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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-192764(P2019-192764A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】半導体装置及び駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20191004BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20191004BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20191004BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20191004BHJP
【FI】
   H01L21/60 301A
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 652N
   H01L29/78 655F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-83501(P2018-83501)
(22)【出願日】2018年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(72)【発明者】
【氏名】堀 将彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弘司
(72)【発明者】
【氏名】佐野 努
(72)【発明者】
【氏名】丸山 一哉
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA14
5F044AA18
5F044AA19
5F044CC05
5F044FF06
(57)【要約】
【課題】オン抵抗の低減された半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第1の電極上に設けられ、第1の電極に電気的に接続された半導体素子を有する半導体基板と、半導体基板上に設けられ、半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、第1の電極、半導体基板及び第2の電極と離間して設けられた端子と、第1の一端と第1の他端を有し、第1の一端に第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、第1の他端に端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、第2の一端と第2の他端を有し、第2の一端に第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、第2の他端に端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極上に設けられ、前記第1の電極に電気的に接続された半導体素子を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、
前記第1の電極、前記半導体基板及び前記第2の電極と離間して設けられた端子と、
第1の一端と第1の他端を有し、前記第1の一端に前記第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、前記第1の他端に前記端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、
第2の一端と第2の他端を有し、前記第2の一端に前記第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、前記第2の他端に前記端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1のボンディングワイヤは、前記第1の一端と前記第1の他端の間に設けられ、前記第2の電極に接合された第5の接合部をさらに有し、
前記第1の接合部と前記第3の接合部の距離と、前記第1の接合部と前記第5の接合部の距離と、前記第3の接合部の距離と前記第5の接合部の距離は等しい、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のボンディングワイヤは、前記第1の一端と前記第1の他端の間に設けられ、前記第2の電極に接合された第5の接合部をさらに有し、
前記第1の接合部及び前記第3の接合部はバンプであり、
前記第2の接合部、前記第4の接合部及び前記第5の接合部はステッチである、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の接合部と前記第5の接合部の距離は200μm以上1000μm以下である、請求項2又は請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のボンディングワイヤの半導体基板面に投影された部分と、前記第2のボンディングワイヤの前記半導体基板面に投影された部分は、互いに平行である、請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子はトランジスタである、
請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子は、
前記第1の電極上に設けられ、前記第1の電極に電気的に接続された第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に設けられた第2導電型の第1の半導体領域と、
前記第1の半導体領域と前記第2の電極の間に設けられ、前記第2の電極に電気的に接続された第1導電型の第2の半導体領域と、
