【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、ヒト骨格筋において見出されるBAT前駆細胞からインビトロおよびインビボで褐色脂肪細胞を動員するかまたは産生するための組成物を提供する。これらの薬剤またはそれらの組み合わせは、インビトロ、インビボまたはその両方で、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはBAT前駆細胞におけるUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC−1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導するために使用することができる。さらに、これらの薬剤は、患者における代謝性疾患(肥満、糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症および他の状態を含むが、これらに限定されない)を処置するために使用することができる。
【0010】
本開示は、部分的に、多様なタンパク質、ペプチドおよび小分子(まとめると薬剤)が、BAT前駆細胞の分化における重要な役割を担うという発見に基づく。特に、本明細書中で開示される多様な薬剤は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞の成熟した、機能的な褐色脂肪細胞への分化を著しく誘導することが見出された。これらの多様な薬剤のうち1つまたはそれより多くを用いたこれらのBAT前駆細胞の処置は、これらの細胞の褐色脂肪細胞分化への傾倒を引き起こす。いくつかの場合において、脂肪生成培地の導入の前の期間(例えば、2、3時間、1日、2日、3日またはこれより短いかまたはこれより長い)にわたる薬剤を用いた処置は、褐色脂肪細胞分化をもたらす。他の場合において、脂肪生成培地の導入と同時および/または導入後の薬剤を用いた処置は、褐色脂肪細胞分化をもたらす。
【0011】
褐色脂肪組織(BAT)は、エネルギー消費に専門化されるため、本明細書中で記載される薬剤は、肥満および関連障害(糖尿病など)の処置に有用である。この薬剤は、食用動物を含む被験体における脂肪蓄積を減少させるため(例えば、これらから得られた肉の品質を改良するため)にも使用することができる。
【0012】
したがって、1つの態様において、本開示は、被験体を処置する(例えば、ヒトなどの被験体における脂肪蓄積または体重を減少させる)方法を特徴とする。この方法は、本明細書中で開示される有効量の薬剤または薬剤の組み合わせを被験体に投与する工程を含む。
【0013】
さらなる態様において、本開示は、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を投与することによって、脂肪蓄積または体重を減少させる必要のある被験体を処置する方法を特徴とし、ここで、該薬剤で活性化された前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。この方法は、必要に応じて脂肪蓄積または体重を減少させる必要のある被験体を同定する工程を含み得る。
【0014】
さらなる態様において、本開示は、被験体(例えば、インスリン抵抗性である被験体)におけるインスリン感度を向上させる方法を含む。この方法は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に投与する工程を含み、ここで、該薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。この方法は、必要に応じてインスリン感度を向上させる必要のある被験体を同定する工程を含み得る。
【0015】
別の態様において、本開示は、被験体における褐色脂肪組織の機能または成長を調節する(例えば、BAT脂肪生成を促進する)方法を特徴とする。この方法は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に投与する工程を含み、ここで、該薬剤で活性化された前駆細胞の集団は、褐色脂肪生成を経る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書中で記載される方法は、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を被験体に移植する工程を含み得る。この薬剤で活性化された細胞は、直接移植され得るか、または細胞が付着することができる足場、マトリクスもしくは他の移植可能なデバイス(例としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、自己組織化小ペプチドおよびそれらの組み合わせでできたキャリアが挙げられる)において投与され得る。一般的に、この方法は、被験体において褐色脂肪細胞量の増大を促進する(被験体における褐色脂肪細胞の量を、少なくとも1%、例えば、2%、5%、7%、10%、15%、20%、25%またはこれより多く増大させる)ために十分な数の細胞を含む、薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の集団を移植する工程を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、この方法は、被験体から単離されたBAT前駆細胞を本明細書中で開示される薬剤のうちの1つまたはそれより多くと接触させることによって、被験体におけるBAT脂肪生成のレベルを評価する工程を含む。BAT分化は、例えば脱共役タンパク質(UCP)などのBATマーカー(例えばUCP1発現)、BATの形態学(細胞の視覚的な検査、例えば、顕微鏡検査を使用する)、またはBATの熱力学(例えば、シトクロムオキシダーゼ活性、Na+−K+−ATPアーゼ酵素ユニット、またはBAT熱生成に関係する他の酵素)のいずれかを測定することによって評価することができる。
【0018】
一般的に、被験体は哺乳類であり得る。いくつかの実施形態において、被験体は、ヒト被験体(例えば肥満のヒト被験体)である。いくつかの実施形態において、被験体は、非ヒトの哺乳類(例えば、実験動物、コンパニオンアニマルまたは家畜、例えば、食用に飼育されるウシ、ブタもしくはヒツジ)である。一般的に、タンパク質またはペプチドが、BAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するために使用される場合、このタンパク質またはペプチドは、被験体(例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウシ、ブタまたはヒツジ)と同種または関連した種からのものである。このタンパク質またはペプチドは、被験体に対して異種でもあり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、この方法は、体重、白色脂肪組織蓄積、褐色脂肪組織蓄積、脂肪組織の形態学、インスリンレベル、インスリン代謝、グルコースレベル、熱生成能および低温感度のうち1つまたはそれより多くについて被験体を評価する工程を含む。評価は、薬剤および/または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の投与の前、間および/または後に行うことができる。例えば、評価は、投与の前および/または後の少なくとも1日、2日、4日、7日、14日、21日、30日またはそれよりも長期もしくはそれよりも短期において行うことができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、この方法は、1回またはそれより多くの追加的なラウンドの、薬剤を用いた処置または薬剤で活性化されたBAT前駆細胞の移植(例えば、褐色脂肪細胞の量を増大させるため、例えば、被験体における肥満を維持するか、またはさらに低減させるため)を含む。
【0021】
タンパク質またはペプチド薬剤が使用される場合のいくつかの実施形態において、BAT前駆細胞は、増大したレベルのこのようなタンパク質またはペプチドを、安定または一過性のいずれかで発現するように、遺伝学的に操作され得る。細胞は、例えば、培養哺乳類細胞(例えばヒト細胞)であり得る。使用される発現させたリコンビナントタンパク質またはペプチドは、一般的に、BAT前駆細胞と同種または関連した種のものである(例えば、ヒト細胞において発現させたヒトタンパク質またはペプチド)。リコンビナントタンパク質またはペプチドは、BAT前駆細胞に対して異種でもあり得る。
