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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-193399(P2019-193399A)
(43)【公開日】2019年10月31日
(54)【発明の名称】電柱用鳥類営巣補助具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20191004BHJP
   A01M 29/32 20110101ALI20191004BHJP
【FI】
   H02G7/00
   A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-82394(P2018-82394)
(22)【出願日】2018年4月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】木坂 浩
【テーマコード(参考)】
2B121
5G367
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121BA53
2B121BA58
2B121EA30
5G367AD09
(57)【要約】
【課題】営巣箱を電気設備に近づけることができる電柱用鳥類営巣補助具を提供する。
【解決手段】営巣補助具10は、ラックレール1と昇降装置3を備える。ラックレール1は、電柱Pに沿って上下方向に配置している。昇降装置3は、ラックレール1と離脱困難に連結し、昇降運動のみが許容されている。営巣補助具10は、移動台4、回転台5、及び、営巣箱6を備える。移動台4は、昇降装置3の前方に配置している。移動台4は、電柱Pの遠心方向に略水平移動できる。回転台5は、その後部が移動台4の前部と回転軸4sで回動自在に連結している。営巣箱6は、回転台5の前部に固定している。昇降装置3と移動台4の連結状態、及び、移動台4と回転台5の連結状態を変えることで、営巣箱6を電気設備に近づけることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電柱を含む柱体に沿って上下方向に配置したラックレールと、
前記ラックレールと離脱困難に連結し、前記ラックレールに対して昇降運動のみが許容される昇降装置と、
前記昇降装置の前方に配置した状態で、前記柱体の遠心方向に略水平移動自在な移動台と、
後部が前記移動台の前部と略水平方向に回動自在に連結した略矩形の回転台と、
前記回転台の前部に取り付け、鳥類の営巣を誘引する営巣箱と、を備えている、電柱用鳥類営巣補助具。
【請求項2】
前記昇降装置は、直方体状の外殻を構成した歯車箱を備え、
前記歯車箱は、
前記ラックレールに噛み合う一つ以上のスプロケットと、
前記スプロケットと同軸上に固定されたウォームギヤと、
前記ウォームギヤと噛み合うウォームと、
前記ウォームと同軸上に固定した第1ベベルギヤと、
前記第1ベベルギヤと噛み合う第2ベベルギヤと、を内部に有し、
前記第2ベベルギヤは、その入力軸を前記歯車箱の外部に突出している、請求項1記載の電柱用鳥類営巣補助具。
【請求項3】
前記第2ベベルギヤの入力軸に固定したプーリと、
前記プーリに巻き掛けし、地上に向って垂下したボールチェーンと、を更に備え、
前記ボールチェーンを地上から操作することで、前記営巣箱を昇降させる、請求項2記載の電柱用鳥類営巣補助具。
【請求項4】
前記ラックレールは、互いに下り傾斜した斜面で両側面を形成した、断面視Ω字状のチャンネル部材からなり、
前記歯車箱は、
前記ラックレールの軌道面に転動自在な一つ以上の第1ローラと、
前記ラックレールの斜面に転動自在な一組以上の第2ローラと、を更に有し、
前記第1ローラと一組の前記第2ローラが協働して、前記ラックレールと離脱困難に、前記ラックレールを三点支持している、請求項2又は3記載の電柱用鳥類営巣補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱用鳥類営巣補助具に関する。特に、電柱を含む柱体に営巣箱を設置することで鳥類の営巣を誘引し、これにより特定の場所への営巣を回避すると共に、ヒナが巣立った後には、鳥類の巣を容易に除去できる電柱用鳥類営巣補助具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カラスなどの鳥類が送電鉄塔又は電柱などに飛来し、営巣する季節がある。鳥類が送電鉄塔又は電柱に営巣すると、電気設備に様々なトラブルを発生させる原因となる。例えば、カラスは、巣材に金属性ハンガーなどの導電材を用いるケースが多く、これら巣材の電気設備への落下・接触が短絡や地絡事故を発生させる原因となることがある。又、カラスの卵をねらって蛇が登って、電気設備に感電することで停電の原因になることもある。
