【課題】従来から一般的に使用されている容器の底面に設けられているポートに対して接続可能であり、容器内の気体を容器の後側のポートを通じて容器の外部に排気可能な排気ノズルユニットを提供する。
【解決手段】搬出入口41を有する基板収納容器4から、容器4内の気体雰囲気を容器4の底面に有するポート40を通して外部に排出可能な排気ノズルユニット9を、ポート40の弁403を押圧することによって当該ポート40を閉止状態から開放状態に切替可能なノズル91と、ポート40を開放状態にする使用姿勢(N1)とポート40を閉止状態にする待機姿勢(N3)との間でノズル91を昇降可能に保持するハウジング92とを備えた構成にした。
前記ノズルと前記ハウジングとの間に動作調整空間を有し、前記動作調整空間に対してノズル制御用気体を出し入れすることにより前記ノズルを前記使用姿勢と前記待機姿勢との間で動作させる請求項1又は2に記載の排気ノズルユニット
搬出入口を有する容器と搬送空間との間で搬送対象物を搬送する搬送ロボットが配置される搬送室と、前記容器が載置される載置台を有するロードポートとを備えるEFEMであって、
前記ロードポートは、前記容器内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なパージ装置を備えたものであり、
前記パージ装置は、前記載置台の所定箇所に配置され、且つ前記容器の底面に1つ以上設けられたポートに接続される1つ以上の排気ノズルユニットを備えたものであり、
前記排気ノズルユニットは、前記ポートの弁を押圧することによって当該ポートを閉止状態から開放状態に切替可能なノズルと、前記ノズルを、前記ポートを開放状態にする使用姿勢と前記ポートを閉止状態にする待機姿勢との間で昇降可能に保持するハウジングとを備えていることを特徴とするEFEM。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態に係る排気ノズルユニット9は、例えば
図1に示すロードポート2の載置台23の所定箇所に配置されるものである。
図1には、クリーンルームに配置されるロードポート2及び搬送室3を備えたEFEM(Equipment Front End Module)とその周辺装置の相対位置関係を模式的に示す。EFEM1は、例えば半導体の製造工程において用いられるものであり、以下の説明では、搬送対象物である例えばウェーハWを基板収納容器4(例えば本実施形態ではFOUP)と搬送室3(ウェーハ搬送室)の間で出し入れ処理する態様について説明する。なお、EFEMで取り扱うウェーハのサイズはSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格として標準化されているが、生産性向上の観点からウェーハの大径化が進められ、これまでの直径300mmから直径450mm乃至直径500mmのウェーハへの移行が推進されている。
【0030】
また、以下の説明では、FOUP4、ロードポート2、搬送室3がこの順で並ぶ前後方向Dにおいて、搬送室3側を「後方」と定義し、FOUP4側を「前方」と定義し、前後方向D及び垂直方向Hに直交する方向を「側方」と定義する。
【0031】
本実施形態におけるFOUP4は、
図1、
図2及び
図12等に示すように、後面42B(ベース21側の面)に形成した搬出入口41を通じて内部空間4Sを後方にのみ開放可能なFOUP本体42と、搬出入口41を開閉可能なFOUPドア43を備えている。FOUP4は、内部に複数枚の搬送対象物であるウェーハWを上下方向Hに多段状に収容し、搬出入口41を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。
【0032】
FOUP本体42は、前壁、左右一対の側壁、上壁及び底壁を一体に有する。これら各壁によって囲まれる内部空間4SにウェーハWを複数段所定ピッチで載せることが可能な棚部(ウェーハ載置部)を備えたものである。FOUP本体42の底壁には、
図1等に想像線(二点鎖線)で示すように、ポート40が所定箇所に設けられている。ポート40は、例えば、FOUP本体42の底壁に形成したポート取付用貫通孔に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、チェック弁によって開閉可能に構成されたものである。
【0033】
ポート40の具体例として、
図3乃至
図5に示すように、例えば有底無蓋のグロメットシールからなる筒状の基台401と、基台401のうちFOUP4の外部GSに露出する部分である底部に形成した通気口402と、基台401の内部に形成した弁室404に移動可能に配置されたチェック弁403(本発明における「弁」に相当)と、チェック弁403を通気口402側に付勢する圧縮バネ405とを備えたものを挙げることができる。このようなポート40は、通気口402をチェック弁403で閉止した閉止状態(
図3及び
図4参照)と、圧縮バネ405の付勢力に抗してチェック弁403が通気口402から離間する方向に移動して、通気口402を開放した開放状態(
図5参照)との間で切替可能なものである。通気口402、チェック弁403及び圧縮バネ405により、開閉機構が構成されている。
【0034】
なお、
図3等に示すポート40は、基台401の内部において圧縮バネ405を支持する支持板406と、支持板406の一部に形成された貫通口407と、貫通口407よりもFOUP4の内部空間4Sに近い位置に設けられたフィルター408とを備えたものである。このようなポート40は、FOUP4内に気体を供給する際の給気口(給気ポート)として機能したり、FOUP4内から気体を排出する際の排気口(排気ポート)として機能する。本実施形態では、ポート40の閉止状態から開放状態への切替処理を、ロードポート2の載置台23に設けたパージノズルユニット9(排気ノズルユニット)の動作に関連付けて行うことができるように構成している。
【0035】
FOUP本体42の上壁における上向面の中央部に、容器搬送装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部を設けている。また、FOUP本体42の後端部には、他の部分よりも上方及び両側方に突出させた鍔部45を設けている。つまり、FOUP本体42のうち、FOUPドア43が配置される領域の周囲部分に鍔部45を設けている。
【0036】
FOUPドア43は、ロードポート2の後述する載置台23に載置された状態においてロードポート2のロードポートドア22と対面するものであり、概略板状をなす。FOUPドア43には、このFOUPドア43をFOUP本体42にロックし得るラッチ部(図示省略)を設けている。FOUPドア43の内向き面431のうち搬出入口41をFOUPドア43で閉止した状態においてFOUP本体42に接触または近接する所定の部分にガスケット(図示省略)を設けている。そして、FOUPドア43の内向き面431よりも優先してガスケットをFOUP本体42に接触させて弾性変形させることで、FOUP4の内部空間4Sを密閉できるように構成されている。
【0037】
本実施形態に係るロードポート2は、
図1、
図2、
図6乃至
図8に示すように、搬送室3の前壁面3Aの一部を構成し、且つ搬送室3の内部空間3Sを開放するための開口部21aが形成された板状をなすベース21と、ベース21の開口部21aを開閉するロードポートドア22と、ベース21に略水平姿勢で設けた載置台23とを備えている。ここで、搬送室3の内部空間3Sを開放するための開口部21aは、ベース21によって仕切られる空間である搬送室3の内部空間3Sを開放するためにベース21に形成された開口である。
【0038】
ベース21は、起立姿勢で配置され、載置台23上に載置したFOUP4の搬出入口41と連通し得る大きさの開口部21aを有する略矩形板状のものである。本実施形態のロードポート2は、ベース21を搬送室3に密着させた状態で使用可能なものである。また、ベース21の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部24を設けている。本実施形態では、両側方に起立させた支柱211と、これら支柱211により支持されたベース本体212と、ベース本体212に略矩形状に開放された窓部213に取り付けられたウインドウユニット214とを備えたベース21を適用している。
【0039】
ウインドウユニット214は、FOUPドア43と対向する位置に設けられており、このウインドウユニット214に設けた開口部215が、搬送対象物(ウェーハW)が通過可能な開口部である。
【0040】
ここで、本実施形態でいう略矩形とは、四辺を備える長方形を基本形状としながら四隅を円弧によって滑らかにつないだ形状をいう。なお、図示していないが、ベース本体212のうち搬送室3側の面(後面)の外周近傍には、矩形枠状に形成された弾性材としてのガスケットを設け、搬送室3のうちベース21が装着される開口の縁部近傍にガスケットを接触させることで、ベース本体212と搬送室3との隙間を無くしている。
【0041】
載置台23は、ベース21のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台25(支持台)の上部に設けられる。この載置台23は、FOUP本体42の内部空間4Sを開閉可能とするFOUPドア43をロードポートドア22に対向させる向きでFOUP4を載置可能なものである。また、載置台23は、FOUPドア43がベース21の開口部21aに接近する所定のドッキング位置(
