【解決手段】情報処理装置1は、円筒形状の本体10の外周面に沿って表示面11を配置した構成を有し、表示面11を構成するタッチパネルに指6を接触させた状態で、表示面11が湾曲する方向とは交差するY方向に移動させることで、表示領域40のうち湾曲に沿う方向の端部は、表示面11のうち上端L1と下端L2とで挟まれた範囲として機械的に設定される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る情報処理装置1の一例を説明する図である。(A)は情報処理装置1の使用例を示し、(B)は情報処理装置1を側方から見た図である。
図1に示す情報処理装置1は、ユーザの腕5に装着されている。
本実施の形態の場合、情報処理装置1は、円筒形状の本体10の外周面に沿って表示面11を配置した構成を有している。
図1における表示面11は、本体10の全周に沿って設けられている。すなわち、表示面11は、360°型の表示手段の一例である。
【0010】
本実施の形態における表示面11は、物理的にも360°連続しているが、360°の全てが表示面11である場合と同等の使い方が可能であれば、表示面11は複数の表示デバイスの集合体として構成されていてもよい。
本実施の形態における表示面11の最大表示領域は、円周方向については全周であり、幅方向については全幅である。すなわち、ユーザが視認可能な表示面11の全域が、情報の表示に用いられる領域の最大範囲となる。
【0011】
本実施の形態の場合、表示面11は、有機EL(Electro Luminescence)パネル、液晶パネル等で構成される。
図1の場合、表示面11には、天候、時間、心拍数、歩数等の情報、メール、電話等の機能ボタンが配置されている。
なお、表示面11には、静止画のみならず、動画像も表示される。
表示面11には、本体10に内蔵されている各種のセンサの出力値が表示されてもよいし、通信機能を通じて外部から受信した情報が表示されてもよいし、不図示の記憶デバイスから読み出された情報が表示されてもよい。
【0012】
本実施の形態の場合、本体10は、円筒形状に成形されている。もっとも、円周上の一部で本体10が分断され、分断された端部を開くことで本体10を腕5に取り付けたり、取り外したりできるように形成されていてもよい。また、端部には、不図示の留め具その他の結合手段が配置されていてもよい。また、本体10は、柔軟性を有する素材で形成された帯状の部材でもよい。
また、本実施の形態の場合、表示面11は、腕5に装着した状態で360°連続するように本体10に取り付けられているが、腕5に装着した状態で円周方向について表示面11が存在しない隙間が設けられてもよい。例えば表示面11は、円周方向について350°でもよいし、300°でもよいし、180°でもよいし、120°でもよい。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を説明する図である。
円筒形状の本体10には、プログラム(ファームウェアを含む)の実行を通じて装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)21と、BIOS(Basic Input Output System)やファームウェア等のプログラムを記憶するROM22と、プログラムの実行領域として使用されるRAM(Random Access Memory)23とが設けられている。
ここで、CPU21、ROM22、RAM23はコンピュータとして機能し、各種の情報処理を実行する。なお、ROM22は、不揮発性の半導体メモリによって構成される。
【0014】
この他、本体10は、表示面11(
図1参照)を構成するタッチパネル24、測定の対象とする物理量を電気信号として出力するセンサ25、画像を撮像するカメラ26、光源としてのLED(Light Emitting Diode)27、外部機器との通信に使用される通信モジュール28等を有している。これらは、バス29を通じて接続されている。
タッチパネル24には、ユーザが操作する表示面11上の位置を検知する操作検知デバイスと、情報を表示する表示デバイスとが設けられている。表示デバイスには、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネルや液晶パネルが用いられる。
【0015】
