【解決手段】ガラスミラー装置101を作製する方法の例は、約2mm以下の厚さを有する化学強化ガラス板103を提供する工程を含む。方法はさらに、第1のガラスミラー111を提供するため、ガラス板の第2の主表面107に反射層109を施す工程を含む。ガラスミラー装置は、約2mm以下の厚さを有する化学強化ガラス板及び、第1のガラスミラーを提供するため、ガラス板の第2の主表面に施された反射層を有する。
化学強化ガラス板であって、前記ガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有し、前記厚さが2mm以下であり、500MPaから800MPaの範囲内の圧縮応力及び35μmから45μmの範囲内の層深さを有し、アルミノケイ酸塩ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸ガラスを含む、化学強化ガラス板、
第1のガラスミラーを提供するため、前記ガラス板の前記第2の主表面に施された反射層、及び、
前記ガラス板を支持層に張り合わせる複合接着層であって、2つの接着層の間に挟み込まれた構造層を有してなる複合層を含む複合接着層、
を有してなる、ガラスミラー装置。
前記複合接着層が0.05mmから4mmの厚さを有し、前記支持層が0.5mmから2mmの厚さを有する化学強化ガラス支持板を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は、詳細な説明に述べられるいくつかの態様例の基本的理解を提供するための、本開示の簡略な概要を提示する。
【0005】
本開示の第1の態様にしたがえば、ガラスミラー装置を作製する方法は、化学強化ガラス板であって、ガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有する、化学強化ガラス板を提供する工程(I)を含む。厚さは約2mm以下である。方法は、第1のガラスミラーを提供するため、ガラス板の第2の主表面に反射層を施す工程(II)をさらに含む。
【0006】
第1の態様の一例にしたがえば、工程(I)は約0.5mmから約1.2mmの範囲内にあるガラス板の厚さを提供する。第1の態様の別の例にしたがえば、工程(I)はイオン交換化学強化ガラス板としてガラス板を提供する。第1の態様のまた別の例にしたがえば、工程(I)は圧縮応力が約500MPaから約800MPaの範囲内にある強化ガラス板を提供する。第1の態様のまた別の例にしたがえば、工程(I)は層深さが約35μmから約45μmの範囲内にある強化ガラス板を提供する。第1の態様のまた別の例にしたがえば、工程(I)は酸エッチングされた表面としてガラス板の第1の主表面を提供する。
【0007】
第1の態様の別の例にしたがえば、工程(II)の後、方法はガラスミラーを支持層に貼り合わせる工程(III)をさらに含む。例えば、工程(III)は接着層を用いてガラスミラーを支持層に貼り合わせる工程を含むことができる。一例において、接着層は約0.05mmから約4mmの厚さを有する。別の例において、接着層は複合層、例えば2つの接着剤層に挟み込まれた構造層を含む。さらに別の例において、支持層は、例えば約0.5mmから約2mmの厚さを有することができる、化学強化ガラス支持板を含む。
【0008】
第1の態様のまた別の例にしたがえば、方法は、第2の強化ガラス板であって、第2のガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有し、厚さは約2mm以下である、第2の強化ガラス板を提供する工程(III)をさらに含む。方法はさらに、第2のガラスミラーを提供するために第2のガラス板の第2の主表面に反射層を施す工程(IV)及び、両面ミラーを提供するために第1のガラスミラーに第2のガラスミラーを接着する工程(V)を含む。
【0009】
本開示の第1の態様は単独で、または上で論じた第1の態様の例の1つまたはいずれかの組合せとの組合せで、実施することができる。
【0010】
本開示の第2の態様にしたがえば、ガラスミラー装置は、化学強化ガラス板であって、ガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有する、化学強化ガラス板を有する。厚さは約2mm以下である。ガラスミラー装置は、第1のガラスミラーを提供するための、ガラス板の第2の主表面に施された反射層をさらに有する。第2の態様の一例にしたがえば、ガラス板の厚さは約0.5mmから約1.2mmの範囲内にある。
【0011】
