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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-197000(P2019-197000A)
(43)【公開日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】酒米分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20191018BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20191018BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20191018BHJP
【FI】
   G01N21/88 J
   B07C5/342
   G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-91500(P2018-91500)
(22)【出願日】2018年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】冨田 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】竹森 利和
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA04
2G051AB03
2G051AC21
2G051CA04
2G051EA12
2G051EA14
2G051EB01
2G051EB02
2G051EC01
2G051ED01
2G051ED07
2G051ED12
3F079AC15
3F079CA09
3F079CB29
5L096DA02
5L096EA12
5L096EA16
5L096EA39
5L096GA51
5L096HA09
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】短時間で且つ正確に酒米の形態に関する判定結果を得ることができる酒米分析装置を提供する。
【解決手段】酒米分析装置10が、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する画像データ取得部11と、画像データ取得部11が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行って、当該一つの酒米の処理済画像データを生成する画像処理部12と、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、画像処理部12が生成した処理済画像データにおける一つの酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態であるかを判定する形態判定部13を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行って、当該一つの酒米の処理済画像データを生成する画像処理部と、
蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、前記画像処理部が生成した前記処理済画像データにおける前記一つの酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態であるかを判定する形態判定部を備える酒米分析装置。
【請求項2】
前記形態判定部は、前記割れの形態として、酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態であるか、又は、酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態であるかを判定する請求項1に記載の酒米分析装置。
【請求項3】
前記画像処理部が行う前記画像処理として、前記画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理、及び、当該一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理、及び、画像のコントラストを調整する処理を含む請求項1又は2に記載の酒米分析装置。
【請求項4】
前記形態判定部は、前記画像処理部が生成した前記処理済画像データと当該処理済画像データに含まれる酒米の前記形態に関する情報との組み合わせで構成される前記訓練データの前記機械学習を実行する請求項1〜3の何れか一項に記載の酒米分析装置。
【請求項5】
前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性の高低を判定する妥当性判定部を備え、
前記形態判定部は、前記妥当性判定部によって妥当性が高いと判定された酒米の前記形態に関する情報と当該形態が判定された前記処理済画像データとの組み合わせを既存の前記訓練データに追加して前記機械学習を実行する請求項4に記載の酒米分析装置。
【請求項6】
前記形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での前記一つの酒米の前記形態の変化履歴が分かる状態で記憶する形態記憶部を備え、
前記妥当性判定部は、
前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の確信度が所定値以上であり、且つ、水への浸漬を開始した後での酒米の前記形態の変化履歴が所定の変化基準に適合している場合には、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性が高いと判定し、
前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の確信度が前記所定値未満である場合、又は、水への浸漬を開始した後での酒米の前記形態の変化履歴が所定の変化基準に適合していない場合には、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性が低いと判定する請求項5に記載の酒米分析装置。
【請求項7】
