【課題】フォーム状に吐出することができ、対象物上で塗り拡げやすく、塗布後の乾燥性が優れ、かつ、皮脂を吸収する皮脂吸収パウダーがケーキングしにくく、均一な組成で吐出することができる発泡性エアゾール組成物を提供する。
【解決手段】原液と液化ガスとからなり、原液は、皮脂吸収パウダーと、パウダー分散剤と、界面活性剤と、アルコールと、水とを含み、アルコールは、原液中、7〜45質量含まれ、水は、原液中、40〜85質量%含まれ、パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)は、1〜10である、発泡性エアゾール組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<発泡性エアゾール組成物>
本発明の一実施形態の発泡性エアゾール組成物(以下、「エアゾール組成物」ともいう)は、原液と液化ガスとからなる。原液は、皮脂吸収パウダーと、パウダー分散剤と、界面活性剤と、アルコールと、水とを含む。アルコールは、原液中、7〜45質量含まれる。水は、原液中、40〜85質量%含まれる。パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)は、1〜10である。以下、それぞれについて説明する。
【0013】
(原液)
原液は、エアゾール組成物の液体成分であり、皮脂吸収パウダーと、パウダー分散剤と、界面活性剤と、アルコールと、水とを含む。
【0014】
・皮脂吸収パウダー
皮脂吸収パウダーは、頭皮や皮膚等の対象物上において、これらの部位の脂を吸収し、サラサラにする等の目的で配合される。
【0015】
皮脂吸収パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、皮脂吸収パウダーは、デンプン、シリカ、アクリルポリマーなどである。デンプンは、各種穀類デンプン、イモ類デンプン、豆類デンプン、野草類デンプン、幹茎デンプンおよびこれらの改質デンプン(加工デンプン)である。より具体的には、デンプンは、コーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、サゴデンプンおよびこれらの改質デンプンが例示される。なお、本明細書において、改質デンプンとは、デンプンに対して、アセチル化、エーテル化、エステル化、グラフト化、架橋化等の誘導体化処理、焙焼、酵素変性、酸化、酸処理等の分解処理、α化、部分α化、造粒処理、多孔質化等の加工を施すことにより、デンプン本来の物性を人為的に変化させたものをいう。これらの中でも、デンプンは、皮脂を吸収しやすい点から、疎水化デンプンであることが好ましい。なお、本実施形態において、疎水化デンプンは、デンプン分子に、酢酸、ヒドロキシ酢酸、オクテニルコハク酸などを接合するために、アルカリ媒体にてエステル化したものである。これらの中でもさらに、デンプンは、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンアルミニウムであることがより好ましい。なお、皮脂吸収パウダーは、併用されてもよい。
【0016】
皮脂吸収パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、皮脂吸収パウダーの含有量は、原液中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、皮脂吸収パウダーの含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。皮脂吸収パウダーの含有量が0.5質量%未満の場合、エアゾール組成物は、皮脂吸収効果が得られにくくなる傾向がある。一方、皮脂吸収パウダーの含有量が20質量%を超える場合、エアゾール組成物は、吐出物中の皮脂吸収パウダーの濃度がばらつきやすく、皮脂吸収効果もばらつきやすくなる傾向がある。また、エアゾール組成物は、塗布面で白くなりやすい。
【0017】
・パウダー分散剤
パウダー分散剤は、皮脂吸収パウダーが容器の底部で固まるケーキングを防止し、使用者が使用前に容器を2〜3回程度振ることで、皮脂吸収パウダーを均一に分散させて吐出させやすくする目的で配合される。
【0018】
パウダー分散剤は特に限定されない。一例を挙げると、パウダー分散剤は、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム等である。パウダー分散剤は、併用されてもよい。
【0019】
パウダー分散剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダー分散剤の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、パウダー分散剤の含有量は、原液中、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。パウダー分散剤の含有量が0.1質量%未満である場合、皮脂吸収パウダーは、ケーキングしやすくなり、所定の濃度で吐出されにくくなり、皮脂吸収効果が得られにくくなる傾向がある。一方、パウダー分散剤の含有量が10質量%を超える場合、パウダー分散剤は、皮脂吸収パウダーと皮膚との接触を阻害してしまい、皮脂吸収効果が得られにくくなる傾向がある。
