実空間内の座標認識を行うHMD2と、HMD2と連動して座標認識を行うコントローラ3L、3Rと、記憶部11とを備えるゲーム装置1により実行されるゲームプログラム110である。配置算出手段101は、コントローラ3L、3Rの実空間内の位置及び方向から、仮想空間内のオブジェクトに対応したローカル座標系での配置を算出する。加速度付加手段102は、コントローラ3L、3Rからの信号を取得した場合、配置算出手段101により算出された配置に対応した加速度をオブジェクトに付加する。制御手段は、加速度付加手段102により付加された加速度を適用して移動されたオブジェクトを含む仮想空間をHMD2に表示させる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るゲームシステムXについて、図面を参照して説明する。
図1(a)によると、本発明の実施形態に係るゲームシステムXは、ゲーム装置1(コンピュータ)、ユーザUに装着されたHMD2、及びユーザUの左右の手にそれぞれ把持されたコントローラ3L、3Rを含んで構成される。
【0012】
ゲーム装置1は、PC(Personal Computer)、コンシューマ用ゲーム機、アーケードゲームやアミューズメント施設に備えられたゲーム機器等である。
【0013】
HMD2は、実空間内の位置及び方向を含む座標認識を行うことが可能なヘッドマウントディスプレイである。
【0014】
コントローラ3L、3Rは、HMD2と連動し、実空間内での座標認識を行うことが可能な手持ちのコントローラである。本実施形態では、二つのコントローラ3L、3Rが用いられ、それぞれが、ユーザの左右の手に把持される。それぞれのコントローラ3L、3Rについて、特定広さの部屋等での位置及び方向を含む座標認識が可能である。
加えて、コントローラ3L、3Rには、ボタンやタッチパッド等が設けられている。ユーザにより、これらが操作されることにより、ゲーム装置1へ操作の信号が出力される。この信号は、例えば、押圧のような特定範囲の値で出力することが可能である。
【0015】
ゲームシステムXでは、例えば、ゲーム装置1にインストールされるアプリケーションソフトウェア(Application Software、ネイティブ(Native)アプリ、以下、単に「アプリ」という。)を実行することで、ユーザにVRゲームを実行(プレイ)させることが可能となる。
【0016】
図1(b)により、本実施形態で説明されるVRゲームの概要について説明する。
このゲームにおいては、プレイヤキャラクタである宇宙飛行士のオブジェクトOが、宇宙空間において、左右の手に把持するハンドバーニアBL、BRで姿勢制御して、スペースデプリの回収、風船割り対戦、宇宙船の修理等の各種ミッションを行う。
【0017】
具体的には、ユーザは、HMD2と連動したコントローラ3L、3Rで、ハンドバーニアBL、BRを、それぞれ、任意な位置で任意の方向に向け、ガスを吹き出させる。これにより逆方向への推進力(加速度)を得て、無重力空間において、移動、制動、姿勢制御等の様々な動きをさせることが可能となる。たとえば、回転により、キリモミ飛行等も行うことさえ可能である。
このように、本実施形態のVRゲームでは、ハンドバーニアBL、BRにより、移動、制動、姿勢制御等が行え、広大な宇宙空間を漂う無重力体験が可能となる。
【0018】
<ハードウェア構成について>
本実施形態のゲームシステムXのハードウェア構成について説明する。
ここでは、ゲーム装置1のハードウェア構成、及び、HMD2のハードウェア構成の概略について説明する。
【0019】
・ゲーム装置1のハードウェア構成
ゲーム装置1は、制御部10、記憶部11、接続部12、画像処理部13、及び音声処理部14を備える。
記憶部11、接続部12、画像処理部13、及び音声処理部14は、それぞれ、専用のバス及びインターフェイス等を介して、制御部10に接続される。
【0020】
制御部10は、ゲーム装置1の動作を制御するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)等である。
【0021】
記憶部11は、主にHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)で構成される。
【0022】
接続部12は、無線又は有線の接続で、HMD2、及び、コントローラ3L、3Rと接続する。
【0023】