前記形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での前記一つの酒米の前記形態の変化履歴が分かる状態で記憶する形態記憶部を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の酒米分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒米の形態を分析する酒米分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酒造において、精米、浸漬、蒸といった原料米の加工工程はその後の醸造工程の結果を左右する重要なプロセスである。特に、浸漬において、大吟醸酒などでは限定吸水と呼ぶ、吸水量を1%単位で調整する作業を行うこともあり、酒米の含水状態の変化を詳細に把握することは酒品質の向上を図る上で重要である。ただし、原料米の状態(品種、精米歩合、水分率など)や浸漬条件(時間、温度、濃度など)により米の含水状態は大きく変わることが知られている。
【0003】
非特許文献1には、「酒造用白米の浸漬割れ測定方法」と題する技術が記載されている。この文献では、浸漬によって酒米に割れが生じることが記載され、酒米の割れを目視判定して、酒米に生じる割れの割合(浸漬割率)の算出が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】中山繁喜、高橋亨、「酒造用白米の浸漬割れ測定方法」、岩手県工業技術センター研究報告、2006年、第13号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の技術、即ち、人間が目視判定により酒米に割れが生じているか否かを判定する技術では、短時間で且つ正確に酒米の形態を判定し続けることは困難である。
特に、水に浸漬された状態に配置された酒米の形態は刻一刻と変化する可能性があるため、短時間で且つ正確に酒米の形態を判定する手法の開発が求められているが、非特許文献1に記載の技術ではそのような要求に応えることができない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時間で且つ正確に酒米の形態に関する判定結果を得ることができる酒米分析装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る酒米分析装置の特徴構成は、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行って、当該一つの酒米の処理済画像データを生成する画像処理部と、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、前記画像処理部が生成した前記処理済画像データにおける前記一つの酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態であるかを判定する形態判定部を備える点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、画像データ取得部が取得した、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データから、酒米の形態(酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態)を判定できる。特に本特徴構成では、人間が酒米の形態を判定するのではなく、形態判定部が、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、画像処理部が生成した処理済画像データにおける一つの酒米の形態を判定する。その結果、酒米の形態に関して、短時間で、且つ、一貫性のある判定結果を得ることができる。加えて、形態判定部が酒米の形態を判定するために参照する画像データは、画像処理部が、画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行った後の処理済画像データである。つまり、形態判定部は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)から酒米の形態を判定できるので、その判定結果が適切である可能性が高まる。
従って、短時間で且つ正確に酒米の形態に関する判定結果を得ることができる酒米分析装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る酒米分析装置の別の特徴構成は、前記形態判定部は、前記割れの形態として、酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態であるか、又は、酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態であるかを判定する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、形態判定部は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)から、酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、亀裂の隙間が大きくなって酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態であるか、又は、亀裂の隙間が大きくなって酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態であるかを判定できる。
【0011】
本発明に係る酒米分析装置の更に別の特徴構成は、前記画像処理部が行う前記画像処理として、前記画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理、及び、当該一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理、及び、画像のコントラストを調整する処理を含む点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、形態判定部が酒米の形態を判定するために参照する画像データは、画像処理部が、画像データ取得部が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理、及び、一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理、及び、画像のコントラストを調整する処理を含む画像処理を行った後の処理済画像データである。つまり、形態判定部は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)から酒米の形態を判定できるので、その判定結果が適切である可能性が高まる。