図9参照)と、FOUPドア43をドッキング位置よりもベース21から所定距離離間した位置(
図2参照)との間で、ベース21に対して進退移動可能に構成されている。載置台23は、
図6に示すように、上向きに突出させた複数の突起(ピン)231を有し、これらの突起231をFOUP4の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置台23上におけるFOUP4の位置決めを図っている。なお、
図2等では、載置台23上におけるFOUP4の載置状態として、載置台23の上面にFOUP4の底面が接触している状態を示している。しかしながら、実際には、載置台23の上面よりも上方に突出している複数の位置決め用突起231が、FOUP4の底面に形成された有底の穴に係合することでFOUP4を支持しており、載置台23の上面とFOUP4の底面は相互に接触せず、載置台23の上面とFOUP4の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。また、載置台23に対してFOUP4を固定するためのロック爪232を設けている。このロック爪232をFOUP4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、位置決め用の突起231と協働してFOUP4を載置台23上における適正な位置に案内しながら固定することができる。また、FOUP4の底面に設けた被ロック部に対するロック爪232のロック状態を解除することでFOUP4を載置台23から離間可能な状態にすることができる。
【0042】
ロードポートドア22は、FOUPドア43を連結して、FOUPドア43をFOUP本体42から取り外し可能な蓋連結状態と、FOUPドア43に対する連結状態を解除し、且つFOUPドア43をFOUP本体42に取り付けた蓋連結解除状態との間で切替可能な連結機構221(
図8参照)を備えている。ロードポートドア22は、連結機構221によってFOUPドア43を一体化した状態で保持したまま所定の移動経路に沿って移動可能なものである。本実施形態のロードポート2は、ロードポートドア22を、
図6乃至
図9に示す位置、つまり、当該ロードポートドア22が保持するFOUPドア43によってFOUP本体42の内部空間4Sを密閉する全閉位置(C)と、
図10に示す位置、つまり、当該ロードポートドア22が保持するFOUPドア43をFOUP本体42から離間させて当該FOUP本体42の内部空間4Sを搬送室3内に向かって開放させる開放位置(O)との間で少なくとも移動可能に構成している。本実施形態のロードポート2は、全閉位置(C)に位置付けたロードポートドア22の起立姿勢を維持したまま
図10に示す開放位置(O)まで移動させることができ、さらに、
図10に示す開放位置(O)から図示しない全開位置まで起立姿勢を維持したまま下方向に移動可能に構成している。すなわち、全閉位置(C)と全開位置との間におけるロードポートドア22の移動経路は、全閉位置(C)にあるロードポートドア22をその高さ位置を維持したまま開放位置(O)まで搬送室3側へ移動させた経路(水平経路)と、開放位置(O)にあるロードポートドア22をその前後位置を維持したまま下方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなり、水平経路と鉛直経路が交わるポイントである開放位置(O)において、ロードポートドア22の移動方向が水平方向から鉛直方向に、或いは鉛直方向から水平方向に切り替わる。開放位置(O)に位置付けたロードポートドア22が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、開放位置(O)に位置付けたロードポートドア22に保持されるFOUPドア43は、ロードポートドア22と共にベース21よりも後方の位置(FOUP本体42から完全に離間し、搬送室3の内部空間3Sに配置される位置)に位置付けられる。
【0043】
このようなロードポートドア22の移動は、ロードポート2に設けたドア移動機構27によって実現している。ドア移動機構27は、
図2及び
図7等に示すように、ロードポートドア22を支持する支持フレーム271と、スライド支持部272を介して支持フレーム271を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック273と、可動ブロック273を上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール274と、ロードポートドア22の水平経路に沿った前後方向Dの移動、及び鉛直経路に沿った上下方向Hの移動を行わせるための駆動源(例えば図示しないアクチュエータ)とを備えている。このアクチュエータに対して制御部2Cから駆動指令を与えることで、ロードポートドア22を前後方向D及び上下方向Hに移動させることができる。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいし、共通のアクチュエータを駆動源として前後移動及び上下移動を行う態様であってもよい。
【0044】
支持フレーム271は、ロードポートドア22の後部下方を支持するものである。この支持フレーム271は、下方に向かって延材した後に、ベース21に形成したスリット状の挿通孔21bを通過して搬送室3の外側(載置台23側)に張り出した略クランク状のものである。本実施形態では、支持フレーム271を支持するためのスライド支持部272、可動ブロック273及びスライドレール274を搬送室3の外側に配置している。これらスライド支持部272、可動ブロック273、スライドレール274は、ロードポートドア22を移動させる際の摺動箇所となる。本実施形態では、これらを搬送室3の外側に配置することで、ロードポートドア22の移動時にパーティクルが万が一発生した場合であっても、挿通孔21bを微小なスリット状に設定していることにより、搬送室3内にパーティクルが進入する事態を防止・抑制することができる。また、ドア移動機構27のうち搬送室3の外側に配置されるパーツや部分、具体的には、支持フレーム271の一部、スライド支持部272、可動ブロック273及びスライドレール274を被覆するカバー28を設けている。これにより、ベース21に形成した上述の挿通孔21bを通じて搬送室3内の環境ガスがEFEM1の外部GSに流出しないように設定している。
【0045】
本実施形態に係るロードポート2は、
図2、
図9乃至
図12等に示すように、開口部21aの周縁近傍に設けた第1シール部5と、第2シール部6とを備え、ロードポートドア22が閉状態にあって且つ第1シール部5を介してFOUPドア43をベース21に当接させた状態において、FOUPドア43及びロードポートドア22が前後方向Dに所定の隙間を隔てて対向する空間を第1シール部5、第2シール部6によって外部GSから仕切った密閉空間DSが形成されるように構成している。本実施形態では、第1シール部5及び第2シール部6を上述のウインドウユニット214としてユニット化している。
【0046】
ウインドウユニット214は、
図6及び
図11に示すように、当該ウインドウユニット214のうちFOUPドア43と対向する位置(図示例ではウインドウユニット214の中央部分)に略矩形状の開口部215を有する枠形状の窓枠部216を主体として構成されたものである。本実施形態では、窓枠部216の開口部215を通じて、FOUPドア43がロードポートドア22に保持された状態で搬送室3内へ移動できるように構成している。窓枠部216の開口部215は、ベース21の開口部21aそのものである。
【0047】
第1シール部5は、ベース21の前面のうち開口部21aの開口縁近傍領域において開口部21aを周回するように設けられ、FOUP4を載置した載置台23をドッキング位置に位置付けた際に、ベース21の開口部21aの周縁とFOUP4との間をシールするものである(
図11参照)。ベース21にウインドウユニット214を取り付けた構成を採用している本実施形態では、窓枠部216の前面216Aのうち開口部215の開口縁近傍領域において開口部215を周回する位置に第1シール部5を設けている。このような第1シール部5は、FOUP4を載置した載置台23をドッキング位置に位置付けた際に、ベース21の開口部21aの周縁とFOUP4との間に介在してシール機能を発揮する。
【0048】
なお、
図2、
図9及び
図10では、第1シール部5及び第2シール部6を黒く塗りつぶした略楕円形状のマークで模式的に示している。また、
図9及び
図10では、FOUP本体42の後面42B(シール面)がベース21(ウインドウユニット214)に接触しているが、実際には、FOUP本体42のシール面はベース21(ウインドウユニット214)に接触せず、上述したように、FOUP本体42のシール面とベース21(ウインドウユニット214)の間に第1シール部5が介在している。
【0049】
第2シール部6は、ベース21の後面21Bのうち開口部21aの開口縁近傍領域において開口部21aを周回するように設けられる。ベース21にウインドウユニット214を取り付けた構成を採用している本実施形態では、窓枠部216の後面216Bのうち、ロードポートドア22の前面、つまりベースの前面21Aの所定部分に設定したシール面(ロードポートドア22における外縁部分に設定した面)に対向する位置に第2シール部6を周回させて取り付けている。そして、ロードポートドア22を閉位置に位置付けた際に、第2シール部6を介してロードポートドア22が窓枠部216の後面216Bに当接した状態になり、第2シール部6がベース21の開口部21aの周縁とロードポートドア22との間をシールする(