【0020】
・界面活性剤
界面活性剤は、皮脂吸収パウダーやパウダー分散剤の分散性を調整する、液化ガスの気化により原液を発泡させて泡を形成する、などの目的で用いられる。
【0021】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤等である。界面活性剤は、併用されてもよい。
【0022】
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、原液中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、原液中、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.5質量%未満である場合、エアゾール組成物は、泡立ちが悪くなりやすくなる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が15質量%を超える場合、エアゾール組成物は、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0023】
・アルコール
アルコールは、エアゾール組成物中では水と共に皮脂吸収パウダーやパウダー分散剤を分散する溶媒として作用し、発泡性を調整し、塗布後の乾燥を速くし、べたつきをなくし、サラサラ感を付与する等の目的で配合される。
【0024】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2〜3個の1価アルコール等である。アルコールは併用されてもよい。
【0025】
アルコールの含有量は、原液中、7質量%以上であればよく、10質量%以上であることが好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中、45質量%以下であればよく、40質量%以下であることが好ましい。アルコールの含有量が7質量%未満である場合、エアゾール組成物は、塗布後の乾燥性が悪くなりやすい。また、皮脂吸収パウダーが固くケーキングしやすく、エアゾール組成物は、再分散性が悪くなりやすい。一方、アルコールの含有量が45質量%を超える場合、エアゾール組成物は、発泡性が悪くなりやすい。
【0026】
・水
水は、エアゾール組成物中ではアルコールと共に皮脂吸収パウダーやパウダー分散剤を分散する溶媒として作用し、吐出されると泡を形成して塗布しやすくする等の目的で配合される。
【0027】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等が例示される。
【0028】
水の含有量は、原液中、40質量%以上であればよく、45質量%であることが好ましい。また、水の含有量は、原液中、85質量%以下であればよく、80質量%以下であることが好ましい。水の含有量が40質量%未満である場合、エアゾール組成物は、発泡性が悪くなりやすい。一方、水の含有量が85質量%を超える場合、エアゾール組成物は、乾燥性が悪くなりやすく、皮脂吸収パウダーがケーキングしやすくなる傾向がある。
【0029】
本実施形態のエアゾール組成物は、上記成分のほか、乾燥補助剤、水溶性高分子、有効成分、油剤に含んでもよい。
【0030】
・乾燥補助剤
乾燥補助剤は、塗布後の乾燥を速くする等の目的で好適に配合される。
【0031】
乾燥補助剤は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥補助剤は、沸点が15〜50℃である低沸点溶剤であり、メチラール(42℃)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(18.3℃)、イソペンタン(27.8℃)、ノルマルペンタン(36.1℃)等である。乾燥補助剤は併用されてもよい。これらの中でも、乾燥補助剤は、水溶性を有するメチラールを用いることが好ましい。
【0032】
乾燥補助剤が配合される場合、乾燥補助剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥補助剤の含有量は、原液中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、乾燥補助剤の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。乾燥補助剤の含有量が1質量%未満である場合、エアゾール組成物は、乾燥性を速める効果が得られにくい。一方、乾燥補助剤の含有量が20質量%を超える場合、エアゾール組成物は、発泡性が悪くなる傾向がある。
【0033】
・水溶性高分子
水溶性高分子は、発泡性を向上させたり、泡の保持力、硬さ、弾性、伸展性などを調整する等の目的で好適に配合される。
【0034】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化−O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)などのカチオン性ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガムなどのガム質;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等である。水溶性高分子は併用されてもよい。