【0013】
本発明に係る酒米分析装置の更に別の特徴構成は、前記形態判定部は、前記画像処理部が生成した前記処理済画像データと当該処理済画像データに含まれる酒米の前記形態に関する情報との組み合わせで構成される前記訓練データの前記機械学習を実行する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、機械学習は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)を訓練データとして行われ、酒米の形態の判定も、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)に対して行われる。その結果、形態判定部の判定結果が適切である可能性が高まる。
【0015】
本発明に係る酒米分析装置の更に別の特徴構成は、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性の高低を判定する妥当性判定部を備え、前記形態判定部は、前記妥当性判定部によって妥当性が高いと判定された酒米の前記形態に関する情報と当該形態が判定された前記処理済画像データとの組み合わせを既存の前記訓練データに追加して前記機械学習を実行する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、妥当性判定部は、形態判定部が判定した酒米の形態の妥当性の高低を判定し、形態判定部は、妥当性判定部によって妥当性が高いと判定された酒米の形態に関する情報とその形態が判定された処理済画像データとの組み合わせを既存の訓練データに追加して機械学習を実行する。つまり、適切な訓練データの蓄積と機械学習とを自動で行うことができる。
【0017】
本発明に係る酒米分析装置の更に別の特徴構成は、前記形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での前記一つの酒米の前記形態の変化履歴が分かる状態で記憶する形態記憶部を備え、前記妥当性判定部は、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の確信度が所定値以上であり、且つ、水への浸漬を開始した後での酒米の前記形態の変化履歴が所定の変化基準に適合している場合には、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性が高いと判定し、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の確信度が前記所定値未満である場合、又は、水への浸漬を開始した後での酒米の前記形態の変化履歴が所定の変化基準に適合していない場合には、前記形態判定部が判定した酒米の前記形態の妥当性が低いと判定する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、形態記憶部は、形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶する。その結果、一つの酒米の形態がどのような変化履歴を示したのかを知ることができる。
また、例えば一つの酒米の形態を継続的に見た場合、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態から、酒米が損傷していない形態に戻ることはないし、酒米に亀裂が生じた形態に戻ることもない。つまり、水への浸漬を開始した後での酒米の形態が形態判定部によって適切に判定されていれば、その変化履歴は所定の変化基準に適合しているはずである。そこで本特徴構成では、妥当性判定部は、形態判定部が判定した酒米の形態の確信度が所定値以上であり、且つ、水への浸漬を開始した後での酒米の形態の変化履歴が所定の変化基準に適合している場合には、形態判定部が判定した酒米の形態の妥当性が高いと判定する。その結果、適切な訓練データの蓄積と機械学習とを自動で行うことができる。
【0019】
本発明に係る酒米分析装置の更に別の特徴構成は、前記形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での前記一つの酒米の前記形態の変化履歴が分かる状態で記憶する形態記憶部を備える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、形態記憶部は、形態判定部の判定結果を、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶する。その結果、一つの酒米の形態がどのような変化履歴を持っているのかを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の酒米分析装置の構成を示す図である。
図2】形態判定処理を説明するフローチャートである。
図3】画像処理の例を説明する図である。
図4】酒米の形態の例を示す図である。
図5】機械学習処理を説明するフローチャートである。
図6】学習回数と正解率との関係を示すグラフである。
図7】学習回数と正解率との関係を示すグラフである。
図8】学習回数と正解率との関係を示すグラフである。
図9】第2実施形態の酒米分析装置の構成を示す図である。
図10】機械学習処理を説明するフローチャートである。
図11】妥当性判定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る酒米分析装置10A(10)について説明する。
図1は、第1実施形態の酒米分析装置10Aの構成を示す図である。図2は、酒米分析方法の一部である形態判定処理を説明するフローチャートである。図3は、画像処理の例を説明する図である。本実施形態の酒米分析装置10Aは、画像データ取得部11と、画像処理部12と、形態判定部13を備える。また、酒米分析装置10Aは、取り扱う情報を記憶する記憶装置15を備える。酒米分析装置10Aは、情報の演算処理機能及び情報の入出力機能及び情報の記憶機能などを備える1台又は複数台のコンピュータ装置などを用いて実現される。その場合、画像データ取得部11の機能と、画像処理部12の機能と、形態判定部13の機能とをコンピュータ装置に実現させるプログラム(酒米分析プログラム)を、そのコンピュータ装置にインストールしておけばよい。
【0023】
後述する例では、形態判定部13はCNN(Convolutional Neural Network)などのアルゴリズムを用いて酒米の形態を予測判定する。
