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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-194493(P2019-194493A)
(43)【公開日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】動力伝達装置のシフト機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/18 20060101AFI20191011BHJP
【FI】
   F16H63/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-38275(P2019-38275)
(22)【出願日】2019年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2018-86858(P2018-86858)
(32)【優先日】2018年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩津 勇
(72)【発明者】
【氏名】吉野 弘紹
(72)【発明者】
【氏名】駒田 英明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽介
【テーマコード(参考)】
3J067
【Fターム(参考)】
3J067AC01
3J067BA17
3J067DA32
3J067EA04
3J067EA32
3J067EA81
3J067FB83
(57)【要約】
【課題】動力伝達装置のシフト機構を小形化する。
【解決手段】シフト機構10は、回転軸線18上に同心配置された第1伝動軸12、第2伝動軸14および第3伝動軸16の間で伝達経路の切り替えを行う。シフト機構10は、回転軸線18に同軸に、かつ回転軸線周りに回動可能に設けられた駆動ドラム28と、 回転軸線18上に駆動ドラム28と同心に配置され、駆動ドラム28の回動によって回転軸線に沿って移動する第1従動ドラム30および第2従動ドラム32を有する。第1従動ドラム30の移動によって第1シフトスリーブ24が進退し、第1伝動軸12と第2伝動軸14が継断される。また、第2従動ドラム32の移動によって第2シフトスリーブ26が進退し、第2伝動軸14と第3伝動軸16が継断される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線上に同心配置された第1伝動軸、第2伝動軸および第3伝動軸と、
回転軸線に沿って進退して第1伝動軸と第2伝動軸を継断する第1シフトスリーブと、
回転軸線に沿って進退して第2伝動軸と第3伝動軸を継断する第2シフトスリーブと、
回転軸線に同軸に、かつ回転軸線周りに回動可能に設けられた駆動ドラムと、
回転軸線上に駆動ドラムと同心に配置され、駆動ドラムの回動によって回転軸線に沿って移動して第1シフトスリーブを進退させる第1従動ドラムと、
回転軸線上に駆動ドラムと同心に配置され、駆動ドラムの回動によって回転軸線に沿って移動して第2シフトスリーブを進退させる第2従動ドラムと、
を有する、動力伝達装置のシフト機構。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
駆動ドラムには、周面に第1カム溝および第2カム溝が設けられ、
第1従動ドラムは、第1カム溝に係合する第1従動ピンを有し、第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第1カム溝のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第2従動ドラムは、第2カム溝に係合する第2従動ピンを有し、第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第2カム溝のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する、
動力伝達装置のシフト機構。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、第1カム溝と第2カム溝のプロフィールが周方向においてそろっており、第1従動ピンと第2従動ピンの位置が周方向においてずれている、動力伝達装置のシフト機構。
【請求項4】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
駆動ドラムは、周面に第1駆動ピンと第2駆動ピンを有し、
第1従動ドラムには、第1駆動ピンと係合する第1カム溝が設けられ、駆動ドラムの回動に伴う第1駆動ピンの回動によって第1カム溝のプロフィールに従って第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第2従動ドラムには、第2駆動ピンと係合する第2カム溝が設けられ、駆動ドラムの回動に伴う第2駆動ピンの回動によって第2カム溝のプロフィールに従って第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する、
動力伝達装置のシフト機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、第1従動ドラムまたは第2従動ドラムは回転軸線周りに所定角度回動可能であり、所定角度の回動によって第1従動ドラムと第2従動ドラムが同時に移動する状態と、ずれて移動する状態をとることができる、動力伝達装置のシフト機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、第1従動ドラムが駆動ドラムの内周側に配置され、第2従動ドラムが駆動ドラムの外周側に配置された、動力伝達装置のシフト機構。
【請求項7】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
駆動ドラムには、周面に単一のカム溝が設けられ、
第1従動ドラムは、単一のカム溝に係合する第1従動ピンを有し、第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って単一のカム溝のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第2従動ドラムは、単一のカム溝に係合する第2従動ピンを有し、第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って単一のカム溝のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する、
動力伝達装置のシフト機構。
【請求項8】
請求項7に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、第1従動ドラムと第2従動ドラムの双方が、駆動ドラムの内周側と外周側のいずれか一方に配置されている、動力伝達装置のシフト機構。
【請求項9】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
第1従動ドラムは、周面に立設された第1従動ピンを有し、
第2従動ドラムは、周面に立設された第2従動ピンを有し、
駆動ドラムには、
第1従動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの進出方向の動きを規制する第1カム面と、
第1従動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの退避方向の動きを規制する第2カム面と、
第2従動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの進出方向の動きを規制する第3カム面と、
第2従動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの退避方向の動きを規制する第4カム面と、
が設けられ、
第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回動軸線に沿って移動し、
第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第3カム面および第4カム面のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回動軸線に沿って移動し、
第1カム面と第3カム面の少なくとも一方は、対応する第1従動ドラムまたは第2従動ドラムが進出位置にあるときの当該第1従動ドラムまたは第2従動ドラムの動きを規制する部分を有していない、
動力伝達装置のシフト機構。
【請求項10】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
駆動ドラムは、周面に立設された第1駆動ピンおよび第2駆動ピンを有し、
第1従動ドラムには、
第1駆動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの進出方向の動きを規制する第1カム面と、
第1駆動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの退避方向の動きを規制する第2カム面と、
が設けられ、
駆動ドラムの回動に伴う第1駆動ピンの回動によって第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第2従動ドラムには、
