【解決手段】パスポート2Aの見開き面の一方の面及びIDカード2Bの全体のいずれか一方が載置されるガラス板3を含む媒体挿入部16を有し、媒体挿入部16に挿入された情報記録媒体2から光学的に情報を読み取る情報読取装置1は、ガラス板3の端部に設定される識別用領域3Aを少なくとも撮像する撮像素子8と、撮像素子8から出力される識別用領域3Aの画像データに基づいて識別用領域3Aに物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、ガラス板3に載置されている情報記録媒体2がパスポート2AとIDカード2Bのどちらであるかを識別するシステム制御部40と、を備える。
冊子状の第一情報記録媒体とカード状の第二情報記録媒体とを含む情報記録媒体が挿入される媒体挿入部を有し、前記媒体挿入部に挿入された前記情報記録媒体から光学的に情報を読み取る情報読取装置であって、
前記媒体挿入部は、前記第一情報記録媒体の見開き面の一方の面及び前記第二情報記録媒体の全体のいずれか一方が載置される第一載置部を有し、
前記第一載置部における前記情報記録媒体の挿入方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記挿入方向の幅よりも大きく、
前記第一載置部に前記第一情報記録媒体の前記一方の面が載置された状態にて当該第一情報記録媒体の前記見開き面の境界部側に位置する前記第一載置部の端部、に設定される識別用領域を少なくとも撮像する撮像素子と、
前記撮像素子から出力される前記識別用領域の画像データに基づいて前記識別用領域に物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体と前記第二情報記録媒体のどちらであるかを識別する媒体識別部と、を備える情報読取装置。
冊子状の第一情報記録媒体とカード状の第二情報記録媒体とを含む情報記録媒体が挿入される媒体挿入部を有し、前記媒体挿入部に挿入された前記情報記録媒体から光学的に情報を読み取る情報読取装置の制御方法であって、
前記媒体挿入部は、前記第一情報記録媒体の見開き面の一方の面及び前記第二情報記録媒体の全体のいずれか一方が載置される第一載置部を有し、
前記第一載置部における前記情報記録媒体の挿入方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記挿入方向の幅よりも広く、
前記第一載置部に前記第一情報記録媒体の前記一方の面が載置された状態にて当該第一情報記録媒体の前記見開き面の境界部側に位置する前記第一載置部の端部、に設定される識別用領域を少なくとも撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって得られる前記識別用領域の画像データに基づいて前記識別用領域に物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体と前記第二情報記録媒体のどちらであるかを識別する媒体識別ステップと、を備える情報読取装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(情報読取装置の概略構成)
図1は、本発明の一実施形態である情報読取装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示す情報読取装置1のガラス板3、カバー部材15、及び照明4,5を抜き出して示す斜視図である。
図3は、
図2に示すガラス板3、カバー部材15、及び照明4,5の正面図である。
図4は、
図1に示す情報読取装置1の内部の光路を説明するための側面図である。
図5は、
図1に示す情報読取装置1のシャッタ機構14の動作を説明するための側面図である。
【0013】
情報読取装置1は、情報記録媒体2に記録された情報を光学的に読み取る装置である。すなわち、情報読取装置1は、情報記録媒体2に印刷等された文字や図形等を読み取る装置である。この情報読取装置1は、手動式の読取装置であり、情報読取装置1への情報記録媒体2の挿入と情報読取装置1からの情報記録媒体2の抜取りとが手動で行われる。また、情報読取装置1は、比較的小さな卓上型の読取装置である。情報読取装置1で読み取られる情報記録媒体2は、冊子状の第一情報記録媒体の一例であるパスポート2A(
図1参照)と、カード状の第二情報記録媒体の一例であるIDカード2B(
図3参照)である。パスポート2A及びIDカード2Bには、所有者の顔写真と生年月日を含む個人情報等が印刷された情報記録面が設けられている。
【0014】
パスポート2Aは、複数枚の紙を綴じた冊子であり、
図1に示すように、表紙2sの裏面である情報記録面2saと、表紙2sの隣の頁であって表紙2sの情報記録面2saと対面する頁面2sbとによって構成される見開き面のうちの情報記録面2saに記録された情報(顔写真と個人情報等)が情報読取装置1で光学的に読み取られる。パスポート2Aのこの見開き面のうち、情報記録面2saは一方の面を構成し、頁面2sbは他方の面を構成する。
【0015】
パスポート2Aの背表紙2bには、非接触通信によって情報を読み取ることのできる非接触通信用IC(Integrated Circuit)及び非接触通信用のアンテナが内蔵されている。
【0016】
IDカード2Bは、矩形状且つ板状のカード状の媒体である。IDカード2Bは、IDカード2Bの両面が情報記録面となっており、情報記録面に記録された情報(顔写真と個人情報等)が情報読取装置1で光学的に読み取られる。
【0017】
パスポート2Aは、表紙2sを開き上記の見開き面が見える状態で情報読取装置1に挿入される。開いた状態で情報読取装置1に挿入されたパスポート2Aの表紙2sの厚さ方向と、情報読取装置1に挿入されたIDカード2Bの厚さ方向を、それぞれ上下方向という。なお、
図4では、説明の便宜上、パスポート2AとIDカード2Bとが一緒に情報読取装置1に挿入されているが、実際には、パスポート2A及びIDカード2Bのいずれか一方が情報読取装置1に挿入される。
【0018】
以下の説明では、情報読取装置1への情報記録媒体2の挿入方向側(
図1等の方向Y2側)を「奥」側または「後ろ」側とし、情報読取装置1からの情報記録媒体2の抜取り方向側(
図1等の方向Y1側)を「前」側とする。また、情報読取装置1に対する情報記録媒体2の挿入抜取り方向(
図1等の方向Y)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する方向(
図1等の方向X)を「左右方向」とする。
【0019】
情報読取装置1は、ガラス板3と、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の下面に光を照射する照明4(
図2及び
図3参照)と、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に光を照射する照明5(
図2及び
図3参照)と、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の下面に記録された情報を読み取るための光学系6(