第2の態様の別の例にしたがえば、ガラス板はイオン交換化学強化ガラス板を含む。例えば、強化ガラス板は約500MPaから約800MPaの範囲内にある圧縮応力を有することができる。別の例において、強化ガラス板は約35μmから約45μmの範囲内にある層深さを有する。第2の態様のまた別の例にしたがえば、ガラス板の第1の主表面は酸エッチングされた表面を含む。
【0012】
第2の態様のまた別の例にしたがえば、ガラスミラーは支持層に貼り合わされる。一例において、接着層がガラスミラーを支持層に貼り合わせる。さらに別の例において、接着層は約0.05mmから約4mmの厚さを有する。さらにまた別の例において、接着層は、2つの接着層に挟み込まれた構造層のような、複合層を含むことができる。別の例において、支持層は、例えば約0.5mmから約2mmの厚さを有する、化学強化ガラス支持板を含む。
【0013】
第2の態様のまた別の例において、装置は、第2の強化ガラス板であって、第2のガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有する、第2の強化ガラス板をさらに有する。第2の化学強化ガラス板の厚さは約2mm以下である。装置はさらに、第2のガラスミラーを提供するための、第2のガラス板の第2の主表面に施された反射層を有する。第1のガラスミラーは、両面ミラーを提供するため、第2のガラスミラーに接着される。
【0014】
本開示の第2の態様は単独で、または上で論じた第2の態様の例の1つまたはいずれかの組合せとの組合せで、提供することができる。
【0015】
本開示の上記またはその他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれたときに、一層良く理解される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以降で、本開示の実施形態例が示されている添付図面を参照して、装置及び方法をさらに十分に説明する。可能であれば必ず、図面全体を通して同じかまたは同様の要素を指すために同じ参照数字が用いられる。しかし、本開示は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に述べられる実施形態に限定されると解されるべきではない。
【0018】
重量が軽減されている、及び/または様々な環境条件による損傷への耐性を提供する、ガラスミラー装置が望まれている。本開示の態様は、ガラスミラー装置の総重量をかなり軽減できる、比較的薄い化学強化ガラス板を組み入れている。軽量ミラーは、例えば、様々な家具用途、家庭用品、化粧用途及び/または様々な建築用途(例えば、サイディング、化粧パネル、キャビネット設備、壁装材あるいは、屋内、屋外またはその他の建築用途のようなその他の建築用途)に用いることができる。本開示のガラスミラー装置の軽減された重量は、例えば、重量がガラスミラーの重要な顧客属性と見なされ得る家具用途において、利点を提供できる。実際、重量が軽くなるほど、より容易な、組立プロセス、素人工作でのハンドリング及び家宅の模様替えが可能になるであろう。さらに、軽量ミラーの使用で、輸送機関(例えば、自動車、鉄道車両、航空機、等)の用途において、燃料効率の向上及び危険な燃料の放出の低減が特徴になり得る。さらにまた、耐損傷性(例えば、耐破砕性、耐すり傷性、等)ガラスミラーは、公衆トイレ、公共輸送機間及びその他の装飾建築での使用におけるミラーのような、蛮行を受け易い場所に対して特に有益であることがわかる。さらに、本開示の態様は、ガラスミラー装置の化学強化ガラス板が割れた場合に、ガラスの破片を所定の場所に保持するに役立つように構成することができる。したがって、耐損傷性とガラスミラーが割れた場合にガラスの破片を保持できる能力の組合せは、多くの損傷を受け易い用途での使用を可能にすることができる。本開示の態様は、軽量かつ耐損傷性であるガラスミラーを提供することができ、したがって、同じガラスミラー構造で軽量及び耐損傷性が望ましい場所において特にメリットを提供することができる。さらにまた、本開示の態様は、薄いガラスミラー板を使用するから、高反射率及び低視差を含むミラーの光学性能を向上させることができる、ガラスミラーのための、高品質の、化学強化された比較的薄いディスプレイガラスを提供することができる。
【0019】
図1を参照すれば、ガラスミラー装置101は化学強化ガラス板103を備える。化学強化ガラス板103はガラス板103の第1の主表面105と第2の主表面107の間の厚さT
1を有する。化学強化ガラス板の厚さT