前記第2の半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられた制御電極と、
を有する請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の半導体層は第1導電型である請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の半導体層は第2導電型である請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
第1の電極と、
前記第1の電極上に設けられ、第1の制御電極を有し前記第1の電極に電気的に接続された第1の半導体素子を有する第1の半導体基板と、
前記第1の半導体基板上に設けられ、前記第1の半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、
前記第1の電極、前記第1の半導体基板及び前記第2の電極と離間して設けられた第1の端子と、
第1の一端と第1の他端を有し、前記第1の一端に前記第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、前記第1の他端に前記第1の端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、
第2の一端と第2の他端を有し、前記第2の一端に前記第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、前記第2の他端に前記第1の端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、
を有する第1の半導体装置と、
前記第2の電極に電気的に接続された第3の電極と、
前記第3の電極上に設けられ、第2の制御電極を有し前記第3の電極に電気的に接続された第2の半導体素子を有する第2の半導体基板と、
前記第2の半導体基板上に設けられ、前記第2の半導体素子に電気的に接続された第4の電極と、
前記第3の電極、前記第2の半導体基板及び前記第4の電極と離間して設けられた第2の端子と、
第3の一端と第3の他端を有し、前記第3の一端に前記第4の電極に接合された第5の接合部が設けられ、前記第1の他端に前記第2の端子に接合された第6の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第3のボンディングワイヤと、
第4の一端と第4の他端を有し、前記第4の一端に前記第4の電極に接合された第7の接合部が設けられ、前記第4の他端に前記第2の端子に接合された第8の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第4のボンディングワイヤと、
を有する第2の半導体装置と、
前記第1の制御電極及び前記第2の制御電極に接続された制御素子と、
を備える駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発電や送電、ポンプやブロアなどの回転機、通信システムや工場などの電源装置、交流モータによる鉄道、電気自動車、家庭用電化製品等の幅広い分野に向けた、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Fieled Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)といった半導体素子に代表される、電力制御用に設計されたパワー半導体装置の開発が行われている。
【0003】
例えば、MOSFETを用いてモータ等を駆動する駆動回路の場合、半導体基板内にMOSFETが形成されている。MOSFETのソース電極は、半導体基板上に、板状に形成されて設けられている。そして、ソース電極と、MOSFETの外部に設けられた金属製の外部端子を、ワイヤボンダにより接合されたボンディングワイヤを用いて電気的に接続する。これにより、MOSFETによりスイッチング等が行われた電力を外部に取り出す事が出来る。
【0004】
MOSFETのドリフト層等に起因するオン抵抗を低くすることは、電力変換効率を高める上で重要である。しかし、MOSFETの外部に設けられた、ボンディングワイヤ、及び外部端子等が有する抵抗は、駆動回路において、ドリフト層等に起因するオン抵抗に直列接続されて電力変換効率を低下させる。そのため、ボンディングワイヤ、及び外部端子等に起因する抵抗を低くすることも、オン抵抗を低減する上で好ましい。
【0005】
また、大きな電力を取り扱うために、半導体基板内には多くの半導体素子が設けられている。そして、これらの多くの半導体素子は、共通の板状のソース電極に並列に接続されている。ソース電極の膜厚は通常数μm程度で大変薄いため、大きな抵抗成分を有する。そのため、半導体素子によりスイッチング等が行われた電力を、ソース電極を介して、できるだけ低い抵抗成分を有する部材を用いて取り出すことが、オン抵抗を低減する上で好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5041654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗の低減された半導体装置及び駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第1の電極上に設けられ、第1の電極に電気的に接続された半導体素子を有する半導体基板と、半導体基板上に設けられ、半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、第1の電極、半導体基板及び第2の電極と離間して設けられた端子と、第1の一端と第1の他端を有し、第1の一端に第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、第1の他端に端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、第2の一端と第2の他端を有し、第2の一端に第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、第2の他端に端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の駆動回路の模式図である。
