【解決手段】電子部品1は、複数の導体端子51、61と、該導体端子と一体化された絶縁体とを備える。導体端子の1つが有する補助脚部57と導体端子の他の1つが有する第2脚部62とが上下に重なって配設される。導体端子の1つが有する脚部と導体端子の他の1つが有する脚部とは長さが異なり、短い方の脚部の先端は、絶縁体の肉厚部14によって覆われている。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント回路基板等の基板上には、抵抗等の各種の素子を含むチップ状の電子部品が実装されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図14は従来の電子部品を示す図である。なお、図において、(a)は電子部品の斜視図、(b)は導電板の斜視図である。
【0004】
図において、801は、電子部品の一種であるジャンパーチップであり、図示されない基板の表面に実装される。前記ジャンパーチップ801は、複数本の導電板851と、該導電板851の中央近傍部分を包込んで封止するハウジング811とを備える。
【0005】
前記導電板851は、銅系合金等の導電性金属から成る細長い板部材であり、図に示されるように、両端には、L字状の取付端部852を備える。そして、複数本(図に示される例においては、4本)の導電板851は、互いに平行となるように並んで配列されている。また、前記ハウジング811は、絶縁性の樹脂材料から成り、並んで配列された導電板851を保持して固定する。
【0006】
そして、前記ジャンパーチップ801は、各取付端部852がはんだ付等の手段によって、図示されない基板の表面に形成された導電線に固定されることにより、前記基板の表面に実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の電子部品においては、導電板851がハウジング811によって保持されているが、該ハウジング811は樹脂を固化して所定の形状としただけのものなので、隣接する導電板851同士の間隔を厳密に所定の寸法に保持することは、困難であるし、シールド板を導電板851と所定の間隔を保持するように取付けることも困難である。近年では、各種の電気機器及び電子機器の小型化が進行し、それに伴って、前記電気機器及び電子機器に装着される基板に実装される電子部品も小型化が進行しているが、前記ジャンパーチップ801のような単純な構造の電子部品であっても、小型化された場合には、樹脂を固化して形成されるハウジング811の厳密な寸法管理が困難となるので、前記導電板851同士の間隔、及び、シールド板と導電板851との間隔を厳密に所定の微小寸法に保持することはさらに困難となる。
【0009】
ここでは、前記従来の問題点を解決して、小型化されても、所望の性能を確実に発揮することができ、信頼性が高く、製造コストが低く、耐久性の高い電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、電子部品においては、複数の導体端子と、該導体端子と一体化された絶縁体とを備え、前記導体端子の1つが有する脚部と前記導体端子の他の1つが有する脚部とが上下に重なって配設され、前記導体端子の1つが有する脚部と前記導体端子の他の1つが有する脚部とは長さが異なり、短い方の脚部の先端は前記絶縁体の肉厚部によって覆われている。
【0011】
他の電子部品においては、さらに、上下に重なって配設された前記脚部の間には前記絶縁体の突出板が配設され、該突出板の先端に前記肉厚部が形成されている。
【0012】
更に他の電子部品においては、さらに、前記導体端子の1つは第1導体端子であって、該第1導体端子は、平板部と、該平板部から前方及び後方に延出する複数の前記短い方の脚部である補助脚部とを含み、前記導体端子の他の1つは第2導体端子であって、本体部と、該本体部から前方及び後方に延出する複数の脚部とを含み、前記本体部の少なくとも一部は前記平板部と上下に重なって配設される。
【0013】
更に他の電子部品においては、さらに、前記第1導体端子は、前記平板部から前方及び後方に延出する複数の第1脚部を含み、該第1脚部はグランド線に接続される。
【0014】
更に他の電子部品においては、さらに、前記絶縁体と一体化された導体板を更に備え、該導体板は、凸部と庇部とを含み、前記凸部は前記平板部と接触し、前記庇部は、前記本体部を挟んで前記平板部の反対側において、前記本体部の少なくとも一部が上下に重なって配設される。
【0015】
更に他の電子部品においては、さらに、前記本体部と平板部との間及び前記本体部と庇部との間には、前記絶縁体の少なくとも一部が存在する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、電子部品は、小型化されても、所望の性能を確実に発揮することができ、信頼性が向上し、耐久性が向上し、製造コストが低下する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態における電子部品を示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図2】本実施の形態における電子部品の第1の二面図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図3】本実施の形態における電子部品の第2の二面図であって、(a)は下面図、(b)は前面図である。
【