図9参照)。その結果、ロードポートドア22を閉位置に位置付けた状態では、搬送室3の内部空間3Sから搬送室3の外部GSへのガスの流出や、搬送室3の外部GSから搬送室3の内部空間3Sへのガスの流入を抑制することができる。なお、ロードポートドア22の外周縁部には薄肉部を設定し、ロードポートドア22のうち薄肉部を除く部分である中央部分は薄肉部よりも厚みの大きい厚肉部であり、この厚肉がベース21の開口部21a(窓枠部216の開口部215)から前方に向かって張り出す形態で開口部21a(開口部215)に臨むように設定している。
【0050】
本実施形態では、第1シール部材5及び第2シール部6として断面形状が略円形のOリングを適用し、第1シール部5を構成するOリングを第1シール部5の上辺部分5A、下辺部分5B、左右の両側辺部分5Cに亘って配置するとともに、第2シール部6を構成するOリングを第2シール部6の上辺部分6A、下辺部分6B、左右の両側辺部分6Cに亘って配置している。
【0051】
また、本実施形態のロードポート2は、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4がベース21から離間する方向(前方)に移動することを規制する移動規制部Lを備えている。本実施形態では、移動規制部Lをウインドウユニット214としてユニット化している。
【0052】
移動規制部Lは、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4がベース21から離間する方向(後方)に移動することを規制する移動規制状態と、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4がベース21から離間する方向へ移動することを許容する移動許容状態との間で切替可能なものである。すなわち、移動規制部Lは、移動規制状態になることで、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されているFOUP4を保持することが可能である。
【0053】
本実施形態における移動規制部Lは、
図11等に示すように、FOUP本体42のうちFOUPドア43の周囲部分に設けられた鍔部45に係合可能な係合片L1と、係合片L1を鍔部45に係合させた状態でベース21側に移動させる引き込み部L2とを備えている。このような移動規制部Lは、FOUP本体42の鍔部45を係合片L1とベース21との間に挟み込む状態で保持可能なクランプ機能を発揮する。本実施形態では、ベース21にウインドウユニット214を設けている。したがって、移動規制部Lは、FOUP本体42の鍔部45を係合片L1とウインドウユニット214の窓枠部216との間に挟み込む機能を有する。
【0054】
係合片L1は、先端を含む全体が前後方向DにおいてFOUP4に対面しない非対面姿勢と、FOUP4に対面する対面姿勢(
図11に示す姿勢)との間で姿勢変更可能なものである。本実施形態に係るロードポート2は、係合片L1を非対面姿勢にすることで、FOUP4を載置している載置台23を、FOUPドア43が開口部215に接近する所定のドッキング位置と、ドッキング位置よりも搬送室3から所定距離離間した位置との間で移動させることができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にすることで移動許容状態になる。
【0055】
このような移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にした状態で、アンドッキング位置にある載置台23を、FOUP4を載置したままドッキング位置に移動させた時点以降に、非対面姿勢にある係合片L1を搬送室3側に引き込む方向に移動させて非対面姿勢から対面姿勢に変更する。すると、係合片L1をFOUP本体42の後面42Bにおいて外側方に張り出した鍔部45に係合させることができる。そして、係合片L1を引き込み部L2によって搬送室3側引き込むことで、係合片L1とFOUP4の鍔部45との係合状態を維持したまま係合片L1が搬送室3側(後方)に引き込まれる。その結果、FOUP4の鍔部45を係合片L1とベース21の間に挟み込む状態になり、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4がベース21から離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢から対面姿勢に変更させて、その係合片L1を引き込み部L2によってベース21側に引き込むことで移動規制状態(
図11に示す状態)になる。このような移動規制部Lを、
図2及び
図8に示すように、ベース21のうち略矩形状をなす開口部21aの両サイドにおける上端近傍及び下端近傍の合計4箇所にそれぞれ配置している。
【0056】
本実施形態では、
図9に示すように、ドッキング位置に位置付けた載置台23に載置されているFOUP4のうちFOUP本体42の後面42Bが、所定寸法の隙間を隔ててベース21の前面21A(窓枠部216の前面216A)に接近し、その隙間を第1シール部5によってシール可能に構成している。また、本実施形態のロードポート2は、載置台23を所定のドッキング位置に位置付けた時点以降、ロードポートドア22が閉状態にあれば、FOUPドア43とロードポートドア22が所定寸法の隙間を隔てて接近するとともに、ロードポートドア22とベース21との間を第2シール部6でシール可能に構成している。したがって、ロードポートドア22とFOUPドア43が所定寸法の隙間を隔てて対向する空間は、第1シール部5及び第2シール部6によって仕切られた密閉空間DSになる。
【0057】
本実施形態に係るロードポートドア22は、
図2及び
図9等に示すように、密閉空間DSに対してガスを注入するガス注入部71と、密閉空間DSの気体を排気するガス排出部72とを備えている。ガス注入部71は、例えば長尺のノズルを用いて構成したものであり、ノズルの一端(ガス注入方向下流端)をロードポートドア22の外表面まで到達させるとともに、ノズルの他端(ガス注入方向上流端)近傍にガス注入バルブ71aを接続している。同様に、ガス排出部72は、例えばノズルを用いて構成したものであり、ノズルの一端(ガス排出方向上流端)をロードポートドア22の外表面まで到達させるとともに、ノズルの他端(ガス排出方向下流端)近傍にガス排出バルブ72aを接続している。このような構成により、ガス注入部71によって密閉空間DSに環境ガス(本実施形態では窒素ガス)を供給し、ガス排出部72によって密閉空間DSを排気することで、密閉空間DSをガスパージすることが可能である。このようなFOUPドア43及びロードポートドア22が所定隙間を隔てて対向する密閉空間DSをガスに置換するガスパージ処理を、以下では「ドアパージ処理」とする。本実施形態では、ドアパージ処理により、密閉空間DSと外部GS(大気圧下)との差圧が例えば500Pa(G)以下、好ましくは300Pa(G)以下となるように設定している。
【0058】
図2に示すように、ガス注入部71のガス注入方向上流端、ガス注入バルブ71a、ガス排出部72のガス排出方向下流端、ガス排出バルブ72aは、上述のカバー28によって被覆されている。なお、ガス注入部71及びガス排出部72を構成する各ノズルの所定部分は、ロードポートドア22を厚み方向(前後方向D)に貫通している。ロードポートドア22のうちノズルが貫通する部分に適宜のシール処理を施している。本実施形態では、フレキシブル性或いは伸縮性(蛇腹タイプも含む)に優れたノズルを適用している。ノズルの一部または全部をチューブで代用することもできる。
図2等においてガス注入部71及びガス排出部72のうち搬送空間3Sに露出している部分は、実際には、ロードポートドア22を搬送室3側から被覆するドアカバー(図示省略)内に収められている。
【0059】
本実施形態のロードポート2は、FOUP4の内部空間4Sにパージ用気体を注入し、FOUP4の内部空間4Sの気体雰囲気を窒素ガスなどの環境ガス(パージ用気体)に置換可能なパージ装置Pを備えている(
図6参照)。パージ装置Pは、載置台23上に上端部を露出可能な状態で所定箇所に配置される複数のパージノズルユニット9(気体給排装置)を備えたものである。これら複数のパージノズルユニット9は、FOUP4の底面に設けたポート40の位置に応じて載置台23上の適宜位置に取り付けられ、ポート40に接触した状態で接続可能なものである。ここで、パージノズルユニット9が、本発明に係る環境ガスの供給・排気を行う「排気ノズルユニット」に相当する。
【0060】
パージノズルユニット9は、
図3乃至
図5、
図13及び
図14に示すように、ノズル91と、ノズル91を昇降可能な状態で保持するハウジング92と、ハウジング92及びノズル91に亘って設けられノズル91を待機姿勢(N3)と使用姿勢(N1)との間で動作させるべく拡縮する動作調整空間93とを備えている。ノズル91の待機姿勢(N3)は、
図3及び
図13に示す姿勢、すなわちポート40を閉止状態にする姿勢であり、ノズル91の使用姿勢(N1)は、
図5及び
図14に示す姿勢、すなわちポート40を開放状態にする姿勢である。
【0061】
