【実施例】
【0046】
実施例1
第1の実施例において、「Corning」「Gorilla」Glass(コード2318)の4インチ×4インチ(約10cm×約10cm)×0.7mmのガラス板に、6時間に亘り460℃で100%のKNO
3の溶融塩浴におけるイオン交換を施し、その後、6時間に亘り455℃で空気中のアニールを行った。
【0047】
イオン交換後であるがアニール前に、ガラス板は、約620MPaの初期圧縮応力(iCS)および約71.5μmの圧縮層の初期深さ(iDOL)を示した。このiDOLは最終物品において望ましいであろうよりも低かったが、ここに論じた実施の形態によれば、DOLは、アニールプロセス中に増加するであろうことが知られていた。イオン交換プロセスの温度は、製造スループットに関して妥当な時間でiDOLの目標に到達するように選択したが、その薬浴の分解を制限するために480℃未満にした。圧縮層の深さ(DOL)は、FSM−6000または同等物などを使用して、ガラスの屈折率から測定してもよいことに留意すべきである。内部応力が圧縮から張力に変化する深さとして定義される、物理的性能に関するいわゆる「真のDOL」は、全てではなくともほとんどのガラスについては、それより浅いようである。
【0048】
イオン交換後であるがアニール前に、ガラス板は、最終製品において望ましいよりも低く、より浅いiDOLまでイオン交換されたガラス板において達成されるであろうよりも低い初期圧縮応力(iCS)を示した。しかしながら、このiCSは、まだかなりの値、すなわち、この実施例において約620MPaであった。上述したように、イオン交換プロセスの温度は、iDOLの目標に到達するように選択したが、そのような選択はiCSにも影響を与え、したがって、そのような選択は、プロセスパラメータを設定する上での検討事項となることがあることに留意すべきである。
【0049】
イオン交換後であるがアニール前に、ガラス板は、比較的高い中央張力(iCT)を示し、これは、最終物品において望ましいよりも高かった。しかしながら、CTは、アニールプロセス中に減少するであろうことが分かっていた。iCTはこの実施例において約56MPaであった。そのような高いCT(ガラスの選択された砕けやすさの限界を超える)では、傷がDOLを貫通した場合、CTからの蓄積エネルギーのために、ガラスが砕けるであろう。特定の最小CTより高いと、破損したガラスの小片数はCT
4に比例し、よって、高いCTは望ましくないであろうことが示された。多数片への破砕に関する臨界CTは、ガラスの厚さにより変動する。コード2318ガラスの0.7mm厚のガラス板において、48MPa未満のCTでは、1つの鋭い傷からは多数の小片には破砕しないことが実験により分かった。上述したように、イオン交換プロセスの温度は、iDOLの目標に到達するように選択したが、そのような選択はiCTにも影響を与え、したがって、そのような選択は、プロセスパラメータを設定する上での検討事項となることがあることに留意すべきである。
【0050】
特に、中央張力(CT)は、破損挙動を決定する上での支配的な要因である。CTは、しばしば、CT=(CS
*DOL)/(L−2
*DOL)と近似され、式中、Lはガラスの厚さである。この近似は、アニールプロセス中に、DOLが増加し、濃度プロファイルが漸進的に変化するにつれて、次第に不正確になる。中央張力(CT)のより正確な測定は、その部品内の全応力がゼロになるのに必要な内部応力である。
【0051】
上述したように、ポストイオン交換アニールプロセスは、iCSおよびiCTを低下させつつ、iDOLを増加させる働きをする。455℃での6時間のアニール後、最終圧縮応力(fCS)は約227MPaであり、圧縮層の最終深さ(fDOL)は約100μmであり、最終中央張力(fCT)は42MPaであった。アニールプロセスの時間は、製造スループット条件を釣り合わせるために、イオン交換期間と等しくした。温度は、約100μmの圧縮層の最終深さ(fDOL)、および約48MPa未満の最終中央張力(fCT)を達成するように選択した。特定の温度は、シミュレーションまたは試行錯誤により推測してもよい。最終圧縮応力(fCS)は、未処理のまたは熱的に焼き戻されたガラスのものより高いままであり、結果として生じたfDOLは、自動車用板ガラスなどのある用途に典型的に見られる傷の深さよりも大きかった。それゆえ、数がfDOLを貫通した場合、低いfCTは、ガラスの望ましくない破砕(これは、視覚を遮るか、またはガラス片を飛散させることがある)を防ぐはずである。fCSの低下により、ガラスが所望のレベルまで破損する荷重が低下する。