1は、約0.5mmから約1.6mmの範囲内、約0.5mmから約1.2mmの範囲内のような、約2mm以下とすることができる。約0.5mmから約1.6mmの範囲内、約0.5mmから約1.2mmの範囲内のような、約2mm以下の厚さを提供することで、比較的大きな厚さを有する従来のミラー構造に比較して重量が軽減されたガラスミラーを提供することができる。さらに、化学強化されたガラス板を備えることで、減じられた厚さにより、従来のガラスミラー構造に比較して軽減された重量も特徴になる、耐損傷性ガラスミラーを提供することができる。一例において、ガラス板はイオン交換化学強化ガラス板を含むが、別の例では他の手法による化学強化を実施することができる。イオン交換化学強化はガラス板に有益な属性を与えることができる。例えば、ガラス板はイオン交換化学強化によって強化される。いくつかの例において、強化されたガラスは約500MPaから約800MPaの範囲内の圧縮応力を有する。そのような圧縮応力はガラス板の表面から約35μm〜約45μmの範囲内の深さ(すなわち、層深さ)まで与えることができる。
【0020】
化学強化ガラス板には、ある種の用途の下でガラスの強度をさらに大きく高めることができる、酸エッチングされた表面を有する第1の主表面を与えることもできる。
【0021】
図1にさらに示されるように、ガラスミラー装置101にはさらに、第1のガラスミラー111を提供するためにガラス板103の第2の主表面107に施された反射層109を設けることができる。反射層の例は、反射を強めるための、スズ、銀及び銅の1つ以上の層を含むことができる。図示されていないが、反射層109はさらに、酸化およびすり傷のような化学的及び機械的な損傷から反射層を保護するために、1つ以上の塗料被膜またはその他の保護被膜で裏打ちすることができる。さらにまた、図示されていないが、ガラスミラー111には、ガラス板が何らかの理由で砕けた場合にガラスの破片、粒子またはその他の屑を保持するに役立たせるための飛散止めフィルムを設けることができる。
【0022】
ガラスミラー111は、例えば反射層109が付いている化学強化ガラス板103により、単独で提供され得る。そのようなガラスミラーは続いて、例えば取付ブラケットを用いて、適切な支持構造体に取り付けることができ、及び/または軽量で頑丈なミラーとして単独で用いることさえもできる。
【0023】
図1は、特定の場所での取付けを容易にするため、必要に応じて接着層113が設けられ得る、別の例を示す。必要に応じる接着層113には、用途に依存して、感圧接着剤(PSA)、透明粘着剤、ポリビニルブチラル(PVB)のような熱接着フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、SentryGlas(登録商標)イオノマー中間層、SentryGlas Plusイオノマー中間層、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル感圧接着テープ)、樹脂材料、熱接着材料あるいはその他のタイプの接着剤または別のタイプの結着機構を含めることができる。例えば、フック/ループ型ファスナーのような、または同様の、結着機構を用いることができる。
【0024】
別の例において、PSA層のような、接着層113を、貼り合わせ前の汚染から保護するため、シリコーン処理された剥離ライナーのような、剥離ライナー115が必要に応じて設けられ得る。したがって、ガラスミラー111は、接着層113及び付随する剥離ライナー115のような、結着機構を備えることができる。ミラーの取付けに際して、下の接着層113を露出させるため、参照数字117で示されるように、剥離ライナー115の端を剥がすことで剥離ライナー115を除去することができる。次いで、
図2に示されるように、ガラスミラー111を支持層203の取付面201のあらかじめ選ばれた所望の場所に貼り合わせるために接着層113を用いることができる。支持層203には、家具品のパネル、家庭用品の外部ハウジング、壁面(例えば、天井、縦壁)のような建築施工、支持フレームまたは、取付面を有する、その他の層を含めることができる。支持層203の取付面201はガラス板の撓みを抑えるに役立つことができ、したがって、ガラスミラーの構造保全性を高めるに役立つことができる。
【0025】
図3は上で論じたガラスミラー111を含むことができるガラスミラー装置301の別の例を示す。図示されるように、ガラスミラー111は、化学強化ガラス支持板のような、ガラス支持板を含むことができる支持層303に貼り合わせられる。支持層303は、ガラス板103の厚さT
1と実質的に同じとすることができる厚さT
2を有することができるが、別の例において厚さT
2は厚さT