また、形態判定部13は、画像処理部12が生成した処理済画像データが入力された場合に、酒米の形態に関する情報が出力されるように機械学習を行う。例えば、機械学習によって、形態判定部13のアルゴリズムを構成するCNNの複数の重みパラメータなどが調整される。
【0024】
本実施形態の記憶装置15は、撮影装置1が撮影した画像データを記憶する画像データ記憶部15aと、機械学習で利用する訓練データを記憶する訓練データ記憶部15bと、形態判定部13の判定結果を記憶する形態記憶部15cとを備える。ここで、形態記憶部15cは、形態判定部13の判定結果を、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶してもよい。
【0025】
出力装置2は、画像情報や文字情報などを表示できる表示装置や、それら画像情報や文字情報などを紙などに印刷できる印刷装置などである。
【0026】
図2は、画像データを参照して酒米の形態を判定する形態判定処理を説明するフローチャートである。
図2の工程#10において画像データ取得部11は、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する。つまり、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する画像データ取得工程が実行される。例えば、撮影装置1は、浸漬した状態に配置された複数の酒米を撮影して1つの画像データを得る。そして、その画像データは酒米分析装置10Aに伝達され、画像データ取得部11が取得する。画像データ取得部11が取得した画像データを記憶装置15の画像データ記憶部15aに記憶しておくこともできる。例えば、図3に示す画像データAは、画像データ取得部11が取得する画像データである。
【0027】
図2の工程#11において画像処理部12は、画像データ取得部11が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行って、その一つの酒米の処理済画像データを生成する。つまり、画像データ取得工程で取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を含む画像処理を行って、その一つの酒米の処理済画像データを生成する画像処理工程が実行される。図3は、画像処理の例を説明する図である。本実施形態では、画像処理部12が行う画像処理として、画像データ取得部11が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理、及び、その一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理、及び、画像のコントラストを調整する処理を含む。
【0028】
例えば、図3に示す画像データBは、画像データ取得部11が取得した画像データAにおいて、一つの酒米の全体画像を含むデータを抽出した画像である。図3に示す画像データCは、画像データBにおいて、一つの酒米以外の他の酒米の画像を除去することで、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理を行った後の画像である。図3に示す画像データDは、画像データCに対して、一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理を行った後の画像である。この場合、酒米の長軸が鉛直方向に沿うような姿勢に酒米画像を回転させている。図3に示す画像データEは、画像データDに対して、酒米の向きを調整する処理(例えば、上下反転処理や左右反転処理など)を行った後の画像である。図3に示す画像データFは、画像データEに対して、画像のコントラストを調整する処理を行った後の画像である。
【0029】
このように、形態判定部13が酒米の形態を判定するために参照する入力データとしての画像データは、画像処理部12が、画像データ取得部11が取得した画像データにおいて、一つの酒米のみを含む領域の酒米画像データを抽出する処理、及び、一つの酒米が所定の姿勢になるように酒米画像を回転させる処理、及び、画像のコントラストを調整する処理を含む画像処理を行った後の処理済画像データである。つまり、形態判定部13は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)から酒米の形態を判定できるので、その判定結果が適切である可能性が高まる。
【0030】
図2の工程#12において形態判定部13は、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、画像処理部12が生成した処理済画像データ(図3の画像データF)における一つの酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態であるかを判定する。つまり、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、画像処理工程で生成した処理済画像データにおける一つの酒米の形態として、酒米が損傷していない形態か、又は、酒米に亀裂が生じた形態であるか、又は、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態であるかを判定する形態判定工程が実行される。形態判定部13は、割れの形態として、酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態であるか、又は、酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態であるかも判定する。
【0031】
形態判定部13は、画像処理部12が生成した処理済画像データが入力されると、酒米の形態に関する情報が出力されるようにアルゴリズムが構成されている。例えば、形態判定部13で実行されるCNNは、画像処理部12が生成した処理済画像データが入力される入力層と、入力層に入力された処理済画像データに対して畳み込み処理を行って特徴マップを得る畳み込み層と、畳み込み層から出力された特徴マップを縮小するプール層と、全ユニットを結合する全結合層と、出力層とを備えて階層型のネットワークを構成している。畳み込み層及びプール層の組み合わせは複数回繰り返し設けられ、全結合層も複数層設けられる。
【0032】
