜部37は、傾斜角度がそれぞれ等しく、端子15〜18の平行な位置関係は右傾斜部37においても維持されている。また、
図6に示すように、第3の端子群G3の端子19〜22も、左右方向にそれぞれ隣接し、左右方向に一列に等間隔に配置されている。また、端子19〜22において、接触部31はそれぞれ互いに平行であり、接続部32はそれぞれ互いに平行である。
【0034】
また、
図2に示すように、第1の端子群G1の各端子11〜14の接触部31は、前方視略台形状の嵌合部43の下段(下底側)における左側に配置されている。また、第2の端子群G2の各端子15〜18の接触部31は、嵌合部43の下段(下底側)における右側に配置されている。また、第3の端子群G3の各端子19〜22の接触部31は、嵌合部43の上段(上底側)における中央部に配置されている。また、
図7に示すように、各端子19〜22の上下伸長部33は、各端子11〜18の上下伸長部33よりも後方に配置されている。
【0035】
また、
図2に示すように、端子11〜18の接触部31はそれぞれ等しい間隔を置いて配置されている。また、第3の端子群G3の中央において互いに隣接している端子20、21のそれぞれの接触部31は、端子11〜18の接触部31の間隔と等しい間隔を置いて配置されている。また、第1の端子群G1における最左の端子11の接触部31は第3の端子群G3における最左の端子19の接触部31よりも左方に位置している。また、第2の端子群G2における最右の端子18の接触部31は第3の端子群G3における最右の端子22の接触部31よりも右方に位置している。
【0036】
また、端子14の接触部31の真上に端子20の接触部31が配置され、端子15の接触部31の真上に端子21の接触部31が配置されている。また、端子12、13の接触部31の上方に端子19の接触部31が配置され、端子12の接触部31の左面の位置と端子19の接触部31の左面の位置とが左右方向において略一致しており、端子13の接触部31の右面の位置と端子19の接触部31の右面の位置とが左右方向において略一致している。また、端子16、17と端子22との位置関係は、端子12、13と端子19との位置関係と等しい。また、端子11の上方には端子が存在せず、端子18の上方にも端子が存在しない。
【0037】
また、
図3および
図7に示すように、第1の端子群G1の各端子11〜14の接続部32、第3の端子群G3の各端子19〜22の接続部32、および第2の端子群G2の各端子15〜18の接続部32は、ハウジング41の後側または基板91の回路上において、左から右へ向かってこの順序に一列に配置されている。すなわち、上述したように第1の端子群G1の各端子11〜14の接続部32が左方に変位し、第2の端子群G2の各端子15〜18の接続部32が右方に変位していることにより、第1の端子群G1の最右の端子14の接続部32と、第2の端子群G2の最左の端子15の接続部32との間の距離が拡大している。これら距離が拡大した端子14と端子15との間に、第3の端子群G3の端子19〜22が配置されている。この結果、端子11〜14、端子19〜22および端子15〜18の接続部32が一列に配置されている。また、これら接続部32は略等間隔に配置されている。
【0038】
コネクタ1は、二対の高速差動信号および一対の低速差動信号の伝送と電源供給とを一括して行うコネクタとして用いることができる。この場合、第1の端子群G1において、左右方向中央の一対の端子12、13を一対の第1の高速差動信号を伝送する端子として用い、当該一対の端子12、13の左隣側および右隣側の端子11、14を第1の高速差動信号用のグランド端子として用いる。また、第2の端子群G2において、左右方向中央の一対の端子16、17を一対の第2の高速差動信号を伝送する端子として用い、当該一対の端子16、17の左隣側および右隣側の端子15、18を第2の高速差動信号用のグランド端子として用いる。また、第3の端子群G3において、左右方向中央の一対の端子20、21を一対の低速差動信号を伝送する端子として用い、当該一対の端子20、21の左隣側および右隣側の端子19、22のうちの一方の端子を電源端子として用い、他方の端子を一対の低速差動信号用および電源用のグランド端子として用いる。なお、高速差動信号は例えば5GHzまたはそれ以上の周波数を有する信号であり、低速差動信号は例えば500MHzの周波数を有する信号である。4本の端子11〜14が隣接して左右一列に等間隔に平行に配置された第1の端子群G1により、一対の第1の高速差動信号を、両信号の位相や振幅の平衡性を保持しつつ伝送することができる。また、同様の端子構成を有する第2の端子群G2により、一対の第2の高速差動信号を、両信号の位相や振幅の平衡性を保持しつつ伝送することができる。また、左右方向の寸法が他の端子の左右方向の寸法よりも大きい端子19、22により、電流容量を大きくすることができ、大きな電流値(例えば3A)を有する電源をコネクタ1を介して基板91側またはケーブル95側へ供給することができる。
【0039】