【0052】
実施例2
第2の実施例において、「Corning」「Gorilla」Glass(コード2318)の1100×500mm×0.7mmのいくつかのガラス板に、9.5時間に亘り420℃で100%のKNO
3の溶融塩浴におけるイオン交換を施した。これにより、各ガラス板に、約630MPaの初期圧縮応力(iCS)および約57μmの圧縮層の初期深さ(iDOL)が生じた。ガラス板の内の2枚はアニールせず、PVBを使用して互いに貼り合わせた。ガラス板の内の10枚を、10時間に亘り420℃で空気中においてアニールし、この10枚の板の対を、PVBを使用して互いに貼り合わせた。このアニールにより、各ガラス板において、約290MPaの最終圧縮応力(fCS)および約92μmの圧縮層の最終深さ(fDOL)が生じた。
【0053】
それぞれの積層構造に、自動車の衝撃安全基準試験、すなわち、ECE(国際連合欧州経済委員会)R43頭部衝撃試験を行った。この試験は、10Kgの木製頭部を1.5メートルの高さから各積層構造に落下させる工程を含む。この試験に合格するには、積層構造は撓んで砕け、ほぼ衝撃地点を中心とする多数の円形クラックを示さなければならない。アニールプロセスが行われなかった積層構造は高強度(高いiCS)であるために、この構造は、試験中に限度内で壊れ損なった。しかしながら、アニールプロセスを行った5つの積層構造の各々は、指定限界内で破砕し、規制試験に合格した。
【0054】
ここに記載されたプロセスにより、表面圧縮層を備えた薄いガラス物品を形成することができ、非強化ガラスを上回る高い残留強度と耐衝撃性が可能になる。ガラス表面での最終圧縮応力(fCS)は、従来のイオン交換におけるよりも低く、そのため、このガラスは、このことが望ましい用途において、最大強度および砕けやすさの限界に合格することができる。しかしながら、このガラスは、圧縮層の深い最終深さ(fDOL)も維持し、そのガラスは、環境損傷に耐性となる。
【0055】
ここに記載されたプロセスは、幅広い用途に適しているであろう。特に興味深い用途の1つは、自動車用板ガラス用途であり、このプロセスにより、自動車の衝撃安全基準に合格できるガラスを製造することができる。他の用途は、当業者により特定されるであろう。
【0056】
図5は、本開示のいくつかの実施の形態の断面図である。
図6は、本開示の追加の実施の形態の斜視図である。
図5および6を参照すると、例示の実施の形態は、上述したように、熱処理され、イオン交換され、アニールされた、化学強化ガラス、例えば、「Gorilla」Glassの2層を含むことができる。例示の実施の形態は、約300MPaの表面圧縮または圧縮応力および約60マイクロメートル超のDOLを有することができる。好ましい実施の形態において、積層板10は、1.0mm以下の厚さを有し、60マイクロメートル超のDOLで約250MPaから約350MPaの残留表面CSレベルを有するガラスの外層12から構成することができる。別の実施の形態において、外層12のCSレベルが約300MPaであることが好ましい。この積層板10は、高分子中間膜14、およびこれもまた1.0mm以下の厚さを有し、60マイクロメートル超のDOLで約250MPaから約350MPaの残留表面CSレベルを有するガラスの内層16も備えている。別の実施の形態において、内層16のCSレベルが約300MPaであることが好ましい。1つの実施の形態において、中間膜14は約0.8mmの厚さを有して差し支えない。例示の中間膜14は、以下に限られないが、ポリビニルブチラールまたは他の適切な高分子材料を含み得る。追加の実施の形態において、外層12および/または内層16の表面のいずれも、外部衝撃事象に対する耐久性を改善するために、酸エッチングすることができる。例えば、1つの実施の形態において、外層12の第1の表面13は酸エッチングされている、および/または内層の別の表面17は酸エッチングされている。別の実施の形態において、外層の第2の表面15は酸エッチングされている、および/または内層の別の表面19は酸エッチングされている。このように、そのような実施の形態は、従来の積層構造よりも実質的に軽く、規制衝撃要件に適合する積層構造を提供できる。
【0057】