図2】実施形態の第1の半導体装置の模式図である。
図3】実施形態の第2の半導体装置の模式図である。
図4】実施形態の第1の半導体素子の模式断面図である。
図5】実施形態の第2の半導体素子の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0011】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0012】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0013】
本明細書中、n、n、n及び、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを表す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを表す。なお、nとnを単にn型、またpとpを単にp型と記載する場合もある。
【0014】
また、以下では、第1導電型をn型、第2導電型をp型として記載する。しかし、第1導電型がp型、第2導電型がn型であっても好ましく実施出来ることは言うまでもない。
【0015】
(実施形態)
実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第1の電極上に設けられ、第1の電極に電気的に接続された半導体素子を有する半導体基板と、半導体基板上に設けられ、半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、第1の電極、半導体基板及び第2の電極と離間して設けられた端子と、第1の一端と第1の他端を有し、第1の一端に第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、第1の他端に端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、第2の一端と第2の他端を有し、第2の一端に第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、第2の他端に端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、を備える。
【0016】
また、実施形態の駆動回路は、第1の電極と、第1の電極上に設けられ、第1の制御電極を有し第1の電極に電気的に接続された第1の半導体素子を有する第1の半導体基板と、第1の半導体基板上に設けられ、第1の半導体素子に電気的に接続された第2の電極と、第1の電極、第1の半導体基板及び第2の電極と離間して設けられた第1の端子と、第1の一端と第1の他端を有し、第1の一端に第2の電極に接合された第1の接合部が設けられ、第1の他端に第1の端子に接合された第2の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第1のボンディングワイヤと、第2の一端と第2の他端を有し、第2の一端に第2の電極に接合された第3の接合部が設けられ、第2の他端に第1の端子に接合された第4の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第2のボンディングワイヤと、を有する第1の半導体装置と、第2の電極に電気的に接続された第3の電極と、第3の電極上に設けられ、第2の制御電極を有し第3の電極に電気的に接続された第2の半導体素子を有する第2の半導体基板と、第2の半導体基板上に設けられ、第2の半導体素子に電気的に接続された第4の電極と、第3の電極、第2の半導体基板及び第4の電極と離間して設けられた第2の端子と、第3の一端と第3の他端を有し、第3の一端に第4の電極に接合された第5の接合部が設けられ、第1の他端に第2の端子に接合された第6の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第3のボンディングワイヤと、第4の一端と第4の他端を有し、第4の一端に第4の電極に接合された第7の接合部が設けられ、第4の他端に第2の端子に接合された第8の接合部が設けられ、銅を含有し直径は100μm以下である第4のボンディングワイヤと、を有する第2の半導体装置と、第1の制御電極及び第2の制御電極に接続された制御素子と、を備える。
【0017】
図1は、実施形態の駆動回路300の模式図である。実施形態の駆動回路300は、回転電機400を駆動するための、ハーフブリッジ回路である。回転電機400は、例えば直流モータである。
【0018】
第1の半導体装置110、第2の半導体装置120、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140は、いずれもn型のノーマリーオフ型のMOSFETである。なお、例えば、第1の半導体装置110と第3の半導体装置130がp型のMOSFETで、第2の半導体装置120と第4の半導体装置140がn型のMOSFETであっても良い。
【0019】
第1の半導体装置110、第2の半導体装置120、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140は、その他のトランジスタ、例えばIGBTやBJT(Bipolar Junction Transistor)等であっても良い。また、第1の半導体装置110、第2の半導体装置120、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140には、図1に示すように、還流ダイオードがそれぞれのソース電極とドレイン電極の間に接続されていても良い。