図4参照)と、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に記録された情報を読み取るための光学系7(
図4参照)と、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子8(
図4及び
図5参照)と、光学系6を通過した光を撮像素子8に結像させるとともに、光学系7を通過した光を撮像素子8に結像させる結像光学系9(
図4及び
図5参照)と、これらの構成要素が収容される筐体10(
図1参照)とを備えている。
【0020】
また、情報読取装置1は、光学系6を通過した光の一部を結像光学系9に向かって透過させるとともに光学系7を通過した光の一部を結像光学系9に向かって反射するビームスプリッタ13(
図4参照)と、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の下面に記録された情報を読み取るときに光学系7からビームスプリッタ13に入射する光を遮り、且つ、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に記録された情報を読み取るときに光学系6からビームスプリッタ13に入射する光を遮るシャッタ機構14(
図5参照)とを備えている。ビームスプリッタ13及びシャッタ機構14は、筐体10に収容されている。
【0021】
さらに、情報読取装置1は、
図2及び
図3に示すように、ガラス板3に載置される情報記録媒体2よりも上側に配置される上面部15aと、上面部15aの左右の両端側に繋がる2個の側面部15bと、上面部15aの奥端側に繋がる奥面部15cとを有するカバー部材15を備えている。カバー部材15は、例えば、透明なアクリル樹脂で形成されている。奥面部15cには、例えば、遮光性の塗料が塗布されており、光を遮断する遮光部を構成している。一方、上面部15a及び側面部15bは、透明になっている。
【0022】
上面部15aは、長方形の平板状に形成されており、上面部15aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、上面部15aは、上面部15aの端面が前後方向または左右方向と平行になるように配置されている。側面部15bは、長方形の平板状に形成されており、側面部15bの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。奥面部15cは、長方形の平板状に形成されており、奥面部15cの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。奥面部15cの左右方向の両端は、側面部15bの奥端に繋がっている。
【0023】
ガラス板3は、長方形の平板状に形成されており、ガラス板3の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、ガラス板3は、ガラス板3の端面が前後方向又は左右方向と平行になるように配置されている。2つの側面部15bの各々の下端及び奥面部15cの下端は、ガラス板3の上面に接触している。ガラス板3とカバー部材15とによって、前面が開口するとともに情報記録媒体2の少なくとも一部が載置される箱状の媒体挿入部16が形成されている。
図1に示すように、媒体挿入部16の、前面の開口以外の部分は、筐体10によって覆われている。媒体挿入部16の前面の開口は、媒体挿入口を構成する。
【0024】
筐体10におけるガラス板3よりも前側には、
図1に示すように、パスポート2Aに内蔵される非接触通信用のアンテナと通信を行うためのアンテナ17を内蔵する傾斜面17aが形成されている。傾斜面17aは、ガラス板3に対し下方向に向かって傾斜している。
【0025】
また、情報読取装置1は、
図1に示すようにカメラ18を備えている。カメラ18は、媒体挿入部16よりも上側に配置されている。カメラ18の光軸は、前側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜している。カメラ18は、たとえば、情報記録媒体2の読取操作を行う者の顔を撮影する。
【0026】
(照明の構成及び配置)
図3に示すように、照明4,5は、複数の光源が実装される基板24と、光源から射出された光が入射する照明レンズ25とを備えている。照明4,5は、光源として、白色光を射出する複数の白色LEDと、赤外光を射出する複数の赤外線LEDと、紫外光を射出する複数の紫外線LEDとを備えている。基板24は、細長い長方形の平板状に形成されている。照明レンズ25は、細長い略直方体状に形成されている。この照明レンズ25は、基板24の、光源が実装された面に固定されている。
【0027】
照明レンズ25には、白色LEDが射出する白色光と赤外線LEDが射出する赤外光と紫外線LEDが射出する紫外光とが入射し、照明レンズ25を透過した光が情報記録媒体2に照射される。なお、照明4,5から照射される赤外光は、OCR文字等の機械読取式の印刷情報の読取りに用いられる。また、照明4,5から照射される紫外光は、情報記録媒体2の真偽判定に必要な印刷情報の読取りに用いられる。具体的には、照明4,5から照射される紫外光は、目に見えない蛍光発色インクによる印刷情報の読取りに用いられる。
【0028】
図3に示すように、照明4は、ガラス板3よりも下側に配置されている。また、情報読取装置1は、2個の照明4を備えており、照明4は、左右方向におけるガラス板3の両外側のそれぞれに配置されている。照明4は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2に向かって左右方向の外側から、かつ、斜め下側から光を照射する。また、照明4から射出されガラス板3を透過した光が、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の下面に照射される。
【0029】
照明5は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2よりも上側に配置されている。また、情報読取装置1は、2個の照明5を備えており、照明5は、左右方向における媒体挿入部16の両外側のそれぞれに配置されている。すなわち、2個の照明5のうちの一方の照明5は、右側に配置される側面部15bの右側に配置され、2個の照明5のうちの他方の照明5は、左側に配置される側面部15bの左側に配置されている。照明5は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2に向かって左右方向の外側から、かつ、斜め上側から光を照射する。また、照明5から射出され側面部15bを透過した光が、ガラス板3に載置される情報記録媒体2の上面に照射される。
【0030】
(光学系、結像光学系、ビームスプリッタ、撮像素子の構成及び配置)