画像処理部13は、制御部10の指示に従って、仮想空間及び各オブジェクト等を含む三次元のゲーム画像を、例えば、フレーム単位で描画(レンダリング)する。画像処理部13にて描画されたゲーム画像は、ゲーム画面として、HMD2の表示部26に表示される。
【0024】
音声処理部14は、制御部10の指示に対応して、音声データを再生及び合成し、D/A(Digital to Analog)変換してゲーム音声として出力する。本実施形態において、音声処理部14は、ダミーヘッド等のバイノーラル録音をシミュレートした三次元音場(立体音響)のゲーム音声を生成可能である。ゲーム音声は、HMD2の音声入出力部27のスピーカやイヤホン出力端子等から音声出力される。
さらに、音声処理部14は、HMD2の音声入出力部27のマイクロフォンから入力した音声信号をA/D(Analog to Digital)変換して、入力することも可能である。
【0025】
・HMD2のハードウェア構成
HMD2には、制御部20、記憶部21、接続部22、センサ部25、表示部26、及び音声入出力部27が備えられている。
記憶部21、接続部22、センサ部25、表示部26、及び音声入出力部27は、それぞれ、専用のバス及びインターフェイス等を介して、制御部20に接続される。
【0026】
制御部20は、HMD2の動作を制御する。
【0027】
記憶部21は、主にRAM及びROMで構成される。
【0028】
接続部22は、無線又は有線の接続で、ゲーム装置1と接続する。
【0029】
センサ部25は、装着されたユーザのヘッドトラッキングが可能な加速度センサ、ジャイロ、赤外線センサ、カメラ等である。これらにより、実空間内の座標認識が可能となる。この座標認識では、特定広さの実空間内でのHMD2の位置及び方向等を認識する。
【0030】
表示部26は、有機ELディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)アレイ、網膜投影用のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)レーザープロジェクタ、レンズ、光学素子等である。本実施形態において、表示部26は、ユーザの左右の目に対して別々の画像を投影可能である。
【0031】
音声入出力部27は、ヘッドフォン用のスピーカ、イヤホン、マイクロフォン、エキサイタ等である。音声入出力部27は、三次元音場のゲーム音声を再生可能である。
【0032】
上述のゲーム装置1、HMD2、及びコントローラ3L、3Rは、本実施形態のゲームプログラム110(
図3)を実行するハードウェア資源となる。
【0033】
・ゲームシステムXの制御の流れについて
次に、
図3により、ゲームシステムXを実現するゲーム装置1における、ゲーム実行時の制御の流れについて説明する。
【0034】
まず、ゲーム装置1は、VRゲームを実行するために、ユーザに装着されたHMD2、及び、ユーザの左右の手に把持されたコントローラ3L、3Rとの接続を確認する。そして、必要に応じて、ゲーム装置1は、部屋等の実空間内の位置及び方向を含む座標認識をするためのキャリブレーションを行う。
【0035】
この上で、ゲーム装置1は、ユーザの操作に基づいて、VRゲームのアプリであるゲームプログラム110を、サーバ(図示せず)からダウンロードし、又は記録媒体から読み取って、記憶部11にインストールする。この際に、ゲームプログラム110の実行に必要な、画像、音声、その他のデータを含むゲームデータ111も、インストールされる。
【0036】
インストール後、ゲームプログラム110が起動されると、ゲーム装置1は、ゲームデータ111に基づいて、VRゲームを実行する。
具体的には、ゲーム装置1は、コントローラ3L、3Rからの信号を取得して、プレイヤキャラクタを加速、移動させる。そして、ゲーム装置1は、HMD2と接続して、ゲーム画像、ゲーム音声を出力する。
【0037】
このように、ゲームシステムXは、HMD2及びコントローラ3L、3Rを用いてゲームを進行させる。ここで実行されるのは、本実施形態におけるVRゲームである。
【0038】
<ゲームシステムXの機能的構成について>
次に、ゲームシステムXを実現するゲーム装置1の制御部10及びゲーム装置1の制御部20の機能的構成、及びデータの詳細構成について説明する。
【0039】
・ゲーム装置1の制御部10の機能的構成
ゲーム装置1の制御部10は、記憶部11に格納されたゲームプログラム110を実行することにより、接続手段100、配置算出手段101、加速度付加手段102、及び表示制御手段103として機能する。
【0040】