本開示の別の実施の形態において、例示の積層構造を構築するために、薄いが高強度のガラスを少なくとも1つの層、使用することができる。そのような実施の形態において、例示の積層板10のガラスの外層12および/または内層16に、化学強化ガラス、例えば、「Gorilla」Glassを使用することができる。別の実施の形態において、ガラスの内層16は、従来のソーダ石灰ガラス、アニールガラスなどであって差し支えない。外層12および/または内層16の例示の厚さは、0.55mmから1.5mmから2.0mm以上の厚さに及んで差し支えない。その上、外層12と内層16の厚さは、積層板10において異なっても差し支えない。例示のガラス層は、その全てがここに引用される、米国特許第7666511号、同第4483700号、および同第5674790号の各明細書に記載されているように、フュージョンドロー法、次いで、そのような板引きガラスを化学強化することにより製造できる。このように例示のガラス層12、16は、CSの深いDOLを有することができ、高い曲げ強度、耐引掻性および耐衝撃性を示すことができる。例示の実施の形態は、耐衝撃性を増加させるために、酸エッチングまたは火炎処理された表面を含んで差し支えなく、そのような表面の強度は、これらの表面上の傷のサイズと程度を減少させることによって増加する。積層の直前にエッチングされた場合、エッチングまたは火炎処理の強化利益は、中間膜に結合された表面上で維持することができる。
【0058】
本開示の1つの実施の形態は、第1のガラス層、第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の中間にある少なくとも1つの高分子中間膜を有する積層構造に関する。この第1のガラス層は、約250MPaと約350MPaの間の表面圧縮応力および約60μm超のCSの層の深さ(DOL)を有する薄い化学強化ガラスから構成することができる。別の実施の形態において、前記第2のガラス層は、約250MPaと約350MPaの間の表面圧縮応力および約60μm超のCSの層の深さ(DOL)を有する薄い化学強化ガラスから構成することができる。第1および/または第2のガラス層の好ましい表面圧縮応力は約300MPaであり得る。いくつかの実施の形態において、第1および/または第2のガラス層の厚さは、1.5mm以下の厚さ、1.0mm以下の厚さ、0.7mm以下の厚さ、0.5mm以下の厚さ、約0.5mmから約1.0mmの範囲内の厚さ、約0.5mmから約0.7mmの厚さであり得る。もちろん、第1と第2のガラス層の厚さおよび/または組成は、互いに異なっても差し支えない。その上、前記中間膜の反対の第1のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えなく、その中間膜の隣接する第2のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えない。例示の高分子中間膜は、以下に限られないが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、遮音PVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、熱可塑性材料、およびそれらの組合せなどの材料を含む。
【0059】
本開示の別の実施の形態は、第1のガラス層、第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の中間にある少なくとも1つの高分子中間膜を有する積層構造に関する。この第1と第2のガラス層は、約250MPaと約350MPaの間の表面圧縮応力および約60μm超の圧縮層の深さ(DOL)を有する薄い化学強化ガラスから構成することができる。第1および/または第2のガラス層の好ましい表面圧縮応力は約300MPaであり得る。いくつかの実施の形態において、第1および/または第2のガラス層の厚さは、1.5mm以下の厚さ、1.0mm以下の厚さ、0.7mm以下の厚さ、0.5mm以下の厚さ、約0.5mmから約1.0mmの範囲内の厚さ、約0.5mmから約0.7mmの厚さであり得る。もちろん、第1と第2のガラス層の厚さは、互いに異なっても差し支えない。その上、前記中間膜の反対の第1のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えなく、その中間膜の隣接する第2のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えない。別の実施の形態において、前記中間膜と接触している第1のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えなく、その中間膜の反対の第2のガラス層の表面は酸エッチングされても差し支えない。例示の高分子中間膜は、以下に限られないが、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート、遮音PVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、イオノマー、熱可塑性材料、およびそれらの組合せなどの材料を含む。