センサ25には、例えば温度センサ、気温センサ、体温センサ、脈拍センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、GPS(Global Positioning System)センサ、環境光センサ、近接センサ、指紋センサがある。加速度センサの出力は、例えば歩数の計測に用いられる。なお、センサ25は、例示したセンサデバイスの全てを用いる必要はなく、一部でもよい。
通信モジュール28は、例えばWiFi(登録商標)規格に準拠する無線信号を送受信するWiFi(Wireless Fidelity)モジュール、近距離無線通信規格の1つであるブルートゥース(登録商標)規格に準拠する無線信号を送受信するBluetoothモジュールを含む。
【0016】
図3は、プログラムの実行を通じてCPU21が実現する機能構成の一例を説明する図である。
ただし、
図3に示す機能構成は、表示用の領域(以下「表示領域」という)を設定する機能に限って示している。
本実施の形態において表示領域を設定する機能を設けるのは、本実施の形態のように円筒形状の表示面11(
図1参照)では、最大表示領域の全域に情報を表示しても、ユーザは、表示された情報の全てを一度に視認できないためである。
【0017】
例えばユーザの位置から見て反対側の表示面11はいわゆる死角の位置にあり、それらの部位に表示されている情報の確認には、本体10(
図1参照)を回転させてユーザに向ける必要がある。
また例えばユーザの視線の方向と平行に近い部位に表示されている情報は、視認はできても内容の理解が難しい。
また例えば腕5(
図1参照)を動かした場合やユーザの頭部を動かした場合等、表示面11とユーザの位置の関係が変化した場合には、ユーザが視認できる表示面11上の領域が変化する。
【0018】
そこで、CPU21は、表示領域を規定する端部の位置を受け付ける端部位置受付部31と、受け付けた位置に基づいて表示領域を設定する表示領域設定部32として機能する。
ここでのCPU21は、表示面11の最大表示領域のうち情報の表示に用いる領域の設定を受け付ける受付手段の一例として機能する。
【0019】
端部位置受付部31に対する端部の位置の指定には、例えば表示面11が湾曲する方向の1つ又は複数の端部の位置を指定する手法、表示領域の外縁の全てを指定する手法がある。
端部には、領域の隅を与える情報も含まれる。端部の位置は、点として与えてもよいし、線分として与えてもよい。
線分を表示領域の外縁の全体として受け付けるか一部として受け付けるかは、事前の設定による。受付手法の設定はユーザによる変更が可能である。
【0020】
表示領域設定部32は、基本的には、受け付けた端部の位置で囲まれる領域を表示領域として設定する。表示領域の設定後は、表示領域以外に画像は表示されなくなる。
もっとも、最大表示領域のうちで表示領域を除いた部位には、予め選択された機能ボタンや画面を固定的に表示してもよい。例えばホーム画面を表示領域に表示させるためのホームボタン、表示領域に表示される画面を前画面に戻すための戻るボタン等を表示してもよい。表示領域以外の領域は、ユーザが視認する際の姿勢において、基本的に視認性が悪い領域であるが、本体10を回転する等すれば視認も可能であるので、対応するボタン類を表示領域に表示するための手間を低減できる。
【0021】
表示領域設定部32には、表示面11のうちで物理的に定まる位置を表示領域の端部の一部として用いる機能を設けてもよい。この機能を設ける場合、ユーザは、表示領域のうちの残る2つの端部のうちの1つ又は2つを指定すればよく、指定の作業が少なく済む。なお、表示領域の物理的な外縁を与える2つの端部で挟まれた領域内に、表示領域の外縁を規定する1つ又は2つの端部を設定することも可能である。
また、表示領域設定部32には、受け付けた端部と表示する画像の寸法(縦横比)との関係で、受け付けた端部と対向する他方の端部の位置を特定する機能を設けてもよい。
【0022】
<表示領域の設定例>
以下では、
図4〜
図10を用いて、表示領域の設定例を説明する。
図4は、ユーザが表示領域40の上端L1と下端L2を規定する位置を指6で指定する例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図4には、
図1との対応部分に対応する符号を付している。
図4の例では、表示面11に指6を接触させた状態で、表示面11が湾曲する方向とは交差する方向(図中のY方向)に移動させることで、表示領域40を規定する2つの端部の位置を指定している。