ハウジング92は、概略直方体形状をなすハウジング本体921と、ハウジング本体921の内壁において他の領域よりも内側に突出する内方突出部922と、ハウジング本体921の外壁から内壁に亘って貫通し且つノズル制御用気体(圧縮空気)を動作調整空間93に対して出し入れ可能なノズル制御用気体ポート923(
図13参照)とを有するものである。ノズル制御用気体ポート923は、ハウジング92とノズル91との間に形成されている動作調整空間93に連通している。ハウジング本体921の所定箇所には、ノズル91の外周面に弾接して気密状態を形成するOリング924(パッキン)を凹部に嵌合した状態で設けている。
【0062】
ノズル91は、ポート40に接触する概略筒状の第1ノズル911と、第1ノズル911の内部空間に配置され且つポート40の弁403を押圧可能な第2ノズル912とを有するものである。
【0063】
第1ノズル911は、概略円筒状をなし、ポート40の下向き面(基台401の下向き面)に密着し得る接触面914を上端に設定したものである。第1ノズル911の外周壁の所定部分には、ハウジング92の内壁に摺接する大径部915と、ハウジング92の内方突出部922に接触することで第1ノズル911の最下降位置を規定する段部916と、ハウジング92の内方突出部922に摺接する小径部917とを高さ方向においてこの順に形成している。また、第1ノズル911の外周壁の所定部分には、他の部分よりも内側に突出し且つ当該第1ノズル911に対する第2ノズル912の最下降位置を規定する内方突出部918を設け、この内方突出部918に、第2ノズル912の外周壁に弾接して気密状態を形成するOリング919(パッキン)を凹部に嵌合した状態で設けている。このような第1ノズル911のうち接触面914をポート40の下向き面に密着させることによって、ポート40が開放状態である場合にFOUP4内の気体がポート40とノズル91との隙間から外部GSへ流出することを防止できる(
図4及び
図5参照)。
【0064】
第2ノズル912は、軸心部分に高さ方向に貫通する第1気体流路91Aを有する第2ノズル本体91aと、第2ノズル本体91aに下端部に組み付けられ且つ第1気体流路91Aに連通する第2気体流路91Bを内部に有するノズルベース91bとを備えたものである。ノズルベース91bの外壁には、パージ用気体(窒素ガス)を第1気体流路91A及び第2気体流路91Bに対して出し入れ可能なパージ用気体ポート91cを形成している。ノズルベース91bは、第2気体流路91Bが略水平方向に延伸する姿勢で配置され、パージ用気体ポート91cから第2気体流路91Bに導入したパージ用気体は、第2気体流路91Bから第1気体流路91Aに流れ、第2ノズル本体91aの上端部に形成した気体排出口91dから排出される。
【0065】
第2ノズル912の上端面(第2ノズル本体91aの上端面)は、FOUP4のポート40に当接または押圧してポート40の内部のチェック弁403を開放可能な押圧面91eとして機能する。本実施形態の気体排出口91dは、押圧面91eから下端側へ向けて所定距離延伸するスリットによって形成したものである。本実施形態では、第2ノズル本体91aの上端部において複数の気体排出口91d(スリット)を周方向に所定ピッチで形成している。気体排出口91dは、パージ用気体(窒素ガス)をFOUP4内へ導入する噴射口として機能する。
【0066】
本実施形態では、第2ノズル本体91aの少なくとも上端部を含む所定領域を第1ノズル911の内部空間に収容した状態で、第2ノズル912を第1ノズル911に対して昇降移動可能に構成している。第2ノズル912の外周壁のうち第1ノズル911の内部空間に収容される所定部分には、他の部分よりも外方に突出し且つ第1ノズル911の内周壁に摺接する大径部91fと、第1ノズル911の内方突出部918に接触することで第2ノズル912の最下降位置を規定する段部91gと、第1ノズル911の内方突出部918に摺接する小径部91hとを高さ方向においてこの順に形成している。また、第2ノズル912の大径部91fには、第1ノズル911の内周壁に弾接して気密状態を形成するOリング91i(パッキン)を凹部に嵌合した状態で設けている。
【0067】
なお、第2ノズル本体91aに形成した第1気体流路91Aとノズルベース91bに形成した第2気体流路91Bの相対位置は変更可能に構成することも可能であるが、本実施形態では、第1気体流路91Aと第2気体流路91Bの相対位置を固定している。
【0068】
動作調整空間93は、ハウジング92と第1ノズル911との間に形成される第1動作調整空間931と、第1ノズル911と第2ノズル912との間に形成される第2動作調整空間932とを有する。
【0069】
第1動作調整空間931は、第1ノズル911を、
図3に示す姿勢、すなわち第1ノズル911をポート40から離間させた離間姿勢(P2)と、
図4及び
図5に示す姿勢、すなわちポート40に密着させる密着姿勢(P1)との間で動作させるべく拡縮する空間である。本実施形態では、第1ノズル911の径方向において第1ノズル911の外周壁のうち少なくとも段部916とハウジング92の内周壁とが所定の隙間を隔てて対面する微小スペースを第1動作調整空間931に設定している。第1ノズル911が離間姿勢(P2)にある場合、第1動作調整空間931は最小スペース(
図3参照)であり、第1ノズル911が離間姿勢(P2)から密着姿勢(P1)に切り替わる過程で第1動作調整空間931は少なくとも高さ方向に漸次大きくなり、第1ノズル911が密着姿勢(P1)になった場合に第1動作調整空間931は最大スペース(
図4及び
図5参照)となる。
【0070】
すなわち、ハウジング92のノズル制御用気体ポート923からノズル制御用気体(本実施形態では圧縮空気)が導入されておらず、第1ノズル911が離間姿勢(P2)にある状態で、ハウジング92のノズル制御用気体ポート923からノズル制御用気体(本実施形態では圧縮空気)を導入すると、その導入量(供給量)に応じて第1動作調整空間931が少なくとも高さ方向に拡大して、第1ノズル911が上方に移動して密着姿勢(P1)に切り替わる。なお、第1ノズル911の下端部には、密着姿勢(P1)にある第1ノズル911がハウジング92に接触することで第1ノズル911のそれ以上の上昇移動を規制する第1ノズルストッパ929を設けている。
【0071】
また、第1ノズル911が密着姿勢(P1)にある状態で、第1動作調整空間931のノズル制御用気体(本実施形態では圧縮空気)をハウジング92のノズル制御用気体ポート923から排出すると、第1動作調整空間931が少なくとも高さ方向に縮小して、第1ノズル911を下方に移動させて離間姿勢(P2)に切り替わる。離間姿勢(P2)では、第1ノズル911の段部916がハウジング92の内方突出部922に接触することで第1ノズル911の最下降位置を規定し、適切な離間姿勢(P2)を維持できる。
【0072】
第2動作調整空間932は、第2ノズル912を、
図5に示す姿勢、すなわちポート40の弁403を押圧することによりポート40を開放する押圧姿勢(Q1)と、
図3及び
図4に示す姿勢、すなわちポート40の弁403から離間することによりポート40を閉止する離間姿勢(Q2)との間で動作させるべく拡縮する空間である。本実施形態では、第2ノズル912の径方向におい第2ノズル912の外周壁のうち少なくとも段部91gと第1ノズル911の内周壁とが所定の隙間を隔てて対面する微小スペースを第2動作調整空間932に設定している。第2ノズル912が離間姿勢(Q2)にある場合、第2動作調整空間932は最小スペース(
図3及び
図4参照)であり、第2ノズル912が離間姿勢(Q2)から押圧姿勢(Q1)に切り替わる過程で第2動作調整空間932は少なくとも高さ方向に漸次大きくなり、第2ノズル912が押圧姿勢(Q1)になった場合に第2動作調整空間932は最大スペース(
図5参照)となる。
【0073】
本実施形態のパージノズルユニット9は、第1動作調整空間931と第2動作調整空間932とを相互に連通させる連通路933を有する。連通路933は、
図3乃至
図5において破線で示すように、第1ノズル911の所定箇所に、第1ノズル911の径方向に延伸する貫通孔によって形成されたものである。第1ノズル911における連通路933の形成箇所は、1箇所であってもよいし、複数箇所(第1ノズル911の周方向に所定ピッチで形成した構成)であってもよい。
【0074】
このような連通路933を有する構成により、ハウジング92のノズル制御用気体ポート923からノズル制御用気体を第1動作調整空間931に導入することができるとともに、連通路933を経由して第2動作調整空間932にも導入することができる。特に、本実施形態では、ハウジング92のノズル制御用気体ポート923からノズル制御用気体を第1動作調整空間931に導入することで、先ず第1ノズル911が上昇移動して離間姿勢(P2)から密着姿勢(P1)切り替わり、続いて第2ノズル912が上昇移動して離間姿勢(Q2)から押圧姿勢(Q1)に切り替わるように構成している。
【0075】
また、第1動作調整空間931及び第2動作調整空間932に導入されたノズル制御用気体である圧縮空気を抜く(排気)することで、第1動作調整空間931及び第2動作調整空間932がそれぞれ元の広さ(拡大前の広さ)に戻り、密着姿勢(P1)にある第1ノズル911を下方に移動させて離間姿勢(P2)に変更できるとともに、押圧姿勢(Q1)にある第2ノズル912を下方に移動させて離間姿勢(Q2)に変更できる。
【0076】
したがって、本実施形態のパージノズルユニット9は、動作調整空間93に対する圧縮空気の出し入れ処理を実施することによって、ノズル91を