図4】本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態を示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図5】本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態の第1の二面図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図6】本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態の第2の二面図であって、(a)は下面図、(b)は前面図である。
【
図7】本実施の形態における電子部品の上方から観た分解図である。
【
図8】本実施の形態における電子部品の下方から観た分解図である。
【
図9】本実施の形態における第1導体端子を示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図10】本実施の形態における第2導体端子を示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図11】本実施の形態における第2シェルを示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図12】本実施の形態における第1導体端子、第2導体端子及び第2シェルを組合せた状態の斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図13】本実施の形態におけるハウジングを示す斜視図であって、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【
図14】従来の電子部品を示す図であって、(a)は電子部品の斜視図、(b)は導電板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本実施の形態における電子部品を示す斜視図、
図2は本実施の形態における電子部品の第1の二面図、
図3は本実施の形態における電子部品の第2の二面図、
図4は本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態を示す斜視図、
図5は本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態の第1の二面図、
図6は本実施の形態における電子部品の粘着シートを除去した状態の第2の二面図である。なお、
図1及び4において、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図であり、
図2及び5において、(a)は上面図、(b)は側面図であり、
図3及び6において、(a)は下面図、(b)は前面図である。
【0020】
図において、1は本実施の形態における電子部品であり、例えば、ネットワーク抵抗や抵抗アレイとも称される抵抗ネットワークであるが、複数本のジャンパー線を備えるジャンパーチップであってもよいし、いかなる種類のものであってもよいが、ここでは、第1導体端子51及び第2導体端子61を導体端子として備え、抵抗ネットワークとして機能するチップ型電子部品であるものとして説明する。また、前記電子部品1は、産業用電気及び電子機器、家庭用電気及び電子器具、コンピュータ、通信機器等いかなる種類の機器、装置等において使用されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC)、フレキシブル回路基板(FPC)等の基板に接続されるものであるとする。
【0021】
なお、本実施の形態において、電子部品1に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、電子部品1に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、電子部品1に含まれる各部の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
図に示される例において、本実施の形態における電子部品1は、概略長方形の平板状の部品本体10と、該部品本体10から前後方向(X軸方向)両側に露出した第1脚部52及び第2脚部62をそれぞれの脚部として含む第1導体端子51及び第2導体端子61とを備えている。また、前記部品本体10は、耐熱性合成樹脂等の絶縁性材料から成る絶縁体としてのハウジング11と、該ハウジング11の上側(Z軸正方向側)に配設されて第1シェルとして機能する第1導体端子51の平板部53と、前記ハウジング11の下側(Z軸負方向側)に配設される導体板としての第2シェル71とを含んでいる。なお、該第2シェル71の下面の少なくとも一部は、前記ハウジング11の底部15によって覆われている。前記ハウジング11は、第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71をモールド用の金型内に載置した状態で該金型内に合成樹脂等の誘電性の材料を充填するインサート成形(オーバーモールド成形)を行うことによって、前記第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71と一体化されて成形される部材である。換言すると、前記第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71は、ハウジング11によって一体化されて、部品本体10を構成する。
【0023】