【0023】
図4の例では、指6の移動が表示面11の物理的な外縁の一方側から始まり、反対側で終わっている。このため、表示領域40のうち湾曲に沿う方向の端部は、表示面11のうち上端L1と下端L2とで挟まれた範囲として機械的に設定される。
これら4つの端部が確定した時点で表示領域40が設定される。
図4に示す表示領域40には、「AAAA/AAAA/AAAA/AAAA/AAAA/AAAA(斜線は改行を意味する)」との画像が表示されている。
なお、ユーザによって指定された上端L1と下端L2の位置は、操作の間、表示面11に表示されてもよい。上端L1又は下端L2が表示されていれば、他方の端部を指定する際の目安として用いることができる。なお、上端L1及び下端L2の指定中の表示は、選択可能としてもよい。
【0024】
図4では、説明の都合上、端部を設定する操作の際((A)参照)の表示面11に画像が表示されていないが(又は白画面が表示されているが)、表示面11上に画像を表示した状態のまま、表示領域40として用いる領域を指定できるようにしてもよい。
基本的に、表示領域40は、ユーザにとって視認が容易な領域が指定されるのであるが、画像が表示されていることで、表示領域40として確保すべき寸法の想像が容易になる。例えば設定された表示領域40に表示させたい画像が含まれない場合の作業の繰り返しを避けることができる。
なお、表示領域40の最大範囲は、最大表示領域である。この例であれば、表示領域40の最大範囲は表示面11と一致する。
【0025】
図5は、ユーザが表示領域40の上端側の隅P1と下端側の対角位置の隅P2を指6で指定する例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図5にも、
図1との対応部分に対応する符号を付している。
図5の例では、表示面11に沿うように、指6が左上から右下に移動されている。勿論、右下から左上の方向に指6を移動させてもよいし、右上から左下の方向に指6を移動させてもよい。
図5の例でも、移動を開始する位置は、表示面11の左側の外縁にかかっており、移動を終了する位置は、表示面11の右側の外縁にかかっている。このため、表示領域40の左側の端部は表示面11の左側の外縁に沿うように設定され、表示領域40の右側の端部は表示面11の右側の外縁に沿うように設定される。
【0026】
図5の例では、ユーザが表示面11に沿って対角方向に指6を移動させた場合に、移動の開始点(
図5では上端側の隅P1)と終了点(
図5では下端側の隅P2)を対角位置とする表示領域40を設定しているが、対角位置を与える2点だけを指定してもよい。
例えば表示面11上で、対角関係にある2点(例えば左上側の隅P1と右下側の隅P2)を指定してもよい。
この場合でも、表示領域40が矩形形状であれば、表示領域40として用いる領域を特定できる。
【0027】
図6は、ユーザが表示領域40の上端の一部(線分L11)と下端の一部(線分L12)を指6で指定する例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図6にも、
図1との対応部分に対応する符号を付している。
【0028】
図6に示す例では、ユーザによる表示領域40の外縁の一部の指定に、線分又は点を用いている。このため、
図6では、線分L11と線分L12のそれぞれを、上端の一部と下端の一部とするように表示領域40が設定されている。
図6の例では、上端側の線分L11と下端側の線分L12の両方を表示面11の左側で指定しているが、右側で指定してもよいし、対角位置で指定してもよい。
また、
図6の例では、上端側の線分L11と下端側の線分L12を与えているが、上端側と下端側の2点を与えてもよい。
【0029】
図7は、ユーザが表示領域40の外縁を与える枠F1を指6で描くように指定する例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図7の場合、表示領域40の外縁を表示面11上に直接描画するので、任意の形状を指定することが可能である。もっとも、指6による描画は歪みが生じやすいため、直線や曲線に近似する機能を組み合わせてもよい。
【0030】