第2駆動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの進出方向の動きを規制する第3カム面と、
第2駆動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの退避方向の動きを規制する第4カム面と、
が設けられ、
駆動ドラムの回動に伴う第1駆動ピンの回動によって第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
駆動ドラムの回動に伴う第2駆動ピンの回動によって第3カム面および第4カム面のプロフィールに従って第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第1カム面と第3カム面の少なくとも一方は、対応する第1従動ドラムまたは第2従動ドラムが進出位置にあるときの当該第1従動ドラムまたは第2従動ドラムの動きを規制する部分が設けられていない、
動力伝達装置のシフト機構。
【請求項11】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
第1従動ドラムは、周面に立設された第1従動ピンを有し、
第2従動ドラムは、周面に立設された第2従動ピンを有し、
駆動ドラムには、
第1従動ピンと第2従動ピンの側面に当接して第1従動ドラムと第2従動ドラムの進出方向の動きを規制する第1カム面と、
第1従動ピンと第2従動ピンの側面に当接して第1従動ドラムと第2従動ドラムの退避方向の動きを規制する第2カム面と、
が設けられ、
第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回動軸線に沿って移動し、
第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回動軸線に沿って移動し、
第1カム面は、第1従動ドラムと第2従動ドラムが進出位置にあるときの当該第1従動ドラムと第2従動ドラムの動きを規制する部分を有していない、
動力伝達装置のシフト機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置において、動力伝達の経路を切り替えるシフト機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用変速装置が示されている、変速装置は、動力伝達経路となる歯車列を切り替える装置であり、歯車列を切り替える、つまり動力伝達経路を切り替えるシフト機構を有する。下記特許文献1には、同軸配置された第1および第2メインシャフト(15,16)と、第1および第2メインシャフト(15,16)に対して並列配置されたカウンタシャフト(17)を有する変速装置が示されている。この変速装置のシフト機構は、第1および第2メインシャフト(15,16)ならびにカウンタシャフト(17)の軸線とは異なる軸線に沿って配置されたシフトドラム(100)を有する。 シフトドラム(100)上にはシフトフォーク(96,97,98)と係合するカム溝(101,102,103)が形成されている。シフトフォーク(96,97,98)には、シフター(87,94,95)が係合している。シフター(87,94,95)は、シャフト(16,17)上を移動することによって、両側に配置された歯車のいずれかに係合するか、または、いずれの歯車にも係合しない中立状態を取ることができる。
【0003】
シフトドラム(100)が回動することにより、カム溝(101,102,103)のプロフィールに従ってシフトフォーク(96,97,98)が移動し、係合する歯車が選択されて歯車列の切り替えが行われる。
【0004】
なお、上記( )内の符号は、下記特許文献1において用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4832204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1においては、シフトドラムが第1および第2メインシャフトならびにカウンタシャフトの軸線と異なる軸線上に配置されるため、径方向の寸法が大きくなる傾向がある。
【0007】
本発明は、径方向において、小形化が可能な動力伝達装置のシフト機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る動力伝達装置のシフト機構は、共通の回転軸線上に同心配置された第1伝動軸、第2伝動軸、第3伝動軸の間で動力伝達経路の切り替えを行う。当該シフト機構は、回転軸線に沿って進退して第1伝動軸と第2伝動軸を継断する第1シフトスリーブと、回転軸線に沿って進退して第2伝動軸と第3伝動軸を継断する第2シフトスリーブと、回転軸線に同軸に、かつ回転軸線周りに回動可能に設けられた駆動ドラムと、回転軸線上に駆動ドラムと同心に配置され、駆動ドラムの回動によって回転軸線に沿って移動して第1シフトスリーブを進退させる第1従動ドラムと、回転軸線上に駆動ドラムと同心に配置され、駆動ドラムの回動によって回転軸線に沿って移動して第2シフトスリーブを進退させる第2従動ドラムと、を有する。
【0009】
例えば、駆動ドラムと第1従動ドラムの互いに対向する面の一方にカム溝が、他方にはカム溝に係合するピンが設けられている。同様に、駆動ドラムと第2従動ドラムの互いに対応する面の一方にカム溝が、他方にはカム溝に係合するピンが設けられている。駆動ドラムが回動すると、カム溝のプロフィールに従ってカム溝とピンが相対移動し、これにより、第1および第2従動ドラムが回転軸線方向に沿って移動する。第1従動ドラムの移動に伴って第1シフトスリーブが進退し、第1伝動軸と第2伝動軸が継断される。また、第2従動ドラムの移動に伴って第2シフトスリーブが進退し、第2伝動軸と第3伝動軸が継断される。
【0010】
また、駆動ドラムの周面に第1カム溝および第2カム溝を設け、第1従動ドラムが第1カム溝に係合する第1従動ピンを有するように、また第2従動ドラムが第2カム溝に係合する第2従動ピンを有するようにすることができる。第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第1カム溝のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、また第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って第2カム溝のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する。
【0011】
さらに、駆動ドラムの周面に設けられた第1カム溝と第2カム溝のプロフィールを周方向においてそろえるようにでき、第1従動ピンと第2従動ピンの位置を周方向においてずらすようにできる。第1カム溝と第2カム溝のプロフィールを周方向においてそろえることにより、第1カム溝と第2カム溝の距離を詰めることができる。第1カム溝と第2カム溝のプロフィールが周方向にそろっていても、第1従動ピンと第2従動ピンの位置を周方向にずらすことにより、第1従動ドラムと第2従動ドラムの移動のタイミングを異ならせることができる。
【0012】
また、駆動ドラムが、周面に第1駆動ピンと第2駆動ピンを有するようにでき、第1従動ドラムには第1駆動ピンと係合する第1カム溝を設け、第2従動ドラムには第2駆動ピンと係合する第2カム溝が設けるようにできる。駆動ドラムの回動に伴う第1駆動ピンの回動によって第1カム溝のプロフィールに従って第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、また、駆動ドラムの回動に伴う第2駆動ピンの回動によって第2カム溝のプロフィールに従って第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する。第1カム溝と第2カム溝をそれぞれ第1従動ドラムと第2従動ドラムに設けることにより、これらのカム溝の回転軸線方向における位置を任意に設定することができる。
【0013】
さらにまた、第1従動ドラムまたは第2従動ドラムを、回転軸線周りに所定角度回動可能とすることができる。これにより、第1従動ドラムと第2従動ドラムの移動のタイミングがずれた状態とそろった状態をとることができるようになる。
【0014】
さらにまた、第1従動ドラムを駆動ドラムの内周側に配置し、第2従動ドラムを駆動ドラムの外周側に配置することができる。
【0015】
また、駆動ドラムの周面に単一のカム溝を設け、第1従動ドラムが単一のカム溝に係合する第1従動ピンを有し、第2従動ドラムが単一のカム溝に係合する第2従動ピンを有するようにできる。第1従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って単一のカム溝のプロフィールに従って従動することにより、第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、第2従動ピンが駆動ドラムの回動に伴って単一のカム溝のプロフィールに従って従動することにより、第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動する。第1従動ドラムと第2従動ドラムを単一のカム溝によって駆動することにより、2つのカム溝を設ける場合に比べ、駆動ドラムの回転軸線方向の寸法を短くすることができる。
【0016】
さらにまた、第1従動ドラムと第2従動ドラムの双方を、駆動ドラムの内周側と外周側のいずれか一方に配置するようにできる。
【0017】