【0020】
第1の半導体装置110、第2の半導体装置120、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140は、例えば、Si(シリコン)又はSiC(炭化珪素)を含有し、Si又はSiCを用いて製造されたトランジスタである。なお、第1の半導体装置110、第2の半導体装置120、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140は、GaN(窒化ガリウム)やAlGaNやInGaN等の窒化物半導体材料、GaO(酸化ガリウム)又はダイヤモンド半導体を用いて製造されたトランジスタであっても良い。
【0021】
第1の電源210は、例えば、正の電圧を供給する直流電源である。第1の電源210は、第1の半導体装置110のドレイン電極(第1のドレイン電極)及び第3の半導体装置130のドレイン電極と、電気的に接続されている。第1の半導体装置110のソース電極(第1のソース電極)と第2の半導体装置120のドレイン電極(第2のドレイン電極)は、電気的に接続されている。また、第3の半導体装置130のソース電極と第4の半導体装置140のドレイン電極は、電気的に接続されている。第2の半導体装置120のソース電極(第2のソース電極)と第4の半導体装置140のソース電極は、グランド230に電気的に接続されている。これにより、第1の半導体装置110及び第2の半導体装置120と、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140は、第1の電源210とグランド230の間に、並列に接続されている。
【0022】
回転電機400は、第1の半導体装置110のソース電極及び第2の半導体装置120のドレイン電極と、第3の半導体装置130のソース電極及び第4の半導体装置140のドレイン電極に、電気的に接続されている。
【0023】
第1の制御素子150は、第1の半導体装置110のゲート電極(第1のゲート電極)及び第2の半導体装置120のゲート電極(第2のゲート電極)に接続されている。第1の制御素子150は、例えば、第1の半導体装置110のゲート電極と第1の制御素子150の間に設けられた図示しない可変抵抗及び第2の半導体装置120のゲート電極と第1の制御素子150の間に設けられた図示しない可変抵抗を制御し、第1の半導体装置110及び第2の半導体装置120のスイッチングを行う。
【0024】
第2の制御素子160は、第3の半導体装置130のゲート電極及び第4の半導体装置140のゲート電極に接続されている。第2の制御素子160は、例えば、第3の半導体装置130のゲート電極と第2の制御素子160の間に設けられた図示しない可変抵抗及び第4の半導体装置140のゲート電極と第2の制御素子160の間に設けられた図示しない可変抵抗を制御し、第3の半導体装置130及び第4の半導体装置140のスイッチングを行う。
【0025】
第1の制御素子150及び第2の制御素子160は、例えば、半導体チップ内に設けられた集積回路又は電子回路である。第1の制御素子150及び第2の制御素子160は、例えば、演算回路等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアの組み合わせで構成されるコンピュータである。なお、第1の制御素子150及び第2の制御素子160は、電気回路、量子回路等のハードウェアで構成されてもよいし、ソフトウェアで構成されてもよい。ソフトウェアで構成する場合には、CPU(Central Processing Unit)を中心とするマイクロプロセッサと、処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、入出力ポート及び通信ポートを用いてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0026】
第2の電源220は、例えば市販の電源である。第2の電源220は、第1の制御素子150及び第2の制御素子160を駆動するための電力を、第1の制御素子150及び第2の制御素子160に供給する。
【0027】
駆動回路300を用いた回転電機400の一つの駆動の形態としては、第1の制御素子150及び第2の制御素子160を用いて、第1の半導体装置110及び第4の半導体装置140をオンにし、第2の半導体装置120及び第3の半導体装置130をオフにする。これにより、第1の電源210から供給された電流は、第1の半導体装置110から回転電機400に流れ、第4の半導体装置140を経由してグランド230に流れる。これにより、回転電機400は、第1の方向、例えば正方向に回転する。
【0028】
また、駆動回路300を用いた回転電機400の他の駆動の形態としては、第1の制御素子150及び第2の制御素子160を用いて、第1の半導体装置110及び第4の半導体装置140をオフにし、第2の半導体装置120及び第3の半導体装置130をオンにする。これにより、第1の電源210から供給された電流は、第3の半導体装置130から回転電機400に流れ、第2の半導体装置120を経由してグランド230に流れる。これにより、回転電機400は、第2の方向、例えば逆方向に回転する。以上により、駆動回路300を用いて、回転電機400を、正方向と逆方向のいずれの向きにも回転させることが可能である。
【0029】
図2は、実施形態の第1の半導体装置110の模式図である。なお、第1の半導体装置110は、半導体装置の一例である。
【0030】
ここで、x方向と、x方向に垂直なy方向と、x方向及びy方向に垂直なz方向を定義する。図2(a)は、z方向から見たときの、第1の半導体装置110の模式図である。図2(b)は、x方向から見たときの、第1の半導体装置110の模式図である。なお、図2(b)において、ボンディングワイヤ40,41、42、43及び44の記載は省略している。また、図2に示した第1の半導体装置110は、例えば公知の樹脂で封止されて用いられる。