本実施形態では、形態判定部13の判定結果となる酒米の形態に関する情報として4種類の情報(損傷無し、亀裂、縦割れ、横割れ)を想定しているため、CNNの出力層のユニット数は4になる。出力層ではソフトマックス関数を尤度関数として用いることができる。ソフトマックス関数は、出力層の全ユニットの値を累積した値で各ユニットの値を除算して正規化するので、出力層の各ユニットの尤度は0〜1の間の値をとる。そして、形態判定部13は、尤度が最大となるクラスを分類クラス、即ち、酒米の形態(判定結果)として決定する。形態判定部13の判定結果は形態記憶部15cで記憶される。ここで、形態記憶部15cは、形態判定部13の判定結果を、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶してもよい。
【0033】
形態判定部13の判定結果を、出力装置2から出力することもできる。例えば、複数の酒米のうち、縦割れや横割れが発生している酒米の割合などを算出して出力装置2から出力することもできる。また、形態記憶部15cに、形態判定部13の判定結果が、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶されている場合には、縦割れや横割れが発生している酒米の割合の時間的な変化などを算出して出力装置2から出力することもできる。
【0034】
図4は酒米の形態の例を示す図である。具体的には、図4(a)は酒米が損傷していない形態を示す図である。図4(b)は酒米に亀裂が生じた形態である。図4(c)及び図4(d)は酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態である。割れの形態として、酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態(図4(c))と、酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態(図4(d))とがある。また、図4(b)は酒米において短軸方向に沿う亀裂が生じた形態である。このように、形態判定部13は、割れの形態として、酒米の長軸方向に沿う縦断面が開いた縦割れが生じた形態であるか、又は、酒米の短軸方向に沿う横断面が開いた横割れが生じた形態であるかも判定する。
【0035】
以上のように、本実施形態では、人間が酒米の形態を判定するのではなく、形態判定部13が、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、画像処理部12が生成した処理済画像データにおける一つの酒米の形態を判定する。その結果、酒米の形態に関して、短時間で、且つ、一貫性のある判定結果を得ることができる。
【0036】
図5は、酒米分析方法の一部である機械学習処理を説明するフローチャートである。
工程#20において画像データ取得部11は、酒米の画像データを取得する。つまり、水に浸漬した状態に配置された酒米を撮影した画像データを取得する画像データ取得工程が実行される。そして、工程#21において画像処理部12は、画像処理を施して、処理済画像データを生成する。次に、工程#22において形態判定部13は、画像処理部12が生成した処理済画像データとその処理済画像データに含まれる酒米の形態に関する情報との組み合わせで構成される訓練データを訓練データ記憶部15bに記憶し、工程#23においてその訓練データの機械学習を実行する。例えば、一つの処理済画像データに対して、その処理済画像データに含まれている一つの酒米の形態について、人間が判定した正解データがラベル付けされることで、一つの訓練データが作成される。訓練データ記憶部15bには、このようにして作成した複数の訓練データが記憶されている。
【0037】
本実施形態では、形態判定部13で実行されるCNNの出力層ではソフトマックス関数が尤度関数として用いられる。ソフトマックス関数は、出力層の全ユニットの値を累積した値で各ユニットの値を除算して正規化するので、出力層の各ユニットの尤度は0〜1の間の値をとる。そして、形態判定部13は、出力層で生成される推定データ(「尤度」)と正解データ(「1」)との誤差に対して誤差逆伝播法を用いてその誤差を小さくするように、実行するCNNの複数の重みパラメータを修正して、画像処理部12が生成した処理済画像データが入力されると酒米の形態に関する情報が出力されるアルゴリズムを機械学習の実行結果として得る。
【0038】
このように、機械学習は、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)を訓練データとして行われ、上述した酒米の形態の判定も、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データ(処理済画像データ)に対して行われる。その結果、形態判定部13の判定結果が適切である可能性が高まる。
【0039】
次に、本実施形態のような処理済画像データを訓練データとして機械学習を行うことにより得られる効果を説明する。
図6図8は、学習回数と正解率との関係を示すグラフである。具体的には、図6は、図3の画像データBに正解データがラベル付けされた訓練データを用いて機械学習を行った場合の学習回数と正解率の関係を示すグラフである。図7は、図3の画像データDを訓練データとして機械学習を行った場合の学習回数と正解率の関係を示すグラフである。図8は、図3の画像データFを訓練データとして機械学習を行った場合の学習回数と正解率の関係を示すグラフである。
【0040】
図6に示すように、画像データBを訓練データとした場合、学習回数が2万回に達しても、正解率は80%未満である。この80%という正解率は、例えば、ある程度熟練した人間が画像データから酒米の形態を判定する場合の正解率に対応する。それに対して、画像データDに正解データがラベル付けされた訓練データを用いて機械学習を行った場合、学習回数が約12000回程度で正解率が80%を上回る。また、画像データFに正解データがラベル付けされた訓練データを用いて機械学習を行った場合、学習回数が約5000回程度で正解率が80%を上回る。このように、画像処理を行った後の処理済画像データ、即ち、酒米の形態を判定するのに適した状態にした画像データを訓練データとすることで、学習回数が少なくても正解率が上昇するという効果を得ることができた。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態の酒米分析装置10B(10)は機械学習処理の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の酒米分析装置10Bについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0042】