1より大きくするかまたは小さくすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、支持層303は、厚さT
2が約0.5mmから約2mmの化学強化ガラス支持板を含むことができる。支持層303を化学強化ガラス支持板とすることは、ガラスミラー装置をさらに強化し、同時に他の構造と比較してガラスミラー装置の総厚を減じるに役立つことができる。
【0026】
図3には示されていないが、支持層は、プラスチック、別のタイプのガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)、金属、木材、軽量ハニカム構造体またはその他の材料タイプ及び/または複合材料のような、化学強化ガラス以外の材料を含むことができる。
【0027】
図3にさらに示されるように、ガラスミラー装置301は、ガラスミラー111を支持層303に貼り合わせるために構成された接着層305を有することもできる。接着層は広い範囲の厚さを有する広範な材料を含むことができる。一例において、接着層305は約0.05mmから約4mmの厚さT
3を有するが、別の例においては別の厚さを与えることができる。接着層には、用途に依存して、感圧接着剤(PSA)、透明粘着剤、ポリビニルブチラル(PVB)のような熱接着フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、SentryGlasイオノマー中間層、SentryGlas Plusイオノマー中間層、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル感圧接着テープ)、樹脂材料、熱接着材料あるいはその他のタイプの接着剤または別のタイプの結着機構を含めることができる。接着層305はガラスミラー111と支持層303の間の貼り合わせを容易にする。いくつかの例において、接着層305は、ガラスミラー111を支持層303に貼り合わせる主要機能を提供できる。さらなる例において、接着層305は、ある種の出来事の下でガラス板103が砕けるか、そうではなくとも壊れた場合に、ガラスの破片、粒子またはその他の屑を保持するに役立つためにはたらくこともできる。さらにまた、接着層305はガラスミラー装置構造全体にかなりのレベルの構造保全性を与えるという別の機能を有することができる。実際、接着層305はガラスミラー111を支持層303に接着するように構成された、またガラスミラー装置全体の剛性を高めるように構成されたかなり高剛性の材料シートも含む、材料シートを含むことができる。いくつかの例において、そのような接着層305は、ガラスミラー111を支持層303に取り付けるためにも機能する構造材料シートを提供するため、加熱し、次いで冷却することができる、熱可塑性層のような、熱接着層を含むことができる。
【0028】
図3に示されるように、接着層は単一の材料層を含むことができるが、別の例においては複数の材料層を設けることができる。
図4は、ガラスミラー111を支持層405に貼り合わせるように構成された複合層403を含む接着層を有する、また別の例のガラスミラー装置401を示す。複合層は、所望の接着層総厚を与えるために積み重ねることができるいくつかの、同等であるような、同様の材料層を含むことができる。あるいは、図示されるように、1つ以上の層がガラスミラー装置401の構造剛性を高めるために設計された支持機能を与えることができ、ガラスミラー111を支持層405への接着を容易にするように構成された別の層も含む。図示される例において、複合層403は、相互に実質的に同等とすることができ、あるいは異なるタイプの接着層とすることができる、2つの接着層409a,409bの間に挟み込まれた構造層407を含む。例えば、接着層409aはガラスミラー111と構造層407の間の有利な貼り合わせを与えるために選ぶことができ、接着層409bは支持層405と構造層407の間の有利な貼り合わせを与えるために選ぶことができる。
【0029】
図4の構造層407の例は約3mmから約4mmの厚さを有するポリカーボネートシートを含むことができるが、別の例においては他の厚さを用いることができる。さらに、構造層407は、例えば本出願を通して論じられる支持層に用いられる材料と同様であるかまたは同等である、別の代替材料を含むことができるが、別の例においては他の材料を用いることができる。
【0030】
図4の接着層409a,409b、
図1及び2の接着層113及び/または