以上、説明した通り、本発明の実施形態のコネクタ1においては、第1の端子群G1の各端子11〜14において接続部32が接触部31よりも左方に変位し、第2の端子群G2の各端子15〜18において接続部32が接触部31よりも右方に変位している。これにより、コネクタ1の後部または端子11〜18の後端側において、第1の端子群G1と第2の端子群G2とが互いに大きく離れている。したがって、コネクタ1の後部または端子11〜18の後端側において、第1の端子群G1により伝送される第1の高速差動信号と、第2の端子群G2により伝送される第2の高速差動信号との間にクロストークが発生することを抑制することができる。また、各端子11〜18が屈曲してその伸長方向が前後方向から上下方向に変化する部分ではクロストークが発生し易い。したがって、各端子11〜18が屈曲している部分で第1の端子群G1と第2の端子群G2とを離すことで、クロストークの抑制効果を高めることができる。
【0040】
また、第1の端子群G1の各端子11〜14の接続部32の群と、第2の端子群G2の各端子15〜18の接続部32の群とが互いの大きく離れているので、基板91の回路において、第1の高速差動信号を伝送する回路パターンと、第2の高速差動信号を伝送する回路パターンとを互いに離すことができる。これにより、基板91の回路において、第1の高速差動信号と第2の高速差動信号との間のクロストークを抑制することができる。
【0041】
また、コネクタ1において、第1の端子群G1の後端側と第2の端子群G2の後端側との間には、他の端子と比較して左右方向の寸法が大きく、電源端子または電源用のグランド端子として好適に用いることができる端子19、22が配置されている。第1の端子群G1と第2の端子群G2との間に、左右方向の寸法が大きい電源供給用の端子を配置することで、第1の端子群G1により伝送される第1の高速差動信号と、第2の端子群G2により伝送される第2の高速差動信号との間のクロストークを抑制することができる。すなわち、上記特許文献1に記載のコネクタにおいては、コネクタの後部(各端子の後端側)において高速差動信号を伝送する信号コンタクトの対同士が細い1本または2本のグランドコンタクトのみを挟んで配置されている。これに対し、本発明の実施形態のコネクタ1では、コネクタ1の後部(各端子11〜22の後端側)において、第1の高速差動信号を伝送する一対の端子12、13と、第2の高速差動信号を伝送する一対の端子16、17とが、左右方向に寸法の大きい電源供給用の端子19、22を含む端子群等を挟んで配置されている。これにより、本発明の実施形態のコネクタ1によれば、上記特許文献1に記載のコネクタおよびそれと同様の端子配置構造を有するコネクタと比較して、高速差動信号間のクロストークの抑制効果を高めることができる。
【0042】
また、コネクタ1において、第1の端子群G1の各端子11〜14の上下伸長部33には左傾斜部36が形成され、第2の端子群G2の各端子15〜18の上下伸長部33には右傾斜部37が形成され、各端子11〜14の左傾斜部36と各端子15〜18の右傾斜部37とは互いに平行ではない。これにより、コネクタ1内において、第1の高速差動信号の伝送経路と第2の高速差動信号の伝送経路とを部分的にでも非平行とすることができ、第1の高速差動信号と第2の高速差動信号との間のクロストークを抑制することができる。
【0043】
また、コネクタ1においては、コネクタ1が有する12本のすべての端子11〜22の接続部32が左右方向に一列に配置されている。これにより、各接続部32の基板91の回路へのはんだ付けを容易かつ確実に行うことができる。また、はんだ付け作業後に行う、はんだ付けの良否の検査を容易化することができる。
【0044】
また、コネクタ1によれば、第1、第2および第3の端子群G1〜G3の各端子11〜22において、接続部32の左右方向の寸法を接触部31の左右方向の寸法よりも小さくしたことにより、隣接する接続部32間の間隔を十分に確保することができる。これにより、はんだフィレットを考慮したインピーダンス設定を行うことができる。
【0045】
また、コネクタ1においては、第3の端子群G3の各端子19〜22の接触部31が第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18の接触部31よりも上方に位置し、第3の端子群G3の各端子19〜22の上下伸長部33が第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18の上下伸長部33よりも後方に位置し、第1の端子群G1の各端子11〜14の左傾斜部36が各端子11〜14の上下伸長部33に形成され、第2の端子群G2の各端子15〜18の右傾斜部37が各端子15〜18の上下伸長部33に形成されている。これにより、例えば上記特許文献1に記載のコネクタと比較して、コネクタ1の前後方向の寸法を小さくすることができる。すなわち、上記特許文献1に記載のコネクタでは、同文献の
図5に示すように、各コンタクトの交差部(傾斜部)が、コンタクトにおいてX方向(前後方向)に伸長している部分に形成されている。コンタクトにおける端子部を接触部よりもY方向(左右方向)のいずれか一方にずらすためには、交差部の長さをある程度長くしなければならない。交差部の長さが長くなると、コネクタがX方向に大きくなる。このため、特許文献1に記載のコネクタはコネクタの前後方向の寸法を小さくすることが難しい。これに対し、本発明の実施形態のコネクタ1によれば、左傾斜部36および右傾斜部37が形成されている箇所が各端子11〜18の上下伸長部33であるので、左傾斜部36および右傾斜部37が長くなったとしても、それによりコネクタ1の前後方向の寸法は大きくならない。