図8は、表示領域40の縦横比が予め与えられており、かつ、ユーザの指定を表示領域40のどの外縁として認識するかが予め定められている場合を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図8の場合、指6で指定された位置が表示領域40の上端の位置を与える設定である。このため、指6が移動した位置(線分L21)を基準として表示領域40が設定されている。
【0031】
図9は、表示領域40の縦横比が予め与えられているが、ユーザの指定を表示領域40のどの外縁として認識するかが予め定められていない場合の例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図9の場合には、まず、円筒形状の本体10の回転軸と平行に指6が移動される。このとき、指6が移動した位置は線分L31である。
図9の場合、線分L31は、表示領域40の縦方向の端部を与える。この時点では、線分L31が、表示領域40の左辺を与えるか右辺を与えるかは不明である。
次に、ユーザは、表示領域40を形成したい方向に指6を移動させる。
図9では、指6が表示面11に沿って反時計周りに移動されている。このため、線分L31は、表示領域40の左端となることが確定する。
左端の位置が確定すると、予め定めた縦横比に基づいて表示領域40が設定される。
【0032】
図10は、表示領域40の縦横比が予め与えられているが、ユーザの指定を表示領域40のどの外縁として認識するかが予め定められていない場合の他の例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図10の場合も、まず、円筒形状の本体10の回転軸と平行に指6が移動され、線分L31が設定されるまでは
図9と同じである。
ただし、
図10の場合には、指6が表示面11に沿って時計回りに移動されている。このため、線分L31は、表示領域40の右端となることが確定する。
右端の位置が確定すると、予め定めた縦横比に基づいて表示領域40が設定される。
【0033】
<変形例>
前述の説明では、情報処理装置1が円筒形状の外観を有していたが、本実施の形態における情報処理装置1の外観は他の形状でもよい。
図11は、情報処理装置1の形状が自由に変形可能である場合の例を説明する図である。(A)は基本となる形状を示し、(B)は湾曲が小さい場合を示し、(C)は湾曲が大きい場合を示す。
図11に示す情報処理装置1は、フレキシブルディスプレイ装置とも呼ばれ、例えばタブレット端末、スマートフォン、電子ペーパ、巻物のように本体内に巻き取るように収納したり本体から引き出したりできる端末、例えば腕に巻き付けるように変形して使用される帯形状の端末がある。
【0034】
図11に示す情報処理装置1は、厚みが薄く変形が容易な本体10の表面に同じく変形が容易な表示面11を配置した構造を有している。なお、
図11の場合、表示面11は、6面のうちの1面にのみ配置されている。
図11に示す情報処理装置1の内部のハードウェア構成は、
図2を用いて説明した構造と同じである。
図11では、情報処理装置1の長辺を少し湾曲させた場合の表示領域40は広く、大きく湾曲させた場合の表示領域40は狭く設定されている。
図11では、
図4の場合と同じく、上端L1と下端L2を指定している。
【0035】
図12は、本体を一周するように表示面11が形成されている情報処理装置1の他の例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図1に示す情報処理装置1は外観が円筒形状であったが、
図12に示す情報処理装置1は、
図11に示す情報処理装置1と同じく平板形状である。ただし、
図12に示す情報処理装置1の外形は変形せず、代わりに、正面、右側面、背面(裏面)、左側面の全てが一体的に表示面11を形成している。すなわち、表示面11の全周(360°)に画像が表示される。
【0036】
このため、ユーザの位置から見て背面(裏面)側はいわゆる死角となっている。また、
図12の例では右側面も死角となる。
勿論、表面上の任意の位置に接した指を左右方向に移動させて(いわゆるスワイプさせて)、裏面側に表示されている画像を表面側に移動させる使い方をするのであれば、死角となる領域にも画像を表示する意味もあるが、使用時に死角となる領域には画像を表示しなくてもよいと考えるユーザも存在する。
図12に示す例は、そのようなユーザを想定したものである。
図12の場合、表示領域40が表面に限り設定されることで、背面(裏面)や左右の側面には画像が表示されなくなる。