【0003】
このため、従来は、送電鉄塔又は電柱の営巣し易い個所に針山状の鳥除けを設置し、又は、水糸などの障害物を張設して、鳥類が電気設備に止まり難くすることで、鳥類の営巣を回避しようとしていた。しかし、このような障害物を設置したとしても、鳥類の営巣を防ぐことは容易でなかった。
【0004】
そこで、発想を転換し、電柱を含む柱体に営巣箱を設置することで鳥類の営巣を誘引し、これにより特定の場所への営巣を回避する電柱用鳥類営巣補助具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1による電柱用鳥類営巣補助具は、ヒナが巣立った後の鳥類の巣を取り除くときには、作業員が高所まで上がる必要があるため、巣の除去作業に手間を要するだけでなく、高所作業による安全性を確保することが容易でないという問題があった。
【0006】
特許文献1による電柱用鳥類営巣補助具は、上記のような不具合があるので、特定の場所に鳥類の営巣を誘引することで営巣されたくない場所への営巣を回避すると共に、ヒナが巣立った後には、巣を容易に除去できる送電鉄塔用鳥類営巣補助具が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−116058号公報
【特許文献2】特開2007−104966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8は、従来技術による送電鉄塔用鳥類営巣補助具の構成を示す斜視図である。なお、本願の図8は、特許文献2の図3に相当している。
【0009】
図8を参照すると、従来技術による送電鉄塔用鳥類営巣補助具(以下、営巣補助具と略称する)9は、網目状に形成した直方体状の営巣箱91と昇降装置92を備えている。営巣箱91は、その内部に鳥類の営巣を促進できる。昇降装置92は、骨組みした鉄塔8に沿って、鉄塔8の高さ方向に営巣箱91を昇降できる。
【0010】
図8に示した実施例では、鉄塔8は、骨組みの外形を上面視で矩形に構成している。図8を参照すると、鉄塔8は、鉛直方向に延びる四つの主柱材81を備えている。主柱材81は、その基端部が地盤に支持されている。又、鉄塔8は、複数の斜材82と水平材83を備えている。複数の斜材82と水平材83は、補強板81rを介して、主柱材81に両端部が固定されている。鉄塔8は、これらの部材を相互に固定することで、トラス構造を構成している。
【0011】
図8を参照すると、昇降装置92は、一組の紐体92b・92bと一対のプーリ92p・92pを備えている。昇降装置92は、水平状態に配置したシャフト92sとストップピン92aを備えている。
【0012】
図8を参照すると、紐体92bは、プーリ92pに巻き掛けしている。そして、紐体92bは、地上に向って垂下している。シャフト92sは、鉄塔8に支持されている。又、シャフト92sは、一対のプーリ92p・92pを回転自在に両端部に支持している。
【0013】
図8を参照すると、一組の紐体92b・92bは、それらの一端部側を営巣箱91の両側辺に固定している。又、紐体92bは、その一端部側と他端部側をループさせている。
【0014】
図8に示した状態から、一組の紐体92b・92bの他端部側を地上から引っ張ることで、営巣箱91を上昇できる。一方、図8に示した状態から、一組の紐体92b・92bの他端部側を解放すること、又は、一組の紐体92b・92bの一端部側を地上から引っ張ることで、営巣箱91を下降できる。
【0015】
図8を参照すると、ストップピン92aは、一組の斜材82・82の交差部から突出している。紐体92bを操作して、営巣箱91を上昇させると、営巣箱91の後面枠体の窪み部に、ストップピン92aが相対的に導入されることで、鉄塔8に対して、営巣箱91をガタツキ無く位置決め及び保持できる。
【0016】
特許文献2による営巣補助具9は、営巣箱91を所定位置まで上昇させた後に、一組の紐体92b・92bを地上近くの鉄塔8に止着又係留することで、営巣箱91が自重により落ちてくることのないように、できるとしている。
【0017】