図3及び
図13に示す待機姿勢(N3)から、
図4に示す中間姿勢(N2)を経て、
図5及び
図14に示す使用姿勢(N1)に段階的に切り替えることができる。ここで、ノズル91の待機姿勢(N3)は、第1ノズル911及び第2ノズル912が何れも離間姿勢(P2、Q2)にある姿勢である。また、ノズル91の中間姿勢(N2)は、第1ノズル911が密着姿勢(P1)にあり且つ第2ノズル912が離間姿勢(Q2)にある姿勢であり、ノズル91の使用姿勢(N1)は、第1ノズル911が密着姿勢(P1)にあり且つ第2ノズル912が押圧姿勢(Q1)にある姿勢である。なお、ノズル91が待機姿勢(N3)及び中間姿勢(N2)にある場合、ポート40の閉止状態は維持され、ノズル91が使用姿勢(N1)にある場合、第2ノズル912の押圧面91eがポート40を押し上げることによりポート40は開放状態になる。
【0077】
また、ノズル91が使用姿勢(N1)にある場合、動作調整空間93に導入されている圧縮空気を排気すると、ノズル91は中間姿勢(N2)を経て、待機姿勢(N3)へ戻る。すなわち、本実施形態によれば、ノズル制御用気体(圧縮空気)を出し入れすることによって、ノズル91を構成する第1ノズル911及び第2ノズル912をそれぞれ個別に昇降移動させることができる。
【0078】
以上に詳述した本実施形態におけるパージノズルユニット9は、ユニット化した状態でロードポート2の載置台23における複数の所定箇所(本実施形態では
図6に示すように載置台23の四隅近傍)に、ハウジング92の適宜箇所に形成した取付孔を利用して取り付けることができる。そして、複数のパージノズルユニット9は、載置台23上に載置されるFOUP4内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pの一部として機能する。
【0079】
なお、本実施形態のロードポート2は、載置台23上にFOUP4が載置されていない状態であれば、各パージノズルユニット9を載置台23の上面よりも下方に位置付けている。そして、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部をFOUP4のうち底面部が押圧したことを検出した際に、制御部2Cからの信号によって、各パージノズルユニット9を上方に進出させて、つまりノズル91を待機姿勢(N3)から中間姿勢(N2)に切り替えることで、FOUP4のポート40(注入口、排出口)に接触するように構成している。そして、ノズル91を中間姿勢(N2)から使用姿勢(N1)に切り替えることで、各ポート40が閉止状態から開放状態になる。
【0080】
本実施形態では、このようなパージ装置Pを用いたボトムパージ処理は、FOUP4の底部に設けられた複数のポート40のうち、ベース21の開口部21aから相対的に近い位置に設けられたポート40に接続したパージノズルユニット9(S)を「供給ノズル」として機能させるとともに、ベース21の開口部21aから相対的に遠い位置に設けられたポート40に接続したパージノズルユニット9(V)を「排気ノズル」として機能させている(
図1及び
図2参照)。すなわち、本実施形態における「ボトムパージ処理」は、FOUP4の底面のうち、FOUP4の内部空間4Sにおいて搬出入口41から近い手前側(以下、「手前側」)の位置から当該FOUP4内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージ用ガスとも称され、主に窒素ガスやドライエアが用いられる)を注入し、FOUP4の底面のうち、FOUP4の内部空間4Sにおいて搬出入口41から遠い奥方側(以下、「奥方側」)の位置からFOUP4内の気体雰囲気を排出することで、FOUP4内にパージ用ガスを充満する処理である。したがって、ボトムパージ処理時には、FOUP4内において手前側から奥方側に向かう気流が形成される。
【0081】
このように構成したロードポート2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。本実施形態のEFEM1は、このようなロードポート2を搬送室3の前壁面3Aに複数(例えば3台)並べて配置している。
【0082】
EFEM1は、
図1に示すように、共通のクリーンルーム内に相互に隣接する位置に設けたロードポート2及び搬送室3を主体として構成されたものである。EFEM1の作動は、ロードポート2のコントローラ(
図6に示す制御部2C)や、EFEM1全体のコントローラ(
図1に示す制御部3C)によって制御される。
【0083】
搬送室3のうちロードポート2を配置した前壁面3Aに対向する後壁面3Bには例えば処理装置M(半導体処理装置)が隣接して設けられる。クリーンルームにおいて、処理装置Mの内部空間MS、搬送室3の内部空間3S及びロードポート2上に載置されるFOUP4の内部空間4Sは高清浄度に維持される。一方、ロードポート2を配置した空間、換言すれば処理装置M外、EFEM1外は比較的低清浄度となる。なお、
図1は、ロードポート2及び搬送室3の相対位置関係、及びこれらロードポート2及び搬送室3を備えたEFEM1と、処理装置Mとの相対位置関係を模式的に示した側面図である。
【0084】
処理装置Mは、相対的に搬送室3に近い位置に配置したロードロック室と、相対的に搬送室3から遠い位置に配置した処理装置本体とを備えたものである。本実施形態では、
図1に示すように、EFEM1の前後方向Dにおいてロードポート2、搬送室3、処理装置Mをこの順で相互に密接させて配置している。なお、処理装置Mの作動は、処理装置Mのコントローラ(
図1に示す制御部MC)によって制御される。ここで、処理装置M全体のコントローラである制御部MCや、EFEM1全体のコントローラである制御部3Cは、ロードポート2の制御部2Cの上位コントローラである。
【0085】
搬送室3は、搬送対象物であるウェーハWをFOUP4と処理装置Mとの間で搬送可能な搬送ロボット31を内部空間3Sに設けている。搬送ロボット31は、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部にハンドを設けたアームと、アームの基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室3の幅方向(ロードポート2の並列方向)に走行する走行部とを備え、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)のものである。なお、搬送室3の側面にバッファステーション、アライナの何れか一方または両方を配置したEFEM1を構成することも可能である。
【0086】
搬送室3は、ロードポート2及び処理装置Mが接続されることによって、内部空間3Sが略密閉された状態となる。搬送室3内は、図示しないガス供給口及びガス排出口を用いて環境ガス(例えば窒素ガスまたは不活性ガス)によるパージ処理を行うことで、環境ガス濃度を高めることが可能となっている。そして、ウェーハ搬送室3の上部にファンフィルタユニット32を設けて下方に向けてガスを送出し、下部に設けたケミカルフィルタよりガスの吸引を行う。吸引したガスは、循環ダクト321を介して上部のファンフィルタユニット32に向けて戻される。こうすることで、搬送室3の内部空間3Sで上方から下方に向かう気流であるダウンフロー(下降気流)を形成する。したがって、搬送室3内の環境ガスを循環させて清浄な状態に維持することができる。また、搬送室3の内部空間3SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
図1には、ファンフィルタユニット32によるガスの流れを矢印で模式的に示している。
【0087】
本実施形態のロードポート2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。本実施形態では、ロードポート2が有する制御部2Cから各部に駆動指令を与えるように構成している。制御部2Cは、CPU、メモリ及びインターフェースを備えた通常のマイクロプロセッサ等により構成されるもので、メモリには予め処理に必要なプログラムが格納してあり、CPUは逐次必要なプログラムを取り出して実行し、周辺ハードリソースと協働して所期の機能を実現するものとなっている。
【0088】
次に、EFEM1の使用方法及び作用と併せて、EFEM1の動作フローを説明する。
【0089】
先ず、搬送室3のうちロードポート2を配置した共通の前壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の容器搬送装置によりFOUP4がロードポート2の上方まで搬送され、載置台23上に載置される。この際、例えば載置台23に設けた位置決め用突起231がFOUP4の位置決め用凹部に嵌まる。また、制御部2Cが、載置台23上のロック爪232をロック状態にする(ロック処理)。具体的には、FOUP4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に対して、載置台23上のロック爪232を引っ掛けて固定することでロック状態になる。これにより、FOUP4を載置台23上の所定の正規位置に載置して固定することができる。本実施形態では、搬送室3の幅方向に3台並べて配置したロードポート2の載置台23にそれぞれFOUP4を載置することができる。また、FOUP4が載置台23上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)によりFOUP4が載置台23上の正規位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