【0035】
水溶性高分子が配合される場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01質量%未満である場合、エアゾール組成物は、水溶性高分子を配合することによる効果が得られにくい傾向がある。一方、水溶性高分子の含有量が5質量%を超える場合、エアゾール組成物は、原液の粘度が高くなりすぎて、発泡しにくくなる傾向がある。
【0036】
・有効成分
有効成分は、所望する効果を得るために好適に配合される。有効成分は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル−ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、p−メンタン−3,8−ジオール、3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピルなどの害虫忌避剤、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクレリン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸などの紫外線吸収剤、クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤、l−メントール、カンフルなどの清涼化剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤、レチノール、dl−α−トコフェロールなどのビタミン類、グリチルレチン酸などの抗炎症剤、硝酸ミコナゾール、硝酸スルコナゾール、クロトリマゾールなどの抗真菌剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸メチルなどの消臭成分、香料等である。有効成分は、併用されてもよい。
【0037】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が0.1質量%未満である場合、エアゾール組成物は、有効成分を配合することによる効果が得られにくい傾向がある。一方、有効成分の含有量が20質量%を超える場合、エアゾール組成物は、有効成分の種類によっては発泡しにくくなる傾向がある。
【0038】
・油剤
油剤は、くし通りをよくする、肌触りを良くするなどの目的で好適に配合される。
【0039】
油剤は特に限定されない。一例を挙げると、油剤は、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルなどのエステル油、オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール等である。油剤は併用されてもよい。
【0040】
油剤が配合される場合、油剤の含有量特に限定されない。一例を挙げると、油剤の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、油剤の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。油剤の含有量が0.1質量%未満の場合、エアゾール組成物は、油剤を配合することによる効果が得られにくい傾向がある。一方、油剤の含有量が20質量%を超える場合、エアゾール組成物は、発泡性が悪くなりやすく、乾燥性が低下してべたつきやすい傾向がある。
【0041】
原液全体の説明に戻り、本実施形態の原液は、上記したパウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)が、1〜10である。パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)は、1以上であればよく、1.5以上であることが好ましい。また、パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)は、10以下であればよく、8以下であることが好ましい。パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)が1未満である場合、エアゾール組成物は、皮脂吸収パウダーと皮膚との接触を阻害しやすく、皮脂を吸収する効果が不充分になりやすい。一方、パウダー分散剤に対する皮脂吸収パウダーの配合割合(質量比)が10を超える場合、エアゾール組成物は、皮脂吸収パウダーが充分に分散されず、容器内で沈殿したり、再分散させにくくなる傾向がある。
【0042】
原液の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、原液の含有量は、エアゾール組成物中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。また、原液の含有量は、エアゾール組成物中、92質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。原液の含有量が60質量%未満である場合、エアゾール組成物は、吐出された後に泡の状態が維持されにくく、液状化しやすい傾向がある。一方、原液の含有量が92質量%を超える場合、エアゾール組成物は、泡立ちが悪くなる傾向がある。