さらにまた、駆動ドラムと第1従動ドラムの互いの対向する面の一方にピンを、他方に前記のピンの側面に当接して第1従動ドラムの進出方向および退避方向の動きをそれぞれ規制する2つのカム面を設けるようにできる。同様に、駆動ドラムと第2従動ドラムの互いの対向する面の一方にピンを、他方に前記のピンの側面に当接して第2従動ドラムの進出方向および退避方向の動きをそれぞれ規制する2つのカム面を設けるようにできる。駆動ドラムが回動すると、カム面のプロフィールに従ってカム面とピンが相対移動し、これにより第1および第2従動ドラムが回転軸線方向に沿って移動する。第1従動ドラムの移動に伴って第1シフトスリーブが進退し、第1伝動軸と第2伝動軸が継断される。また、第2従動ドラムの移動に伴って第1シフトスリーブが進退し、第2伝動軸と第3伝動軸が継断される。第1従動ドラムの進出方向の動きを規制するカム面は、進出位置にあるときの第1従動ドラムの動きを規制する部分を有さないものとすることができる。また、第2従動ドラムの進出方向の動きを規制するカム面は、進出位置にあるときの第2従動ドラムの動きを規制する部分を有さないものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動ドラムが第1伝動軸、第2伝動軸および第3伝動軸と同心配置されるため、駆動ドラムを異なる軸線上に配置する場合に比べ、径方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の動力伝達装置のシフト機構の概略構成を示す断面図であり、3つの伝動軸が接続された状態を示す図である。
図2】本実施形態の動力伝達装置のシフト機構の概略構成を示す断面図であり、3つの伝動軸が分離された状態を示す図である。
図3】駆動ドラムを示す斜視図である。
図4】第1従動ドラムを示す斜視図である。
図5】第2従動ドラムを示す斜視図である。
図6】並列する2本のカム溝の関係を説明するための図である。
図7】駆動ドラムと2つの従動ドラムの他の態様を示す図である。
図8】駆動ドラムと2つの従動ドラムのさらに他の態様を示す図である。
図9】他の実施形態の動力伝達装置のシフト機構の概略構成を示す断面図である。
図10図9に示すシフト機構の2つの従動ドラムおよび従動ピンの関係を示す図である。
図11】従動ピンの周方向の位置と移動のタイミングを説明するための図である。
図12】駆動ドラムのさらに他の態様を示す図であり、3つの伝動軸を接続したときの駆動ドラムと2つの従動ドラムの状態を示す図である。
図13図12に示す駆動ドラムと2つの従動ドラムの、3つの伝動軸を分離したときの状態を示す図である。
図14図12に示す駆動ドラムの斜視図である。
図15図12に示す駆動ドラムのカム構造を示す図である。
図16】スプラインの歯の形状の一例を示す図である。
図17】2つの従動ドラムのさらに他の態様を示す図である。
図18】駆動ドラムのさらに他の態様を示す図である。
図19】駆動ドラムのさらに他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1および図2は、動力伝達装置のシフト機構10の概略構成を示す断面図である。シフト機構10は、3つの伝動軸12,14,16の間で動力の伝達経路を切り替える機構である。3つの伝動軸12,14,16は共通の回転軸線18周りに回転可能に同心配置されている。図1,2において回転軸線18より下は、省略されている。最も内側に位置する伝動軸12を第1伝動軸12と記す、第1伝動軸12を取り囲むように配置された中空の伝動軸14を第2伝動軸14と記し、さらに第1および第2伝動軸12,14を取り囲むように更に外側に配置された中空の伝動軸16を第3伝動軸と記す。
【0021】
第1〜第3伝動軸12,14,16はケース20に回転可能に支持されている。例えば、第1伝動軸12は、不図示の軸受によりケース20に対して支持され、第3伝動軸16は軸受22によりケース20に支持されている。また、例えば、第2伝動軸14は、外側の第3伝動軸16との間に設けられた軸受(不図示)と内側の第1伝動軸12との間に設けられた軸受(不図示)との一方または両方によりケース20に対して支持されている。第1伝動軸12と第2伝動軸14がつながった状態と分離した状態、つまり継断の状態は、第1シフトスリーブ24の回転軸線18に沿う方向の進退により選択される。また、第2伝動軸14と第3伝動軸16の継断の状態は、第2シフトスリーブ26の回転軸線18に沿う方向の進退により選択される。第1シフトスリーブ24と第2シフトスリーブ26は、それぞれ円環形状を有し、回転軸線18に対して同心配置されている。
【0022】
第1伝動軸12の外周面には、スプライン12sが形成されている。第1シフトスリーブ24の内周面には、第1伝動軸のスプライン12sとかみ合う内周スプライン24siが形成されている。第1伝動軸のスプライン12sと第1シフトスリーブの内周スプライン24siがかみ合うことにより、第1シフトスリーブ24は、第1伝動軸12と一体となって回転する。また、第1シフトスリーブ24は、第1伝動軸のスプライン12s上を回転軸線18に沿う方向に移動可能である。第1シフトスリーブ24の移動範囲において、スプライン12sと内周スプライン24siはかみ合い状態が維持される。また、第1シフトスリーブ24の外周面には、円環状の外向きフランジ24fが設けられている。
【0023】
第2伝動軸14の内周面には、内周スプライン14siが形成されている。第1シフトスリーブ24の外周面には、第2伝動軸の内周スプライン14siとかみ合うことが可能な外周スプライン24soが形成されている。第1シフトスリーブ24の回転軸線18方向における位置によって第1シフトスリーブの外周スプライン24soと第2伝動軸の内周スプライン14siのかみ合い状態が切り替えられる。図1に示すように、第1シフトスリーブ24が第2伝動軸14に向けて進出したとき、外周スプライン24soと内周スプライン14siがかみ合う。このかみ合いによって、第1シフトスリーブ24を介して、第2伝動軸14が第1伝動軸12と一体に回転するようになる。図2に示すように第1シフトスリーブ24が第2伝動軸14から退避すると、外周スプライン24soと内周スプライン14siのかみ合いが解放され、第2伝動軸14は第1伝動軸12に対して回転可能となる。
【0024】
第3伝動軸16の内周面には、スプライン16sが形成されている。第2シフトスリーブ26の外周面には、第3伝動軸のスプライン16sとかみ合う外周スプライン26soが形成されている。第3伝動軸のスプライン16sと第2シフトスリーブの外周スプライン26soがかみ合うことにより、第2シフトスリーブ26は、第3伝動軸16と一体となって回転する。また、第2シフトスリーブ26は、第3伝動軸のスプライン16s上を回転軸線18に沿う方向に移動可能である。第2シフトスリーブ26の移動範囲において、スプライン16sと外周スプライン24soはかみ合い状態が維持される。また、第2シフトスリーブ26の内周面には、円環状の内向きフランジ26fが設けられている。
【0025】
第2伝動軸14の外周面には、外周スプライン14soが形成されている。第2シフトスリーブ26の内周面には、第2伝動軸の外周スプライン14soとかみ合うことが可能な内周スプライン26siが形成されている。第2シフトスリーブ26の回転軸線18方向における位置によって第2シフトスリーブの内周スプライン26siと第2伝動軸の外周スプライン14soのかみ合い状態が切り替えられる。図1に示すように、第2シフトスリーブ26が第2伝動軸14に向けて進出したとき、内周スプライン26siと外周スプライン14soがかみ合う。このかみ合いによって、第2シフトスリーブ26を介して、第3伝動軸16が第2伝動軸14と一体に回転するようになる。図2に示すように第2シフトスリーブ26が第2伝動軸14から退避すると、内周スプライン26siと外周スプライン14soのかみ合いが解放され、第3伝動軸16は第2伝動軸14に対して回転可能となる。
【0026】
シフト機構10は、さらに第1シフトスリーブ24および第2シフトスリーブ26を回転軸線18の方向に進退させるための駆動ドラム28、第1従動ドラム30および第2従動ドラム32を含む。駆動ドラム28、第1従動ドラム30および第2従動ドラム32は、概略円筒形状を有し、回転軸線18上に同心配置されている。駆動ドラム28は、軸受34,36によって、ケース20に対して回動可能に支持されている。駆動ドラム28は平歯車またははすば歯車である歯車38を備え、この歯車38は、不図示のシフトモータの出力軸に固定されたピニオン(不図示)とかみ合っている。シフトモータにより駆動ドラム28を回動させることができる。
【0027】
第1従動ドラム30は、駆動ドラム28の内周側に位置し、さらに第1従動ドラム30の内周側に前述の第1シフトスリーブ24が位置する。第1従動ドラム30は、ケース20に形成された外周スプライン40と係合する内周スプライン42を有する。外周スプライン40と内周スプライン42により、第1従動ドラム30は、ケース20に対して回り止め、すなわち回転方向においてその動きが拘束される。一方、回転軸線18の方向の移動は許容されている。外周スプライン40と内周スプライン42を、回り止めキーとキー溝に置き換えてもよい。
【0028】
第1従動ドラム30の内周面には周方向に延びる保持溝30gが設けられており、保持溝30gは、第1シフトスリーブの外向きフランジ24fを溝内に保持している。これにより、第1従動ドラム30と第1シフトスリーブ24は回転軸線18に沿って並進する。一方、第1シフトスリーブ24は、回転方向においては第1従動ドラム30から独立して回転可能である。第1シフトスリーブの外向きフランジ24fは、周方向に複数配列された突起に置き換えることができる。