図9は第2実施形態の酒米分析装置10Bの構成を示す図である。図示するように、第2実施形態の酒米分析装置10Bは、形態判定部13が判定した酒米の形態の妥当性の高低を判定する妥当性判定部14を更に備える。そして、形態判定部13は、妥当性判定部14によって妥当性が高いと判定された酒米の形態に関する情報とその形態が判定された処理済画像データとの組み合わせを既存の訓練データに追加して機械学習を実行する。
本実施形態でも、酒米分析装置10Bは、情報の演算処理機能及び情報の入出力機能及び情報の記憶機能などを備える1台又は複数台のコンピュータ装置などを用いて実現される。その場合、画像データ取得部11の機能と、画像処理部12の機能と、形態判定部13の機能と、妥当性判定部14の機能とをコンピュータ装置に実現させるプログラム(酒米分析プログラム)を、そのコンピュータ装置にインストールしておけばよい。
【0043】
形態記憶部15cは、形態判定部13の判定結果を、水への浸漬を開始した後での一つの酒米の形態の変化履歴が分かる状態で記憶する。例えば、形態記憶部15cには、形態の判定対象とする複数の酒米のそれぞれについて、過去から現在に至るまでの、形態判定部13の判定結果を、その形態の変化履歴が分かる状態で記憶している。その結果、一つの酒米の形態がどのような変化履歴を示したのかを知ることができる。
【0044】
図10は、第2実施形態の機械学習処理を説明するフローチャートである。この機械学習処理は、第1実施形態で説明した機械学習処理(図5)に加えて行われる。具体的に説明すると、工程#30において妥当性判定部14は、形態判定部13が判定した酒米の現在の形態の妥当性を判定する。つまり、形態判定部13が実行する形態判定工程で判定した酒米の形態の妥当性の高低を判定する妥当性判定工程が実行される。図11は、妥当性判定部14が行う妥当性判定処理を説明するフローチャートである。工程#40において妥当性判定部14は、形態判定部13が判定した酒米の現在の形態の確信度が所定値以上であるか否かを判定する。例えば、形態判定部13の出力層で用いられるソフトマックス関数により算出される最大の尤度を上記確信度とした場合、そのソフトマックス関数により算出される最大の尤度が所定値以上(例えば0.8以上など)であれば、妥当性判定部14は、酒米の現在の形態の確信度が所定値以上であると判定し、工程#41に移行する。
【0045】
次に工程#41において妥当性判定部14は、酒米の形態の変化履歴は所定の基準に適合したものであるか否かを判定する。この所定の基準は以下の6パターンである。そして、妥当性判定部14は、酒米の形態の変化履歴が6パターンの何れかの基準に適合していれば、工程#42に移行して「妥当性は高い」と判定する。
【0046】
【表1】
【0047】
具体的に説明すると、例えば一つの酒米の形態を継続的に見た場合、酒米に生じた亀裂の隙間が大きくなった状態である割れが生じた形態から、酒米が損傷していない形態に戻ることはないし、酒米に亀裂が生じた形態に戻ることもない。つまり、水への浸漬を開始した後での酒米の形態が形態判定部13によって適切に判定されていれば、その変化履歴は所定の変化基準に適合しているはずである。そこで本特徴構成では、妥当性判定部14は、形態判定部13が判定した酒米の形態の確信度が所定値以上であり、且つ、水への浸漬を開始した後での酒米の形態の変化履歴が所定の変化基準に適合している場合には、形態判定部13が判定した酒米の形態の妥当性が高いと判定する。その結果、適切な訓練データの蓄積と機械学習とを自動で行うことができる。
【0048】
それに対して、妥当性判定部14は、工程#40において確信度が所定値以上ではないと判定した場合、及び、工程#41において酒米の形態の変化履歴が所定の基準に適合したものでないと判定した場合には、工程#43に移行して「妥当性は低い」と判定する。
【0049】
以上のように、妥当性判定部14は、形態判定部13が判定した酒米の形態の確信度が所定値以上であり、且つ、水への浸漬を開始した後での酒米の形態の変化履歴が所定の変化基準に適合している場合には、形態判定部13が判定した酒米の形態の妥当性が高いと判定し、形態判定部13が判定した酒米の形態の確信度が所定値未満である場合、又は、水への浸漬を開始した後での酒米の形態の変化履歴が所定の変化基準に適合していない場合には、形態判定部13が判定した酒米の形態の妥当性が低いと判定する。
【0050】
次に、工程#31において、妥当性が高いと判定された酒米の形態に関する情報と、処理済画像データとの組み合わせを訓練データとする。そして、工程#32において、その訓練データを既存の訓練データに追加して機械学習を実行する。
【0051】
このように、妥当性判定部14は、形態判定部13が判定した酒米の形態の妥当性の高低を判定し、形態判定部13は、妥当性判定部14によって妥当性が高いと判定された酒米の形態に関する情報とその形態が判定された処理済画像データとの組み合わせを既存の訓練データに追加して機械学習を実行する。つまり、適切な訓練データの蓄積と機械学習とを自動で行うことができる。
【0052】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、酒米分析装置10の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0053】
<2>
上記実施形態では、形態判定部13が、CNN(Convolutional Neural Network)を用いて酒米の形態を予測判定する例を説明したが、形態判定部13を構成するアルゴリズムは上述したCNNに限定されず、サポートベクトルマシン(SVM)、k近傍法(k-nearest neighbor algorithm)、判別関数などの他の様々なアルゴリズムを用いて構成することができる。
【0054】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、短時間で且つ正確に酒米の形態に関する判定結果を得ることができる酒米分析装置に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 撮影装置
2 出力装置
10(10A,10B) 酒米分析装置
11 画像データ取得部
12 画像処理部
13 形態判定部
14 妥当性判定部
15 記憶装置
15a 画像データ記憶部
15b 訓練データ記憶部
15c 形態記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11