【0031】
第1の半導体基板30は、例えばSi基板やSiC基板である。なお、第1の半導体基板30は、窒化物半導体基板、GaO基板、又はダイヤモンド半導体基板であっても良い。第1の半導体基板30は、その基板面がxy面に平行になるように配置されている。なお、第1の半導体基板30は、半導体基板の一例である。
【0032】
第1のドレイン電極2は、第1の半導体基板30の下に、第1の半導体基板30の下側の基板面に接して設けられている。言い換えると、第1の半導体基板30は、第1のドレイン電極2の上に設けられている。第1のドレイン電極2は、例えば銅、銀又は金を含む、xy面に平行に配置された、板状又は薄膜状の形状を有する電極である。実施形態の第1の半導体装置110においては、第1の半導体基板30は、第1のドレイン電極2上に、公知の第1の導電性ペースト3を用いて固定されている。なお、第1のドレイン電極2は、第1の電極の一例である。
【0033】
第1のソース電極4は、第1の半導体基板30の上に、第1の半導体基板30の上側の基板面に接して設けられている。第1のソース電極4は、例えば銅、銀又は金を含む、xy面に平行に配置された、板状又は薄膜状の形状を有する電極である。なお、第1のソース電極4は、第2の電極の一例である。
【0034】
第1の端子90は、第1のドレイン電極2、第1の半導体基板30及び第1のソース電極4と、y方向に離間して設けられている。第1の端子90は、例えば銅で形成されている。なお第1の端子90は、端子の一例である。
【0035】
ボンディングワイヤ40は、一端40aと他端40bを有する。一端40aには接合部50aが設けられ、第1のソース電極4に接合されている。他端40bには接合部50fが設けられ、第1の端子90に接合されている。また、ボンディングワイヤ40は、一端40aと他端40bの間の、接合部50b、50c及び50dにおいて、第1のソース電極4と接合されている。なお、ボンディングワイヤ40は、第1のボンディングワイヤの一例である。また、一端40a及び他端40bは、第1の一端及び第1の他端の一例である。
【0036】
接合部50aは、バンプである。ボンディングワイヤは、ワイヤボンダのキャピラリ先端部を通ってボンディング対象となる電極上に供給され、ワイヤボンディングに用いられる。ボンディングワイヤ先端の加熱によりボンディングワイヤの一部が溶融され、ボール部分が形成される。この状態で、キャピラリ先端部を用いてボール部分を電極に押しつけ、加重や超音波振動を加えると、電極上にバンプが形成される。なお、接合部50aは、第1の接合部の一例である。
【0037】
接合部50b、50c、50d及び50fは、ステッチである。ステッチは、ボンディングワイヤが、加熱されずにキャピラリ先端部を用いて電極上に押しつけられ、加重や超音波振動が加えられることにより、形成される。なお、接合部50b、50c、50d及び50fの部分におけるボンディングワイヤの直径は、電極上に押しつけられることにより、元の直径の1/2から1/3程度になることがある。接合部50fが形成された後、ボンディングワイヤ40はワイヤボンダに備え付けられた切断部を用いて切断される。なお、接合部50fは、第2の接合部の一例である。また、接合部50bは、第5の接合部又は第9の接合部の一例である。
【0038】
ボンディングワイヤ41は、一端41aと他端41bを有する。一端41aには接合部51aが設けられ、第1のソース電極4に接合されている。他端41bには接合部51fが設けられ、第1の端子90に接合されている。また、ボンディングワイヤ41は、一端41aと他端41bの間の、接合部51b及び51cにおいて、第1のソース電極4と接合されている。なお、ボンディングワイヤ41は、第2のボンディングワイヤの一例である。また、一端41a及び他端41bは、第2の一端及び第2の他端の一例である。
【0039】
接合部51aは、バンプである。接合部51b、51c及び51fは、ステッチである。なお、接合部51aは、第3の接合部の一例である。また、接合部51fは、第4の接合部の一例である。
【0040】
ボンディングワイヤ42は、一端42aと他端42bを有する。一端42aには接合部52aが設けられ、第1のソース電極4に接合されている。他端42bには接合部52fが設けられ、第1の端子90に接合されている。また、ボンディングワイヤ42は、一端42aと他端42bの間の、接合部52b、52c及び52dにおいて、第1のソース電極4と接合されている。
【0041】
接合部52aは、バンプである。接合部52b、52c、52d及び52fは、ステッチである。
【0042】
ボンディングワイヤ43は、一端43aと他端43bを有する。一端43aには接合部53aが設けられ、第1のソース電極4に接合されている。他端43bには接合部53fが設けられ、第1の端子90に接合されている。また、ボンディングワイヤ43は、一端42aと他端42bの間の、接合部53b及び53cにおいて、第1のソース電極4と接合されている。
【0043】
接合部53aは、バンプである。接合部53b、53c及び53fは、ステッチである。
【0044】
ボンディングワイヤ44は、一端44aと他端44bを有する。一端44aには接合部54aが設けられ、第1のソース電極4に接合されている。他端44bには接合部54fが設けられ、第1の端子90に接合されている。また、ボンディングワイヤ44は、一端44aと他端44bの間の、接合部54b、54c及び54dにおいて、第1のソース電極4と接合されている。
【0045】
接合部54aは、バンプである。接合部54b、54c、54d及び54fは、ステッチである。
【0046】
ボンディングワイヤ40、41、42、43及び44は、いずれも、銅を含有する、直径が100μm以下の銅ボンディングワイヤである。なお、ボンディングワイヤ40、41、42、43及び44として、例えばパラジウム(Pd)等の他の材料により被膜された銅ボンディングワイヤを用いても良い。