【0090】
本実施形態では、搬送室3内に設けたファンフィルタユニット32を駆動させることにより、搬送室3の内部空間3Sに下降気流を生じさせ、清浄度の高い気体(環境ガス)を搬送空間3Sで循環させている。
【0091】
次いで、本実施形態のロードポート2では、制御部2Cが、
図2に示す位置にある載置台23を
図9に示すドッキング位置まで移動させる(ドッキング処理)。すなわち、
図2に示す位置にある載置台23をベース21に向かって移動させて、ベース21のうち開口部21aの周縁における最もFOUP本体42に近いベース最前面21AにFOUP4の後面(相互に面一なFOUP本体42の後面42B及びFOUPドア43の外向き面)を所定距離まで接近させる。このドッキング処理を実行するまでは、移動規制部Lが、係合片L1を非対面姿勢にした移動許容状態に維持されている。なお、
図2等における符号21Bが指す面は、ベース21のうち開口部21a(窓枠部216の開口部215)の周縁においてFOUP本体42から最も遠いベース最後面である。
【0092】
そして、載置台23を所定のドッキング位置まで移動させると、本実施形態のロードポート2では、制御部2Cが、移動規制部Lを用いてFOUP4の少なくとも両サイドを保持して固定する処理を行う。具体的には、移動規制部Lの引き込み部L2によって係合片L1をベース21側に引き込む。すると、係合片L1は非対面姿勢から対面姿勢に切り替わり、FOUP本体42の鍔部45に係合した状態になる。この状態で、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4の鍔部45を、移動規制部Lの係合片L1とベース最前面21A(窓枠部216の前面216A)との間で挟み込むことができる。すなわち、容器クランプ処理は、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える処理で実現できる。
【0093】
なお、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替えるタイミングは、載置台23をドッキング位置に位置付けた時点以降であればよく、載置台23をドッキング位置に位置付けた直後に、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える構成にしてもよい。また、載置台23をドッキング位置に位置付けてから所定時間経過後に、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える構成にしてもよい。
【0094】
本実施形態のロードポート2では、容器クランプ処理を終了した時点で、ベース21の開口部21a(窓枠部216の開口部215)の近傍において、ドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されているFOUP4のうちシール面に設定したFOUP本体42の後面42Bが、ベース21の第1シール部5に弾接し、第1シール部5の弾性変形によりFOUP4とベース21の間に良好なシール領域を形成することができる。すなわち、本実施形態のロードポート2では、容器クランプ処理を実施することによって、FOUP4とベース21の間に良好なシール領域を形成する処理(シール処理)を同時に実施することができる。本実施形態のロードポート2では、容器クランプ処理を経ることによって、ドッキング位置に位置付けた載置台23上のFOUP4を移動規制部Lで固定した状態を維持することができる。このため、第1シール部5に弾接するFOUP4がベース21から離間する方向に移動したり、傾動する事態を防止することができる。
【0095】
本実施形態のロードポート2では、制御部2Cが、容器クランプ処理及びシール処理に続いて、密閉空間DSに窒素ガスを供給するとともに、それまで密閉空間DSに留まっていたガス(大気)をガス排出部72よって排出する処理を行う(ドアパージ処理)。ドアパージ処理は、適宜のガス供給源から供給される窒素ガスを密閉空間DS内に注入して、密閉空間DS内を窒素ガスに置換する処理である。具体的には、ドアパージ用ガス注入バルブ71aを開くことで、ガス注入部71から窒素ガスを密閉空間DSに供給すると同時に、ドアパージ用ガス排出バルブ72aを開くことで、それまで密閉空間DSに留まっていたガス(大気)をガス排出部72より排出する処理である。ここで、大気とは、ウェーハWを酸化させるなど、ウェーハWの性状を変化させるおそれのある酸素、水分、パーティクルなどを包含する。なお、FOUPドア43の内部が中空であり、FOUPドア43の後面に形成した孔(ドア保持用孔等)を通じてFOUPドア43の内部空間が密閉空間DSと連通する構成であれば、本実施形態のドアパージ処理によってFOUPドア43の内部空間を窒素ガスに置換することが可能である。なお、ガス注入部71から密閉空間DSにガスを注入するガス注入動作と、ガス排出部72から密閉空間DSにガスを排出する排出動作を繰り返してもよい。本実施形態のロードポート2は、ドアパージ処理中においても第1シール部5及び第2シール部6のシール状態を維持することができる。また、ドアパージ処理に伴って密閉空間DSが陽圧状態にある場合に密閉空間DS内から密閉空間DS外へ向かう圧力を受けて少なくとも第1シール部5の1箇所でシール状態が解除される部分(優先開放部分)を設定しておくこともできる。この場合、優先開放部分(シールが破れた箇所)の近傍であって且つ密閉空間DSの外である大気圧下GSに排気ユニットを設けることで、優先開放部分から密閉空間DSの外へ漏洩する少なくともドアパージ用ガス等の気体を排気ユニットによって効率良く排気することが可能である。優先開放部分を通じて密閉空間DS外へ漏洩するガス量が微量(作業者の危険とならない程度の量)であれば排気ユニットを省略することができる。
【0096】
本実施形態のロードポート2では、制御部2Cが、ドアパージ処理に続いて、連結機構221を蓋連結状態に切り替える(蓋連結処理)。この処理により、予め全閉位置(C)で待機させているロードポートドア22にFOUPドア43を連結機構221で連結して密着状態で保持することができる。また、FOUP本体42からFOUPドア43を取り外し可能な状態になる。また、本実施形態のロードポート2では、載置台23上の正規位置にFOUP4が載置された時点で、制御部2Cが、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部をFOUP4のうち底面部が押圧したことを検出する。これをきっかけに、制御部2Cが、載置台23に設けたパージノズルユニット9(全てのパージノズルユニット9)を載置台23の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。すると、各パージノズルユニット9が待機姿勢(N3)から中間姿勢(N2)を経て使用姿勢(N1)になり、FOUP4の各ポート40に連結し、各ポート40は閉止状態から開放状態に変更する。そして、上述したように、本実施形態では、FOUP4の底部に設けられた複数のポート40のうち、ベース21の開口部21aから相対的に近い位置に設けられたポート40に接続したパージノズルユニット9(S)を「供給ノズル」として機能させるとともに、ベース21の開口部21aから相対的に遠い位置に設けられたポート40に接続したパージノズルユニット9(V)を「排気ノズル」として機能させることで、FOUP4の内部空間4Sに窒素ガスを供給し、その窒素ガスがFOUP4内において手前側から奥方側へ流れる窒素ガスの気流を形成し、FOUP4内の気体雰囲気を排出し、FOUP4の内部空間4Sを窒素ガスに置換して、FOUP4内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで低下させてFOUP4内におけるウェーハWの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にする(ボトムパージ処理)。
【0097】
本実施形態のロードポート2では、制御部2Cが、蓋連結処理に続いて、FOUPドア43をロードポートドア22とともに移動させて、ベース21の開口部21a及びFOUP4の搬出入口41を開放して、FOUP4内の密閉状態を解除する処理(容器密閉解除処理)を実行する。具体的には、制御部2Cが、
図10に示すように、ロードポートドア22をドア移動機構27により全閉位置(C)からチャンバ5の内部空間5Sにおいて搬送室3側に向かって上述の水平経路に沿って上述の開放位置(O)まで移動させ、さらに、上述の開放位置(O)に到達したロードポートドア22を上述の鉛直経路に沿って所定距離降下させて全開位置(図示省略)に位置付ける。この容器密閉解除処理を実行する時点では、上述のドアパージ処理及びボトムパージ処理によって密閉空間DS及びFOUP4の内部空間4Sは窒素ガスで充填されているため、ロードポートドア22を搬送室3の内部空間3S側に移動させる処理時に、ドアパージ処理実行前の時点でFOUPドア43に付着しているパーティクル等が舞うことを防止することができる。
【0098】