さらに、該部品本体10の上面全体は、粘着性樹脂等の絶縁性粘着材料から成る粘着シート31によって覆われている。該粘着シート31は、絶縁性粘着材料から成るシートから切出された厚さが、例えば、約10〜11〔mm〕の概略矩形の平板状の部材である。なお、前記粘着シート31は、必要がなければ、除去することもでき、
図4〜6においては、粘着シート31を除去した状態が示されている。
【0024】
また、第1導体端子51及び第1脚部52並びに第2導体端子61及び第2脚部62の数及び配置は、任意に設定することができるが、ここでは、説明の都合上、部品本体10の前後方向両側において、中央に1本の第1脚部52が配設され、該第1脚部52の左右方向(Y軸方向)両側に第2脚部62が配設されているものについて説明する。前記第2導体端子61は、前後方向に延在する細長い帯状の銅合金等の金属板であって、その前後両端が第2脚部62となっているので、部品本体10の左右両側に沿って、1つずつ配設されている。また、前記第1導体端子51は、
図4及び5に示されるように、銅合金等の金属板であって、部品本体10の上面のほぼ全体に亘って延在する概略矩形の平板部53の前後端における幅方向(Y軸方向)中央に、前方(X軸正方向)及び後方(X軸負方向)に向けて延出する第1脚部52の基端が、それぞれ、一体的に接続されている。さらに、平板部53の前後端における幅方向両側の各第2脚部62に対応する位置には、前方及び後方に向けて延出する脚部としての補助脚部57の基端が、それぞれ、一体的に接続されている。各補助脚部57は、対応する第2脚部62よりも短いが同じ幅に形成され、対応する第2脚部62の上方に間隔を空けて配設されている。
【0025】
なお、図に示される例においては、部品本体10の前側に露出した前側第1脚部52a、前側第2脚部62a及び前側補助脚部57aは、その幅が部品本体10の後側に露出した後側第1脚部52b、後側第2脚部62b及び後側補助脚部57bよりも、それぞれ、広くなるように形成されているが、前側第1脚部52a、前側第2脚部62a及び前側補助脚部57a並びに後側第1脚部52b、後側第2脚部62b及び後側補助脚部57bの幅は、これに限定されるものでなく、任意に設定することができる。また、前側第1脚部52aと後側第1脚部52bとを統合的に説明する場合には第1脚部52として説明し、前側第2脚部62aと後側第2脚部62bとを統合的に説明する場合には第2脚部62として説明し、前側補助脚部57aと後側補助脚部57bとを統合的に説明する場合には補助脚部57として説明する。
【0026】
該補助脚部57が第2脚部62よりも短いので、該第2脚部62における先端から所定の長さ範囲の部分は、上方が補助脚部57に覆われていない状態で露出し、残りの部分のみの上方が補助脚部57に覆われている。そして、第2脚部62と補助脚部57との間には、ハウジング11の一部であって、該ハウジング11の前後端から突出する突出板13が存在する。このように、第2脚部62は、突出板13によって補助脚部57と一体的に接続されているので、十分に補強され、強度が向上する。また、前記突出板13の先端には肉厚部14が形成され、該肉厚部14は、補助脚部57の少なくとも先端を覆うようになっている。したがって、補助脚部57の先端は、肉厚部14によって保護され、損傷を受けることがない。
【0027】
図に示される例において、第1脚部52の途中には、クランク状に屈曲した屈曲部55が形成されている。これにより、第1脚部52の先端近傍の高さ位置(Z軸方向位置)を第2脚部62の先端近傍とほぼ等しくすることができ、第1脚部52の先端近傍及び第2脚部62の先端近傍を同一の基板の表面に接続する作業を容易に行うことができる。なお、前記屈曲部55は、適宜省略することもできる。また、第1脚部52の先端及び第2脚部62の先端は、水平方向(X軸方向)を向いているが、必要に応じて、第1脚部52の途中及び第2脚部62の途中を屈曲させて、第1脚部52の先端及び第2脚部62の先端が斜め上若しくは真上又は斜め下若しくは真下を向くようにさせることもできる。さらに、第1脚部52の先端及び第2脚部62の先端には、金めっき等を施すことによって、導電性の高い材料から成る被膜を形成することもできる。
【0028】
なお、前記部品本体10のX、Y及びZ軸方向の寸法は、それぞれ、例えば、3〜4〔mm〕、2〜3〔mm〕及び0.2〜0.3〔mm〕であり、第1脚部52及び第2脚部62のX軸方向の寸法は、例えば、0.7〜0.9〔mm〕であり、第1脚部52と第2脚部62との間隔(ピッチ)は、例えば、0.8〜1.2〔mm〕であることが望ましいが、電子部品1の各部の寸法は、これらに限定されるものでなく、適宜変更することができる。
【0029】
そして、第1導体端子51は、例えば、第1脚部52の先端近傍が図示されない基板のグランド線に接続され、第2導体端子61は、例えば、第2脚部62の先端近傍が図示されない基板の信号線に接続されるものとする。また、第1導体端子51の平板部53は、部品本体10内において、第2シェル71と導通し、これにより、第1導体端子51の平板部53及び第2シェル71は、電子部品1を電磁的に効果的にシールドするEMIシールド部材として機能する。
【0030】
次に、前記電子部品1の内部構造について説明する。
【0031】
図7は本実施の形態における電子部品の上方から観た分解図、
図8は本実施の形態における電子部品の下方から観た分解図、
図9は本実施の形態における第1導体端子を示す斜視図、
図10は本実施の形態における第2導体端子を示す斜視図、
図11は本実施の形態における第2シェルを示す斜視図、
図12は本実施の形態における第1導体端子、第2導体端子及び第2シェルを組合せた状態の斜視図、