【0060】
自動車乗員への衝突損傷の損傷レベルに関する懸念のために、自動車用板ガラス製品に、比較的破損しやすいことが要求されている。例えば、ECE R43改正2において、積層板に内部物体(衝突中の乗員の頭部による)から衝撃が与えられたときに、その積層板は、その事象中にエネルギーを消散させ、乗員への怪我の恐れを最小にするように破砕すべきであるという要件がある。この要件のために、一般に、積層構造の両方の層として高強度ガラスを直接使用することが回避されている。大規模な頭部試験によって、約250MPaから約350MPaの、好ましくは約300MPaの残留表面圧縮応力を有し、各層について約0.7mmのガラス厚を有する化学強化ガラスの層を1つ以上有する本開示の実施の形態による例示の積層構造が、常に、これのら試験の要件に適合することが見出された。
【0061】
図6を引き続き参照すると、1.0mm以下の厚さを有し、約60マイクロメートル超のDOLで、約250MPaから約350MPaの残留表面CSレベルを有するガラスの外層12、高分子中間膜14、およびこれも1.0mm以下の厚さを有し、約60マイクロメートル超のDOLで、約250MPaから約350MPaの残留表面CSレベルを有するガラスの内層16を有する別の例示の積層構造10の実施の形態が示されている。図示されるように、積層構造10は、平らであっても、もしくは成形されたガラスをフロントガラスまたは車両に使用される他のガラス構造に曲げることによって、三次元形状に形成しても差し支えない。
【0062】
図7は、本開示のいくつかの実施の形態の残留強度データを示すグラフである。
図7を参照すると、様々な荷重(3N、5N、7Nおよび10N)でヌープ圧子により引っ掻いた後のガラスの単層のリング・オン・リングで測定した、残留強度データの箱ひげ図が示されている。このグラフは、例示のポストイオン交換およびアニールプロセスを使用して、上述したガラスの層における最終残留応力プロファイルを作成することによって、圧縮層の深さを延ばす利益の説明を提供する。
図7は、様々な荷重レベル(3N、5N、7Nおよび10N)で先端がダイヤモンドのヌープ圧子により引っ掻かれたガラスの残留強度(リング・オン・リングにより測定)のプロットを提供する。ほぼCS=700の残留表面応力レベルおよびDOL=45μmを有する典型的なイオン交換した「Gorilla」Glassは、10Nの引っ掻きに耐えられず、一方で、CS=300およびDOL=70μmを有するポストイオン交換ガラスは、そのような損傷に耐えた。このように、本開示の実施の形態は、車両の内側から衝撃が与えられたときに、所望の制御された破砕挙動を維持しながら、質量の減少を達成するために、従来の製品におけるよりも薄いガラス層を使用することができるであろう。
【0063】
イオン交換に関するさらなる詳細−ガラス組成
上述したように、イオン交換ガラス工程およびアニール工程の条件は、ガラス表面での所望の圧縮応力(CS)、圧縮層の所望の深さ(DOL)、および所望の中央張力(CT)を達成するために調節される。そのような特徴の全てが重要であるが、イオン交換工程は、特に、圧縮層の深さ(DOL)に向けられる。
【0064】
このイオン交換工程は、ガラス板を所定の期間に亘り溶融塩浴中に浸漬することによって行われ、その浸漬において、ガラス板内のその表面または表面近くにあるイオンが、例えば、その塩浴からの、より大きいイオンと交換される。一例として、溶融塩浴はKNO
3を含むことがあり、溶融塩浴の温度は約400〜500℃の範囲内にあることがあり、所定の期間は約4〜24時間の範囲、好ましくは約4〜10時間の間にあることがある。ガラス中により大きいイオンが取り込まれると、表面近くの領域に圧縮応力が生じることによって板が強化される。この圧縮応力を釣り合わせるために、ガラス板の中央領域内に、対応する引張応力が生じる。
【0065】
さらに別の例として、ガラス板内のナトリウムイオンは、溶融塩浴からのカリウムイオンにより置換されることがあるが、ルビジウムまたはセシウムなどの、原子半径のより大きい他のアルカリ金属イオンが、ガラス板内のより小さいアルカリ金属イオンを置換してもよい。特定の実施の形態によれば、ガラス板内のより小さいアルカリ金属イオンはAg
+イオンにより置換されることがある。同様に、以下に限られないが、硫酸塩、ハロゲン化物などの他のアルカリ金属塩をイオン交換プロセスに使用してもよい。
【0066】