【0022】
さらなる態様において、本開示は、インビトロ、インビボまたはその両方で、BAT前駆細胞の褐色脂肪細胞への分化を促進するため、および/またはBAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC−1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導するための、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤の使用を提供する。
【0023】
また本明細書中で提供されるのは、過体重、肥満、インスリン抵抗性、糖尿病、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病から選択される1つまたはそれより多くの疾患もしくは状態の処置のための、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤の使用である。前述の疾患を処置する必要のある被験体に、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤を投与する工程を含む、前述の疾患を処置するための方法も提供される。
【0024】
さらなる態様は、本明細書中で開示される1つもしくはそれより多くの薬剤および薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤またはキャリアを含む薬学的組成物に関連する。
【0025】
1つの特定の態様は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するための薬剤の使用に関連し、該薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL−6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される。
【0027】
ある実施形態において、薬剤は、インビトロ、インビボまたはその両方でBAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC−1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、薬剤は、
(a)以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3−AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原、II型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)、BMP5、BMP6、FGF7、FGF10、FGF13、FGF21、脂肪酸結合タンパク質7(FABP7)、CXCL12、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(IGFBP4)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、アデニル酸シクラーゼ4(ADCY4)、細胞死活性化因子CIDE−A(CIDEA)、分泌型フリッツルド関連タンパク質1(SRFP1)、SRFP2、脳由来神経栄養因子(BDNF)、血管内皮増殖因子D(VEGF−D)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFB2)、cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)、cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)、高親和性cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ7A(PDE7A)およびcAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ7B(PDE7B)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こすこと、
(b)褐色脂肪組織および/または骨格筋組織における熱生成の増大を引き起こすこと、(c)骨格筋、白色脂肪組織または肝臓のインスリン感度の増大を引き起こすこと、
(d)グルコース寛容の増大を引き起こすこと、
(e)基礎呼吸、最大呼吸速度または非共役呼吸(uncoupled respiration)の増大を引き起こすこと、
(f)代謝速度の増大を引き起こすこと、および
(g)肝脂肪変性の減少を引き起こすこと
からなる群より選択される1つまたはそれより多くの生物学的活性を有し得る。
【0029】
ある実施形態において、薬剤は、以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3−AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原およびII型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こし得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、薬剤は、被験体における代謝応答を調節すること、または被験体における代謝障害を予防もしくは処置することができる。いくつかの実施形態において、この代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くであり得る。
【0031】
別の態様は、褐色脂肪生成の促進を必要とする被験体において、褐色脂肪生成を促進する方法に関連し、この方法は、本明細書中で開示される1つまたはそれより多くの薬剤から選択される薬剤を、被験体に投与する工程を含む。いくつかの実施形態における方法は、被験体における代謝応答を調節することおよび/または被験体における代謝障害を予防または処置することをさらに含み得る。この代謝障害は、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くであり得る。ある実施形態において、この方法は、被験体の細胞を薬剤と接触させる工程、および必要に応じて該接触工程の後に該細胞の該被験体への移植工程をさらに含む。いくつかの実施形態における細胞は、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞であり得る。細胞は、CD34について陽性かつ/またはCD31について陰性であり得る。
【0032】
別段定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門的用語および科学的用語は、この開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。方法および材料が、本開示における使用のために本明細書中で記載され、当該分野において公知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法および実施例は、単なる実例であり、限定されることを意図しない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、データベース登録および他の参考文献は、それらの全体が参照によって援用される。矛盾の場合において、定義を含め、本明細書が支配する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞から褐色脂肪細胞を動員するための薬剤の使用であって、該薬剤は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL−6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される、使用。
(項目2)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目1に記載の使用。
(項目3)