【0037】
図13は、球体型の表示面11を有する情報処理装置1に対する表示領域40の設定例を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は設定された表示領域40を示す。
図13に示す情報処理装置1は、ガラスやプラスチック樹脂などを成形した透明度の高い球面形状の表示面11を有する表示デバイス10Aと、画像処理装置50とを有している。
ここでの画像処理装置50は、プログラム(基本ソフトウェアを含む)の実行を通じて装置全体を制御するCPUと、BIOSや基本ソフトウェア等のプログラムを記憶するROMと、プログラムの実行領域として使用されるRAMと、外部機器との通信に使用される通信モジュールと、を有している。
画像処理装置50は、通信モジュールを通じ、表示デバイス10Aに画像を出力する。もっとも、画像処理装置50は、表示デバイス10Aと一体の構成でもよい。
【0038】
球面型の表示面11に画像を表示する手法には、例えば球面の内側から画像を投影する手法、球面の外側から画像を投影する手法、球面の全体に配置したLEDを点灯させて画像を表示する手法、LEDを配列した環状の枠体を球体の内部で高速に回転させ、光の残像を視認させる手法を用いてもよい。
図13に示す表示デバイス10Aは、ユーザの指6が接した位置を検知する機能も備えている。
図13に示す例では、経度を与える2つの線分L41及びL42を指定することにより、表示領域40を設定している。もっとも、表示領域40の外形は、円形でも矩形でも構わない。
【0039】
図14は、凹形状の表示面11を有する情報処理装置1に対する表示領域40の設定例を説明する図である。(A)はユーザ60と表示面11の位置関係を斜め上方から描いた図であり、(B)はユーザ60と表示面11の位置関係を頭上から描いた図である。
図14に示す情報処理装置1は、凹形状の表示面11を有する表示デバイス10Bと、画像処理装置50とを有している。
図14に示す表示デバイス10Bは、必ずしも1つの表示デバイスである必要はなく、複数の表示デバイスの集合体でもよい。
【0040】
図14の場合、表示面11の寸法がユーザ60に対して大きく、かつ、その曲率が大きい。このような場合、表示面11の全てを、ユーザ60が一度に視認することは困難である。
そこで、技術的には最大表示領域に画像を表示することが可能でも、ユーザ60の指示によって表示領域40を最大表示領域の一部分に制限する。
なお、表示領域40の外縁は、前述した例と同様に表示面11に触って指示してもよいが、レーザポインタ等の光点を用いて指示してもよい。レーザポインタ等の光点を使用する場合には、表示面11を撮像する画像に出現した光点の位置から光点の位置を特定すればよい。
【0041】
<実施の形態2>
図15は、実施の形態2に係る情報処理装置1の一例を示す図である。(A)は画像の出力先が球面形状の表示面11を有する表示デバイス10Aだけの場合を示し、(B)は画像の出力先が平面形状の表示デバイス10Cと球面形状の表示面11を有する表示デバイス10Aの場合を示し、(C)は表示領域が平面形状の表示デバイス10Cの設置の向きが変更された場合における表示領域40の設定の変更を示す。
【0042】
図15に示す情報処理装置1は、ガラスやプラスチック樹脂などを成形した透明度の高い球面形状の表示面11を有する表示デバイス10Aと、平面形状の表示デバイス10Cと、画像処理装置50とを有している。
ここでの表示デバイス10Aは、情報の表示に用いられる領域を可変的に設定可能な第1の表示手段の一例であり、平面形状の表示デバイス10Cは、情報の表示に用いられる領域が固定の第2の表示手段の一例である。
本実施の形態の場合、平面形状の表示デバイス10Cは、矩形形状の最大表示領域を有している。最大表示領域内には、個別のアプリケーションに割り当てられた小画面(いわゆるウィンドウ)が1つ又は複数配置されることもあり得るが、最大表示領域の全域に何らかの画像が表示されている。
【0043】
図16は、プログラムの実行を通じて画像処理装置50のCPUが実現する機能構成の一例を説明する図である。
本実施の形態における画像処理装置50は、画像の出力先となる表示デバイスの台数、各表示デバイスを構成する表示面の形状、各表示面の向き等の情報を取得する出力先情報取得部51と、取得された情報に基づいて曲面形状の表示面を有する表示デバイス10Aの表示領域40を設定する表示領域設定部52とを有している。