【0029】
第2従動ドラム32は、駆動ドラム28の外周側に位置し、さらに第2従動ドラム32の外周側に前述の第2シフトスリーブ26が位置する。第2従動ドラム32は、径方向外向きに延びる回り止めアーム44を有する。回り止めアーム44には、ケース20に固定された回り止めピン46を受け入れる受け入れ孔44hが形成されている。回り止めピン46が受け入れ孔44hに受け入れられて回り止めアーム44と係合することにより、第2従動ドラム32は、ケース20に対して回り止め、すなわち回転方向においてその動きが拘束される。一方、回転軸線18の方向の移動は許容されている。回り止めアーム44と回り止めピン46は、周方向に1箇所、または複数の箇所に配置されてよい。
【0030】
第2従動ドラム32の外周面には周方向に延びる保持溝32gが設けられており、保持溝32gは、第2シフトスリーブの内向きフランジ26fを溝内に保持している。これにより、第2従動ドラム32と第2シフトスリーブ26は回転軸線18に沿って並進する。一方、第2シフトスリーブ26は、回転方向においては第2従動ドラム32から独立して回転可能である。第2シフトスリーブの内向きフランジ26fは、周方向に複数配列された突起に置き換えることができる。
【0031】
駆動ドラム28、第1従動ドラム30および第2従動ドラム32の関係について、図3〜5を併用して説明する。図3は駆動ドラム28を示す斜視図であり、図4は第1従動ドラム30を示す斜視図であり、図5は第2従動ドラム32を示す斜視図である。図3において、歯車38の歯は省略されている。
【0032】
駆動ドラム28の円筒部分の内周面には第1カム溝28aが形成され、外周面には第2カム溝28bが形成されている。第1カム溝28aは、概略周方向に延び、回転軸線18に沿う方向において凹凸するカムプロフィールを有する。詳細には、第1カム溝28aは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分28a1および第2の部分28a2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分28a3を含む。第1カム溝28aは、3周期のカムプロフィールを有する。第1カム溝28aには、第1従動ドラム30の従動ピン30a(以下、第1従動ピン30aと記す。)が係合している。第1カム溝28aの一方の側壁面に第1従動ピン30aが当接することで第1従動ドラム30の回転軸線方向における一方の向きの動きが規制される。また、第1カム溝28aの他方の側壁面に第1従動ピン30aの側面が当接することで、第1従動ドラム30の逆向きの動きが規制される。第1従動ピン30aが、第1カム溝の第1の部分28a1に係合するとき、第1従動ドラム30は退避位置に保持され、第2の部分28a2に係合するとき、第1従動ドラム30は進出位置に保持される。第1従動ピン30aが第1カム溝の第3の部分28a3に位置するとき、駆動ドラム28の回動に従って第1従動ドラム30が回転軸線方向に沿って移動する。第1従動ピン30aは、第1カム溝28aの3周期のカムプロフィールに対応して、等間隔に3つ設けられている。
【0033】
第2カム溝28bは、概略周方向に延び、回転軸線18に沿う方向において凹凸するカムプロフィールを有する。詳細には、第2カム溝28bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分28b1および第2の部分28b2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分28b3を含む。第2カム溝28bは、3周期のカムプロフィールを有する。第2カム溝28bには、第2従動ドラム32の従動ピン32a(以下、第2従動ピン32aと記す。)が係合している。第2カム溝28bの一方の側壁面に第2従動ピン32aが当接することで第2従動ドラム32の回転軸線方向において一方の向きの動きが規制される。また、第2カム溝28bの他方の側壁面に第2従動ピン32aの側面が当接することで、第2従動ドラム32の逆向きの動きが規制される。第2従動ピン32aが、第2カム溝の第1の部分28b1に係合するとき、第2従動ドラム32は退避位置に保持され、第2の部分28a2に係合するとき、第2従動ドラム32は進出位置に保持される。第2従動ピン32aが第2カム溝の第3の部分28b3に位置するとき、駆動ドラム28の回動に従って第2従動ドラム32が回転軸線方向に沿って移動する。第2従動ピン32aは、第2カム溝28bの3周期のカムプロフィールに対応して、等間隔に3つ設けられている。また、第1カム溝28aと第2カム溝28bのカムプロフィールは同一とすることができる。
【0034】
駆動ドラム28が回動すると、第1および第2カム溝28a,28bのカムプロフィールに従って、特にそれぞれのカム溝の第3の部分28a3,28b3のプロフィールに従って、第1および第2従動ピン30a,32aが従動し、これに伴って第1および第2従動ドラム30,32が回転軸線18の方向に沿って移動する。第1および第2カム溝28a,28bのカムプロフィールと、第1および第2従動ピン30a,32aの周方向位置に応じて、第1および第2従動ドラム30,32の移動のタイミングが決定される。
【0035】
第1従動ドラム30が第2伝動軸14に向けて、つまり図1において左方に進出すると、第1シフトスリーブ24も第2伝動軸14に向けて進出し、第1シフトスリーブ24の外周スプライン24soが第2伝動軸14の内周スプライン14siと係合する。これにより、第1伝動軸12と第2伝動軸14が接続された継続状態となる。第1従動ドラム30が逆に移動して退避すると、外周スプライン24soと内周スプライン14siの係合が解かれ、第1伝動軸12と第2伝動軸14が切り離された切断状態となる。このように、第1従動ドラム30が回転軸線18方向に進退することで、第1伝動軸12と第2伝動軸14の継断の状態が切り替えられる。
【0036】
第2従動ドラム32が第2伝動軸14に向けて、つまり図1において左方に進出すると、第2シフトスリーブ26も第2伝動軸14に向けて進出し、第2シフトスリーブ26の内周スプライン24siが第2伝動軸14の外周スプライン14soと係合する。これにより、第2伝動軸14と第3伝動軸16が接続された継続状態となる。第2従動ドラム32が逆に移動して退避すると、内周スプライン26siと外周スプライン14soの係合が解かれ、第1伝動軸12と第2伝動軸14が切り離された切断状態となる。このように、第2従動ドラム32が回転軸線18方向に進退することで、第2伝動軸14と第3伝動軸16の継断の状態が切り替えられる。
【0037】
第1従動ドラム30と第2従動ドラム32を共に第2伝動軸14に向けて進出した状態とすると、第1伝動軸12と第3伝動軸16が第2伝動軸14を介して接続された状態となり、第1〜第3伝動軸12,14,16が一体となって回転可能となる。第1従動ドラム30が進出し、第2従動ドラム32が退避した状態では、第1伝動軸12と第2伝動軸14が接続され、第3伝動軸16は第1および第2伝動軸12,14に対して相対回転可能となる。第1従動ドラム30が退避し、第2従動ドラム32が進出した状態では、第2伝動軸14と第3伝動軸16が接続され、第1伝動軸12は第2および第3伝動軸14,16に対して相対回転可能となる。第1従動ドラム30と第2従動ドラム32が共に退避した状態では、第1〜第3伝動軸12,14,16が分離され、それぞれ独立して回動可能となる。
【0038】
図6は、第1および第2カム溝28a,28bと第1および第2従動ピン30a,32aの配置を説明するための図である。円筒形状の駆動ドラム28が展開して示されており、図において上下方向が周方向、左右方向が回転軸線方向である。(a)では、第1従動ピン30aおよび第2従動ピン32aの周方向の位置がそろっている。この場合、第1従動ドラム30と第2従動ドラム32の一方を進出させ、他方を退避させるためには、同一のカムプロフィールを有する第1カム溝28aと第2カム溝28bを周方向の位置、つまり位相をずらして配置する必要がある。(b)では、逆に、第1カム溝28aと第2カム溝28bの位相がそろっており、第1従動ピン30aと第2従動ピン32aの位置がずれている。
【0039】
第1カム溝28aと第2カム溝28bは、駆動ドラム28の円筒部分の表裏に刻設されており、円筒部分の壁の厚さが薄いときには、回転軸線18の方向において隣接する。第1カム溝28aと第2カム溝28bの間隔は、強度を確保する上で必要な下限値eが存在する。第1カム溝28aと第2カム溝28bの間隔を下限値eとすると、(b)の場合の方が、カム溝を配置するための寸法を図視するdだけ小さくすることができることが分かる。よって、第1カム溝28aと第2カム溝28bは、カムプロフィールを周方向においてそろえて形成し、第1従動ピン30aと第2従動ピン32aを周方向にずらして配置することが好ましい。
【0040】
図7は、駆動ドラムと従動ドラムの他の態様を示す断面図である。駆動ドラムおよび従動ドラム以外の構成については、上述の態様と同様であるので省略する。図7は、図1に示す断面図の断面に相当する断面を示すものであり、図7において左右方向が回転軸線18の方向であり、上下方向が径方向である。
【0041】