しかし、特許文献2による営巣補助具9は、紐体92bが破損又は破断すると、営巣箱91が自重により落ちてくる心配がある。営巣箱が自重により落ちてくる心配の無い、鳥類営巣補助具が求められている。
【0018】
又、特許文献2による営巣補助具9を電柱に適用しようとすると、電柱には、ステップボルトなどが外周方向に突出しているので、営巣箱を高さ方向に案内するレールの取り付け位置は限定される。一方、営巣箱は、電柱に設置した変圧器又は開閉器などの電気設備に近づけことが好ましいので、従来技術による送電鉄塔用鳥類営巣補助具の構造を採用することは、困難であるという問題がある。
【0019】
営巣箱を高さ方向に案内するレールの取り付け位置に限定されることなく、営巣箱を電気設備に近づけることができる、電柱用鳥類営巣補助具が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、営巣箱が容易に落ちてことなく、営巣箱を電気設備に容易に近づけることができる、電柱用鳥類営巣補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、電柱に沿って取り付けたラックレール、ラックレールと離脱困難に連結し、昇降運動のみが許容される昇降装置、電柱の遠心方向に移動自在な移動台、及び、移動台と略水平方向に回転自在に連結し、営巣箱を取り付けた回転台で電柱用鳥類営巣補助具を構成し、昇降装置と移動台の連結状態、及び、移動台と回転台の連結状態を変えることで、営巣箱を電気設備に容易に近づけることができると考え、これに基づいて、以下のような新たな電柱用鳥類営巣補助具を発明するに至った。
【0022】
(1)本発明による電柱用鳥類営巣補助具は、少なくとも電柱を含む柱体に沿って上下方向に配置したラックレールと、前記ラックレールと離脱困難に連結し、前記ラックレールに対して昇降運動のみが許容される昇降装置と、前記昇降装置の前方に配置した状態で、前記柱体の遠心方向に略水平移動自在な移動台と、後部が前記移動台の前部と略水平方向に回動自在に連結した略矩形の回転台と、前記回転台の前部に取り付け、鳥類の営巣を誘引する営巣箱と、を備えている。
【0023】
(2)前記昇降装置は、直方体状の外殻を構成した歯車箱を備え、前記歯車箱は、前記ラックレールに噛み合う一つ以上のスプロケットと、前記スプロケットと同軸上に固定されたウォームギヤと、前記ウォームギヤと噛み合うウォームと、前記ウォームと同軸上に固定した第1ベベルギヤと、前記第1ベベルギヤと噛み合う第2ベベルギヤと、を内部に有し、前記第2ベベルギヤは、その入力軸を前記歯車箱の外部に突出していることが好ましい。
【0024】
(3)前記第2ベベルギヤの入力軸に固定したプーリと、前記プーリに巻き掛けし、地上に向って垂下したボールチェーンと、を更に備え、前記ボールチェーンを地上から操作することで、前記営巣箱を昇降させることが好ましい。
【0025】
(4)前記ラックレールは、互いに下り傾斜した斜面で両側面を形成した、断面視Ω字状のチャンネル部材からなり、前記歯車箱は、前記ラックレールの軌道面に転動自在な一つ以上の第1ローラと、前記ラックレールの斜面に転動自在な一組以上の第2ローラと、を更に有し、前記第1ローラと一組の前記第2ローラが協働して、前記ラックレールと離脱困難に、前記ラックレールを三点支持していることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による電柱用鳥類営巣補助具は、電柱に対するレールの取り付け位置に限定されることなく、営巣箱を電気設備に近づけることができる。
【0027】
又、本発明による電柱用鳥類営巣補助具は、出力側からの動力が入力側に伝動することなく維持される不可逆な機構を昇降装置に備えているので、昇降装置が下降することなく、営巣箱の停止時の姿勢を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による電柱用鳥類営巣補助具の構成を示す右側面図であり、ボールチェーンを地上から操作して、電柱用鳥類営巣補助具を上昇させた状態図である。
図2】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具の構成を示す右側面図であり、昇降装置を構成する歯車箱を縦断面で示している。
図3】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具の構成を示す平面図であり、昇降装置を構成する歯車箱を横断面図で示している。