表示領域設定部52は、球面形状の表示面11を有する表示デバイス10Aに限らず、曲面形状の表示面を有する表示デバイスの表示領域40の設定も実行する。表示領域設定部52は、画像の出力先の1つに平面形状の表示デバイス10Cが含まれている場合、表示領域40の設定を実行する。
【0044】
ここで、平面形状の表示デバイス10Cにおける表示面の向きは、例えば画像処理装置50に内蔵されているカメラ、表示デバイス10Aに内蔵されているカメラ、2つの表示デバイスを撮像可能な位置に設置されているカメラ等の映像を通じて取得する。
なお、画像処理装置50は、例えば平面形状の表示デバイス10Cの表示面11の前方、又は、平面形状の表示デバイス10Cと球体型の表示面11を有する表示デバイス10Aとの中間前方にユーザが位置しているものと推定する。
本実施の形態における画像処理装置50は、ユーザから見て、平面形状の表示デバイス10Cの画像と表示デバイス10A側の画像を一度に視認できるように表示領域40の位置と寸法を設定する。
図15の例では、平面形状の表示デバイス10Cにおける表示面11の向きの変更に応じて、球面型の表示デバイス10Aの表示領域40の位置が移動する様子を表現している。なお、(C)に破線で示す矩形は、(B)での表示領域40の位置を表している。
【0045】
また、画像処理装置50は、球面形状の表示デバイス10Aの表示領域40の外縁を規定する形状が、ユーザの位置から見て、平面形状の表示デバイス10Cの表示面11の形状と整合するように設定する。
このため、
図15においては、表示領域40が矩形形状に形成されている。
なお、表示領域40を矩形形状としても、ユーザから視認される画像が曲面の影響で歪んでいたのでは、画像を2画面で視認する利点が低減される。
そこで、本実施の形態における画像処理装置50は、表示領域40が設定された領域に出力する画像が、ユーザの位置から見て平面形状の表示デバイス10Cと同様に視認されるように補正する機能も備えている。
これにより、並んで配置された平面形状型の表示デバイス10Cと球面形状の表示デバイス10Aに画像を表示する場合にも、2台の平面形状の表示デバイス10Cに画像を表示する場合と同様の表示の形態を実現できる。
【0046】
<実施の形態3>
以下では、表示面11が、少なくとも一方向について360°連続している場合における画像の印刷を支援する技術について説明する。
昨今における表示技術の進歩に伴い、例えば円筒形状の表示デバイスや球面形状の表示デバイスにより、360°連続した画像の表示が実用化されている。また、360°連続した画像を撮像できるカメラも存在する。一方で、360°連続した画像を用紙に印刷する技術は実用化されていない。
そこで、本実施の形態では、少なくとも一方向について環状に連続する表示面を有する表示デバイスに画像が環状に表示されている場合における印刷用の端部を設定するための技術を提案する。
【0047】
図17は、実施の形態3における印刷領域の設定の手法を説明する図である。(A)は円筒型の表示面11に対する印刷領域の設定例を示し、(B)は印刷結果を示す。
図17における情報処理装置1は、実施の形態1における情報処理装置1(
図1参照)と同じである。
本実施の形態の場合も、位置の指定のために、円筒形状の表示面11に沿うように指6を移動させる点で実施の形態1と共通する。
【0048】
ただし、本実施の形態では、指6の移動を、印刷用の端部の指定の入力に使用する。
図17においては、指6の縦方向への移動により端部L51が設定されている。
なお、指6の移動は必ずしも直線とならないし、上端と下端とで円周上の位置が異なる可能性もある。そこで、本実施の形態における情報処理装置1には、印刷用の端部L51が表示面に対して直交するように補正する機能が設けられている。
図17では、4列のアイコン81を2分する位置に端部L51が設定されている。また、
図17の例では、端部L51から反時計回りに印刷が実行されることが予め定められている。このため、
図17では、端部L51の指定だけで(B)に示す印刷結果が得られている。
【0049】
図18は、プログラムの実行を通じてCPU21(
図2参照)が実現する機能の一例を説明する図である。本実施の形態の場合、実現される機能は、印刷用の端部の受け付けと印刷範囲の設定である。