駆動ドラム50、第1従動ドラム52および第2従動ドラム54は、前述の駆動ドラム28、第1および第2従動ドラム30,32と同様、概略円筒形状を有し、同心配置されている。この態様では、駆動ドラム50にピンが設けられ、第1および第2従動ドラム52,54にカム溝が形成されている。駆動ドラム50の円筒部分の内周面に第1駆動ピン50aが設けられ、外周面に第2駆動ピン50bが設けられている。第1従動ドラム52の外周面には、周方向に延びる第1カム溝52aが設けられている。第1カム溝52aは、前述の第1カム溝28aと同様に第1従動ドラム52を退避位置に保持する部分、進出位置に保持する部分、第1従動ドラム52を回転軸線に沿って移動させる部分を有する。第1駆動ピン50aは、第1カム溝52a内に進入して、これと係合し、駆動ドラム50の回動に伴って第1カム溝52aに沿って移動する。第2従動ドラム54の内周面には、周方向に延びる第2カム溝54aが設けられている。第2カム溝54aは、前述の第2カム溝28bと同様に第2従動ドラム54を退避位置に保持する部分、進出位置に保持する部分、第2従動ドラム54を回転軸線に沿って移動させる部分を有する。第2駆動ピン50bは、第2カム溝54a内に進入して、これと係合し、駆動ドラム50の回動に伴って第2カム溝54bに沿って移動する。駆動ドラム50の回動に伴って第1および第2駆動ピン50a,50bが回動し、第1および第2駆動ピン50a,50bに係合する第1および第2カム溝52a,54bのカムプロフィールに従って第1および第2従動ドラム52,54が進退する。第1および第2従動ドラム52,54が進退によって、第1および第2シフトスリーブ24,26が進退し、第1〜第3伝動軸12,14,16が継断される。
【0042】
図7において、第1駆動ピン50aと第2駆動ピン50bおよび第1カム溝52aと第2カム溝54aが回転軸線に沿う方向においてずれて配置されているが、そろえて配置するようにしてもよい。この場合、回転軸線方向の寸法を短縮することができる。
【0043】
図8は、駆動ドラムと従動ドラムのさらに他の態様を示す断面図である。駆動ドラムおよび従動ドラム以外の構成については、上述の態様と同様であるので省略する。図8は、図1に示す断面図の断面に相当する断面を示すものであり、図8において左右方向が回転軸線18の方向であり、上下方向が径方向である。
【0044】
駆動ドラム60、第1従動ドラム62および第2従動ドラム64は、前述の駆動ドラム28、第1および第2従動ドラム30,32と同様、概略円筒形状を有し、同心配置されている。この態様では、駆動ドラム60に共有される1本のカム溝が設けられ、第1および第2従動ドラム62,64にピンが形成されている。駆動ドラム60の円筒部分には、周方向に延びるカム溝60aが形成されている。カム溝60aは、円筒内周面から外周面に達し、円筒部分の表裏を貫通するように設けられている。また、カム溝60aは、周方向に分割されて配置される。カム溝60aは、前述の第1カム溝28a等と同様に第1および第2従動ドラム62,64を退避位置に保持する部分、進出位置に保持する部分、第1および第2従動ドラム62、64を回転軸線方向に沿って移動させる部分を有する。第1従動ドラム62の外周面には、第1従動ピン62aが立設され、カム溝60a内に進入している。また、第2従動ドラム64の内周面には、第2従動ピン64aが立設され、カム溝60a内に進入している。このように、カム溝60aは、第1従動ピン62aと第2従動ピン64aに共有される。第1従動ピン62aと第2従動ピン64aは、周方向にずらして配置される。駆動ドラム60の回動に伴ってカム溝60aが移動し、カム溝60aに係合する第1および第2従動ピン62a,64aがカムプロフィールに従って回転軸線に沿う方向に移動する。この第1および第2従動ピン62a,64aの移動に伴って、第1および第2従動ドラム62,64が進退することによって、第1および第2シフトスリーブ24,26が進退し、第1〜第3伝動軸12,14,16が継断される。
【0045】
図9および図10は、シフト機構70の構成を示す図であり、前述のシフト機構10と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。駆動ドラム72、第1従動ドラム74および第2従動ドラム76は、概略円筒形状を有しており、回転軸線18上に同心配置されている。第1従動ドラム74と第2従動ドラム76は、いずれも駆動ドラム72の内側に配置され、第1従動ドラム74は第2従動ドラム76の内側に配置されている。
【0046】
駆動ドラム72の円筒部分の内周面には、周方向に延びる1本のカム溝72aが形成されている。カム溝72aは、前述の第1カム溝28a等と同様に第1および第2従動ドラム74,76を退避位置に保持する部分、進出位置に保持する部分、第1および第2従動ドラム74、76を回転軸線方向に沿って移動させる部分を有する。第1従動ドラム74は、円筒部分の外周面に立設された第1従動ピン74aを有し、図9の(b)に示されるように、第1従動ピン74aは、その先端が駆動ドラムのカム溝72a内に進入して、これと係合している。第2従動ドラム76には、第1従動ピン74aが通るためのスリット76bが形成されている。第2従動ドラム76は、円筒部分の外周面に立設された第2従動ピン76aを有し、図9の(a)に示されるように、第1従動ピン74aは、その先端が駆動ドラムのカム溝72a内に進入して、これと係合している。図10に示されるように、第1従動ピン74aと第2従動ピン76aは周方向においてずらして配置されている。
【0047】
第1従動ドラム74の円筒部分の外周面には外周スプライン78が設けられ、第2従動ドラム76の円筒部分の内周面には内周スプライン80が設けられている。これらの外周および内周スプライン78,80が係合することにより、第1従動ドラム74と第2従動ドラム76は、相対回転が拘束される。一方、第1従動ドラム74および第2従動ドラム76は、回転軸線18に沿う方向には個々に移動可能となっている。なお、外周スプライン78と内周スプライン80は、第1従動ドラム74および第2従動ドラム76が、回転軸線18に沿う方向の可動範囲のどの位置にあってもかみ合った状態にある。よって、第1従動ドラム74と第2従動ドラム76の相対回転は、常に拘束されている。また、第1従動ドラム74は、内周スプライン42が、ケース20の外周スプライン40に係合することによりケース20に対する回転が拘束されている。これらにより、第1および第2従動ドラム74,76は、ケース20に対し、常に回転方向に関して固定されている。
【0048】
駆動ドラム72の回動に伴ってカム溝72aが移動し、カム溝72aに係合する第1および第2従動ピン74a,76aがカムプロフィールに従って回転軸線方向に移動する。この第1および第2従動ピン74a,76aの移動に伴って、第1および第2従動ドラム74,76が進退することによって第1および第2シフトスリーブ24,26が進退し、第1〜第3伝動軸12,14,16が継断される。
【0049】
駆動ドラムを外側に第1および第2従動ドラムを内側とする配置に替えて、駆動ドラムを内側に第1および第2従動ドラムを外側に配置することもできる。また、駆動ドラムの円筒部分の内周面または外周面に回転軸線に沿う方向において隣接する2本のカム溝を設け、一方のカム溝に第1従動ドラムに立設された従動ピンが係合し、他方のカム溝に第2従動ドラムに立設された従動ピンが係合するようにすることもできる。
【0050】
2本のカム溝を有する態様の場合、一方の従動ドラムを所定角度回動させることができるようにすることで、2つの従動ドラムの進退のタイミングをそろえること、ずらすことができる。図1等に示すシフト機構10を例にして説明する。
【0051】
図11は、第1および第2カム溝28a,28bと、第1および第2従動ピン30a,32aの関係を示す図である。第1カム溝28aと第2カム溝28bのカムプロフィールは周方向においてそろっている。図1に示すシフト機構10において、ケース20に設けられた外周スプライン40を回動可能とすることにより、第1従動ドラム30を回動させることができるようになる。例えば、外周スプライン40をケース20に対して回動可能な円筒形状のスリーブ上に設けるようすることができる。外周スプライン40を回動させることで、図11の(a)に示す状態と、(b)に示す状態との間で切り替えることができる。
【0052】
図11の(a)の場合には、第1従動ピン30aと第2従動ピン32aの周方向の位置がずれているため、駆動ドラム28の回動によって第1従動ピン30aと第2従動ピン32aの回転軸線18に沿う方向の移動のタイミングはずれる。したがって、第1従動ドラム30と第2従動ドラム32の進退のタイミングがずれ、第2伝動軸14を、第1伝動軸12と第3伝動軸16の一方に接続し、他方には接続しない状態とすることができる。第1伝動軸12と第3伝動軸16の双方が第2伝動軸14に接続された状態とするには、一方を接続状態した後、双方を接続することになる。
【0053】
図11の(a)の状態から、第1従動ドラム30を図中に示す寸法rだけ回動させると、第1従動ピン30aと第2従動ピン32aの周方向における位置がそろう。この状態が図11の(b)の状態である。この状態で、駆動ドラム28を回動させると、第1従動ピン30aと第2従動ピン32aは、同時に回転軸線18に沿う方向に移動する。したがって、第1従動ドラム30と第2従動ドラム32の進退のタイミングが一致し、第2伝動軸14に対して第1伝動軸12と第3伝動軸16を同時に接続することができる。
【0054】
外周スプライン40を回動させることによって第1従動ドラム30を回動させることに替えて、回り止めピン46を回動させて第2従動ドラム32を回動させることもできる。
【0055】