容器密閉解除処理により、FOUP本体42の内部空間4S及び搬送室3の内部空間3Sが相互に連通した状態になる。搬送空間3S内で生じている下降気流の気体(環境ガス)も清浄に維持されている。ここで、容器密閉解除処理を実施する際、密閉空間DSの体積(容積)が増加すると密閉空間DSは負圧になり易く、外部空間GSから密閉空間DSに大気が入り込むおそれがある。そこで、本実施形態では、外部空間GSに対して密閉空間DSが陽圧の状態で容器密閉解除処理を実施する。具体的には、容器密閉解除処理を実行する時点においてもガス注入部71から窒素ガスを供給し続ける。このようにして、本実施形態では、密閉空間DSが少なくとも負圧でない状態で容器密閉解除処理を行うように設定している。また、容器密閉解除処理は、搬送空間3Sに対して密閉空間DSが同程度の圧で開放することが好ましい。なお、外部空間GSと搬送空間3Sの差圧は、3乃至500Pa(G)であり、好ましくは5乃至100Pa(G)である。
【0099】
そして、本実施形態のEFEM1では、容器密閉解除処理を実行することによって、FOUP本体42の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとが連通した状態になり、
図15に示すように、搬送空間3S内で生じている下降気流の一部が、ベース21の開口部21a及びFOUP4の搬出入口41を介してFOUP本体42の内部空間4Sに流入する。本実施形態では、容器密閉解除処理直後または直前に、ロードポート2の載置台23に設けたパージノズルユニット9のうち少なくとも「排気ノズル」として機能するパージノズルユニット9(V)、つまり相対的にベース21の開口部21aから遠い位置に設けたパージノズルユニット9(V)を使用姿勢(N1)に設定しておくことにより、FOUP4のポート40のうち使用姿勢(N1)にあるパージノズルユニット9(V)に接続されているポート40、つまりベース21の開口部21aから相対的に遠い位置に設けられたポート40を開放状態にする。その結果、本実施形態のEFEM1は、搬送空間3S内からFOUP本体42の内部空間4Sに流入した気体を、FOUP4のポート40のうちベース21の開口部21aから相対的に遠い位置に設けられたポート40から排出することができる。さらに、「排気ノズル」として機能するパージノズルユニット9(V)による強制排気を実行する(吸引する)ことで、FOUP4内において手前側から奥方側に向かう気流を強制的に形成することができる。
図15では、搬送室3内及びFOUP4内の気体の流れを矢印で模式的に示している。なお、ウェーハWに対する処理内容やウェーハWのサイズ、仕様等に応じて強制排気または自然排気の何れかを適宜選択することが可能である。
【0100】
本実施形態に係るEFEM1は、このようなFOUP4内において手前側から奥方側に向かう気流を形成して、搬送空間3S内で生じている下降気流の一部をFOUP4内全体に行き渡らせて排気ノズルとして機能するパージノズルユニット9(V)からFOUP4の外に排出する処理(搬送空間3S内の下降気流を用いた容器内清浄化処理)を実施する。なお、
図15に示すように、搬送空間3S内で生じている下降気流の一部をFOUP4内に案内するガイド板3Gを備えた構成であれば、ガイド板3Gを備えていない構成と比較して、搬送空間3S内の下降気流をFOUP4内に効率良く流入させることが可能である。
【0101】
また、搬送空間3S内の下降気流を用いた容器内清浄化処理時に、ロードポート2の載置台23に設けたパージノズルユニット9のうち「供給ノズル」として機能するパージノズルユニット9(S)、つまり相対的にベース21の開口部21aに近い位置に設けたパージノズルユニット9を使用姿勢(N1)に設定しておき、FOUP4のポート40のうち使用姿勢にあるパージノズルユニット9(S)に接続されているポート40、つまりベース21の開口部21aに相対的に近い位置に設けられたポート40を開放状態に維持し、供給ノズルとして機能するパージノズルユニット9(S)から適宜のパージ用気体をFOUP4内に供給するように設定してもよい。この場合、下降気流の一部とともにパージ用気体もFOUP4内において手前側から奥方側に向かって流れ、排気ノズルとして機能するパージノズルユニット9(V)から排出することができる。
【0102】
そして、本実施形態のEFEM1は、搬送空間3S内の下降気流を用いた容器内清浄化処理を継続して実行したまま、FOUP本体42の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとを連通させた状態で、搬送室3の内部空間3Sに設けた搬送ロボット31がFOUP4内にアクセスして、ウェーハWに対する搬送処理を実施する(搬送処理)。搬送処理において実施可能な搬送処理内容は、搬送ロボット31がハンドでFOUP4内のウェーハWを取り出す処理や、処理装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みのウェーハWをハンドでFOUP4内に入れる処理である。例えば搬送処理によってFOUP4内のウェーハWを搬送室3内に搬送した場合、搬送室3内に搬送されたウェーハWは、搬送ロボット31によって処理装置M(具体的にはロードロック室)に搬送したり、バッファステーション又はアライナに搬送される。また、処理装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みのウェーハWは、搬送ロボット31によって処理装置Mの内部空間MSからFOUP4の内部空間4Sに直接収納されたり、バッファステーションを経由してからFOUP4の内部空間4Sに順次収納される。本実施形態のロードポート2では、FOUP4に対する搬送ロボット31の次のアクセスを実行する場合、搬送処理を繰り返し行う。
【0103】
上述の通り、本実施形態のEFEM1は、搬送処理の実行中、搬送空間3S内の下降気流を用いた容器内清浄化処理を継続して実行することにより、FOUP4内において搬出入口41に近い内部空間4Sの手前側から内部空間4Sの奥方側に向かう気流がウェーハWの表面近傍を通過し、処理済みのウェーハWから放出されるアウトガスをFOUP4の外部に排出することができる。その結果、FOUP4内のウェーハWが処理後のウェーハW1から生じるアウトガスにより酸化または汚染される事態を防止・抑制できる。特に、搬送室3に、搬送空間3S内の下降気流の一部をFOUP4側に誘導するガイド部(ガイド板3G)を配置したことにより、FOUP4内に環境ガスをスムーズ且つ効率良く流入させることができる。
【0104】
本実施形態に係るロードポート2では、FOUP4内のウェーハWが全て処理装置Mによる処理工程を終えたものになると、制御部2Cが、ドア移動機構27によりロードポートドア22を全閉位置(C)に移動させて、ベース21の開口部21a及びFOUP4の搬出入口41を閉止して、FOUP4の内部空間4Sを密閉する処理(容器密閉処理)を実行する。続いて、制御部2Cが、連結機構221を蓋連結状態から蓋連結解除状態に切り替える処理(蓋連結解除処理)を実行する。この処理により、連結機構221によるロードポートドア22とFOUPドア43の連結状態(蓋連結状態)を解除して、FOUP本体42にFOUPドア43を取り付けることができる。その結果、ベース21の開口部21a及びFOUP4の搬出入口41はそれぞれロードポートドア22、FOUPドア43によって閉止されて、FOUP4の内部空間4Sは密閉状態になる。
【0105】
なお、本実施形態に係るロードポート2では、ドアパージ処理を停止すると、密閉空間DSの圧力は低下する傾向にあるが、上述した密閉空間DSの陽圧状態ではないことに起因する不具合の発生を回避するためには、密閉空間DSの陽圧状態を維持することが肝要である。
【0106】
続いて、本実施形態に係るロードポート2では、制御部2Cが、移動規制部LによるFOUP4の固定状態(クランプ状態)を解除する容器クランプ解除処理を行い、次いで、載置台23をベース21から離間する方向に移動させる処理(ドッキング解除処理)を実行した後、載置台23上のロック爪232でFOUP4をロックしている状態を解除する(ロック解除処理)。これにより、所定の処理を終えたウェーハWを格納したFOUP4は、各ロードポート2の載置台23上から容器搬送装置に引き渡され、次工程へと運び出される。
【0107】
なお、搬送空間3S内の下降気流を利用した容器内清浄化処理時に排気ノズルとして機能するパージノズルユニット9(V)による吸引を実行する構成であれば、容器密閉処理と同時または容器密閉処理後の適宜のタイミングで、排気ノズルとして機能するパージノズルユニット9(V)による吸引を停止する。また、搬送空間3S内の下降気流を利用した容器内清浄化処理時に供給ノズルとして機能するパージノズルユニット9(S)からパージ用気体をFOUP4内に供給する構成であれば、容器密閉処理と同時または容器密閉処理後の適宜のタイミングで、パージ用気体の供給処理を停止する。一方、搬送空間3Sにおいては清浄度の高い気体による下降気流を形成し続けることで、搬送空間3Sの高い清浄度を維持することができる。なお、排気ノズルとして機能するパージノズルユニット9(V)による吸引処理を実行し続けた場合には、FOUP4内が負圧状態または負圧に近い状態になり、FOUPドア43をFOUP4内に向かって押し付けることで、FOUP4内の高い密閉性を確保することが可能である。
【0108】
また、使用姿勢(N1)にあるパージノズルユニット9を中間姿勢(N2)、あるいは中間姿勢(N2)を経て待機姿勢(N3)に切り替えるタイミングは、ロードポート2の載置台23上から容器搬送装置に引き渡される前の適宜のタイミングであればよい。