接続手段100は、HMD2、及びコントローラ3L、3Rから信号を取得する。この信号は、実空間内の位置及び方向を含む座標の情報、ボタンやタッチパッドの押下の情報等を含む。
【0041】
配置算出手段101は、各コントローラ3L、3Rについて、仮想空間内のオブジェクトに対応したローカル座標系での配置を算出する。この配置は、ローカル座標系でのコントローラ3L、3Rの位置及び方向を含む。
【0042】
加速度付加手段102は、コントローラ3L、3Rのいずれかからの信号を取得した場合、配置算出手段101により算出された配置に対応した加速度を、オブジェクトに付加する。付加される加速度は、コントローラ3L、3Rの配置に係る位置及び方向に対応した方向である。本実施形態においては、加速度付加手段102は、二つのコントローラ3L、3Rのそれぞれの信号を同時に取得して、配置に対応した加速度を合成して、オブジェクトに付加する。
本実施形態では、この加速度は、例えば、仮想空間内のプレイヤキャラクタに付加される。このプレイヤキャラクタは、例えば、上述の宇宙飛行士のようなヒト型である。この宇宙飛行士の手に把持されたハンドバーニアBL、BRから、噴射の反発力としての加速度が付加される。
【0043】
表示制御手段103は、加速度付加手段102により付加された加速度を適用して移動されたオブジェクトを含む仮想空間を、ゲーム画像として画像処理部13に描画させる。この描画されたゲーム画像は、HMD2の表示部26に表示される。
加えて、表示制御手段103は、ゲーム画像に基づいたゲーム音声も、音声処理部14に生成させる。このゲーム音声は、HMD2の音声入出力部27から出力される。
【0044】
ゲーム装置1は、記憶部11に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム110及びゲームデータ111を格納している。
【0045】
ゲームプログラム110は、ゲーム装置1を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。ゲーム装置1は、ゲームプログラム110及びゲームデータ111に基づいてVRゲームを進行させる。
【0046】
ゲームプログラム110は、ゲーム装置1を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。
【0047】
ゲームデータ111は、本実施形態のVRゲームのプレイ上に必要なデータである。このゲームデータ111は、ゲーム進行状況に関するデータを含む。加えてゲームデータ111は、各オブジェクトの画像データ、モデリングデータ、メニュー画面のデータ、文字データ、音声データ等、ゲームをプレイするために必要な各種データを含んでいる。
【0048】
本実施形態においては、ゲームデータ111は、配置データ200及びオブジェクトデータ201を含んでいる。
配置データ200は、オブジェクトの配置のデータである。この配置は、コントローラ3L、3Rの実空間での位置及び方向から算出された、ハンドバーニアBL、BRのローカル座標系での位置及び方向を含む。
【0049】
オブジェクトデータ201は、ユーザが操作するオブジェクトのデータである。オブジェクトデータ201は、オブジェクトの種類、モデル、仮想空間内での座標、加速度、速度等を含む各種データを含んでいる。オブジェクトの種類は、仮想空間内のプレイヤキャラクタ、ハンドバーニアBL、BR、その他のアイテム等を含む。オブジェクトのモデルは、例えば、人型の場合、各ポリゴンの座標と、ボーン(骨)と、各ボーンの連結(リンク)の情報を含む。仮想空間内での座標は、例えば、重心を中心としたローカル座標系、仮想空間内でのXYZ軸の三次元ベクトルで示される向き、XYZ軸方向の回転のベクトルを含む。加速度及び速度は、例えば、仮想空間内でのXYZ軸の三次元ベクトルとして表現されている。
【0050】
これら以外にも、記憶部11には、例えば、ユーザのアカウント情報、プレイデータ、他ゲーム装置1に送信するアカウント情報、フレンドに関する情報、及び他のゲーム装置1から受信した他のアカウント情報等が含まれている。このうち、アカウント情報は、ユーザのID(Identification、識別符号)、電子メールアドレス、パスワード、その他のログイン時のユーザ認証に必要な情報である。プレイデータは、VRゲームのプレイ結果を示すデータである。このプレイ結果は、スコアやクリアした面数等である。
【0051】
<噴射加速移動処理について>
次に、
図4〜