図13は本実施の形態におけるハウジングを示す斜視図である。なお、
図9〜13において、(a)は上方から観た斜視図、(b)は下方から観た斜視図である。
【0032】
前記電子部品1は、粘着シート31、第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71を備える。これらの部材は、
図7及び8に示されるように、上から、粘着シート31、第1導体端子51、第2導体端子61、第2シェル71の順で積層される。そして、
図12に示されるような構造の、第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71から成る積層体を図示されないモールド用の金型内に載置した状態で該金型内に合成樹脂等のハウジング11の材料を充填するインサート成形(オーバーモールド成形)を行うことによって、
図4に示されるような粘着シート31が貼付されていない状態の構造体を得ることができる。さらに、該構造体に粘着シート31を貼付することによって、
図1に示されるような電子部品1を得ることができる。
【0033】
前記第2導体端子61は、
図10に示されるように、前後方向に延在する細長い帯状の本体部63を含み、該本体部63の前後両端から第2脚部62が前方及び後方に延出している。また、前記第2シェル71は、
図11に示されるように、凸部としての平板状の接続部73と、該接続部73の両端に、クランク状に屈曲した屈曲部75を介して、接続された一対の平板状の庇部としてのシールド部74とを含んでいる。各シールド部74は、前後方向に延在する細長い帯状の部分であり、屈曲部75の介在によって、接続部73の高さ位置(Z軸方向位置)も低くなるように設定されている。したがって、
図12に示されるように、第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71を積層させた状態において、接続部73の上面が第1導体端子51の平板部53の下面と接触して導通可能となるが、シールド部74と平板部53の左右両端近傍部分とは、接触することなく離間している。
【0034】
そして、前記シールド部74と平板部53の左右両端近傍部分との間には、第2導体端子61の本体部63の大部分が、前記シールド部74及び平板部53と非接触の状態で収容される。前記本体部63の上面と平板部53の下面との間隔、及び、本体部63の下面とシールド部74の上面との間隔は、それぞれ、例えば、0.04〔mm〕程度であることが望ましいが、これに限定されるものでなく、適宜変更することができる。
【0035】
図12に示されるような構造の積層体は、一部がその隙間に充填されたハウジング11によって一体化される。なお、
図7、8及び13には、ハウジング11の形状が示されているが、実際には、ハウジング11は、
図6に示されるような形状に単体で成形されることはなく、
図12に示されるような積層体と一体化されて成形される。前記ハウジング11は、該ハウジング11の前後端から突出し、第1導体端子51の補助脚部57と第2導体端子61の第2脚部62との間を充填する突出板13と、該突出板13の先端の肉厚部14とを含んでいる。また、前記ハウジング11の少なくとも一部は、第2導体端子61の本体部63と第2シェル71のシールド部74及び第1導体端子51の平板部53との間に存在する。したがって、第2導体端子61と前記第2シェル71及び第1導体端子51との非接触状態が確実に維持される。
【0036】
なお、前記ハウジング11の成形に使用されるモールド用の金型においては、ハウジング11の形状が概略直方体の板状である点を考慮すると、金型のキャビティ(空洞)内に耐熱性合成樹脂等の材料が溶融した状態で注入されるゲート(入口)は、底部15の下面の中心近傍に相当する位置に形成されるのが一般的である。そうすると、前記ゲートから注入された溶融した材料がキャビティ内を流れる距離が最も長くなるのは、前記ハウジング11の四隅の近傍において前後方向に延出する突出板13の先端の肉厚部14である。したがって、該肉厚部14の完全な成形が確認されるならば、キャビティ内のすべての箇所に材料が充填され、ハウジング11が完全に成形された、と言うことができる。
【0037】
次に、前記電子部品1の製造方法の一例について説明する。
【0038】
まず、第1の工程では、銅合金から成る金属板にプレス加工を施して所望の形状とした板状部材の所定の部分に、めっき加工を施してニッケル又は金等のめっき被膜を形成し、第1導体端子51を得る。
【0039】
また、第2の工程では、銅合金から成る金属板にプレス加工を施して所望の形状とした板状部材の所定の部分に、めっき加工を施してニッケル又は金等のめっき被膜を形成し、第2導体端子61を得る。
【0040】
さらに、第3の工程では、銅合金から成る金属板にプレス加工を施して所望の形状とした板状部材の所定の部分に、めっき加工を施してニッケル又は金等のめっき被膜を形成し、第2シェル71を得る。
【0041】
続いて、第4の工程では、第1〜第3の工程で得られた第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71を互いに重ね合せて積層して、
図12に示されるような積層体を形成する。この際、第1導体端子51の平板部53の下面と第2シェル71の接続部73の上面とを接触させ、第1導体端子51と第2シェル71とが導通可能となるようにする。なお、必要に応じて、前記平板部53と接続部73とを、互いに接触した状態を確実に維持するために、レーザー溶接等によって接合することもできる。