【0047】
第1の半導体基板30の基板面に平行な面内において、第1のソース電極4上に形成された接合部のうち、隣接する接合部同士の距離は等しい。例えば、ボンディングワイヤ40が有する接合部50a、50b、50c及び50d、及びボンディングワイヤ41が有する接合部51a、51b及び51cを例にとると、接合部50aと接合部50bの間の距離、接合部50bと接合部50cの間の距離、接合部50cと接合部50dの間の距離、接合部50aと接合部51aの間の距離、接合部51aと接合部50bの間の距離、接合部51aと接合部51bの間の距離、接合部51bと接合部51cの間の距離、接合部50bと接合部51bの間の距離、接合部51bと接合部50cの間の距離、接合部50cと接合部51cの間の距離及び接合部51cと接合部50dの間の距離は、それぞれ互いに等しい。ここで、接合部間の距離は、例えば、それぞれの接合部の中心部間の距離である。なお、それぞれの接合部の中心部を基板面に投影した上で、投影した部分間の距離を測定すると、距離が正確に測定出来るため好ましい。また、ワイヤボンダのキャピラリのxy面内における移動の精度の問題により、距離に5%程度のずれが生じることがあるが、このような距離のずれが生じても本明細書においては接合部間の距離は「等しい」ものとする。
【0048】
また、第1のソース電極4上に形成された接合部のうち、隣接する接合部同士の距離は200μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0049】
ボンディングワイヤ40、41、42、43及び44は、いずれもy方向に延びた状態でボンディングされる。そのため、例えば、ボンディングワイヤ40の接合部50aと接合部50dの間の部分、ボンディングワイヤ41の接合部51aと接合部51cの間の部分、ボンディングワイヤ42の接合部52aと接合部52dの間の部分、ボンディングワイヤ43の接合部53aと接合部53cの間の部分、及びボンディングワイヤ44の接合部54aと接合部54dの間の部分を第1の半導体基板30の基板面に投影すると、いずれも互いに平行で、y方向に平行である。
【0050】
図2(b)に示した第1のソース電極4の表面とボンディングワイヤのなす角θが大きすぎると、第1のソース電極4からのボンディングワイヤの剥離や、ボンディングワイヤの破断が起こりやすくなる。第1のソース電極4の表面とボンディングワイヤのなす角θは20度以下であることが好ましく、15度以下であればさらに好ましい。
【0051】
図3は、実施形態の第2の半導体装置120の模式図である。なお、図2に示した第1の半導体装置110と同様の点については、記載を省略する。
【0052】
第2のドレイン電極5は、第2の半導体基板32の下に、第2の半導体基板32の下側の基板面に接して設けられている。言い換えると、第2の半導体基板32は、第1のドレイン電極2の上に設けられている。実施形態の第2の半導体装置120においては、第2の半導体基板32は、第2のドレイン電極5上に、公知の第2の導電性ペースト6を用いて固定されている。なお、第2のドレイン電極5は、第3の電極の一例である。
【0053】
第2のソース電極7は、第2の半導体基板32の上に、第2の半導体基板32の上側の基板面に接して設けられている。なお、第2のソース電極7は、第4の電極の一例である。
【0054】
第2の端子92は、第2のドレイン電極5、第2の半導体基板32及び第2のソース電極7と、y方向に離間して設けられている。第2の端子92は、例えば銅で形成されている。
【0055】
ボンディングワイヤ60は、一端60aと他端60bを有する。一端60aには接合部70aが設けられ、第2のソース電極7に接合されている。他端60bには接合部70fが設けられ、第2の端子92に接合されている。また、ボンディングワイヤ60は、一端60aと他端60bの間の、接合部70b、70c及び70dにおいて、第2のソース電極7と接合されている。なお、ボンディングワイヤ60は、第3のボンディングワイヤの一例である。また、一端60a及び他端60bは、第3の一端及び第3の他端の一例である。
【0056】
接合部70aは、バンプである。接合部70b、70c、70d及び70fは、ステッチである。なお、接合部70aは、第5の接合部の一例である。また、接合部70fは、第6の接合部の一例である。また、接合部70bは、第10の接合部の一例である。
【0057】
ボンディングワイヤ61は、一端61aと他端61bを有する。一端61aには接合部71aが設けられ、第2のソース電極7に接合されている。他端61bには接合部71fが設けられ、第2の端子92に接合されている。また、ボンディングワイヤ61は、一端61aと他端61bの間の、接合部71b及び71cにおいて、第2のソース電極7と接合されている。なお、ボンディングワイヤ61は、第4のボンディングワイヤの一例である。また、一端61a及び他端61bは、第4の一端及び第4の他端の一例である。
【0058】
接合部71aは、バンプである。接合部71b、71c及び71fは、ステッチである。なお、接合部71aは、第7の接合部の一例である。また、接合部71fは、第8の接合部の一例である。
【0059】
ボンディングワイヤ62は、一端62aと他端62bを有する。一端62aには接合部72aが設けられ、第2のソース電極7に接合されている。他端62bには接合部72fが設けられ、第2の端子92に接合されている。また、ボンディングワイヤ62は、一端62aと他端62bの間の、接合部72b、72c及び72dにおいて、第2のソース電極7と接合されている。
【0060】
接合部72aは、バンプである。接合部72b、72c、72d及び72fは、ステッチである。
【0061】