図3の接着層305の例には、用途に依存して、(例えば0.05mm厚の)感圧接着剤(PSA)、透明粘着剤、(例えば0.76mm厚の)ポリビニルブチラル(PVB)のような熱接着フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、(例えば1.89mm厚の)SentryGlasイオノマー中間層、(例えば1.89mm厚の)SentryGlas Plusイオノマー中間層、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル感圧接着テープ)、樹脂材料、熱接着材料あるいはその他のタイプの接着剤または別のタイプの結着機構を含めることができる。構造支持層407は、例えば、約3mm厚のような、約1.5mmから約4mmの厚さの、ポリカーボネート層を含むことができる。
【0031】
図4の例において、複合層403の構造層407によって与えられる構造保全性はガラスミラー401の全体に所望の強度特性を与えるための支持層405の構造要件を軽減することができる。例えば、
図4に示されるように、支持層405はパーティクルボードを含むことができるが、木材、(強化されているかまたは強化されていない)ガラス、金属、プラスチックまたはその他の材料を支持層405として用いることができる。
【0032】
図5は、上で論じたガラスミラー111と同様または同等とすることができる第1のガラスミラー111a及び第2のガラスミラー111bを有する、また別の例のガラスミラー装置501を示す。実際、第1のガラスミラー111aは上で論じた化学強化ガラス板103と同様または同等の第1の化学強化ガラス板103aを含むことができる。第1の化学強化ガラス板103aは第1のガラス板103aの第1の主表面105aと第2の主表面107aの間に定められる厚さT
1を有し、厚さT
1は約2mm以下である。上で論じた反射層109と同様または同等の第1の反射層109aも設けることができる。同様に、第2のガラスミラー111bは上で論じた化学強化ガラス板103と同様または同等の第2の化学強化ガラス板103bを含むことができる。第2の化学強化ガラス板103bは第2のガラス板103bの第1の主表面105bと第2の主表面107bの間に定められる厚さT
1を有し、厚さT
1は約2mm以下である。上で論じた反射層109と同様または同等の第1の反射層109bも設けることができる。
【0033】
図5に示されるように、両面ミラーを提供するため、第1のガラスミラー111aは第2のガラスミラー111bに接着される。上で
図1〜4に関して論じた支持層にガラスミラー111を接着するために用いられる接着手法のいずれも第1のガラスミラー111aを第2のガラスミラー111bに接着するために用いることができる。例えば、厚さが約0.05mmから約4mmの接着層503を設けることができる。例えば、接着層503には、用途に依存して、(例えば0.05mm厚の)感圧接着剤(PSA)、透明粘着剤、(例えば0.76mm厚の)ポリビニルブチラル(PVB)のような熱接着フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、(例えば1.89mm厚の)SentryGlasイオノマー中間層、(例えば1.89mm厚の)SentryGlas Plusイオノマー中間層、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル感圧接着テープ)、樹脂材料、熱接着材料あるいはその他のタイプの接着剤または別のタイプの結着機構を含めることができる。
図5に示されるように、単一の接着層が設けられるが、別の例においては複合接着層を設けることができる。例えば、接着層503は上で
図4に関して論じた複合層と同様または同等の複合層を含むことができる。
【0034】
図6及び7を参照してガラスミラー装置を作製する方法の例をここで説明する。
図6を参照すれば、方法は、化学強化ガラス板103であって、ガラス板103の第1の主表面105と第2の主表面の間に定められる厚さがT
1の化学強化ガラス板103を提供する工程601を含むことができる。方法は、約0.5mmから約1.6mmまでのような、約0.5mmから約1.2mmまでのような、約2mm以下の、化学強化ガラス板103の厚さT
1を提供することができる。
【0035】
化学強化ガラス板103を提供する工程601は、例えば、ガラス板を作製後に入手する工程を含むことができる。あるいは、