図5を用いて、本実施形態のゲーム装置1の接続手段100、配置算出手段101、加速度付加手段102、及び表示制御手段103により実行される噴射加速移動処理について説明する。
【0052】
本実施形態においては、HMD2を装着し、コントローラ3L、3Rを把持したユーザに、VRゲームを実行させる。この際に、プレイヤキャラクタをハンドバーニアBL、BRで加速させる、噴射加速移動処理を実行する。これにより、宇宙を模した無重力空間内で各種ミッションが実行される。
【0053】
以下で、
図4のフローチャートを参照して、ゲーム装置1により実行される各処理のフローを説明する。ここでは、本実施形態の噴射加速移動処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0054】
(ステップS100)
まず、接続手段100が、接続処理を行う。
VRゲームが起動されると、接続手段100は、センサ部25の信号により、HMD2の実空間内の位置及び方向を取得する。ユーザがHMD2を移動させると、この信号も取得される。
さらに、接続手段100は、HMD2と連動したコントローラ3L、3Rの実空間内の位置及び方向も取得する。ユーザが、コントローラ3L、3Rのいずれかを把持したまま移動させると、この信号も取得される。
加えて、接続手段100は、コントローラ3L、3Rのボタンやタッチパッド等の信号も取得する。
【0055】
(ステップS101)
次に、配置算出手段101が、配置算出処理を行う。
配置算出手段101は、コントローラ3L、3Rの実空間内の位置及び方向を取得して、仮想空間内のオブジェクトに対応したローカル座標系でのハンドバーニアBL、BRの配置を算出する。
図5の例によると、配置算出手段101は、例えば、ローカル座標として、プレイヤキャラクタであるオブジェクトOの胴体内にある重心の座標を中心として、右から左の方向をX軸、足から頭の方向をY軸、腹から背の方向をZ軸とした座標系を用いる。この上で、配置算出手段101は、コントローラ3L、3Rの実空間内における位置及び方向に対応する、ハンドバーニアBL、BRのローカル座標系における位置及び方向を算出する。
【0056】
この際、配置算出手段101は、例えば、HMD2が装着されたユーザの頭の位置を、実空間内のユーザの身体モデルに当てはめて、相対的な位置関係から、ハンドバーニアBL、BRの位置及び方向を算出する。算出されたこれらの値を、配置算出手段101は、配置データ200に格納する。
加えて、配置算出手段101は、例えば、オブジェクトOの手の位置も、このハンドバーニアBL、BRの位置及び方向に合わせて、人体モデル内のボーン等を移動させることで変形させる。
【0057】
(ステップS102)
次に、加速度付加手段102が、ボタン押下か否かを判断する。
加速度付加手段102は、コントローラ3L、3Rのいずれかから、ボタンやタッチパッドの押下の信号を取得した場合(以下、単に「ボタン押下」という。)に、Yesと判断する。加速度付加手段102は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、加速度付加手段102は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、加速度付加手段102は、処理をステップS104に進める。
【0058】
(ステップS103)
ボタン押下の場合、加速度付加手段102が、加速度付加処理を行う。
加速度付加手段102は、配置データ200を読み込み、ハンドバーニアBL、BRの位置及び方向に対応した加速度を、オブジェクトOに付加する。
【0059】
図5によると、ハンドバーニアBLのボタンのボタン押下により、加速度付加手段102は、この押圧に対応した推進剤の噴射による推力を算出する。加速度付加手段102は、この推力、すなわち噴射方向Lの噴射の反作用による加速(反発力)を、オブジェクトOに付加する。具体的には、ハンドバーニアBLの場合、オブジェクトOの身体モデルの左手を力点とし、重心であるローカル座標系における中心点を支点とし、腕と胴体の付け根を作用点として、加速度が付加される。ハンドバーニアBRについても、同様にして、噴射方向Rの反作用による加速を、オブジェクトOに付加する。
オブジェクトOは、付加された加速度により、設定された慣性質量や重心に対応して移動する。この際に、本実施形態のVRゲームは、例えば、宇宙空間をシミュレートしているため、摩擦等は考慮しない。
【0060】
加速度付加手段102は、二つのコントローラ3L、3Rのそれぞれの信号を同時に取得して、配置に対応した加速度を合成して、オブジェクトOに付加することも可能である。