前記薬剤が、インビトロ、インビボまたはその両方で、前記BAT前駆細胞においてUCP1、FABP4(aP2)、PPARγ2、mtTFA、PGC−1αおよび/またはCOX IVの発現を誘導することができる、項目1または2に記載の使用。
(項目4)
前記薬剤が、
(a)以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3−AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原、II型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)、BMP5、BMP6、FGF7、FGF10、FGF13、FGF21、脂肪酸結合タンパク質7(FABP7)、CXCL12、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)、インスリン様増殖因子結合タンパク質4(IGFBP4)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、アデニル酸シクラーゼ4(ADCY4)、細胞死活性化因子CIDE−A(CIDEA)、分泌型フリッツルド関連タンパク質1(SRFP1)、SRFP2、脳由来神経栄養因子(BDNF)、血管内皮増殖因子D(VEGF−D)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFB2)、cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)、cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ4D(PDE4D)、高親和性cAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ7A(PDE7A)およびcAMP特異的3’,5’−サイクリックホスホジエステラーゼ7B(PDE7B)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こすこと、
(b)褐色脂肪組織および/または骨格筋組織における熱生成の増大を引き起こすこと、(c)骨格筋、白色脂肪組織または肝臓のインスリン感度の増大を引き起こすこと、
(d)グルコース寛容の増大を引き起こすこと、
(e)基礎呼吸、最大呼吸速度または非共役呼吸の増大を引き起こすこと、
(f)代謝速度の増大を引き起こすこと、および
(g)肝脂肪変性の減少を引き起こすこと
からなる群より選択される1つまたはそれより多くの生物学的活性を有する、項目1または2に記載の使用。
(項目5)
前記薬剤が、以下:ベータ3アドレナリン受容体(β3−AR)、溶質キャリアファミリー2、促進グルコース輸送体メンバー4(SLC2A4)、超長鎖脂肪酸伸長タンパク質3(ELOVL3)、CD36抗原およびII型ヨードチロニン脱ヨウ素酵素(DIO2)のうち1つまたはそれより多くの増大または減少を引き起こす、項目4に記載の使用。
(項目6)
前記薬剤が、被験体における代謝応答を調節すること、または被験体における代謝障害を予防することもしくは処置することができる、項目1または2に記載の使用。
(項目7)
前記代謝障害が、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くである、項目6に記載の方法。
(項目8)
褐色脂肪生成を必要とする被験体において褐色脂肪生成を促進するための方法であって、該方法は、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β、11α−PGF2または9α、11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL−6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される薬剤を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目9)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記被験体における代謝応答を調節する工程および/または前記被験体における代謝障害を予防もしくは処置する工程をさらに含む、項目8または9に記載の方法。
(項目11)
前記代謝障害が、肥満、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、高血圧、高脂血症、肝脂肪変性、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、高尿酸血症、多嚢胞性卵巣症候群、黒色表皮症、過食症、内分泌異常、トリグリセリド蓄積症、バルデー・ビードル症候群、ローレンス・ムーン症候群、プラダー・ウィリー症候群、神経変性疾患およびアルツハイマー病のうち1つまたはそれより多くである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記被験体の細胞を前記薬剤と接触させる工程をさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目13)
前記接触させる工程の後に、前記細胞を前記被験体へ移植する工程をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記細胞が、ヒト骨格筋から単離されたBAT前駆細胞である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記細胞が、CD34について陽性である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記細胞が、CD31について陰性である、項目14に記載の方法。
(項目17)
被験体における低体温症を予防する方法であって、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンまたはスピペロンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10またはFGF13などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、
メトホルミンなどのビグアニド、
シグアゾダンなどのPDE3阻害剤などのホスホジエステラーゼ阻害剤、
リオシグアトなどの可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激剤、
b型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、
毛様体神経栄養因子(CNTF)、
インターロイキン6(IL−6)、
オレキシンB、および
グアンファシン塩酸塩などのα2アドレナリン受容体アゴニスト
のうち1つまたはそれより多くから選択される薬剤を該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目18)
前記薬剤が、
ファモチジンなどの抗ヒスタミン剤、
チアプリド塩酸塩またはチエチルペラジンなどの抗ドパミン剤、
コルヒチンなどのチューブリンのリガンド、
レセルピンもしくはシロシンゴピンなどのラウオルフィアアルカロイドまたは誘導体、
ミノキシジルなどのカリウムチャネルリガンド、
フェロジピンなどのカルシウムチャネルのアンタゴニスト、
プロベネシド、
9β,11α−PGF2または9α,11β−PGF2などのプロスタグランジンF2(PGF2)の誘導体、
55aa(aa25〜79)のPACAPプロペプチドなどの下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)遺伝子に由来するペプチド、
ケンフェロールなどのフラボノイド、
FGF7またはFGF10などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、
メントールまたはイシリンなどの一過性受容器電位メラスタチン8(TRPM8)リガンド、
ボンベシン、
アイソフォームSDF−1γなどのストロマ細胞由来因子1(SDF−1)、および
ジフルニサルなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤
のうち1つまたはそれより多くから選択される、項目17に記載の方法。