図4に示すように、光学系6は、長方形の平板状に形成された3個の反射ミラー(全反射ミラー)30、31、32を備えている。反射ミラー30は、反射ミラー31よりも大きくなっており、反射ミラー31は、反射ミラー32よりも大きくなっている。反射ミラー30、31は、ガラス板3よりも下側に配置されている。具体的には、反射ミラー30は、ガラス板3に載置されるパスポート2Aの下側に配置されている。また、反射ミラー31は、反射ミラー30と略同じ高さに配置されるとともに、反射ミラー30よりも後ろ側に配置されている。反射ミラー32は、媒体挿入部16の後ろ側に配置されている。また、反射ミラー32は、反射ミラー31の上側に配置されている。
【0031】
反射ミラー30〜32は、上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。
具体的には、反射ミラー30〜32は、左右方向から見たときに上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。反射ミラー30は、後ろ側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜し、反射ミラー31、32は、後ろ側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜している。反射ミラー30〜32の上下方向に対する傾斜角度は、略45°となっている。
【0032】
反射ミラー30には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面で反射された光が入射する。反射ミラー31には、反射ミラー30で反射された光が入射し、反射ミラー32には、反射ミラー31で反射された光が入射する。反射ミラー30では、情報記録媒体2の下面で反射されて下側へ向かう光の光軸が後ろ側に折り曲げられる。また、反射ミラー31では、反射ミラー30で反射されて後ろ側へ向かう光の光軸が上側に折り曲げられ、反射ミラー32では、反射ミラー31で反射されて上側に向かう光の光軸が後ろ側に折り曲げられる。
【0033】
図4に示すように、光学系7は、長方形の平板状に形成された2個の反射ミラー(全反射ミラー)33、34を備えている。反射ミラー33は、反射ミラー34よりも大きくなっている。反射ミラー33,34は、ガラス板3に載置される情報記録媒体2よりも上側に配置されている。具体的には、反射ミラー33は、ガラス板3に載置されるIDカード2Bの上側に配置されている。また、反射ミラー34は、反射ミラー33と略同じ高さに配置されるとともに、ガラス板3よりも後ろ側(すなわち、媒体挿入部16よりも後ろ側)に配置されている。また、反射ミラー33,34は、カバー部材15の上面部15aよりも上側(すなわち、媒体挿入部16よりも上側)に配置されている。
【0034】
反射ミラー33,34は、上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。具体的には、
図4に示すように、反射ミラー33,34は、左右方向から見たときに上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。反射ミラー33は、後ろ側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜し、反射ミラー34は、後ろ側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜している。反射ミラー33,34の上下方向に対する傾斜角度は、略45°となっている。
【0035】
反射ミラー33には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面で反射された光が入射する。反射ミラー34には、反射ミラー33で反射された光が入射する。反射ミラー33では、情報記録媒体2の上面で反射されて上側へ向かう光の光軸が後ろ側に折り曲げられ、反射ミラー34では、反射ミラー33で反射されて後ろ側へ向かう光の光軸が下側に折り曲げられる。
【0036】
結像光学系9は、結像レンズ35を備えている。結像レンズ35は、反射ミラー32の後ろ側に配置されている。また、結像レンズ35は、反射ミラー34よりも後ろ側に配置されている。撮像素子8は、結像レンズ35の後ろ側に配置されている。撮像素子8は、撮像面が前側を向くように配置されている。
【0037】
ビームスプリッタ13は、長方形の平板状に形成されている。ビームスプリッタ13は、光の透過率と反射率とが等しいハーフミラーである。ビームスプリッタ13は、前後方向において、反射ミラー32と結像レンズ35との間に配置されている。すなわち、ビームスプリッタ13は、反射ミラー32の後ろ側であって、且つ、結像レンズ35の前側に配置されている。また、ビームスプリッタ13は、反射ミラー34の下側に配置されている。
【0038】
ビームスプリッタ13は、上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。具体的には、
図4に示すように、ビームスプリッタ13は、左右方向から見たときに上下方向に対して所定の角度傾いた状態で配置されている。ビームスプリッタ13は、後ろ側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜している。ビームスプリッタ13の上下方向に対する傾斜角度は、略45°となっている。ビームスプリッタ13は、反射ミラー32で反射された光の半分を結像レンズ35に向かって透過させるとともに、反射ミラー34で反射された光の半分を結像レンズ35に向かって反射する。
【0039】
ガラス板3に載置された情報記録媒体2の下面で反射された光の、撮像素子8までの光路長と、ガラス板3に載置された情報記録媒体2の上面で反射された光の、撮像素子8までの光路長とは、略等しくなっている。
【0040】
(シャッタ機構の構成)
図5に示すように、シャッタ機構14は、光学系6の反射ミラー32とビームスプリッタ13との間の光路を遮る第1遮光位置37A(
図5(B)参照)と、光学系7の反射ミラー34とビームスプリッタ13との間の光路を遮る第2遮光位置37B(
図5(A)参照)との間で移動可能なシャッタ37を備えている。シャッタ37は、反射ミラー32,34とビームスプリッタ13との間の光路を遮る遮光部37aを備えている。
【0041】
また、シャッタ機構14は、第1遮光位置37Aと第2遮光位置37Bとの間でシャッタ37を移動させるシャッタ駆動機構を備えている。このシャッタ駆動機構は、シャッタ37が固定されるレバー部材39、及び、レバー部材39を回動させるソレノイド(図示省略)等を備える。レバー部材39は、左右方向を回動の軸方向として回動可能となっている。
【0042】
シャッタ機構14のシャッタ37が駆動されることで、シャッタ37が第2遮光位置37B(
図5(A)参照)にある状態では、撮像素子8がガラス板3を下面側から撮像し、シャッタ37が第1遮光位置37A(
図5(B)参照)にある状態では、撮像素子8がガラス板3を上面側から撮像するようになっている。