図5の例では、オブジェクトOは、噴射方向L及び噴射方向Rの推進方向が合成されて、Z軸に対して回転する。このようにして、宇宙飛行士の姿勢制御を行うことも可能である。
【0061】
(ステップS104)
ここで、表示制御手段103が、表示制御処理を行う。
表示制御手段103は、加速度を適用して移動されたオブジェクトを含む仮想空間を、ユーザのHMD2における視線方向について、アフィン変換や透視変換を用いてレンダリングして、ゲーム画像を作成する。ハンドバーニアBL、BRが視界に入る場合は、これも画像データとして描画される。噴射が行われている場合には、この噴射ガスや噴射炎も、画像データに描画される。
これにより、ユーザの視線の向きに対応して、宇宙空間で漂う様子を示すゲーム画像が、HMD2の表示部26に表示される。
【0062】
この際に、表示制御手段103は、例えば、三次元音場のゲーム音声も作成する。実際の真空の宇宙空間では音が聞こえないものの、BGM、他のオブジェクトの接近音、落下音等の効果音等について、表示制御手段103は、VRゲームの音響効果用に、ゲーム音声を生成する。
【0063】
図6のミッション例500、501によると、本実施形態のVRゲームでは、宇宙飛行士を移動させ、複数種類のミッションをクリアさせる。
具体的には、
図6(a)のミッションでは、無重力の三次元の仮想空間で、オブジェクトOをうまく移動させて、散乱しているスペースデブリDをたくさん回収する。
また、
図6(b)のミッションでは、無重力の三次元の仮想空間内で、プレイヤキャラクタであるオブジェクトOUが、敵キャラクタであるオブジェクトOEに接近して、お互いの風船LU、LEを割りあう対戦ゲームを行う。このミッションの場合には、ハンドバーニアBL、BRの他に、レーザー銃等を用いることも可能である。
以上により、本発明の実施の形態に係る噴射加速移動処理を終了する。
【0064】
[発明の効果]
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、HMDと連動するコントローラは、従来のコントローラと大差ない方法で使用されていた。このため、HMDと連動するコントローラを、仮想空間内のオブジェクト自体に加速度を付加するような制御をするのに使用することはできなかった。
【0065】
これに対して、本実施形態のゲームプログラム110は、実空間内の座標認識を行うことが可能なHMD2と、HMD2と連動して座標認識を行うコントローラ3L、3Rと、記憶部とを備えるゲーム装置1により実行されるゲームプログラム110であって、ゲーム装置1をコントローラ3L、3Rの実空間内の位置及び方向から、仮想空間内のオブジェクトに対応したローカル座標系での配置を算出する配置算出手段101と、コントローラ3L、3Rからの信号を取得した場合、配置算出手段101により算出された配置に対応した加速度をオブジェクトに付加する加速度付加手段102と、加速度付加手段102により付加された加速度を適用して移動されたオブジェクトを含む仮想空間をHMD2に表示させる表示制御手段103として機能させることを特徴とする。
【0066】
このように構成することで、HMD2と連動するコントローラ3L、3Rを、仮想空間内におけるオブジェクトに加速度を付加する制御の指示に使用することができる。すなわち、コントローラ3L、3Rの配置を変えて信号を取得させることで、オブジェクト自体を移動させる際の加速度を付加することができる。これにより、慣性の法則をまるで本当のように体感させることができ、VRゲームとして、広大な宇宙空間を漂う無重力感覚をユーザに体験させることが可能となる。
【0067】
本実施形態のゲームプログラム110は、配置は、ローカル座標系での位置及び/又は方向を含み、加速度付加手段102は、位置及び/又は方向に対応した加速度を、オブジェクトに付加することを特徴とする。
【0068】
このように構成することで、コントローラ3L、3Rの位置及び/又は方向に対応して、オブジェクトに加速度を付加して加速させることができる。このため、直感的な操作で、ユーザが意図する方向へ加速させることができる。
【0069】
本実施形態のゲームプログラム110は、オブジェクトは、仮想空間内のプレイヤキャラクタであることを特徴とする。
【0070】
このように構成することで、プレイヤキャラクタに、コントローラ3L、3Rを用いて加速度を付加することで「操縦」することができる。このため、ユーザが宇宙飛行士と一体となって宇宙遊泳するような臨場感を得ることができる。