前述の第1カム溝28a,52a、第2カム溝28b,54a、およびカム溝60a,72aは、これらのカム溝に対応する従動ドラムを退避位置に保持する部分(例えば第1カム溝28aの第1の部分28a1)と進出位置に保持する部分(例えば第1カム溝28aの第2の部分28a2)の一方または双方を省くことができる。この場合、従動ドラムを退避位置または進出位置に保持する機能は、他の構成により代替される。
【0056】
図12図15は、駆動ドラムの他の態様を示す模式図である。駆動ドラム90は、前述の駆動ドラム28とカムに係る構造が相違する。駆動ドラム以外の構成は、図1,2に示すシフト機構10と同様であるのでその説明を省略する。図12,13は回転軸線18(図1,2参照)を含む断面を示し、図12は、第1および第2従動ドラム30,32が進出した状態、図13は、第1および第2従動ドラム30,32が退避した状態を示す。図14は、駆動ドラム90を単体で示す。図15は、駆動ドラム90のカム構造を示す図であり、円筒形状の駆動ドラム90が平面に展開して示されている。図15において上下方向が周方向、左右方向が回転軸線方向である。
【0057】
駆動ドラム90は、第1従動ドラム30の第1従動ピン30aと係合する第1カム構造92と、第2従動ドラム32の第2従動ピン32aと係合する第2カム構造94を含む。第1カム構造92は、第1従動ドラム30の第1従動ピン30aの側面に当接する第1カム面92aと第2カム面92bを有する。第1カム面92aと第2カム面92bは、第1従動ピン30aを挟んで互いに対向し、概略周方向に延びている。詳細には、第1カム面92aと第2カム面92bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分92a1,92b1および第2の部分92a2,92b2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分92a3,92b3を含む。第1カム面92aは、第1従動ピン30aの第2伝動軸14側(図12,13,15において左側)に位置し、第1従動ピン30aの左方への動きを規制し、これにより第1従動ドラム30の進出方向の動きを規制する。第2カム面92bは、第1従動ピン30aの第2伝動軸14とは反対側(図12,13,15において右側)に位置し、第1従動ピン30aの右方への動きを規制し、これにより第1従動ドラム30の退避方向の動きを規制する。第1従動ピン30aが、第1カム面の第1の部分92a1と第2カム面の第1の部分92b1との間に位置するとき、第1従動ドラム30は退避位置に保持される。また、第1従動ピン30aが、第1カム面の第2の部分92a2と第2カム面の第2の部分92b2との間に位置するとき、第1従動ドラム30は進出位置に保持される。また、第1従動ピン30aが、第1カム面の第3の部分92a3と第2カム面の第3の部分92b3との間に位置するとき、第1従動ドラム30は駆動ドラム90の回転に従って回転軸線方向に移動する。
【0058】
第2カム構造94は、第2従動ドラム32の第2従動ピン32aの側面に当接する第3カム面94aと第4カム面94bを有する。第4カム面94bは、概略周方向に延びており、詳細には、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分94b1および第2の部分94b2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分94b3を含む。第4カム面94bは、第2従動ピン32aの第2伝動軸14とは反対側(図12,13,15において右側)に位置し、第2従動ピン32aの右方への動きを規制し、これにより第2従動ドラム32の退避方向の動きを規制する。第3カム面94aは、第4カム面の第1の部分94b1および第3の部分94b3に対向し、これらと第2従動ピン32aを挟んで対向する第1の部分94a1および第3の部分94a3を有する。第3カム面94aは、第4カム面の第2の部分94b2に対向する第2の部分94a2の少なくとも一部が欠けている。第3カム面94aが欠けている範囲を欠如範囲96と記す。第3カム面94aは、これが設けられた範囲において、第2従動ピン32aの第2伝動軸14側(図12,13,15において左側)に位置し、第2従動ピン32aの左方への動きを規制し、これにより第2従動ドラム32の進出方向の動きを規制する。第2従動ピン32aが、第3カム面の第1の部分94a1と第4カム面の第1の部分94b1との間に位置するとき、第2従動ドラム32は退避位置に保持される。また、第2従動ピン32aが、第3カム面の第3の部分94a3と第4カム面の第3の部分94b3との間に位置するとき、第2従動ドラム32は駆動ドラム90の回転に従って回転軸線方向に沿って移動する。また、第2従動ピン32aが、第3カム面の欠如範囲96にあるときには、第2カム構造94は、第1従動ドラム30の退避方向の動きのみ規制する。第2シフトスリーブ26(図1,2参照)の進出方向の動きは、第2伝動軸14または第3伝動軸16により規制することができる。
【0059】
かみ合うスプラインの歯面に逆テーパを付けて、スプラインの抜け防止を図る技術が知られている。図16は、逆テーパの付いたスプラインの形状を示す図であり、周方向に配列された歯100,102を平面に展開して示している。(a)は、スプラインがかみ合っていない状態を示し、(b)はかみ合っている状態を示している。図16では、第2伝動軸14の外周スプライン14soと、これにかみ合う第2シフトスリーブ26の内周スプライン26siが例示されている。図示するように、歯100,102は、歯厚が端面に向けて厚くなるように歯面が斜めに形成されている。これらの歯100,102がかみ合うと、歯面に作用する力が、相手のスプラインを引き込むように作用する。図1で説明すれば、第2シフトスリーブの内周スプライン26siと第2シフトスリーブの内周スプライン26siがかみ合うとき、第2シフトスリーブ26には左向きの力が作用する。この力は、第2シフトスリーブ26の内向きフランジ26fを、第2従動ドラム32の保持溝32gの左側の壁面に当接させる。第2従動ドラム32の左向きの動きが規制されていると、内向きフランジ26fと第2従動ドラム32が摺動して摩擦が発生する。駆動ドラム90を用いた場合、第2従動ドラム32が進出位置にあるとき、第2従動ピン32aが、第3カム面の欠如範囲96に位置するので、第2従動ドラム32は左向きの動きが規制されない。このため、内向きフランジ26fと第2従動ドラム32の摩擦を抑制することができる。
【0060】
また、第3カム面94aに欠如範囲96を設定したことで、駆動ドラム90が軽量化される。また、第1カム面の第2の部分92a2と第1従動ピン30aの間隔を大きくとり、第1シフトスリーブ24と第1従動ドラムの摺動を抑制するようにしてもよい。
【0061】
図17は、第1および第2従動ドラムの他の態様を示す模式図である。図17に示される構成は、図7に示された構成と対応し、第1従動ドラム110および第2従動ドラム112のカムに係る構造が、前述の第1従動ドラム52および第2従動ドラム54と相違する。駆動ドラム50については図7に示す構成から変更はなく、同一の符号を付し説明は省略する。図17は、第1および第2従動ドラム110,112が進出した状態を示している。
【0062】
第1従動ドラム110は、駆動ドラム50の第1駆動ピン50aと係合する第1カム構造114を含む。第1カム構造114は、第1駆動ピン50aの側面に当接する第1カム面114aと第2カム面114bを有する。第1カム構造114は、図12−15に示される第2カム構造94と類似の構造を有する。具体的には、第2カム面114bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分および第2の部分と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分を含む。第2カム面114bは、第1駆動ピン50aの第2伝動軸14側(図17において左側)に位置し、第1駆動ピン50aに対する第1従動ドラム110の右方向、すなわち退避方向の動きを規制する。第1カム面114aは、第2カム面114bの第1の部分および第3の部分に対向し、これらと第1駆動ピン50aを挟んで対向する第1の部分および第3の部分を有する。第1カム面114aは、第2カム面114bの第2の部分に対向する第2の部分の少なくとも一部が欠けている。第1カム面114aは、これが設けられた範囲において、第1駆動ピン50aの第2伝動軸14とは反対側(図17において右側)に位置し、第1駆動ピン50aに対する第1従動ドラム110の左方向、すなわち進出方向の動きを規制する。第1駆動ピン50aが、第1カム面114aと第2カム面114bのそれぞれの第1の部分の間に位置するとき、第1従動ドラム110は退避位置に保持される。また、第1駆動ピン50aが、第1カム面114aと第2カム面114bのそれぞれの第3の部分の間に位置するとき、第1従動ドラム110は駆動ドラム50の回転に従って回転軸線方向に沿って移動する。また、第1駆動ピン50aが、第1カム面114aの欠如範囲にあるときには、第1カム構造114は、第1従動ドラム110の退避方向の動きのみ規制する。第1シフトスリーブ24(図1,2参照)の進出方向の動きは、第1伝動軸12または第2伝動軸14により規制することができる。
【0063】