図6に示されるように、化学強化ガラス板103を提供する工程601は、ガラス板を提供する工程605をともなう工程603に始まることができる。ガラス板は広範な態様で提供され得る。例えば、ガラス板は、ダウンドロー、アップドロー、フロート、フュージョン、プレスローリング、スロットドローまたはその他のガラス形成プロセス手法を用いて作製されたガラスリボンから入手することができる。ただの一例において、ガラスリボンは、清純な表面を有するガラスを作製するため、形成ウエッジからのフュージョンダウンドローによることができる。さらに、ガラスリボンは、約0.5mmから約1.6mmまでのような、約0.5mmから約1.2mmまでのような、約2mm以下の厚さで板引きすることができる。したがって、ガラス板は、ガラスリボンから様々な分離手法(例えば、機械的な及び/またはレーザによる罫書きまたは割断手法)により、適切な寸法で提供され得る。ガラス板は実質的に平坦とすることができるが、ガラス板103は用途に応じて湾曲形状を有することができる。
【0036】
ガラス板は特定の用途に依存して広範なガラス材料で形成することができる。一例において、ガラス板は、ガラス板を最終形状にするための処理後、ガラスミラー111にするための以降の処理に対して耐久性が高く軽量のガラス板を提供するため(例えば、イオン交換強化により)化学強化することができる。例えば、ガラス板は、アルミノケイ酸ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸ガラスまたはその他のガラス配合組成を含むことができる。
【0037】
最終形状に処理してしまえば、
図6に示されるように、工程607中にガラス板を化学強化することができる。一例において、工程607はガラス板をイオン交換により化学強化する。一例において、工程607は、約500MPaから約800MPaの範囲内の圧縮応力をもつ化学強化ガラス板を提供するように、ガラス板を化学強化する。別の例において、工程607は、約35μmから約45μmの範囲内の層深さまでガラス板を化学強化する。
【0038】
一例において、工程607はガラス板を化学強化して、コーニング社(Corning Incorporated)からのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスを含む、化学強化ガラス板103にする。そのようなガラスの化学強化は、例えば、米国特許第7666511号、同第4483700号及び同第5674790号の各明細書にしたがって実施することができる。化学強化はイオン交換プロセスによって実施することができる。例えば、フュージョンドローされ、ガラスリボンから割断されてガラス板につくられるガラス板(例えば、アルミノケイ酸ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸ガラス)の作製後、あらかじめ定められた時間ガラス板を溶融塩浴に浸漬することでガラス板が化学強化される。ガラス板の表面または表面近くにおいてガラス板内にあるイオンが、例えば塩浴からの、より大きな金属イオンと交換される。一実施形態において、溶融塩浴の温度は約430℃であり、あらかじめ定められた時間は約8時間である。別の実施形態において、溶融塩浴の温度はほぼ450℃であり、あらかじめ定められた時間は約4.5時間である。
【0039】
ガラスへのより大きなイオンの導入は、表面領域近傍に圧縮応力を生成することでガラス板を強化する。圧縮応力と釣り合うように、対応する引張応力がガラス板の中央領域内に誘起される。
【0040】
ガラス板103を強化するため、Corning Gorillaガラスの化学強化プロセスを用いることができる。強化されると、ガラス板103は表面から比較的深い(例えば、約40μmであり、100μmより大きくすることさえできる)深さに比較的高い(例えば、約700MPaから約730MPaであり、800MPaより大きくすることさえできる)圧縮応力を有することができる。そのようなガラスは、高い残留強度及び高い耐すり傷損傷性、高い耐衝撃性、及び高い曲げ強度を有することができ、また清純な表面も有することができる。一例のガラス組成はSiO
2,B
2O
3及びNa
2Oを含むことができ、(SiO
2+B
2O
3)≧66モル%及びNa
2O≧9モル%である。
【0041】