【0043】
(ガラス板の詳細構成)
図6は、
図2に示すガラス板3を上下方向且つ上面部15a側から見た平面模式図である。
図7は、
図2に示すガラス板3にIDカード2Bが載置された状態を上下方向且つ上面部15a側から見た平面模式図である。
図8は、
図2に示すガラス板3にパスポート2Aが載置された状態を上下方向且つ上面部15a側から見た平面模式図である。
図7に示すIDカード2Bには、一方の面に印刷される所有者の顔写真F2の印刷例が示されている。
図8に示すパスポート2Aには、情報記録面2saに印刷される所有者の顔写真F1の印刷例が示されている。
【0044】
図7に示すように、ガラス板3には、IDカード2Bの全体が載置される。また、
図8に示すように、ガラス板3には、パスポート2Aの情報記録面2saがガラス板3の上面に向く状態にてガラス板3に載置される。パスポート2Aの情報記録面2saがガラス板3に載置された状態では、パスポート2Aのガラス板3に配置されている表紙2s以外の部分が、媒体挿入部16の外側に位置する
図1の傾斜面17aに載置された状態となる。
【0045】
このように、ガラス板3は、パスポート2Aの見開き面の一方の面である情報記録面2sa及びIDカード2Bの全体のいずれか一方を載置するための第一載置部を構成している。また、筐体10の傾斜面17aは、パスポート2Aにおけるガラス板3に載置された部分以外の部分が載置される第二載置部を構成している。
【0046】
図7に示すように、ガラス板3における前後方向(方向Y)の幅は、IDカード2Bの前後方向(方向Y)の幅よりも広くなっている。
図7(A)に示すように、IDカード2Bは、ガラス板3におけるほぼ中央に載置されることが推奨される。
【0047】
また、
図7及び
図8に示すように、ガラス板3に載置されたIDカード2Bの前後方向(方向Y)の幅は、パスポート2Aにおけるガラス板3に載置された部分の前後方向(方向Y)の幅よりも狭くなっている。また、ガラス板3に載置されたIDカード2Bの左右方向(方向X)の幅は、パスポート2Aの左右方向(方向X)の幅よりも狭くなっている。
【0048】
図6から
図8に示すように、パスポート2Aの情報記録面2saがガラス板3に載置された状態にて、パスポート2Aの見開き面の境界部2c側に位置するガラス板3の端部(ガラス板3の前後方向の前側の端部)には、識別用領域3Aが設定されている。
【0049】
ガラス板3の該端部とは、IDカード2Bを載置することが推奨されるガラス板3における範囲の外側且つ前側(媒体挿入部16の媒体挿入口側)の部分を言う。具体的には、この端部は、ガラス板3を前後方向に均等に3分割した場合の最も前側(媒体挿入部16の媒体挿入口側)にある分割エリア、又は、ガラス板3を前後方向に均等に4分割した場合の最も前側(媒体挿入部16の媒体挿入口側)にある分割エリア等である。
【0050】
識別用領域3Aは、左右方向(方向X)に沿って延びる直線状且つ矩形状の領域である。
図8に示すように、識別用領域3Aの左右方向(方向X)の幅は、パスポート2Aのガラス板3に載置される情報記録面2saの左右方向(方向X)の幅よりも広い。
【0051】
図7(A)に示すように、IDカード2Bがガラス板3における推奨範囲に載置された状態においては、識別用領域3AとIDカード2Bとは重ならない。一方、
図7(B)に示すように、IDカード2Bがガラス板3における推奨範囲よりも前側に載置された状態においては、識別用領域3AとIDカード2Bの一部とが重なる。また、
図8に示すように、パスポート2Aの情報記録面2saがガラス板3に載置された状態においては、識別用領域3Aの一部にパスポート2Aの情報記録面2saの一部が重なる。
【0052】
IDカード2Bの左右方向の幅は、パスポート2Aの左右方向の幅よりも狭い。このため、
図7(B)と
図8を比較して分かるように、識別用領域3Aと重なり得るIDカード2Bの重なり部分の左右方向の長さは、識別用領域3Aと重なり得るパスポート2Aの重なり部分の左右方向の長さよりも短くなる。
【0053】
図4及び
図5に示した撮像素子8による撮像範囲は、例えば、
図6から
図8に示す識別用領域3Aを含むガラス板3の全体とされている。また、撮像素子8によってガラス板3を撮像して撮像素子8から出力される撮像画像データは、前後方向の奥側の端部が、表示する際の上端として取り扱われ、前後方向の前側の端部が、表示する際の下端として取り扱われる。
【0054】
(情報読取装置の内部ブロック構成)
図9は、
図1に示す情報読取装置1の内部構成を示すブロック図である。情報読取装置1は、上述してきた構成要素(カメラ18、照明4,5、撮像素子8、及びシャッタ機構14等)に加えて、非接触通信部170と、照明4を駆動するドライバ4dと、照明5を駆動するドライバ5dと、撮像素子8を駆動するドライバ8dと、シャッタ機構14のレバー部材39を回動させるソレノイドを駆動するドライバ14dと、全体を統括制御するシステム制御部40と、を更に備える。
【0055】
非接触通信部170は、
図1に示すアンテナ17を介して非接触通信を行うためのインタフェースである。非接触通信部170により、パスポート2Aの非接触通信用ICから情報が受信されると、この情報がシステム制御部40に入力される。
【0056】
システム制御部40は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、を含む。各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。システム制御部40は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0057】
システム制御部40は、撮像素子8から出力される識別用領域3Aの画像データに基づいて識別用領域3Aに物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、ガラス板3に載置されている情報記録媒体2がパスポート2AとIDカード2Bのどちらであるかを識別する、画像データに基づく媒体識別処理を少なくとも行う。システム制御部40は媒体識別部を構成する。
【0058】
(システム制御部による情報記録媒体の識別方法)
図10は、
図9に示すシステム制御部40による情報記録媒体2の識別動作を説明するためのフローチャートである。
図10に示す動作は、情報記録媒体2が媒体挿入部16に挿入されたことを検知された後に開始される。情報記録媒体2が媒体挿入部16に挿入されたことの検知は、例えば、媒体挿入部16の開口付近に設置した挿入検知センサを用いて行う。または、撮像素子8によりガラス板3を上面側又は下面側から常時撮像させ、この撮像により得られる画像に動体が含まれる場合に、情報記録媒体2が媒体挿入部16に挿入されたことを検知してもよい。
【0059】