【0043】
原液の調製方法は特に限定されない。原液は、従来周知の方法により調製することができる。たとえば、原液に、皮脂吸収パウダー、パウダー分散剤、界面活性剤、アルコール、水、有効成分が含まれている場合、原液は、界面活性剤および有効成分を、アルコールおよび水に溶解し、次いで、皮脂吸収パウダーとパウダー分散剤を分散させることにより調製することができる。
【0044】
(液化ガス)
液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、外部に吐出されて気化することにより原液を発泡させて泡を形成し、塗布しやすくするなどの目的で配合される。
【0045】
液化ガスは特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234yf)などのハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物等である。
【0046】
本実施形態のエアゾール組成物は、上記のとおり、原液中に、アルコールが7〜45質量%含まれる。液化ガスは、このような原液を発泡させやすい点から、20℃での蒸気圧が0.3〜0.5MPaである液化ガスであることが好ましく、液化石油ガスであることをより好ましい。
【0047】
液化ガスの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。液化ガスの含有量が8質量%未満である場合、エアゾール組成物は、泡立ちが悪くなりやすい傾向がある。一方、液化ガスの含有量が40質量%を超える場合、エアゾール組成物は、泡の状態で維持されにくく、液状化しやすくなる傾向がある。
【0048】
なお、本実施形態のエアゾール組成物は、加圧剤として、窒素、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素などの圧縮ガスが配合されてもよい。
【0049】
以上、本実施形態のエアゾール組成物は、皮脂吸収パウダーが、パウダー分散剤に対して所定の配合割合となるよう配合されている。また、原液は、界面活性剤と、7〜45質量%のアルコールと、40〜85質量%の水を含む。そのため、エアゾール組成物は、長く静置(保管)した場合であっても、皮脂吸収パウダーがケーキングを起こしにくい。そのため、エアゾール組成物は、もし皮脂吸収パウダーが沈降している場合であっても、使用時に容易に皮脂吸収パウダーを再分散させることができ、均一な組成で吐出され得る。また、エアゾール組成物は、界面活性剤を含んでいるためフォーム状に吐出することができ、対象物上で塗り拡げやすい。さらに、エアゾール組成物は、高配合されたアルコールによって、塗布後の乾燥性が向上している。
【0050】
<エアゾール製品>
上記エアゾール組成物を充填したエアゾール製品について説明する。本実施形態のエアゾール製品は、上記エアゾール組成物を充填する容器本体と、容器本体に取り付けられるエアゾールバルブと、エアゾール組成物を吐出する吐出孔が形成されたノズルを有する吐出部材とを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール製品の構成は、上記エアゾール組成物を充填でき、適切に吐出できる構成であればよい。そのため、以下に示されるエアゾール製品の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0051】
(容器本体)
容器本体は、エアゾール組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体は、汎用の形状であってよい。たとえば、耐圧容器は、上部に開口部を有する有底筒状である。開口部は、原液を充填するための充填口である。容器本体は、開口部に後述するエアゾールバルブを取り付けて閉止することによりエアゾール容器となる。
【0052】
容器本体の材質は特に限定されない。容器本体は、エアゾール組成物を加圧状態で充填できる程度の耐圧性を有していればよい。このような材質は、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等である。
【0053】
(エアゾールバルブ)
エアゾールバルブは、容器本体の開口部に取り付けられるマウンティングカップと、マウンティングカップの中央内部に支持される弁機構を有する。弁機構は、開口部の外周部分がマウンティングカップの中央内部に支持される有底筒状のハウジングを有する。ハウジング内部には、容器本体の内外を連通するステム孔を有するステムと、ステム孔の周囲に取り付けられるステムラバー、およびステムとステムラバーとを上方方向へ付勢するスプリングとが設けられている。ステムとステムラバーとは、常時はスプリングにより上方へ付勢されており、ステムラバーによってステム孔がシールされている。そして、ステムに嵌合して吐出部材が設けられている。