【0042】
続いて、第5の工程では、第4の工程で得られた積層体を図示されないモールド用の金型内に載置した状態で該金型内に溶融した耐熱性合成樹脂等の材料を充填し、インサート成形、すなわち、オーバーモールド成形を行う。前記材料は、第1導体端子51、第2導体端子61及び第2シェル71の間の空間を埋めるように充填されて、かつ、第2シェル71における接続部73の下面の少なくとも一部を覆うようなハウジング11を構成し、これにより、前記積層体は、ハウジング11によって一体化される。
【0043】
続いて、第6の工程では、絶縁性粘着材料から成るシートに切断加工を施して前記シートを所望の形状とし、粘着シート31を得た後、該粘着シート31を第1導体端子51の平板部53の上面に貼付する。これにより、
図1に示されるような電子部品1を得ることができる。
【0044】
そして、第7の工程では、検査を行う。該検査においては、電子部品1の上方から検査員が視認することにより、又は、カメラ等の撮像装置によって電子部品1の上面の画像を検査することにより、すべての肉厚部14が形成されていることを確認する。すべての肉厚部14が完全に形成されていない電子部品1は、不良品として排除される。なお、第7の工程を、第6の工程を行う前に、行うこともできる。
【0045】
前述のように、肉厚部14の完全な成形が確認されるならば、キャビティ内のすべての箇所に材料が充填され、ハウジング11が完全に成形された、と言うことができる。そして、
図2及び5に示されるように、肉厚部14は上面に露出している。また、一般的に、ハウジング11の材料である耐熱性合成樹脂等の材料の色、光沢等の見た目は、第1導体端子51及び第2導体端子61の材料である金属のそれとは明確に異なり、識別性が高い。したがって、検査員による目視、又は、撮像装置による画像検査のいずれであっても、電子部品1の上方から視認又は撮像することのみによって、その他の方向からの視認又は撮像を行うことなしに、肉厚部14が完全に成形されたか否かを確実に判断することができ、その結果、ハウジング11が完全に成形されたか否かを確実に判断することができる。
【0046】
このように、電子部品1の上方から視認又は撮像することのみによって、ハウジング11が完全に成形されたか否かを確実に判断することができるので、例えば、複数の電子部品1の搬送工程等のように、隣接する電子部品1同士の間隔が狭く、横方向や斜め方向から視認又は撮像することが困難な場合であっても、電子部品1の検査を確実に、かつ、容易に行うことができる。
【0047】
このように、本実施の形態において、電子部品1は、複数の導体端子としての第1導体端子51及び第2導体端子61と、第1導体端子51及び第2導体端子61と一体化されたハウジング11とを備え、導体端子の1つである第1導体端子51が有する補助脚部57と導体端子の他の1つである第2導体端子61が有する第2脚部62とが上下に重なって配設され、第1導体端子51が有する補助脚部57と第2導体端子61が有する第2脚部62とは長さが異なり、短い方の補助脚部57の先端はハウジング11の肉厚部14によって覆われている。
【0048】
これにより、補助脚部57の先端が損傷を受けることが防止され、電子部品1は、小型化されても、所望の性能を確実に発揮することができ、信頼性が向上し、耐久性が向上する。また、肉厚部14の存在によってハウジング11が完全に成形されたか否かを確実に判断することができるので、電子部品1の検査を確実に、かつ、容易に行うことができ、製造コストが低下する。
【0049】
また、上下に重なって配設された補助脚部57と第2脚部62との間にはハウジング11の突出板13が配設され、突出板13の先端に肉厚部14が形成されている。したがって、補助脚部57と第2脚部62とは、突出板13によって一体化されるので、強度が向上する。
【0050】
さらに、導体端子の1つは第1導体端子51であって、第1導体端子51は、平板部53と、平板部53から前方及び後方に延出する複数の補助脚部57とを含み、導体端子の他の1つは第2導体端子61であって、本体部63と、本体部63から前方及び後方に延出する複数の第2脚部62とを含み、本体部63の少なくとも一部は平板部53と上下に重なって配設される。さらに、第1導体端子51は、平板部53から前方及び後方に延出する複数の第1脚部52を含み、第1脚部52はグランド線に接続される。したがって、第1導体端子51は、電子部品1を電磁的に効果的にシールドするEMIシールド部材として機能する。
【0051】
さらに、電子部品1は、ハウジング11と一体化された第2シェル71を更に備え、第2シェル71は、接続部73とシールド部74とを含み、接続部73は平板部53と接触し、シールド部74は、本体部63を挟んで平板部53の反対側において、本体部63の少なくとも一部が上下に重なって配設される。さらに、本体部63と平板部53との間及び本体部63とシールド部74との間には、ハウジング11の少なくとも一部が存在する。したがって、第2導体端子61は、両側から電磁的に効果的にシールドされる。
【0052】
なお、本開示は一例にすぎず、本開示の趣旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本開示の範囲に含まれる。図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本開示の解釈を限定するものではない。
【0053】
また、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。