ボンディングワイヤ63は、一端63aと他端63bを有する。一端63aには接合部73aが設けられ、第2のソース電極7に接合されている。他端63bには接合部73fが設けられ、第2の端子92に接合されている。また、ボンディングワイヤ63は、一端63aと他端63bの間の、接合部73b、73cにおいて、第2のソース電極7と接合されている。
【0062】
接合部73aは、バンプである。接合部73b、73c及び73fは、ステッチである。
【0063】
ボンディングワイヤ64は、一端64aと他端64bを有する。一端64aには接合部73aが設けられ、第2のソース電極7に接合されている。他端64bには接合部74fが設けられ、第2の端子92に接合されている。また、ボンディングワイヤ64は、一端64aと他端64bの間の、接合部74b、74c及び74dにおいて、第1のソース電極4と接合されている。
【0064】
接合部74aは、バンプである。接合部74b、74c、74d及び74fは、ステッチである。
【0065】
第2の半導体基板32の基板面に平行な面内において、第2のソース電極7上に形成された接合部のうち、隣接する接合部同士の距離は等しい。
【0066】
ボンディングワイヤ60、61、62、63及び64は、いずれもy方向に延びた状態でボンディングされる。そのため、例えば、ボンディングワイヤ60の接合部70aと接合部70dの間の部分、ボンディングワイヤ61の接合部71aと接合部71cの間の部分、ボンディングワイヤ62の接合部72aと接合部72dの間の部分、ボンディングワイヤ63の接合部73aと接合部73cの間の部分、及びボンディングワイヤ64の接合部74aと接合部74dの間の部分を第2の半導体基板32の基板面に投影すると、互いに平行で、y方向に平行である。
【0067】
図4は、実施形態の第1の半導体素子34の模式断面図である。
【0068】
図4(a)に示した第1の半導体素子34は、DiMOSFET(Double Implanted MOSFET)である。
【0069】
第1の半導体素子34は、第1のコレクタ層10と、第1のドリフト層12と、第1のベース層16と、第1のソース層18と、第1のゲート絶縁膜20と、第1のゲート電極22と、を有する。なお、第1の半導体素子34は、半導体素子の一例である。
【0070】
型の第1のコレクタ層10は、第1の半導体基板30内に設けられ、第1の導電性ペースト3を介して第1のドレイン電極2に電気的に接続されている。なお第1のコレクタ層10は、第1の半導体層の一例である。
【0071】
型の第1のドリフト層12は、第1の半導体基板30内の、第1のコレクタ層10の上に設けられている。なお、第1のドリフト層12は、第2の半導体層の一例である。
【0072】
p型の第1のベース層16は、第1の半導体基板30内の、第1のドリフト層12の上に設けられている。また、第1のベース層16の一部は、第1の半導体基板30の上の基板面に接して設けられている。なお、第1のベース層16は、第1の半導体領域の一例である。
【0073】
型の第1のソース層18は、第1の半導体基板30内の、第1のベース層16と第1のソース電極4の間に、第1の半導体基板30の上側の基板面に接して設けられている。そして、第1のソース層18は、第1のソース電極4と電気的に接続されている。なお、第1のソース層18は、第2の半導体領域の一例である。
【0074】
第1のゲート絶縁膜20は、第1の半導体基板30の、第1のドリフト層12上に設けられている。第1の半導体基板30がSi基板である場合、第1のゲート絶縁膜20は、例えば酸化シリコンで形成されている。なお、第1のゲート絶縁膜20は、絶縁膜の一例である。
【0075】
第1のゲート電極22は、第1のゲート絶縁膜20内の、第1のゲート絶縁膜20の一部の上に設けられている。なお、第1のゲート電極22は、第1の制御電極又は制御電極の一例である。
【0076】
第1の半導体基板30内には、複数の第1の半導体素子34が、x方向及びy方向に並んで設けられている。そして、複数の第1の半導体素子34は、第1のドレイン電極2と第1のソース電極4の間に並列に接続されている。第1のドレイン電極2及び第1のソース電極4は、複数の第1の半導体素子34により共通に用いられている。
【0077】
図4(b)に示した第1の半導体素子34は、IGBTであり、コレクタ層がp型であることを除けば、図4(a)に示したMOSFETと同様である。第1の半導体素子34としては、図4(a)に示したMOSFET、図4(b)に示したIGBTのいずれも好ましく用いることが出来る。
【0078】
図5は、実施形態の第2の半導体素子36の模式断面図である。図5(a)に示した第2の半導体素子36は、DiMOSFETである。図5(b)に示した第2の半導体素子36は、IGBTである。第2の半導体素子36は、第2のコレクタ層11と、第2のドリフト層13と、第2のベース層17と、第2のソース層19と、第2のゲート絶縁膜21と、第2のゲート電極23と、を有する。なお第2のゲート電極23は、第2の制御電極の一例である。
【0079】
次に、本実施形態の半導体装置及び駆動回路の作用効果を記載する。
【0080】
ソース電極の膜厚は通常1μm〜3μm程度で大変薄い。このソース電極を介して、できるだけ低い抵抗成分で、半導体素子によりスイッチング等がおこなわれた電力を取り出す手段として、アルミニウム製ボンディングワイヤを板状のソース電極に接続することが行われていた。しかしアルミニウム製ボンディングワイヤは抵抗率が高いため、電力変換効率が下がってしまうという問題があった。
【0081】
そこで、抵抗率を低くするため、アルミニウム製ボンディングワイヤの本数を増加させることが考えられる。しかし、できるだけボンディングワイヤの本数を多くするため、ソース電極上に接合されたボンディングワイヤのループの高さを変えてワイヤボンディングを行うと、半導体装置全体の高さが高くなってしまい、薄型化に適さないという問題があった。
【0082】