このため、CPU21は、印刷を開始する端部の位置を検知する印刷開始端部検知部70と、印刷を終了する端部の位置を検知する印刷終了端部検知部71と、検知された端部からいずれの方向に印刷を実行するかの指定を検知する印刷方向検知部72と、検知された情報から印刷範囲を設定する印刷範囲設定部73として機能する。
ここで、印刷開始端部検知部70と印刷終了端部検知部71は、印刷用の端部の指定が1箇所の場合には、円周上の同じ場所を設定する。一方で、印刷用の端部の指定が2箇所の場合には、最初に指定された位置を印刷が開始される端部とし、2番目に指定された位置を印刷が終了する端部とする。
【0050】
印刷方向検知部72は、時計回りに印刷するか反時計回りに印刷するかが予め定められていない場合に実行される機能であり、ユーザの指6(
図17参照)が時計回りの方向に移動したか反時計回りの方向に移動したかを検知する。
印刷範囲設定部73は、端部の指定が1箇所の場合には、検知された端部から予め定めた又は検知された方向に印刷の範囲を設定する。一方、端部の指定が2箇所の場合、印刷範囲設定部73は、最初に検知された端部から検知された方向に2番目に検知された端部までの範囲を印刷の範囲に設定する。なお、
図7の例のように、印刷領域とする外縁の全てが指定された場合、印刷範囲設定部73は、指定された部分を印刷領域とする。
本実施の形態における印刷開始端部検知部70と、印刷終了端部検知部71と、印刷方向検知部72と、印刷範囲設定部73は、いずれか単独について、又は、組み合わせについて、印刷の機能に関する受信手段として機能する。
【0051】
以下では、
図19〜
図21を使用して、印刷の実行例を説明する。
図19は、1つの端部L51が指定され、かつ、印刷の向きが時計回りの場合を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は印刷結果を示す。
図19の例では、端部L51から時計回りに画像の情報が読み出され、用紙上に印刷される。
なお、
図19の印刷の向きは
図17の場合とは反対である。勿論、指6が端部L51から反時計回りに動かされた場合には、
図17と同じ印刷結果が得られる。
【0052】
図20は、2つの端部L51及びL52が指定され、かつ、印刷の向きが反時計回りの場合を説明する図である。(A)はユーザの操作を示し、(B)は印刷結果を示す。
ここで、印刷の向きの指定(図中では矢印の方向)は、端部L51及びL52の指定前に実行してもよいし、端部L51と端部L52の設定の間に実行してもよいし、端部L51及びL52の指定後に実行してもよい。
図20に示す操作を用いれば、360°に亘って表示されている画像のうち任意の部分だけを印刷することができる。
【0053】
図21は、印刷の向きが表示されている画像の内容に応じて定まる例を示す図である。(A)は文字が縦書きの場合の印刷の向きを示し、(B)は文字が横書きの場合の印刷の向きを示す。
漢字や平仮名のように縦方向に文字列が記述された画像の場合には、印刷の方向として時計回りが設定される。一方、ローマ字や数字のように横方向に文字が記述された画像の場合には、印刷の方向として反時計回りが設定される。
【0054】
なお、表示面11は360°連続している場合でも、物理的な形状から領域の区別が可能な場合には、物理的な領域の指定により印刷の範囲を設定してもよい。
図22は、表示面の物理的な形状から表示上の領域の区別が可能な場合の印刷例を説明する図である。(A)は印刷の単位として管理される領域の例を示し、(B)は全ての領域が印刷の対象として選択された場合の印刷結果を示す。
図22に示す情報処理装置1の場合、本体10の形状がほぼ平板形状である。このため、表示面11は、表面、右側面、裏面、左側面の4つの領域として管理される。
図22の例では、印刷の対象として4つの領域の全てが指定されているので、4つの領域の全てが対応する位置に印刷されている。
【0055】
印刷の対象とする領域は、例えば指で各領域内の特定の部位に触れることで行われる。スマートフォンやタブレットのように手に持って使用する端末では、保持のために表示面11に触れている部分と印刷の対象を指定するために触れられた位置の区別が難しい。
そこで、例えば4つの表示面のうち予め定めた部位(例えば下端側の付近)が触れられた場合には、印刷の対象としての指定として受け付けてもよい。
【0056】