【0054】
なお、エアゾールバルブの構造は特に限定されない。たとえば、エアゾールバルブは、容器本体の内部のエアゾール組成物をハウジング内部に導入するための液相導入孔を有するハウジングを備えている。
【0055】
容器本体にエアゾール組成物を充填する方法は特に限定されない。たとえば、エアゾール組成物は、容器本体の開口部から原液を充填し、エアゾールバルブにより開口部を閉止し、エアゾールバルブの弁機構から液化ガスを充填して原液と混合させる方法が採用され得る。
【0056】
エアゾール組成物が充填されることにより、容器本体の内圧は、25℃において0.2〜0.6MPa程度に調整され得る。
【0057】
(吐出部材)
吐出部材は、エアゾールバルブを経て取り込まれたエアゾール組成物を吐出するための部材であり、吐出孔が形成されたノズルを有する。吐出部材は、内部にエアゾール組成物が通過する吐出通路を備える。吐出通路の一端はステム内の通路と連通しており、他端はエアゾール組成物を吐出するための吐出孔が形成されている。
【0058】
吐出孔の断面積(直径)は特に限定されない。吐出孔の断面積は、吐出物の勢いなど、目的とする吐出状態を得るために適宜調整される。たとえば、対象物が頭髪である場合、使用者は、たとえば手のひらに吐出してフォームを形成し、その後、得られたフォームを頭髪に塗り伸ばすと考えられる。この場合、ノズルから手のひらまでの距離は、数cmとなり得る。そのため、吐出孔の断面積は、1〜50mm
2程度に調整され得る。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0060】
(実施例1)
表1に記載の処方に従って原液を調製し、ポリエチレンテレフタレート製の容器本体に85質量%充填した。次いで、表2に記載の処方に従って液化ガス(液化石油ガス(20℃での蒸気圧が0.44MPa))を15質量%充填し、容器本体の口部にエアゾールバルブを取り付けて密封した。容器内で原液と液化ガスを混合することによりエアゾール組成物を充填したエアゾール製品を作製した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
(実施例2〜15、比較例1〜4)
表1に記載の処方に従って原液を調製し、表2に記載の処方に従ってエアゾール製品を作製した以外は、実施例1と同様の方法により、それぞれのエアゾール組成物を調製し、エアゾール製品を作製した。
【0064】
実施例1〜15および比較例1〜4において得られたエアゾール製品等に関して、以下の評価方法により、吐出したエアゾール組成物の泡質、乾燥性、およびエアゾール製品におけるエアゾール組成物の再分散性を評価した。結果を表2に示す。
【0065】
<1.泡質>
上記エアゾール製品を25℃の恒温水槽内で1時間浸漬し、その後、手のひらに吐出し、以下の評価基準にしたがって泡質を評価した。
(評価基準)
◎:泡は、非常にキメが細かかった。
〇:泡は、キメが細かかった。
△:泡は、キメが粗かった。
×:吐出物は、発泡が弱く、すぐに液体になった。
【0066】
<2.乾燥性>
上記泡質の評価において、手のひらに吐出した泡(吐出物)を頭部に塗布し、手ぐしで塗り伸ばしたときの乾燥性を、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:吐出物を塗布した頭部(頭髪)は、手ぐしで塗り伸ばしている間(10〜20秒)に乾燥した。
△:吐出物を塗布した頭部(頭髪)は、手ぐしで塗り伸ばしている間(20〜30秒)にほとんどが乾燥した。
×:吐出物を塗布した頭部(頭髪)は、手ぐしで30秒間塗り伸ばした後も乾燥せずにほとんどが湿ったままであった。
【0067】
<3.再分散性>
エアゾール製品を25℃の恒温室内で3日間静置し、パウダーの状態を、以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
○:容器の底部にパウダーの沈殿層がほとんど形成されず、1〜3回振ると、パウダーが均一に分散した。
△:容器の底部にパウダーの沈殿層ができたが、4〜9回振ると、パウダーが均一に分散した。
×:容器の底部にパウダーの沈殿層ができ、10回振ってもパウダーが均一に分散せず、一部が底部に固まったままであった。
【0068】
表2に示されるように、実施例1〜15のエアゾール製品は、いずれもフォーム状に吐出することができ、頭髪上で塗り拡げやすく、塗布後の乾燥性が優れ、かつ、皮脂を吸収する皮脂吸収パウダーがケーキングしにくく、再分散させやすく、均一な組成で吐出することができた。一方、パウダー分散剤の配合量に対する皮脂吸収パウダーの配合量が多かった比較例1のエアゾール製品は、ケーキングを生じやすく、パウダーを再分散させにくかった。アルコールを含まず、水の配合量が多かった比較例2のエアゾール製品は、乾燥性が劣り、かつ、ケーキングを生しやすかった。アルコールの配合量が少なく、水の配合量が多かった比較例3のエアゾール製品は、ケーキングを生じやすかった。アルコールの配合量が多く、水の配合量が少なかった比較例4のエアゾール製品は、フォーム状に吐出することができず、塗り伸ばしにくかった。