第2従動ドラム112は、駆動ドラム50の第2駆動ピン50bと係合する第2カム構造116を含む。第2カム構造116は、第2駆動ピン50bの側面に当接する第3カム面116aと第4カム面116bを有する。第2カム構造116は、図12−15に示される第2カム構造94と類似の構造を有する。具体的には、第4カム面116bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分および第2の部分と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分を含む。第4カム面116bは、第2駆動ピン50bの第2伝動軸14側(図17において左側)に位置し、第2駆動ピン50bに対する第2従動ドラム112の右方向、すなわち退避方向の動きを規制する。第3カム面116aは、第4カム面116bの第1の部分および第3の部分に対向し、これらと第2駆動ピン50bを挟んで対向する第1の部分および第3の部分を有する。第3カム面116aは、第4カム面116bの第2の部分に対向する第2の部分の少なくとも一部が欠けている。第3カム面116aは、これが設けられた範囲において、第2駆動ピン50bの第2伝動軸14とは反対側(図17において右側)に位置し、第2駆動ピン50bに対する第2従動ドラム112の左方向、すなわち進出方向の動きを規制する。第2駆動ピン50bが、第3カム面116aと第4カム面116bのそれぞれの第1の部分の間に位置するとき、第1従動ドラム110は退避位置に保持される。また、第2駆動ピン50bが、第3カム面116aと第4カム面116bのそれぞれの第3の部分の間に位置するとき、第2従動ドラム112は駆動ドラム50の回転に従って回転軸線方向に沿って移動する。また、第2駆動ピン50bが、第3カム面116aの欠如範囲にあるときには、第2カム構造116は、第2従動ドラム112の退避方向の動きのみ規制する。第2シフトスリーブ26(図1,2参照)の進出方向の動きは、第2伝動軸14または第3伝動軸16により規制することができる。
【0064】
第1従動ドラム110が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第1従動ドラム110と第1シフトスリーブ24の摺動による摩擦を低減することができる。同様に、第2従動ドラム112が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第2従動ドラム112と第2シフトスリーブ26の摺動による摩擦を低減することができる。上述の例では、第1カム構造114および第2のカム構造116の両者にカム面が欠如した範囲を設けたが、一方のみに設けるようにしてもよい。
【0065】
図18は、駆動ドラムの他の態様を示す模式図である。図18に示される構成は、図8に示された構成と対応し、駆動ドラム120のカムに係る構造が、前述の駆動ドラム60と相違する。第1従動ドラム62および第2従動ドラム64については図8に示す構成から変更はなく、同一の符号を付し説明は省略する。図18は、第1および第2従動ドラム62,64が進出した状態を示している。
【0066】
駆動ドラム120は、第1従動ドラム62の第1従動ピン62aと第2従動ドラム64の第2従動ピン64aが共に係合するカム構造122を含む。カム構造122は、第1従動ピン62aの側面および第2従動ピン64aの側面に当接する第1カム面122aと第2カム面122bを有する。カム構造122は、図12−15に示される第2カム構造94と類似の構造を有する。具体的には、第2カム面122bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分および第2の部分と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分を含む。第2カム面122bは、第1従動ピン62aおよび第2従動ピン64aの第2伝動軸14とは反対側(図18において右側)に位置し、第1および第2従動ピン62a,64aの右方の動きを規制し、これにより第1および第2従動ドラム62,64の退避方向の動きを規制する。第1カム面122aは、第2カム面122bの第1の部分および第3の部分に対向し、これらと第1および第2従動ピン62a,64aを挟んで対向する第1の部分および第3の部分を有する。第1カム面122aは、第2カム面122bの第2の部分に対向する第2の部分の少なくとも一部が欠けている。第1カム面122aは、これが設けられた範囲において、第1および第2従動ピン62a,64aの第2伝動軸14側(図18において左側)に位置し、第1および第2従動ピン62a,64aの左方の動きを規制し、これにより第1および第2従動ドラム62,64の進出方向の動きを規制する。第1および第2従動ピン62a,64aが、第1カム面122aと第2カム面122bのそれぞれの第1の部分の間に位置するとき、第1および第2従動ドラム62,64は退避位置に保持される。また、第1および第2従動ピン62a,64aが、第1カム面122aと第2カム面122bのそれぞれの第3の部分の間に位置するとき、第1および第2従動ドラム62,64は駆動ドラム120の回転に従って回転軸線方向に沿って移動する。また、第1および第2従動ピン62a,64aが、第1カム面122aの欠如範囲にあるときには、カム構造122は、第1および第2従動ドラム62,64の退避方向の動きのみ規制する。第1および第2シフトスリーブ24,26(図1,2参照)の進出方向の動きは、第1、第2および第3伝動軸12,14,16により規制することができる。
【0067】
第1従動ドラム62が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第1従動ドラム62と第1シフトスリーブ24の摺動による摩擦を低減することができる。同様に、第2従動ドラム64が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第2従動ドラム64と第2シフトスリーブ26の摺動による摩擦を低減することができる。
【0068】
図19は、駆動ドラムの他の態様を示す模式図である。図19に示される構成は、図9に示された構成と対応し、駆動ドラム130のカムに係る構造が、前述の駆動ドラム72と相違する。第1従動ドラム74および第2従動ドラム76については図9に示す構成から変更はなく、同一の符号を付し説明は省略する。図19は、第1および第2従動ドラム74,76が進出した状態を示している。
【0069】
駆動ドラム130は、第1従動ドラム74の第1従動ピン74aと第2従動ドラム76の第2従動ピン76aが共に係合するカム構造132を含む。カム構造132は、第1従動ピン74aの側面および第2従動ピン76aの側面に当接する第1カム面132aと第2カム面132bを有する。カム構造132は、図12−15に示される第2カム構造94と類似の構造を有する。具体的には、第2カム面132bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分および第2の部分と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分を含む。第2カム面132bは、第1従動ピン74aおよび第2従動ピン76aの第2伝動軸14とは反対側(図19において右側)に位置し、第1および第2従動ピン74a,76aの右方の動きを規制し、これにより第1および第2従動ドラム74,76の退避方向の動きを規制する。第1カム面132aは、第2カム面132bの第1の部分および第3の部分に対向し、これらと第1および第2従動ピン74a,76aを挟んで対向する第1の部分および第3の部分を有する。第1カム面132aは、第2カム面132bの第2の部分に対向する第2の部分の少なくとも一部が欠けている。第1カム面132aは、これが設けられた範囲において、第1および第2従動ピン74a,76aの第2伝動軸14側(図19において左側)に位置し、第1および第2従動ピン74a,76aの左方の動きを規制し、これにより第1および第2従動ドラム74,76の進出方向の動きを規制する。第1および第2従動ピン74a,76aが、第1カム面132aと第2カム面132bのそれぞれの第1の部分の間に位置するとき、第1および第2従動ドラム74,76は退避位置に保持される。また、第1および第2従動ピン74a,76aが、第1カム面132aと第2カム面132bのそれぞれの第3の部分の間に位置するとき、第1および第2従動ドラム74,76は駆動ドラム130の回転に従って回転軸線方向に沿って移動する。また、第1および第2従動ピン74a,76aが、第1カム面132aの欠如範囲にあるときには、カム構造132は、第1および第2従動ドラム74,76の退避方向の動きのみ規制する。第1および第2シフトスリーブ24,26(図1,2参照)の進出方向の動きは、第1、第2および第3伝動軸12,14,16により規制することができる。
【0070】