まず、システム制御部40は、非接触通信部170によって通信が開始されたか否かを判定する(ステップS1)。媒体挿入部16にパスポート2Aが挿入されてパスポート2Aの表紙2sがガラス板3に載置された場合には、パスポート2Aの背表紙2bが傾斜面17aに載置された状態となる。この場合には、非接触通信部170によってパスポート2Aの非接触通信用ICから情報の読み取りが行われ、この情報がシステム制御部40に入力される。システム制御部40は、この情報の入力があった場合には、非接触通信部170によって通信が開始されたと判定し(ステップS1:YES)、ガラス板3に載置された情報記録媒体2をパスポート2Aとして識別し(ステップS8)、処理を終了する。
【0060】
一方、媒体挿入部16にIDカード2Bが挿入されてガラス板3に載置された場合には、非接触通信部170によって情報の読み取りは行われない。または、媒体挿入部16にパスポート2Aが挿入されたものの、パスポート2Aの非接触通信用ICに不具合があった場合や、パスポート2Aが非接触通信用ICを搭載していないものであった場合には、非接触通信部170によって情報の読み取りは行われない。このため、システム制御部40は、非接触通信部170からの情報の入力がない場合には、非接触通信部170によって通信が開始されていないと判定する(ステップS1:NO)。
【0061】
非接触通信部170によって通信が開始されていないと判定した場合(ステップS1:NO)には、システム制御部40は、シャッタ37を第2遮光位置37Bに制御し、更に、照明4から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を下面側から撮像させる(ステップS2)。なお、ステップS2において、システム制御部40は、シャッタ37を第1遮光位置37Aに制御し、更に、照明5から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を上面側から撮像させてもよい。
【0062】
次に、システム制御部40は、ステップS2の撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データにおける識別用領域3Aの画像データを取得する(ステップS3)。識別用領域3Aの画像データは、例えば、左右方向に並ぶ複数の画素値からなるラインデータが前後方向に複数個並ぶデータである。識別用領域3Aの画像データは、1つのラインデータだけで構成されていてもよい。
【0063】
次に、システム制御部40は、ステップS3にて取得した画像データに基づいて、識別用領域3Aに物体が重なっているか否かを判定する(ステップS4)。
【0064】
図11は、ガラス板3に何も載置されていない状態にて、ステップS2にて行われる撮像と同一条件にてガラス板3を撮像した場合に得られる識別用領域3Aの画像データのラインデータの一例を示す図である。
図11の横軸は、識別用領域3Aの左右方向の位置を示している。
図11の縦軸は、ラインデータの画素値を示している。ガラス板3に何も載置されていない状態、すなわち、識別用領域3Aに物体が重なっていない状態においては、識別用領域3Aの画像データは、透明なガラス板3を撮像して得られるものとなる。このため、
図11に示すように、識別用領域3Aの画像データを構成する各画素値は低い値となる。
【0065】
図11に示すラインデータを構成している画素値のうちの最大値又はこの最大値に測定誤差を考慮した値を加算した値が、例えば後述の閾値TH1として予め設定されている。この閾値TH1の情報は、システム制御部40のROMに予め記憶されている。
【0066】
一方、識別用領域3Aの少なくとも一部に物体が重なっている状態にてステップS2の撮像が行われると、識別用領域3Aの画像データの全てのラインデータのうちの少なくとも1つのラインデータは、
図12又は
図13に例示されるようなデータとなる。
図12は、
図8に示す状態にてステップS2の撮像によって得られる識別用領域3Aのラインデータの一例を示す図である。
図13は、
図7(B)に示す状態にてステップS2の撮像によって得られる識別用領域3Aのラインデータの一例を示す図である。
【0067】
識別用領域3Aに物体が重なっていると、この物体と重なる部分は不透明となって照明4,5からの光を反射する。このため、識別用領域3Aの画像データを構成する全ての画素値の中に、上記の閾値TH1以上となるものが存在するようになる。
【0068】
したがって、システム制御部40は、
図10のステップS4において、識別用領域3Aの画像データの中に、閾値TH1以上となる画素値が所定個(例えば1つ又は複数)以上となるラインデータが所定数(例えば1つ又は複数)以上含まれる場合には、識別用領域3Aに物体が重なっていると判定する。システム制御部40は、ステップS4において、識別用領域3Aの画像データの中に、閾値TH1以上となる画素値が所定個(例えば1つ又は複数)以上となるラインデータが所定数(例えば1つ又は複数)以上含まれない場合には、識別用領域3Aに物体が重なっていないと判定する。
【0069】
システム制御部40は、識別用領域3Aに物体が重なっていないと判定すると(ステップS4:NO)、ガラス板3に載置された情報記録媒体2をIDカード2Bとして識別し(ステップS6)、処理を終了する。
【0070】
システム制御部40は、識別用領域3Aに物体が重なっていると判定すると(ステップS4:YES)、ステップS3にて取得した識別用領域3Aの画像データに基づいて、識別用領域3Aにおけるこの物体との重なり部分の左右方向の幅が閾値TH2を超えるか否かを判定する(ステップS5)。
【0071】
図12と
図13を比較して分かるように、識別用領域3Aにパスポート2Aの一部が重なっている場合と、識別用領域3AにIDカード2Bの一部が重なっている場合とでは、識別用領域3Aのラインデータにおける、画素値が閾値TH1以上となる範囲の幅が異なる。IDカード2Bが識別用領域3Aに重なる場合におけるその重なり部分の左右方向の幅の最大値は、IDカード2Bの左右方向の幅と同じである。したがって、IDカード2Bの左右方向の幅が上記の閾値TH2として設定されて、システム制御部40のROMに予め記憶される。
【0072】
システム制御部40は、識別用領域3Aの画像データの各ラインデータについて、画素値が連続して閾値TH1以上となる範囲の幅を算出し、算出した幅のうちの最大値を、識別用領域3Aにおける物体との重なり部分の左右方向の幅とする。そして、システム制御部40は、この幅が閾値TH2を超える場合(ステップS5:YES)には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2をパスポート2Aとして識別し(ステップS7)、処理を終了する。
【0073】
一方、この幅が閾値TH2以下の場合(ステップS5:NO)には、システム制御部40は、ガラス板3に載置された情報記録媒体2をIDカード2Bとして識別し(ステップS6)、処理を終了する。
【0074】
(情報記録媒体の識別後の情報読取装置の情報読取動作)
システム制御部40は、