ガラス網目構造が緩和し得る温度より低い温度で、より小さいイオンをより大きいイオンで置換すると、ガラス板の表面に亘り、応力プロファイルをもたらすイオン分布が生じる。入り込むイオンの体積がより大きいために、ガラスの表面に圧縮応力(CS)が、ガラスの中央領域に張力(中央張力、またはCT)が生じる。この圧縮応力は、以下の近似の関係式により中央張力に関連付けられる:
【0067】
【数1】
【0068】
式中、tはガラス板の全厚であり、DOLは、圧縮層の深さとも称される、交換の深さである。
【0069】
前記ガラス板を製造するのに、いくつの特定のガラス組成物を使用してもよい。例えば、ここに記載した実施の形態に使用するのに適したイオン交換可能なガラスとしては、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスが挙げられるが、他のガラス組成物も考えられる。ここに用いたように、「イオン交換可能な」は、ガラスが、そのガラスの表面またはその近くに位置する陽イオンを、サイズがそれより大きいか小さい同じ価数の陽イオンと交換できることを意味する。
【0070】
例えば、適切なガラス組成物は、SiO
2、B
2O
3およびNa
2Oを含み、ここで、(SiO
2+B
2O
3)≧66モル%およびNa
2O≧9モル%である。ある実施の形態において、ガラス板は少なくとも6質量%の酸化アルミニウムを含む。さらに別の実施の形態において、ガラス板は、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5質量%であるように、1種類以上のアルカリ土類酸化物を含む。適切なガラス組成物は、いくつかの実施の形態において、K
2O、MgO、およびCaOの内の少なくとも1つをさらに含む。特別な実施の形態において、ガラスは、61〜75モル%のSiO
2、7〜15モル%のAl
2O
3、0〜12モル%のB
2O
3、9〜21モル%のNa
2O、0〜4モル%のK
2O、0〜7モル%のMgO、および0〜3モル%のCaOを含んで差し支えない。
【0071】
ハイブリッドガラス積層板を形成するのに適したさらに別の例のガラス組成物は、60〜70モル%のSiO
2、6〜14モル%のAl
2O
3、0〜15モル%のB
2O
3、0〜15モル%のLi
2O、0〜20モル%のNa
2O、0〜10モル%のK
2O、0〜8モル%のMgO、0〜10モル%のCaO、0〜5モル%のZrO
2、0〜1モル%のSnO
2、0〜1モル%のCeO
2、50ppm未満のAs
2O
3、および50ppm未満のSb
2O
3を含み、ここで、12モル%≦(Li
2O+Na
2O+K
2O)≦20モル%、および0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0072】
さらにまた別の例のガラス組成物は、63.5〜66.5モル%のSiO
2、8〜12モル%のAl
2O
3、0〜3モル%のB
2O
3、0〜5モル%のLi
2O、8〜18モル%のNa
2O、0〜5モル%のK
2O、1〜7モル%のMgO、0〜2.5モル%のCaO、0〜3モル%のZrO
2、0.05〜0.25モル%のSnO
2、0.05〜0.5モル%のCeO
2、50ppm未満のAs
2O
3、および50ppm未満のSb
2O
3を含み、ここで、14モル%≦(Li
2O+Na
2O+K
2O)≦18モル%、および2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0073】
別の実施の形態において、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、61〜75モル%のSiO
2、7〜15モル%のAl
2O
3、0〜12モル%のB
2O
3、9〜21モル%のNa
2O、0〜4モル%のK
2O、0〜7モル%のMgO、および0〜3モル%のCaOを含む、から実質的になる、またはからなる。
【0074】
特別な実施の形態において、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、アルミナ、少なくとも1種類のアルカリ金属およびいくつかの実施の形態において、50モル%超のSiO
2、他の実施の形態において、少なくとも58モル%のSiO
2、さらに他の実施の形態において、少なくとも60モル%のSiO
2を含み、ここで、比(Al
2O
3+B
2O
3)/Σ改質剤>1であり、この比において、成分はモル%で表され、改質剤はアルカリ金属酸化物である。このガラスは、特別な実施の形態において、58〜72モル%のSiO