【0071】
本実施形態のゲームプログラム110は、プレイヤキャラクタは、ヒト型であり、加速度付加手段102は、コントローラ3L、3Rに対応してプレイヤキャラクタの手で把持されたハンドバーニアBL、BRから、信号に対応した噴射の反発力としての加速度を付加することを特徴とする。
【0072】
このように構成することで、人型のプレイヤキャラクタの人体モデルの形状等に対応した加速度を付加することが可能となる。すなわち、腕の関節の向きや姿勢から、ボーンの連結等に対応した加速度を付加することができる。また、加速度がコントローラ3L、3Rのいずれかの向きに合わせて、仮想空間上のハンドバーニアBL、BRの噴射による加速の感覚を、まるで現実のように体感することが可能となる。
【0073】
本実施形態のゲームプログラム110は、コントローラ3L、3Rは二つであり、ユーザの左右の手にそれぞれ把持され、加速度付加手段102は、二つのコントローラ3L、3Rのそれぞれの信号を同時に取得して、配置に対応した加速度を合成して、オブジェクトに付加してもよいことを特徴とする。
【0074】
このように構成することで、二つのコントローラ3L、3Rに対応した加速度を合成して、オブジェクトを移動させることが可能となる。このため、コントローラ3L、3Rを同じ方向に向けることで倍の加速を付加したり、急速に制動させたりすることができる。また、別の方向に向けることで回転させたり、姿勢制御をさせたりすることもできる。このように、二つのコントローラ3L、3Rだけで、多彩な制御が可能となる。
【0075】
[他の実施形態]
図2〜
図6において説明した制御手段及び処理手順は一例であり、本発明の実施形態はこれらには限られない。処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0076】
上述の実施形態では、左右の手にコントローラ3L、3Rを把持した例について記載した。しかし、本発明の実施形態は、これには限られない。
図7に記載したように、コントローラは一つであってもよい。この場合、ハンドバーニアBの噴射方向の反発力が算出され、オブジェクトOに加速度が付加される。この場合も、オブジェクトOの重心を基準として、力点と作用点とを算出して加速度が付加されてもよい。すなわち、ハンドバーニアBの把持された位置によっては、オブジェクトOは回転してもよい。
このように構成することで、より単純化された操作で、宇宙飛行士の宇宙遊泳の感覚を体験することができる。
【0077】
上述の実施形態では、配置として、ローカル座標系における位置及び方向を算出するように記載した。しかしながら、位置及び方向のいずれかであってもよい。
加えて、上述の実施形態では、手持ちのハンドバーニアを用いるように記載した。しかしながら、宇宙服に固定されたバーニア等により加速度を得てもよい。この場合、加速度付加手段102は、固定されたバーニアは、コントローラ3L、3Rの位置により噴射の向きを設定し、コントローラ3L、3RとオブジェクトOとの距離により、噴射の強さを調整して、加速度の大きさ及びローカル座標系における向きを算出することも可能である。
このように構成することで、コントローラ3L、3Rにより、より多彩な制御を行うことが可能となる。
【0078】
上述の実施形態で説明した
図5〜
図7では、宇宙飛行士のオブジェクトOのモデルで、腕の関節が肩関節だけの模式図を示しているものの、これに限られない。すなわち、肘や手首や指等の関節をボーンに加えたようなモデルを用いて、応力等も考慮して加速度を算出することも可能である。加えて、加速度を算出するための重心を中心としたローカル座標系とは別に、HMD2の視線用のビュー座標系を用いることも可能である。
さらに、上述の実施形態では、宇宙飛行士のような人型のプレイヤキャラクタを例にして記載されているものの、本発明の実施形態はこれには限られない。たとえば、加速度を付加するオブジェクトは、プレイヤキャラクタが操縦するエクソスケルトン、ロボットアーム、搭乗可能なロボット、起動兵器、宇宙船等であってもよい。
また、上述のコントローラ3L、3Rは手に把持されているように記載したものの、HMDと連動する他種類のコントローラを用いることも可能である。たとえば、足に装着されるコントローラ、バンドで背中に背負われたコントローラ、モーションキャプチャ等を用いることも可能である。
このように構成することで、多彩なオブジェクトのモデルやコントローラに対して、本実施形態のゲームプログラム110による制御方法が適用可能となる。