図10のステップS6にて情報記録媒体2をIDカード2Bとして識別した場合には、シャッタ37を第1遮光位置37Aに制御し、更に、照明5から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を上面側から撮像させる。そして、この撮像にて撮像素子8から出力された撮像画像データからIDカード2Bの部分をトリミングする。更に、システム制御部40は、
図10のステップS2の撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データからIDカード2Bの部分をトリミングする。そして、システム制御部40は、2つのトリミング後の画像データを例えば縦に並べた合成画像データを生成し、この合成画像データを情報読取結果として上位装置に出力する。
【0075】
また、システム制御部40は、
図10のステップS7にて情報記録媒体2をパスポート2Aとして識別した場合には、ステップS2での撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データからパスポート2Aの情報記録面2saの部分をトリミングし、トリミング後の画像データを180度回転させ、回転後の画像データを、情報読取結果として上位装置に出力する。トリミング後の画像データを180度回転させるのは、
図8に示すように、パスポート2Aが媒体挿入部16に挿入された状態では、顔写真F1の向きがIDカード2Bの顔写真F2の向きとは180度回転した状態になっているためである。
【0076】
また、システム制御部40は、
図10のステップS8にて情報記録媒体2をパスポート2Aとして識別した場合には、シャッタ37を第2遮光位置37Bに制御し、更に、照明4から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を下面側から撮像させる。システム制御部40は、この撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データからパスポート2Aの情報記録面2saの部分をトリミングし、トリミング後の画像データを180度回転させ、回転後の画像データを、情報読取結果として上位装置に出力する。
【0077】
このように、システム制御部40は、識別した情報記録媒体2がIDカード2Bである場合にはIDカード2Bに対応した撮像制御と画像の加工処理とを行い、識別した情報記録媒体2がパスポート2Aである場合にはパスポート2Aに対応した撮像制御と画像の加工処理を行って、情報読取結果を上位装置に出力する。
【0078】
なお、
図10のステップS2において、システム制御部40が、シャッタ37を第1遮光位置37Aに制御し、更に、照明5から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を上面側から撮像させる場合には、情報読取装置1の情報読取動作は以下の通りとなる。
【0079】
システム制御部40は、
図10のステップS6にて情報記録媒体2をIDカード2Bとして識別した場合には、シャッタ37を第2遮光位置37Bに制御し、更に、照明4から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を下面側から撮像させる。そして、この撮像にて撮像素子8から出力された撮像画像データからIDカード2Bの部分をトリミングする。更に、システム制御部40は、ステップS2の撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データからIDカード2Bの部分をトリミングする。そして、システム制御部40は、2つのトリミング後の画像データを例えば縦に並べた合成画像データを生成し、この合成画像データを情報読取結果として上位装置に出力する。
【0080】
システム制御部40は、
図10のステップS7又はステップS8にて情報記録媒体2をパスポート2Aとして識別した場合には、シャッタ37を第2遮光位置37Bに制御し、更に、照明4から光を照射させた状態にて、撮像素子8によりガラス板3を下面側から撮像させる。システム制御部40は、この撮像によって撮像素子8から出力された撮像画像データからパスポート2Aの情報記録面2saの部分をトリミングし、トリミング後の画像データを180度回転させ、回転後の画像データを、情報読取結果として上位装置に出力する。
【0081】
(実施形態の情報読取装置の効果)
以上のように、情報読取装置1によれば、ガラス板3の端部に設定された識別用領域3Aの画像データに基づいて識別用領域3Aに物体が重なっているか否かが判定され、その判定結果に基づいて、パスポート2AとIDカード2Bのどちらがガラス板3に載置されているかを識別することができる。ガラス板3上の狭い領域である識別用領域3Aの画像データの解析だけで情報記録媒体2の識別が可能となるため、この識別を簡易に行うことができる。
【0082】
また、情報読取装置1によれば、
図10のステップS2からステップS5の処理が行われる前に、非接触通信部170によって通信が開始されたと判定された場合には、ガラス板3に載置された情報記録媒体2がパスポート2Aとして識別される。このため、情報記録媒体2の識別を高速且つ効率的に行うことができる。
【0083】
また、情報読取装置1によれば、識別用領域3Aに物体が重なっていると判定された場合であっても、識別用領域3Aにおける物体との重なる部分の長さがIDカード2Bの左右方向の幅以下となっている場合には、情報記録媒体2がIDカード2Bとして識別される。このため、IDカード2Bが
図7(B)のような状態でガラス板3に配置された状態と、パスポート2Aがガラス板3に載置された状態とを正確に区別することができる。
【0084】
なお、情報記録媒体2がパスポート2AとIDカード2Bのどちらであっても、情報記録媒体2におけるガラス板3の上面と対面する面には情報が記録されている。つまり、
図10のステップS2において、システム制御部40が、撮像素子8によりガラス板3を下面側から撮像することで、この撮像により得られる撮像画像データの一部を情報読取結果として利用することができる。このため、ステップS2からステップS5の処理を行う場合には、これらの処理と並行して、情報読取結果の生成処理を行うことができ、情報の読取速度を低下させることなく、情報記録媒体2の識別を行うことができる。
【0085】
(実施形態の情報読取装置の第一の変形例)
情報読取装置1のシステム制御部40は、
図10のステップS1の処理を行わなくてもよい。この場合の動作は、
図10においてステップS1及びステップS8が削除され、ステップS2から処理が開始されるものとなる。
【0086】
第一の変形例によれば、例えば非接触通信用ICを搭載しない冊子状の情報記録媒体2を情報の読み取り対象とする場合であっても、情報記録媒体2の識別処理を正確に行うことができる。
【0087】
(実施形態の情報読取装置の第二の変形例)
図14は、