【0046】
また、コネクタ1では、第3の端子群G3において、各端子19、20の接続部32が右方に変位し、各端子21、22の接続部32が左方に変位していることにより、第3の端子群G3の最左の端子19の接続部32の左面と第3の端子群G3の最右の端子22の接続部32の右面との間の距離が縮小している。これにより、第3の端子群G3を第1の端子群G1と第2の端子群G2との間に配置することによるコネクタ1の左右方向の寸法の増加を抑えることができる。
【0047】
また、コネクタ1において、第1の端子群G1の後端側と第2の端子群G2の後端側との間には第3の端子群G3の後端側が配置されている。これにより、第1の端子群G1の後端側と第2の端子群G2の後端側との間の空間を利用して、低速高速信号の伝送または電源の供給を行うことができる。したがって、二対の高速差動信号および一対の低速差動信号の伝送と電源供給とを一括して行う小型のコネクタを実現することができる。
【0048】
また、コネクタ1においては、嵌合部43が前方視略台形状に形成され、第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18の接触部31が嵌合部43の下底側に配置され、第3の端子群G3の各端子19〜22の接触部31が嵌合部43の上底側に配置され、第1の端子群G1における最左の端子11の接触部31が第3の端子群G3における最左の端子19の接触部31よりも左方に位置し、第2の端子群G2における最右の端子18の接触部31が第3の端子群G3における最右の端子22の接触部31よりも右方に位置し、第3の端子群G3における最左および最右の端子19、22の接触部31の左右方向の寸法が、端子11〜18、20、21のうちのいずれの端子の接触部31の左右方向の寸法よりも大きい。この構成により、コネクタ同士の誤嵌合を防止可能な形状を有する嵌合部43に、二対の高速差動信号の伝送および電源の供給等を行うための複数の端子の接触部31を効率よく、コンパクトに配置することができる。
【0049】
また、コネクタ1においては、第1および第2の端子群G1、G2の各端子11〜18の接触部31、および第3の端子群G3において最左および最右の端子19、22を除く各端子20、21の接触部31の左右方向の寸法がそれぞれ等しい。この構成により、コネクタ1の組立時に、各端子11〜18、20、21をハウジング41に組み入れる際の押圧力を略均一化することができ、コネクタ1の組立作業を簡素化することができる。
【0050】
また、コネクタ1においては、第1および第2の端子群G1、G2のそれぞれの端子11〜18の接触部31がそれぞれ等しい間隔を置いて配置され、第3の端子群G3において中央に配置された端子20、21の接触部31が、端子11〜18の接触部31の間隔と等しい間隔を置いて配置され、第3の端子群G3における最左および最右の端子19、22のそれぞれの左右方向の寸法が各端子11〜18の接触部31の左右方向の寸法の2倍の値に、それぞれの端子11〜18の接触部31の間隔の大きさを加えた値と略等しい。この構成により、上下方向に向かい合う端子の位置を揃え、各端子11〜22を整然と配置することができる。したがって、コネクタ1の組立時において、各端子11〜22をハウジング41に組み入れる工程を簡素化することができる。
【0051】
なお、上記実施形態のコネクタ1では、第1および第2の端子群G1、G2を嵌合部43の下段に配置し、第3の端子群G3を嵌合部43の上段に配置したが、これらの配置を上下逆にしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態のコネクタ1では、第1の端子群G1のすべての端子11〜14の接続部32を左方に変位させたが、第1の端子群G1の最右の端子14の接続部32のみ、または端子13、14の接続部32のみ、あるいは端子12〜14の接続部32のみを左方に変位させてもよい。同様に、第2の端子群G2のすべての端子15〜18の接続部32を右方に変位させるのではなく、端子15の接続部32のみ、または端子15、16の接続部32のみ、あるいは端子15〜17の接続部32のみを左方に変位させてもよい。同様に、第3の端子群G3のすべての端子19〜22の接続部32を左右方向に変位させるのではなく、例えば、端子19の接続部32のみを右方に変位さてもよいし、端子22の接続部32のみを左方に変位させてもよいし、端子19、22の接続部32のみを右方、左方にそれぞれ変位させてもよい。
【0053】
また、第3の端子群G3中に左右方向の寸法が大きい端子19、22を設けたが、これら端子19、22の左右方向の寸法を他の端子の左右方向の寸法と等しくしてもよい。また、コネクタ1に他の端子を追加してもよい。また、第3の端子群G3に2本の端子20、21を設けたが、これら端子20、21のうちの一方または双方を除去してもよい。また、上記実施形態では、コネクタ1により、二対の高速差動信号および一対の低速差動信号の伝送、並びに電源の供給を行う場合を例にあげたが、本発明はこれら以外に種々の信号の伝送等に用いることができる。
【0054】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコネクタもまた本発明の技術思想に含まれる。