図4】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具の構成を示す正面図である。
図5】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具に備わる昇降装置の構成を示す斜視分解組立図である。
図6】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具に備わるラックレールの構成を示す平面図である。
図7】前記実施形態による電柱用鳥類営巣補助具に備わるラックレールの構成を示す右側面図である。
図8】従来技術による送電鉄塔用鳥類営巣補助具の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[電柱用鳥類営巣補助具の構成]
最初に、本発明の一実施形態による電柱用鳥類営巣補助具の構成を説明する。
【0030】
(全体構成)
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態による電柱用鳥類営巣補助具(以下、営巣補助具と略称する)10は、ラックレール1と昇降装置3を備えている。ラックレール1は、断面視Ω字状のチャンネル部材からなっている(図3参照)。そして、ラックレール1は、電柱Pに沿って上下方向に配置されている。
【0031】
図1から図4を参照すると、昇降装置3は、ラックレール1と離脱困難に連結している。又、昇降装置3は、ラックレール1に対して昇降運動のみが許容されている。
【0032】
図1から図4を参照すると、営巣補助具10は、平板状の矩形の移動台4、略矩形の回転台5、及び、網目状に形成した直方体状の営巣箱6を備えている。移動台4は、昇降装置3を構成する歯車箱30の前方に配置している。移動台4は、歯車箱30から突出した一対の支持軸35・35とスライド自在に連結している。そして、移動台4は、電柱Pの遠心方向に略水平移動できる。
【0033】
図1から図4を参照すると、回転台5は、その後部が移動台4の前部と回転軸4sで回動自在に連結している。移動台4に対して、回転台5は、その前部を略水平方向に回動できる。移動台4に対して、回転台5の前部を時計方向に回動でき、移動台4に対して、回転台5の前部を反時計方向に回動できる(図3参照)。
【0034】
図1から図4を参照すると、営巣箱6は、一方の面を開口している。又、営巣箱6は、他方の面を回転台5の前部に固定している。電柱Pに装柱した変圧器又は開閉器などの電気設備(図示せず)に、営巣箱6を近づけることで鳥類の営巣を営巣箱6に誘引できる。
【0035】
図1から図4を参照すると、実施形態による営巣補助具10は、昇降装置3と移動台4の連結状態、及び、移動台4と回転台5の連結状態を地上で変えることで、営巣箱6を電気設備に容易に近づけることができる。
【0036】
(ラックレール及び昇降装置の構成)
次に、実施形態によるラックレール1及び昇降装置3の構成を説明する。図4又は図5を参照すると、ラックレール1は、複数のスプロケットホール11をその軌道面に二列に連設している。昇降装置3は、直方体状の外殻を構成した歯車箱30を備えている。
【0037】
図2又は図3及び図5を参照すると、歯車箱30は、スプロケットホール11に噛み合う一対のスプロケット3a・3aを内部に有している。これらのスプロケット3a・3aは、その回転中心が回転軸31aに固定されている。回転軸31aの両端部は、ベアリング31bを介して、一対のハウジング31c・31cで支持されている。これらのハウジング31c・31cは、歯車箱30の両側面に取り付けている。
【0038】
図2又は図3及び図5を参照すると、歯車箱30は、一対のスプロケット3a・3aと同軸上に固定されたウォームギヤ3bを内部に有している。又、歯車箱30は、ウォームギヤ3bと噛み合うウォーム3cを内部に有している。ウォームギヤ3bとウォーム3cは、ウォーム3cの回転運動をウォームギヤ3bに伝動できる歯車伝動装置を構成しているが、ウォームギヤ3bの回転運動をウォーム3cに伝動できない不可逆の機構を構成している。
【0039】
図2又は図5を参照すると、歯車箱30は、一対のステイ3s・3sを内部に設けて、歯車箱30を補強している。ウォーム3cの一方の軸端は、円錐状に形成され、一方のステイ3sに設けたピポッド軸受で支持されている。ウォーム3cの他方の軸は、他方のステイ3sに設けたベアリングで回転支持されている。又、ハウジング32cは、ウォーム3cの他方の軸のスラスト方向の移動を規制している。