図9に示すシステム制御部40による情報記録媒体2の識別動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図14に示すフローチャートは、ステップS5が削除され、ステップS4の判定がYESのときにステップS7の処理が行われ、ステップS4の判定がNOのときにステップS6の処理が行われる点を除いては、
図10と同じである。
【0088】
第二の変形例によれば、ステップS5の処理を行わない分、識別のための処理負荷を軽減することができる。また、識別速度を速めることができる。
【0089】
(実施形態の情報読取装置の第三の変形例)
図15は、
図9に示すシステム制御部40による情報記録媒体2の識別動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図15に示すフローチャートは、ステップS5がステップS1に置換され、ステップS8が削除された点を除いては、
図10と同じである。
【0090】
第三の変形例によれば、ステップS4の判定がYESとなる場合にのみ非接触通信部170による通信の有無が判定されるため、情報記録媒体2の識別処理を高速に行うことができる。また、ステップS5の代わりにステップS1が行われるため、識別のための処理負荷を軽減することができる。
【0091】
(実施形態の情報読取装置の第四の変形例)
識別用領域3Aの形状は、左右方向に沿って延びる直線状に限らず、例えば、
図16に示すように、ガラス板3の端部に設定される正方形状の領域であってもよい。
図16の識別用領域3Aの形状を例えば円状としてもよい。
【0092】
図14又は
図15に示す動作にて情報記録媒体2の識別を行う場合には、
図16に示すように、識別用領域3Aがごく小さい面積の領域であっても、この識別を精度よく行うことができる。第四の変形例によれば、解析対象となる識別用領域3Aの画像データのデータ量が少なくてすむため、識別のための処理負荷を軽減することができる。また、識別速度を速めることができる。
【0093】
(実施形態の情報読取装置の第五の変形例)
識別用領域3Aは、単独の領域である必要はなく、例えば、
図17に示すように、左右方向に並ぶ複数(
図17の例では3つ)の識別用領域3Aであってもよい。
【0094】
図17に示すように3つの識別用領域3Aを設定した場合には、システム制御部40は、
図10のステップS5の代わりに、3つの識別用領域3Aの全てに物体が重なっているか否かの判定を行う。そして、システム制御部40は、3つの識別用領域3Aの全てに物体が重なっていると判定した場合にはステップS7の処理を行い、3つの識別用領域3Aのうちの真ん中の識別用領域3Aと右端又は左端の識別用領域3Aとに物体が重なっている、或いは、3つの識別用領域3Aのうちの真ん中の識別用領域3Aだけに物体が重なっていると判定した場合は、ステップS6の処理を行う。
【0095】
第五の変形例によれば、解析対象となる識別用領域3Aの画像データのデータ量が少なくてすむため、識別のための処理負荷を軽減することができる。また、ステップS5のように物体との重なり部分の幅の長さを算出する必要がなく、処理負荷を軽減することができる。
【0096】
(実施形態の情報読取装置の第六の変形例)
情報読取装置1において設定されている
図6から
図8に示した直線状の識別用領域3Aの左右方向の幅は、パスポート2Aの左右方向の幅よりも大きいものとなっている。しかし、
図6から
図8に示した直線状の識別用領域3Aの左右方向の幅は、少なくとも、IDカード2Bの左右方向の幅よりも大きくなっていればよい。
【0097】
ただし、
図8の状態から、例えばパスポート2Aが左右にずれて載置されることもあり、このような場合に、識別用領域3Aの幅が狭いと、識別用領域3Aとパスポート2Aとの重なり部分の左右方向の長さが閾値TH2を超えない可能性が高くなる。そのため、識別用領域3Aの左右方向の幅は、
図8に示すように、パスポート2Aの左右方向の幅よりも大きくしておくことが最も好ましい。
【0098】
ここまでの実施形態及びその変形例の説明では、情報記録媒体2の情報記録面を撮像するために用いられる撮像素子8を、識別用領域3Aを撮像するための撮像素子として兼用するものとした。しかし、撮像素子8とは別に、識別用領域3Aを撮像するための専用の撮像素子を情報読取装置1に搭載しておくことも可能である。
【0099】
また、ここまでの実施形態及びその変形例の説明では、1つの撮像素子8によってガラス板3の下面と上面を撮像可能としているが、ガラス板3の上面を撮像する撮像素子と、ガラス板3の下面を撮像する撮像素子とを個別に設けておいてもよい。
【0100】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0101】
(1)
冊子状の第一情報記録媒体とカード状の第二情報記録媒体とを含む情報記録媒体が挿入される媒体挿入部を有し、前記媒体挿入部に挿入された前記情報記録媒体から光学的に情報を読み取る情報読取装置であって、
前記媒体挿入部は、前記第一情報記録媒体の見開き面の一方の面及び前記第二情報記録媒体の全体のいずれか一方が載置される第一載置部を有し、
前記第一載置部における前記情報記録媒体の挿入方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記挿入方向の幅よりも大きく、
前記第一載置部に前記第一情報記録媒体の前記一方の面が載置された状態にて当該第一情報記録媒体の前記見開き面の境界部側に位置する前記第一載置部の端部、に設定される識別用領域を少なくとも撮像する撮像素子と、
前記撮像素子から出力される前記識別用領域の画像データに基づいて前記識別用領域に物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体と前記第二情報記録媒体のどちらであるかを識別する媒体識別部と、を備える情報読取装置。
【0102】
(1)によれば、第一載置部における第一情報記録媒体の見開き面の境界部側の端部に設定された識別用領域の画像データに基づいて識別用領域に物体が重なっているか否かが判定され、その判定結果に基づいて、第一情報記録媒体と第二情報記録媒体のどちらが第一載置部に載置されているかを識別することができる。
例えば、第一載置部に載置された情報記録媒体の全体を撮像して得られる画像を解析してその情報記録媒体の識別を行うといった複雑な処理を行うことなく、識別用領域の画像データの解析だけでこの識別が可能となる。このため、情報記録媒体の識別を簡易に行うことができる。また、例えば、撮像部を、情報記録媒体を撮像するものと兼用することで、装置のコストを下げることもできる。
【0103】
(2)
(1)記載の情報読取装置であって、
前記媒体識別部は、前記識別用領域に物体が重なっていないと判定した場合に、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第二情報記録媒体であると識別する情報読取装置。
【0104】