【0109】
以上のように、本実施形態に係るパージノズルユニット9(排気ノズルユニット)は、FOUP4の底面に設けられたポート40の弁403を押圧することによって当該ポート40を閉止状態から開放状態に切替可能なノズル91と、ノズル91を昇降可能に保持するハウジング92とを備えているため、ノズル91を待機姿勢(N3)から使用姿勢(N1)に切り替えることによってポート40を開放状態にすることができる。
【0110】
したがって、パージノズルユニット9から供給する気体の圧力に依ることなくポート40を閉止状態から開放状態に切り替えることが可能であり、このようなパージノズルユニット9をFOUP4の底面に設けた各ポート40にそれぞれ接続することで、ポート40のうちFOUP4の搬出入口41から相対的に遠い位置(奥方側の位置)に設けられて従来であれば供給ポートとして機能するポート40を、気体の供給圧力に依らずに強制的に開放状態にすることが可能であり、当該ポート40を排気ポートとして機能させることが可能である。
【0111】
そして、搬送室3の搬送空間3Sに下降気流を形成している本実施形態に係るEFEM1によれば、下降気流の一部であってFOUP4の内部に流入した気流を、FOUP4の搬出入口41から相対的に遠い位置(奥方側の位置)に設けられたポート40及びそのポート40に接続したパージノズルユニット9(V)を通じてFOUP4の外部に排出することが可能であり、相対的にFOUP4の搬出入口41に近い位置(手前側の位置)に設けられたポート40及びそのポート40に接続したパージノズルユニット9を通じてFOUP4の外部に排気する構成と比較して、搬送空間3Sに形成した下降気流の一部であってFOUP4の内部4Sに導入した気流を、FOUP4の内部空間4S全体に亘って手前側から奥方側に向かう気流にすることが可能であり、FOUP4内のガス(FOUP4内のウェーハWから放出されるアウトガスを含む気体)をFOUP4外に効率良く排出することができる。
【0112】
また、本実施形態では、「排気ノズル」として機能させているパージノズルユニット9(V)を使用姿勢(N1)にした状態、すなわちポート40の弁403をノズル91で押し上げて通気した状態で、当該パージノズルユニット9(V)からFOUP4内の気体を吸引して所定箇所に回収する場合、回収した気体は、搬送室3の下降気流を形成する気体として再利用することが可能である。再利用する気体にはアウトガスが含まれるが、搬送室3内に設けた循環ダクト321にて循環させて、ファンフィルタユニット32を通過することで清浄化され、アウトガスは取り除かれる。
【0113】
さらに、本実施形態のEFEM1は、配管の切り替えにより、相対的にFOUP4の搬出入口41から遠い位置(後側の位置)に設けられたポート40及びそのポート40に接続したパージノズルユニット9を通じてFOUP4の内部に所定の気体を供給し、相対的にFOUP4の搬出入口41に近い位置(前側の位置)に設けられたポート40及びそのポート40に接続したパージノズルユニット9を通じてFOUP4の外部に排気する構成を一時的または継続的的に選択することも可能である。
【0114】
以上のように、本実施形態に係る排気ノズルユニット9、ロードポート2及びEFEM1によれば、多くの製造現場で使用されている既存のFOUP4をそのまま利用して、搬送空間3S内から取り込んでFOUP4内に流入した気体を、FOUP4の底部に設けられた複数のポート40のうち奥方側のポート40を通じてFOUP4の外部に排気することが可能である。
【0115】
特に、本実施形態では、ノズル91として、ポート40の外縁に密着可能な第1ノズル911と、ポート40の弁403を押圧する第2ノズル912とを備えたものを適用しているため、ポート40を開放させるのみならずポート40に密着することにより、ポート40とノズル91との隙間を通じてFOUP4の外部に所定の気体が漏洩してしまうことを回避することができる。したがって、排気ノズルとして機能するノズルの排気効率と、供給ノズルとして機能するノズルの供給効率の両方が向上する。
【0116】
加えて、本実施形態に係る排気ノズルユニット9では、動作調整空間93に対してノズル制御用気体を出し入れすることによりノズル91を待機姿勢(N3)と使用姿勢(N1)との間で動作させる構成を採用しているため、ノズル91を駆動させるための専用の駆動機構が不要であり、簡素な構成でありながらノズル91の姿勢変更の動作を制御することができる。
【0117】
さらに、本実施形態では、第1動作調整空間931及び第2動作調整空間932を相互に連通させて、ノズル制御用気体を第1動作調整空間931へ出し入れすることで、第2動作調整空間932も附随して拡縮可能に構成しているため、簡素な構成で第1ノズル911及び第2ノズル912の動作を制御することができる。
【0118】
このような本実施形態に係る排気ノズルユニット9、ロードポート2及びEFEM1は、多くの製造現場で使用されている既存のFOUP4をそのまま利用して、搬送室3の搬送空間3Sに形成した下降気流の一部であってFOUP4の内部に流入した気流を、FOUP4の内部空間4Sにおいて手前側から奥方側に向かう気流としてFOUP4の内部空間4S全体に流通させることができ、このような気流を形成するための専用のFOUPを新たに用意する必要がなく、製造現場(製造ライン)に導入し易い。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。例えば、上記実施形態では動作調整空間に導入する気体として圧縮空気を例示したが、窒素ガスや他の不活性ガス、或いは乾燥させた空気を用いてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、排気ノズルユニットのノズルとして、第1ノズル及び第2ノズルを備え、第1ノズル及び第2ノズルを個別に昇降移動(2段階昇降移動)可能に構成したものを例示したが、第1ノズル及び第2ノズルを一斉に昇降移動可能に構成したノズルであってもよい。
【0121】
また、排気ノズルユニットとして、上端面である押圧面から下方に所定寸法離間した位置に開口を設け、当該開口が気体排出口として機能する第2ノズルを備えたものを適用することが可能である。
【0122】
上述の実施形態では、動作調整空間に対してノズル制御用気体を導入するノズル制御用気体ポートをハウジングの1箇所にのみ形成し、動作調整空間とノズル制御用気体ポートを1対1の関係で形成した態様を例示したが、1つの動作調整空間に連通するノズル制御用気体ポートを複数形成した構成を採用してもよい。
【0123】
上記実施形態では、ノズル制御用気体ポートに対するノズル制御用気体の出し入れ処理のみでノズルの昇降移動を制御する態様を開示したが、バネ等の弾性体を用いてノズルを弾性付勢することでノズルを待機姿勢と使用姿勢の間で切替可能に構成したり、適宜のメカニカルな機構によりノズルを待機姿勢と使用姿勢の間で切替可能に構成することも可能である。
【0124】
ノズルは、第1ノズルと第2ノズルとに区別不能な単体のノズル本体で構成することもできる。また、第1ノズルと第2ノズルとに区別可能であるものの、両者を一体的に組み付けることで単体のノズル本体と見なすことが可能なノズルを適用することも可能である。これら場合、ノズルとハウジングとの間に形成する動作調整空間も相互に仕切られていない1つの空間で足りる。
【0125】
さらには、ハウジングに対するノズルの昇降移動を、電磁石を用いた電磁式で実現したパージノズルユニットであってもよい。例えば、気体流路を有するノズル本体に永久磁石を設け、電磁石が設けられたハウジングにて上下方向に摺動するよう保持することで昇降可能な排気ノズルユニットを構成してもよい。また、気体流路を有するノズル本体の側部に流体圧により駆動するシリンダ駆動機構を設けることで昇降可能な排気ノズルユニットを構成してもよい。
【0126】
また、本発明に係る排気ノズルユニット(気体給排装置)をロードポートの載置台に対して後付けで取付可能に構成し、現在使用されている一般的なロードポートを適用しつつ、パージノズルユニットを本発明に係る排気ノズルユニットに変更することで、上述の実施形態と同様の作用効果を奏するように構成することもできる。
【0127】
各排気ノズルユニットと容器のポートとの嵌合部分は、排気ノズルユニットに設けたパッキン等によって密閉状態になるように構成してもよい。
【0128】
上述の実施形態では、容器としてウェーハ搬送に用いられるFOUPを採用した。しかし本発明における容器はこれに限定されず、MAC(Multi Application Carrier)、H−MAC(Horizontal-MAC)、FOSB(Front Open Shipping Box)などを採用することが可能である。また、容器はウェーハ収容容器に限定されず、不活性ガスを充填した状態で搬送される電子部品のような収容物(搬送対象物)を収容する密閉容器であってもよい。
【0129】
上述の実施形態ではボトムパージ処理等に用いる環境ガスやノズル制御用気体として窒素ガスを例にしたが、これに限定されず、乾燥ガス、アルゴンガスなど所望のガス(不活性ガス)を用いることができる。
【0130】
また、容器ドア(上述の実施形態におけるFOUPドア43)が、閉位置から全開位置に移動する過程で一時的に傾斜姿勢となる(部分円弧状の軌跡を描くような動作を伴う)ものであっても構わない。
【0131】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。