【0040】
図2又は図5を参照すると、歯車箱30は、第1ベベルギヤ31gと第2ベベルギヤ32gを内部に有している。第1ベベルギヤ31gは、ウォーム3cの同軸上に固定している。第2ベベルギヤ32gは、第1ベベルギヤ31gと噛み合っている。第2ベベルギヤ32gは、その回転運動を第1ベベルギヤ31gに伝動できる。
【0041】
図5を参照すると、第2ベベルギヤ32gは、その入力軸321を歯車箱30の外部に突出している。入力軸321は、キー溝付きのリテーナ322の中心部に固定されている。リテーナ322は、プーリ3pの中心穴32hに嵌合できる。リテーナ322とプーリ3pの中心穴32hに図示しないキーを挿入することで、プーリ3pに対して、リテーナ322を回り止めできる。
【0042】
図1から図5を参照すると、プーリ3pには、ボールチェーン2cを巻き掛けしている。ボールチェーン2cは、地上に向って垂下している。ボールチェーン2cを地上で操作すると、プーリ3pを一方の方向又は他方の方向に回転できる。プーリ3pとボールチェーン2cは、巻き掛け伝動装置を構成している。
【0043】
図2又は図5を参照して、プーリ3pを回転すると、この回転が第2ベベルギヤ32g→第1ベベルギヤ31g→ウォーム3c→ウォームギヤ3b→一対のスプロケット3a・3aへと伝動される。そして、一対のスプロケット3a・3aがラックレール1に噛み合って、昇降装置3を高さ方向に移動できる。つまり、ラックレール1に対して、昇降装置3を昇降できる。
【0044】
実施形態による営巣補助具10は、一対のスプロケット3a・3aによる出力側からの動力がプーリ3pによる入力側に伝動することなく維持される不可逆な機構を昇降装置3に備えているので、昇降装置3が下降することなく、営巣箱6の停止時の姿勢を保持できる。
【0045】
(ラックレール及び昇降装置の構成)
引き続き、実施形態による営巣補助具10の構成を更に詳細に説明する。図1又は図6及び図7を参照すると、電柱用鳥類営巣補助具10は、ラックレール1を電柱Pに固定するための複数のバンド12を備えている。バンド12は、所定の曲率で湾曲した一対のバンド片12h・12hで構成されている。
【0046】
図6及び図7を参照すると、バンド片12hの一端部には、ナット12nを溶接している。ラックレール1のフランジ1fに設けた取り付け穴を介して、ボルト12bをナット12nに締結すると、バンド片12hの一端部をラックレール1のフランジ1fに固定できる。
【0047】
図6及び図7を参照すると、バンド片12hの他端部には、ボルト穴を設けている。そして、一対のバンド片12h・12hの他端部同士をボルトとナットで締結することにより、一対のバンド片12h・12hで電柱Pを挟持できる。なお、ラックレール1には、一対のバンド片12h・12hに引っ張られて、一対のフランジ1f・1fが開かないように、一対のフランジ1f・1f間をその長手方向に断続的に溶接した補強片14を設けている。
【0048】
図5から図7を参照すると、昇降装置3の歯車箱30の背面には、一対の帯板状のブロック33・33を取り付けている。ブロック33には、支柱を介して、ラックレール1の斜面に転動する一組のローラ33r・33rを上下方向に配置している。一方、ステイ3sには、ラックレール1の軌道面(平面)に転動する一対のローラ32r・32rを上下方向に配置している。
【0049】
図5又は図6を参照すると、昇降装置3は、ラックレール1の斜面を支持する一組のローラ33r・33r、及びラックレール1の軌道面(平面)を支持するローラ32rがラックレール1を三点支持している。これにより、昇降装置3は、昇降運動のみが許容されている。又、ラックレール1の上端部及び下端部には、ブロック33に当接可能なストッパ部材1sを設けて、昇降装置3の昇降範囲を規制している。
【0050】
(移動台の構成)
次に、実施形態による移動台4の構成を説明する。図1から図4を参照すると、移動台4は、一組の蝶ボルト4b・4bを備えている。又、移動台4は、蝶ボルト4bの雄ねじ部と螺合する雄ねじ部を後部の両側面に設けている。雄ねじ部は、支持軸35とスライド自在に案内する貫通穴に連通している。
【0051】
図3又は図4を参照して、支持軸35に対して、蝶ボルト4bを弛めると、電柱Pの遠心方向に移動台4を水平移動できる。支持軸35に対して、蝶ボルト4bを締結すると、移動台4を固定できる。そして、電柱Pからの営巣箱6の遠心距離を規定できる。
【0052】
(回転台の構成)