図23は、表示面の物理的な形状から表示上の領域の区別が可能な場合の他の印刷例を説明する図である。(A)は印刷の単位として管理される領域の例を示し、(B)は1つの領域が印刷の対象として選択された場合の印刷結果を示す。
図23の場合には、表示面11について定められた管理上の4つの領域(表面、右側面、裏面、左側面)のうち表面が印刷の対象に指定されている。このため、表面画像だけが印刷されている。
【0057】
<まとめ>
このように、第3の実施の形態には、少なくとも1つの方向について環状である表示面11の全周に亘って画像が表示されている場合に、印刷の対象とする領域の端部を与える位置を受け付ける受付手段を有する情報処理装置1が記載されている。
なお、ここでの受付手段には、環状の表示面11に表示されている画像を、端部として受け付けた位置から時計回りに印刷するか反時計回りに印刷するかを受け付ける機能が設けられている。
また、ここでの受付手段には、文字列が記述されている方向に応じて印刷の方向を決定する機能が設けられている。
これらの機能により、第3の実施の形態における情報処理装置1は、少なくとも1つの方向について環状である表示面11の全周に亘って画像が表示されている場合でも、ユーザの望むレイアウトの印刷結果を得ることができる。
【0058】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述の実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0059】
例えば前述の実施の形態においては、表示面が物理的な部材上に形成されているが、表示面が空気中の像(以下「空中画像」という)として光学的に形成されてもよい。空中画像は、光学的に形成される像であるので、その形状は任意である。例えば平面形状、曲面形状、球体、立方体などでもよい。
【0060】
参考までに、
図24〜
図27を使用して、空中画像の形成原理を説明する。
図24は、表示デバイス101から出力される光を専用の光学プレート102を透過させることで空中画像110を形成する空中画像形成装置100Aの原理図である。(A)は各部材と空中画像110との位置関係を示し、(B)は光学プレート102の断面構造の一部を示す。
【0061】
ここでの光学プレート102は、壁面を鏡として使用する短冊状のガラス102Aを配列したプレートと、ガラス102Aに対して直交する向きに短冊状のガラス102Bを配列したプレートを上下に重ねた構造を有する。
光学プレート102は、表示デバイス101から出力される光を短冊状のガラス102A及び102Bで2回反射して空気中で結像させることで、表示デバイス101に表示されている画像を空気中に再現する。なお、表示デバイス101と光学プレート102の距離と、光学プレート102と空中画像110との距離は同じである。また、表示デバイス101に表示される画像の寸法と空中画像110の寸法は同じである。
ここでの空中画像形成装置100Aは、情報処理装置の一例である。後述する空中画像形成装置100B(
図25参照)、100C(
図26参照)、100D(
図27参照)についても同様である。
【0062】
図25は、空中画像110として3次元像を形成する空中画像形成装置100Bの原理図である。空中画像形成装置100Bは、実際の物体103の表面で反射された光をリング型の光学プレート102を2回透過させることで3次元像を空気中に再現する。なお、光学プレート102を直列に配置する必要はない。
【0063】
図26は、2面コーナーリフレクタを構成する微小な四角い穴104Aを平面内に等間隔に配列した構造のマイクロミラーアレイ104を用いて空中画像110を形成する空中画像形成装置100Cの原理図である。(A)は各部材と空中画像110との位置関係を示し、(B)はマイクロミラーアレイ104の一部分を拡大した図である。1つの穴104Aは、例えば100μm角で形成される。
【0064】
図27は、空中画像110をプラズマ発光体の集合として形成する空中画像形成装置100Dの原理図である。
空中画像形成装置100Dの場合、赤外パルスレーザ108がパルス状のレーザ光を出力し、XYZスキャナ109がパルス状のレーザ光を空気中で集光する。このとき、焦点近傍の気体が瞬間的にプラズマ化し、発光する。
ここでのパルス周波数は、例えば100Hz以下であり、パルス発光時間は、例えばナノ秒オーダである。