第1従動ドラム74が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第1従動ドラム74と第1シフトスリーブ24の摺動による摩擦を低減することができる。同様に、第2従動ドラム76が進出位置にあるとき更なる進出方向の動きが規制されないので、スプラインに逆テーパを設けたことによる第2従動ドラム76と第2シフトスリーブ26の摺動による摩擦を低減することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 シフト機構、12 第1伝動軸、12s スプライン、14 第2伝動軸、14si 内周スプライン、14so 外周スプライン、16 第3伝動軸、16s スプライン、18 回転軸線、20 ケース、22 軸受、24 第1シフトスリーブ、24si 内周スプライン、24so 外周スプライン、24f 外向きフランジ、26 第2シフトスリーブ、26si 内周スプライン、26so 外周スプライン、26f 内向きフランジ、28 駆動ドラム、28a 第1カム溝、28b 第2カム溝、30 第1従動ドラム、30a 第1従動ピン、30g 保持溝、32 第2従動ドラム、32a 第2従動ピン、32g 保持溝、34,36 軸受、38 歯車、40 外周スプライン、42 内周スプライン、44 回り止めアーム、44h 受け入れ孔、46 回り止めピン、50 駆動ドラム、50a 第1駆動ピン、50b 第2駆動ピン、52 第1従動ドラム、52a 第1カム溝、54 第2従動ドラム、54a 第2カム溝、60 駆動ドラム、60a カム溝、62 第1従動ドラム、62a 第1従動ピン、64 第2従動ドラム、64a 第2従動ピン、70 シフト機構、72 駆動ドラム、72a カム溝、74 第1従動ドラム、74a 第1従動ピン、76 第2従動ドラム、76a 第2従動ピン、76b スリット、78 外周スプライン、80 内周スプライン、90 駆動ドラム、92 第1カム構造、92a 第1カム面、92b 第2カム面、94 第2カム構造、94a 第3カム面、94b 第4カム面、96 欠如範囲、100,102 スプラインの歯、110 第1従動ドラム、112 第2従動ドラム、114 第1カム構造、114a 第1カム面、114b 第2カム面、116 第2カム構造、116a 第3カム面、116b 第4カム面、120 駆動ドラム、122 カム構造、122a 第1カム面、122b 第2カム面、130 駆動ドラム、132 カム構造、132a 第1カム面、132b 第2カム面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2019年3月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
請求項1に記載の動力伝達装置のシフト機構であって、
駆動ドラムは、周面に立設された第1駆動ピンおよび第2駆動ピンを有し、
第1従動ドラムには、
第1駆動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの進出方向の動きを規制する第1カム面と、
第1駆動ピンの側面に当接して第1従動ドラムの退避方向の動きを規制する第2カム面と、
が設けられ、
第2従動ドラムには、
第2駆動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの進出方向の動きを規制する第3カム面と、
第2駆動ピンの側面に当接して第2従動ドラムの退避方向の動きを規制する第4カム面と、
が設けられ、
駆動ドラムの回動に伴う第1駆動ピンの回動によって第1カム面および第2カム面のプロフィールに従って第1従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
駆動ドラムの回動に伴う第2駆動ピンの回動によって第3カム面および第4カム面のプロフィールに従って第2従動ドラムが回転軸線に沿って移動し、
第1カム面と第3カム面の少なくとも一方は、対応する第1従動ドラムまたは第2従動ドラムが進出位置にあるときの当該第1従動ドラムまたは第2従動ドラムの動きを規制する部分が設けられていない、
動力伝達装置のシフト機構。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
さらにまた、駆動ドラムと第1従動ドラムの互いの対向する面の一方にピンを、他方に前記のピンの側面に当接して第1従動ドラムの進出方向および退避方向の動きをそれぞれ規制する2つのカム面を設けるようにできる。同様に、駆動ドラムと第2従動ドラムの互いの対向する面の一方にピンを、他方に前記のピンの側面に当接して第2従動ドラムの進出方向および退避方向の動きをそれぞれ規制する2つのカム面を設けるようにできる。駆動ドラムが回動すると、カム面のプロフィールに従ってカム面とピンが相対移動し、これにより第1および第2従動ドラムが回転軸線方向に沿って移動する。第1従動ドラムの移動に伴って第1シフトスリーブが進退し、第1伝動軸と第2伝動軸が継断される。また、第2従動ドラムの移動に伴って第シフトスリーブが進退し、第2伝動軸と第3伝動軸が継断される。第1従動ドラムの進出方向の動きを規制するカム面は、進出位置にあるときの第1従動ドラムの動きを規制する部分を有さないものとすることができる。また、第2従動ドラムの進出方向の動きを規制するカム面は、進出位置にあるときの第2従動ドラムの動きを規制する部分を有さないものとすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
第2カム溝28bは、概略周方向に延び、回転軸線18に沿う方向において凹凸するカムプロフィールを有する。詳細には、第2カム溝28bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分28b1および第2の部分28b2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分28b3を含む。第2カム溝28bは、3周期のカムプロフィールを有する。第2カム溝28bには、第2従動ドラム32の従動ピン32a(以下、第2従動ピン32aと記す。)が係合している。第2カム溝28bの一方の側壁面に第2従動ピン32aが当接することで第2従動ドラム32の回転軸線方向において一方の向きの動きが規制される。また、第2カム溝28bの他方の側壁面に第2従動ピン32aの側面が当接することで、第2従動ドラム32の逆向きの動きが規制される。第2従動ピン32aが、第2カム溝の第1の部分28b1に係合するとき、第2従動ドラム32は退避位置に保持され、第2の部分282に係合するとき、第2従動ドラム32は進出位置に保持される。第2従動ピン32aが第2カム溝の第3の部分28b3に位置するとき、駆動ドラム28の回動に従って第2従動ドラム32が回転軸線方向に沿って移動する。第2従動ピン32aは、第2カム溝28bの3周期のカムプロフィールに対応して、等間隔に3つ設けられている。また、第1カム溝28aと第2カム溝28bのカムプロフィールは同一とすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
駆動ドラム90は、第1従動ドラム30の第1従動ピン30aと係合する第1カム構造92と、第2従動ドラム32の第2従動ピン32aと係合する第2カム構造94を含む。第1カム構造92は、第1従動ドラム30の第1従動ピン30aの側面に当接する第1カム面92aと第2カム面92bを有する。第1カム面92aと第2カム面92bは、第1従動ピン30aを挟んで互いに対向し、概略周方向に延びている。詳細には、第1カム面92aと第2カム面92bは、軸線方向の異なる位置において周方向に沿って延びる第1の部分92a1,92b1および第2の部分92a2,92b2と、第1の部分と第2の部分をつなぎ、周方向に対して斜めに延びる第3の部分92a3,92b3を含む。第1カム面92aは、第1従動ピン30aの第2伝動軸14側(図12,13,15において左側)に位置し、第1従動ピン30aの左方への動きを規制し、これにより第1従動ドラム30の進出方向の動きを規制する。第2カム面92bは、第1従動ピン30aの第2伝動軸14とは反対側(図12,13,15において右側)に位置し、第1従動ピン30aの右方への動きを規制し、これにより第1従動ドラム30の退避方向の動きを規制する。第1従動ピン30aが、第1カム面の第1の部分92a1と第2カム面の第1の部分92b1との間に位置するとき、第1従動ドラム30は退避位置に保持される。また、第1従動ピン30aが、第1カム面の第2の部分92a2と第2カム面の第2の部分92b2との間に位置するとき、第1従動ドラム30は進出位置に保持される。また、第1従動ピン30aが、第1カム面の第3の部分92a3と第2カム面の第3の部分92b3との間に位置するとき、第1従動ドラム30は駆動ドラム90の回動に従って回転軸線方向に移動する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
かみ合うスプラインの歯面に逆テーパを付けて、スプラインの抜け防止を図る技術が知られている。図16は、逆テーパの付いたスプラインの形状を示す図であり、周方向に配列された歯100,102を平面に展開して示している。(a)は、スプラインがかみ合っていない状態を示し、(b)はかみ合っている状態を示している。図16では、第2伝動軸14の外周スプライン14soと、これにかみ合う第2シフトスリーブ26の内周スプライン26siが例示されている。図示するように、歯100,102は、歯厚が端面に向けて厚くなるように歯面が斜めに形成されている。これらの歯100,102がかみ合うと、歯面に作用する力が、相手のスプラインを引き込むように作用する。図1で説明すれば、第2伝動軸14の外周スプライン14soと第2シフトスリーブの内周スプライン26siがかみ合うとき、第2シフトスリーブ26には左向きの力が作用する。この力は、第2シフトスリーブ26の内向きフランジ26fを、第2従動ドラム32の保持溝32gの左側の壁面に当接させる。第2従動ドラム32の左向きの動きが規制されていると、内向きフランジ26fと第2従動ドラム32が摺動して摩擦が発生する。駆動ドラム90を用いた場合、第2従動ドラム32が進出位置にあるとき、第2従動ピン32aが、第3カム面の欠如範囲96に位置するので、第2従動ドラム32は左向きの動きが規制されない。このため、内向きフランジ26fと第2従動ドラム32の摩擦を抑制することができる。