また、直径の大きいアルミニウム製ボンディングワイヤを用いることが考えられる。しかし、この場合には、ワイヤボンディングの際に、キャピラリ先端部をより強くソース電極に押しつけることになる。そのため、半導体基板内に形成された半導体素子が機械的に損傷してしまうことがあった。また、半導体素子同士が電気的短絡を発生させることがあった。
【0083】
ボンディングワイヤの代わりにリボンを用いることにより、抵抗率を下げることは可能である。しかし、リボンの接合部を等間隔でソース電極上に設けようとすると、隣接する他のリボンの一部を加熱して溶かしてしまうという問題があった。
【0084】
また、例えば銅製のクリップを用い、板状のソース電極の全面にクリップの表面を半田等により接合することが考えられる。しかし、半田による接合の際に、半田に含まれているフラックス(ヤニ)がソース電極の周辺に飛び散ってしまう。フラックスにより周辺の部材が腐食をおこすことがあるため飛び散ったフラックスを除去しなければならないという問題があった。
【0085】
そこで、実施形態の半導体装置においては、銅を含有し直径は100μm以下であるボンディングワイヤを用いている。銅を含有するボンディングワイヤの抵抗率はアルミニウムを含有するボンディングワイヤの抵抗率よりも低い。そのため、直径が100μm以下である、直径の小さいボンディングワイヤを用いても、アルミニウム製ボンディングワイヤよりも抵抗率が低い。また、直径が100μm以下と小さいため、キャピラリ先端部を強くソース電極に押しつけなくても、ソース電極にボンディングワイヤを接合させることが可能である。そのため、半導体基板内に設けられた半導体素子に損傷を与えたり、電気的短絡を発生させたりすることを抑制することが出来る。よって、オン抵抗の低減された半導体装置の提供が可能となる。
【0086】
上述のように、半導体基板内には、複数の半導体素子が、x方向及びy方向に並んで設けられている。半導体素子によりスイッチング等がおこなわれた電力は、その半導体素子から最も近い接合部を経由して取り出される。よって、隣接する接合部同士の距離にばらつきがある場合、接合部から極端に離れた位置に設けられた半導体素子が設けられるおそれがあり、電力変換効率の低下につながってしまうという問題があった。
【0087】
そこで、ソース電極上に形成された接合部のうち、隣接する接合部同士の距離は等しくすることにより、接合部から極端に離れた位置に設けられた半導体素子が設けられなくなる。これにより、オン抵抗の低減された半導体装置の提供が可能となる。
【0088】
バンプは、ボンディングワイヤ先端にボールを形成してソース電極に接合されているため、信頼性が高い接合部である。そのため、ボンディングワイヤの一端の接合部をバンプとすることにより、より信頼性の高い半導体装置の提供が可能となる。
【0089】
ソース電極上に形成された接合部のうち、隣接する接合部同士の距離は200μm以上1000μm以下であることが好ましい。1000μmを超える場合、接合部から離れた位置に設けられたトランジスタを流れる電流が接合部に流れ込むまでのソース電極における抵抗が大きくなりすぎてしまう。一方、200μm未満である場合、ソース電極の表面とボンディングワイヤのなす角θが大きくなりすぎ、ボンディングワイヤの剥離や破断が起こりやすくなる。
【0090】
各ボンディングワイヤの接合部と接合部の間に部分を半導体基板の基板面に投影したときに、y方向等の特定の方向に対して平行とすることにより、隣接する接合部同士の距離を等しくすることが容易となる。よって、さらに、オン抵抗の低減された半導体装置の提供が可能となる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
2 第1のドレイン電極(第1の電極)
3 第1の導電性ペースト
4 第1のソース電極(第2の電極)
5 第2のドレイン電極(第3の電極)
6 第2の導電性ペースト
7 第2のソース電極(第4の電極)
10 第1のコレクタ層(第1の半導体層)
11 第2のコレクタ層
12 第1のドリフト層(第2の半導体層)
13 第2のドリフト層
16 第1のベース層(第1の半導体領域)
17 第2のベース層
18 第1のソース層(第2の半導体領域)
19 第2のソース層
20 第1のゲート絶縁膜(絶縁膜)
21 第2のゲート絶縁膜
22 第1のゲート電極(制御電極、第1の制御電極)
23 第2のゲート電極
30 第1の半導体基板(半導体基板)
32 第2の半導体基板
34 第1の半導体素子(半導体素子)
36 第2の半導体素子
40 ボンディングワイヤ(第1のボンディングワイヤ)
40a ボンディングワイヤの一端(第1の一端)
40b ボンディングワイヤの他端(第1の他端)
41 ボンディングワイヤ(第2のボンディングワイヤ)
41a ボンディングワイヤの一端(第2の一端)
41b ボンディングワイヤの他端(第2の他端)
50a 接合部(第1の接合部)
50b 接合部(第5の接合部、第9の接合部)
50f 接合部(第2の接合部)
51a 接合部(第3の接合部)
51f 接合部(第4の接合部)
60 ボンディングワイヤ(第3のボンディングワイヤ)
60a ボンディングワイヤの一端(第3の一端)
60b ボンディングワイヤの他端(第3の他端)
61 ボンディングワイヤ(第4のボンディングワイヤ)
60a ボンディングワイヤの一端(第4の一端)
60b ボンディングワイヤの他端(第4の他端)
70a 接合部(第5の接合部)
70b 接合部(第10の接合部)
70f 接合部(第6の接合部)
71a 接合部(第7の接合部)
71f 接合部(第8の接合部)
90 第1の端子(端子)
92 第2の端子
110 第1の半導体装置(半導体装置)
120 第2の半導体装置
130 第3の半導体装置
140 第4の半導体装置
150 第1の制御素子(制御素子)
160 第2の制御素子
210 第1の電源
220 第2の電源
230 グランド
300 駆動回路
400 回転電機

図1
図2
図3
図4
図5