図6の選択工程609で示されるように、必要に応じて、ガラス板103をさらに強化するための酸エッチング工程に化学強化ガラス板103をさらにかけることができる。酸エッチング工程609は、いくつかの実施形態において、化学強化ガラス板103の表面から約1.5〜約1.7μmを除去することができる。酸エッチングは、ガラス強度が表面傷の大きさ及び先端形状に極めて敏感であるという事実に対処する。酸エッチングは、上述した表面層を除去することで1μmより小さい表面傷の大半を取り除くことができる。酸エッチングではより大きな傷を取り除くことはできないが、酸エッチング処置には、傷の先端を丸める傾向があり、これは応力集中要因を別段に劇的に低減するであろう。ガラス表面の改善(例えば、小さい表面傷の取除き及びより大きな傷の先端の丸め)は、耐衝撃性のような、ガラス強度を劇的に高めることができる。さらに、比較的浅い深さのガラスしか除去されず、表面から40μmのような、またはいくつかの例では100μmより大きくなりさえするような、ガラス板内のかなり大きな深さに比較的高い圧縮応力を有する、化学強化ガラス板に有意な圧縮応力の低下は生じないであろう。
【0042】
一例において、酸エッチング工程は横型スプレイエッチングシステムで、1.5M HF/0.9M H
2SO
4の化学溶液を用いて行うことができる。他のプロセスパラメータには、90°F(32.2℃)のプロセス温度、40秒のプロセス時間、20psi(約1.38×10
5Pa)のスプレイ圧、15サイクル/分のスプレイ振動数及び0.48ガロン(約1.8リットル)/分円錐形スプレイノズルの使用を含めることができる。酸エッチング後、処理されたガラスは、水を用いる、20psiのスプレイ圧及び0.3ガロン(約1.1リットル)/分ファンジェットパターンノズルによるリンス工程で洗浄することができる。次いで、酸エッチングされた化学強化ガラス板は、空気流乾燥システムを用い、5hp(約3.7kW)空気タービンが供給する空気の下で乾燥させることができる。
【0043】
図6に示されるように、方法はさらに、ガラスミラー111を提供するため、ガラス板103の第2の主表面107に反射層109を施す工程611を含むことができる。反射層の例は、反射を強めるための、スズ、銀及び銅の1つ以上の層を有することができる。図示されてはいないが、方法はさらに、酸化およびすり傷のような、化学的及び機械的な損傷から反射層を保護するための、1つ以上の塗料被覆またはその他の保護被覆のような、裏打ちを反射層109に施す工程を含むことができる。さらにまた、方法は、何らかの理由でガラス板が砕けた場合にガラスの破片、粒子またはその他の屑を保持するに役立たせるための飛散止めフィルムをミラーに施す工程を含むことができる。方法は、単独であるいは支持層または他のアプリケーションと組み合わせて用いることができるガラスミラーが作製される、工程613で終了することができる。
【0044】
図7に示されるように、ガラスミラー装置はさらに、上で
図6の工程601に関して論じたような、ガラスミラーを提供する工程702をともなう工程701に始まる方法を含むことができる。方法は次いで、必要に応じて、ガラスミラーを支持層に貼り合わせる工程703に進むことができる。例えば、
図2に示されるように、工程703は支持層203の取付面201にガラスミラー111を貼り合わせる工程を含むことができる。
図3に示されるように、工程703はガラス板303(例えば、化学強化ガラス板)を含む支持層にガラスミラー111を貼り合わせる工程を含むことができる。
図3に示されるように、一例において、ガラス板は厚さが約0.5mmから約2mmの化学強化ガラス支持板を含む。
【0045】
図4に示されるように、工程703はパーティクルボードを含む支持層405にガラスミラー111を貼り合わせる工程を含むことができるが、木材、(強化されているかまたは強化されていない)ガラス、金属、プラスチックまたはその他の材料を支持層405として用いることができる。さらにまた、
図5に示されるように、工程703は、両面ミラー装置を提供するため、別のカラスミラー111bを含む支持層にガラスミラー111aを貼り合わせる工程を含むことができる。
【0046】
支持層にガラスミラーを貼り合わせる工程703はいくつかの例において接着層を用いて実施することができる。いくつかの例において、接着層は約0.005mmから約4mmの厚さを有することができるが、別の例においては別の厚さを用いることができる。さらに、
図1〜3及び5に示されるように、接着層113,305,503は単層を含むことができるが、別の例においては多重層を与えることができる。例えば、
図4に示されるように、接着層403は、いくつかの例において複合層を含むことができる。特定の例の1つにおいて、複合層は、必要に応じて、2つの接着層409a,409bの間に挟み込まれた構造層407を含むことができる。工程703は完了すると、ガラスミラー装置を形成する方法は参照数字705で示されるように完了したと見なすことができる。
【0047】
別の必要に応じる例において、ガラスミラー111を提供する工程702の後、方法は接着層を与える工程707に進むことができる。例えば、