次に、実施形態による回転台5の構成を説明する。図2又は図3を参照すると、回転台5は、一組の蝶ボルト5b・5bを備えている。又、回転台5は、蝶ボルト5bの雄ねじ部が挿通できる複数のボルト穴5hを後部に開口している、複数のボルト穴5hは、それらの中心位置が回転軸4sの中心点を中心にした仮想の円周上に配置している。一方、移動台4は、複数のボルト穴5hの二つに適合し、蝶ボルト5bの雄ねじ部と螺合する雄ねじ部を設けている。
【0053】
図3を参照して、移動台4及び回転台5から一組の蝶ボルト5b・5bを取り外すと、回転軸4sを回動中心として回転台5を回転できる。ボルト穴5hを介して、一組の蝶ボルト5b・5bを移動台4の雌ねじ部に締結すると、回転台5を移動台4に固定できる。そして、移動台4に対する営巣箱6の回動角度を規定できる。
【0054】
[電柱用鳥類営巣補助具の作用]
次に、実施形態による営巣補助具10の操作方法を説明しながら、営巣補助具10の作用及び効果を説明する。図1を参照して、ボールチェーン2cの他端部側を引っ張ると、プーリ3pを他方の方向に回転できる、これにより、プーリ3pの回転運動が一対のスプロケット3a・3aに伝動することで(図5参照)、営巣補助具10を下降することができる。そして、ヒナが巣立った後の鳥類の巣を営巣箱6から地上で除去できる。
【0055】
一方、図1を参照して、変圧器又は開閉器などの電気設備(図示せず)を電柱Pの上部に新たに設置したときは、図示しない電気設備に営巣箱6が近づくように、昇降装置3と移動台4の連結状態、及び、移動台4と回転台5の連結状態を地上で設定する(図2から図4参照)。
【0056】
次に、図1を参照して、ボールチェーン2cの一端部側を引っ張ると、プーリ3pを一方の方向に回転できる、これにより、プーリ3pの回転運動が一対のスプロケット3a・3aに伝動することで(図5参照)、営巣補助具10を上昇することができる。そして、図示しない電気設備に営巣箱6を近づけることができ、営巣箱6に鳥類の営巣を誘引できる。
【0057】
図1から図7を参照すると、実施形態による営巣補助具10は、電柱Pに対するラックレール1の取り付け位置に限定されることなく、営巣箱6を電気設備に近づけることができる。そして、営巣箱6に鳥類の営巣を誘引できる。
【0058】
図2から図5を参照すると、実施形態による昇降装置3は、一対のスプロケット3a・3aがラックレール1に噛み合って駆動している。実施形態による昇降装置3は、一方のスプロケット3aの歯が破損しても、他方のスプロケット3aがラックレール1に噛み合って駆動でき、故障対策が施されている。
【0059】
図2から図5を参照すると、実施形態による昇降装置3は、ウォーム3cの回転がウォームギヤ3bに伝動されるウォームギヤ装置を構成している。このウォームギヤ装置は、ウォーム3cを原動車としてよく、従動車であるウォームギヤ3bの回転がウォーム3cに伝動しない不可逆な機構となっている。
【0060】
図2から図5を参照すると、ウォーム3cの回転を停止すると、ウォーム3cとウォームギヤ3bとは、相互にロックされる。すなわち、ウォームギヤ3bからの動力がウォーム3cに伝達することなく、一対のスプロケット3a・3aの停止時の姿勢が保持される。このように、実施形態による昇降装置3は、営巣補助具10の自重などに影響されない確実な動作が保障される。
【0061】
図3から図5を参照すると、実施形態による営巣補助具10は、昇降装置3を駆動する巻き掛け伝動装置をボールチェーン2cとボールチェーン2c用のプーリ3pで構成している。これにより、ボールチェーン2cの操作をプーリ3pに確実に伝動できる。
【0062】
図5又は図6を参照すると、昇降装置3は、ラックレール1の斜面を支持する一組のローラ33r・33r、及びラックレール1の軌道面(平面)を支持するローラ32rがラックレール1を三点支持している。これにより、昇降装置3は、昇降運動のみが許容されている。
【0063】
実施形態による営巣補助具10は、設置される柱体として電柱を例示したが、実施形態による営巣補助具10は、地方公共団体などが設置した専用のポールに設置することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 ラックレール
3 昇降装置
4 移動台
5 回転台
6 営巣箱6
10 営巣補助具(電柱用鳥類営巣補助具)
P 電柱(柱体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8