第二情報記録媒体の挿入方向の幅は第一載置部の挿入方向の幅よりも狭い。このため、第二情報記録媒体が第一載置部に載置されている場合には、識別用領域にこの第二情報記録媒体が重なる可能性は低くなる。このため、(2)のように、識別用領域に物体が重なっていないと判定した場合に、第二情報記録媒体が第一載置部に載置されていると識別することで、識別を精度よく行うことができる。
【0105】
(3)
(2)記載の情報読取装置であって、
前記媒体識別部は、前記識別用領域に物体が重なっていると判定した場合に、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体であると識別する情報読取装置。
【0106】
冊子状の第一情報記録媒体の一方の面が第一載置部に載置されている場合には、識別用領域に、この一方の面の一部が重なる。このため、(3)のように、識別用領域に物体が重なっていると判定した場合に、第一情報記録媒体が第一載置部に載置されていると識別することで、識別を精度よく行うことができる。
【0107】
(4)
(2)記載の情報読取装置であって、
前記第一情報記録媒体の前記挿入方向に直交する方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記方向の幅よりも広くなっており、
前記識別用領域は、前記方向に沿って設定され、前記識別用領域の前記方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記方向の幅よりも大きくなっており、
前記媒体識別部は、更に、前記画像データに基づいて、前記識別用領域における物体と重なる部分の前記方向の長さを算出し、前記識別用領域に物体が重なっていると判定し、且つ、当該物体の前記長さが予め決められた閾値を超えている場合に、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体であると識別する情報読取装置。
【0108】
カード状の第二情報記録媒体が第一載置部に載置されている場合でも、その載置の仕方によっては、識別用領域にこの第二情報記録媒体の一部が重なる可能性がある。第二情報記録媒体は、第一情報記録媒体よりも挿入方向に直交する方向の幅が狭い。このため、識別用領域に第二情報記録媒体の一部が重なる場合であっても、その重なり部分の長さは、識別用領域に第一情報記録媒体の一方の面が重なる場合よりも短くなる。そこで、(4)のように、識別用領域に物体が重なっており、且つ、この重なり部分の長さが閾値を超える場合に、第一情報記録媒体が第一載置部に載置されていると識別することで、識別をより正確に行うことができる。
【0109】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載の情報読取装置であって、
前記媒体挿入部に挿入された前記第一情報記録媒体における前記第一載置部に載置された部分を除く部分が載置される第二載置部を更に備え、
前記第一情報記録媒体は、前記第二載置部に載置される前記部分に非接触通信用のアンテナを含み、
前記第二載置部に設けられた非接触通信用のアンテナを更に備え、
前記媒体識別部は、前記第二載置部の前記アンテナによって前記第一情報記録媒体の前記アンテナとの通信が開始された場合には、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体であると識別する情報読取装置。
【0110】
(5)によれば、第一載置部に載置されている情報記録媒体が第一情報記録媒体であるかどうかの識別の精度を高めることができる。
【0111】
(6)
(5)記載の情報読取装置であって、
前記媒体識別部は、前記第二載置部の前記アンテナによって前記第一情報記録媒体の前記アンテナとの通信が開始された場合には、前記画像データに基づく前記識別の処理を行わない情報読取装置。
【0112】
(6)によれば、第二載置部のアンテナによって第一情報記録媒体のアンテナとの通信が開始された場合には、画像データに基づく識別の処理が行われないため、識別を効率よく且つ高速に行うことができる。
【0113】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の情報読取装置であって、
前記識別用領域は、前記挿入方向に直交する方向に沿って設定された直線状の領域である情報読取装置。
【0114】
(7)によれば、画像データに基づく情報記録媒体の種類の識別の精度を向上させることができる。
【0115】
(8)
(7)記載の情報読取装置であって、
前記識別用領域の前記挿入方向に直交する前記方向の幅は、前記第一情報記録媒体の当該方向の幅よりも広い情報読取装置。
【0116】
(8)によれば、画像データに基づく情報記録媒体の種類の識別の精度を向上させることができる。
【0117】
(9)
(1)から(8)のいずれか1つに記載の情報読取装置であって、
前記第一載置部に載置された前記情報記録媒体を前記撮像素子によって撮像し、当該撮像によって前記撮像素子から出力される画像データに含まれる情報を読み取り結果として出力する情報読取装置。
【0118】
(9)によれば、情報読み取りのための撮像素子によって識別用領域の画像データを取得することができる。このため、情報の読み取りと情報記録媒体の識別を並行して行うことができ、情報の読み取りの高速化が可能となる。
【0119】
(10)
冊子状の第一情報記録媒体とカード状の第二情報記録媒体とを含む情報記録媒体が挿入される媒体挿入部を有し、前記媒体挿入部に挿入された前記情報記録媒体から光学的に情報を読み取る情報読取装置の制御方法であって、
前記媒体挿入部は、前記第一情報記録媒体の見開き面の一方の面及び前記第二情報記録媒体の全体のいずれか一方が載置される第一載置部を有し、
前記第一載置部における前記情報記録媒体の挿入方向の幅は、前記第二情報記録媒体の前記挿入方向の幅よりも広く、
前記第一載置部に前記第一情報記録媒体の前記一方の面が載置された状態にて当該第一情報記録媒体の前記見開き面の境界部側に位置する前記第一載置部の端部、に設定される識別用領域を少なくとも撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって得られる前記識別用領域の画像データに基づいて前記識別用領域に物体が重なっているか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、前記第一載置部に載置されている前記情報記録媒体が前記第一情報記録媒体と前記第二情報記録媒体のどちらであるかを識別する媒体識別ステップと、を備える情報読取装置の制御方法。
【0120】
(10)によれば、例えば、第一載置部に載置された情報記録媒体の全体を撮像して得られる画像を解析してその情報記録媒体の識別を行うといった複雑な処理を行うことなく、識別用領域の画像データの解析だけで、情報記録媒体の識別が可能となる。このため、情報記録媒体の識別を簡易に行うことができる。また、例えば、画像データの取得に用いる撮像素子を、情報記録媒体からの情報の読み取りためにも使用することで、情報読取装置のコストを下げることもできる。