図1に示されるように、接着層113をガラスミラー111に設けることができる。方法は次いで、接着層113を用いて支持層にガラスミラー111を貼り合わせる工程709に進むことができる。例えば、
図2に示されるように、方法工程709は、接着層113がガラスミラー111を支持層203に貼り合わせるように、ガラスミラーを支持層203の取付面201に押し付ける工程を含むことができる。別の例において、工程707は、
図3に示されるように、接着層305によるガラスミラー111の支持層303への貼り合わせを可能にする。あるいは、工程707は複合接着層403によるガラスミラー111の支持層405への貼り合わせを提供することができる。接着層または複合層の複数の部分は、用途に依存して、感圧接着剤(PSA)、透明粘着剤、ポリビニルブチラル(PVB)のような熱接着フィルム、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン−ビニルアセテート(EVA)、SentryGlasイオノマー中間層、SentryGlas Plusイオノマー中間層、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル感圧接着テープ)、樹脂材料、熱接着材料あるいはその他のタイプの接着剤または別のタイプの結着機構を含めることができる。いくつかの例において、いくつかの接着層は初めに、温度が約20℃と約25℃の範囲にあって、相対湿度が約24%から約28%R.H.(相対湿度)にある、制御されたチャンバ内で状態調整され、次いで清浄環境内(例えば、ダストコントロール構成を有するクリーンルーム内)でガラスミラー111及び接着層305,403に貼り合わされて、最後に、ガラスミラーと支持層の間の所望の貼り合わせを達成するために、特定の(例えば、約95℃から約150℃の範囲にある)温度及び約70psi(約4.8×10
5Pa)から約90psi(約6.2×10
5Pa)の圧力において熱接着される。感圧接着剤(PSA)、透明粘着フィルム(OCA)及びUV硬化性接着層のような、他の接着層には製造プロセスにおける熱接着要件が必要ではない。そのような層は、他のタイプの接着層と比較して、比較的薄く(例えば、約0.05mmから約0.3mmに)することができる。
【0048】
先述したように、接着層は複合接着層403を含むことができる。そのような複合層は、増大された厚さ及び/または高められた剛性が有益な用途において望ましいことがあり得る。そのような例において、複合接着層403は、相互に実質的に同等とすることができるか、または異なるタイプの接着層とすることができる、2つの接着層409a,409bの間に挟み込まれた構造層407を含むことができる。一例において、構造層407は厚さが約3mmから約4mmのポリカーボネートシートを含むことができるが、所望の属性(例えば、重量、剛性、等)に応じて、他の例では別の厚さを用いることができる。接着層409a,409bは例えば、厚さが例えば約50μmの、PSAフィルムを含むことができる。別の例において、接着層409a,409bは、例えば厚さが約0.38mmから約0.76mmの、PVBフィルムを含むことができる。
【0049】
また別の例において、第1のガラスミラー111aを提供する工程702の後、方法は上で
図6の工程601に関して論じたような、第2のガラスミラーを提供する工程711に進むことができる。例えば、工程711は、第2の化学強化ガラス板であって、第2のガラス板の第1の主表面と第2の主表面の間に定められる厚さを有し、厚さは約2mm以下である、第2の化学強化ガラス板を提供する工程を含むことができる。工程711はさらに、第2のガラスミラー111bを提供するため、第2のガラス板の第2の主表面に反射層を施す工程を含むことができる。第1のガラスミラー111a及び第2のガラスミラー111bが提供されると、方法は、(例えば、
図5に示されるような)両面ミラーを提供するため、第1のガラスミラー111aを第2のガラスミラー111bに接着する工程713に進むことができる。接着工程の例は上で
図1〜4に関して説明した接着層のいずれかを用いて実施することができる。
【0050】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な改変及び変形が本開示になされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本開示の改変及び変形が添付される特許請求項及びそれらの等価形態の範囲内に入れば、本発明はそれらの改変及び変形を包含するとされる。