2、9〜17モル%のAl
2O
3、2〜12モル%のB
2O
3、8〜16モル%のNa
2O、および0〜4モル%のK
2Oを含み、から実質的になり、またはからなり、比(Al
2O
3+B
2O
3)/Σ改質剤>1である。
【0075】
さらに別の実施の形態において、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、60〜70モル%のSiO
2、6〜14モル%のAl
2O
3、0〜15モル%のB
2O
3、0〜15モル%のLi
2O、0〜20モル%のNa
2O、0〜10モル%のK
2O、0〜8モル%のMgO、0〜10モル%のCaO、0〜5モル%のZrO
2、0〜1モル%のSnO
2、0〜1モル%のCeO
2、50ppm未満のAs
2O
3、および50ppm未満のSb
2O
3を含み、から実質的になり、またはからなり、ここで、12モル%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%、および0モル%≦MgO+CaO≦10モル%である。
【0076】
さらに別の実施の形態において、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、64〜68モル%のSiO
2、12〜16モル%のNa
2O、8〜12モル%のAl
2O
3、0〜3モル%のB
2O
3、2〜5モル%のK
2O、4〜6モル%のMgO、および0〜5モル%のCaOを含み、から実質的になり、またはからなり、ここで、66モル%≦SiO
2+B
2O
3+CaO≦69モル%、Na
2O+K
2O+B
2O
3+MgO+CaO+SrO>10モル%、5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%、(Na
2O+B
2O
3)≦Al
2O
3≦2モル%、2モル%≦Na
2O≦Al
2O
3≦6モル%、および4モル%≦(Na
2O+K
2O)≦Al
2O
3≦10モル%である。
【0077】
利点
上述した実施の形態の1つ以上の利点として、以下の内の1つ以上が含まれることがある:非強化ガラスと比べて、改善された残留強度および耐衝撃性;ガラスの従来の熱的焼き戻しと比べて、比較的高い圧縮応力および薄ガラスとのより高い適合性;標準的な単一工程イオン交換技法と比べて、比較的深い圧縮層の深さ;および減少したサイクル時間および費用がそれほどかからない資本設備要件のために、従来の単一工程イオン交換プロセスと比べて、比較的深いDOLを達成するための著しく安いコスト。例えば、混合アルカリ浴(例えば、50%のKNO
3+50%のNaNO
3)における新規のイオン交換プロセスで、より安い加工費が達成される。特に、より低いCSを達成するために、ナトリウム含有浴を使用できるが、拡散速度が対応して減少するので、比較的深いDOLに達する時間が著しく増加してしまう。
【0078】
この記載は多くの詳細を含むことがあるが、これらは、その範囲の制限ではなく、むしろ、特定の実施の形態に特有なことがある特徴の説明と考えるべきである。個別の実施の形態の文脈でこれまで記載してきた特定の特徴は、1つの実施の形態において、組合せで実施してもよい。反対に、1つの実施の形態の文脈において記載された様々な特徴が、いくつかの実施の形態において別々に、または任意の適切な下位の組合せで、実施してもよい。さらに、特徴は、特定の実施の形態において機能するものと先に記載され、それ自体元から請求項に記載されてさえいるかもしれないが、請求項の組合せからの1つ以上の特徴は、ある場合には、その組合せから削除されてもよく、請求項の組合せは、下位の組合せまたは下位の組合せの変形に関してもよい。
【0079】
同様に、操作が、特定の順序で図面に示されているが、これは、そのような操作が、図示された特定の順序または連続順序で行われること、または所望の結果を達成するために、図示された操作の全てが行われることを要求すると理解すべきではない。特定の環境において、並行作業および並列処理が都合よいこともある。
【0080】
図に示された様々な構成および実施の形態により示されるように、イオン交換ガラスおよび結果として得られる装置を製造するための様々な方法が記載されてきた。
【0081】
本開示の好ましい実施の形態が記載されてきたが、記載された実施の形態は、説明目的のためだけであること、および本発明の範囲は、同等物の完全な範囲が認められた場合、付随の特許請求の範囲のみにより定義されるべきであり、多くの改変および変更が、その精読によって当業者に必然的に想起されることが理解されよう。