【0079】
加えて、オブジェクトが激しく移動するとユーザが酔う可能性が高いため、オブジェクトが所定の速度以上になった場合、減速させる又は画面を暗転させる等、酔い防止の制御を行ってもよい。
【0080】
上述の実施形態は、宇宙遊泳のような姿勢制御を含めた無重力体験が可能なVRゲームである例について記載した。
しかしながら、VRゲームとして、低重力の月面、火星、準惑星上のミッション、縮退物質で囲まれた人工的な重力場のフィールドでのミッション等の各種ミッションを用意することも可能である。さらに、通常の重力下で、腕から強力な推進力を得て移動するようにして移動可能とするアクションゲーム等にも同様の制御を適用することが可能である。また、移動したいオブジェクトを選択し、同様の反発力としての加速度を付加することで、仮想空間内で意図した場所に移動させるような用途にも使用することができる。このため、本発明のプログラムによる制御方法を、例えば、アクションゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等、様々な種類のゲームに適用することもできる。
【0081】
・ハードウェア構成のバリエーション
なお、制御部10、20は、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等を含む情報処理部であってもよい。
【0082】
記憶部11は、一時的でない記録媒体であり、RAMは、主記憶部として、DRAMやSRAM等を用いてもよい。ROMは、補助記憶部として、EEPROM、フラッシュメモリ、3D Xポイント等の各種不揮発性で書き換え可能な半導体メモリを用いてもよい。加えて、補助記憶部として、HDDの代わりに、SSD(Solid State Drive)やeMMC(embedded Multi Media Card)を用いることも可能である。
【0083】
接続部12、22は、別途、専用又は汎用のコントローラと接続されてもよい。汎用のコントローラは、ゲーム機用のコントローラ、タッチパネル、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等であってもよい。
加えて、接続部12、22は、LAN、無線LAN、携帯電話網等に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含んでいてもよい。これにより、インターネット等に接続し、各種プロトコルによりデータを送受信してもよい。また、接続部12、22の無線又は有線の接続は、各種無線LAN、Bluetooth(登録商標)、専用線、USB(Universal Serial Bus)、Thunderbolt(登録商標)等であってもよい。
【0084】
画像処理部13は、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の情報処理部であってもよい。画像処理部13は、専用のメモリを備えていてもよい。
【0085】
なお、ゲーム装置1において、制御部10及び画像処理部13は、GPU内蔵CPUやチップ・オン・モジュールパッケージ等のように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10、制御部20、及び画像処理部13は、RAMやROMやフラッシュメモリ等を内蔵していてもよい。
【0086】
上述の実施形態では、本実施形態のゲームプログラム110がネイティブアプリケーションである例について記載されたものの、ウェブアプリとして構成されていてもよい。すなわち、ゲームプログラム110は、ウェブブラウザー等で実行可能なアプリであってもよい。この場合は、記憶部21に格納されるゲームプログラム110及びゲームデータ111は、毎回、RAM等に一時的に格納されてもよい。
【0087】
上述の実施形態には、ゲーム装置1としてPCを用いた例が記載されているが、本発明の実施形態はこれには限られない。たとえば、ゲームセンター等に提供されるアーケードゲーム筐体、スマートフォン等の携帯端末装置を用いて本発明を実現することもできる。また、ゲーム装置1として、家庭用(コンシューマ)のゲーム装置を用いて本発明を実現することもできる。
【0088】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0089】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。